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特許7389608車両管理サーバ、およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】車両管理サーバ、およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/02 20120101AFI20231122BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231122BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20231122BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G06Q10/02
G06Q50/10
H02J7/00 P
H02J13/00 301A
H02J13/00 311U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019190749
(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公開番号】P2021067992
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】591069086
【氏名又は名称】パーク二四株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113804
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100101384
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 成夫
(72)【発明者】
【氏名】木都老 宏亮
(72)【発明者】
【氏名】高田 健二
(72)【発明者】
【氏名】飯野 克彦
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-190843(JP,A)
【文献】国際公開第2014/027700(WO,A1)
【文献】特開2015-135619(JP,A)
【文献】特開2019-169113(JP,A)
【文献】特開2019-139562(JP,A)
【文献】特開2016-143246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
H02J 7/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車であるサービス対象車両を用いた車両共有サービスに関するデータを管理する車両管理サーバであって、
会員ユーザに係る通信端末からの車両の利用予約についての予約データを受信する予約データ受信手段と、
サービス対象車両の利用状況に関する車両管理データを蓄積するとともに、予約データが存在する場合にはその利用予定時間から仮算出した仮充電時間を利用終了予定時刻に加算することで予約可能時刻として登録している車両管理データベースと、
前記のサービス対象車両における動力用バッテリの残量を示す残量データを受信する充電残量データ受信手段と、
サービス対象車両の車種毎に予め備えられたバッテリ残量とそれに対応する必要充電時間とを対応させた演算用テーブルと、
その演算用テーブルおよび前記の充電残量データ受信手段が受信した残量データを用いて必要な充電時間を演算する充電時間演算手段と、
その充電時間演算手段が演算した充電時間および前記の車両管理データベースにおける当該サービス対象車両に係る前記の予約可能時刻を用いて予約可能新時刻を作成する予約可能時刻変更手段と、
前記の予約可能時刻変更手段が作成した予約可能新時刻と、当該サービス対象車両を次に使う予定としての次予約データが前記の車両管理データベースに既に蓄積されている場合における当該次予約データにおける使用開始予定時刻とを用いて、当該次予約データに係る予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する変更判断手段と、
会員ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを蓄積している会員データベースと、
を備え、
前記の変更判断手段は、前記の会員データベースに蓄積されている前記の次予約データに係るユーザに関する利用履歴データをも用いて、前記の予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更可能か否かを判断することとし、
前記の車両管理データベースは、前記の変更判断手段が前記の予約可能時刻を変更可能であると判断した場合に前記の予約可能新時刻へ変更することとした
車両管理サーバ。
【請求項2】
前記の変更判断手段が、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の車両管理データベースを用いて前記の次予約データを遂行可能な別のサービス対象車両を検索する代車検索手段を備えた
請求項1に記載の車両管理サーバ。
【請求項3】
前記の変更判断手段が、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の次予約データに係る会員ユーザの端末へ当該サービス対象車両のバッテリ充電が充分ではない旨の注意連絡データを送信する注意連絡データ送信手段を備えた
請求項1または請求項2のいずれかに記載の車両管理サーバ。
【請求項4】
前記の会員データベースに蓄積された会員ユーザに係る属性データおよび前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の位置データを用いて、会員ユーザに対してサービス対象車両の利用時間内にサービス対象車両を充電することを条件とした電子クーポンを作成する電子クーポン作成手段と、
その電子クーポン作成手段が作成した電子クーポンを会員ユーザに係る携帯情報端末および/またはサービス対象車両に搭載された出力手段に対して送信する電子クーポン送信手段と、
を備えた請求項1に記載の車両管理サーバ。
【請求項5】
電気自動車であるサービス対象車両を用いた車両共有サービスに関するデータを管理する車両管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムであって、
前記の車両管理サーバには、会員ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを蓄積している会員データベースを備えており、
前記のコンピュータプログラムは、
サービス対象車両の利用状況に関する車両管理データを蓄積するとともに、予約データが存在する場合にはその利用予定時間から仮算出した仮充電時間を利用終了予定時刻に加算することで予約可能時刻として車両管理データベースに登録している予約可能時刻の登録手順と、
会員ユーザに係る通信端末からの車両の利用予約についての予約データを受信する予約データ受信手順と、
前記のサービス対象車両における動力用バッテリの残量を示す残量データを受信する充電残量データ受信手順と、
