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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 7/18 20060101AFI20231122BHJP
   H01B 7/04 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01B7/18 B
H01B7/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019206658
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021082405
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000226932
【氏名又は名称】日星電気株式会社
(72)【発明者】
【氏名】望月 大輔
(72)【発明者】
【氏名】芥川 健太
【審査官】鈴木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-203117(JP,A)
【文献】特許第6569797(JP,B1)
【文献】特開2015-049998(JP,A)
【文献】特開2019-109970(JP,A)
【文献】特開2015-005498(JP,A)
【文献】特開2013-152789(JP,A)
【文献】特開2010-282774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 7/04
H01B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向の断面において、中心に位置し、最外層に第1滑り素材が施された中心部材と、
前記中心部材を囲うように位置し、最外層に第2滑り素材を施された複数の電線部と、
複数本の前記電線部を撚り合わせた後に、複数本の前記電線部を結束する結束部材と、を備えるケーブルであって、
前記電線部の外径はいずれも同一であって、
前記中心部材を囲うように配置された際、各電線部間の距離が、0μmより大きく20μm以下であって、
前記第1滑り素材、及び前記第2滑り素材が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることを特徴とする、ケーブル。
【請求項2】
前記中心部材の硬度(アスカ-C型)は、30~98であることを特徴とする、
請求項1に記載のケーブル。
【請求項3】
前記中心部材の扁平率(最小外径/最大外径)は、0.90~1.0であることを特徴とする、
請求項1または2に記載のケーブル。
【請求項4】
前記中心部材は、介在の外周面に滑り素材が施された構造であることを特徴とする、
請求項1~3の何れか一項に記載のケーブル。
【請求項5】
前記結束部材が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることを特徴とする、
請求項1~4の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項6】
前記第1滑り素材、及び/又は、前記第2滑り素材、及び/又は、前記結束部材は、テープ巻き構造からなることを特徴とする、
請求項1~5の何れか1項に記載のケーブル。
【請求項7】
前記テープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.1倍~5.0倍であることを特徴とする、
請求項6に記載のケーブル。
【請求項8】
前記電線部の外径について、扁平率(最小外径/最大外径)が0.90~1.0であることを特徴とする、
請求項1~7の何れか1項に記載のケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に産業用ロボットで用いられるケーブルであって、垂直多関節ロボット、水平多関節ロボット、直交ロボット等、関節部分の位置や数に応じて複雑な動きが求められる可動部において、好適に用いられるケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
可動部に用いられるケーブルでは、耐屈曲性及び耐捻回性が求められている。
【0003】
耐屈曲性及び耐捻回性に優れるケーブルの例として、特許文献1には、導体部に、フッ素樹脂によるテープ巻きの滑り素材が施された被覆付き導体部が示されており、滑り素材により、導体部同士どうしの接触・摩擦が軽減されるため、導体部間で疲労断線が発生せず、耐屈曲性及び耐捻回性が向上する構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-49998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、耐屈曲性及び耐捻回性をさらに向上させたケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の要旨は以下のとおりである。
(1)径方向の断面において、中心に位置し、最外層に第1滑り素材が施された中心部材と、中心部材を囲うように位置し、最外層に第2滑り素材を施された複数の電線部と、複数本の電線部を撚り合わせた後に、複数本の電線部を結束する結束部材と、を備えるケーブルであって、第1滑り素材、及び第2滑り素材が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることを特徴とする。
