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  • 特許-一方向絞り弁 図1
  • 特許-一方向絞り弁 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】一方向絞り弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 15/04 20060101AFI20231122BHJP
   F16K 27/02 20060101ALI20231122BHJP
   F16K 47/08 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F16K15/04 D
F16K27/02
F16K47/08
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019210315
(22)【出願日】2019-11-21
(65)【公開番号】P2021081030
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000241267
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム
(72)【発明者】
【氏名】吉本 一哉
(72)【発明者】
【氏名】市川 直樹
【審査官】篠原 将之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-104518(JP,A)
【文献】特開平06-300150(JP,A)
【文献】国際公開第2012/120751(WO,A1)
【文献】実開平02-103162(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/02
F16K 47/08
F16K 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小径孔と小径孔より大径の大径孔とを連設して連設段部に弁座を形成した円柱状の弁座部材と、弁座部材の大径孔に収装して弁座に着座するボール状の弁体と、弁体を弁座の着座方向へ付勢するばねと、弁座部材を収装する収装孔を形成した本体と、本体に形成して弁座部材の小径孔に接続する第1流入出流路と、本体に形成して収装孔の内周面に一端を開口する第2流入出流路とを備え、収装孔内周面と弁座部材外面との間には環状の隙間を区画形成し、弁座部材には流体を絞り制御する絞り流路を形成し、絞り流路は一端を小径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口し、この開口を環状の隙間を介して第2流入出流路の一端開口に接続し、さらに弁座部材には一端を大径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口する接続流路を形成し、接続流路の他端開口を環状の隙間を介して第2流入出流路の一端開口に接続し、接続流路は流体が流れる流通断面積を絞り流路より大きく形成したことを特徴とする一方向絞り弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁座に着座する弁体を備え、流体の一方向への流れでは流体を自由流れで流し、一方向と逆方向の他方向への流れでは流体を絞り制御して流す一方向絞り弁に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の一方向絞り弁は、ばねで付勢したボール弁体を弁座に着座し、流体の一方向の流れでは、ボール弁体を弁座から離脱して流体を自由流れで流している。また、流体の他方向への流れでは、ボール弁体を弁座に着座して流体を絞り流路で絞り制御して流している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-103162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1の一方向絞り弁では、本体にはボール弁体が着座する弁座を形成した弁座部材を備え、流体を絞り制御する絞り流路を弁座部材と干渉しないよう本体に形成しているため、本体には弁座部材を迂回して絞り流路を形成する部分が必要となって本体が大型化し、弁全体が大型になる問題点があった。
【0005】
本発明の課題は、流体を絞り制御する絞り流路を本体に形成することなくして本体の大型化を抑制し、弁全体の大型化を抑制し得る一方向絞り弁を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成すべく、本発明は次の手段をとった。即ち、
小径孔と小径孔より大径の大径孔とを連設して連設段部に弁座を形成した円柱状の弁座部材と、弁座部材の大径孔に収装して弁座に着座するボール状の弁体と、弁体を弁座の着座方向へ付勢するばねと、弁座部材を収装する収装孔を形成した本体と、本体に形成して弁座部材の小径孔に接続する第1流入出流路と、本体に形成して収装孔の内周面に一端を開口する第2流入出流路とを備え、収装孔内周面と弁座部材外面との間には環状の隙間を区画形成し、弁座部材には流体を絞り制御する絞り流路を形成し、絞り流路は一端を小径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口し、この開口を環状の隙間を介して第2流入出流路の一端開口に接続し、さらに弁座部材には一端を大径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口する接続流路を形成し、接続流路の他端開口を環状の隙間を介して第2流入出流路の一端開口に接続し、接続流路は流体が流れる流通断面積を絞り流路より大きく形成したことを特徴とする一方向絞り弁がそれである。
【発明の効果】
【0008】
以上詳述したように、請求項1に記載の発明は、弁座部材には流体を絞り制御する絞り流路を形成し、絞り流路は一端を小径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口し、この開口を第2流入出流路に接続した。このため、弁座部材に形成した絞り流路は、弁座を介することなく第1流入出流路に接続する小径孔と第2流入出流路との間を連通できるから、流体を絞り制御する絞り流路を本体に形成することなくして本体の大型化を抑制し、弁全体の大型化を抑制することができる。
