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特許7389649固体状電解質との間に簡易リチウム金属アノード界面を形成するためのシステム及び方法
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  • 特許-固体状電解質との間に簡易リチウム金属アノード界面を形成するためのシステム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】固体状電解質との間に簡易リチウム金属アノード界面を形成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20231122BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231122BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 25/02 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 27/02 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 33/00 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 35/00 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 39/00 20060101ALI20231122BHJP
   C01G 41/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M10/052
H01B13/00 Z
C01G25/02
C01G27/02
C01G33/00 A
C01G35/00 C
C01G39/00 Z
C01G41/00 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019553356
(86)(22)【出願日】2018-04-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 US2018025697
(87)【国際公開番号】W WO2018184010
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-24
(31)【優先権主張番号】62/480,051
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507238218
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】サカモト ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン トラヴィス
(72)【発明者】
【氏名】テイラー ネイザン
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-211484(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104282938(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0110996(KR,A)
【文献】特開2013-134852(JP,A)
【文献】特開2018-156941(JP,A)
【文献】WANG, Chengwei et al.,NANO LETTERS,2016年,Vol. 17,pp. 565-571
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/05-10/0587
H01B 13/00
C01G 25/02
C01G 27/02
C01G 33/00
C01G 35/00
C01G 39/00
C01G 41/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体状電解質を形成するための方法であって、
(a)第1電子伝導率を有する前駆層を固体状電解質材料上に形成する工程と、
(b)前記固体状電解質材料上の前記前駆層を、前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する界面層に還元する工程と、を含み、
前記前駆層は、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、インジウムスズ酸化物、インジウムドープカドミウム酸化物、バナジウム酸化物、ランタンドープチタン酸ストロンチウム、ランタンドープチタン酸バリウム及びこれらからなる混合物からなるグループから選択される金属酸化物を備え、
前記界面層が、リチウム電池のリチウム金属アノードと前記固体電解質との間の界面層となる形状を有し、
リチウムは、電池のサイクリング中または形成中に、前記界面層の第1の金属と合金を形成しない、
前記第1の金属が、前記前駆層である前記金属酸化物が還元されて生じる金属である、方法。
【請求項2】
