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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】画像表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20231122BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20231122BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231122BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20231122BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20231122BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20231122BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20231122BHJP
   H05B 33/14 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
G09F9/00 313
C09J7/38
C09J201/00
G02B5/30
G02F1/1335
G02F1/13363
G09F9/00 338
H05B33/02
H05B33/14
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020007156
(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公開番号】P2020129109
(43)【公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019022051
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100152571
【弁理士】
【氏名又は名称】新宅 将人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 暢
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-27995(JP,A)
【文献】国際公開第2008/126503(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/77663(WO,A1)
【文献】特開2008-13628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F9/00
C09J7/38
G02B5/30
G02F1/1335
G02F1/13363
H01L51/50
H05B33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示セル、および前記画像表示セルの表面に粘着剤層を介して貼り合わせられた偏光板を備える画像表示装置であって、
前記偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の面に配置された位相差フィルムとを備え、
前記位相差フィルムは、前記偏光子と前記画像表示セルの間に配置されており、
前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内複屈折が8×10-3以上であり、
前記偏光板が前記画像表示セルに前記粘着剤層を介して貼り合わせられている状態における、前記位相差フィルムの遅相軸方向と前記偏光子の吸収軸方向とのなす角度θと、前記偏光板を前記画像表示セルから剥離した際の前記位相差フィルムの遅相軸方向と前記偏光子の吸収軸方向とのなす角度θとの差の絶対値|θ-θ|が、0.4°以下である、画像表示装置。
【請求項2】
前記位相差フィルムは、遅相軸方向に対して45°方向に張力を付与した際の、張力に対する遅相軸の変化量が、0.1°/N/10mm以上である、請求項1に記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記位相差フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たす、請求項1または2に記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記θが0±0.4°または90±0.4°の範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記位相差フィルムの面内レターデーションが200nm以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記位相差フィルムが、前記粘着剤層に接している、請求項1~5のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記粘着剤層の温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を厚みDで割った値G’/Dが、5.0kPa/μm以上である、請求項1~6のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記粘着剤層の厚みが25μm以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の画像表示装置。
【請求項9】
画像表示セルの表面に、偏光子と偏光子の面に配置された位相差フィルムとを備える偏光板が、粘着剤層を介して貼り合わせられている画像表示装置を製造する方法であって、
偏光子の一方の面に、波長550nmにおける面内複屈折が8×10-3以上である位相差フィルムが積層され、前記位相差フィルム上に粘着剤層が付設された粘着剤付き偏光板を準備し、
前記粘着剤付き偏光板と画像表示セルとを、ラミネート圧0.05~0.4MPaで貼り合わせる、画像表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記粘着剤層の温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を厚みDで割った値G’/Dが、5kPa/μm以上である、請求項9に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記粘着剤層の厚みが25μm以下である、請求項9または10に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記粘着剤付き偏光板において、前記偏光子の吸収軸方向と前記位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θと、前記粘着剤付き偏光板を前記画像表示セルと貼り合わせた後の前記位相差フィルムの遅相軸方向と前記偏光子の吸収軸方向とのなす角度θとの差の絶対値|θ-θ|が、0.4°以下である