サービス対象車両の車種毎に予め備えられたバッテリ残量とそれに対応する必要充電時間とを対応させた演算用テーブル、および前記の充電残量データ受信手順が受信した残量データを用いて必要な充電時間を演算する充電時間演算手順と、
その充電時間演算手順にて演算した充電時間および前記の車両管理データベースにおける当該サービス対象車両に係る前記の予約可能時刻を用いて予約可能新時刻を作成する予約可能時刻変更手順と、
前記の予約可能時刻変更手順にてサック制した予約可能新時刻と、当該サービス対象車両を次に使う予定としての次予約データが前記の車両管理データベースに既に蓄積されている場合における当該次予約データにおける使用開始予定時刻とを用いて、当該次予約データに係る予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する変更判断手順と、
会員ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを会員データベースへ蓄積する利用履歴データ蓄積手順と、
を車両管理サーバに実行させることとし、
前記の変更判断手順は、前記の会員データベースに蓄積されている前記の次予約データに係るユーザに関する利用履歴データをも用いて、前記の予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更可能か否かを判断することとし、
前記の変更判断手順にて前記の予約可能時刻を変更可能であると判断した場合に、前記の車両管理データベースにおいて、前記の予約可能時刻を前記の予約可能新時刻へ変更することとした
コンピュータプログラム。
【請求項6】
前記の変更判断手順にて予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、
当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の車両管理データベースを用いて前記の次予約データを遂行可能な別のサービス対象車両を検索する代車検索手順を、前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記の変更判断手順にて予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、
当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の次予約データに係る会員ユーザの端末へ当該サービス対象車両のバッテリ充電が充分ではない旨の注意連絡データを送信する注意連絡データ送信手順を、前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項5または請求項6のいずれかに記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記の会員データベースに蓄積された会員ユーザに係る属性データおよび前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の位置データを用いて、会員ユーザに対してサービス対象車両の利用時間内にサービス対象車両を充電することを条件とした電子クーポンを作成する電子クーポン作成手順と、
その電子クーポン作成手順にて作成した電子クーポンを会員ユーザに係る携帯情報端末および/またはサービス対象車両に搭載された出力手段に対して送信する電子クーポン送信手順と、を
前記の車両管理サーバに実行させることとした
請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車を共有車両とするカーシェアリングやカーレンタルにおいて、車両の充電状態の管理を合理化するための情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の車両を複数のユーザが共同で使用するカーシェアリングシステムが、普及しつつある。
カーシェアリングを利用する利用者は、カーシェアリングの会員登録を済ませ、カーシェアリング用の自動車(シェアカー)を確保している駐車場に出向いて直接利用する。または、携帯電話やパーソナルコンピュータを用いて利用予定の時間帯などを事前に連絡する予約制度を活用する。
【0003】
一方、車両を貸し出すという類似のサービス業としては、古くからレンタカー事業(カーレンタル事業、レンタカー業)がある。事前の登録は不要である場合が多く、指定の店舗または指定の場所に配車を行う形態での車両の予約、貸出する、という点が主に異なっている。しかし、レンタカー事業もまたカーシェアリングサービスと同じように、車両管理を効率化し、収益性の向上を図っている点で共通する。
【0004】
特許文献1には、電気自動車を充電するための充電ステーションを管理するシステムが開示されている。この技術は、ネットワークサービスへの未加入者にとっては、空き情報の取得に加え、予約も行えるとともに、使用可能な充電スタンドの検索を容易化する。
【0005】
特許文献2には、電気自動車の普及を見越した技術が開示されている。すなわち、電気自動車のステーションを多数準備しておき、予約センターへ電気自動車の使用を予約できるコミュータ予約システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-19658号公報
【文献】特開平11-338935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
共有車両として採用した電気自動車を「電気シェアカー」と定義し、説明を続ける。
返却された電気シェアカーが、その後、充電すべき時間を計算する従来の計算ロジック例を、図1とともに説明する。
すなわち、返却に係る電気シェアカーが、その返却をする前提として使用するために予約をしていたはずである。その予約していた時間(図中では「予約時間」と略記)の半分に、最低限充電すべき時間(図中では「固定充電時間」と略記)を加えた時間を算出し、その合計時間が過充電とならない時間(図中では「最大充電時間」と略記する)を越えないような時間を「充電時間」として確保していた。
【0008】
上記の計算ロジック例を用い、返却された電気シェアカーの予約時間の終了時刻に、前述した充電時間を加えた時刻よりも前に次の予約が入らないように、従来のカーシェアリングシステムが設計されていた。
なお、前記の「固定充電時間」はゼロでも運用が可能であることが経験的に把握された。そのため、実質的には、前記の「予約時間」の半分が「充電時間」となっていた。
【0009】
たとえば、15時から16時までという1時間利用の予約が入っている場合、「予約時間」の半分である30分が返却される予定時刻である16時から加算され、16時30分以前に次の予約が入れられないようになる(図1(a))。
【0010】
また、たとえば、15時から16時までという1時間利用の予約であったにもかかわらず、無断で1時間の使用延長があった場合、事後的ではあるが「予約時間」が2時間に変更されたこととして、その2時間の半分である1時間が返却時刻である17時に加算される。そのため、予約可能時刻は、18時に変更される(図1(b))。
【0011】
