(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】モジュールシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 13/38 20060101AFI20231122BHJP
G06F 13/36 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G06F13/38 340A
G06F13/38 320A
G06F13/36 530B
G06F13/36 520D
(21)【出願番号】P 2019225845
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000133526
【氏名又は名称】株式会社チノー
(74)【代理人】
【識別番号】100109553
【氏名又は名称】工藤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 和敬
(72)【発明者】
【氏名】武田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】今村 藍介
(72)【発明者】
【氏名】八木 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】平野 和哉
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-012298(JP,A)
【文献】特開平07-028717(JP,A)
【文献】中田 恒,マシンコントローラMP2400/MP2300S Machine Controller MP2400/MP2300S,技報安川電機,安川オビアス株式会社,2008年02月29日,第71巻 第4号,229-233
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B19/04-19/05
G06F13/20-13/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、
マスターモジュールは、
複数の内部バスと、
スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得部と、
その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択部と、
取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信部と、
出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信部と、
各部を格納した筐体と、
を有し、
一以上のスレーブモジュールは、
複数の内部バスと、
命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信部と、
受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得部と、
応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択部と、
取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信部と、
各部を格納した筐体と、
を有し、
マスターモジュールの複数の内部バスのそれぞれは、一以上のスレーブモジュールの複数の内部バスのそれぞれと接続されて構成される共通の内部バスであ
り、
命令内部バス選択部は、取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択手段を有し、
命令依存内部バス選択手段は、複数の内部バスの一方を速達性が求められる命令信号をDMA転送するための内部バスとして選択し、他方の内部バスを速達性がそれほど求められない命令信号をPIO転送するための内部バスとして選択するモジュールシステム。
【請求項2】
マスターモジュールの命令信号取得部は、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得手段を有する請求項
1に記載のモジュールシステム。
【請求項3】
スレーブモジュールは、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得部と、
取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力部と、
を有する請求項1
又は請求項
2に記載のモジュールシステム。
【請求項4】
スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工部を有する外部装置をさらに有する請求項1から請求項
3のいずれか一に記載のモジュールシステム。
【請求項5】
一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、各モジュールは個別に筐体に格納されているとともに、各モジュールは複数の内部バスを共有している計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、
マスターモジュールの動作方法は、
スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得ステップと、
その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択ステップと、
取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信ステップと、
出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信ステップと、
を有し、
一以上のスレーブモジュールの動作方法は、
命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信ステップと、
受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得ステップと、
応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択ステップと、
取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信ステップと、
を有
し、
マスターモジュールの動作方法の命令内部バス選択ステップは、
取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択サブステップを有し、
命令依存内部バス選択サブステップは、複数の内部バスの一方を速達性が求められる命令信号をDMA転送するための内部バスとして選択し、他方の内部バスを速達性がそれほど求められない命令信号をPIO転送するための内部バスとして選択する計算機からなるモジュールシステムの動作方法。
【請求項6】
マスターモジュールの動作方法の命令信号取得ステップは、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得サブステップを有する請求項
5に記載の計算機からなるモジュールシステムの動作方法。
【請求項7】
スレーブモジュールの動作方法は、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得ステップと、
取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力ステップと、
を有する請求項
5又は請求項
6に記載の計算機からなるモジュールシステムの動作方法。
【請求項8】
モジュールシステムはさらに外部装置を有し、
外部装置の動作方法は、
スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号を受信する制御信号受信ステップと、受信した複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工ステップを有する請求項
5から請求項
7のいずれか一に記載の計算機からなるモジュールシステムの動作方法。
【請求項9】
一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、各モジュールは個別に筐体に格納されているとともに、各モジュールは複数の内部バスを共有している計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、
マスターモジュールの動作プログラムは、
スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得ステップと、
その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択ステップと、
取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信ステップと、
出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信ステップと、
を計算機に読取り実行可能なプログラムであり、
一以上のスレーブモジュールの動作プログラムは、
命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信ステップと、
受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得ステップと、
応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択ステップと、
取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信ステップと、
を有
し、
マスターモジュールの動作プログラムの命令内部バス選択ステップは、
取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択サブステップを有し、
命令依存内部バス選択サブステップは、複数の内部バスの一方を速達性が求められる命令信号をDMA転送するための内部バスとして選択し、他方の内部バスを速達性がそれほど求められない命令信号をPIO転送するための内部バスとして選択する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラム。
【請求項10】
マスターモジュールの動作プログラムの命令信号取得ステップは、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得サブステップを有する請求項
9に記載の計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラム。
【請求項11】
