(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】吸入器のための機能要素、吸入器内における機能要素の配設、および、吸入器
(51)【国際特許分類】
A24F 47/00 20200101AFI20231122BHJP
A24F 40/42 20200101ALI20231122BHJP
【FI】
A24F47/00
A24F40/42
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019091108
(22)【出願日】2019-05-14
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10 2018 207 543.3
(32)【優先日】2018-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】595112018
【氏名又は名称】ケルバー・テクノロジーズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス・ロンミング
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヤクリン
(72)【発明者】
【氏名】ティム・ウルナー
(72)【発明者】
【氏名】ラッセ・コルニルス
(72)【発明者】
【氏名】グンナー・ニーブーア
(72)【発明者】
【氏名】ビェルン・シュリュター
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0128971(US,A1)
【文献】国際公開第2017/037457(WO,A1)
【文献】特表2016-535982(JP,A)
【文献】中国実用新案第205214208(CN,U)
【文献】国際公開第2004/089126(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107890141(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入器(1)の少なくとも1つの機能要素(5)の配設であって、
前記機能要素(5)が、案内軸線(26)に沿って移動可能に、および、この案内軸線(26)を中心として誤回転防止状態で、案内要素(13)内において案内
されており、
互いに作用する少なくとも一対の磁気要素(20)を備える、磁気切替装置(18)が設けられており、
前記磁気切替装置(18)の一方の磁気要素(20)が、前記機能要素(5)に配設されており、
従って、この機能要素(5)が、前記磁気切替装置(18)の固定状態において、前記案内要素(13)内における案内部(23、24)に沿って、固定位置に移動されおよび保持され、且つ、解離状態において、この固定位置から移動可能で
あり、
前記機能要素(5)が、向かい合って配設されている端側面(10、16)を備えており、案内方向における前側面(10)としての第1の端側面が、前記固定位置において、前記吸入器(1)の基礎面(19)に当接しており、
前記磁気切替装置(18)の一方の磁気要素(20)が、前記機能要素(5)の前記前側面(10)内において配設されており、且つ、
前記磁気切替装置(18)の対応する磁気要素(20)が、前記基礎面(19)内において配設されており、および、
前記磁気要素(20)が、永久磁石である様式の上記配設において、
前記機能要素(5)が、前記案内要素(13)と共に、前記基礎面(19)に対して、前記案内軸線(26)に対して平行に1つの回転軸線を中心として、旋回可能に保持されていることを特徴とする配設。
【請求項2】
前記機能要素(5)は、前記固定位置において、電気的なエネルギーの給電のため、及び/または、前記機能要素(5)のための制御信号の受信のために、電気的に、前記吸入器(1)と接触されていることを特徴とする
請求項1に記載の配設。
【請求項3】
前記機能要素(5)は、電気的な接点(17)を、前記前側面(10)において備えており、これら電気的な接点(17)が、前記固定位置において、前記基礎面(19)における対応する電気的な接点(17)に接触されていることを特徴とする
請求項2に記載の配設。
【請求項4】
少なくとも1つの磁気要素(20)は、電磁石であり、且つ、前記磁気切替装置(18)が、電磁的に切替可能であることを特徴とする
請求項1に記載の配設。
【請求項5】
反対の極性を有する少なくとも一対の磁気要素(20)は、前記基礎面(19)に、および、少なくとも1つの磁気要素(20)が、前記前側面(10)に設けられており、
従って、前記機能要素(5)が、前記案内要素(13)と共に、前記基礎面(19)に対して、1つの固定位置に旋回可能であり、この固定位置において、前記機能要素(5)の少なくとも1つの前記磁気要素(20)が、前記基礎面(19)のそれぞれに反対極的な前記磁気要素(20)との作用結合の状態にあり、且つ、
この固定位置から、1つの解離位置に旋回可能であり、この解離位置において、前記機能要素(5)の少なくとも1つの前記磁気要素(20)が、前記基礎面(19)のそれぞれに同極的な前記磁気要素(20)との作用結合の状態にある、
ことを特徴とする
請求項1に記載の配設。
【請求項6】
旋回角度は、当接面(29)によって制限されており、
当接角度が、有利には、45°から180°に至るまでの範囲内に、更に有利には、45°から90°に至るまでの範囲内にあることを特徴とする
請求項5に記載の配設。
【請求項7】
前記機能要素(5)は、前記案内要素(13)によって、外套側で完全に取り囲まれることを特徴とする請求項1
から6のいずれか一つに記載の配設。
【請求項8】
請求項1
から7のいずれか一つによる吸入器(1)内における配設のための機能要素(5)において、
この機能要素(5)が、加熱装置(8)と少なくとも1つの液体タンク(7)とを有する、蒸発器-タンク-ユニットを備えていることを特徴とする機能要素(5)。
【請求項9】
貫通流動可能な中心の流動通路(3)は、前記加熱装置(8)によって蒸発させられた、前記液体タンク(7)からの液体(9)の貫通流動のために、前記前側面(10)から、向かい合って位置する端側面(16)に至るまで延在していることを特徴とする
請求項8に記載の機能要素(5)。
【請求項10】
複数の蒸発器-タンク-ユニットは、前記中心の流動通路(3)の周りに配設されていることを特徴とする
請求項9に記載の機能要素(5)。
【請求項11】
少なくとも1つの前記蒸発器-タンク-ユニットは、別個に、取り出し可能、および、交換可能であることを特徴とする
請求項10に記載の機能要素(5)。
【請求項12】
それぞれの前記蒸発器-タンク-ユニットに、反対極的な一対の磁気要素(20)と、電気的な接点(17)とが、それぞれの前記蒸発器-タンク-ユニットの、別個の固定および電気的な制御のために、所属して設けられていることを特徴とする
請求項10または11に記載の機能要素(5)。
【請求項13】
前記蒸発器-タンク-ユニットは、六角形に、前記中心の流動通路(3)の周りに配設されていることを特徴とする
請求項10から12のいずれか一つに記載の機能要素(5)。
【請求項14】
