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  • 特許-建物の施工方法 図1
  • 特許-建物の施工方法 図2
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  • 特許-建物の施工方法 図4A
  • 特許-建物の施工方法 図4B
  • 特許-建物の施工方法 図5A
  • 特許-建物の施工方法 図5B
  • 特許-建物の施工方法 図6A
  • 特許-建物の施工方法 図6B
  • 特許-建物の施工方法 図7
  • 特許-建物の施工方法 図8
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】建物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/30 20060101AFI20231122BHJP
   E04B 1/16 20060101ALI20231122BHJP
   E04B 5/40 20060101ALI20231122BHJP
   E04B 1/35 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
E04B1/30 G
E04B1/16 E
E04B5/40 A
E04B1/35 L
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019220022
(22)【出願日】2019-12-05
(65)【公開番号】P2021088882
(43)【公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】菅原 光宏
【審査官】廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-071809(JP,A)
【文献】特開2008-025125(JP,A)
【文献】特開2012-219473(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/30
E04B 1/16
E04B 5/40
E04B 1/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄筋コンクリート柱と前記鉄筋コンクリート柱によって支持される鉄骨梁とを有する建物の施工方法であって、
前記鉄筋コンクリート柱を床面上に構築する柱構築ステップと、
前記柱構築ステップにて構築された前記鉄筋コンクリート柱に前記鉄骨梁を架設する梁架設ステップと、
前記梁架設ステップにて架設された前記鉄骨梁上に、前記床面より上方に位置する上方床面を構築する床面構築ステップと、
前記柱構築ステップにて構築された前記鉄筋コンクリート柱の上に、予め製造されたPC柱を設置するPC柱設置ステップと、を備え、
前記梁架設ステップは、
前記鉄筋コンクリート柱の上端面に仕口鉄骨を設置する仕口鉄骨設置ステップと、
前記仕口鉄骨設置ステップで設置された前記仕口鉄骨に前記鉄骨梁を取り付ける鉄骨梁取付ステップと、を含み、
前記床面構築ステップは、
前記鉄骨梁上にデッキプレートを敷設するデッキプレート敷設ステップと、
前記デッキプレート敷設ステップにて敷設された前記デッキプレート上に鉄筋を配筋する配筋ステップと、
前記デッキプレート敷設ステップの後、且つ前記配筋ステップの前に、前記仕口鉄骨の中空部にコンクリートを打設する仕口コンクリート打設ステップと、
前記配筋ステップの後、前記デッキプレート上にコンクリートを打設する床コンクリート打設ステップと、を含み、
前記PC柱設置ステップは、前記仕口コンクリート打設ステップの後に前記床面構築ステップと並行して実施される、
建物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の施工方法の1つとして、特許文献1に記載されているように、柱を鉄筋コンクリート構造(RC造)とし、梁を鉄骨構造(S造)として建物を施工するRCS工法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-27895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