スレーブモジュールの動作プログラムは、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得ステップと、
取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力ステップと、
を有する請求項
9又は請求項
10に記載の計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラム。
【請求項12】
モジュールシステムはさらに外部装置を有し、
外部装置の動作プログラムは、
スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号を受信する制御信号受信ステップと、受信した複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工ステップを有する請求項
9から請求項
11のいずれか一に記載の計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムに関するものであり、モジュール間の信号の伝送を、その信号に応じて選択される内部バスにて伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機の機体外壁に使われる炭素繊維強化プラスチックの成型ホットプレスなどの温度制御では、一のマスターモジュールと複数のスレーブモジュールとを連結し多数の対象の熱源制御を行っている。マスターモジュールは、制御対象となる多数の加熱箇所の温度を制御するための制御条件などをPCやPLC(programmable logic controller)などの上位制御装置から受信し、受信した制御条件などに基づき自身に接続された複数のスレーブモジュールに対して制御のための信号(目標温度や操作量など)を送信する。そして、これらの信号を受信したスレーブモジュールのそれぞれは受信した信号に基づいて制御対象の制御を行う(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、マスターモジュールの内部信号処理系とスレーブモジュールの内部信号処理系との信号の伝送は、速やかに行われることが好ましい。前述の例では多数のスレーブモジュールとマスターモジュールとが1秒に満たない間隔でデータや命令の送受信を繰り返す。制御は基本的にフィードバック制御により行われることから、スレーブモジュールの内部信号処理系からマスターモジュールの内部信号処理系への制御対象の現在温度などを示す情報のフィードバックと、それに応じたマスターモジュールの内部信号処理系からスレーブモジュールの内部信号処理系への操作量などの伝送とを速やかに行うことが、速応性に優れ緻密な制御の実現に寄与するからである。
【0005】
本発明の課題は、マスターモジュールの内部信号処理系とスレーブモジュールの内部信号処理系とを伝送速度の異なる複数種類の内部バスにて直結するとともにデータや命令の高速伝送要求性に応じて内部バスを選択し内部信号の伝送を、高速伝送要求性に応じて効率的に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明において、一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、マスターモジュールは、複数の内部バスと、スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得部と、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択部と、取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信部と、出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信部と、各部を格納した筐体と、を有し、一以上のスレーブモジュールは、複数の内部バスと、命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信部と、受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得部と、応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択部と、取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信部と、各部を格納した筐体と、を有し、マスターモジュールの複数の内部バスのそれぞれは、一以上のスレーブモジュールの複数の内部バスのそれぞれと接続されて構成される共通の内部バスであるモジュールシステムを提供する。
【0007】
また、上記構成を備えるモジュールシステムであって、命令内部バス選択部は、取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択手段を有するモジュールシステムを提供する。
【0008】
また、上記構成を備えるモジュールシステムであって、マスターモジュールの命令信号取得部は、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得手段を有するモジュールシステムを提供する。
【0009】
また、上記構成を備えるモジュールシステムであって、スレーブモジュールは、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得部と、取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力部と、を有するモジュールシステムを提供する。
【0010】
また、上記構成を備えるモジュールシステムであって、スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工部を有する外部装置をさらに有するモジュールシステムを提供する。
【0011】
また、一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、各モジュールは個別に筐体に格納されているとともに、各モジュールは複数の内部バスを共有している計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、マスターモジュールの動作方法は、スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得ステップと、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択ステップと、取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信ステップと、出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信ステップと、を有し、一以上のスレーブモジュールの動作方法は、命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信ステップと、受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得ステップと、応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択ステップと、取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信ステップと、を有する計算機からなるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0012】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、マスターモジュールの動作方法の命令内部バス選択ステップは、取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択サブステップを有する計算機からなるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0013】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、マスターモジュールの動作方法の命令信号取得ステップは、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得サブステップを有する計算機からなるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0014】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、スレーブモジュールの動作方法は、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得ステップと、取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力ステップと、を有する計算機からなるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0015】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作方法であって、モジュールシステムはさらに外部装置を有し、外部装置の動作方法は、スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号を受信する制御信号受信ステップと、受信した複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工ステップを有する計算機からなるモジュールシステムの動作方法を提供する。
【0016】
また、一のマスターモジュールと、一以上のスレーブモジュールと、からなるモジュールシステムであって、各モジュールは個別に筐体に格納されているとともに、各モジュールは複数の内部バスを共有している計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、マスターモジュールの動作プログラムは、スレーブモジュールに対する命令信号を取得する命令信号取得ステップと、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令内部バス選択ステップと、取得した命令信号を選択された内部バスに送信する命令信号送信ステップと、出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する応答信号受信ステップと、を計算機に読取り実行可能なプログラムであり、一以上のスレーブモジュールの動作プログラムは、命令信号をいずれか一の内部バスから受信する命令信号受信ステップと、受信した命令信号に対する応答信号を取得する応答信号取得ステップと、応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する応答内部バス選択ステップと、取得した応答信号を選択した内部バスに送信する応答信号送信ステップと、を有する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラムを提供する。