、請求項9~11のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記位相差フィルムの面内レターデーションが200nm以上である、請求項9~12のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記位相差フィルムは、遅相軸方向に対して45°方向に張力を付与した際の、張力に対する遅相軸の変化量が、0.1°/N/10mm以上である、請求項9~13のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記位相差フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たす、請求項9~14のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示セルの表面に、偏光子と位相差フィルムとが積層された偏光板を備える画像表示装置、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等のモバイル機器、カーナビゲーション装置等の車載装置、パソコン用モニタ、テレビ等の各種画像表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置が広く用いられている。液晶表示装置は、その表示原理から、液晶セルの両面に偏光子が配置されている。液晶セルと偏光子の間には、コントラスト向上や視野角拡大等の光学補償を行う目的で、位相差フィルムが配置される場合がある。有機EL表示装置では、外光が金属電極(陰極)で反射されて鏡面のように視認されることを抑制するために、セルの視認側表面に円偏光板(偏光子と1/4波長のレターデーションを有する位相差フィルムとの積層体)が配置される場合がある。
【0003】
偏光板は、一般に、偏光子の片面または両面に透明保護フィルム(偏光子保護フィルム)が貼り合わせられた構成を有し、透明保護フィルムとして位相差フィルムが用いられる場合がある。また、偏光子の表面に透明保護フィルムが貼り合わせられ、その上に位相差フィルムが貼り合わせられる場合がある。偏光子と位相差フィルムとが積層された偏光板は、一般に粘着剤を介して画像表示セルの表面の基板に貼り合わせられる。
【0004】
偏光子と画像表示セルとの間に配置される位相差フィルムの光学特性が面内で不均一であると、表示画像にムラが生じるため、位相差フィルムには、膜厚や光学特性の均一性が要求される。例えば、特許文献1は、位相差フィルムの光学軸方向を均一化する技術を開示している。
【0005】
画像表示装置が高温高湿環境に曝されたり、急激な環境変化に晒されると、位相差フィルムの光学特性の変化や、偏光子の劣化等に起因して表示ムラが生じることが知られており、光学特性の変化が生じ難い偏光板を提供するために様々な手法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016‐109924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ディスプレイの軽量化や薄型化に対する要求が高まっており、従来よりも膜厚の小さい位相差フィルムが用いられるようになっている。位相差フィルムのレターデーションは、複屈折と厚みの積であるため、薄型化に対応するためには、高複屈折材料の使用や、延伸倍率を大きくすることにより、位相差フィルムの複屈折を大きくする必要がある。
【0008】
軽量化や薄型化に加えて、ディスプレイの高輝度化および高画質化が進んでおり、従来は視認されなかった微細な欠点やムラが品質課題として顕在化している。偏光子と複屈折の大きい位相差フィルムとが積層された偏光板を、粘着剤を介して画像表示セルに貼り合わせると、偏光板自体は高い光学均一性を有しているにも関わらず、画像表示装置の表示画像にムラが視認される場合がある。
【0009】
このような表示ムラは、光学特性の不均一性に起因するムラや、高温高湿環境等での経時変化または環境変化に起因するムラとは異なるものであり、その発生原因や解決指針等に関する知見が存在しない。上記に鑑み、本発明は、高複屈折の位相差フィルムと偏光子とを積層した偏光板を備え、表示画像のムラが低減された画像表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像表示装置は、画像表示セルの表面に粘着剤層を介して貼り合わせられた偏光板を備える。偏光板は、偏光子と位相差フィルムとを備え、位相差フィルムは、偏光子と画像表示セルの間に配置されている。位相差フィルムの波長550nmにおける面内複屈折は8×10-3以上である。
【0011】
偏光子の一方の面に、波長550nmにおける面内複屈折が8×10-3以上である位相差フィルムが積層され、位相差フィルム上に粘着剤層が付設された粘着剤付き偏光板を、画像表示セルに貼り合わせることにより、画像表示装置が形成される。粘着剤付き偏光板において、位相差フィルムが粘着剤層に接していてもよい。
【0012】
位相差フィルム上に設けられた粘着剤層は、温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を厚みDで割った値G’/Dが、5kPa/μm以上であってもよい。粘着剤層の厚みは25μm以下であってもよい。
【0013】
粘着剤付き偏光板を画像表示セルに貼り合わせる際のラミネート圧は、0.05~0.4MPaが好ましい。
【0014】
位相差フィルムの面内レターデーションは200nm以上であってもよい。位相差フィルムは、面内の遅相軸方向の屈折率nx、面内の進相軸方向の屈折率ny、および厚み方向の屈折率nzが、nx>nz>nyを満たすものであってもよい。位相差フィルムは、遅相軸方向に対して45°方向に張力を付与した際の、張力に対する遅相軸の変化量が、0.1°/N/10mm以上であってもよい。
【0015】
画像表示セルと貼り合わせる前の粘着剤付き偏光板における、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θと、粘着剤付き偏光板を画像表示セルと貼り合わせた後の偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θとの差の絶対値|θ-θ|は、0.4°以下であることが好ましい。また、画像表示セルから粘着剤付き偏光板を剥離した際の偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θと、θとの差の絶対値|θ-θ|は、0.4°以下であることが好ましい。θは0±0.4°または90±0.4°の範囲内であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
厚みが小さく複屈折が大きい位相差フィルムを用いた場合でも、表示ムラが生じ難く表示品質に優れる画像表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】液晶表示装置の構成断面図である。
図2】有機EL表示装置の構成断面図である。