前記流動通路(3)は、前記流動通路(3)を通って流動する空気及び/または蒸発させられた液体(9)の、前処理及び/または後処理のための、少なくとも1つの前処理領域及び/または後処理領域を備えていることを特徴とする
請求項9から13のいずれか一つに記載の機能要素(5)。
【請求項15】
吸入器(1)であって、この吸入器が、
請求項8から14のいずれか一つによる、機能要素(5)と、
案内要素(13)と、
前記機能要素(5)の接触のための基礎面(19)を有する、基礎要素(6)と、
請求項1
から7のいずれか一つにより配設されている、磁気切替装置(18)と、
前記機能要素(5)および前記磁気切替装置(18)の給電のための、前記基礎要素(6)内におけるエネルギー貯蔵部(11)とを備えていることを特徴とする吸入器(1)。
【請求項16】
吸い口端部(4)は、前記案内要素(13)の案内開口部(22)を閉鎖し、且つ、使用者に対する、空気及び/または蒸発させられた液体(9)の供給のために、前記機能要素(5)
の流動通路(3)との作用結合の状態にあることを特徴とする
請求項15に記載の吸入器(1)。
【請求項17】
前記吸い口端部(4)の方向の前記機能要素(5)の上に、アタッチメント容器(21)が配設されており、このアタッチメント容器は、蒸発させられた液体(9)を
有する空気流によって貫通流動され、且つ、この空気流に、添加物質を添加することを特徴とする
請求項16に記載の吸入器(1)。
【請求項18】
前記空気流に、ニコチンが添加されることを特徴とする
請求項17に記載の吸入器(1)。
【請求項19】
別個のベース要素(33)が設けられており、
このベース要素が、基礎要素(6)と機能要素(5)との間に配設されており、且つ、前記磁気切替装置(18)を有する前記基礎面(19)と、前記機能要素(5)の接触のため
の電気的な接点(17)とを提供することを特徴とする
請求項15に記載の吸入器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸入器の機能要素の配設に関し、その際、前記機能要素が、案内軸線に沿って移動可能に、および、この案内軸線を中心として誤回転防止状態で、案内部内において案内されている。本発明は、更に、吸入器のための機能要素、並びに、吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在に吸入器、特に電子たばこ製品において、機能要素として、例えば、液体タンク、蒸発器、付加的なたばこカプセル、吸い口片、または、蓄電池が設備され得る。しばしば、いわゆるカトマイザー、統合された蒸発器ユニットを有する組み合わせられた液体タンクは提供される。その場合に、極めて異なる蒸発器技術が使用され、その際、これら蒸発器技術は、大抵の場合、ウィック/コイル原理を基礎としている。
機能要素は、極めて異なる幾何学的形状を有しており、このことは、特に、市場における各種の吸入器の極めて異なる形状、および、大きさに責任がある。
【0003】
吸入器、特に電子たばこ製品において、1つまたは複数の機能的な構成要素が、規則的に交換されるべき部材として、吸入器の外側ケーシングの内側で設備されていることは通常である。
これら交換可能な機能要素は、外側から取り扱い可能、取り外し可能であるべきであり、且つ、しばしば、ケーシングから突出しており、または、部分的に、吸入器自体の外側ケーシングを形成している。このことは、例えば、ケーシングカバー部の不必要に多くの高価値の材料が、例えばカートリッジまたはタンクのような、ディスポーザブル部材の外側カバーによって形成されており、且つ、このディスポーザブル部材が、従って、製造において不必要に高価になり、または、廃棄物処理技術的により手間暇がかかるようになることを誘起する。
【0004】
更に、1つの蒸発器ユニットが、1つの液体タンクを有して、交換可能な消費部材内において配設されていることは可能である。この蒸発器ユニットは、例えば一度の使用のための、消費者によって交換可能なカートリッジであり、このカートリッジ内において、液体タンク、および、液体供給部を有する蒸発器が、製造者側で統合されている。
この様式のカートリッジは、使用者によって、吸入器内へと装入され、そのために、吸入器が、通常、開放されねばならない。このことは、例えば、吸入器ケーシングの閉鎖キャップのねじり閉鎖部を介して実現され得る。
【0005】
このカートリッジは、ここで、消費者によって、機能に適合して吸入器内において位置決めされねばならず、且つ、この吸入器が再び閉鎖されねばならない。その際、全プロセスの間じゅう、消費者によって装入されたカートリッジが、このカートリッジのために設けられた位置に留まること、特に、蒸発器が電気的なエネルギーと制御信号とを供給されるためにこのカートリッジが規定通りに電気的に接触されていることは、保障されねばならない。
このことは、同様に構造様式に基づいて位置決めの支援のもとで保証されている場合、蒸発器は、消費者によって作動化可能な機構を介して作動化され得る。このことは、極めて容易な様式において、吸入工程の間じゅう、消費者によって操作可能な切替装置によって、または、例えばセンサーによって実現され得、このセンサーが、消費者によって吸入の際に発生される空気流または負圧を検知する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、吸入器のための規格化された構造部材を提供することであり、これら構造部材が、吸入器の、容易な操作性と、改善された接触と、機能的な構成要素の作動化とを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この課題を、独立請求項の特徴によって解決する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に従い、吸入器の少なくとも1つの機能要素の配設であって、
前記機能要素が、案内軸線に沿って移動可能に、および、この案内軸線を中心として誤回転防止状態で、案内要素内において案内されており、
互いに作用する少なくとも一対の磁気要素を備える、磁気切替装置が設けられており、
前記磁気切替装置の一方の磁気要素が、前記機能要素に配設されており、
従って、この機能要素が、前記磁気切替装置の固定状態において、前記案内要素内における案内部に沿って、固定位置に移動されおよび保持され、且つ、解離状態において、この固定位置から移動可能であり、
前記機能要素が、向かい合って配設されている端側面を備えており、案内方向における前側面としての第1の端側面が、前記固定位置において、前記吸入器の基礎面に当接しており、
前記磁気切替装置の一方の磁気要素が、前記機能要素の前記前側面内において配設されており、且つ、
前記磁気切替装置の対応する磁気要素が、前記基礎面内において配設されており、および、
前記磁気要素が、永久磁石である様式の上記配設において、
前記機能要素が、前記案内要素と共に、前記基礎面に対して、前記案内軸線に対して平行に1つの回転軸線を中心として、旋回可能に保持されている。
【0009】