【0017】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、マスターモジュールの動作プログラムの命令内部バス選択ステップは、取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択する命令依存内部バス選択サブステップを有する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラムを提供する。
【0018】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、マスターモジュールの動作プログラムの命令信号取得ステップは、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得サブステップを有する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラムを提供する。
【0019】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、スレーブモジュールの動作プログラムは、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する制御信号取得ステップと、取得した制御信号を外部装置に対して出力する制御信号出力ステップと、を有する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラムを提供する。
【0020】
また、上記構成を備える計算機からなるモジュールシステムの動作プログラムであって、モジュールシステムはさらに外部装置を有し、外部装置の動作プログラムは、スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号を受信する制御信号受信ステップと、受信した複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工ステップを有する計算機であるモジュールシステムに読取り実行可能なプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明により、マスターモジュールとスレーブモジュールとの間の信号の伝送の高速化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態1のモジュールシステムの機能的構成の一例を示すブロック図
【
図2】本モジュールシステムを含む制御システムの一例を示す概念図
【
図3】命令信号と応答信号のそれぞれのデータ構成の一例を示す概念図
【
図4】実施形態1のマスターモジュールのハードウェア構成の一例を示す概念図
【
図5】実施形態1のスレーブモジュールのハードウェア構成の一例を示す概念図
【
図6】実施形態1のマスターモジュールの処理の流れの一例を示すフロー図
【
図7】実施形態1のスレーブモジュールの処理の流れの一例を示すフロー図
【
図8】実施形態2のモジュールシステムの機能的構成の一例を示すブロック図
【
図9】実施形態3のスレーブモジュールの機能的構成の一例を示すブロック図
【
図10】実施形態3のスレーブモジュールのハードウェア構成の一例を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0024】
なお、実施形態1では、主に請求項1及び2について説明する。実施形態2では、主に請求項3について説明する。実施形態3では、主に請求項4について説明する。実施形態4では、主に請求項5について説明する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
【0025】
本実施形態のモジュールシステムは、一のマスターモジュールと一以上のスレーブモジュールとの間での信号の伝送を複数の内部バスにより行うとともに、いずれの内部バスを用いて伝送するかの選択を伝送する信号に応じて行うことを主たる特徴とする。
<実施形態1 機能的構成>
【0026】
図1は、本実施形態のモジュールシステムの機能的構成の一例を示すブロック図である。図示するように、「モジュールシステム」0100は、一の「マスターモジュール」0101と、一以上の「スレーブモジュール」0102と、からなり、マスターモジュールとスレーブモジュールは、それぞれ筐体を有する。また、マスターモジュールは、「複数の内部バス」0103を有し、一以上のスレーブモジュールが有する「複数の内部バス」0104と接続されている。また、一以上のスレーブモジュールが有する複数の内部バスは、それぞれのスレーブモジュールが有する複数の内部バスと互いに接続された結果、共通の内部バスを構成している。
【0027】
また、
図2は、本実施形態のモジュールシステムを用いて、制御対象の制御を行うための制御システムの一例を示す概念図である。図示するように、「マスターモジュール」0201は、「記録計」0202、「制御用PC」0203、「PLC」0204などの装置と接続され、制御用PCやPLCから制御命令信号などを受信し、記録計に対して温度情報などの制御対象に関する情報等を送信する(マスターモジュールと接続されるそれらの装置を上位装置という)。また、マスターモジュールは、複数の「スレーブモジュール」0205とシリアルバスにより接続され、受信した制御命令信号に基づき各スレーブモジュールのそれぞれに対して所定の命令信号を送信する。そして、スレーブモジュールは受信した命令信号に基づき「制御対象」0206の制御を行う。なお、一のスレーブモジュールが複数の制御対象を制御することもできる(例えば4chにて)。
【0028】
また、マスターモジュールは、スレーブモジュールから取得した信号(温度情報や制御に関する情報など)や自身が制御対象を有する場合にはその制御対象に関する信号を取得し、記録計や制御用PCに送信する。なお、上位の各装置がイーサネット(登録商標)の通信プロトコルで運用されている場合には、データ変換装置(図示しない)をマスターモジュールと上位装置との間に介在させ、マスターモジュールとスレーブモジュール間の内部バスを介したシリアル通信形式のデータと上位装置側のイーサネット通信形式のデータとのデータ変換を行わせることで信号やデータのマスターモジュールと上位装置側との間での授受を相互に行うことができる。このデータ変換装置については後述する。
【0029】
なお、以下に記載する各部は、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUやメインメモリ、フラッシュメモリやSSDなどの不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブ、DMAC(Direct Memory Access Controller)、内部バス、外部バス、キャッシュメモリ、バッファメモリ、バスコントローラ、バッファメモリコントローラ、キャッシュメモリコントローラ、情報入力に利用される入力デバイス、PLC、記録計、PC、各種センサ(温度、湿度、ガス濃度、流量、圧力、磁気、照度など)、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、各種通信用インターフェース、LED、各種スイッチ(ディップスイッチ、トグルスイッチなど)、USBインターフェ―ス、ブルートゥース(登録商標)インターフェース、タブレット端末、モバイルPC、スマートフォン、イーサネットケーブル、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザインターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本装置の機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0030】
また、本明細書に記載の各実施形態は動作方法として実現できるのみでなく、その一部または全部を装置としても実現可能である。また、このような装置の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然に本明細書に記載の各実施形態の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
<実施形態1 マスターモジュール>
【0031】
図1に示すように、「マスターモジュール」0101は、「複数の内部バス」0103と、「命令信号取得部」0105と、「命令内部バス選択部」0106と、「命令信号送信部」0107と、「応答信号受信部」0108と、を有しており、各部を格納した筐体を有する。
【0032】
マスターモジュールは、スレーブモジュールに所定のプロセスを実行させるためのシナリオを複数準備するように構成することができる。スレーブモジュールとマスターモジュールとで所定のシナリオに沿ったルーチン処理を実行するように構成することができる。マスターモジュールの上位装置であるPCやPLCの主要な役割は、マスターモジュールが保持している複数のシナリオの中からどのシナリオを選択するのか、とそのシナリオで利用する定数(変数、パラメータ値)、利用すべきスレーブモジュールを識別する情報などをマスターモジュールに指示することである。つまり、PCやPLCは原則としてプロセスのダイナミックな管理は行わない。マスターモジュールは、PCやPLCからの指示に応じて所定のシナリオを選択するとともに、そのシナリオで前準備すべき所定のプログラム又はプログラムに基づくDMACの設定、キャッシュメモリに命令信号や応答信号などを格納する作業を制御対象の制御プロセス開始前に事前に行う。その設定がすべて完了したとの応答信号をすべての配下の稼働すべきスレーブモジュールから受信した場合にはその旨を上位のPCやPLCに報告し、プロセスのゴーサインを待つ。上位のPCやPLCからゴーサインが得られた場合には、マスターモジュールはすべての配下の稼働すべきスレーブモジュールに時刻を特定して制御対象の制御開始を命令信号にて指示する。その後は、主にDMACとキャッシュメモリと、キャッシュメモリに格納されている命令信号や、応答信号によってプロセスがシナリオに沿って進行させられる。
【0033】
また、PCやPLCのその他の目的は、スレーブモジュール、マスターモジュールによって進行中の処理がシナリオに沿って順調に行われているかをモニターすることである。さらに例外的にPCやPLCが行うことは、制御対象のステータスがシナリオで予定していない異常となった場合にどのような措置を講ずるかをマスターモジュールに対して事前に指示することである。マスターモジュールは、異常事態においてPCやPLCからの事前の対処指示に応じて採用すべき緊急事態用シナリオを複数から選択する。例えば加熱関係の制御をシステムとして行っている場合には、過熱電源のシャットダウン、緊急冷却の開始、加圧システムがある場合には圧力の低下ないしは開放、などが考えられる。