図3】粘着剤付き偏光板とガラス板とを貼り合わせた試料のクロスニコル観察象であり、Aはムラが視認された試料、Bはムラが視認されなかった試料である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の画像表示装置は、画像表示セルの表面に、粘着剤層を介して貼り合わせられた偏光板を備える。偏光板は、偏光子と、偏光子の一方の面に配置された位相差フィルムとを備え、位相差フィルムが、偏光子と画像表示セルの間に配置されている。偏光子と画像表示セルの間に位相差フィルムが配置されている画像表示装置としては、液晶表示装置および有機EL表示装置が挙げられる
【0019】
[液晶表示装置の構成]
図1は、一実施形態の液晶表示装置の構成断面図である。液晶表示装置201は、液晶パネル100と光源105を含む。液晶パネル100は、液晶セル10の視認側表面に第一偏光板36を備え、液晶セル10の光源105側に第二偏光板56を備える。
【0020】
液晶セル10は、2枚の基板13,15の間に液晶層11を備える。基板13,15はガラス基板またはプラスチック基板等の透明基板であり、一般的な構成では、一方の基板にカラーフィルター及びブラックマトリクスが設けられており、他方の基板に液晶の電気光学特性を制御するスイッチング素子等が設けられている。
【0021】
液晶層11は、無電解状態で所定方向に配向した液晶分子を含み、電圧を印加すると液晶分子の配向方向(ダイレクタ)が変化する。例えば、インプレーンスイッチング(IPS)方式の液晶セルでは、液晶層11の液晶分子は、無電界状態では基板平面に対して、平行かつ一様に配向しており(ホモジニアス配向)、電圧を印加すると、ダイレクタが基板面内で回転する。IPS方式の液晶セルの無電解状態における液晶分子の配向方向は、基板平面に対してわずかに傾いていてもよい。IPS方式の液晶セルにおいて、無電解状態における基板平面と液晶分子の配向方向とのなす角(プレチルト角)は、一般に10°以下である。
【0022】
液晶セル10の視認側基板13には、第一粘着剤層39を介して第一偏光板36が貼り合わせられている。液晶セル10の光源側基板15には、第二粘着剤層59を介して第二偏光板56が貼り合わせられている。
【0023】
偏光板36,56は、それぞれ偏光子31,51を含む。偏光子31,51は、吸収軸方向の振動光を吸収し、透過軸方向の振動光を直線偏光として透過(射出)する。第一偏光板36の偏光子31と、第二偏光板56の偏光子51は、両者の吸収軸方向が互いに直交するように配置されている。
【0024】
偏光子としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
【0025】
中でも、高い偏光度を有することから、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。
【0026】
PVA系偏光子として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸し、ヨウ素染色することにより得られる。
【0027】
第一偏光板36では、偏光子31の両面に透明保護フィルム33,35が貼り合わせられている。第二偏光板56では、偏光子51の両面に透明保護フィルム53,55が貼り合わせられている。
【0028】
透明保護フィルム33,35,53,55の厚みは、例えば5~200μm程度である。これらの保護フィルムを構成する樹脂材料としては、透明性、機械的強度、熱安定性に優れるポリマーが好ましく用いられる。このようなポリマーの具体例としては、アセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、マレイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびこれらの混合物あるいは共重合体等が挙げられる。
【0029】
偏光子31,51と透明保護フィルム33、35,53,55とは、接着剤や粘着剤(不図示)を介して貼り合わせられる。偏光子と透明保護フィルムとの貼り合わせに用いられる接着剤や粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系ポリマー、フッ素系ポリマー、ゴム系ポリマー等をベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。
【0030】
図1において、第一偏光板36および第二偏光板56は、偏光子31,51の両面に透明保護フィルムを備えているが、偏光板は、偏光子の片面のみに透明保護フィルムを備えるものでもよい。また、偏光子の一方の面に2枚以上の透明保護フィルムが貼り合わせられていてもよい。
【0031】
粘着剤層39,59を構成する粘着剤としては、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系、フッ素系、天然ゴム、合成ゴム等のゴム系等をベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、光学的透明性に優れ、適度な濡れ性、凝集性および接着性等の粘着特性を示すことから、アクリル系粘着剤が好ましく用いられる。粘着剤層39,59の厚みは、5~50μm程度である。
【0032】
液晶表示装置の形成においては、予め偏光子と透明保護フィルムとを貼り合わせて偏光板36,56を形成し、偏光板36,56の表面に粘着剤層39,59を付設して粘着剤付き偏光板を作製する。この粘着剤付き偏光板と液晶セル10とを、ロールラミネータ等の貼合機を用いて貼り合わせる。
【0033】
[位相差フィルム]
一実施形態の液晶表示装置では、第一偏光板36の透明保護フィルム35が位相差フィルムである。偏光子31と液晶セル10の間に配置される位相差フィルム35は、コントラスト向上や視野角拡大等の光学補償を実現し得る。例えば、IPS方式の液晶表示装置は、偏光子の吸収軸に対して45度の角度(方位角45度、135度、225度、315度)において斜め方向から視認した場合に、黒表示の光漏れが大きく、コントラストの低下やカラーシフトが生じ易い。液晶セルと偏光子との間に、面内レターデーションが波長λの1/2であり、Nz係数が0.5である位相差フィルムを配置することにより、斜め方向の黒輝度を低減し、コントラストを向上できる。
【0034】
なお、位相差フィルムのNz係数は、面内の遅相軸方向の屈折率をnx、進相軸方向の屈折率をny、厚み方向の屈折率をnzとして、Nz=(nx-nz)/(nx-ny)で定義される。位相差フィルムの面内レターデーションReは、Re=(nx-ny)×dで表される。dは位相差フィルムの厚みである。
【0035】
厚みが小さい(例えば35μm以下)薄型位相差フィルム1枚で、視感度の高い波長550nm付近の光に対してλ/2の面内レターデーションを発現させるためには、位相差フィルムの面内複屈折Δn=(nx-ny)が8×10-3以上であることが要求される。このように厚みが小さく複屈折が大きい位相差フィルムは、例えば、特開2005-181451号公報、特開2011-227430号公報、特開2016-109924号公報等に記載されているように、支持体フィルム上に樹脂溶液を塗布して溶媒を乾燥し、支持体と樹脂塗膜との積層体を延伸する方法により形成できる。厚みが小さい位相差フィルムを支持体フィルムとの積層体として取り扱うことにより、ハンドリング性を向上できる。支持体フィルムとして熱収縮性フィルムを用い、延伸の際に、延伸方向と直交する方向に積層体を収縮させることにより、nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルムが得られる。支持体フィルムとは別に熱収縮フィルムを貼り合わせて、特定方向への収縮力を付与することもできる。