磁気切替装置によって、1つまたは複数の交換可能な機能要素が、吸入器のケーシングの内側で、磁気的に固定または解離され得ることは保証され得る。固定された状態において、機能要素は、場合によっては、使用者によって、外側から取り扱い可能ではない。磁気切替装置の解離された状態において、機能要素は取り出され得る。
完全に吸入器のケーシングの内側で位置する、交換可能な構成要素は、材料選択に対する低減された要件を有している、何故ならば、これら構成要素が、外側ケーシングの、如何なる部分も形成しない、または、ただ小さな部分だけを形成するからである。
【0010】
異なる磁気要素が互いに作用するというやり方で、即ち、これら磁気要素がこれら磁気要素の反対極性によって引力を生起するというやり方で、到達された固定位置において、機能要素は、全吸入器の使用が保証されるように保持されている。この引力は、案内要素の案内部に沿っての機能要素の移動を生起する。このことによって、機能要素は、誤回転防止状態で組込み可能である。
有利には、案内要素、および、この案内要素の方に向けられた、機能要素の側面は、例えば、係止要素、突起部、溝部、及び/または、切欠き部のような案内および誤回転防止要素を備えている。このことによって、固定位置における1つの機能要素に、例えば、液体開口部および供給装置が、位置精確に所属して設けられていること、及び/または、電気的な接点が、吸入器の構成要素部材の電気的な接点と作用結合され得ることは保証される。
これに伴って、機能部材が可能な限り場所を取らず構成されていることが可能であり、且つ、使用位置において、使用者によって到達可能にではなく位置決めされているにもかかわらず、機能に適合した位置決めは保証されている。有利には、機能要素は、その際、吸入器の外側カバー部を形成する案内要素によって、完全に取り囲まれる。磁気切替装置の解離状態において、機能要素は、例えば、重力によって、使用者によって、ケーシングから取り外され得る。
【0011】
有利には、機能要素は、向かい合って配設されている端側面を備えており、案内方向における前側面としての第1の端側面が、固定位置において、吸入器の基礎面に当接している。吸入器の基礎面における前側面の当接によって、吸入器ケーシング内における機能要素の終端位置は保証されており、且つ、磁気切替装置の引力によって作用する、機能要素の移動が静止状態になる。この当接によって、固定位置は到達されている。
この様式の機能要素の横断面は、変化可能であり、且つ、円形の、長円形の、角形の、または、先細りの切片を有していることは可能である。成形状態は、基本的に、吸入器の製造者側の形状初期設定に対して適合可能である。しかしながら、円筒形の吸入器は、極めて広く普及しており、その結果、交換可能な機能要素のために、同様に、しばしば、円筒形の幾何学的形状が選択される。
機能要素としてのカトマイザー(Cartomizer)の場合に、端側面の間に、中心に延びる流動通路が延在する場合、有利であり、この流動通路が、蒸発器および液体タンクによって囲繞されている。
蒸発器は、流動通路の1つの領域内において配設されており、この流動通路が、この蒸発器によるこの流動通路の加熱に基づいて、カミン(Kamin)と称される。このカミンの下流側、即ち、消費者の使用によって、通常、流動通路を通って発生する空気流に沿って、この流動通路は、煙道(Schlot)と称される。
蒸発器として、全体として公知の蒸発器技術が考慮に値し、有利には、この蒸発器は、マイクロ-電気機械的な、もしくは、MEMS的な蒸発器として、及び/または、ウィック/コイル-蒸発器として構成されている。液体タンクが、閉鎖された、または、開放的なタンクシステムであることは可能である。
【0012】
有利には、機能要素は、固定位置において、電気的なエネルギーの給電のため、及び/または、機能要素のための制御信号の受信のために、電気的に、前記吸入器と接触されている。
【0013】
更に有利な実施形態において、機能要素は、電気的な接点を、前側面において備えており、これら電気的な接点が、固定位置において、基礎面における対応する電気的な接点と接触されている。これに伴って、ケーシングもしくは吸入器との簡単な電気的な接続は形成され得る。
【0014】
有利には、磁気切替装置の一方の磁気要素は、機能要素の前側面内において配設されており、且つ、磁気切替装置の対応する磁気要素が、基礎面内において配設されている。
前側面および基礎面における、磁気切替装置及び/または電気的な接触部の、この様式の集中によって、可能な限り狭小な空間の作用結合が提供され、この作用結合が、固定位置における、基礎面での前側面の当接によって容易にされている。それに加えて、機能および接続のこの集中は、機能要素および吸入器のケーシングもしくは案内要素の、更に別の部分片の形状自由性を増大する。
【0015】
第1の実施形態において、少なくとも1つの磁気要素は、電磁石であり、且つ、磁気切替装置が、電磁的に切替可能である。
第2の磁気要素として、前側面または基礎面内へと、磁気的な材料から成る部分片が埋め込まれ得、従って、それぞれに他の面に配設されている電磁的な磁気要素が、作動化の際に引力を生起し、且つ、機能要素が、これに伴って、案内要素内における案内部に沿って、この機能要素の固定位置に移動する。電磁的な磁気要素の非作動化の際に、磁気切替装置は、これに伴って、解離状態へと切り替わり、且つ、交換可能な機能要素が、取り外しされ得る。その際、しかしながら、永続的に、電気的なエネルギーが、固定状態における電磁的な磁気要素によって消費される。
選択的に、機能要素の前側面内において、永久磁石が、および、基礎面内において、例えば強磁性の材料から成る部分片が配設されていることは可能である。このことによって、機能要素は、案内部に沿って、この機能要素の固定位置に移動され、且つ、そこで保持される。
付加的に、基礎面内において配設されている電磁石が、解離状態において作動化され、且つ、永久磁石に対して反対の極性に切り替えられ、このことによって、機能要素が、この機能要素の固定位置から押し出され、且つ、使用者によって取り出し可能である。
【0016】
選択的な実施形態において、磁気要素は、永久磁石として構成されている。
その際、機能要素が、案内要素と共に、基礎面に対して、案内軸線に対して平行に1つの回転軸線を中心として、旋回可能に保持されていることは、更に有利である。
この旋回可能性によって、機能要素の磁気要素は、基礎面の磁気要素との作用結合の状態にされ得、従って、固定状態と解離状態との間で、機能要素の回転、もしくは、使用者による案内要素の外側ケーシングの回転によって切り替えられる。
その際、有利には同様に機能要素の電気的な接点も、ただ固定位置だけにおいて接触されている。このことは、一方では、誤作動化またはクリープ電流損失(Kriechstromverluste)を最小限に減らし、他方では、製造者側で予め与えられた接触幾何学的形状に対する適合を可能にする。
固定位置への、または、この固定位置からのそれぞれの旋回は、その際、これら接点を相互に重なり合って滑り移動させ、このことは、場合によっては生じる接点の上での酸化被膜の削剥を、および、これに伴って、改善された接触を誘起する。
【0017】
有利には、案内要素または基礎面内において、反対の極性を有する少なくとも一対の磁気要素が、および、それぞれに他の構成要素内において、少なくとも1つの磁気要素が設けられており、