前記(b)の工程は、前記前駆層を、還元雰囲気で加熱することによって還元させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記(b)の工程は、前記前駆層を酸化又は不活性ガスに暴露させ、その後温度を変更せずに還元ガスに切り替えることで、前記前駆層を還元させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(b)の工程は、薬剤を用いて前記前駆層を還元させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記(b)の工程は、前記前駆層を電気化学的に活性な金属に接触させることによって前記前駆層を電子伝導性の前記界面層に還元させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記電気化学的に活性な金属は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備える、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記電気化学的に活性な金属はリチウムを備える、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記固体状電解質材料は、LiRe3-yの化学式を有するセラミック材料を備え、
式中、
wは、5~7.5であり、
Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、
xは、0~2であり、
Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、
Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、
yは、0.01~0.75であり、
zは、10.875~13.125であり、
前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆層は、ガーネット、ペロブスカイト、NaSICON又はLiSICON相を有するあらゆる組み合わせの酸化物又はリン酸塩材料を含む第2固体電解質材料をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ガーネット相はスズをベースとしたものである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記NASICONはチタンをベースとしたものである、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記第2電子伝導率は1×10-7S/cmよりも大きい、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年3月31日に出願された米国仮出願第62/480,051号に対する優先権を主張する。
【0002】
<連邦政府の支援による研究に関する言明>
本発明は、米国エネルギー省によって与えられたDE-EE-00006821に従う政府の支持とともになされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、リチウム電池電極、リチウムイオン伝導性固体状電解質並びにこれらの電極及び固体状電解質を含む固体リチウムイオン電池などの電気化学デバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
現在の最先端のリチウムイオン電池は、2つの電極(アノード及びカソード)と、これらの電極同士の接触は防止するがLi+イオンの通過は許容するセパレータ材料と、電解質(リチウム塩を含む有機液体)と、を有する。充電及び放電中にLi+イオンが電極間で交換される。
【0005】
最先端の(SOA)Liイオン技術は現在、少量生産プラグインハイブリッド及びニッチ高性能車両に用いられているが、電動パワートレインの普及には25%低いコスト、4倍高い性能及び発火の可能性の無いより安全な電池が必要である。したがって、将来のエネルギー貯蔵として、より安全で、より安価で、そしてより高性能なエネルギー貯蔵手段が求められている。
【0006】
1つの戦略として、液体電解質を、Li+イオンの伝導性を有するとともにバッテリパックコストを約20%削減しつつも3~4倍のエネルギー密度を提供可能な固体材料に置き換えた固体電池の開発が挙げられる。これらの魅力的な特徴にもかかわらず、電気自動車などのバルクスケール用途向け固体電池の製造及び試験は行われていない。
【0007】
現在、SOAリチウムイオン電池に用いられている液体電解質は、リチウム金属アノード又は高電圧カソードの使用などの先進電池概念とは馴染まない。さらに、SOAリチウムイオン電池に利用されている液体は可燃性であり、熱暴走すると燃焼を生じやすい。SOAに用いられる液体を置き換えるために固体電解質を用いることによって高度な電池化学が可能となると同時に燃焼のリスクがなくなる。窒素ドープリン酸リチウム(LiPON)又は硫化物系ガラスを含むさまざまな固体電解質が特定されており、これらのタイプの技術を商品化するために会社が設立されてきた。これらのタイプの電池の性能に向けた進展がみられるものの、LiPONは蒸着する必要があり、また硫化物ガラスは環境大気に暴露されると有毒なH2Sを発生することから、大規模製造は行われていない。したがってこれらのシステムは特殊な製造手法を要求する。
【0008】