RCS工法で2層以上の建物を施工しようとすると、まずは下層の鉄筋コンクリート柱を構築する。次に、この鉄筋コンクリート柱に鉄骨梁を架設する。次に、この鉄骨梁上に上層の床面(下層の天井)を構築する。そして、上層の床面を構築した後に、上層の鉄筋コンクリート柱を構築することができる。このように、1層ごとに作業が行われるので、工期が長くなってしまう虞がある。
【0005】
本発明は上述の課題に鑑みなされたものであり、RCS工法で2層以上の建物を施工する際に、工期短縮を図ることができる建物の施工方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る建物の施工方法は、鉄筋コンクリート柱と前記鉄筋コンクリート柱によって支持される鉄骨梁とを有する建物の施工方法であって、前記鉄筋コンクリート柱を床面上に構築する柱構築ステップと、前記柱構築ステップにて構築された前記鉄筋コンクリート柱に前記鉄骨梁を架設する梁架設ステップと、前記梁架設ステップにて架設された前記鉄骨梁上に、前記床面より上方に位置する上方床面を構築する床面構築ステップと、前記柱構築ステップにて構築された前記鉄筋コンクリート柱の上に予め製造されたPC柱を設置するPC柱設置ステップと、を備え、前記PC柱設置ステップと、前記床面構築ステップとは、少なくとも一時的に並行して実施される。
【0007】
従来、RCS工法で2層以上の建物を施工しようとすると、上層の床面(上方床面)を構築した後に、上層の鉄筋コンクリート柱を構築するので、工期が長くなってしまう虞があった。しかしながら、上記(1)に記載の構成によれば、床面上に構築された鉄筋コンクリート柱の上に予め製造されたPC柱を設置するため、PC柱設置ステップと床面構築ステップとを少なくとも一時的に並行して実施することができる。このため、従来と比較して、工期短縮を図ることができる。
【0008】
鉄筋コンクリート柱を構築するためには、型枠の設置・解体などを行う必要がある。しかしながら、上記(1)に記載の構成によれば、予め製造されたPC柱を鉄筋コンクリート柱の上に設置すればよいので、型枠の据え付け・解体などが不要となり、工期短縮を図ることができる。
【0009】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の構成において、前記床面構築ステップは、前記鉄骨梁上にデッキプレートを敷設するデッキプレート敷設ステップと、前記デッキプレート敷設ステップにて敷設された前記デッキプレート上に鉄筋を配筋する配筋ステップと、前記配筋ステップの後、前記デッキプレート上にコンクリートを打設する床コンクリート打設ステップと、を含み、前記PC柱設置ステップは、前記デッキプレート敷設ステップの後に実施される。
【0010】
上記(2)に記載の構成によれば、PC柱設置ステップは、デッキプレート敷設ステップの後に実施されるので、鉄骨梁上に敷設されたデッキプレートを足場にしてPC柱を鉄筋コンクリート柱の上に設置することができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の構成において、前記梁架設ステップは、前記鉄筋コンクリート柱の上端面に仕口鉄骨を設置する仕口鉄骨設置ステップと、前記仕口鉄骨設置ステップで設置された前記仕口鉄骨に前記鉄骨梁を取り付ける鉄骨梁取付ステップと、を含み、前記床面構築ステップは、前記デッキプレート敷設ステップの後、且つ前記配筋ステップの前に、前記仕口鉄骨の中空部にコンクリートを打設する仕口コンクリート打設ステップをさらに含み、前記PC柱設置ステップは、前記仕口コンクリート打設ステップの後に実施される。
【0012】
仕口鉄骨の中空部にコンクリートを打設すると、鉄筋コンクリート柱の上にPC柱を設置することが可能な状態となる。上記(3)に記載の構成によれば、鉄骨梁上にデッキプレートが敷設された後、且つデッキプレート上に鉄筋が配筋される前に、仕口鉄骨の中空部にコンクリートを打設して、鉄筋コンクリート柱の上にPC柱を設置することができる状態となる。このため、鉄筋コンクリートの柱の上にPC柱を設置しつつ、デッキプレート上に鉄筋を配筋したり、デッキプレート上にコンクリートを打設したりすることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、RCS工法で2層以上の建物を施工する際に、上層にはPC柱が設置され、このPC柱の設置と上層の床面の構築とは、少なくとも一時的に並行して実施されるので、工期短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る建物の施工方法のフローチャートである。