【0036】
位相差フィルムの製造方法は、上記に限定されず、各種公知の方法を採用し得る。また、位相差フィルムの屈折率異方性やレターデーションは、液晶セルの種類等に応じて適宜のものを採用し得る。位相差フィルムは、ポジティブAプレート(nx>ny=nz)、ネガティブBプレート(nx>ny>nz)、ネガティブAプレート(nz=nx>ny)、またはポジティブBプレート(nz>nx>ny)であってもよい。
【0037】
nx>nz>nyの屈折率異方性を有する位相差フィルム、ポジティブAプレートおよびネガティブBプレートの作製には、正の固有複屈折を有するポリマーが好ましく用いられる。正の固有複屈折を有するポリマーは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その配向方向の屈折率が相対的に大きくなるものを指す。正の固有複屈折を有するポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン等のサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド等のスルフィド系樹脂、ポリイミド系樹脂、環状ポリオレフィン系(ポリノルボルネン系)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、セルロースエステル類等が挙げられる。また、正の固有複屈折を有する材料として液晶材料を用いてもよい。
【0038】
ネガティブAプレートおよびポジティブBプレートの作製には、負の固有複屈折を有するポリマーが好ましく用いられる。負の固有複屈折を有するポリマーは、ポリマーを延伸等により配向させた場合に、その配向方向の屈折率が相対的に小さくなるものを指す。負の固有複屈折を有するポリマーとしては、例えば、芳香族やカルボニル基などの分極異方性の大きい化学結合や官能基が、ポリマーの側鎖に導入されているものが挙げられ、具体的には、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、マレイミド系樹脂、フマル酸エステル系樹脂等が挙げられる。また、負の固有複屈折を有する材料として液晶材料を用いてもよい。例えば、フィルム面に対して垂直配向させたディスコティック液晶からネガティブAプレートが得られる。
【0039】
位相差フィルムの材料としてポリマーが用いられる場合、ポリマーフィルムを延伸し、特定の方向の分子配向性を高めることにより、位相差フィルムを形成できる。ポリマーフィルムの延伸方法としては、縦一軸延伸法、横一軸延伸法、縦横逐次二軸延伸法、縦横同時二軸延伸法等が挙げられる。延伸手段としては、ロール延伸機、テンター延伸機やパンタグラフ式あるいはリニアモーター式の二軸延伸機等、任意の適切な延伸機を用いることができる。前述のように、延伸時に熱収縮フィルムの収縮力を利用して、屈折率異方性を制御することもできる。基材上に液晶層が形成された積層体は、そのまま位相差フィルムとして用いてもよく、他のフィルムに転写してもよい。
【0040】
前述のように、小さな厚みで大きな面内レタデーション(例えば200nm以上)を実現するためには、位相差フィルムの面内複屈折Δn=(nx-ny)は、8×10-3以上が好ましい。位相差フィルムの面内複屈折Δnは、1.0×10-2以上、1.2×10-2以上、または1.3×10-2以上であってもよい。
【0041】
薄型化の観点から、位相差フィルムの厚みは35μm以下が好ましい。位相差フィルムの厚みは、30μm以下、25μm以下、または20μm以下であってもよい。位相差フィルムの厚みは、一般には1μm以上であり、3μm以上、5μm以上、または7μm以上であってもよい。前述のように、フィルム基材と一体で樹脂塗膜を延伸することにより、ハンドリング性を損なうことなく、厚みの小さい位相差フィルムを生産できる。
【0042】
[粘着剤付き偏光板]
偏光子31の一方の面の透明保護フィルム35として位相差フィルムを貼り合わせることにより、偏光板が得られる。偏光子31上に透明保護フィルム35として光学等方性フィルムを貼り合わせ、透明保護フィルム35に、適宜の接着剤または粘着剤を介して位相差フィルムを貼り合わせてもよい。偏光子31の他方の面には、透明保護フィルム33が貼り合わせられる。透明保護フィルム33は省略してもよい。透明保護フィルム33を省略する場合、偏光板36は、偏光子の片面のみに透明保護フィルム35を備える。
【0043】
IPS方式の液晶表示装置に用いられる偏光板では、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とが、平行となるように、または直交するように貼り合わせられる。光学軸の精度を高めるために、偏光子と位相差フィルムの貼り合わせは、ロールトゥーロール方式で実施することが好ましい。偏光子は一般に長手方向(延伸方向)に吸収軸を有している。そのため、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向が平行である場合は、長手方向に遅相軸を有する位相差フィルムを用いることが好ましく、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向が直交する場合は、幅方向に遅相軸を有する位相差フィルムを用いることが好ましい。
【0044】
位相差フィルム35の表面に粘着剤層39を貼り合わせることにより、偏光板36の表面に粘着剤層39が付設された粘着剤付き偏光板が得られる。粘着剤層の貼り合わせもロールトゥーロール方式で実施することが好ましい。
【0045】
偏光板を画像表示セルに貼り合わせるまでの間は、偏光板の表面に付設された粘着剤層39の露出面に離型フィルム(セパレータ)を仮着しておくことが好ましい。離型フィルムとしては、例えば、プラスチックフィルムの表面を剥離処理したものが用いられる。
【0046】
[粘着剤付き偏光板の画像表示セルへの貼り合わせ]
偏光子31と粘着剤層39の間に位相差フィルム35を有する粘着剤付き偏光板を、液晶セル10の基板13に貼り合わせることにより、液晶パネルが形成される。液晶セルの光源側の基板15には、偏光板56の表面に粘着剤層59が付設された粘着剤付き偏光板が貼り合わせられる。表裏の偏光板36,56は、液晶セル10に同時に貼り合わせてもよく、逐次貼り合わせてもよい。
【0047】
粘着剤層を用いた貼り合わせにおいては、貼り合わせ界面での密着性を高め、気泡の混入や剥がれを防止する観点から、加圧が行われる。加圧貼り合わせ方式としては、ローラー式やドラム式が挙げられる。
【0048】