また、固体状電解質用の超伝導酸化物(SCO)も提案されている。種々の酸化物電解質が文献で報告されてはいるものの、さまざまな基準を同時に満たす必要があることから特定の材料の選択は簡単ではない。SOAリチウムイオン電池技術ベースラインの組み合わせについて以下の指標が特定されている。即ち、(1)SOAリチウムイオン電池技術と同等の、伝導率>0.2mS/cm、(2)無視できる電子伝導率(electronic conductivity)、(3)高電圧カソード及びリチウム金属アノードに対する電子化学的安定性、(4)高温安定性(5)環境大気及び湿気に対する妥当な安定性及び(6)50マイクロメートル未満の厚さで製造が可能であること、である。以来、リチウムランタンジルコニウム酸化物(LLZO)が、上で概説した固体電解質に必要な基準の全てを満たすことができることが示されてきた。
【0009】
電力性能及び充電時間は、急速充電自動車、医療ハンドツール及び消費者向け電子技術応用において重要な懸案指標である。自動車の急速充電における重要な関心事は、固体電解質が故障せずに高電流密度をサポートする能力である。臨界電流密度(CCD)として知られる故障がみられる電流密度は1~10mA/cm2である必要があり、これは容易ではない。より高い電流密度はよりよい電力性能及びより速い充電時間に直接関係する。
【0010】
したがって、自動車用途における固体電池について臨界電流密度を上げる方法が必要である。
【発明の概要】
【0011】
本開示は、固体状電解質とリチウム金属アノードとの間に界面層を形成するための方法を提供する。界面層は、界面インピーダンスの面積固有抵抗(ASR)を低減することで臨界電流密度を改善するとともに電束を均一化する電子伝導性層を備える。
【0012】
一側面において、本開示は、固体状電解質を形成するための方法を提供する。前記方法は、(a)第1電子伝導率を有する前駆層を含む固体状電解質材料を提供する工程と、(b)前記固体状電解質材料上の前記前駆層を、前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する界面層に還元する工程と、を含むことができる。前記第2電子伝導率は1×10-7S/cmよりも大きくてもよく、又は1×10-6S/cmよりも大きくてもよく、1×10-5S/cmよりも大きくてもよく、1×10-4S/cmよりも大きくてもよく、1×10-3S/cmよりも大きくてもよく、1×10-2S/cmよりも大きくてもよく、1×10-1S/cmよりも大きくてもよい。
【0013】
前記前駆層は1以上の金属酸化物を備えることができる。前記前駆層は、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、インジウムスズ酸化物、インジウムドープカドミウム酸化物、グラフェン、カーボンナノチューブ、非晶質炭素、バナジウム酸化物、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化タンタル、ランタンドープチタン酸ストロンチウム、ランタンドープチタン酸バリウム及びこれらからなる混合物からなるグループから選択される金属酸化物を備えることができる。
【0014】
前記方法において、前記(b)の工程は、前記前駆層を、還元雰囲気で加熱することによって還元させることを含むことができる。前記方法において、前記(b)の工程は、前記前駆層を酸化又は不活性ガスに暴露させ、その後温度を変更せずに還元ガスに切り替えることで、前記前駆層を還元させることを含むことができる。前記方法において、前記(b)の工程は、薬剤を用いて前記前駆層を還元させることを含むことができる。前記方法において、前記(b)の工程は、前記前駆層を電気化学的に活性な金属に接触させることによって、前記前駆層を前記電子伝導性界面層に還元させることを含む。前記電気化学的に活性な金属は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備えることができる。前記電気化学的に活性な金属はリチウムを備えることができる。
【0015】
前記方法において、前記固体状電解質材料は、Liwx2Re3-yzの化学式を有するセラミック材料を備えることができ、式中、wは、5~7.5であり、Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、xは、0~2であり、Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、yは、0.01~0.75であり、zは、10.875~13.125であり、前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する。
【0016】
前記方法において、前記前駆層は、ガーネット、ペロブスカイト、NaSICON又はLiSICON相を有するあらゆる組み合わせの酸化物又はリン酸塩材料を含む第2固体電解質材料を備えることができる。ガーネット相はスズをベースとすることができる。NASICONはチタンをベースとすることができる。
【0017】
別の側面では、本開示は、電気化学的に活性な金属を含むアノードを有する電気化学デバイス用の固体状電解質を形成するための方法を提供する。前記方法は、(a)固体状電解質材料を提供する工程と、(b)前記固体状電解質材料の表面に、第1金属を含む界面層を堆積させることと、を含むことができ、前記電気化学的に活性な金属は、サイクリング中又は前記電気化学デバイスの作成中に前記第1金属と合金を形成しない。
【0018】
前記方法において、前記電気化学的に活性な金属は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備えることができる。前記方法において、前記電気化学的に活性な金属はリチウムを備えることができる。前記方法において、前記アノードは本質的にリチウム金属から構成することができる。