さて、前述してきた計算ロジック例では、利用者による電気シェアカーの走行距離や運転していた時間、エアコンなどの使用量といったバッテリの消費量は考慮されない。一方、利用者が電気シェアカーを借りたものの駐車していた時間が比較的(相対的に)長かったといった、バッテリを消費しなかった時間も考慮されない。利用者が利用時間内に駐車をした上、駐車場で電気シェアカーに充電をしてバッテリ残量が増加したような場合についても考慮されない。
そのため、予約が遂行されて返却された場合に、次の予約が可能となる「予約可能時刻」の更新が合理的ではない。
【0012】
合理的ではない具体例としては、たとえば、バッテリの残量が多いのに「予約時間」が長いだけで、次の予約可能時刻が遅くなるということは、カーシェアリング運営者としては機会損失となる。
次の予約時刻までの充電時間が不足していてバッテリ残量の回復が充分ではない場合、次の予約者が電気シェアカーの利用に支障を来す場合も想定される。
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、車両共有サービス運営者としても、電気シェアカーの利用者としても、より合理的に運用される電気シェアカーの運用システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(第一の発明)
第一の発明は、電気自動車であるサービス対象車両を用いた車両共有サービスに関するデータを管理する車両管理サーバに係る(図5参照)。
その車両管理サーバは、会員ユーザに係る通信端末からの車両の利用予約についての予約データを受信する予約データ受信手段と、
サービス対象車両の利用状況に関する車両管理データを蓄積するとともに、予約データが存在する場合にはその利用予定時間から仮算出した仮充電時間を利用終了予定時刻に加算することで予約可能時刻として登録している車両管理データベースと、
前記のサービス対象車両における動力用バッテリの残量を示す残量データを受信する充電残量データ受信手段と、
サービス対象車両の車種毎に予め備えられたバッテリ残量とそれに対応する必要充電時間とを対応させた演算用テーブル(図2(b)参照)と、
その演算用テーブルおよび前記の充電残量データ受信手段が受信した残量データを用いて必要な充電時間を演算する充電時間演算手段と、
その充電時間演算手段が演算した充電時間および前記の車両管理データベースにおける当該サービス対象車両に係る前記の予約可能時刻を用いて予約可能新時刻を作成する予約可能時刻変更手段と、
を備える。
【0015】
(用語説明)
「車両共有サービス」とは、カーシェアリングを管理運営するサービス、およびレンタカーを運営管理するサービスの両方を指すものとする。ここで、「車両管理サーバ」は、電気自動車のみを「サービス対象車両」として管理しているとは限らない。
サービス対象車両の利用を希望する「ユーザ」は、カーシェアリングのサービス対象車両を利用する場合には、予め会員登録をした会員ユーザであることが一般的である。
「サービス対象車両」とは、カーシェアリングであれば「シェアされる車両(シェアカー)」、カーレンタルサービスであれば「レンタルされる車両(レンタカー)」を指すものとする。
「演算用テーブル」は、電気自動車の種類によって異なるテーブルを準備している。加えて、同じ種類の電気自動車であっても、搭載されたバッテリの使用頻度などによって生じる個体差について、演算用テーブルを定期的に変更することとすると、好ましい。
【0016】
(作用)
車両管理データベースは、サービス対象車両の利用状況に関する車両管理データを蓄積するとともに、予約データが存在する場合にはその利用予定時間から仮算出した仮充電時間を利用終了予定時刻に加算することで予約可能時刻として登録している。 サービス対象車両が電気自動車である場合に、そのサービス対象車両における動力用バッテリの残量を示す残量データを、充電残量データ受信手段が受信する。受信した残量データおよび演算用テーブルを用いて必要な充電時間を、充電時間演算手段が演算する。
その充電時間演算手段が演算した充電時間および車両管理データベースにおける当該サービス対象車両に係る予約可能時刻を用いて、予約可能時刻変更手段が予約可能新時刻を作成する。
【0017】
車両管理データベースにおいて、当該サービス対象車両に係る予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更することで、予約が可能となる時刻が早められる(繰り上げられる)場合には、次に予約を希望するユーザにとって、使用開始予定時刻の自由度が高まる。車両共有サービスの運営者としては、機会損失を減らすことができる。
【0018】
予約が可能となる時刻が遅くなる(繰り下げられる)場合には、サービス対象車両のバッテリ残量を回復させることに寄与する。それによって、会員ユーザがサービス対象車両を使用している最中にバッテリ切れを起こす確率を低めることができる。
【0019】
(第一の発明のバリエーション1)
第一の発明は、以下のように形成することが望ましい。
すなわち、 前記の予約可能時刻変更手段が作成した予約可能新時刻と、当該サービス対象車両を次に使う予定としての次予約データが前記の車両管理データベースに既に蓄積されている場合における前記の次予約データにおける使用開始予定時刻と、を用いて、前記の次予約データに係る予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する変更判断手段を備え、
その変更判断手段が前記の予約可能時刻を変更可能であると判断した場合に、前記の車両管理データベースは、前記の予約可能新時刻へ変更するのである(図6参照)。
【0020】
(作用)
予約可能時刻変更手段が作成した予約可能新時刻と、当該サービス対象車両を次に使う予定としての次予約データが車両管理データベースに既に蓄積されている場合における当該次予約データにおける使用開始予定時刻と、を用いて、変更判断手段が当該予約データに係る予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する。すなわち、変更判断手段は、予約可能新時刻が使用開始時刻よりも早いか否かを判断し、早い場合には、車両管理データベースにおける予約可能時刻を、予約可能新時刻へ変更する。
【0021】
(第一の発明のバリエーション2)
第一の発明における前記のバリエーション1は、以下のように形成してもよい。
すなわち、ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを蓄積している会員データベースを備え、
前記の変更判断手段は、前記の会員データベースに蓄積されている前記の次予約データに係るユーザに関する利用履歴データをも用いて、次に予約できる時刻である予約可能時刻データが変更可能か否かを判断することしてもよい(図6参照)。
【0022】
(用語説明)
「会員データベース」とは、ユーザの氏名や住所や料金支払い方法などの属性データなどの予め登録した情報のほか、サービスの利用履歴データを、ユーザごとに蓄積したデータベースである。
【0023】
(作用)
会員データベースには、会員ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを蓄積している。変更判断手段は、次予約データに係るユーザに関する利用履歴データをも用いて、次に予約できる時刻である予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する。