従って、機能要素が、案内要素と共に、基礎面に対して、1つの固定位置に旋回可能であり、この固定位置において、機能要素の1つの磁気要素が、基礎面の反対極的な磁気要素との作用結合の状態にあり、且つ、
この固定位置から、1つの解離位置に旋回可能であり、この解離位置において、機能要素の1つの磁気要素が、基礎面の同極的な磁気要素との作用結合の状態にある。
このことによって、機能要素の交換可能性は明確に改善され、その場合に、解離位置における同極的な磁気要素の作用結合によって、機能要素が、能動的に固定位置から押圧され、且つ、有利には、案内部に沿って、使用者による取り出しが可能とされる程度に、前方へと送られる。両方の構成要素における、同様に反対極的な磁気要素の複数の対体も考慮可能であり、しかしながら、消費部材として構成された機能要素の材料コストを低下させるために、機能要素は、有利には、ただ1つだけの磁気要素を備えている。
【0018】
有利には、旋回角度は、当接面によって制限されている。この旋回角度の制限によって、使用者のために簡略化された操作性が実現されており、この操作性は、固定位置もしくは解離位置における係止を容易にし、且つ、例えば、この固定位置を越えての過回転を防止する。
当接角度の制限は、磁気要素の角度間隔に適合されているべきである。磁気要素の対体が180°の配設において存在する、1つの機能要素において、当接角度は、それに応じて、有利には、同様に180°の値である。しかしながら、同様に、他の旋回角度も考慮可能である。有利には、旋回角度は、旋回/切り替えの際の使用者の手動の手間暇を減少するために、45°から90°に至るまでの値である。
これら当接部が、案内要素、および、基礎面、もしくは、吸入器の構成要素部材の、突出部および切欠き部によって形成されていることは可能である。
【0019】
有利には、機能要素は、案内要素によって、外套側で完全に取り囲まれる。外套側とは、この関連において、機能要素の端側面の間で延在する切片を意味する。この機能要素は、これに伴って、決して吸入器の外側面を形成しない。このことによって、場所を取らない構造様式が可能とされ、且つ、機能要素が、機能工程の間じゅう保護されている。
それに加えて、形状の要求の多い観点は省略され得、このことは、大抵、使い捨て部材もしくはディスポーザブル部材として構想されたこれら構成要素における節約を誘起する。
【0020】
本発明に従い、機能要素は、加熱装置と少なくとも1つの液体タンクとを有する、蒸発器-タンク-ユニットを備えている。その際、有利には、中心の流動通路は、加熱装置によって蒸発させられた、液体タンクからの液体の貫通流動のために、前側面から向かい合って位置する端側面に至るまで延在している。
【0021】
有利な実施形態において、複数の蒸発器-タンク-ユニットは、中心の流動通路の周りに配設されている。このことは、流動通路への異なる蒸気の供給を可能にし、従って、異なる蒸発器-タンク-ユニットから、異なる内容物質を有する複数の液体からの1つの混合物が提供され得、及び/または、それぞれの蒸発器-タンク-ユニットからの液体が、相前後して提供され得る。
【0022】
有利な実施形態において、機能要素は、別個に、取り出し可能および交換可能である、少なくとも1つの蒸発器-タンク-ユニットを備えている。
このことによって、機能要素は、使い捨て部材として交換され得、または、再利用可能な消費部材として提供され得る。選択的な実施形態において、蒸発器-タンク-ユニットは、別個の空気/蒸気出口を備えており、従って、蒸発器-タンク-ユニットの蒸発器が、蒸気をこの空気/蒸気出口を介して放出し、且つ、流動通路内へは引き渡さない。
この場合、複数の蒸発器-タンク-ユニットからの蒸気は、先ず第一に、吸い口片の領域内において混合される。流動通路は、その場合に、有利には、専ら圧力測定のために使用され得る。
【0023】
その際、それぞれの蒸発器-タンク-ユニットに、少なくとも1つの磁気要素と電気的な接点とが、それぞれの蒸発器-タンク-ユニットの別個の電気的な制御のために、所属して設けられていることは有利である。
使用者は、これに伴って、別個の液体を、個々に制御可能であり、且つ、同様に、別個にそれぞれの固定位置または解離位置に移動可能であり、従って、全機能要素が取り出される必要はなく、むしろ、例えば、複数の蒸発器-タンク-ユニットの内のただ1つだけの蒸発器-タンク-ユニットが取り出されるべきである。
【0024】
有利な実施形態において、蒸発器-タンク-ユニットは、六角形に、中心の流動通路の周りに配設されている。角形の横断面によって、使用者は、外側から、どの位置にそれぞれのタンクの固定位置が存在するかの、触覚的および視覚的な示唆を与えられる。
【0025】
有利には、改善されたエアロゾル-蒸気-混合物品質を達成するために、流動通路は、流動通路を通って流動する空気及び/または蒸発させられた液体の、前処理及び/または後処理のための、少なくとも1つの前処理領域及び/または後処理領域を備えている。
前処理は、有利には、カミンの上流側で行われる。後処理は、有利には、煙道内におけるカミンの下流側で行われる。
蒸発器において発生したエアロゾル-蒸気-混合物は、蒸発器の下流側に位置する吸い口片の方向における途次で、カミン及び/または煙道内において、前処理装置及び/または後処理装置を通って後処理され得る。従って、例えば、二次的空気による混ぜ合わせを保証するための、及び/または、層流状の流動によっての、煙道壁もしくは流動通路壁との接触、および、従って、場合によっては生じる凝縮を回避するための、空気供給部は考慮可能である。この空気供給部は、流動通路内における空気流に、有利には、より冷たい新鮮空気を付加することの目的のために設備されている。
【0026】
本発明に従う吸入器は、機能要素と、案内要素と、機能要素の接触のための基礎面を有する基礎要素と、磁気切替装置と、機能要素及び/または磁気切替装置の給電のための、基礎要素内におけるエネルギー貯蔵部とを備えている。
【0027】
有利には、吸入器は、吸い口端部を備えており、その際、この吸い口端部が、案内要素の案内開口部を閉鎖し、且つ、使用者に対する、空気及び/または蒸発させられた液体の供給のために、機能要素の流動通路との作用結合の状態にある。
【0028】
有利な実施形態において、吸い口端部の方向の機能要素の上に、アタッチメント容器が配設されており、このアタッチメント容器は、蒸発させられた液体を有する空気流によって貫通流動され、且つ、この空気流に、添加物質を混合する。その際、空気流に、有利にはニコチンが添加される。
全ての所望された芳香剤または添加物質は、空気流に、1つの液体の蒸発によって供給され得ない。更に、どのような添加物質が、蒸発させられるべき液体に添加しても良いかの、国別仕様の諸規則が存在する。吸入器としての電子たばこ製品の場合に、例えば、全ての国において、吸入の目的のために、ニコチンと混合された液体を蒸発させることは、許容されていない。
吸い口片と機能要素との間に配設され且つ流動通路に対して適合されたアタッチメント容器によって、例えば、このアタッチメント容器が適当なたばこによって充填されている場合、ニコチンのような添加物質は、貫通流動する蒸気に付加され得る。このアタッチメント容器に引き続いて、1つの吸い口片が配設されていること、または、このアタッチメントが、自体、1つの吸い口片として成形されていることは可能である。