【0019】
前記方法において、前記第1金属は、前記電気化学的に活性な金属に対するブロッキング金属、前記電気化学的に活性な金属に対する半ブロッキング金属、前記電気化学的に活性な金属に対する非ブロッキング金属、又はこれらからなる混合物を備えることができる。前記方法において、前記ブロッキング金属は、ニッケル、モリブデン、チタン又はこれらからなる混合物を含むことができる。前記方法において、前記半ブロッキング金属は、銀、金、プラチナ、銅、クロム、鉄、コバルト、鋼、ステンレス鋼又はこれらからなる混合物を含むことができる。前記方法において、前記非ブロッキング金属は、アルミニウム、鉛、亜鉛、インジウム、ガリウム、マグネシウム、シリコン、ビスマス及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0020】
前記方法において、前記固体状電解質材料は、第1電子伝導率を有し、前記界面層は、前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有することができる。前記第2電子伝導率は1×10-7S/cmよりも大きくてもよく、又は1×10-6S/cmよりも大きくてもよく、1×10-5S/cmよりも大きくてもよく、1×10-4S/cmよりも大きくてもよく、1×10-3S/cmよりも大きくてもよく、1×10-2S/cmよりも大きくてもよく、1×10-1S/cmよりも大きくてもよい。
【0021】
前記方法において、前記固体状電解質材料は、Liwx2Re3-yzの化学式を有するセラミック材料を備えることができ、式中、wは、5~7.5であり、Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、xは、0~2であり、Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、yは、0.01~0.75であり、zは、10.875~13.125であり、前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する。
【0022】
前記方法において、前記固体状電解質材料は化学式Li6.25La2.7Zr2Al0.2512を有することができる。
【0023】
別の側面では、本開示は、固体状電解質を形成するための方法を提供する。前記方法は、(a)第1電子伝導率を有する固体状電解質材料を提供する工程と、(b)前記固体状電解質材料を、前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する高分子層でコーティングすることと、を含むことができる。前記第2電子伝導率は1×10-7S/cmよりも大きくてもよく、又は1×10-6S/cmよりも大きくてもよく、1×10-5S/cmよりも大きくてもよく、1×10-4S/cmよりも大きくてもよく、1×10-3S/cmよりも大きくてもよく、1×10-2S/cmよりも大きくてもよく、1×10-1S/cmよりも大きくてもよい。
【0024】
前記方法において、前記高分子層は1以上の高分子材料を備えることができる。前記高分子層は、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(パラフェニレンスルフィド)及びこれらからなる混合物からなるグループから選択される高分子を備えることができる。
【0025】
前記方法において、前記固体状電解質材料は、Liwx2Re3-yzの化学式を有するセラミック材料を備えることができ、式中、wは、5~7.5であり、Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、xは、0~2であり、Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、yは、0.01~0.75であり、zは、10.875~13.125であり、前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する。
【0026】
前記方法において、前記固体状電解質材料は化学式Li6.25La2.7Zr2Al0.2512を有することができる。
【0027】
別の側面では、本開示は、カソードと、固体状電解質材料と前記固体状電解質材料の表面にある界面層とを含む固体状電解質と、電気化学的に活性な金属を含むアノードと、を備えた電気化学デバイスを提供し、前記界面層は第1金属を含み、前記電気化学的に活性な金属は、サイクリング中又は前記電気化学デバイスの作成中に前記第1金属と合金を形成しない。前記電気化学的に活性な金属は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備えることができる。前記電気化学的に活性な金属はリチウムを備えることができる。前記アノードは本質的にリチウム金属から構成することができる。前記第1金属は、前記電気化学的に活性な金属に対するブロッキング金属、前記電気化学的に活性な金属に対する半ブロッキング金属、前記電気化学的に活性な金属に対する非ブロッキング金属、又はこれらからなる混合物を備えることができる。前記ブロッキング金属は、ニッケル、モリブデン、チタン又はこれらからなる混合物を含むことができる。前記半ブロッキング金属は、銀、金、プラチナ、銅、クロム、鉄、コバルト、鋼、ステンレス鋼又はこれらからなる混合物を含むことができる。前記非ブロッキング金属は、アルミニウム、鉛、亜鉛、インジウム、ガリウム、マグネシウム、シリコン、ビスマス及びこれらの組み合わせを含むことができる。