【0024】
たとえば、利用時間に比して駐車時間の長い使い方を繰り返している会員ユーザであることが、利用履歴データから推測される場合には、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更せずにサービス対象車両のバッテリ回復が充分ではなくても、その利用時にバッテリ切れとなるおそれが小さい、と判断する。
またたとえば、利用時間に対して走行距離が長い使い方の多い会員ユーザであることが、利用履歴データから推測される場合には、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更した方が良い、と判断する。
【0025】
(第一の発明のバリエーション3)
第一の発明におけるバリエーション2 は、以下のようにすることもできる。
すなわち、前記の変更判断手段が、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の車両管理データベースを用いて前記の次予約データを遂行可能な別のサービス対象車両を検索する代車検索手段を備えるのである(図7参照)。
【0026】
「代車検索手段」としてのアルゴリズムは、例えば図8に示すように、次予約データに係る会員ユーザとの連絡およびその連絡における承諾の意思に基づいて実行することが望ましい。
【0027】
(作用)
次予約データに係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、車両管理データベースを用いて次予約データを遂行可能な別のサービス対象車両を、代車検索手段が検索する。
代車が検索できた場合、たとえば、次予約データに係る会員ユーザとの連絡およびその連絡における承諾の意思に基づいて実行する。会員ユーザが承諾した場合、代車を利用してもらうこととなり、充電が不十分なサービス対象車両の使用を回避できる。
【0028】
(第一の発明のバリエーション4)
第一の発明におけるバリエーション1~ 3は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の変更判断手段が、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の次予約データに係る会員ユーザの端末へ当該サービス対象車両のバッテリ充電が充分ではない旨の注意連絡データを送信する注意連絡データ送信手段を備えこととしてもよい(図6図11参照)。
【0029】
(作用)
次予約データに係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、
次予約データに係る会員ユーザへ当該サービス対象車両のバッテリ充電が充分ではない旨の注意連絡データを、注意連絡データ送信手段が送信する。
注意連絡データを端末にて受信した会員ユーザは、サービス対象車両の使い方に気を付けたり、充電できる駐車場に停めようと考えたり、といった工夫をする心構えに寄与する。
【0030】
(第一の発明のバリエーション5)
第一の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の会員データベースに蓄積された会員ユーザに係る属性データおよび前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の位置データを用いて、会員ユーザに対してサービス対象車両の利用時間内にサービス対象車両を充電することを条件とした電子クーポンを作成する電子クーポン作成手段と、
その電子クーポン作成手段が作成した電子クーポンを会員ユーザに係る携帯情報端末および/またはサービス対象車両に搭載された出力手段に対して送信する電子クーポン送信手段と、
を備えることとしてもよい(図12参照)。
【0031】
「電子クーポン」とは、会員ユーザが所定条件を満たした場合に、会員ユーザが特典を得ることができるクーポンを電子化したデータである。たとえば、会員ユーザに係る携帯端末へ、特典を得るための条件情報を二次元バーコードに加工して送信する電子データである。「所定条件」とは、所定以上の充電を利用時間中に実施することである。「特典」の内容としては、車両共有サービスの対価の割引(サービス終了後の料金再計算による値引きを含む)、車両共有サービスの使用時間の無料延長や次回利用時の無料化、所定のサービス事業者(たとえば飲食店)での有料サービスの割引や無料化、などである。
【0032】
(作用)
会員ユーザに対してサービス対象車両の利用時間内にサービス対象車両を充電することを条件とした電子クーポンを、電子クーポン作成手段が作成する。
電子クーポンを受信した会員ユーザは、その電子クーポンを使用することで特典を得ることができ、車両共有サービスの提供事業者としては、サービス対象車両がバッテリ切れを起こしてしまう確率を低めることができる。
【0033】
(第二の発明)
第二の発明は、 電気自動車であるサービス対象車両を用いた車両共有サービスに関するデータを管理する車両管理サーバを制御するためのコンピュータプログラムに係る。
そのコンピュータプログラムは、サービス対象車両の利用状況に関する車両管理データを蓄積するとともに、予約データが存在する場合にはその利用予定時間から仮算出した仮充電時間を利用終了予定時刻に加算することで予約可能時刻として車両管理データベースに登録している予約可能時刻の登録手順と、
会員ユーザに係る通信端末からの車両の利用予約についての予約データを受信する予約データ受信手順と、
前記のサービス対象車両における動力用バッテリの残量を示す残量データを受信する充電残量データ受信手順と、
サービス対象車両の車種毎に予め備えられたバッテリ残量とそれに対応する必要充電時間とを対応させた演算用テーブル、および前記の充電残量データ受信手段が受信した残量データを用いて必要な充電時間を演算する充電時間演算手順と、
その充電時間演算手順にて演算した充電時間および前記の車両管理データベースにおける当該サービス対象車両に係る前記の予約可能時刻を用いて予約可能新時刻を作成する予約可能時刻変更手順と、
を車両管理サーバに実行させるものである。
【0034】
(第二の発明のバリエーション1)
第二の発明は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の予約可能時刻変更手順にて作成した予約可能新時刻と、当該サービス対象車両を次に使う予定としての次予約データが前記の車両管理データベースに既に蓄積されている場合における当該次予約データにおける使用開始予定時刻とを用いて、当該次予約データに係る予約可能時刻データが変更可能か否かを判断する変更判断手順を、車両管理サーバに実行させることとし、
その変更判断手順にて前記の予約可能時刻を変更可能であると判断した場合に、前記の車両管理データベースは、前記の予約可能新時刻へ変更することとしてもよい。
【0035】
(第二の発明のバリエーション2)
第二の発明におけるバリエーション1は、以下のように形成してもよい。
すなわち、 前記の車両管理サーバには、会員ユーザに係る属性データを予め登録するとともにサービス対象車両の利用に関する利用履歴データを蓄積している会員データベースを備えており、