後述の実施例に示すように、高複屈折の位相差フィルムは、張力(応力)によって光学軸の方向が変化しやすい。張力による位相差フィルムの光学軸方向の変化は、位相差フィルムを遅相軸方向に対して45°の角度で幅10mmの短冊状に切り出し、短冊状試料の長辺方向に張力を付与した状態で遅相軸方向を測定することにより求められる。横軸に張力、縦軸に遅相軸の角度(の変化量)をプロットし、最小二乗法により得られた直線の傾きが、張力に対する遅相軸の変化量(単位は°/N/10mm)である。
【0049】
面内複屈折が8×10-3以上である位相差フィルムは、張力に対する遅相軸の変化量が、0.1°/N/10mm以上となる場合がある。厚みが小さく面内複屈折が大きい位相差フィルムほど、張力に対する遅相軸の変化量が大きい傾向があり、張力に対する光学軸の変化量は、0.2°/N/10mm以上または0.3°/N/10mm以上であり得る。
【0050】
このように、光学軸の方向が変化しやすい位相差フィルムを備える偏光板を、画像表示セルに貼り合わせると、偏光子と位相差フィルムの貼り合わせ角度にズレが生じ、表示画像の光学的なムラとして視認される場合がある。
【0051】
偏光子31の吸収軸方向と、位相差フィルム35の光学軸(遅相軸または進相軸)方向とのなす角度の変化量(ズレ)は、0.4°以下が好ましく、0.3°以下がより好ましい。軸角度の変化量は、粘着剤層39を介して偏光板36を画像表示セルに貼り合わせた状態における偏光子31の吸収軸方向と位相差フィルム35の遅相軸方向とのなす角度θと、貼り合わせ前における両者の角度θとの差である。軸角度の変化量は、0.2°以下または0.1°以下であってもよい。軸角度のズレ量が0.4°以下であれば、位相差フィルム35の複屈折が大きい場合でも、光学的なムラの発生を抑制でき、ズレ量が小さいほど、ムラの発生が抑制される傾向がある。
【0052】
粘着剤層を介して偏光板を画像表示セルに貼り合わせた状態において、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの光学軸方向とのなす角度は、0.4°以下が好ましく、0.3°以下がより好ましく、0.2°以下がさらに好ましい。偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とが平行である場合、θは、0±0.4°の範囲内であることが好ましく、0±0.3°の範囲内であることがより好ましく、0±0.2°の範囲内であることがさらに好ましい。偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とが直交する場合、θは、90±0.4°の範囲内であることが好ましく、90±0.3°の範囲内であることがより好ましく、90±0.2°の範囲内であることがさらに好ましい。
【0053】
偏光板36(位相差フィルム35)と画像表示セル10との貼り合わせに用いる粘着剤層39の厚みが大きく粘着剤が柔らかいほど、偏光子31と位相差フィルム35の軸角度のズレ量が大きくなる傾向がある。常温(25℃)におけるせん断貯蔵弾性率G’を粘着剤の硬さの指標とすることができる。粘着剤は、G’が大きいほど硬く、G’が小さいほど柔らかい。
【0054】
粘着剤層39の温度25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を厚みDで割った値G’/Dが大きいほど(粘着剤層が硬くて薄いほど)、粘着剤層を介して偏光板を画像表示セルに貼り合わせた状態における軸角度のズレ量が小さくなる傾向がある。粘着剤層39は、G’/Dが5.0kPa/μm以上であることが好ましく、5.2kPa/μm以上であることがより好ましい。G’/Dが過度に大きい場合は、接着保持力が低下し、貼り合わせ界面への気泡の混入等の貼り合わせ不良が生じる場合がある。そのため、粘着剤層39はG’/Dが28kPa/μm以下であることが好ましく、25kPa/μm以下であることがより好ましい。
【0055】
粘着剤層39の厚みDは、5~25μmが好ましく、7~20μmがより好ましい。粘着剤層39の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、50kPa以上が好ましく、60~250kPaがより好ましく、70~200kPaがさらに好ましい。
【0056】
偏光板と画像表示セルとの貼り合わせに用いる粘着剤の物性に加えて、画像表示セルに粘着剤付き偏光板を貼り合わせる際の貼り合わせ圧力(ラミネート圧)も、偏光子と位相差フィルムの軸角度のズレに影響を及ぼす場合があり、ラミネート圧が高いほど、偏光子と位相差フィルムの軸角度のズレ量が大きくなる傾向がある。複屈折が大きく張力に対する光学軸の変化量が大きい位相差フィルムを備える偏光板を画像表示セルに貼り合わせる場合、ラミネート圧は0.4MPa以下が好ましく、0.3MPa以下がより好ましい。一方、ラミネート圧が過度に小さいと、貼り合わせ界面への気泡の混入等の貼り合わせ不良が生じる場合がある。そのため、ラミネート圧は、0.05MPa以上が好ましく、0.1MPa以上がより好ましい。
【0057】
上記のように、位相差フィルムの複屈折が大きい場合は、貼り合わせによる軸角度の変化(ズレ)が生じやすく、これに起因して表示画像に光学的なムラが生じる場合があるが、粘着剤層の厚みおよび硬さ、ならびに/または貼り合わせ時のラミネート圧を調整することにより、ムラの発生を抑制できる。
【0058】
他方の面の偏光板56を液晶セル10に貼り合わせる際の粘着剤層59の物性およびラミネート圧は特に限定されない。粘着剤層59の厚みおよびせん断貯蔵弾性率は、粘着剤層39と同等でもよく、異なっていてもよい。偏光板56を貼り合わせる際のラミネート圧は、偏光板36を貼り合わせる際のラミネート圧力と同等もよく、異なっていてもよい。
【0059】
<ムラ発生と低減の推定メカニズム>
上記のように、表示ムラが発生している画像表示装置では、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度の、貼り合わせ前後での変化量|θ-θ|が大きい。表示ムラが発生している画像表示装置から偏光板を剥離(リワーク)して、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θを測定すると、貼り合わせ前と略等しい値となる。すなわち、偏光板を画像表示セルと貼り合わせる前の偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θと、粘着剤付き偏光板を画像表示セルと貼り合わせ、リワークした後の偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角度θは略等しい。また、リワーク後の偏光板を低ラミネート圧で画像表示セルに再度貼り合わせると、軸角度の変化が小さく、ムラは生じない。
【0060】
したがって、偏光板を画像表示セルに貼り合わせた際の軸角度の変化は可逆的な変化であるといえる。このような可逆的な軸角度の変化に起因する表示ムラは、偏光板を貼り合わせた際の圧力による歪の残留によるものと考えられる。例えば、高ラミネート圧で貼り合わせを行うと、フィルムに比べて弾性率の低い粘着剤層が変形し、弾性歪が生じる。ロールラミネータやドラムラミネータによる貼り合わせ時には、貼り合わせ面の法線方向以外からも圧力が付与されるため、粘着剤層には、様々な方向からの圧力による歪が蓄積していると考えられる。
【0061】