【0028】
前記電気化学デバイスにおいて、前記固体状電解質材料は、第1電子伝導率を有し、前記界面層は、前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有することができる。前記第2電子伝導率は1×10-7S/cmよりも大きくてもよく、又は1×10-6S/cmよりも大きくてもよく、1×10-5S/cmよりも大きくてもよく、1×10-4S/cmよりも大きくてもよく、1×10-3S/cmよりも大きくてもよく、1×10-2S/cmよりも大きくてもよく、1×10-1S/cmよりも大きくてもよい。
【0029】
前記電気化学デバイスにおいて、前記固体状電解質材料は、Liwx2Re3-yzの化学式を有するセラミック材料を備えることができ、式中、wは、5~7.5であり、Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、xは、0~2であり、Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、yは、0.01~0.75であり、zは、10.875~13.125であり、前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する。
【0030】
前記電気化学デバイスにおいて、前記固体状電解質材料は化学式Li6.25La2.7Zr2Al0.2512を有することができる。
【0031】
別の側面において、本開示は、カソードと、第1電子伝導率を有する固体状電解質材料と前記第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する高分子コーティング層とを含む固体状電解質と、電気化学的に活性な金属を含むアノードと、を備えた電気化学デバイスを提供する。前記電気化学的に活性な金属は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備えることができる。前記電気化学的に活性な金属はリチウムを備えることができる。前記アノードは本質的にリチウム金属から構成することができる。
【0032】
前記電気化学デバイスにおいて、前記高分子コーティング層は、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(パラフェニレンスルフィド)及びこれらからなる混合物からなるグループから選択される高分子を備えることができる。
【0033】
前記電気化学デバイスにおいて、前記固体状電解質材料は、Liwx2Re3-yzの化学式を有するセラミック材料を備えることができ、式中、wは、5~7.5であり、Aは、B、Al、Ga、In、Zn、Cd、Y、Sc、Mg、Ca、Sr、Ba及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、xは、0~2であり、Mは、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、W、Sn、Ge、Si、Sb、Se、Te及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、Reは、ランタニド元素、アクチニド元素及びこれらのあらゆる組み合わせから選択され、yは、0.01~0.75であり、zは、10.875~13.125であり、前記材料は、ガーネット型又はガーネット状の結晶構造を有する。
【0034】
前記電気化学デバイスにおいて、前記固体状電解質材料は化学式Li6.25La2.7Zr2Al0.2512を有することができる。
【0035】
本発明の上記の及び他の側面及び利点は以下の説明から明らかとなる。以下の説明は、本明細書の一部を構成するとともに本発明の例示的な実施形態を説明する添付の図面を参照してなされている。しかしながらそのような実施形態は必ずしも本発明の全範囲を表すものではなく、したがって本発明の範囲は特許請求の範囲及び本明細書を参照して解釈されるべきである。
【0036】
本発明についての以下の詳細な説明を検討すれば、本発明がより良く理解されるであろうし、また上記以外の特徴、側面及び利点が明らかとなるであろう。そのような詳細な説明は図面を参照してなされている。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】リチウム金属電池の概略図である。
図2】Li/固体電解質の面積固有抵抗(ASR)のバリエーション及び臨界電流密度(CCD)のバリエーションを温度の関数として示したものである。
図3】3つの異なるコーティングのクラスについて、臨界電流密度(CCD)対リチウム界面インピーダンス(ASR)を示すものである。ベースラインポイント(「なし」シリーズ)は比較のために図2に示す30℃で測定されたサンプルから及び内部実験から得られたものである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態について詳しく説明する前に、本発明は、適用において、以下の説明に記載の又は添付の図面に示した構成の詳細及び部品の配置に限定されないことは理解されるべきである。本発明は、他の実施形態も可能であり、種々の形で実施又は実行可能である。また、本明細書で用いられる表現及び用語は説明を目的としたものであり限定とみなすべきでないことは理解されるべきである。本明細書に記載の「含む」、「備える」又は「有する」及びこれらのバリエーションの使用は、これより前に記載されたアイテム、それと同等な物及び追加のアイテムを包含することを意味する。