【0034】
また、マスターモジュールは、スレーブモジュールとして機能するように構成してもよい。また、スレーブモジュールは、マスターモジュールとして機能するように構成してもよい。また、マスターモジュールとスレーブモジュールは、それぞれの筐体を同じように形成することが好ましい。後述するように、マスターモジュールとスレーブモジュールとは、それぞれの筐体を機械的に結合して用いる場合も想定されており、互いに結合した際に一体的なモジュールとして取り扱うことができるとともに、外観の美観においても優れたものとなるからである。
【0035】
また、上述したデータ変換装置についても、マスターモジュールやスレーブモジュールと同様の筐体を有するように構成し、マスターモジュールと機械的に(さらには電気的にも)結合して利用できるように構成することもできる。そのようにデータ変換装置とマスターモジュール及びスレーブモジュールとを機械的に結合して用いる場合、一番端にデータ変換装置を配置し、データ変換装置と隣接してマスターモジュールを配置し、マスターモジュールに配下のスレーブモジュールを連接させる。
【0036】
また、データ変換装置と接続される上位の装置の通信がイーサネット通信形式であっても、ペイロード内でのデータ保持形式が異なる場合がある。そこで、ペイロード内でのデータ保持形式が異なる場合であっても、その保持形式に応じたデータ変換を自動で行うことができるデータ変換装置を利用することが好ましい。このようなデータ変換装置の構成については、後述する。
<実施形態1 マスターモジュール 複数の内部バス>
【0037】
本実施形態のマスターモジュールは、複数の内部バスを有している。そして、複数の内部バスは、スレーブモジュールが有する内部バスと接続されて共通の内部バスを構成している。また、複数の内部バスは、マスターモジュールの動作を司るCPU、メインメモリ、後述するDMACなどの各構成要素間を接続する内部バスからバスコントローラなどを介してそれぞれ複数の内部バスに分岐する。スレーブモジュールについても同様である。ここで「内部バス」とは、CPUやMPU内の各装置を接続するバスを指していない。ここで言う内部バスとは、CPUやMPUが直接アクセスできる装置を接続する通信線を言う。一般にはCPUやMPUが配置されるマザーボード上に構成される。ただし、本願発明の内部バスは、マスターモジュールのマザーボードから拡張されてマスターモジュールの筐体の外に延出し、同じくスレーブモジュールのマザーボードから拡張されてスレーブモジュールの外に延出し、マスターモジュールから延出した内部バスとスレーブモジュールから延出した内部バスとが結合されて一体化した複数のモジュールのCPUやMPUに連結された内部バスを言う。なお「CPU」は中央演算処理装置を意味しプログラムの命令を実行する。「MPU」はCPU、発振器、割り込みコントローラ、DMAコントローラ、ROM、RAM、タイマ、シリアル通信インターフェース、A/D変換機、D/A変換機などをIC化した装置を意味する。
【0038】
マスターモジュールとスレーブモジュール間での内部バスの接続は、マスターモジュールとスレーブモジュールのそれぞれに相互接続用のコネクタを設けることによって行うことができる。このコネクタは、接続に際して何らかの信号処理が介在するものではなく、マスターモジュールとスレーブモジュールのそれぞれの内部バスを直結し、マスターモジュールとスレーブモジュールの共通の内部バスを構成するものである。
【0039】
また、コネクタは、上述した筐体どうしを結合するための結合機構としても機能するように構成してもよいし、かかる結合機構は別途設けてもよい。また、コネクタは相互の内部バスを接続するとともに、電源供給線を接続するように構成することで、一の電源が接続された一のモジュールから電源が直接的には供給されない他のモジュールに配給されるように構成することができる。
<実施形態1 マスターモジュール 命令信号取得部>
【0040】
「命令信号取得部」0105は、スレーブモジュールに対する命令信号を取得する機能を有する。この命令信号は主に制御に関する命令であり、例えばスレーブモジュールに対して制御対象の現状や制御対象に対する制御設定などをマスターモジュールに通知させるための信号や、制御のパターンや制御用パラメータの設定やその変更を命じる信号などである。また、命令信号は複数の命令内容を含むものとしてもよい。例えば、制御設定をスレーブモジュールに通知する命令内容と、スレーブモジュールに備わる外部出力端子の接続状態をマスターモジュールに対して通知することを命じる命令内容とを含むように構成してもよい。つまり、一つの命令信号にはスレーブモジュールに対して「リード(読みだしてマスターモジュールに回答)命令」と「ライト(スレーブモジュールの設定値の上書き等)命令」との両者を同時に含ませるように構成することができる。このように構成することでマスターモジュールとスレーブモジュールとの間での情報の授受を効率よく行うことができ、制御の速応性や緻密さの向上に寄与する。
【0041】
命令信号の取得の態様は、マスターモジュールが制御用のプログラムを保持し、そのプログラムの実行により適宜生成して取得する態様がある。また、上位装置から所定の信号をマスターモジュールが受信し、受信した信号に基づき命令信号を取得する態様である場合もある。
【0042】
「命令内部バス選択部」0106は、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する機能を有する。内部バス選択の代表的な態様は、取得した命令信号に応じてその命令信号を送信すべき内部バスを選択するというものである。
【0043】
具体的には、速達性が求められる命令信号と、そうでない命令信号とで、送信に用いる内部バスを使い分ける。併せて、それぞれの内部バスでの送信の態様を、求められる速達性に適したものとする。例えば、制御対象の現状(温度や湿度など)をスレーブモジュールからマスターモジュールへ通知させるための命令信号は、制御の速応性や緻密さに直結するものであるため高い速達性が求められる。このような命令信号の場合に選択される内部バスでの送信には、データ転送の方式としてDMA(Direct Memory Access)転送を採用し、データサイズを相対的に小さくし、転送周期を短く設定する。
【0044】
DMA転送は、データ転送に最適化されたDMAC(Direct Memory Access Controller)が、CPUを介さずに直接メモリにアクセスしてデータ転送を行うものである。また、DMA転送は、設定されたデータサイズ(Byte)と転送周期にてデータ転送を行うものであり、CPUによるプログラムの実行によってデータ転送を行うPIO(Programmed I/O)転送に対して高速でデータ転送を行うことができる。
【0045】
一方、速達性が求められない命令信号、例えば、スレーブモジュールが起動したことをマスターモジュールに対して通知するための信号や、それぞれのマスターモジュールの接続状態を示す信号などの送信は、とくに速達性が求められるものではないので上述のPIO転送で行われる。
【0046】
以上のように、複数の内部バスの一方を速達性が求められる命令信号をDMA転送するために用い、他方の内部バスを速達性がそれほど求められない命令信号をPIO転送するために用いるように構成し、命令内部バス選択部が、送信すべき命令信号に応じて(速達性を求められる信号であるか否か)いずれかの内部バスを選択するように構成することができる(命令依存内部バス選択手段)。なお、取得される命令信号は速達性を求める信号であることを示す識別情報を含んでおり、その識別情報に応じて内部バスが選択されるように構成することも可能である。また速達性を求めない場合でも、速達性を求めない信号であることを示す識別情報をその命令信号に含むように構成することができる。また速達性の識別情報は二種類に限らず内部バスの種類の数分用意することができる。例えば内部バスの種類が三種類の場合には、三種類の速達性に関する識別情報をあらかじめ定めて命令信号の取得の際に命令信号に含ませて取得するように構成することができる。
【0047】
また、求められる速達性の程度に応じて、DMA転送を行うための内部バスを2つ用意してもよい。例えば、制御に関するパラメータの登録や変更などについての命令信号の転送は、制御対象の現状を示す命令信号の転送などに比較して求められる速達性は低い。そこで、最も速達性が求められる命令信号については短い転送周期で小さなデータサイズ(例えば数十Byte)に設定し、それより速達性が求められない命令信号については相対的にやや長い転送周期でやや大きいデータサイズ(例えば百数十Byte)としてもよい。そして、それぞれのDMA転送を行うための内部バスを有するように構成してもよい。この場合、DMA転送による送信に用いられる内部バスが2つで、PIO転送による送信に用いられる内部バスが1つとなり、それぞれの内部バスを、高速内部バス、中速内部バス、低速内部バスなどとしてもよい。例えば内部バスが3あり、高速内部バスと中速内部バスの命令信号や応答信号のデータの大きさは固定(固定であれば内部バスごとに複数種類あってもよい。)とし、低速内部バスの命令信号や応答信号のデータの大きさは不定とすることができる。不定とすることができるのはPIO転送を行うからである。つまり、信号の先頭と、信号の終端とをCPUで処理されるプログラムによって識別することが可能だからである。また高速内部バスを利用する命令信号のデータの大きさは、中速内部バスを利用する命令信号に比べて少なくともデータの平均の大きさが小さくなければならない。これはハードウェアとしての内部バスに性能差がない場合にはデータの平均の大きさでその内部バスの命令信号送信速度が決定されるからである。また、高速内部バスと、中速内部バスでは利用するDMACを前者は高速処理用、後者は中速処理用として二種類用いるように構成してもよい。この場合には命令信号や応答信号を格納するキャッシュメモリと、バスコントローラに至る内部バスも二種類用意することが好ましい。
【0048】
以上のように、命令信号に求められる速達性に応じた送信態様とそれぞれの送信態様のための内部バスを用いることにより、求められる速達性に応じた信号の送信を可能とするとともに、CPUやMPUや、DMACなどのハードウェア資源を有効に活用することができる。
【0049】
「命令信号送信部」0107は、取得した命令信号を選択された内部バスに送信する機能を有する。上述のように選択された内部バスに、その内部バスに設定された送信態様(転送方法、転送間隔、リセットタイミング、リセット間隔など)にて命令信号は送信される。
【0050】