(2)中心部材の硬度(アスカ-C型)は、30~98であることが好ましい。
(3)中心部材の扁平率(最小外径/最大外径)は、0.90~1.0であることが好ましい。
(4)中心部材は、介在の外周面に滑り素材が施された構造であることが好ましい。
(5)結束部材が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることが好ましい。
(6)第1滑り素材、及び/又は、第2滑り素材、及び/又は、結束部材は、テープ巻き構造からなることが好ましい。
(7)テープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.1倍~5.0倍であることが好ましい。
(8)電線部の外径はいずれも同一であって、中心部材を囲うように配置された際、各電線部間の距離が、0μmより大きく20μm以下であることが好ましい。
(9)電線部の外径について、扁平率(最小外径/最大外径)が0.90~1.0であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、中心部材及びその周りに配置された電線部の最外層に、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる滑り素材が施されることで、各部材間の摺動性が向上し、ケーブルの耐屈曲性及び耐捻回性が向上する。
また、中心部材の硬度(アスカ-C型)が30~98の場合、中心部材の周囲にある電線部が中心に落ち込むことによるケーブルの変形が防止されるため、ケーブルの可動時、中心部材を中心としたベアリングに類似する動きとなる。
この動きと、滑り素材による摺動性との相乗効果により、電線間の摩擦等の過度な負荷が緩和され、耐屈曲性及び耐捻回性が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】(a)(b)本発明のケーブルにおける断面図の一例を示す。
図2】本発明における垂れ試験の測定方法を表す概略図を示す。
図3】本発明における耐屈曲、耐捻回試験方法を表す概略図を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明のケーブルの一例として、基本構成について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1のケーブル1は、径方向の断面において、中心に位置し、最外層に第1滑り素材22が施された中心部材2と、中心部材2を囲うように位置し、導体部31の外周に第2滑り素材32を施された複数の電線部3と、複数本の電線部3を撚り合わせた後に、複数本の電線部3を結束する結束部材4、とを備えることを特徴とする。ここで、中心とは略中心であり、中心部材2の中心と、ケーブル1の中心が完全に一致する状態に限定されない。
【0011】
また本願発明では、第1滑り素材22、及び第2滑り素材32が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることを特徴とする。一般的な材料は、静摩擦係数が動摩擦係数より大きいが、一部の摺動性材料には静摩擦係数が動摩擦係数以下のものが存在する。そのような材料を第1滑り素材22、及び第2滑り素材32として使用することで、ケーブル1を屈曲、捻回させた際に発生する、各電線部3の間の摺動、及び電線部3と中心部材2との間の摺動がより滑らかとなり、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性の向上に寄与する。
【0012】
中心部材2の硬度は特に限定されないが、30~98(アスカ-C型)であることが好ましい。
中心部材の硬度(アスカ-C型)が30~98であると、周囲にある電線部3の位置が安定するため、ベアリングに類似する動きとなり、第1滑り素材22、第2滑り素材32による摺動性との相乗効果により、電線間の摩擦等の過度な負荷が緩和され、耐屈曲性及び耐捻回性が格段に向上する。
好ましくは50~98(アスカ-C型)であり、さらに好ましくは50~70である。
【0013】
(硬度の測定方法)
汎用のアスカ-ゴム硬度計C型を用い、総荷重9.8Nとする。
【0014】
外周面に第1滑り素材22が施された中心部材2の柔軟性は、特に限定されないが、柔軟性試験において、10mm以上が好ましい。
10mm以上であると、屈曲や捻回時においても、断面が円形状に維持できるため、ベアリング効果を発現する。
より好ましくは15mm以上である。
【0015】
(柔軟性試験の方法)
測定サンプル(長さ300mm)の先端に重り5gを取り付ける。測定サンプルが、測定台の支点より150mm外側に出るように固定し、測定台より垂らす。測定台と測定サンプルの先端の距離Xを測定する。(図2参照)
【0016】
中心部材2の扁平率は特に限定されないが、0.90~1.0であることが好ましい。ここでの扁平率は、ケーブル1が直線状態での値を示す。
扁平率=最小外径/最大外径
中心部材2と電線部3との接触部分が点接触となるため、上述のベアリングに類似する動きがスムーズとなり摩擦が低減され、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性が向上する。
より好ましくは、0.95~1.0である。