【0039】
以下の議論は、当業者による本発明の実施形態の作成及び使用を可能とするために示されている。示された実施形態に対する種々の変更は当業者にすぐ明らかとなるであろうし、本明細書の全体的な原理は本発明の実施形態から逸脱することなく他の実施形態及び応用に適応可能である。したがって、本発明の実施形態は示された実施形態に限定されることは意図しておらず、本明細書に開示された原理及び特徴と一貫した最も広い範囲が与えられるべきである。当業者は、本明細書に示された例が多くの有用な代替を有するとともに本発明の実施形態の範囲内であることを認識するであろう。
【0040】
本明細書に記載の種々の実施形態は、固体状電解質とリチウム金属アノードとの間に界面層を形成するための方法を提供する。界面層は、界面における面積固有抵抗を減少させるとともに電束を均一化することで臨界電流密度を高めるために、固体状電解質とリチウム金属アノードとの間に位置する電子伝導性層を含む。
【0041】
本明細書で用いられる「固体電解質」との用語は、複合電極のイオン伝導率を上げるように作用する相を指すことができる。
【0042】
本明細書で用いられる「臨界電流密度(CCD)」との用語は、故障がみられる前の固体電解質がサポートできる電流密度を指すことができる。
【0043】
本明細書で用いられる「面積固有抵抗(ASR)」との用語は、あらゆる部品の面積固有抵抗を指すことができるが、通常は、リチウム金属アノードと固体電解質界面の間の抵抗を定義するのに用いられる。
【0044】
本明細書で用いられる「ブロッキング」との用語は、熱力学的相図によって定義される十分に低いリチウム溶解性を有する材料を指すことができ、このような材料はリチウムと反応しないと考えることができる。
【0045】
本明細書で用いられる「半ブロッキング」との用語は、熱力学的相図によって定義される中程度に低いリチウム溶解性を有する材料を指すことができ、このような材料はリチウムと反応しないと考えることができる。
【0046】
本明細書で用いられる「非ブロッキング」との用語は、熱力学的相図によって定義される高いリチウム溶解性を有する材料を指すことができ、このような材料はリチウムと合金化反応すると考えることができる。
【0047】
本明細書で用いられる「変換相」との用語は、ブロッキング、半ブロッキング又は非ブロッキング金属伝導性被覆を形成するために化学又は電子化学反応還元反応によって変換される材料を指すことができる。
【0048】
図1は、本開示の一実施形態に係るリチウム金属電池110の非限定的かつ例示的な応用を示す。図1のリチウム金属電池110は、カソード114と接触する第1電流コレクタ112(即ちアルミニウム)を含む。固体状電解質116は、カソード114と界面層118の間に配置される。界面層118は、固体状電解質116と、第2電流コレクタ122(即ち銅)と接触するアノード120と、の間に配置されている。リチウム金属電池110の第1電流コレクタ112及び第2電流コレクタ122は電気部品124と電気的に導通してもよい。電気部品124は、リチウム金属電池110を、電池を放電させる電気負荷又は電池を充電する充電器と電気的に導通させることができる。
【0049】
第1電流コレクタ112及び第2電流コレクタ122は導電性金属又はあらゆる適切な導電性材料を備えることができる。一部の実施形態では、第1電流コレクタ112及び第2電流コレクタ122は、アルミニウム、ニッケル、銅並びにこれらの組み合わせ及び合金を含む。一部の実施形態では、第1電流コレクタ112及び第2電流コレクタ122は、厚さが0.1マイクロメートル以上である。図1で描かれている厚さはスケール用ではないことは理解されるべきである。また、第1電流コレクタ112及び第2電流コレクタ122の厚さは異なってもよいことは理解されるべきである。
【0050】
一部の実施形態では、リチウム金属電池110の適切なカソード114は、リチウムイオンを貯蔵しその後放出することが可能なリチウム母材である。例示的なカソード活物質はリチウム金属酸化物であり、前記金属はアルミニウム、コバルト、鉄、マンガン、ニッケル及びバナジウムのうちの1以上である。非限定的かつ例示的なリチウム金属酸化物は、LiCoO2(LCO)、LiFeO2、LiMnO2(LMO)、LiMn24、LiNiO2(LNO)、LiNixCoy2、LiMnxCoy2、LiMnxNiy2、LiMnxNiy4、LiNixCoyAlz2、LiNi1/3Mn1/3Co1/32及びその他である。カソード活物質の別の例は、リン酸鉄リチウム(LFP)及びフルオロリン酸鉄リチウムなどの一般式がLiMPO4であるリチウム含有リン酸塩(Mは、コバルト、鉄、マンガン及びニッケルのうちの1以上である)である。電子伝導率、層の順序、脱リチウム化の安定性及びカソード材料のサイクル特性に影響を与えるために、Co,Mn,Ni,Cr,Al又はLiなどの多くの異なる元素を構造内に代入又は追加してもよい。カソード活物質は、任意の数のこれらのカソード活物質の足し合わせでもよい。他の実施形態では、リチウム金属電池110のカソード114についての適切な材料は、(リチウム空気電池について)多孔性炭素、又は(リチウム硫黄電池について)含硫黄材料である。
【0051】
一部の実施形態では、リチウム金属電池110の適切なアノード118は、リチウム金属から構成される。別の例示的なアノード118の材料は本質的にリチウム金属から構成される。他の実施形態では、適切なアノード118は本質的にマグネシウム、ナトリウム又は亜鉛金属から構成される。