【0029】
有利には、吸入器内において、別個のベース要素が設けられており、このベース要素が、基礎要素と機能要素との間に配設されており、且つ、磁気切替装置を有する基礎面と、機能要素の接触のための電気的な接点とを提供する。
このことによって、磁気切替装置の製造は、吸入器の基礎本体の製造から分離され得、もしくは、規格化された吸入器モデルを、磁気切替装置を有する吸入器へと装備を変えることは可能である。ベース要素は、その際、機能要素の制御のための、全ての必要な電気的な接点を備えており、且つ、エネルギー供給部との接続を保障する。
【0030】
本発明を、以下で有利な実施形態に基づいて、添付された図に関連して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図2】分解図における、本発明に従う吸入器の長手方向断面図である。
【
図3】挿入の間じゅうの機能要素を有する、本発明に従う吸入器の長手方向断面図である。
【
図4】固定位置における機能要素を有する、本発明に従う吸入器の長手方向断面図である。
【
図5】組み立てられた構成要素を有する、本発明に従う吸入器の長手方向断面図である。
【
図6】組み立てられた状態における、案内要素および機能要素を通っての切断面による、本発明に従う吸入器の横断面図である。
【
図7】案内要素および基礎面に対する眺望での、本発明に従う吸入器の横断面図である。
【
図8】固定位置における案内要素および機能要素を有する、吸入器の選択的な実施形態の平面図である。
【
図9】旋回された位置においての間じゅうの、案内要素および3つの機能要素を有する、吸入器の選択的な実施形態の平面図である。
【
図10】分解図における、選択的な実施形態の全体図である。
【
図11】組み立てられた構成要素を有する、選択的な実施形態の全体図である。
【
図12】機能要素を有する、固定位置における、六角形の案内要素の図である。
【
図13】機能要素を有する、旋回された位置における、六角形の案内要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明に従う吸入器1、ここで電子たばこ製品は、吸入器ケーシングを備えており、この吸入器ケーシング2内において、1つの流動通路3が、少なくとも1つの空気流入開口部と空気流出開口部との間で、電子たばこ製品1の吸い口端部4において設けられている。空気流入開口部が、例えば半径方向にケーシング2の外側壁にわたって分配されていることは可能である。
電子たばこ製品1の吸い口端部4は、その際、消費者が吸入の目的で吸引し、且つ、このことによって、電子たばこ製品1を負圧に曝し、且つ、流動通路3内における空気流動を発生させる端部を意味する。空気流動は、機能要素5の流動通路3を通る空気流を引き起こす。
【0033】
電子たばこ製品1は、有利には、基礎要素6と、液体タンク7を有する機能要素5と、蒸発器8とから成っている。この機能要素5が、特に、交換可能なカートリッジの様式、または、液体タンク7の様式において形成されていることは可能であり、この液体タンク内において、消費者は蒸発器挿入体(Verdampfereinsatz)を使用可能である。
蒸発器8は、少なくとも1つの液体の蒸発のための加熱要素と、少なくとも1つの液体供給装置、例えばウィック材料とを備えており、このウィック材料が、蒸発されるべき液体を均一に加熱要素へと輸送し、且つ、分配する。加熱要素として、例えば、螺旋体または格子の様式における抵抗加熱要素、または、例えば添加されたシリコンを有する通路加熱要素(Kanalheizelemente)のような、シリコンベースの加熱要素が、考慮の対象となる。
【0034】
空気流入開口部を通って吸気された空気は、流動通路3内において、蒸発器8へと導かれる。蒸発器8は、少なくとも1つの液体9が貯蔵されている少なくとも1つの液体タンク7と結合されている、または、結合可能である。蒸発器8は、液体タンク7から供給される液体9を蒸発し、且つ、蒸発させられた液体9が、エアロゾル/蒸気として、流動通路3内における空気流内へと付加する。
液体タンク7の有利な容積は、0.1mlと5mlとの間、有利には0.5mlと3mlとの間、更に有利には0.7mlと、2mlまたは1.5mlとの間の範囲内にある。
【0035】
空気流入開口部、もしくは、有利にはこの空気流入開口部に向けられた、機能要素5の前側面10における空気供給部を介して、吸い込み抵抗は、有利には調節され得る。有利には、空気供給部は、前側面10に、もしくは、機能要素5の前側面10における開口部内に設けられている。圧力センサーは、有利には、基礎要素6に配設されている。
吸い込み抵抗は、更に、相応して成形された穿孔、もしくは、空気流入開口部および流動通路3内における成形部によって調節され得る。しかしながら、同様に、ノズルまたは所定の穿孔板が、付加的な部材として挿入されることも考慮可能である。
【0036】
電子たばこ製品1は、更に、電気的なエネルギー貯蔵部11、および、電子式の制御装置12を備えている。
電気的なエネルギー貯蔵部11は、通常、基礎要素6内において配設されており、且つ、特に、電気化学的な使い捨てバッテリー、または、再充電可能な電気化学的な蓄電池、例えばリチウムイオン電池であることは可能である。電子式の制御装置12は、少なくとも1つのデジタル的なデータ処理装置、特にマイクロプロセッサー及び/またはマイクロコントローラーを基礎要素6及び/または機能要素5内において備えている。
【0037】
吸入器ケーシング2内において、有利には、センサー、例えば負圧センサー、または、圧力または流動スイッチが配設されており、その際、制御装置12は、この負圧センサーから出力されたセンサー信号に基づいて、消費者が吸入するために電子たばこ製品1の吸い口端部4を吸っていることを確認可能である。
例えば、負圧センサーは、蒸発器8の吸込み作動(Zugaktivierung)を可能とするために、信号を制御装置12に導くことは可能である。制御装置12は、液体タンク7からの液体9を蒸発するため、および、エアロゾル/蒸気として空気流内へと付加するために、例えば蒸発器8を制御する。
【0038】
液体タンク7内において貯蔵された、配量されるべき液体9は、例えば、1、2-プロピレングリコール、グリセリン、水、少なくとも1つの芳香剤(フレーバー)、及び/または、少なくとも1つの作用物質、特にニコチンから成る混合物である。
【0039】
消費ユニットもしくはカートリッジとしての機能要素5は、有利には、消費ユニットもしくはカートリッジに関する情報もしくはパラメータのメモリーのための、不揮発性のデータメモリーを備えている。
このデータメモリー内において、有利には、液体タンク7内において貯蔵される液体9の組成のための情報、プロセス特性、特に出力制御/温度制御のための情報;状態監視もしくはシステム検査、例えば密閉性検査のためのデータ;複製防止および偽造信頼性に関するデータ、消費ユニットもしくはカートリッジの一義的な識別マーク、シリアルナンバー、製造データ、及び/または、有効期限データ、及び/または、吸込み回数(消費者による吸入呼吸の数)もしくは利用時間のためのIDがメモリーされている。