貼り合わせ後に圧力が解放されると、粘着剤層は元の形状に戻ろうとする。しかし、粘着剤層が画像表示セルの基板に貼り合わせられているために、貼り合わせ前に比べると変形の自由度が低下している。そのため、粘着剤層は完全に元の形状に戻ることはできず貼り合わせ時に様々な方向から付与された圧力による歪の一部は、粘着剤層の内部に残存する。この歪が粘着剤層に貼り合わせられた位相差フィルムとの貼り合わせ界面での歪を生じさせ、位相差フィルムの光学軸を変化させる要因になっていると考えられる。
【0062】
貼り合わせ時のラミネート圧を低くすれば、粘着剤層39に蓄積する歪が小さいため、貼り合わせ後の粘着剤層に残存する歪も小さく、位相差フィルムとの貼り合わせ界面における歪も小さくなる。また、粘着剤層39の厚みDが小さくせん断貯蔵弾性率G’が大きい場合は加圧による粘着剤層の変形量が小さいため、粘着剤層39に残存する歪が小さく、位相差フィルムとの貼り合わせ界面における歪も小さくなる。そのため、厚みが小さく硬い粘着剤を用い、低ラミネート圧で貼り合わせを行えば、位相差フィルムの光学軸方向を変化させる要因となる歪が蓄積し難く、光学軸の変化量|θ-θ|が小さいため、ムラの発生が抑制されると推定される。
【0063】
[他の光学部材]
液晶セル10の両面に偏光板36,56が貼り合わせられた液晶パネル100と、光源105とを組み合わせることにより、液晶表示装置が形成される。液晶表示装置は、上記以外の光学層やその他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶パネル100と光源105との間には、輝度向上フィルム(不図示)を設けることもできる。輝度向上フィルムは、光源側の偏光板56と積層されていてもよい。
【0064】
視認側の透明保護フィルム33には、耐擦傷性の付与等を目的として、ハードコート層が設けられていてもよい。また、透明保護フィルム33には、反射防止層が設けられていてもよい。視認側の偏光板36のさらに視認側には、タッチパネルセンサーやカバーウインドウ等が配置されていてもよい。
【0065】
上記の例では、液晶セル10の視認側に配置された偏光板36が高複屈折の位相差フィルム35を含む例について説明したが、光源側の偏光板56の液晶セル側に配置されたフィルム55が高複屈折の位相差フィルムであってもよい。この場合、偏光板56と液晶セル10とを貼り合わせる粘着剤層59としてG’/Dが大きいものを用いること、および/または貼り合わせ時のラミネート圧を小さくすることにより、ムラの発生を抑制できる。
【0066】
偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とは、平行でも直交でもない角度で配置されていてもよい。偏光子と位相差フィルムとが、両者の光学軸が平行でも直交でもない角度で積層されている場合においても、偏光板と画像表示セルとを貼り合わせる粘着剤層としてG’/Dが大きいものを用いること、および/または貼り合わせ時のラミネート圧を小さくすることにより、貼り合わせ前後での光学軸のズレ量が小さく、ムラの発生を抑制できる。
【0067】
[有機EL表示装置]
光学軸が平行でも直交でもない角度で偏光子と位相差フィルムとが積層された偏光板を備える画像表示装置として、液晶表示装置の他に、有機EL表示装置が挙げられる。図2に示す有機EL表示装置202は、透明基板73上に、透明電極72、有機発光層71および金属電極74が順に設けられたボトムエミッション型の有機ELセル70を備える。
【0068】
透明基板73としては、ガラス基板またはプラスチック基板が用いられる。有機EL発光層71は、それ自身が発光層として機能する有機層の他に、電子輸送層、正孔輸送層等を備えていてもよい。透明電極72は、金属酸化物層または金属薄膜であり、有機発光層71からの光を透過する。そのため、有機発光層71からの光(映像光)は、透明電極72および基板73を透過して視認側に取り出される。
【0069】
金属電極74は光反射性である。そのため、外光が基板73から有機ELセルの内部に入射すると、金属電極74で光が反射し、外部からは反射光が鏡面のように視認される。金属電極74での反射光の外部への再出射を防止して、表示装置の視認性および意匠性を向上する観点から、有機ELセル70の視認側表面には、粘着剤層39を介して円偏光板37が貼り合わせられている。
【0070】
円偏光板37は、偏光子31の両面に透明保護フィルム33,34が積層された構成を有し、偏光子31と有機ELセル70の間に配置される透明保護フィルム34は位相差フィルムである。位相差フィルム34がλ/4のレターデーションを有し、位相差フィルム34の遅相軸方向と偏光子31の吸収軸方向とのなす角度が45°である場合に、偏光子と位相差フィルムとの積層体(偏光板37)は円偏光板として機能する。位相差フィルム34が1/4波長板であり、位相差フィルム34と偏光子31の光学軸とのなす角度が45°であること以外は、偏光板37の構成は、前述の偏光板36と同様である。
【0071】
なお、円偏光板を構成する位相差フィルムは、2層以上のフィルムが積層されたものであってもよい。例えば、偏光子とλ/2板とλ/4板とを、それぞれの光学軸が所定の角度をなすように積層することにより、可視光の広帯域にわたって円偏光板として機能する広帯域円偏光板が得られる。
【0072】
偏光子31と位相差フィルム34とを適宜の接着剤または粘着剤を介して貼り合わせることにより、円偏光板37が得られる。偏光子31上に光学等方性フィルムを貼り合わせ、その上に位相差フィルムを貼り合わせてもよい。偏光子31の他方の面には、透明保護フィルム33が貼り合わせられてもよい。
【0073】
偏光子31と粘着剤層39の間に位相差フィルム34を有する粘着剤付き偏光板を、有機ELセル70の基板73に貼り合わせることにより、有機EL表示装置が形成される。液晶表示装置の実施形態に関して前述したのと同様、有機ELセルと偏光板とを貼り合わせる粘着剤層39としてG’/Dが大きいものを用いること、および/または貼り合わせ時のラミネート圧を小さくすることにより、位相差フィルム34が高複屈折であっても、貼り合わせ前後の軸角度の変化量|θ-θ|を0.4°以下として、ムラの発生を抑制できる。
【0074】
上記ではボトムエミッション型の有機ELセル70の例について説明したが、有機ELセルはトップエミッション型でもよい。トップエミッション型の有機ELセルは、一般に、基板上に金属電極、有機発光層および透明電極を順に備える。透明電極層上に封止基板が設けられ、封止基板上に円偏光板が貼り合わせられる。有機EL表示装置は、円偏光板37のさらに視認側に、タッチパネルセンサーやカバーウインドウ等を備えるものであってもよい。
【実施例
【0075】
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0076】
[粘着シート]
<粘着剤組成物の調製>
(粘着剤組成物P)
