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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20231122BHJP
   H02K 1/18 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H02K3/28 Z
H02K1/18 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020038166
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021141731
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-197674(JP,A)
【文献】国際公開第2019/009478(WO,A1)
【文献】特表2020-503825(JP,A)
【文献】国際公開第2009/139067(WO,A1)
【文献】特開2009-195006(JP,A)
【文献】特開2012-233806(JP,A)
【文献】国際公開第2016/194182(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/28
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータと、
前記ロータの回転軸方向に重なる第1ステータ及び第2ステータと、
第1相を形成する第1コイル群と、
第2相を形成する第2コイル群と、
第3相を形成する第3コイル群と、を備え、
前記第1ステータ及び前記第2ステータのそれぞれにおいて、前記第1コイル群を構成するコイルと、前記第2コイル群を構成するコイルと、前記第3コイル群を構成するコイルと、が前記回転軸周りの周方向に順に並んで設けられ、
前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群のそれぞれにおいて、前記第1ステータに設けられる複数のコイル同士が直列に接続されるとともに、前記第2ステータに設けられる複数のコイル同士が直列に接続され、
前記第1コイル群及び前記第3コイル群の直列に接続された前記複数のコイルにおいて、前記複数のコイルの形成方向が前記周方向における第1方向であり、前記第2コイル群の直列に接続された前記複数のコイルにおいて、前記複数のコイルの形成方向が前記第1方向とは反対方向の第2方向であり、
前記第1コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第2コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部と、が接続され、
前記第3コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第1コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部と、が接続され、
前記第2コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第3コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部とが接続されている、モータ。
【請求項2】
前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群のそれぞれにおいて、前記第1ステータに設けられる直列に接続された前記複数のコイルと、前記第2ステータに設けられる直列に接続された前記複数のコイルと、が並列に電気接続されている、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群における前記巻始め部と前記巻終わり部とのうち、少なくとも互いに接続される2つが、径方向に引き出されて互いに結線される引出線を有し、
複数の前記引出線が前記周方向に並ぶように配置される、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1ステータと前記第2ステータとが前記回転軸方向に重ねられた状態において、
前記第1ステータに設けられて前記第1コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第1コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合い、
前記第1ステータに設けられて前記第2コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第2コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合い、
前記第1ステータに設けられて前記第3コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第3コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合う、請求項1から3のいずれかに記載のモータ。
【請求項5】
前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、前記環状部から前記一方側に延在する複数の突出部と、を有し、
前記複数の突出部は、前記第1ステータ及び前記第2ステータのそれぞれにおいて、2つの前記磁極部の間に配置されており、
前記第1ステータにおける前記突出部の前記一方側の端部と、前記第2ステータにおける前記磁極部の径方向の他方側の端部と、が径方向に対向する、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、を有し、
前記第1ステータの前記環状部のうち2つの前記磁極部の間の部分と、前記第2ステータの前記磁極部における径方向の他方側の端部と、が径方向に対向する、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記磁極部の前記他方側の端部には、段部が形成されている、請求項5又は6に記載のモータ。