図2】本発明の一実施形態に係る1階床面構築ステップが実施された状態を示す図である。
図3A】本発明の一実施形態に係る柱構築ステップで実施される作業フローを示すフローチャートである。
図3B】本発明の一実施形態に係る柱構築ステップが実施された状態を示す図である。
図4A】本発明の一実施形態に係る梁架設ステップで実施される作業フローを示すフローチャートである。
図4B】本発明の一実施形態に係る梁架設ステップが実施された状態を示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る床面構築ステップで実施される作業フローを示すフローチャートである。
図5B】本発明の一実施形態に係る床面構築ステップが実施された状態を示す図である。
図6A】本発明の一実施形態に係るPC柱設置ステップで実施される作業フローを示すフローチャートである。
図6B】本発明の一実施形態に係るPC柱設置ステップが実施された状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る上階床構築ステップが実施された状態を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係る建物の施工方法の作用・効果を説明するための図であって、各ステップの工期が示されている。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0016】
本発明の一実施形態に係る建物の施工方法は、2階建ての建物1(図7参照)を施工する方法である。この2階建ての建物1は、一階に構築される鉄筋コンクリート柱10と、この鉄筋コンクリート柱10によって支持される鉄骨梁16と、を有する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る建物の施工方法のフローチャートである。図1に示すように、建物の施工方法は、柱構築ステップS2と、梁架設ステップS3と、床面構築ステップS4と、PC柱設置ステップS5と、備える。
【0018】
この建物の施工方法は、1階床面構築ステップS1、及び上階床構築ステップS6をさらに備えてもよい。1階床面構築ステップS1は、柱構築ステップS2の前に実施されるステップである。この1階床面構築ステップS1では、例えば、地盤2に敷設された栗石4上にコンクリートが打設される。そして、図2に示すように、建物1を支持する基礎として機能する1階の床面6が構築される。尚、上階床構築ステップS6については後述する。
【0019】
図3A及び図3Bを参照して、柱構築ステップS2について説明する。柱構築ステップS2では、鉄筋コンクリート柱10を1階床面構築ステップS1にて構築された床面6上に構築する。図3Aに示すように、この柱構築ステップS2は、柱鉄筋据付ステップS21、柱型枠据付ステップS22、柱コンクリート打設ステップS23、及び柱型枠解体ステップS24を含んでもよい。
【0020】
柱鉄筋据付ステップS21では、墨出によって指定された位置に鉄筋コンクリート柱10の柱鉄筋12を据え付ける。柱型枠据付ステップS22では、例えば木材で構成された柱型枠14や鉄板で構成された型枠(いわゆる鋼製型枠)などを柱鉄筋12の周囲に据え付ける。このとき、柱鉄筋12の一部は、据え付けられた柱型枠14より上方に突出している。柱コンクリート打設ステップS23では、柱型枠14内にコンクリートを打設する。柱型枠解体ステップS24では、柱型枠14内に打設されたコンクリートが固まると、柱型枠14を解体する。これら柱鉄筋据付ステップS21、柱型枠据付ステップS22、柱コンクリート打設ステップS23、及び柱型枠解体ステップS24が実施されることで、図3Bに示すように、床面6上に鉄筋コンクリート柱10が構築される。
【0021】
図4A及び図4Bを参照して、梁架設ステップS3について説明する。梁架設ステップS3では、柱構築ステップS2にて構築された鉄筋コンクリート柱10に鉄骨梁16を架設する。図4Aに示すように、この梁架設ステップS3は、仕口鉄骨設置ステップS31、及び鉄骨梁取付ステップS32を含んでもよい。
【0022】