反応容器に、モノマーとして、アクリル酸ブチル(BA):99重量部およびアクリル酸4-ヒドロキシブチル(4HBA):1重量部、ならびに重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.3部を、酢酸エチルと共に投入し、窒素ガス気流下、60℃で4時間反応させた。その後、反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量165万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。この溶液に、ポリマー100重量部に対して、架橋剤としてジベンゾイルパーオキシド(日本油脂製「ナイパーBMT」):0.3重量部およびトリメチロールプロパンキシリレンジイソシアネート(三井化学製「タケネートD110N」):0.1重量部、ならびにシランカップリング剤(綜研化学製「A-100」)を配合して、粘着剤組成物Aを得た。
【0077】
(粘着剤組成物Q)
反応容器に、モノマーとして、BA:94.9重量部およびアクリル酸(AA):5重量部、およびアクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA):0.1重量部、ならびに重合開始剤としてAIBN:0.1重量部を、酢酸エチルと共に投入し、窒素ガス気流下、55℃で8時間反応させた。その後、反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量210万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。この溶液に、ポリマー100重量部に対して、架橋剤としてトリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物(東ソー製「コロネートL」):0.6重量部、およびシランカップリング剤(信越化学工業製「X-41-1056」)0.2重量部を配合して、粘着剤組成物Bを得た。
【0078】
(粘着剤組成物R)
反応容器に、モノマーとして、BA:92重量部、N-アクリロイルモルフォリン(ACMO):5重量部、AA:2.9重量部、および2HEA:0.1重量部、ならびに重合開始剤としてAIBN:0.1重量部を、酢酸エチルと共に加え、窒素ガス気流下、55℃で8時間反応させた。その後、反応液に酢酸エチルを加えて、重量平均分子量178万のアクリル系ポリマーの溶液を得た。この溶液に、ポリマー100重量部に対して、架橋剤として、ナイパーBMT:0.15重量部、およびコロネートL:0.6重量部を配合して、粘着剤組成物Cを得た。
【0079】
<粘着シートの作製>
上記の粘着剤組成物A~Cを、離型処理した厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル製「MRF38」)の離型処理面に塗布し、150℃で乾燥および架橋処理を行い、厚みが5μm、10μm、15μm、20μm、25μmの粘着シートを作製した。粘着剤組成物Pを用いて作製した粘着シートを粘着シートP1~P5、粘着剤組成物Qを用いて作製した粘着シートを粘着シートQ1~Q5、粘着剤組成物Rを用いて作製した粘着シートを粘着シートR1~R5とする。
【0080】
[実験例A1]
<位相差フィルムAの作製>
攪拌装置を備えた反応容器中で、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン:54重量部、およびベンジルトリエチルアンモニウムクロライド:12重量部を、1M水酸化ナトリウム溶液に溶解させた。この溶液を撹拌しながら、テレフタル酸クロライド406重量部をクロロホルムに溶解させた溶液を一度に加え、室温で90分間攪拌した。その後、重合溶液を静置分離してポリマーを含んだクロロホルム溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、イオン交換水で洗浄した後、メタノールに投入してポリマーを析出させた。析出したポリマーを、蒸留水で2回及びメタノールで2回洗浄した後、減圧乾燥して、ポリアリレート樹脂を得た。得られたポリアリレート系樹脂を、シクロペンタノンに溶解して、固形分濃度20%の溶液を調製した。
【0081】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを支持体として、上記の溶液を、乾燥後の膜厚が15μmとなるように塗布して、100℃で乾燥し、支持体フィルム上にポリアリレート樹脂層が積層された積層体を得た。この積層体を、ロール延伸機により、搬送方向に延伸しながら幅方向に収縮させた。支持体フィルムを剥離後の延伸ポリアリレート塗膜(位相差フィルムA)は、厚みが17μm、波長550nmにおける面内レターデーションが250nm、Nz係数が0.5であった。
【0082】
<偏光板の作製>
厚み18μmのポリビニルアルコール系偏光子の一方の面に厚み40μmの二軸延伸アクリルフィルム、他方の面に上記の積層体の位相差フィルムA側の面を、紫外線硬化型の接着剤介して貼り合わせた。貼り合わせには、ロールラミネータを用い、紫外線を照射して接着剤を硬化させた。その後、支持体フィルムとして用いたポリプロピレンフィルムを剥離し、位相差フィルムA側に、上記で作成した粘着シートを積層して、偏光子の一方の面にアクリル系フィルム、他方の面に位相差フィルムAを備え、位相差フィルムA側の面に粘着剤層を備える粘着剤付き偏光板を得た。
【0083】
<ガラス板への貼り合わせ>
上記の粘着剤付き偏光板を、厚み0.7μmの無アルカリガラス板上に載置し、加圧ローラー式の枚葉貼り合わせ装置を用い、ラミネート圧0.3MPaで貼り合わせて、評価用試料を得た。
【0084】
[実験例B1]
位相差フィルムAに代えて、厚み132μm、面内レターデーションが250nm、Nz係数が0.5のノルボルネン系樹脂フィルム(位相差フィルムB)を用い、上記と同様に、粘着剤付き偏光板の作製およびガラス板への貼り合わせを行った。
【0085】
[実験例C1]
位相差フィルムAに代えて、厚み18μm、面内レターデーションが120nm、Nz係数が1.18の二軸延伸ノルボルネン系樹脂フィルム(位相差フィルムC)を用い、上記と同様に、粘着剤付き偏光板の作製およびガラス板への貼り合わせを行った。
【0086】
[評価]
<粘着シートのせん断貯蔵弾性率>
粘着シートP3、Q3およびR3のそれぞれについて、粘着シートを100枚積層して試験用サンプルを作製した。このサンプルを直径7.9mmの円盤状に打ち抜き、パラレルプレートに挟み込み、Rheometric Scientific社製「Advanced Rheometric Expansion System(ARES)」を用いて、以下の条件により、動的粘弾性測定を行い、25℃におけるせん断貯蔵弾性率を読み取った。
(測定条件)
変形モード:ねじり
測定周波数:1Hz
昇温速度:5℃/分
測定温度:-40~150℃
【0087】
<位相差フィルムの張力に対する遅相軸角度の変化>
位相差フィルムを、遅相軸方向に対して45°の角度が長辺となるように、幅10mmの短冊状に切り出した。偏光・位相差測定システム(Axometrics製「AxoScan」)の測定ステージ上に、短冊状試料の一方の短辺を固定し、他方の短辺に錘をぶら下げて、試料の長手方向に張力を付与した状態で、面内レターデーションおよび遅相軸方向を測定した。錘の質量を変化させて、張力に対する遅相軸角度の変化量(張力0の場合の遅相軸角度基準)をプロットし、直線の傾きから、張力に対する軸角度の変化量(軸変化量/張力)を算出した。