【請求項8】
前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、を有し、
前記第1ステータにおける前記環状部のうち2つの前記磁極部の間の部分に対し、前記第2ステータにおける前記磁極部の径方向の他方側の端部が嵌っている、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項9】
前記環状部の前記一方側には、2つの前記磁極部の間のそれぞれに凹部が形成され、
前記第1ステータにおける複数の前記凹部のそれぞれに対し、前記第2ステータにおける前記磁極部の前記他方側の端部が嵌っている、請求項8に記載のモータ。
【請求項10】
前記磁極部の前記他方側の端部は、前記他方側に向かって凸の曲面部を有する、請求項8又は9に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータにおいて、高出力化しつつ小型化するために、ステータコアのティース数を増加させるとともに巻線密度(占積率)を向上させることが求められる場合がある。しかしながら、ステータコア自体のサイズを変更せずにティース数を増加させると、特にティースの先端同士の間隔が狭くなり、巻線作業が困難となってしまう。
【0003】
この解決案として、ステータコアを2つに分割する構成が提案されている。即ち、分割によって1つのステータコア当たりのティース数が少なくなり、ティース同士の間隔を確保しやすいことから、ティースの総数を増やしても巻線の作業性が低下しにくい。
【0004】
ブラシレスモータにおいては、例えば3相(U相、V相及びW相)のコイルを設定し、各相のコイルに適宜なタイミングで電力を供給することにより、回転が制御されることがある。このような3相のコイルは、それぞれの巻始め部と巻終わり部とが適宜に接続されることによりΔ結線やY結線を構成するが、巻始め部と巻終わり部とが離れて配置されて接続線が長くなってしまうことがある。コイル同士の接続線が長くなると、例えば、結線作業が困難になったり、接続線同士の干渉や接続線と相手方のステータコアとの干渉が生じたりし、モータの組立を難しくする可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2016/194182号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明は、組立を容易にすることができる、モータを提供することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のモータは、ロータと、前記ロータの回転軸方向に重なる第1ステータ及び第2ステータと、第1相を形成する第1コイル群と、第2相を形成する第2コイル群と、第3相を形成する第3コイル群と、を備え、前記第1ステータ及び前記第2ステータのそれぞれにおいて、前記第1コイル群を構成するコイルと、前記第2コイル群を構成するコイルと、前記第3コイル群を構成するコイルと、が前記回転軸周りの周方向に順に並んで設けられ、前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群のそれぞれにおいて、前記第1ステータに設けられる複数のコイル同士が直列に接続されるとともに、前記第2ステータに設けられる複数のコイル同士が直列に接続され、前記第1コイル群及び前記第3コイル群の直列に接続された前記複数のコイルにおいて、前記複数のコイルの形成方向が前記周方向における第1方向であり、前記第2コイル群の直列に接続された前記複数のコイルにおいて、前記複数のコイルの形成方向が前記第1方向とは反対方向の第2方向であり、前記第1コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第2コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部と、が接続され、前記第3コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第1コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部と、が接続され、前記第2コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻終わり部と、前記第3コイル群における直列に接続された前記複数のコイルの巻始め部とが接続されている。
【0008】
本発明において、前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群のそれぞれにおいて、前記第1ステータに設けられる直列に接続された前記複数のコイルと、前記第2ステータに設けられる直列に接続された前記複数のコイルと、が並列に電気接続されていることが好ましい。
【0009】
本発明において、前記第1コイル群、前記第2コイル群及び前記第3コイル群における前記巻始め部と前記巻終わり部とのうち、少なくとも互いに接続される2つが、径方向に引き出されて互いに結線される引出線を有し、複数の前記引出線が前記周方向に並ぶように配置されることが好ましい。
【0010】
本発明において、前記第1ステータと前記第2ステータとが前記回転軸方向に重ねられた状態において、前記第1ステータに設けられて前記第1コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第1コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合い、前記第1ステータに設けられて前記第2コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第2コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合い、前記第1ステータに設けられて前記第3コイル群を構成するコイルと、前記第2ステータに設けられて前記第3コイル群を構成するコイルと、が周方向に隣り合うことが好ましい。
【0011】