【0017】
ケーブル捻回時における中心部材2の変形について、ベアリング効果を発現させる観点において、小さい方が好ましく、変形率が20%以下であることが好ましい。
中心部材の変形率[%]={(変形前最小外径-変形後最小外径)/変形前最小外径}×100
より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。
【0018】
中心部材2の構成について特に限定されないが、中心21が介在であって、最外層に第1滑り素材22を施す構造が好ましい。
【0019】
介在の材料は特に限定されない。例えば、ポリエステルやナイロン等のプラスチック材、綿材の糸状・紐状、棒状等の素材が挙げられる。
【0020】
介在の他、各種材料からなるチューブ、電線、同軸ケーブル、多芯ケーブル等であっても良く、いずれも最外層に第1滑り素材22が施される。
【0021】
さらに、結束部材4が、静摩擦係数が動摩擦係数以下からなる材料で構成されることが好ましい。電線部3と結束部材4との間の摺動性が向上し、耐屈曲性、耐捻回性に寄与する。
【0022】
第1滑り素材22、及び、第2滑り素材32、及び、結束部材4を構成する具体的な材料として、ふっ素樹脂であるPTFE、PFA、FEP、ETFE等が好ましい。特に好ましくはPTFEである。
【0023】
なお、本発明で「静摩擦係数が動摩擦係数以下の材料」とは、同じ材料同士を接触・摺動させた際に、静摩擦係数が動摩擦係数以下となる性質を示す材料のことを指す。また、本発明における動摩擦係数、静摩擦係数はJIS K 7125に準拠して測定される値である。
【0024】
第1滑り素材22、及び/又は、第2滑り素材32、及び/又は、結束部材4は、テープ巻き構造からなることが好ましい。簡易的に第1滑り素材22、第2滑り素材32、結束部材4を製造可能である。
より好ましくは、第1滑り素材22、及び、第2滑り素材32、及び、結束部材4の全てがテープ巻き構造からなることである。
【0025】
テープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.1倍~5.0倍であることが好ましい。
0.1倍以上である場合、テープ同士の摩擦及びテープを曲げる抵抗を低減できるため、ケーブル1の柔軟性が向上し、耐屈曲性、耐捻回性の向上に寄与する。
5.0倍以下である場合、第1滑り素材22、第2滑り素材32の滑り性や電線部3への押さえ効果を維持できる。
第1滑り素材22、及び/又は、第2滑り素材32、及び/又は、結束部材4の何れかのテープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.1倍~5.0倍であればよいが、好ましくは、全てのテープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.1倍~5.0倍である。
より好ましくは、テープ巻きの巻きピッチが、テープの幅の0.15倍~3.0倍である。
【0026】
電線部3の外径は、いずれも同一であることが好ましい。
ここで同一とは、作製上生じ得る誤差は許容され、寸法の中心値から±10%以内は同一とする。
同一であることで、ベアリング効果が発現し、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性の向上につながる。
【0027】
さらに、各電線部3間の距離が、0μmより大きく20μm以下であることが好ましい。各電線部3間の距離は、中心部材2の外周に均等に電線部3を配置した際の距離を測定する。
各電線部3間の距離が、0μmより大きい場合、各電線部3間の摩擦が低減されるため、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性が向上する。
20μm以下である場合、電線部3同士が好適に影響し合い、ベアリング効果が発現し、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性が向上する。
上限について、より好ましくは10μm以下である。
下限については、ベアリング効果を阻害しない目的で1μm以上が好ましい。
【0028】
電線部3の外径について、扁平率が0.90~1.0であることが好ましい。中心部材2と電線部3、電線部3と結束部材4が点接触となり、上述のベアリングに類似する動きがスムーズとなり摩擦が低減され、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性が向上する。
扁平率=最小外径/最大外径
より好ましくは、0.95~1.0である。
【0029】
電線部3の構成について特に限定されないが、中心31が導体であって、最外層に第2滑り素材32を施す構造が好ましい。第2滑り素材32は絶縁体としての機能を有することが好ましい。
導体の材質は特に限定されないが、例えば、銅やアルミニウム等の金属線や、あるいは、それらに錫、鉄、亜鉛、ニッケル等を添加した合金線等が用いられる。金属線の表面には、銀、錫等のメッキが施されてもよい。
導体の構造は特に限定されないが、複数の素線を撚り合わせた集合撚線を、さらに複数本撚り合わせた複合撚線構造であることが好ましい。単線構造や集合撚線構造と比較して、耐屈曲性が向上する。
【0030】
ケーブル1のベアリング効果の発現の観点において、中心31の導体の外径に対する、第2滑り素材32の厚みの比率(滑り素材の厚み/導体部の外径)は0.005~0.05であることが好ましい。