仕口鉄骨設置ステップS31では、鉄筋コンクリート柱10の上端面18に仕口鉄骨20を設置する。このとき、柱鉄筋12の一部は、鉄筋コンクリート柱10の上端面18に設置された仕口鉄骨20より上方に突出している。仕口鉄骨20は、鉄筋コンクリート柱10と、鉄骨梁16とを接合するものであって、例えばH形鋼で構成される。鉄骨梁取付ステップS32では、例えば、鉄筋コンクリート柱10の上端面18に設置された仕口鉄骨20と鉄骨梁16とをボルト(不図示)で締結するとともに、この仕口鉄骨20と鉄骨梁16とを溶接することで、仕口鉄骨20に鉄骨梁16を取り付ける。これら仕口鉄骨設置ステップS31、及び鉄骨梁取付ステップS32が実施されることで、図4Bに示すように、鉄筋コンクリート柱10とこの鉄筋コンクリート柱10に隣接する別の鉄筋コンクリート柱10との間に鉄骨梁16が架設される。
【0023】
図5A及び図5Bを参照して、床面構築ステップS4について説明する。床面構築ステップS4では、梁架設ステップS3にて架設された鉄骨梁16上に、床面6より上方に位置する上方床面22(2階床面)を構築する。この床面構築ステップS4は、デッキプレート敷設ステップS41、仕口コンクリート打設ステップS42、配筋ステップS43、及び床コンクリート打設ステップS44を含んでもよい。
【0024】
デッキプレート敷設ステップS41では、鉄骨梁16上にデッキプレート24を敷設する。デッキプレート24は、例えば、金属で構成され、角波形状を有する部材である。仕口コンクリート打設ステップS42では、デッキプレート敷設ステップS41の後、且つ配筋ステップS43の前に、例えば、ふさぎ板(不図示)で仕口鉄骨20を囲うことで形成される仕口鉄骨20の中空部、及び仕口鉄骨20の上方に据え付けられた型枠内にコンクリートを打設する。この仕口コンクリート打設ステップS42が実施されることで、鉄筋コンクリート柱10と鉄骨梁16とを接合する部分である仕口28が形成される。このとき、柱鉄筋12の一部は、仕口28より上方に突出している。
【0025】
配筋ステップS43では、デッキプレート敷設ステップS41にて敷設されたデッキプレート24上に床鉄筋26を配筋する。床コンクリート打設ステップS44では、配筋ステップS43の後、デッキプレート24上にコンクリートを打設する。これらデッキプレート敷設ステップS41、仕口コンクリート打設ステップS42、配筋ステップS43、及び床コンクリート打設ステップS44が実施されることで、図5Bに示すように、鉄骨梁16上に上方床面22が構築される。尚、上方床面22と仕口28の上端面とは面一になっている。
【0026】
図6A及び図6Bを参照して、PC柱設置ステップS5について説明する。PC柱設置ステップS5では、柱構築ステップS2にて構築された鉄筋コンクリート柱10の上に予め製造されたPC柱30を設置する。具体的に説明すると、仕口28より上方に突出する柱鉄筋12の一部と、PC柱30内に配筋される鉄筋とを、PC柱30の下端面に形成される孔内に設けられる機械式継手32によって連結する。この機械式継手32の内部にはグラウトが注入されてもよい。PC柱設置ステップS5が実施されることで、図6Bに示すように、仕口28の上(鉄筋コンクリート柱10の上)にPC柱30が設置される。
【0027】
また、図6Aに示すように、PC柱設置ステップS5と、床面構築ステップS4のうち配筋ステップS43とが、並行して実施される。図6Bに示した実施形態では、仕口28の上にPC柱30が設置された時には、デッキプレート24上の一部に床鉄筋26が配筋されている。
【0028】
上階床構築ステップS6では、PC柱設置ステップS5にて設置されたPC柱30によって支持される上階床34を構築する。上階床構築ステップS6が実施されることで、図7に示すように、上階床34が構築され、2階建ての建物1の施工が終了する。つまり、本実施形態では、上階床34は天井として機能している。
【0029】
図8を参照して、本発明の一実施形態に係る建物の施工方法の作用・効果について説明する。従来、RCS工法で2階建ての建物を施工しようとすると、1階床面構築ステップS1’、柱構築ステップS2’、梁架設ステップS3’、床面構築ステップS4’、2階柱構築ステップS7’、及び上階床構築ステップS6’の順で実施される。1階床面構築ステップS1’は上述した1階床面構築ステップS1と同じステップであり、柱構築ステップS2’は上述した柱構築ステップS2と同じステップであり、梁架設ステップS3’は上述した梁架設ステップS3と同じステップであり、床面構築ステップS4’は上述した床面構築ステップS4と同じステップである。2階柱構築ステップS7’は、2階に鉄筋コンクリート柱を構築するためのステップである。上階床構築ステップS6’は、2階柱構築ステップS7’にて構築された鉄筋コンクリート柱によって支持される天井を構築するステップである。図8に示すように、従来の建物の施工方法では、床面構築ステップS4’にて2階の床面(上方床面22)が構築されてから、2階柱構築ステップS7’にて2階の鉄筋コンクリート柱が構築されるので、工期が長くなってしまう虞があった。