本発明において、前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、前記環状部から前記一方側に延在する複数の突出部と、を有し、前記複数の突出部は、前記第1ステータ及び前記第2ステータのそれぞれにおいて、2つの前記磁極部の間に配置されており、前記第1ステータにおける前記突出部の前記一方側の端部と、前記第2ステータにおける前記磁極部の径方向の他方側の端部と、が径方向に対向することが好ましい。
【0012】
本発明において、前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、を有し、前記第1ステータの前記環状部のうち2つの前記磁極部の間の部分と、前記第2ステータの前記磁極部における径方向の他方側の端部と、が径方向に対向してもよい。
【0013】
本発明において、前記磁極部の前記他方側の端部には、段部が形成されていることが好ましい。
【0014】
本発明において、前記第1ステータ及び前記第2ステータは、それぞれ、環状部と、当該環状部から径方向の一方側に延在する複数の磁極部と、を有し、前記第1ステータにおける前記環状部のうち2つの前記磁極部の間の部分に対し、前記第2ステータにおける前記磁極部の径方向の他方側の端部が嵌っていてもよい。
【0015】
本発明において、前記環状部の前記一方側には、2つの前記磁極部の間のそれぞれに凹部が形成され、前記第1ステータにおける複数の前記凹部のそれぞれに対し、前記第2ステータにおける前記磁極部の前記他方側の端部が嵌っていることが好ましい。
【0016】
本発明において、前記磁極部の前記他方側の端部は、前記他方側に向かって凸の曲面部を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一例である実施形態にかかるモータの平面図である。
図2】本発明の一例である実施形態にかかるモータの結線図である。
図3】本発明の一例である実施形態にかかるモータのステータの分解斜視図である。
図4】本発明の一例である実施形態にかかるモータのステータの斜視図である。
図5】本発明の一例である実施形態にかかるモータのステータを拡大して示す分解斜視図である。
図6】本発明の一例である実施形態にかかるモータを拡大して示す平面図である。
図7】本発明の一例である実施形態にかかるモータの第1~第3コイル群の模式図である。
図8】他の実施例のモータの平面図である。
図9】本発明の一例である変形例1にかかるモータのステータを拡大して示す斜視図である。
図10】本発明の一例である変形例2にかかるモータのステータを拡大して示す斜視図である。
図11】本発明の一例である変形例3にかかるモータのステータを拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一例である実施形態にかかるモータ1の平面図であり、図2は、モータ1の結線図であり、図3は、モータ1のステータ2の分解斜視図であり、図4は、ステータ2の斜視図であり、図5は、ステータ2を拡大して示す分解斜視図であり、図6は、モータ1を拡大して示す平面図であり、図7は、モータ1の第1~第3コイル3~5の模式図である。
【0019】
本実施形態に係るモータ1は、図1に示すように、ロータと、ステータ2と、第1コイル群3と、第2コイル群4と、第3コイル群5と、を備えたブラシレスモータである。モータ1では、図2に示すように、第1相(U相)を形成する第1コイル群3と、第2層(V相)を形成する第2コイル群4と、第3相(W相)を構成する第3コイル群5と、がΔ結線される。電源とモータ1との間にスイッチ装置が設けられ、Δ結線の3つの頂点のうち2つに対して直流電源が接続され、接続が順次切り替えられることによってモータ1が回転する。
【0020】
ロータは、永久磁石を備えており、所定の回転軸Xを中心に回転する。ロータの極数は、適宜に設定されればよく、例えば42極であればよい。以下の説明では、回転軸Xの周りの方向を「周方向」とし、回転軸Xに直交する平面内において回転軸Xに近づいたり離れたりする方向を「径方向」とする。
【0021】
ステータ2は、図3、4にも示すように、互いに別体に形成された第1ステータ21と第2ステータ22とを有する。第1ステータ21と第2ステータ22とは、ロータの回転軸X方向に重ねられる。第1ステータ21及び第2ステータ22は、それぞれ、薄板状の磁性体が積層されることで形成されていてもよいし、塊状の1部材によって形成されていてもよい。以下では、第1ステータ21側を上側とし、第2ステータ22側を下側とするが、ここでの上下は回転軸X方向における両側を便宜的に指し示すものであって、鉛直方向を意味するものではない。第1ステータ21は、円環状のヨーク部(環状部)211と、ヨーク部211から径方向の外径側(一方側)に延在する複数(本実施形態では18)のティース(磁極部)212と、を有する。第2ステータ22は、円環状のヨーク部(環状部)221と、ヨーク部221から径方向の外径側(一方側)に延在する複数(本実施形態では18)のティース(磁極部)222と、を有する。第1ステータ21と第2ステータ22とは、共通の形状を有している。
【0022】
ヨーク部211、221は、それぞれ、ティース212、222の略半分の回転軸X方向の寸法(厚さ)を有しており、回転軸X方向において、ティース212、222の略半分がヨーク部211、221によって支持されている。即ち、ティース212、222の径方向の内側(他方側)の端部212A、222Aのうち略半分は、支持されずに径方向内側に露出している。このように、端部212A、222Aは、ヨーク部211、221の略2倍の厚さを有していることから、図5に示すように、ヨーク部211、221との間に段部212B、222Bが形成される。
【0023】
ヨーク部211、221同士が回転軸X方向に重なるとともに、ティース212とティース222とが周方向(回転軸X周りの方向)に隣り合う(互い違いとなる)ように、第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられる。これにより、第1ステータ21におけるヨーク部211の外周面のうち2つの磁極部212の間の部分211Aに対し、第2ステータ22におけるティース222の端部222Aのうち露出した部分が対向する。同様に、第2ステータ22におけるヨーク部221の外周面のうち2つの磁極部222の間の部分221Aに対し、第1ステータ21におけるティース212の端部212Aのうち露出した部分が対向する。また、図6に示すように、ティース212とティース222との間に、電線が通過可能な電線配置部23が形成される。