前記の変更判断手順においては、前記の会員データベースに蓄積されている前記の次予約データに係るユーザに関する利用履歴データをも用いて、前記の予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更可能か否かを判断することとしてもよい。
【0036】
(第二の発明のバリエーション3)
第二の発明におけるバリエーション1またはバリエーション2は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の変更判断手順にて予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、
当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の車両管理データベースを用いて前記の次予約データを遂行可能な別のサービス対象車両を検索する代車検索手順を、前記の車両管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0037】
(第二の発明のバリエーション4)
第二の発明におけるバリエーション1からバリエーション3は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の変更判断手順にて予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更すべきと判断した場合において、
当該サービス対象車両に関して次予約データが存在し、その次予約に係る予約開始時刻が前記の予約可能新時刻よりも早い場合には、前記の次予約データに係る会員ユーザの端末へ当該サービス対象車両のバッテリ充電が充分ではない旨の注意連絡データを送信する注意連絡データ送信手順を、前記の車両管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0038】
(第二の発明のバリエーション5)
第二の発明は、以下のようにしてもよい。
すなわち、前記の会員データベースに蓄積された会員ユーザに係る属性データおよび前記の車両管理データベースに蓄積されたサービス対象車両の位置データを用いて、会員ユーザに対してサービス対象車両の利用時間内にサービス対象車両を充電することを条件とした電子クーポンを作成する電子クーポン作成手順と、
その電子クーポン作成手順にて作成した電子クーポンを会員ユーザに係る携帯情報端末および/またはサービス対象車両に搭載された出力手段に対して送信する電子クーポン送信手順と、を
前記の車両管理サーバに実行させることとしてもよい。
【0039】
第二の発明に係るコンピュータプログラムを、記録媒体へ記憶させて提供することもできる。
ここで、「記録媒体」とは、それ自身では空間を占有し得ないプログラムを担持することができる媒体である。例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD-R、CD-RW、MO(光磁気ディスク)、DVD-R、DVD-RW、フラッシュメモリなどである。
また、この発明に係るプログラムを格納したコンピュータから、通信回線を通じて他の端末手段へ伝送することも可能である。
【発明の効果】
【0040】
第一の発明によれば、車両共有サービス運営者としても、電気シェアカーの利用者としても、より合理的に運用可能な電気シェアカーの車両管理サーバを提供することができた。
第二の発明によれば、車両共有サービス運営者としても、電気シェアカーの利用者としても、より合理的に運用可能な電気シェアカーの車両管理サーバ制御用のコンピュータプログラムを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】電気自動車であるサービス対象車両に対する充電時間を計算する従来のロジックを説明するための概略図である。
図2】電気自動車であるサービス対象車両に対する充電時間を計算する本願発明に係るロジックを説明するための概略図である。
図3】本願発明に係る充電時間の計算ロジックを適用した場合に、予約可能時刻を変更する場合について示す概略図である。
図4】予約可能時刻を変更するか否かを判断するフローチャートである。
図5】本発明に係るカーシェアリング管理サーバに主要機能を示す概念図である。
図6】本発明に係るカーシェアリング管理サーバに主要機能および付加機能を示す概念図である。
図7】本発明に係るカーシェアリング管理サーバに主要機能および付加機能を示す概念図である。
図8】代車の検討アルゴリズムの一例を示すフローチャートである。
図9】代車の検討をする対象となるデータを、分かりやすく示した表である。
図10】会員ユーザに係る通信端末へ出力される内容の一例を示した概念図である。
図11】カーシェアリング管理サーバに備えられた注意連絡データ送信手段を示す概念図である。
図12】カーシェアリング管理サーバに備えられた電子クーポン作成手段等を示す概念図である。
図13】会員ユーザが電子クーポンを使用した場合に特典ポイントを演算する旨を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施形態に基づいて説明する。ここで使用する図面は、図2から図13である。
以下、カーシェアリングサービスに用いる自動車(サービス対象車両)を「シェアカー」、レンタカーサービスに用いる自動車(サービス対象車両)を「レンタカー」と表記する。
【0043】
本実施形態において説明するカーシェアリングを利用するには、管理および運営上の都合から、まず会員登録を済まさなければならないこととしている。すなわち、以下の実施形態に示すサービスを受けることができる「車両利用希望者」や「利用者」は、全て会員登録を済ませていることとなる。
【0044】
会員登録は、氏名や住所の他、利用料金の支払い口座などの会員データを予め登録する。その登録データは、会員データベースへ蓄積されるとともに、会員であることを認証するためのIDカード(図5の中で「登録済みカードα」と表している)が発行される。このIDカードには、そのユーザが会員であることを認証するために必要なデータがICチップへ格納されたICカードであり、シェアカーに搭載されたカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことでそのデータが読み取れるようになっている。施錠されているシェアカーの解錠も、前記の登録済みカードにて行う。
【0045】
シェアカーの返却時には、利用者(会員ユーザ)は、以下のように動作する。
すなわち、シェアカーを、カーシェアリングの基地となっている駐車スペースへ停車させ、シェアカーのシフトレバーをパーキングモードにする。エンジンキーを抜き、グローブボックスをあける。グローブボックスの中には、エンジンキーを収納しておくキーボックスが設けられている。そのキーボックスへエンジンキーを挿入し、返却ポジションへ回す。登録済みカードをカードリーダ(車両解錠センサ)にかざすことで、シェアカーを施錠する。
【0046】
サービス対象車両は、電気自動車、ガソリン車、ハイブリッド車、燃料電池車などの車種が用意されている。本願発明では、電気自動車が管理対象となっているが、カーシェアリング管理サーバでは、全ての種類のサービス対象車両を管理している。