【0030】
しかしながら、本発明の一実施形態によれば、仕口28の上には予め製造されたPC柱30が設置される。このため、図8に示すように、PC柱設置ステップS5と配筋ステップS43とを並行して実施することができ、従来と比較して上階床34の構築を早い段階で始めることができ、工期短縮を図ることができる。
【0031】
また、鉄筋コンクリート柱を構築するためには、型枠の据え付け・解体などを行う必要がある。しかしながら、本発明の一実施形態によれば、予め製造されたPC柱30を仕口28の上に設置すればよいので、型枠の設置・解体などが不要となり(S5の工期<S7’の工期)、さらなる工期短縮を図ることができる。
【0032】
また、本発明の一実施形態によれば、PC柱設置ステップS5は、デッキプレート敷設ステップS41の後に実施されるので、鉄骨梁16上に敷設されたデッキプレート24を足場にして仕口28を形成し、この仕口28の上にPC柱30を設置することができる。
【0033】
仕口鉄骨20の中空部、及び仕口鉄骨20の上方にコンクリートが打設されると仕口28が形成され、この仕口28の上にPC柱30を設置することができるようになる。本発明の一実施形態によれば、鉄骨梁16上にデッキプレート24が敷設された後、且つデッキプレート24上に床鉄筋26が配筋される前に仕口28が形成される。このため、デッキプレート24上への床鉄筋26の配筋とPC柱30の設置とを並行して実施することができる。
【0034】
尚、本実施形態では、2階建ての建物1を施工する場合について説明するが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の建物の施工方法で3階建て以上の建物を施工してもよい。この場合、例えば、3階にPC柱を設置するステップと、3階の床面を構築するステップとは、少なくとも一時的に並行して実施されてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、鉄骨梁16上にデッキプレート24が敷設されてから、仕口28を形成し、この仕口28の上にPC柱30を設置していたが、本発明はこの実施形態に限定されない。PC柱30を仕口28の上に設置するために、デッキプレート24に代わる足場を確保可能であるならば、鉄骨梁16にデッキプレート24が敷設される前に、仕口28を形成し、鉄骨梁16にデッキプレート24を敷設するのと並行して、仕口28の上にPC柱30を設置してもよい。また、デッキプレート24にコンクリートを打設するのと並行して、仕口28の上にPC柱30を設置してもよい。
【0036】
以上、本発明の一実施形態に係る建物の施工方法について説明したが、本発明は上記の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない範囲での種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 建物
2 地盤
4 栗石
6 床面
10 鉄筋コンクリート柱
12 柱鉄筋
14 柱型枠
16 鉄骨梁
18 上端面
20 仕口鉄骨
22 上方床面
24 デッキプレート
26 床鉄筋
28 仕口
30 PC柱
32 機械式継手
34 上階床

S1 1階床面構築ステップ
S2 柱構築ステップ
S3 梁架設ステップ
S4 床面構築ステップ
S5 PC柱設置ステップ
S6 上階床構築ステップ
S21 柱鉄筋据付ステップ
S22 柱型枠据付ステップ
S23 柱コンクリート打設ステップ
S24 柱型枠解体ステップ
S31 仕口鉄骨設置ステップ
S32 鉄骨梁取付ステップ
S41 デッキプレート敷設ステップ
S42 仕口コンクリート打設ステップ
S43 配筋ステップ
S44 床コンクリート打設ステップ
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8