【0052】
リチウム金属電池110のための例示的な固体状電解質116の材料は、化学式LiuRevwxyを有する電解質材料を含み、ここで、Reは、La,Nd,Pr,Pm,Sm,Sc,Eu,Gd,Tb,Dy,Y,Ho,Er,Tm,Yb及びLuを含む、原子価(nominal valance)が+3価である元素のあらゆる組み合わせとすることができ、Mは、Zr,Ta,Nb,Sb,W,Hf,Sn,Ti,V,Bi,Ge及びSiを含む、原子価が+3価、+4価、+5価又は+6価である金属のあらゆる組み合わせとすることができ、Aは、H,Na,K,Rb,Cs,Ba,Sr,Ca,Mg,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Al,B及びMnを含む、原子価が+1価、+2価、+3価又は+4価であるドーパント原子のあらゆる組み合わせとすることができ、uは3~7.5の範囲でさまざまであり、vは0~3の範囲でさまざまであり、wは0~2の範囲でさまざまであり、yは11~12.5の範囲でさまざまである。
【0053】
リチウム金属電池110の固体状電解質116材料としてLi7La3Zr212(LLZO)材料を用いることは有益である。LLZO材料は電子伝導率が2×10-8S/cmであると報告されている。Ezhiyl Rangasamy、Jeff Wolfenstine及びJeffrey Sakamoto著、「組成式Li7La3Zr212の立方晶ガーネット型固体電解質の形成におけるAl及びLi濃度の役割」、Solid State Ionics、206(2012年)28参照。
【0054】
別の例示的な固体状電解質116は、ガーネット、ペロブスカイト、NaSICON又はLiSICON相を有するあらゆる組み合わせの酸化物又はリン酸塩材料を含むことができる。リチウム金属電池110の固体状電解質116は、電子伝導率が無視でき高電圧カソード及びリチウム金属アノードに対して電気化学的に安定なものであれば、イオンを貯蔵又はアノードとカソードとの間で移送できるあらゆる固体状材料を含むことができる。
【0055】
本明細書に記載の一実施形態は、固体状電解質116とアノード120の間の面積固有抵抗(ASR)を減少させるための方法に関する。図2は、ASRがどのようにリチウム金属電池110の臨界電流密度(CCD)に影響を及ぼすかを温度の関数として示したものである。この図は、CCDを高めること(このことはより良い電力性能及びより速い充電時間に直接関係する)に寄与する因子の1つが、アノード120と固体状電解質116の間の界面におけるASRであることを示唆する。図3は、本開示の種々の側面に係る種々の界面層118を含むリチウム金属電池110のCCD対ASRを示す。この図は界面層118の組成がリチウム金属電池110のCCDに影響を及ぼすことを示唆する。
【0056】
一部の実施形態では、界面層118は、アノード120と固体状電解質116の間に簡易界面(facile interface)を形成する電子伝導性層を含む。界面層118は、ASRを減少させてリチウム金属電池110のCCDを増大させるために、アノード120と固体状電解質116の間の印加された電流密度を均一化する。例示的な界面層118は、アノード120上の帯電表面から固体状電解質116の面まで延びる電子伝導性層を備えることができる。界面層118は、アノード120と固体状電解質116の間の粒界を満たすことで及び固体状電解質116の全面に沿って延びることで、皮相及び実電流密度を収束させる。本明細書に開示されたように界面でASRを減少させることは、アノード120と界面層118を合金化させることを必要としない。リチウムアノードの場合、本開示は、界面層118内にリチウムを溶解させることを必要としない。このため、リチウムイオン電池110の性能を高めるために種々のクラスの電子伝導性材料を界面層118として用いることができる。
【0057】
一部の実施形態では、界面層118は電子伝導性を有するあらゆる相を備える。これらの相は、金属、セラミックス又は高分子材料を含むことができる。他の非限定的な例では、界面層118は、非ブロッキング金属、半ブロッキング金属、ブロッキング金属及びこれらからなる混合物を備えてもよい。一部の側面では、界面層118は、固体状電解質116の第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する。
【0058】
一部の側面では、界面層118は、電子伝導率が1×10-7S/cmよりも大きく、又は1×10-6S/cmよりも大きく、1×10-5S/cmよりも大きく、1×10-4S/cmよりも大きく、1×10-3S/cmよりも大きく、1×10-2S/cmよりも大きく、1×10-1S/cmよりも大きい。
【0059】
本開示の一部の非限定的な例では、界面層118は、アルミニウム、鉛、亜鉛、インジウム、ガリウム、マグネシウム、シリコン、ビスマス及びこれらの組み合わせなどの非ブロッキング金属を含む。界面層118の別の例は、金、銀、プラチナ、銅、クロム、鉄、コバルト、鋼、ステンレス鋼及びこれらの組み合わせなどの半ブロッキング金属も含む。他の例では、界面層118は、ニッケル、モリブデン及びチタンなどのブロッキング金属を含む。ブロッキング金属は熱力学的相図によればリチウム溶解度が低いものの、簡易界面が形成され電荷移動が観測された。加えて、ブロッキング、半ブロッキング及び/又は非ブロッキング金属のあらゆる合金又は組み合わせを用いてもよい。