このデータメモリーは、有利には、接点及び/または導線を介して、基礎要素6内における制御装置12と結合されている、または、結合可能である。カートリッジが、同様に自身のデータメモリー無しに一義的に識別できることも可能である。その際、カートリッジが、電子式に、または、光学的に、例えばQRコードを介して、マーク付けされている場合に十分である。更に別の情報は、その場合に、IDを介して算出され得、または、クラウドストレージから取得され得る。
【0040】
蒸発器-タンク-ユニットの、全ての重要な機能が、吸入器1のために満たされるために、機能要素5は、有利には、標準的に、空気供給部、空気案内部、通気装置及び/または排気装置の、可能な再凝縮処理部を有する蒸気導出部、前処理領域及び/または後処理領域、一義的な電子式の識別部及び/または電気的な接点を備えている。
【0041】
特に、
図1内において示された吸入器1は、対応する案内要素15を備える機能要素5の収容のための、溝部部と突出部とによって実現された案内部14を有する、案内要素13を備えている。機能要素5は、案内要素13内への導入のために設けられており、その際、案内装置14が、機能要素5の前側面10による、ただ案内方向における導入だけを許容し、従って、この機能要素5の後側面16による導入が防止される。
電気的な接点17と磁気切替装置(Magnetschalteinrichtung)18とは、機能要素5の前側面10において配設されている。
【0042】
図2から5まで内において、導入工程の間じゅうの、
図1内において図示された吸入器1の、それぞれに1つの概略的な長手方向断面図が示されている。
吸入器1内において基礎面19が設けられており、この基礎面は一対の磁気要素20を備えている。この基礎面が、その際、別個の1つのベース要素33によって実現されていることは可能であり、この基礎要素が、磁気切替装置18、電気的な接触部17、および、更に別の構成要素を備えていることは可能である。
示された実施形態において、磁気要素20は、反対極的な永久磁石として構成されている。機能要素5は、この機能要素の前側面10において、同様に、一対の磁気要素20を備えており、これら磁気要素が、反対極的な永久磁石として構成されている。上記の機能態様は、しかしながら同様に、その別の実施形態がただ1つの磁気要素だけを機能要素において配置する、別の実施形態にも相応する。
案内要素13内への機能要素5の導入により、それぞれの磁気要素20が、空間的に互いに接し合うように接近し、従って、機能要素5および基礎面19の磁気要素20は、作用結合の状態になり(
図3)、且つ、磁気的な引力が、機能要素5が、能動的に、機能要素5の前側面10が基礎面19に当接する固定位置へと引っ張られることを誘起する(
図4)。
有利には、機能要素5の前側面10、および、吸入器の基礎要素6の基礎面19は、同様に電気的なエネルギーによる蒸発器8の給電、および、制御信号および状態パラメータのやり取りのための、電気的な接点17も備えている。
最後のステップとして、吸い口片4が、案内要素13の上に載置され、この吸い口片は、選択的に、同様に、例えば蒸気へのニコチンの混合のための適当なたばこのような、添加物質のための容器21を備えていることも可能である。吸い口片4は、案内要素13の案内開口部22を閉鎖する(
図5)。
この機能を果たす能力のある状態において、中心の流動通路3は、吸入器1の基礎要素6内における空気供給部、および、吸い口片4との作用結合の状態にある。
【0043】
図6は、案内要素13内へと挿入された機能要素5を有する、吸入器1の長手軸線もしくは案内軸線に対して垂直方向の横断面図を示している。
全吸入器1は、基本的に円筒形の形状、および、基本的に円形の断面を有している。案内要素13と対応する機能要素5内における、筋の多い(sehnigen)円の切片(平坦部)によって、第1の案内装置23が形成され、この第1の案内装置は、この案内要素13内における、機能要素5の回転不能な案内を可能にする。第1の案内装置23の直接的に向かい側に配設されていない、更に別の案内装置24によって、この機能要素5がただ前側面10の端面だけによって、案内要素13内へと導入され得ることは保証される。この実施例において、更に別の案内装置24は、案内軸線26に沿っての、案内要素13の外周面25内における1つの溝部と、機能要素5内における対応する外套側の1つの切欠き部(Aussparung)とによって形成されている。
【0044】
選択的に、誤回転防止の案内の機能は、同様に機能要素5の外套領域内における唯一の溝部/切欠き部によっても実現され得、ただ唯一の導入方向だけを許容するために、この溝部/切欠き部が、前側面10から完全には後側面16に至るまで延在していなく、且つ、外周面内における案内部との作用結合状態にある。
【0045】
磁気切替装置18を、固定状態から、機能要素5が接触されてなく且つ案内要素13からのこの機能要素5の取り出しが可能とされる解離状態に移動するために、案内部23、24によって、誤回転防止状態で案内要素13内において配設されている機能要素5は、この案内要素13と共に基礎面19に対して旋回可能に配設されている。
それぞれの、反対極的な一対の永久磁石20は、ただ1つの液体タンク7を有する機能要素5のこの実施形態において、180°の角度間隔において配設されている。従って、基礎面19に関する案内要素13の旋回部に当接部28を備えることは有利であり、この当接部が、案内要素13の旋回をまさしく180°に制限する。しかしながら、同様に他の角度間隔、例えば45°から90°に至るまでの範囲内における角度間隔も考慮可能である。このことによって、固定位置もしくは解離位置を越えての過回転は防止される。
図7内において、基礎面19は、この目的のために突出部28を有しており、この突出部が、固定位置もしくは解離位置において当接面29に当接し、この当接面が、案内要素13に配設された、半径方向に周囲に延在する突出部29によって形成されている。
【0046】
吸入もしくは消費の際に、消費者は、吸入器1の吸い口端部4を吸引し、その際、吸気負圧が発生し、この吸気負圧が、流動通路3を通る空気流を引き起こす。この空気は、吸い口端部4と反対の前側面10において流動通路3内へと流入し、この流動通路3を貫通流動し、且つ、この吸い口端部4の方に向けられた後側面16においてこの流動通路3から流出する。
消費者に、エアロゾル、もしくは、エアロゾル-蒸気-混合物を与えるために、流動通路3内において、空気流に、蒸発させられた液体9が付加される。
【0047】
流動通路3は、カミン30と称される、蒸発器8に所属して設けられている部分と、この蒸発器8の下流側に配設されている煙道部31とを備えている。煙道部31は、使用者及び/または製造者によって、それぞれに応じた必要な長さに相応して切り詰められ、もしくは、切り詰め可能である。
【0048】
機能要素5は、電気的なエネルギーによる外部の給電に関する電気的な接触のため、及び/または、蒸発器8に関する制御信号の受信のための、電気的な接点17を備えている。この実施例において、接点17は、機能要素5の前側面10において配設されている。これら接点17は、例えば、蒸発器8の加熱のために、この蒸発器8と吸入器1の基礎要素6との間の電気的な接続を形成可能であり、この基礎要素が、エネルギー貯蔵部11を備えている。