【0047】
サービス対象車両には、カーシェアリング管理サーバとの無線通信を実行する車載機、カードリーダとしての車両解錠センサ、およびカーナビゲーションのみならずカーシェアリングに関する各種の案内や会員ユーザからの連絡事項などを入出力する多機能カーナビゲーション装置が、データ処理装置として搭載されている。
【0048】
カーシェアリング管理サーバは、前述したように、会員管理、予約管理を含めた車両管理、優待データに関する管理などを実行する。
また、詳細な図示は省略しているが、シェアカーに搭載されている車載機は、カーシェアリング管理サーバとの無線通信のほか、車両解錠センサおよび多機能カーナビゲーション装置とのシリアル通信を行う。
【0049】
多機能カーナビゲーション装置は、タッチパネルを備えており、車載機を介して送り込まれた各種のデータを用いての会員ユーザへのメッセージ表示や、会員の意思表示をタッチパネルによる入力の受付(サービス用ボタン表示)、その入力内容を車載機への送信、などを行うことができる。
カーナビゲーション機能を担保するため、GPS(Global Position System)を利用して現在位置データを取得している。そしてその現在位置データは、車載機を介してカーシェアリング管理サーバへ送信する。
【0050】
シェアカーを利用使用とする会員に係る通信端末(携帯端末も含む)は、カーシェアリング管理サーバとの無線通信が可能であるように、専用ページへのアクセスのほか、予め専用のアプリケーションをインストールしていることが多い。そのアプリケーションは、シェアカーの予約などにも用いる。
専用アプリケーションが必須であるとする必要はなく、カーシェアリング管理サーバが予め把握しているメールアドレスにて、カーシェアリング管理サーバからの連絡や電子クーポンの受信が可能である、としてもよい。
【0051】
図5に示すカーシェアリング管理サーバの車両管理データベースには、車両の貸し出し状況や予約に関する車両管理データを、それぞれ予め蓄積している。
会員ユーザは、自らに係る通信端末からカーシェアリングについての予約データを送信する。その予約データは、カーシェアリング管理サーバにおける予約データ受信手段が受信する。
予約データには、登録済みカードαのカード番号をあわせて送信する必要がある。前述したように、カーシェアリング管理サーバから提供されているカーシェアリング専用のアプリケーションを用いれば、入力作業は簡易化される。予約データには、会員を特定するためのデータ(カード番号)のほか、所定の日時、シェアカーがプールされている場所、利用時間、などが含まれる。
【0052】
その予約データ受信手段が受信した予約データについて予約が可能であるか否か、予約可能判断手段が車両管理データベースを用いて判断する。カーシェアリング車両管理データベースにて管理されているサービス対象車両(シェアカー)では予約ができないと判断した場合には、予約可否判断手段がレンタカー車両管理データベースを用いて判断する。
【0053】
図2
図2(a)は、電気自動車である所定のサービス対象車両が15時から16時までの使用予定で予約が入っていた場合である。この場合、使用時間の1時間に対して、その半分である30分を充電時間(急速充電ではない充電器による充電として)として確保する。そのため、別の会員ユーザによる当該車両が予約可能となる時刻(予約可能時刻)は、16:30となる。
【0054】
図2(b)は、演算用テーブルとして、返却時バッテリ残量(%)と、それに対応して、バッテリ残量が50%以上となるまでの必要充電時間(急速充電ではない充電器による充電として)とを示している。この演算用テーブルは、車種によって異なる。
【0055】
図2(c)は、15時から16時までを使用して返却された車両のバッテリ残量が30%であった場合、50%以上に回復させるには、2.75時間が必要となる。2.75時間は3時間と繰り上げ、その3時間を充電に必要な「充電時間」とし、返却時刻にその充電時間を足した時刻を新たな予約可能時刻(予約可能新時刻=19:00)として、車両管理データベースへ登録する。
【0056】
図3
図3(a)は、電気自動車である所定のサービス対象車両が12時から16時まで4時間の使用の後に返却され、その返却時のバッテリ残量が60%であった場合である。50%以上の場合でも、演算用テーブルでは必要充電時間は0.25時間が確保されているため、15分を充電時間として算出する。この場合、次の予約が可能として仮に設定(使用時間の半分である2時間を返却予定時刻に加算することで算出)されていた18:00から、予約可能新時刻として16:15に変更する。すなわち、予約が可能となる時刻が繰り上がることとなる。
【0057】
このように、予約可能新時刻が予約可能時刻よりも繰り上がる場合には、機会損失を減らすことに寄与するため、カーシェアリング事業者としては、収益向上に寄与することとなる。会員ユーザとしても、予約して使用できるサービス対象車両が増えることとなり、利便性が向上する。
【0058】
図3(b)は、所定のサービス対象車両が12時から16時まで4時間の使用の後に返却され、その返却時のバッテリ残量が15%であった場合である。この場合、演算用テーブルでは、必要な充電時間は5.5時間となるため、計算上の予約可能新時刻は21:30となる。
しかし、予約可能時刻として18時が設定されていたために、次の予約が18~22時を使用予定時間として既に入ってしまっていたとする。この場合、予約可能新時刻を21:30まで繰り下げることはせず、予約を遂行する。すなわち、予約可能時刻は変更しない。
【0059】
図4
図4では、電気自動車である所定のサービス対象車両(図中では「EVシェアカー」)が返却されてから、次の予約を遂行するまでの手順を示している。
まず、返却されたEVシェアカーから、そのバッテリ残量のデータが送信され、車両管理サーバにてそれを受信する(S1)。
【0060】
図2(b)に示した演算用テーブルを用いて、バッテリ残量のデータから必要な充電時間(および充電終了時刻)を算出する(S2)。そして、充電終了時刻の前に、次の予約があるか否かを検証する(S3)。次の予約の開始時刻が充電終了時刻の前である場合、次の予約に係る使用時間(開始時刻から終了時刻の間の時間)に基づいて、必要なバッテリ容量を予想して算出する(S4)。
【0061】
続いて、次の予約の開始時刻までの充電で予想容量が確保できるか否かを検証する(S5)。確保できる場合には、充電を開始し、次の予約を遂行する(S6)。
【0062】
次の予約の開始時刻までの充電で予想容量が確保できない場合には、充電を開始するものの、代車の検討アルゴリズム(図8)へ進む(S7)。または、次の予約に係る会員ユーザの携帯端末へ、注意連絡データを送信する(図11)。
【0063】
図5
図5では、カーシェアリングの拠点であるカーシェア・ステーションへEVシェアカーが戻った場合に、カーシェアリング管理サーバ(車両管理サーバ)がどのように処理されるのか、会員ユーザに係る予約用端末との関係はどうなるのか、をブロック図で示している。
【0064】