【0088】
<偏光板の光学軸の変化量>
偏光・位相差測定システムにより、粘着剤付き光学フィルムにおける偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角θを測定した。ガラス板上に粘着剤付き光学フィルムを貼り合わせ後の試料について、偏光子の吸収軸方向と位相差フィルムの遅相軸方向とのなす角θを測定し、貼り合わせ前後での角度差(θ-θ)の絶対値を求めた。
【0089】
<貼り合わせ状態>
ガラス板と偏光板との貼り合わせ界面における気泡の有無を目視にて観察した。
【0090】
<光学ムラ>
トレース台の上に、ポリビニルアルコール系偏光子の両面に透明保護フィルムとしてアクリル系フィルムが貼り合わせられた標準偏光板(日東電工製)を載置し、その上に、評価用試料のガラス板が下側となるように載置した。2枚の偏光板は、標準偏光板の吸収軸方向と、評価用試料の偏光板の吸収軸方向とが直交するように配置した(クロスニコル配置)。トレース台からの透過光を目視にて確認し、下記の基準によりムラのランク付けを行った。
〇;ムラが視認されないもの(図3A参照)
△:わずかなムラが確認されたもの
×:著しいムラが確認されたもの(図3B参照)
【0091】
<評価結果>
位相差フィルムA~Cの厚みおよび光学特性、粘着シートの厚みDおよび25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’、ならびに貼り合わせ試料の評価結果を、表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
位相差フィルムB,Cは、いずれも張力に対する遅相軸方向の変化が0.01°/N/10mmであったのに対して、複屈折の大きい位相差フィルムAは、張力に対する遅相軸方向の変化率が大きいことが分かる。
【0094】
位相差フィルムAに偏光子を積層した偏光板は、ガラス板への貼り合わせ前は、位相差フィルムの遅相軸方向と偏光子の吸収軸方向が平行(θが0.1°以下)であったが、粘着剤付き偏光板をガラス板に貼り合わせた後は、軸ズレが生じており、粘着シートの厚みDが大きく、せん断貯蔵弾性率G’が小さいほど、軸ズレが大きくなる傾向がみられた。粘着シートR1を用いた試料では、ムラは確認されなかったが、ガラス板と粘着剤層との貼り合わせ界面に気泡の混入がみられた。
【0095】
位相差フィルムBと偏光子とを積層した偏光板は、厚みが大きく、せん断貯蔵弾性率G’が小さい粘着シートP4,P5,Q5を介してガラス板に貼り合わせた場合でも明確な軸ズレは確認されず、ムラは発生していなかった。位相差フィルムCを用いた場合も同様であった。
【0096】
[実験例A2]
偏光子の一方の面にアクリル系フィルム、他方の面に位相差フィルムAを備え、位相差フィルムA側の面に厚み15μmの粘着シートP3を積層した粘着剤付き偏光板を用いた。表2に示すように、ラミネート圧を0.01~1.0MPaの範囲で変更したこと以外は、実験例A1と同様にして、無アルカリガラス板に粘着剤付き偏光板を貼り合わせて評価用試料を得た。
【0097】
[実験例B2]
位相差フィルムB側の面に粘着シートP3を積層した粘着剤付き偏光板を用い、ラミネート圧を0.7Paまたは1.0MPaに変更したこと以外は、実験例B1と同様にしてガラス板への貼り合わせを行った。
【0098】
[実験例C2]
位相差フィルムC側の面に粘着シートP3を積層した粘着剤付き偏光板を用い、ラミネート圧を0.7Paまたは1.0MPaに変更したこと以外は、実験例C1と同様にしてガラス板への貼り合わせを行った。
【0099】
[評価]
実験例A2,B2,C2の各試料について、光学軸の変化量、貼り合わせ状態および光学ムラの評価を実施した。位相差フィルムA~Cの厚みおよび光学特性、ならびに、ガラス板への粘着剤付き偏光板の貼り合わせ条件(ラミネート圧)および評価結果を、表2に示す。
【0100】
【表2】
【0101】
位相差フィルムAと偏光子を積層した粘着剤付き偏光板は、ガラス板への貼り合わせ時のラミネート圧が大きいほど軸ズレが大きくなる傾向がみられた。ラミネート圧0.5MPaで貼り合わせを行った場合は、光学ムラ検査においてムラが確認され、ラミネート圧をさらに高めると、ムラが顕著となっていた。ラミネート圧0.01MPaで貼り合わせを行った試料では、ムラは確認されなかったが、ガラス板と粘着剤層との貼り合わせ界面に気泡の混入がみられた。
【0102】
位相差フィルムBと偏光子とを積層した粘着剤付き偏光板は、ガラス板との貼り合わせ時のラミネート圧を1.0MPaまで高めた場合にも明確な軸ズレは確認されず、ムラは発生していなかった。位相差フィルムCを用いた場合も同様であった。
【0103】
上記のように、偏光子と位相差フィルムAとを積層した偏光板をガラス板に貼り合わせた試料では、粘着シートの厚みDが大きく、せん断貯蔵弾性率G’が小さい(すなわち、粘着シートが厚くて柔らかい)場合、および貼り合わせ時のラミネート圧が大きい場合に、位相差フィルムの光学軸のズレが大きくなり光学的なムラが発生していた。一方、偏光子と位相差フィルムBまたは位相差フィルムCとを積層した偏光板では、粘着シートの種類やラミネート圧を変更しても、光学的なムラは観察されなかった。
【0104】
これらの結果から、位相差フィルムを備える偏光板をガラス板(画像表示セルの基板)に貼り合わせた際の光学的なムラは、複屈折の大きい位相差フィルムに特有の課題であり、貼り合わせ時の粘着シートの変形に起因して、位相差フィルムの軸ズレが生じることが原因であることが分かる。厚みが小さく硬い粘着剤を用いた場合や、貼り合わせ時の圧力が小さい場合は、粘着シートの変形が小さいために、位相差フィルムの軸ズレが抑制されていると考えられる。
【0105】
実験例A2において顕著なムラがみられた試料(ラミネート圧0.7MPaの試料および1.0MPaの試料)について、ガラス板から粘着剤付き偏光板を剥離(リワーク)し、位相差フィルムの遅相軸方向と偏光子の吸収軸方向の角度差θを測定したところ、0.1°以内であり、軸ズレが解消していた。また、リワーク後の粘着剤付き偏光板を、ラミネート圧0.3MPaで再度ガラス板に貼り合わせて光学ムラの有無を確認したところ、ムラは確認されなかった。
【0106】
以上の結果から、位相差フィルムAと偏光子を含む偏光板を高ラミネート圧でガラス板に貼り合わせた試料の光学的なムラは、貼り合わせ時の圧力によって粘着シートが変形した際の歪が残留していることに起因するものであり、貼り合わせ時の圧力を小さくして歪を低減することにより、ムラの発生を抑制できると考えられる。また、厚みが小さくせん断貯蔵弾性率が小さい粘着シートを用いた場合も、粘着シートの変形によるひずみが小さいために、軸ズレが生じ難く、ムラの発生を抑制できると考えられる。
【符号の説明】
【0107】
10 液晶セル
70 有機ELセル
11 液晶層
71 有機発光層
72 透明電極
74 金属電極
13,15,73 基板
36,37,56 偏光板
33,51,53 透明保護フィルム
34,35 透明保護フィルム(位相差フィルム)
39,59 粘着剤層
100 液晶パネル
105 光源
201 液晶表示装置
202 有機EL表示装置
図1
図2
図3