データ、例えば、識別番号、充填状態、作動時間、等を取り交わし可能とするために、これら接点17は、例えば、機能要素5の電気的なユニットと吸入器1内において設けられた電子式の制御装置12との間の、電気的な接続を形成可能である。
【0049】
有利には、機能要素5、及び/または、蒸発器-タンク-ユニット、もしくは、カートリッジ、及び/または、吸入器の基礎要素6との間の、規格化された電気的な接触部17は、例えば電子式のユニット内において設けられたIDチップを介しての、例えば蒸発器8及び/またはカートリッジの識別の制御に利用される。
電子式のユニットは、シリアルなインターフェースを介して、例えば、1ワイヤーバス(One-wire-Bus)を介して、吸入器1の基礎要素6に接続され得、及び/または、機能要素5と、共通の接点17を使用可能である。有利には、接点17は、誤回転防止の標準配設内において、例えば、ばねピンのための同心的な接触パッドの様式において規定されている。しかしながら、同様に、例えばRFID及び/または近距離無線通信(NFC)を介しての非接触の識別方法も考慮可能である。
【0050】
流動通路3内において、示されていない前処理装置及び/または後処理装置を有する、少なくとも1つの前処理領域及び/または後処理領域が設けられていることは可能である。この前処理領域及び/または後処理領域内において、例えば、妨害的な要素、または、大きなしずくまたは液体の直接的な流出を防止するスポンジが標準的に設けられていることは可能である。
空気案内要素及び/または抵抗要素が、全流動通路3の選び出された且つ適当な領域内において設けられていることは可能である。更に、前処理装置及び/または後処理装置として、加熱要素及び/または冷却要素が、エアロゾルの後処理のために使用されることは可能である。
【0051】
機能要素5が、1つの液体タンク7内において複数のチャンバー32を有する、蒸発器-タンク-ユニットとして構成されていることは可能である。その際、それぞれのセグメントに、1つの蒸発器8が所属して設けられている。異なる液体9は、蒸発パラメータに対する異なる要件を有しており、従って、それぞれの液体のために、個々に1つの最適な蒸発が保証され得る。
蒸発器8に、液体開口部および液体供給要素を介して、異なる液体9が、チャンバー32から蒸発器へと供給される。それぞれの蒸発させられた液体9は、引き続いて、流動通路3内において混合される。
液体タンク7が、分離壁によってセグメント化されていること、および、異なる液体9を貯蔵することの目的のために設備されていることは可能である。複数のチャンバー32の使用の際に、適宜のタンク幾何学的形状が使用され得、このタンク幾何学的形状において、液体9の分離のための分離壁が設けられている。セグメント数に相応して、個々のセグメントに、それぞれに1つの蒸発器8が所属して設けられている。
【0052】
有利には、複数の液体供給要素が、流動通路3、もしくは、蒸発器8の周囲方向に配設されていることは可能であり、および、1つまたは複数の液体開口部と連通していることは可能である。液体タンク7からの均等な液体供給を許容するために、これら液体供給要素が、周囲方向に、同じ間隔、もしくは、同じ角度間隔において配設されていることは可能である。これら液体供給要素が、1つの実施形態において、流動通路3に沿って配設されていることは可能である。
液体タンク7が、1つの部分から成ることは可能であり、および、分離壁によって分離されたチャンバー32を備えていることは可能である。液体タンク7が、複数の部分から成ることは可能であり、および、分離されたチャンバー32が、互いに依存せずに、別個のタンク7として、蒸発器-タンク-ユニット内へと装入可能であることは可能である(
図8から13)。有利には、複数の蒸発器-タンク-ユニットが設けられている。
【0053】
図8、9、12および13は、3つの開口部にセグメント化された、回転可能な案内要素13を示しており、これら開口部内に、別個の3つの機能要素5、有利には蒸発器-タンク-ユニットが装入されていることは可能である。この横断面図は、流動通路3が、有利には半径方向に案内要素13の内側で配設されていること、もしくは、蒸発器-タンク-ユニットが、この流動通路3の周囲に配設されていることを明瞭に示している。
それぞれの蒸発器8は、その際、流動通路壁との接触状態にあり、蒸発器において発生する蒸気/エアロゾル混合物が流動通路3内へと流入可能であるために、この流動通路壁が、適当なパーフォレーションを備えるべきである。
【0054】
それぞれの構成に応じて、適宜の数または複数の機能要素5が、案内要素13内において設けられていることは可能であり、これら機能要素が、これら機能要素のそれぞれの液体供給要素を介して、1つまたは複数のチャンバー32から、1つまたは複数の液体9を蒸発可能である。担持材料を含めての、蒸発器8を有する規格化された蒸発器グループは、有利には、機能要素5内へと組み込まれ得、この機能要素が、1つの液体9または複数の液体9との使用のために設備されている。
選択的に、
図8から13まで内において設けられている、3つの機能要素5が、独自の蒸気出口34を有する蒸発器-タンク-ユニットとして設けられていることは可能である。機能要素5の下流側の1つの部分において、蒸気が混合され、且つ、吸い口端部4に供給され得る。流動通路3は、この場合、蒸気輸送のために使用されるのではなく、むしろ、例えば、圧力センサーのために使用される。
【0055】
案内要素13は、ここで、角形の、例えば六角形の断面を有している。蒸発器-タンクユニットとして構成された機能要素5の蒸発器8は、中心の流動通路3との接触状態において配設されている。この実施形態において、それぞれの個々の液体タンク7、もしくは、蒸発器-タンクユニットに、永久磁石20が所属して設けられており、この磁気要素が、基礎面における反対極的な一対の磁気要素20との作用結合の状態になることは可能である。
図8および12内において、機能要素5は、その際、機能要素5および基礎面19の反対極的な磁気要素20が重畳する固定位置において位置する。
図9および13内において、機能要素5は、機能要素5および基礎面19の同極的な磁気要素20が重畳する解離位置に旋回されている。
図10、12および13内において、機能要素5は、交換可能な構造部材として構成されており、液体9が消費されまたは他のフレーバーが使用されるべき場合、これら構造部材が別個に交換可能である。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. 吸入器(1)の少なくとも1つの機能要素(5)の配設であって、
前記機能要素(5)が、案内軸線(26)に沿って移動可能に、および、この案内軸線(26)を中心として誤回転防止状態で、案内要素(13)内において案内されている様式の上記配設において、
互いに作用する少なくとも一対の磁気要素(20)を備える、磁気切替装置(18)が設けられており、
前記磁気切替装置(18)の一方の磁気要素(20)が、前記機能要素(5)に配設されており、