【0024】
第1ステータ21の複数のティース212のうち任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向(図1では反時計回り方向)Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。同様に、第2ステータ22の複数のティース222のうち任意のティースを1番目のティースとし、1番目のティースに対して周方向における第1方向Aに隣り合うティースを2番目のティースとし、第1方向Aに向かうにしたがってティースの番号が増加していくものとする。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、第1ステータ21の1番目のティースに対し、第2ステータ22の1番目のティースが第1方向Aに隣り合うものとする。尚、図7における「slot No.」は、ステータ2全体として見た際のティースの番号を意味する。
【0025】
第1コイル群3は、第1ステータ21に設けられる直列コイル31と、第2ステータ22に設けられる直列コイル32と、によって構成される。尚、直列に接続された複数のコイルを「直列コイル」と呼ぶ。直列コイル31、32は、それぞれ、電線を所定のティースに巻き回してコイルを形成した後、この電線を他のティースに巻き回してコイルを形成し、これを繰り返すことにより1本の電線により形成されたものであって、複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0026】
具体的には、図7に示すように、第1ステータ21に設けられる直列コイル31は、電線が1番目のティース212に巻き回されてコイルを形成した後、第1ステータ21の上側(第2ステータ22とは反対側)を通過するように電線が第1方向Aに向かうことで渡り線310を形成し、電線が4番目のティース212に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線310が第1ステータ21の上側を通過するようにするとともに、2つのティース212を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル31において、電線が最後に16番目のティース212に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル31は、1番目のティース212と1番目のティース222との間に巻始め部31Aが設けられるとともに巻始め部31Aが上側から引き出され、16番目のティース212と16番目のティース222との間に巻終わり部31Bが設けられるとともに巻終わり部31Bが上側から引き出される。
【0027】
第2ステータ22に設けられる直列コイル32は、電線が1番目のティース222に巻き回されてコイルを形成した後、第2ステータ22の下側(第1ステータ21とは反対側)を通過するように電線が第1方向Aに向かうことで渡り線320を形成し、電線が4番目のティース222に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線が第2ステータ22の下側を通過するようにするとともに、2つのティース222を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル32において、電線が最後に16番目のティース222に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル32は、1番目のティース212と1番目のティース222との間に巻始め部32Aが設けられるとともに巻始め部32Aが上側から引き出され、16番目のティース212と16番目のティース222との間に巻終わり部32Bが設けられるとともに巻終わり部32Bが上側から引き出される。
【0028】
直列コイル31と直列コイル32とは、上側から引き出された巻始め部31A、32A同士が結線され、上側から引き出された巻終わり部31B、32B同士が結線されることで、互いに並列に接続される。このように、第1コイル群3を構成する直列コイル31、32は、いずれも、複数のコイルの形成方向(巻始め側のコイルから巻終わり側のコイルに向かう方向)が周方向における第1方向Aとなっている。
【0029】
第2コイル群4は、第1ステータ21に設けられる直列コイル41と、第2ステータ22に設けられる直列コイル42と、によって構成される。直列コイル41、42は、それぞれ、電線を所定のティースに巻き回してコイルを形成した後、この電線を他のティースに巻き回してコイルを形成し、これを繰り返すことにより1本の電線により形成されたものであって、複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0030】
具体的には、第1ステータ21に設けられる直列コイル41は、電線が17番目のティース212に巻き回されてコイルを形成した後、第1ステータ21の上側(第2ステータ22とは反対側)を通過するように電線が第2方向(周方向における第1方向Aとは反対方向)Bに向かうことで渡り線410を形成し、電線が14番目のティース212に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線410が第1ステータ21の上側を通過するようにするとともに、2つのティース212を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル41において、電線が最後に2番目のティース212に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル41は、17番目のティース212と17番目のティース222との間に巻始め部41Aが設けられるとともに巻始め部41Aが上側から引き出され、2番目のティース212と2番目のティース222との間に巻終わり部41Bが設けられるとともに巻終わり部41Bが上側から引き出される。