第一の会員ユーザによって、EVシェアカーを所定のカーシェア・ステーションへ返却完了したとする。するとEVシェアカーからカーシェアリング管理サーバへバッテリの残量データが送信される。その残量データには、EVシェアカーの個体識別データも含まれるので、結果として車種データも含まれることとなる。
【0065】
残量データは、カーシェアリング管理サーバにおける充電残量データ受信手段が受信する。そして、充電時間演算手段に送られる。充電時間演算手段は、車種データに対応する演算テーブルを用いて、充電に必要な時間(充電時間データ)を演算する。
【0066】
続いて、車両管理データベースから当該EVシェアカーにおける次予約データを要求し、その次予約データにおける予約開始時刻を予約可能時刻変更手段が取得する。そして、充電時間データに基づいた新たな予約可能開始時刻である予約可能新時刻を車両管理データベースに登録する。
【0067】
別の会員ユーザが登録済みカードαのカード番号を用いて、端末から予約データを送信したとする。その予約データは、カーシェアリング管理サーバにおける予約データ受信手段が受信し、会員データベースにて会員ユーザである旨を確認するとともに、予約可能新時刻が登録された車両管理データベースを参照し、予約が可能か否か、予約可否判断手段が判断する。そして、その予約の可否について、前記の端末へ返信する。
【0068】
図6
図6では、予約可能時刻変更手段が、次予約データとの関係で、実際に予約可能新時刻へ変更するか否かを判断する変更判断手段を備えている場合について説明している。
次予約データの予約開始時刻が、EVシェアカーの返却された時刻に充電時間を加えた「予約可能新時刻」よりも早い場合、たとえば、図3(b)のような場合、次予約データに係る会員ユーザへの手当てなしに「予約可能新時刻」へ変更することは好ましくない。EVシェアカーの充電が不十分な状態で、当該EVシェアカーを使い始めることとなるからである。
【0069】
換言すれば、次予約データに係る会員ユーザへの手当てが必要であるということになる。そこで、変更判断手段が、予約可能新時刻へ変更しない、と判断した場合、次の予約者である会員ユーザの端末へ、注意連絡データ送信手段が連絡注意データを送信する。図11を用いて、後に補足する。
【0070】
変更判断手段は、予約開始時刻までEVシェアカーが充電した場合に、どの程度まで充電によって回復するのか(残量データがどのくらいとなるのか)、を推定した推定残量データを、予約可能時刻変更手段から取得することが望ましい。
【0071】
また、変更判断手段は、会員データベースにて、次予約データに係る会員ユーザが過去にどのような使い方をしたか、という履歴データを参照することが望ましい。
たとえば、当該会員ユーザは、予約時間内の走行距離や走行時間が短く、駐車している時間が長い、という場合には、予約開始時刻から予約を遂行しても、バッテリ切れの危険性が低い、と判断できる。 逆に、当該会員ユーザが予約時間内に走行し続け、その予約時間が長い、という場合であれば、予約開始時刻から予約を遂行したら、バッテリ切れの危険性が高まる、と判断できる。
【0072】
図7
図7では、変更判断手段が、予約可能新時刻への変更をすることが困難であると判断し、且つ、次予約データに係るユーザが当該EVシェアカーを利用した場合にバッテリ切れのおそれがあると判断した場合に、当該EVシェアカーの代車を検索する代車検索手段を備えた場合について説明している。
【0073】
代車検索手段においては、代車検索アルゴリズムを実行する。その「代車検索アルゴリズム」については、その一例を図8のフローチャートを使って後述する。
変更判断手段によって、次予約データに係る会員ユーザが当該EVシェアカーを利用した場合にバッテリ切れのおそれがあると判断した場合、代車検索手段が、当該次予約データの条件に近い代車を検索する。そして、代車が見つかった場合、代車への予約切り替えなどに関する代車連絡データを、代車連絡送信手段が次予約データに係る会員ユーザの携帯端末へ送信する。
【0074】
代車連絡データの送信などによって、次予約データに係る会員ユーザが代車への予約切り替えに同意した場合には、変更判断手段が車両管理データベースに対して、予約可能時刻を予約可能新時刻へ変更をする。
【0075】
代車検索手段が代車を検索できたとしても、次予約データに係る会員ユーザの携帯端末へ代車連絡データが送信できなかったり、送信したものの会員ユーザが代車連絡データに気付かなかったり、代車への予約切り替えに同意しなかったりした場合もある。それらの場合には、変更判断手段は、車両管理データベースに対して、予約可能新時刻への変更をしない。
【0076】
図8
図8では、代車の検討アルゴリズムの一例をフローチャートにて示している。
アルゴリズムをスタートさせた場合、次予約データが要求している条件を満たせるシェアカーまたはレンタカーに代車があるか否かを検索する(S11)。次の予約に係る駐車場に代車がないかどうかを確認する。代車が無い場合には、周辺(近傍)のシェアカー駐車場またはレンタカー駐車場に、次の予約内容を遂行可能な代車がないかを検索する。
【0077】
なお、レンタカーを含めているのは、カーシェアリング事業者がレンタカーサービスをも運営していたり、レンタカーサービス業者と連携していたりするような場合を想定している。検索に関する具体例は、図9を用いて後述する。
【0078】
代車が見つかった場合、次予約データに係る予約場所(カーシェア・ステーション)への配車が可能かどうかを検証する(S12)。ここで「配車」とは、予約場所(カーシェア・ステーション)へサービス業者が代車を予約開始時刻までに運んでおくことである。
【0079】
配車が可能である場合、次予約データに係る予約車種(EVシェアカー)が一致しているか否かを検証する(S13)。
予約車種と一致している代車である場合には、予約ユーザに対しては、予約車両のナンバーが変更された旨を連絡し、処理を終了する。
【0080】
次の予約内容を遂行可能な代車が検索しても見つけられない場合(S11)、次の予約に係る駐車場までの配車ができない場合(S12)、次の予約に係る希望車種が一致していない場合(S13)のいずれも、次の予約に係るユーザ(の携帯情報端末)へ連絡を入れる(S14)。
【0081】
連絡内容に関しては、S11、S12、S13において、それぞれ異なる。
たとえばS11においては、予約に係るEVシェアカーはバッテリ残量不足の可能性や、途中での急速充電のお願いなどを連絡データとして送信する(図11)。
【0082】
たとえばS12において、配車はできないが、予約に係るカーシェア・ステーションの近傍に代車がある場合、当該近傍のカーシェア・ステーションにて予約を遂行するか否か、を予約ユーザに対して連絡をする。その連絡に対しての同意を得られれば、図示は省略するが、その代車についての予約を車両管理データベースへ登録する。
【0083】
たとえばS13において、予約車種が一致しないが代車への変更に同意してもらえるか否か、、を予約ユーザに対して連絡をする。その連絡に対しての同意を得られれば、図示は省略するが、その代車についての予約を車両管理データベースへ登録する。
【0084】
図9
図9は、○○駅の近傍において、カーシェアリングのシェアカーを確保している駐車場XおよびYと、レンタカー用駐車場Zがある場合に、会員ユーザが希カーシェアリングを希望する時間帯においてシェアカーの確保、またはレンタカーの確保が可能であるかを予約可否判断手段が判断することについて、概念的に示したものである。