命令信号の送信は、DMAC等の設定に利用されるCPU、DMAC、メモリ、バスコントローラ、複数備わる内部バスに分岐する各種バス通信インターフェースを有するバスコントローラとをつなぐ内部バスを利用して実行される。DMA転送の場合にはCPUが命令信号に応じた内部バスにより所定のデータサイズや転送周期、転送回数などの設定をDMACに対して行い、その後はCPUが関与することなくDMACが設定に従って命令信号が格納されるメモリから順次読み出し、定められた内部バスへの送信を行うべくバスコントローラに命令信号を出力する。PIO転送の場合には、CPUが命令信号読み出しプログラムを実行し、CPUが送信すべき命令信号をメモリから読み出し、その命令信号をバスコントローラに出力し、バスコントローラが送信されるべき内部バスを選択してその内部バスへ命令信号を送信する。
【0051】
また、命令信号取得部、命令内部バス選択部及び命令信号送信部による機能は、内部バスごとの送受信のためのプログラムの実行により実現することもできる。例えば、高速バスを用いた処理を行うためのプログラムを実行して、高速内部バスで送信される命令信号を生成し、生成した命令信号を高速内部バス用の通信インターフェースの送信バッファに格納する。格納された命令信号は、高速内部バス用の通信インターフェースの送信ポートと接続されているスレーブモジュールの高速内部バス用の通信インターフェースの受信ポートへ送信される。また、中速内部バスを用いた処理を行うためのプログラムを実行することで、中速内部バスで送信される命令信号を生成し、生成した命令信号が中速内部バス用の通信インターフェースの送信バッファに格納される。格納された命令信号は、中速内部バス用の通信インターフェースの送信ポートと接続されているスレーブモジュールの中速内部バス用の通信インターフェースの受信ポートへ送信される。そして、各内部バスによる処理プログラムを上位のプログラムが適宜呼び出して実行することで、それぞれの内部バスによる命令信号の送信が行われる。低速内部バスでの処理も同様である。
【0052】
上述したように、高速内部バス、中速内部バス及び低速内部バスの3つの内部バスを用い、制御対象の現状を示す命令信号などのように速達性が強く求められる命令信号だけを高速内部バスで送信し、それほど速達性が求められない命令信号を中速内部バスと低速内部バスとで送信するように構成することで、高速バスの負担を減らし、多くのスレーブモジュールを連結して多チャンネル制御を行う場合でも速応性に優れる制御を実現することができる。
【0053】
「応答信号受信部」0108は、出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信する機能を有する。この応答信号はスレーブモジュールから送信される信号であり、例えば、制御対象の温度などの現在値を通知せよという命令信号に対して、スレーブモジュールはその制御対象の現在値を応答信号として送信する。このようにスレーブモジュールから送信された応答信号を受信する。応答信号を受信する内部バスは、基本的にはその応答信号の元となった命令信号を送信する際に選択された内部バスになるが、命令信号を受信したスレーブモジュールがその命令信号に対する応答信号の送信を受信した内部バスと異なる内部バスにした場合には、スレーブモジュールが選択した内部バスから受信することになる。
<実施形態1 スレーブモジュール>
【0054】
図1に示すように、「スレーブモジュール」0102は、「複数の内部バス」0104と、「命令信号受信部」0109と、「応答信号取得部」0110と、「応答内部バス選択部」0111と、「応答信号送信部」0112と、を有しており、各部を格納した筐体を有する。
【0055】
スレーブモジュールは、マスターモジュールとして機能するように構成してもよい。このことは、マスターモジュールについての説明において述べたとおりである。ただし、共通の内部バスで通信を行う一以上のスレーブモジュールに対しては一のマスターモジュールのみが内部バスを共通に有することができず、複数のマスターモジュールが共通の内部バスを一以上のスレーブモジュールと共有するように設定することはできない。異なるマスターモジュールから出力される命令信号どうしが同じ内部バス内で衝突を起こすためである。
【0056】
また、スレーブモジュールが有する「複数の内部バス」0104のそれぞれが、マスターモジュールが有する複数の内部バスのそれぞれと接続されていることや、それらの接続の態様については、マスターモジュールにおける複数の内部バスについての説明において述べたとおりである。
【0057】
「命令信号受信部」0109は、命令信号をいずれか一の内部バスから受信する機能を有する。マスターモジュールから送信された命令信号を、その命令信号が送信された内部バスと接続され一体化している内部バスから受信する。命令信号の受信は、DMAC等の設定に利用されるCPU、DMAC、メモリ、バスコントローラ、複数備わる内部バスに分岐する各種バス通信インターフェースを有するバスコントローラとをつなぐ内部バスを利用して実行される。
【0058】
複数の内部バスのそれぞれを制御するバスコントローラは接続されるマスターモジュールのバスコントローラと同様のデータ転送設定がなされており、例えば、マスターモジュールからDMA転送により送信された命令信号を受信するDMACは、マスターモジュールのDMACと同様の転送設定(データサイズ、転送周期など)にて命令信号を受信するように設定される。すなわち、その内部バスに備わる通信インターフェースの受信バッファ(例えばバスコントローラ内にある。)にてバッファされる命令信号に対してはマスターモジュールのDMACと同様の転送設定がなされたスレーブモジュールのDMACが読み出し、所定の記憶領域に格納する。PIO転送による命令信号を受信する内部バスの場合には、CPUが命令信号受信プログラムを実行し、そのバスコントローラに備わる通信インターフェースの受信バッファにバッファされる命令信号を読み出し、所定の記憶領域に格納する。
【0059】
なお、DMA転送方式では、CPUを介さずに設定されたデータサイズで送信し、受信もその設定されたデータサイズでDMACを介して行うために受信側のバッファをリセットする機会がない。例えば、電源ノイズなどにより筐体外の内部バス領域などで受信すべき命令信号を構成するデータが崩れ、受信側のモジュールのバッファ領域に格納されずに内部バス上に残存するデータの一部が生じる場合がある。残存してしまったデータの一部は次に命令信号を受信する際のバッファ領域の先頭(本来は送信先アドレスが格納される領域)に格納されてしまい次の命令信号が不完全となり、後にCPUがメモリのデータを判定する際に受信エラーとなってしまう場合がある。
【0060】
また、残存したデータの一部がバッファの先頭に格納されたことで、続いて受信しようとする命令信号を構成するデータのすべてを格納できなくなり、再び残存する一部のデータが生じることで、上記のような受信エラーが繰り返し生じる。
【0061】
そこで、設定されたサイズのデータ格納領域のすべてに「0」を格納して2回続けて送信する。格納領域のすべてに「0」が格納されたデータをリセットコマンドとして予めプログラム設定しておくことで、2回目に送信されるデータがリセットコマンドとして受信され、リセットコマンドによる処理としてCPUがプログラムを実行してDMACが読取する受信バッファを所定周期でクリアにするようにしてもよい。
【0062】
また、このようなリセットコマンドをDMA転送による送信を行う間に定期的に送信するようにしておくことで送信エラーが繰り返される事態を抑制することができる。なお、リセットコマンドによる処理は接続されるすべてのスレーブモジュールにおいて行われることが好ましいので、ブロードキャストで行うとともに受信したスレーブモジュールからの応答を不要に設定する。
【0063】
「応答信号取得部」0110は、受信した命令信号に対する応答信号を取得する機能を有する。例えば、現在の制御対象の状況を示す情報(温度値、湿度値、圧力値など)をマスターモジュールに対して通知することを命令する命令信号を受信した場合には、その命令に応えた温度値などを応答信号として取得する。
【0064】
「応答内部バス選択部」0111は、応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する機能を有する。応答信号を送る内部バスの選択は、その応答信号の元となった命令信号を受信した内部バスを選択してもよいし、命令信号に応じて取得した応答信号に応じて選択してもよい。この処理は具体的にはスレーブモジュールのバスコントローラが実行する。後者の場合、例えば、速達性がもっとも求められる命令信号の送信に用いられる内部バスから命令信号を受信し、その命令信号に対する応答信号が速達性が求められるものではない場合には、受信した内部バスと異なる内部バスであって速達性が求められないデータ転送設定がなされた内部バスを選択するといった態様が考えられる。
【0065】
「応答信号送信部」0112は、取得した応答信号を選択した内部バスに送信する機能を有する。選択された内部バスに送信された応答信号は、その内部バスに備わる通信インターフェースを介して、その内部バスに設定されたデータ転送態様にてマスターモジュールへ送信される。応答信号の送信は、DMAC等の設定に利用されるCPU、DMAC、メモリ、バスコントローラ、複数備わる内部バスに分岐する各種バス通信インターフェースを有するバスコントローラとをつなぐ内部バスを利用して実行される。
【0066】
また、命令信号の受信から応答信号の取得及び送信は、マスターモジュールにて説明したように、内部バスごとのプログラムの実行により行うことができる。例えば、高速内部バスの通信インターフェースの受信ポートに電気信号が来たことを受けて、高速内部バスの通信インターフェースによる受信処理用プログラムが呼び出されて実行される。当該プログラムの実行により受信バッファにて受信した命令信号をメモリに格納する処理を行い、受信処理完了により送信プログラムを実行して受信した命令信号に対する応答信号の生成を行い、生成した応答信号を高速内部バスの通信インターフェースの送信ポートからマスターモジュールへ送信する。
【0067】
図3は、マスターモジュールからスレーブモジュールへ送信される命令信号と、スレーブモジュールからマスターモジュールへ送信される応答信号のそれぞれのデータ構成の一例を示す概念図である。ここでは、もっとも速達性が求められる命令信号と応答信号をDMA転送方式にて送受信する場合を示す。また、通信プロトコルはシリアル通信プロトコルの一つであるModbus RTUに準じている。
【0068】
図3(a)は、マスターモジュールからスレーブモジュールへの命令信号を示し、
図3(b)は、スレーブモジュールからマスターモジュールへの応答信号を示している。それぞれのデータ構成の上位5byteはヘッダ領域である。