0.005以上である場合、第2滑り素材32の効果が得られると共に、電線部3の細径化が可能である。
より好ましくは0.005~0.01である。
【0031】
電線部3は、上述の導体の他、図1(b)に示すような多芯ケーブル30や同軸ケーブル300であっても良く、最外層に第2滑り素材33、304が施される構造であれば、特に限定されない。
多芯ケーブル30の構造は特に限定されないが、例えば、導体31、第2滑り素材32、33から構成される。
同軸ケーブル300の構造は特に限定されないが、例えば、導体301、誘電体302、外部導体303、第2滑り素材304から構成される。
【0032】
結束部材4の外周を覆うようにシース5を備えることが好ましい。
シース5の材質は特に限定されないが、好ましくは、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンが好ましい。
さらに、シース5の硬度が30~90(アスカーA型)であることが好ましい。中心部材2と電線部3の位置が安定し、ケーブルのベアリング効果の発現に、より効果的であり、ケーブル1の耐屈曲性、耐捻回性が向上する。
【0033】
同じくケーブル1のベアリング効果の発現の観点について、径方向断面における、ケーブル1の外径に対する、シース5の肉厚の比(シースの肉厚/ケーブルの外径)が、0.01~0.3であることが好ましい。
【0034】
中心部材2とこれを囲む電線部3や多芯ケーブル30、同軸ケーブル300からなる基本構成の他、隣接する2つの電線部3(多芯ケーブル30、同軸ケーブル300)、結束部材4及びシース5の間に形成される空隙部6に、同軸ケーブル、ドレイン線、介在等を施しても良い。(図1(b)参照)
【実施例
【0035】
以下、本発明のケーブル1(図1)に関して実施例を挙げ具体的に説明するが、本発明の範囲について、これらに限定されるものではない。
【0036】
実施例1は、以下の構成のケーブルである。
中心部材2について、中心21は、中から順にアラミド繊維、ポリプロピレン介在、綿介在からなり、その外周に第1滑り素材22としてPTFEテープ巻きを設ける。巻きラップは表1に示す。外径は約φ5.0mmである。
電線部3について、複合撚線構造からなる錫メッキ軟銅線(外径約φ2.3mm)の導体部31の外周に、第2滑り素材32としてPTFEテープを1/6ラップにて施す。
10本の電線部3を中心部材2の周囲に撚り合わせた後、10本の電線部3の外周に、結束部材4として紙テープを1/4ラップにて設ける。外径は約φ9.8mmである。
結束部材4の外周に、シースとして、ポリウレタンを厚さ1.2tにて施す(外径約12.2mm)。
【0037】
実施例2は、実施例1のうち、結束部材4にPTFEテープを用いる。
【0038】
比較例は、実施例2のうち、電線部3の第2滑り素材(PTFEテープ)32を除き、電線部3は導体31のみからなる構造とする。
【0039】
以上の実施例及び比較例のケーブルについて、耐屈曲試験、耐捻回試験を行い、結果を表1に示す。
【0040】
(耐屈曲試験方法)
屈曲試験方法を表す概略図を、図3(a)に示す。
測定条件として、サンプルの長さは600mm、曲げ半径Rは50mm、荷重は無(自重)である。
図のように左右90度の屈曲を1回とし、一定回数屈曲させた後に、導体部の抵抗値を測定する。試験前の抵抗値と比較した上昇率(%)を、表1に記載する。
【0041】
(耐捻回試験方法)
屈曲試験方法を表す概略図を、図3(b)に示す。
測定条件として、サンプルの長さは600mm、固定間距離は200mm、荷重は500gfである。
図のようにサンプル端を左右180度捻じることを1回とし、一定回数捻回させた後に、導体部の抵抗値を測定する。試験前の抵抗値と比較した上昇率(%)を、表1に記載する。
【0042】
【表1】
【0043】
実施例は、耐屈曲試験、耐捻回試験においていずれも、1000万回での抵抗値の上昇率は10%以下であり、比較例と比べて優れている。
【0044】
また、実施例1及び比較例の中心部材について、硬度(アスカ-C型)測定を行った結果、実施例1は50、比較例は27であった。
これにより、屈曲や捻回時に優れる本願発明の実施例1では、硬度(アスカ-C型)が30以上であり、滑り素材を有さない比較例と比べ、一定の剛性を確認できる。これにより、本願発明は中心部材の断面が円形状に維持できるため、ベアリング効果を発現すると言える。
【0045】
さらに、実施例1及び比較例の中心部材について、柔軟性試験を行った結果、測定台と測定サンプルの先端の距離Xは、実施例1は68mm、実施例は9mmであった。
これより、屈曲や捻回時に優れる本願発明の実施例1では、柔軟性が10mm以上と、滑り素材を有さない比較例と比べ、一定の剛性を確認できる。硬度同様に、中心部材の断面が円形状に維持できるため、ベアリング効果を発現すると言える。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明のケーブルは、耐屈曲性及び耐捻回性に優れるため、産業用ロボットの他、大電流が要求される電源用ケーブル等において有用であるが、これに限定されない。
【符号の説明】
【0047】
1 ケーブル
2 中心部材
21 中心
22 第1滑り素材
3 電線部
30 多芯ケーブル
300 同軸ケーブル
31 中心
32、33 第2滑り素材
4 結束部材
5 シース
6 空隙部
図1
図2
図3