【0009】
また、請求項1に記載の発明は、本体に弁座部材を収装する収装孔を形成し、収装孔の内周面には第2流入出流路の一端を開口し、この開口を絞り流路の他端開口に接続した。このため、本体の収装孔に弁座部材を収装することで、絞り流路と第2流入出流路とを確実に接続することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の発明は、弁座部材に一端を大径孔の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材の外面に開口する接続流路を形成し、接続流路の他端開口を第2流入出流路の一端開口に接続した。このため、本体の収装孔に弁座部材を収装することで、接続流路を絞り流路と並列的に第2流入出流路と確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態を示した一方向絞り弁の縦断面図である。
図2】一実施形態の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。
図1および図2において、1は本体で、有底の収装孔2を一側面1Aより穿設している。収装孔2は先端の底面2A側を小径の小径部2Bに形成している。本体1には収装孔2の底面2Aに一端を開口して第1流入出流路3を形成すると共に、収装孔2の内周面に一端を開口して第2流入出流路4を形成し、両流入出流路3、4は流体を流す。5は円柱状の弁座部材で、先端を収装孔2の小径部2Bに嵌合して収装孔2の底面2Aに当接し、収装孔2に収装している。弁座部材5は先端に面取りを形成してシール部材5Aを装着し、底面2Aへの当接個所をシール部材5Aで密封している。弁座部材5を収装孔2に収装した状態で、収装孔2内周面と弁座部材5外面との間には環状の隙間Fが区画形成される。
【0013】
弁座部材5には軸心に小径孔6と小径孔6より大径の大径孔7とを軸方向に連設して貫通形成し、小径孔6と大径孔7との連設段部に弁座8を形成している。小径孔6は弁座部材5の先端面に開口し、収装孔2の底面2Aに一端を開口する第1流入出流路3と接続する。9はボール状の弁体で、弁座部材5の大径孔7に収装し、弁座8に着座する。10はばねで、弁座部材5の大径孔7に収装し、弁体9を弁座8の着座方向に付勢する。11は流体を絞り制御する絞り流路で、弁座部材5へ径方向に穿設して形成し、一端を小径孔6の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材5の外面に開口している。絞り流路11の他端開口は隙間Fを介して第2流入出流路4の一端開口に接続している。
【0014】
12A、12Bは弁座部材5に形成した2個の接続流路で、一端を大径孔7の内周面に開口し、他端を弁座部材5の外面に開口している。両接続流路12A、12Bは流体が流れる流通断面積を絞り流路11より大きく形成し、弁座部材5へ径方向の対称位置に配置している。両接続流路12A、12Bの他端開口はそれぞれ隙間Fを介して第2流入出流路4の一端開口に接続している。13は栓部材で、収装孔2の開口側をシール部材14で密封して挿入し、弁座部材5を収装孔2の底面2Aに押しつけ保持する。15は蓋部材で、本体1の一側面1Aに複数のボルト部材16で着脱自在に取付け、栓部材13を覆う。
【0015】
次にかかる構成の作動を説明する。
自由流れの場合は第1流入出流路3から流体を流す。第1流入出流路3の流体は、小径孔6を流れ、弁体9をばね10のばね力に抗して押し開き、弁体9を図1左方向に移動して弁座8から離脱し、大径孔7、接続流路12A、12B、隙間Fを流れて第2流入出流路4に流れる。このとき、一部の流体は小径孔6から絞り流路11、隙間Fを流れて第2流入出流路4に流れる。
【0016】
制御流れの場合は、第2流入出流路4から流体を流す。第2流入出流路4の流体は、弁体9が流体の圧力に基づく作用力とばね10のばね力で弁座8に着座するため、隙間Fから絞り流路11を流れて絞り制御され、小径孔6から第1流入出流路3に流れる。
【0017】
かかる作動において、弁座部材5には流体を絞り制御する絞り流路11を形成し、絞り流路11は一端を小径孔6の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材5の外面に開口し、この開口を第2流入出流路4に接続した。このため、弁座部材5に形成した絞り流路11は、弁座8を介することなく第1流入出流路3に接続する小径孔6と第2流入出流路4との間を連通できるから、流体を絞り制御する絞り流路を本体1に形成することなくして本体1の大型化を抑制し、弁全体の大型化を抑制することができる。
【0018】
また、本体1に弁座部材5を収装する収装孔2を形成し、収装孔2の内周面には第2流入出流路4の一端を開口し、この開口を絞り流路11の他端開口に接続した。このため、本体1の収装孔2に弁座部材5を収装することで、絞り流路11と第2流入出流路4とを確実に接続することができる。
【0019】
また、弁座部材5に一端を大径孔7の内周面に開口すると共に、他端を弁座部材5の外面に開口する接続流路12A、12Bを形成し、接続流路12A、12Bの他端開口を第2流入出流路4の一端開口に接続した。このため、本体1の収装孔2に弁座部材5を収装することで、接続流路12A、12Bを絞り流路11と並列的に第2流入出流路4と確実に接続することができる。
【0020】
なお、前述の一実施形態では、接続流路12A、12Bを2個設けたが、接続流路は1個であったり、3個以上であってもよい。また、弁座部材5は先端に面取りを形成してシール部材5Aを装着したが、シール部材5Aは用途に応じて設けなくてもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0021】
1:本体
3:第1流入出流路
4:第2流入出流路
5:弁座部材
6:小径孔
7:大径孔
8:弁座
9:弁体
10:ばね
11:絞り流路
図1
図2