図3(a)に示すように、ヘッダ領域には送信先のアドレス情報、メッセージコード及びデータサイズが格納されている。メッセージコードはメッセージすなわち命令信号の識別情報であり、実質的には、このメッセージコードに応じて内部バスが選択されるように構成することができる。命令信号格納プログラムがこのメッセージコードで識別してキャッシュメモリの所定のアドレスの領域に命令信号を格納するように構成することができる。つまりキャッシュメモリのアドレスと内部バスの種別が一対一に対応付けられる関係に構成することができる。DMACは、命令信号をキャッシュメモリの所定の領域に取得に行きバスコントローラに引き渡すが、取りに行くキャッシュメモリのアドレスに応じてDMACはどの内部バスを選択させるかを実質的に決定するように構成することができる。DMACがバスコントローラに命令信号を引き渡す際には、どの内部バスにこの命令信号を流すべきかをその取り出したキャッシュメモリのアドレスに応じた内部バス識別子を付加することによってバスコントローラに情報を渡すように構成することができる。このようにすれば命令信号格納プログラム以降の処理でメッセージコードの解読を不要として高速に命令信号の処理を行うことが可能となる。なお、図示した命令信号のメッセージコードで識別される命令信号の内容は、スレーブモジュールが取得する制御対象についての各種情報をマスターモジュールに対して通知することを命じるものである。ペイロード領域(網掛不在部分)には、スレーブモジュールからの通知を求める事項として、マスターモジュールの駆動状態、現在値データ、設定値データ、出力値データ、プログラムデータ、DI/DOデータ(デジタル入力の状態/出力の有無)のスレーブモジュールからの回答命令が格納されている。
【0069】
図3(b)に示すように、これに対する応答信号のデータ構成では、命令信号と同様にヘッダ領域に送信先のアドレス情報やメッセージコードなどに加えエラー情報が格納され、ペイロード領域には、マスターモジュールへの通知が求められた事項である現在値データ、設定値データ、出力値データ、DI/DOデータと、スレーブモジュールが正常であるか所定の不具合が生じているかなどを示すイベント状態データが格納されている。
<実施形態1 マスターモジュール ハードウェア>
【0070】
図4は、本実施形態のモジュールシステムにおけるマスターモジュールのハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、マスターモジュールは、CPU0401と、不揮発性メモリ(例えば、ROM、SSD、フラッシュメモリなど)0402と、メインメモリ0403と、キャッシュメモリ0404と、DMAC0405と、PCやPLCなどの上位装置との通信のための上位通信インターフェースI/F0406と、上位装置がイーサネット通信形式で運用されている場合に介在させるデータ変換装置用の他モジュール通信インターフェースI/F0407と、ユーザインターフェ―スI/F0408と、バスコントローラ0409を備え、それらの間で信号の授受等を行うための内部バス0410を備える。そして、内部バスはバスコントローラにて3つに分岐し、分岐した内部バス0411のそれぞれには通信インターフェースI/F0412が備わり、さらに3本の内部バスのそれぞれはスレーブモジュールが有する3本の内部バスと結合し共通化される。
【0071】
不揮発性メモリには、命令信号取得プログラムと、命令信号格納プログラムと、バスコントローラ設定プログラムと、DMAC設定プログラムと、応答信号取得格納プログラムと、命令信号送信プログラムなどの各種プログラムや、上述の各プログラムの実行により受信した命令信号や取得した応答信号や選択された内部バスを示す情報などの各種情報が格納される。また、DMACは、CPUやMPUで解釈されて実行されるプログラムではなくDMAC自身で直接的に実行される命令信号出力ルールや応答信号取得ルールや選択された内部バスを示す情報などを保持している。
【0072】
ファームウエア又はオペレーティングシステムは、不揮発性メモリに格納されている各種処理を行うためのプログラムをCPUに実行させるため、メインメモリのワーク領域に読み出すと同時にそのプログラムの作業領域でもあるデータ領域を提供する。また、このメインメモリにはそれぞれ特定のアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりやデータの生成を行い、処理を行うことが可能 になっている。
【0073】
CPUは、命令信号取得プログラムを実行して命令信号を取得する。なお、取得は内部生成又は、外部からの取得のいずれかを言う。この明細書の全体を通して同様とする。続いて、命令信号格納プログラムを実行して命令信号をキャッシュメモリに格納する。そして、バスコントローラ設定プログラムを実行してバスコントローラを設定する。続いて、DMAC設定プログラムを実行してDMACのデータ転送設定を行う。
【0074】
DMAC設定プログラムにより設定されたDMACは、命令信号出力ルールに従いキャッシュメモリに格納されている命令信号を読出して、読出した命令信号をバスコントローラに出力する。バスコントローラは、DMACから出力された命令信号を送信すべき内部バスを選択し、その命令信号を通信インターフェースを介して送信する。
【0075】
また、選択された内部バスでの命令信号の送信がPIO転送による場合には、命令信号送信プログラムの実行により命令信号を読み出して、読み出した命令信号をバスコントローラに出力する。バスコントローラは、出力された命令信号を送信すべき内部バスを選択し、その命令信号を通信インターフェースを介して送信する。
【0076】
スレーブモジュールから送信された応答信号を受信する場合、まずバスコントローラが応答信号を受信する。そして、DMACは、応答信号取得ルールに従いバスコントローラが受信した命令信号を読み出して、キャッシュメモリに出力する。
<実施形態1 スレーブモジュール ハードウェア>
【0077】
図5は、本実施形態のモジュールシステムにおけるスレーブモジュールのハードウェア構成の一例を示す概念図である。図示するように、スレーブモジュールは、CPU0501と、不揮発性メモリ(例えば、ROM、SSD、フラッシュメモリなど)0502と、メインメモリ0503と、キャッシュメモリ0504と、DMAC0505と、PCやPLCなどの上位装置との通信のための上位通信インターフェースI/F0506と、上位装置がイーサネット通信形式で運用されている場合に介在させるデータ変換装置用の他モジュール通信インターフェースI/F0507と、ユーザインターフェースI/F0508と、バスコントローラ0509を備え、それらの間で信号の授受等を行うための内部バス0510を備える。そして、内部バスはバスコントローラにて3つに分岐し、分岐した内部バス0511のそれぞれには通信インターフェースI/F0512が備わり、さらに3本の内部バスのそれぞれはマスターモジュールが有する3本の内部バスと結合して共通化される。
【0078】
不揮発性メモリには、命令信号取得プログラムと、バスコントローラ設定プログラムと、DMAC設定プログラムと、応答信号取得プログラムと、応答信号格納プログラムと、命令信号受信プログラムと、応答信号送信プログラムなどの各種プログラムや、上述の各プログラムの実行により受信した命令信号や取得した応答信号や選択された内部バスを示す情報などの各種情報が格納される。また、DMACは、CPUやMPUで解釈されて実行されるプログラムではなくDMAC自身で直接的に実行される命令信号取得ルールや応答信号出力ルールや選択された内部バスを示す情報などを保持している。
【0079】
ファームウエア又はオペレーティングシステムは、不揮発性メモリに格納されている各種処理を行うためのプログラムをCPUに実行させるため、メインメモリのワーク領域に読み出すと同時にそのプログラムの作業領域でもあるデータ領域を提供する。また、このメインメモリにはそれぞれ特定のアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりやデータの生成を行い、処理を行うことが可能 になっている。
【0080】
DMAC設定プログラムにより設定されたDMACは、命令信号取得ルールに従いバスコントローラ設定プログラムにより設定されたバスコントローラが受信した命令信号を読み出してキャッシュメモリに格納する。格納された命令信号は、命令信号取得プログラムの実行によりメインメモリのデータ領域に格納される。
【0081】
そして、応答信号取得プログラムの実行により、取得した命令信号に対する応答信号を取得する。そして、応答信号格納プログラムの実行により、取得した応答信号をキャッシュメモリに格納する。
【0082】
DMAC設定プログラムにより設定されたDMACは、応答信号出力ルールに従いキャッシュメモリに格納されている応答信号を読み出して、バスコントローラ設定プログラムにより設定されたバスコントローラに出力する。バスコントローラは、DMACから出力された応答信号を送信すべき内部バスを選択し、その応答信号を通信インターフェースを介して送信する。
【0083】
また、命令信号の受信がPIO転送による場合には、命令信号受信プログラムの実行により命令信号を受信する。また、応答信号の送信がPIO転送による場合には、応答信号送信プログラムの実行により応答信号を送信する。
<実施形態1 マスターモジュール 処理の流れ>
【0084】
図6は、本実施形態のマスターモジュールの処理の流れの一例を示すフロー図である。ここでは、命令信号の取得から応答信号の受信までの処理を示す。図示するように、まず、スレーブモジュールに対する命令信号を取得する(0601)。そして、その命令信号を送信すべき内部バスを選択する(0602)。そして、取得した命令信号を選択された内部バスに送信する(0603)。そして、出力した命令信号に対する応答信号を内部バスから受信するための待機をし(0604)、応答信号を受信した場合には、さらに送信すべき命令信号があるか否かの判断をする(0605)。命令信号がまだ有る場合には、再び命令信号を取得する(0601)。命令信号がない場合には、ここでの処理は終了する。応答信号の受信待機にて所定時間経過後においても応答信号を受信しなかった場合は、ここでの処理を終了したり、受信できなかったことをエラーと判断して警報を発するなどの処理を行ったりするように構成してもよい。
<実施形態1 スレーブモジュール 処理の流れ>
【0085】
図7は、本実施形態のスレーブモジュールの処理の流れの一例を示すフロー図である。ここでは、命令信号の受信から応答信号の送信までの処理を示す。図示するように、まず、命令信号をいずれか一の内部バスから受信する(0701)。命令信号が自身宛てであるか判断し(0702)、自身宛てではない場合には、受信した命令信号を廃棄し(0703)、命令信号の受信を待機する。受信した命令信号が自身宛てである場合には、受信した命令信号に対する応答信号を取得する(0704)。そして、応答信号に応じた命令信号を受信した内部バス又は、応答信号に応じた内部バスを選択する(0705)。そして、取得した応答信号を選択した内部バスに送信する(0706)。そして、行うべき処理が終了したか否かの判断をし(0707)、終了していないとの判断結果の場合には、再び命令信号の受信待機をし、終了したとの判断結果の場合には、処理を終了する。
<実施形態1 データ変換装置>
【0086】