従って、この機能要素(5)が、前記磁気切替装置(18)の固定状態において、前記案内要素(13)内における案内部(23、24)に沿って、固定位置に移動されおよび保持され、且つ、解離状態において、この固定位置から移動可能である、
ことを特徴とする配設。
2. 前記機能要素(5)は、向かい合って配設されている端側面(10、16)を備えており、案内方向における前側面(10)としての第1の端側面が、前記固定位置において、前記吸入器(1)の基礎面(19)に当接していることを特徴とする上記1に記載の配設。
3. 前記機能要素(5)は、前記固定位置において、電気的なエネルギーの給電のため、及び/または、前記機能要素(5)のための制御信号の受信のために、電気的に、前記吸入器(1)と接触されていることを特徴とする上記2に記載の配設。
4. 前記機能要素(5)は、電気的な接点(17)を、前記前側面(10)において備えており、これら電気的な接点(17)が、前記固定位置において、前記基礎面(19)における対応する電気的な接点(17)に接触されていることを特徴とする上記3に記載の配設。
5. 前記磁気切替装置(18)の一方の磁気要素(20)は、前記機能要素(5)の前記前側面(10)内において配設されており、且つ、
前記磁気切替装置(18)の対応する磁気要素(20)が、前記基礎面(19)内において配設されていることを特徴とする上記2に記載の配設。
6. 少なくとも1つの磁気要素(20)は、電磁石であり、且つ、前記磁気切替装置(18)が、電磁的に切替可能であることを特徴とする上記5に記載の配設。
7. 前記磁気要素(20)は、永久磁石であることを特徴とする上記5に記載の配設。
8. 前記機能要素(5)は、前記案内要素(13)と共に、前記基礎面(19)に対して、前記案内軸線(26)に対して平行に1つの回転軸線を中心として、旋回可能に保持されていることを特徴とする上記7に記載の配設。
9. 反対の極性を有する少なくとも一対の磁気要素(20)は、前記基礎面(19)に、および、少なくとも1つの磁気要素(20)が、前記前側面(10)に設けられており、
従って、前記機能要素(5)が、前記案内要素(13)と共に、前記基礎面(19)に対して、1つの固定位置に旋回可能であり、この固定位置において、前記機能要素(5)の少なくとも1つの前記磁気要素(20)が、前記基礎面(19)のそれぞれに反対極的な前記磁気要素(20)との作用結合の状態にあり、且つ、
この固定位置から、1つの解離位置に旋回可能であり、この解離位置において、前記機能要素(5)の少なくとも1つの前記磁気要素(20)が、前記基礎面(19)のそれぞれに同極的な前記磁気要素(20)との作用結合の状態にある、
ことを特徴とする上記8に記載の配設。
10. 前記旋回角度は、当接面(29)によって制限されており、
前記当接角度が、有利には、45°から180°に至るまでの範囲内に、更に有利には、45°から90°に至るまでの範囲内にあることを特徴とする上記9に記載の配設。
11. 前記機能要素(5)は、前記案内要素(13)によって、外套側で完全に取り囲まれることを特徴とする上記1から10のいずれか一つに記載の配設。
12 上記1から11のいずれか一つによる吸入器(1)内における配設のための機能要素(5)において、
この機能要素(5)が、加熱装置(8)と少なくとも1つの液体タンク(7)とを有する、蒸発器-タンク-ユニットを備えていることを特徴とする機能要素(5)。
13. 貫通流動可能な中心の流動通路(3)は、前記加熱装置(8)によって蒸発させられた、前記液体タンク(7)からの液体(9)の貫通流動のために、前記前側面(10)から、向かい合って位置する端側面(16)に至るまで延在していることを特徴とする上記12に記載の機能要素(5)。
14. 複数の蒸発器-タンク-ユニットは、前記中心の流動通路(3)の周りに配設されていることを特徴とする上記13に記載の機能要素(5)。
15. 少なくとも1つの前記蒸発器-タンク-ユニットは、別個に、取り出し可能、および、交換可能であることを特徴とする上記14に記載の機能要素(5)。
16. それぞれの前記蒸発器-タンク-ユニットに、反対極的な一対の磁気要素(20)と、電気的な接点(17)とが、それぞれの前記蒸発器-タンク-ユニットの、別個の固定および電気的な制御のために、所属して設けられていることを特徴とする上記14または15に記載の機能要素(5)。
17. 前記蒸発器-タンク-ユニットは、六角形に、前記中心の流動通路(3)の周りに配設されていることを特徴とする上記14から16のいずれか一つに記載の機能要素(5)。
18. 前記流動通路(3)は、前記流動通路(3)を通って流動する空気及び/または蒸発させられた液体(9)の、前処理及び/または後処理のための、少なくとも1つの前処理領域及び/または後処理領域を備えていることを特徴とする上記13から17のいずれか一つに記載の機能要素(5)。
19. 吸入器(1)であって、この吸入器が、
上記12から18のいずれか一つによる、機能要素(5)と、
案内要素(13)と、
前記機能要素(5)の接触のための基礎面(19)を有する、基礎要素(6)と、
上記1から11のいずれか一つにより配設されている、磁気切替装置(18)と、
前記機能要素(5)および前記磁気切替装置(18)の給電のための、前記基礎要素(6)内におけるエネルギー貯蔵部(11)とを備えていることを特徴とする吸入器(1)。
20. 吸い口端部(4)は、前記案内要素(13)の案内開口部(22)を閉鎖し、且つ、使用者に対する、空気及び/または蒸発させられた液体(9)の供給のために、前記機能要素(5)の前記流動通路(3)との作用結合の状態にあることを特徴とする上記19に記載の吸入器(1)。
21. 前記吸い口端部(4)の方向の前記機能要素(5)の上に、アタッチメント容器(21)が配設されており、このアタッチメント容器は、蒸発させられた液体(9)を有する前記空気流によって貫通流動され、且つ、この空気流に、添加物質を添加することを特徴とする上記20に記載の吸入器(1)。
22. 前記空気流に、ニコチンが添加されることを特徴とする上記21に記載の吸入器(1)。
23. 別個のベース要素(33)が設けられており、
このベース要素が、基礎要素(6)と機能要素(5)との間に配設されており、且つ、前記磁気切替装置(18)を有する前記基礎面(19)と、前記機能要素(5)の接触のための前記電気的な接点(17)とを提供することを特徴とする上記19に記載の吸入器(1)。
【符号の説明】
【0056】
1 吸入器、電子たばこ製品
2 吸入器ケーシング
3 流動通路
4 吸い口端部、吸い口片
5 機能要素
6 基礎要素
7 液体タンク
8 蒸発器、加熱装置
9 液体
10 前側面、端側面
11 エネルギー貯蔵部
12 制御装置
13 案内要素
14 案内装置、案内部
15 案内要素
16 後側面、端側面
18 磁気切替装置
19 基礎面
20 磁気要素
21 アタッチメント容器、容器
22 案内開口部
23 案内部、第1の案内装置
24 案内部、更に別の案内装置
25 外周面
26 案内軸線
28 突出部、当接部
29 当接面
30 スタック
31 煙道部
32 チャンバー
33 ベース要素
34 蒸気出口