【0085】
会員ユーザは、8:30から10:00まで、車種Aを駐車場XまたはYにおいて利用を開始可能かどうか、予約データを送信した。しかし、図2に示すように、8:30から10:00までで駐車場XまたはYにおいて利用を開始可能な車種Aは存在しなかった。
しかし、レンタカー用駐車場Zにおいて、車種Aがまだ予約されていないことが分かった(図9における網掛け部分)。そこで、カーシェア管理サーバは、「レンタカーを貸与している駐車場Zであれば、8:30から10:00まで、車種Aを予約できる」旨を、会員ユーザへ連絡する。
【0086】
図10
図10は、会員ユーザに対する上記の連絡を、会員ユーザに係る通信端末の画面へ分かりやすく出力させた例である。
画面には、会員ユーザが予約データに含めた○○駅の近傍の駐車場X,Y、およびその駐車場X,Yにおいて8:30~10:00に予約できる車両がない旨が、地図データとともに表示されている。加えて、レンタカー駐車場Zであれば、8:30~10:00に予約できる車両Aが一台存在する旨も表示されている。
【0087】
更に、画面の下方において、ユーザが希望した車種Aを8:30~10:00において、予約を完了させることができるようなボタンをも用意している。この「はい」のボタンをクリックすれば、「レンタカー駐車場Zにおける車両Aにて8:30~10:00の予約」が、会員ユーザの名前で完了することとなる。
【0088】
図11
図11は、図8のアルゴリズムにて示した会員ユーザへの注意連絡データの送信を実行するためのハードウェアを説明するためのブロック図である。
カーシェアリング管理サーバにおいては、会員データベースにおける会員属性データの中から会員ユーザに係る携帯端末の連絡先(メールアドレス)などを用いて注意連絡データの送信先を決定する。そして、車両管理データベースから、予約に係るEVシェアカーに関するデータを用いて注意連絡データを作成し、送信する。
【0089】
注意連絡データ送信手段は、次予約データに係るEVシェアカーの多機能カーナビゲーション装置にも、注意連絡データを送信しておく。そして、次予約データに係る会員ユーザがEVシェアカーを始動させた際に、その注意連絡データが表示されるようにしておく。
【0090】
次予約データにおいて会員ユーザがどこへ行くのかを事前登録しているような場合や、次予約データに係る会員ユーザが予約を遂行する際にEVシェアカーを始動させてから行き先を多機能カーナビゲーション装置へ入力した場合には、会員ユーザの行き先をカーシェアリング管理サーバにて把握できることとなる。この場合、行き先までのルート上に急速充電が可能なスポットを検索し、ヒットした場合にはその急速充電スポットを案内する。次の図12にて、更に説明する。
【0091】
図12
図12に示すのは、注意連絡データを送信しなければならないような事態において、予約遂行時間中に充電スタンドでの充電を実行してもらうことを条件とした電子クーポンを作成し、会員ユーザへ送信するハードウェアを説明するためのブロック図である。
【0092】
電子クーポン作成手段は、注意連絡データ送信手段と同じように、会員データベースにおける会員属性データの中から会員ユーザに係る携帯端末の連絡先(メールアドレス)などを用いて送信先を決定する。そして、バッテリ残量不足の可能性のある会員ユーザへ、「使用中に充電することを条件として、ポイント加算、料金割引などの特典」を内容とした電子クーポンを作成する。
なお、「電子クーポン」による「特典」の内容としては、車両共有サービスの対価の割引(サービス終了後の料金再計算による値引きを含む)、車両共有サービスの使用時間の無料延長や次回利用時の無料化、なども含む。
【0093】
作成した電子クーポンは、会員ユーザに係る携帯端末およびEVシェアカーの多機能カーナビゲーション装置へ送信する。多機能カーナビゲーション装置に対しては、走行中の経路が把握できている場合には、最寄りの充電スタンドの紹介やその位置データも、併せて送信する。
充電スタンドは、急速充電も可能であると、より好ましい。
【0094】
電子クーポンを受信した会員ユーザは、使用の途中でEVシェアカーを充電し、その電子クーポンを使用することで特典を得ることができる。カーシェアリングサービスの提供事業者としては、サービス対象車両であるEVシェアカーがバッテリ切れを起こしてしまう確率を低めることができる。
【0095】
図13
図13は、前述した電子クーポンの特典を得られる条件として、「充電をした」という事実を検証するためのハードウェアを説明するためのブロック図である。
会員ユーザによるEVシェアカーの使用中に、EVシェアカーを充電装置にて充電したとする。充電を終えてエンジンを始動したら、EVシェアカーの多機能カーナビゲーション装置は、車両位置データおよびバッテリの残量データを送信する。
【0096】
カーシェアリング管理サーバにおいては、送信されてきた車両位置データおよびバッテリの残量データを、充電残量データ受信手段が受信する。そして、そのデータを車両管理データベースへ蓄積する。
また、車両位置データおよび残量データによって、クーポンの特典を得られる条件を満たしたか否かを、クーポン条件検証手段が検証する。
【0097】
クーポン条件検証手段が、クーポンの特典を得られる条件を満たしていると判断した場合には、電子クーポンを有効化するクーポン有効化データを、電子クーポン有効化手段が作成し、クーポン有効化データ送信手段を介して、会員ユーザの携帯端末およびEVシェアカーの多機能カーナビゲーション装置へ送信する。
【0098】
なお、電子クーポンの特典内容が会員に対するポイント還元である場合には、特典ポイント演算手段を介してポイントを演算し、会員データベースへその演算したポイントを加算すべきデータを蓄積させる。
【0099】
なお、図8などを用いて説明した代車検索アルゴリズムによれば、カーシェアリングにおける車両管理とレンタカーにおける車両管理とを融合させることで、車両を合理的に融通し合うことが可能な車両管理システムを実現することにもなる。たとえば、車両の返却遅れや予約に係る車両の各種トラブルによっても代車を確保しやすくなり、ユーザにとってもサービス運営者にとっても各種トラブルへ対応する場合の選択肢を増やすことに貢献する。
【0100】
前述してきた実施形態によれば、車両共有サービス運営者としても、電気シェアカーの利用者としても、より合理的に運用可能な電気シェアカーの管理運用システムを提供することとなった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明は、カーシェアリングまたはレンタカーを管理運営するサービス業、カーシェアリングまたはレンタカーを実現するためのサポートをする情報通信サービス業、カーシェアリングまたはレンタカーの運営のためのコンピュータソフトウェアを作成するソフトウェア産業、カードクレジット業、旅行代理業、営業用車両の管理を委託される代行業などにおいて利用可能性を有する。
また、電気自動車の製造メーカとしては、電気自動車乗り活用のシーンを増やす、という意味で、間接的に利用可能性を有しているとも言える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13