本実施形態のモジュールシステムは、上述したデータ変換装置とともに利用することが可能であり、とくにペイロード内でのデータ保持形式が異なる場合であっても、その保持形式に応じたデータ変換を自動で行うことができるデータ変換装置を利用することができる。
【0087】
このデータ変換装置は、以下のような構成を有する。すなわち、通信線の共通プロトコル(例えばTCP/IP)で構成され、自身のシステムで主にマスターモジュールを制御するために利用するマスターモジュール制御情報であるマスターモジュール共通制御情報を含みかつマスターモジュール共通制御情報のペイロード内でのデータ保持形式が異なる共通パケットを取得する共通パケット取得部と、取得した共通パケットのヘッダに記載されているポート番号を取得する往路用ポート番号取得部と、後記特定ポート番号判断部での判断に利用する特定のポート番号である特定ポート番号を保持する特定ポート番号保持部と、取得したポート番号が保持されている特定ポート番号か特定のポート番号以外のポート番号であるその他ポート番号であるか判断する特定ポート番号判断部と、特定ポート番号判断部での判断結果が特定ポート番号であるとの判断結果である場合には、共通プロトコルに従って構成されるパケットのペイロードから他のプロトコルで構成されるヘッダを含むローカルパケットを取得し、そのローカルパケットのヘッダを除去する処理をした結果、残った前記マスターモジュール共通制御情報を自身の下流側のシステムで利用するプロトコルである下流プロトコル(例えば「MODBUS RTU」)のデータ形式である往路整形済データに整形する往路特定ポート番号対応処理手段と、取得したポート番号がその他ポート番号である場合には、共通プロトコルに従って構成されるパケットのペイロードから前記マスターモジュール共通制御情報を直接的に自身の下流側のシステムで利用する下流プロトコルのデータ形式である往路整形済データに整形する往路その他ポート番号対応処理手段と、を有する往路データ整形部と、往路データ整形部にて整形された往路整形済データを出力する往路データ出力部と、を有するデータ変換装置である。
【0088】
「共通パケット取得部」は、上位装置であるPCやPLCの通信線の共通プロトコルで構成され、自身のシステムで利用する共通に使用される制御情報であるマスターモジュール共通制御情報を含みかつマスターモジュール共通制御情報のペイロード内でのデータ保持形式が異なる共通パケットを取得する。
【0089】
「共通プロトコル」は、TCP/IPプロトコルが代表的であるが、工場や研究所などのLANに用いられているプロトコルであると効果的である。また、TCP/IPプロトコルに準拠しつつ特定の用途に応じて策定された通信プロトコルのパケットは、いずれもペイロード内でのデータ保持形式においてそれぞれの形式を有するものの、データフレームはTCP/IPプロトコルのデータフレームと同じであり、それらのパケットを共通パケットという。
【0090】
また、自身のシステムとは、自身が構成として含まれるシステムであり、自身のシステムで共通に使用される制御情報とは、例えば、制御対象の現在の温度や湿度などの制御対象の現状を示す情報の取得命令や、制御対象に対して設定される目標値の設定命令や、接続されているマスターモジュールの状態(正常、異常など)を示す情報などの種々の情報の取得命令である。そして、マスターモジュール共通制御情報とは、前述した制御情報であって、自身のシステムで共通に使用される、すなわち、例えばTCP/IPプロトコル通信回線で接続される装置においても、シリアル通信回線で接続される装置においても読取などに供される情報をいう。例えば「MODBUS RTU」である。
【0091】
「往路用ポート番号取得部」は、前述の通り取得した共通パケットのヘッダに記載されているポート番号を取得する。共通パケットのヘッダには、管理情報として宛先ポート番号が記載されている。この宛先ポート番号を取得する。宛先ポート番号は国際的なルールによって定められているものであり、標準化されている。
【0092】
「特定ポート番号保持部」は、後記特定ポート番号判断部での判断に利用する特定のポート番号である特定ポート番号を保持する。上述のように、特定のポート番号にはそのパケットのペイロードに格納されている情報が特定の記述形式(例えばMODBUS RTUをペイロードに格納した形式など)で記述されていることを示す。そこで、特定ポート番号判断部で判断する特定の記述形式と対応付けられているポート番号を特定ポート番号として保持することで、当該記述形式で記述されている情報がそのパケットのペイロードに格納されているか否かの判断を行うことができる。
【0093】
例えば、ポート番号「502」はそのパケットのペイロードにModbusプロトコルに則って記述されたパケットが格納されていることがわかる。つまり格納されている情報がModbusプロトコルによる通信を目的に生成された情報であるか否かを判断しようとする場合には、ポート番号「502」を特定ポート番号として保持し合致するか判断する。他の例として、ペイロードに格納されている情報がEtherNet/IP(登録商標)の場合にはポート番号「2222」を特定ポート番号とし、FL-netの場合にはポート番号「55000~55002」を特定ポート番号として保持するといった具合である。
【0094】
「特定ポート番号判断部」は、取得したポート番号が保持されている特定ポート番号か特定のポート番号以外のポート番号であるその他ポート番号であるか判断する。例えば、特定ポート番号が「502」である場合には、共通パケットのヘッダから取得したポート番号が「502」であるか否かの判断を行う。なお、その他ポート番号は任意に定めればよいが、何らかのプロトコルと対応付けられていないポート番号を選択することが好ましい。
【0095】
「往路データ整形部」は、「往路特定ポート番号対応処理手段」と「往路その他ポート番号対応処理手段」とを有し、特定ポート番号判断部の判断結果に応じて前述のいずれかの手段によりデータを整形する処理を行う。
【0096】
「往路特定ポート番号対応処理手段」は、特定ポート番号判断部での判断結果が特定ポート番号であるとの判断結果である場合には、共通プロトコルに従って構成されるパケットのペイロードから他のプロトコルで構成されるヘッダを含むローカルパケットを取得し、そのローカルパケットのヘッダを除去する処理をした結果、残った前記マスターモジュール共通制御情報を自身の下流側のシステムで利用するプロトコルである下流プロトコルのデータ形式である往路整形済データに整形する。
【0097】
例えば、共通パケットから「Modbusアプリケーションヘッダ」と「データ本体」とで構成されるローカルパケットを取得する。そして、ローカルパケットのヘッダである「Modbusアプリケーションヘッダ」を除去する。下流プロトコルがModbusRTU(Remote Terminal Unit)モードの場合はCRCを付加し、ModbusASCII(American Standard Code Information Interchange)モードの場合はASCIIコードに変換し、LRCを付加する。さらに、下流プロトコルパケットである、Modbusプロトコルのメッセージ・フレームに整形する。なお、本例ではModbusプロトコルの場合を示したが、他のプロトコルの場合でも、そのプロトコルに応じてヘッダの除去を行い、下流プロトコルのデータ形式に整形すればよい。
【0098】
「往路その他ポート番号対応処理手段」は、取得したポート番号がその他ポート番号である場合には、共通プロトコルに従って構成されるパケットのペイロードから前記マスターモジュール共通制御情報を直接的に自身の下流側のシステムで利用する下流プロトコルのデータ形式である往路整形済データに整形する。
【0099】
「直接的に整形する」とは、他のプロトコルのヘッダを除去するといった加工を行わず、基本的には共通パケットのペイロードに格納されているマスターモジュール共通制御情報をそのまま往路整形済データとすることをいう。
【0100】
例えば、ModbusプロトコルのメッセージをTCP/IPプロトコルにて通信する場合、Modbusプロトコルのメッセージ・フレームを分割や加工をせずにTCP/IPプロトコルの1データフレームとしたものを上流側の装置から取得する。したがって、その他ポート番号であると判断された共通パケットが、Modbusプロトコルのメッセージ・フレームを1データフレームとするTCP/IPプロトコル形式のパケットである場合には、その共通パケットのペイロードからModbusメッセージ・フレームを取得して往路整形済データとする。
【0101】
「往路データ出力部」は、往路データ整形部にて整形された往路整形済データを出力する。往路整形済データは、基本的には自身の下流側のシステムに出力されるが、これに限定されず他のシステムや他の装置に出力されてもよい。復路に関しては、記述の往路の処理の逆の処理をすることとなる。
<実施形態1 効果>
【0102】
本実施形態のモジュールシステムによれば、複数の内部バスを求められる速達性に応じて使い分けて命令信号や応答信号の送信を行うことで、制御の速応性や緻密さの向上を図ることができる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
【0103】
本実施形態のモジュールシステムは、実施形態1を基本とし、マスターモジュールが受信した応答信号に基づいて命令信号を取得することに特徴を有する。応答信号に基づく命令信号がスレーブモジュールに送信されることで、例えば直近の制御対象の状態に応じた操作量を命令信号として送信することで、速応性に優れた制御を行うことが可能となる。
<実施形態2 機能的構成>
【0104】
図8は、本実施形態のモジュールシステムの機能的構成一例を示すブロック図である。図示するように、「モジュールシステム」0800は、一の「マスターモジュール」0801と、一以上の「スレーブモジュール」0802と、からなり、マスターモジュールとスレーブモジュールは、それぞれ筐体を有する。また、マスターモジュールは、「複数の内部バス」0803を有し、一以上のスレーブモジュールが有する「複数の内部バス」0804と接続されている。この接続は、上述したように何らかの信号処理を介在させないものであり、その結果、共通の内部バスを構成する。
【0105】
そして、「マスターモジュール」0801は、「応答信号依存命令信号取得手段」0813を有する「命令信号取得部」0805と、「命令内部バス選択部」0806と、「命令信号送信部」0807と、「応答信号受信部」0808と、を有し、「スレーブモジュール」0802は、「命令信号受信部」0809と、「応答信号取得部」0810と、「応答内部バス選択部」0811と、「応答信号送信部」0812と、を有している。実施形態1の構成は説明済みであるので、マスターモジュールが有する「応答信号依存命令信号取得手段」について説明する。
<実施形態2 マスターモジュール 応答信号依存命令信号取得手段>
【0106】