【0060】
電気化学デバイス用の固体状電解質116を形成するための1つの方法は、最初に固体状電解質116材料を提供し、固体状電解質116材料上に界面層118を堆積させることを含む。一部の側面では、界面層118は第1金属を備え、電気化学デバイスは、電気化学活物質を含むアノード120を備える。一部の実施形態では、第1金属及び電気化学的に活性な金属は、サイクリング中又は電気化学デバイスの作成中に合金を形成しない。第1金属は、ブロッキング金属、半ブロッキング金属、非ブロッキング金属、これらからなる混合物を含むことができる。電気化学活物質は、リチウム、マグネシウム、ナトリウム又は亜鉛を備えることができる。
【0061】
界面層118は、様々な異なる堆積法を用いて固体状電解質116上に堆積させることができる。界面層118の気相蒸着法は、高周波スパッタリング、多周波スパッタリング、電子ビーム蒸着、直流スパッタリング、反応性スパッタリング、非反応性スパッタリング、化学気相蒸着、プラズマ強化化学気相蒸着、有機金属化学気相蒸着、原子層堆積、分子層堆積、レーザアシスト蒸着などの物理蒸着及びスパッタ成膜を含むことができる。
【0062】
堆積法は、プラズマ溶射、噴霧熱分解、スロットダイ塗布、スクリーンプリンティングなどの非真空ベースのものとすることもできる。あるいは、ゾル-ゲル湿式化学を用いて界面層118を堆積させてもよい。当業者であれば認識できるようにあらゆるコーティング又は堆積法を用いてもよいことは理解されるべきである。
【0063】
一部の実施形態では、界面層118は、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(パラフェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(3-アルキルチオフェン)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)、ポリ(パラフェニレンスルフィド)、これらの共重合体及びこれらからなる混合物などのあらゆる電子伝導性高分子材料を含む。
【0064】
一実施形態において、最初に第1電子伝導率を有する固体状電解質116材料を提供し、その後第2電子伝導率を有する界面層118を固体状電解質116材料の表面に堆積させることで、固体状電解質116が形成される。一実施形態において、界面層118は、上記の高分子材料のうちの何れかを備えるとともに、上記の方法の何れかによって堆積される。一部の側面では、第2電子伝導率は第1電子伝導率よりも大きい。一実施形態では、界面層118の第2電子伝導率は上記の値と同様である。
【0065】
本開示の一部の非限定的な例では、界面層118は、あらゆる電子伝導性セラミックを含む。電子伝導性セラミックは、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、フッ素ドープ酸化スズ、インジウムスズ酸化物、インジウムドープカドミウム酸化物、グラフェン、カーボンナノチューブ、非晶質炭素、バナジウム酸化物、炭化ケイ素、窒化チタン、炭化タンタル、ランタンドープチタン酸ストロンチウム及びランタンドープチタン酸バリウムなどの1以上の金属酸化物を含むことができる。
【0066】
本開示の一部の非限定的な例では、界面層118は、固体状電解質116材料上に、変換相材料から形成される。一実施形態では、固体状電解質116材料は、最初に提供され、第1電子伝導率を有する前駆層を含む。その後、前駆層が、固体状電解質材料上で第1電子伝導率よりも大きい第2電子伝導率を有する界面層118へと還元される。
【0067】
一部の実施形態では、界面層118の第2電子伝導率は上記の値と同様である。適切な変換相材料は、上記のセラミックスの何れかを含むことができる。ある非限定的な例では、変換相材料は前駆層としての酸化スズを含むことができ、酸化スズは界面層118としてのスズに化学的又は電気化学的に還元される。あるいは、変換相は第2固体状電解質を含むことができる。適切な第2固体状電解質は、1以上の上記の固体電解質を備えることができる。加えて、適切な第2固体状電解質は、ガーネット相又はNaSICON相を含むことができる。そのような場合では、ガーネット相はスズをベースとしており、NaSICONはチタンをベースとしている。
【0068】
変換相材料を還元するために複数の方法を用いることができる。一実施形態では、薬剤を用いて前駆層を還元させてもよい。あるいは、変換相材料を、リチウム金属などのアノード120に接触させることで化学的に還元させることができる。他の実施形態では、界面層118は、安定な固体状電解質の表面を還元させることによって形成することができる。一部の例では、あらゆる還元雰囲気において加熱することでこれを達成することができる。あるいは、焼結中の気体環境を、第1の酸化又は不活性環境から第2の還元雰囲気に切り替えることができる。一部の実施形態では、これは温度を変更することなく行われる。
【0069】
本発明について特定の実施形態を参照してかなり詳細に記載したが、本発明は、例示目的でかつ限定を意図せずに記載された実施形態以外によっても実施可能であることは当業者に理解されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本明細書に含まれる実施形態の記載に限定されるべきではない。
【0070】
本発明の種々の特徴及び利点が特許請求の範囲に記載されている。
図1
図2
図3