「応答信号依存命令信号取得手段」0813は、受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する機能を有する。例えば、スレーブモジュールから受信した応答信号は制御対象の現在値(温度、圧力、電力など)などを示す信号である場合に、その現在値に基づき制御対象が目標値により近づくための出力量などを命令信号として取得する。
【0107】
そして、取得した命令信号に応じて選択される内部バスからスレーブモジュールに対してその命令信号が送信される。このような命令信号と応答信号の授受をマスターモジュールとスレーブモジュールが行うことにより、所望の制御が行われる。
【0108】
また、DMACがバスコントローラから取得した応答命令をキャッシュメモリに格納し、DMACに保持される応答信号依存命令信号取得ルールに従って、DMACがキャッシュメモリに格納されている応答命令に基づく命令信号をバスコントローラに出力し、その命令信号が内部バスを選択して送信する場合もある。
<実施形態2 ハードウェア>
【0109】
実施形態2のマスターモジュール及びスレーブモジュールのハードウェア構成は、実施形態1のハードウェア構成に準じて構成することができ、マスターモジュールの不揮発性メモリに、さらに受信した応答信号に基づいて命令信号を取得する応答信号依存命令信号取得サブプログラムを保持し、適宜実行することで実現することができる。
<実施形態2 処理の流れ>
【0110】
実施形態2のマスターモジュールの処理の流れは、実施形態1のマスターモジュールの処理の流れに準じており、命令信号を取得するステップが、取得した応答信号に基づいて命令信号を取得するものであることが特有の要素である。なお、スレーブモジュールの処理の流れは、実施形態1におけるものと同様である。
<実施形態2 効果>
【0111】
本実施形態によれば、応答信号に基づく命令信号がスレーブモジュールに送信されることで、速応性に優れた制御が可能になるなどの効果を得ることができる。
<実施形態3>
<実施形態3 概要>
【0112】
本実施形態のモジュールシステムは、実施形態1又は2を基本とし、スレーブモジュールが受信した命令信号に基づいて制御対象を制御するものである。
<実施形態3 機能的構成>
【0113】
図9は、本実施形態のモジュールシステムにおけるスレーブモジュールの機能的構成の一例を示すブロック図である。マスターモジュールについては、実施形態1又は2と同様であるため、図示及び説明を省略する。
【0114】
図示するように、「スレーブモジュール」0901は、「複数の内部バス」0902と、「命令信号受信部」0903と、「応答信号取得部」0904と、「応答内部バス選択部」0905と、「応答信号送信部」0906と、「制御信号取得部」0907と、「制御信号出力部」0908と、を有している。制御信号取得部及び制御信号出力部以外の各構成については実施形態1又は2において説明済みであるので、ここでの説明は省略する。
<実施形態3 スレーブモジュール 制御信号取得部>
【0115】
「制御信号取得部」0907は、受信した命令信号に基づいて外部装置(マスターモジュール及びスレーブモジュールを除外する)を制御するための制御信号を取得する機能を有する。外部装置は制御の対象となる装置であり、例えばホットプレス機、焼成炉、ボイラー、空調装置などの様々な装置が外部装置となり得る。
【0116】
制御信号の取得は、例えば、温度制御における目標値を命令信号として受信し、その一方で制御対象の現在値(現在温度)をセンサでスレーブモジュールが取得し、受信した目標値と取得した現在値との差分に基づきヒータへの出力値を制御信号として取得する。また、制御信号は、ホットプレス機の金型の各部や焼成炉の各部に備わる加熱器の温度を制御するための信号や、ボイラーに備わる水供給用ポンプでの流量や燃焼室での燃焼量などを制御するための信号や、空調設備に備わる吸排ファンや熱交換器などを制御するための信号などである。
<実施形態3 スレーブモジュール 制御信号出力部>
【0117】
「制御信号出力部」0908は、取得した制御信号を外部装置に対して出力する機能を有する。上述した制御信号を外部装置に対して出力することで、制御信号が入力した外部信号は制御される。
<実施形態3 スレーブモジュール ハードウェア>
【0118】
本実施形態のスレーブモジュールは、実施形態1又は2のスレーブモジュールのハードウェア構成に準じて実現することができる。以下に、
図10を用いて、本実施形態のスレーブモジュールのハードウェア構成の一例を説明する。図示するように、スレーブモジュールは、CPU1001と、不揮発性メモリ(例えば、ROM、SSD、フラッシュメモリなど)1002と、メインメモリ1003と、キャッシュメモリ1004と、DMAC1005と、PCやPLCなどの上位装置との通信のための上位通信インターフェースI/F1006と、上位装置がイーサネット通信形式で運用されている場合に介在させるデータ変換装置用の他モジュール通信インターフェースI/F1007と、外部装置との通信インターフェース1008と、ユーザインターフェースI/F1009と、バスコントローラ1010を備え、それらの間で信号の授受等を行うための内部バス1011を備える。そして、内部バスはバスコントローラにて3つに分岐し、分岐した内部バス1012のそれぞれには通信インターフェースI/F1013が備わり、さらに3本の内部バスのそれぞれはマスターモジュールが有する3本の内部バスと結合して共通化される。
【0119】
不揮発性メモリには、命令信号取得プログラムと、バスコントローラ設定プログラムと、DMAC設定プログラムと、応答信号取得プログラムと、応答信号格納プログラムと、命令信号受信プログラムと、応答信号送信プログラムと、制御信号取得プログラムと、制御信号格納プログラムと、制御信号出力プログラムなどの各種プログラムや、上述の各プログラムの実行により受信した命令信号や取得した応答信号や制御信号、選択された内部バスを示す情報などの各種情報が格納される。また、DMACは、CPUやMPUで解釈されて実行されるプログラムではなくDMAC自身で直接的に実行される命令信号取得ルールや応答信号出力ルールや制御信号出力ルールや選択された内部バスを示す情報などを保持している。
【0120】
ファームウエア又はオペレーティングシステムは、不揮発性メモリに格納されている各種処理を行うためのプログラムをCPUに実行させるため、メインメモリのワーク領域に読み出すと同時にそのプログラムの作業領域でもあるデータ領域を提供する。また、このメインメモリにはそれぞれ特定のアドレスが割り当てられており、CPUで実行されるプログラムは、そのアドレスを特定しアクセスすることで相互にデータのやりとりやデータの生成を行い、処理を行うことが可能になっている。
【0121】
ここで、スレーブモジュールがマスターモジュールから受信した命令信号に対する応答信号を取得し、取得した応答信号をマスターモジュールに送信する処理については、実施形態1において既に述べたので説明を省略する。以下に本実施形態に特有の制御信号の取得と制御信号の出力について説明する。
【0122】
DMAC設定プログラムにより設定されたDMACは、命令信号取得ルールに従いバスコントローラ設定プログラムにより設定されたバスコントローラが受信した命令信号を読み出してキャッシュメモリに格納する。格納された命令信号は、命令信号取得プログラムの実行によりメインメモリのデータ領域に格納される。
【0123】
そして、制御信号取得プログラムの実行により、受信した命令信号に基づく制御信号を取得する。そして、制御信号格納プログラムの実行により、取得した制御信号をキャッシュメモリに格納する。
【0124】
DMAC設定プログラムにより設定されたDMACは、制御信号出力ルールに従いキャッシュメモリに格納されている応答制御を読み出して、外部装置との通信インターフェースに出力し、出力された制御信号は外部装置に送信される。
【0125】
また、制御信号の送信がPIO転送による場合には、制御信号出力プログラムの実行により制御信号を外部装置との通信インターフェースを介して外部装置へ出力する。
【0126】
<実施形態3 処理の流れ>
【0127】
実施形態3のスレーブモジュールの処理の流れは、実施形態1又は2のスレーブモジュールの処理の流れに準じており、制御信号を取得するステップと取得した制御信号を外部装置に出力するステップをさらに有する処理の流れとなる。なお、マスターモジュールの処理の流れは、実施形態1又は2におけるものと同様である。
<実施形態3 効果>
【0128】
本実施形態のモジュールシステムによれば、スレーブモジュールから出力される制御信号により、出力先である外部装置の制御を行うことができる。
<実施形態4>
<実施形態4 概要>
【0129】
本実施形態は、実施形態3を基本とし、外部装置をさらに有するモジュールシステムに関する。
<実施形態4 機能的構成>
【0130】
本実施形態のモジュールシステムにおけるマスターモジュールとスレーブモジュールの機能的構成は、実施形態3における機能的構成と同様である。
【0131】
モジュールシステムが有する外部装置は、実施形態3における外部装置と同様である。外部装置は、スレーブモジュールから同時に出力される複数の制御信号に基づいて少なくとも一の加工対象を同時に加工するための加工部を有している。
【0132】
加工対象は、例えば外部装置がホットプレス機である場合には、ホットプレス機により成型される成型品の材料となる樹脂や金属である。また、外部装置が焼成炉の場合は、熱処理の対象となる鋼材やセラミックスなどである。また、加工部は、ホットプレス機の各部に備わる加熱器などである。成型品の形状や材料の性質に応じて材料への加熱量を適宜制御するために、各加熱器に対して制御信号を同時に出力する。なお、「同時」とは時分秒を同じくするというより、加工動作(例えばプレスをかける)などと合わせたタイミングといった意味合いである。
<実施形態4 ハードウェア構成>
【0133】
本実施形態はモジュールシステムがさらに外部装置を有することが特徴であり、マスターモジュール及びスレーブモジュールのハードウェア構成は、実施形態3などのマスターモジュール及びスレーブモジュールにおけるものと同様である。
【0134】
<実施形態4 処理の流れ>
【0135】
ハードウェア構成と同様に、本実施形態のモジュールシステムにおけるマスターモジュールとスレーブモジュールの処理の流れは、実施形態3などのマスターモジュールとスレーブモジュールの処理の流れと同様である。
<実施形態4 効果>
【0136】
本実施形態によれば、スレーブモジュールから出力される制御信号により制御される外部装置を有するモジュールシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0137】
0100 モジュールシステム
0101 マスターモジュール
0102 スレーブモジュール
0103 複数の内部バス
0104 複数の内部バス
0105 命令信号取得部
0106 命令内部バス選択部
0107 命令信号送信部
0108 応答信号受信部
0109 命令信号受信部
0110 応答信号取得部
0111 応答内部バス選択部
0112 応答信号送信部