【0031】
第2ステータ22に設けられる直列コイル42は、電線が17番目のティース222に巻き回されてコイルを形成した後、第2ステータ22の下側(第1ステータ21とは反対側)を通過するように電線が第2方向Bに向かうことで渡り線420を形成し、電線が14番目のティース222に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線420が第2ステータ22の下側を通過するようにするとともに、2つのティース222を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル42において、電線が最後に2番目のティース222に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル42は、17番目のティース212と17番目のティース222との間に巻始め部42Aが設けられるとともに巻始め部42Aが上側から引き出され、2番目のティース212と2番目のティース222との間に巻終わり部42Bが設けられるとともに巻終わり部42Bが上側から引き出される。
【0032】
直列コイル41と直列コイル42とは、上側から引き出された巻始め部41A、42A同士が結線され、上側から引き出された巻終わり部41B、42B同士が結線されることで、互いに並列に接続される。このように、第2コイル群4を構成する直列コイル41、42は、いずれも、複数のコイルの形成方向が周方向における第2方向Bとなっている。
【0033】
第3コイル群5は、第1ステータ21に設けられる直列コイル51と、第2ステータ22に設けられる直列コイル52と、によって構成される。直列コイル51、52は、それぞれ、電線を所定のティースに巻き回してコイルを形成した後、この電線を他のティースに巻き回してコイルを形成し、これを繰り返すことにより1本の電線により形成されたものであって、複数のコイルと、コイル同士を接続する渡り線と、によって構成される。
【0034】
具体的には、第1ステータ21に設けられる直列コイル51は、電線が3番目のティース212に巻き回されてコイルを形成した後、第1ステータ21の上側(第2ステータ22とは反対側)を通過するように電線が第1方向Aに向かうことで渡り線510を形成し、電線が6番目のティース212に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線510が第1ステータ21の上側を通過するようにするとともに、2つのティース212を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル51において、電線が最後に18番目のティース212に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル51は、3番目のティース212と3番目のティース222との間に巻始め部51Aが設けられるとともに巻始め部51Aが上側から引き出され、18番目のティース212と18番目のティース222との間に巻終わり部51Bが設けられるとともに巻終わり部51Bが上側から引き出される。
【0035】
第2ステータ22に設けられる直列コイル52は、電線が3番目のティース222に巻き回されてコイルを形成した後、第2ステータ22の下側(第1ステータ21とは反対側)を通過するように電線が第1方向Aに向かうことで渡り線520を形成し、電線が6番目のティース222に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、渡り線520が第2ステータ22の下側を通過するようにするとともに、2つのティース222を飛ばすようにしてコイルが形成されていく。直列コイル52において、電線が最後に18番目のティース222に巻き回されてコイルを形成する。第1ステータ21と第2ステータ22とが組み付けられた状態において、直列コイル52は、3番目のティース212と3番目のティース222との間に巻始め部52Aが設けられるとともに巻始め部52Aが上側から引き出され、18番目のティース212と18番目のティース222との間に巻終わり部52Bが設けられるとともに巻終わり部52Bが上側から引き出される。
【0036】
直列コイル51と直列コイル52とは、上側から引き出された巻始め部51A、52A同士が結線され、上側から引き出された巻終わり部51B、52B同士が結線されることで、互いに並列に接続される。このように、第3コイル群5を構成する直列コイル51、52は、いずれも、複数のコイルの形成方向が周方向における第1方向Aとなっている。
【0037】
上記のように直列コイルにおいて各々のコイルを形成する際、各ティースに対し、径方向の内側から外側(又は内側から外側)に向かうように螺旋状に電線を巻き付けることでコイルが形成される。このとき、巻き数によっては、例えば径方向内側から外側に向かうように一層目のコイルを形成し、一層目の外側において、径方向外側から内側に向かうように二層目のコイルを形成してもよく、層数は任意である。コイルが複数層に形成される場合、内側の層が巻始め側となり、外側の層が巻終わり側となることから、渡り線で接続された2つのコイルにおいて、渡り線が外側層に接続されたコイルが巻始め側のコイルであり、渡り線が内側層に接続されたコイルが巻終わり側のコイルであると判断することができる。
【0038】
各ティースに設けられたコイルは、それぞれ螺旋の向きを有する。例えば径方向の内側から見て巻始め側から巻終わり側に向かって時計回りに進むような巻き方をcw方向の巻き方とし、径方向の内側から見て巻始め側から巻終わり側に向かって反時計回りに進むような巻き方をccw方向の巻き方とする。第1~第3コイル群3~5のうち第1ステータに設けられた直列コイル31、41、51において、巻始め側から最初のコイルがcw方向の巻き方となっており、次のコイルがccw方向の巻き方となっており、cw方向の巻き方とccw方向の巻き方とを交互に行うことでコイルが形成されている。一方、第1~第3コイル群3~5のうち第2ステータに設けられた直列コイル32、42、52においては、巻始め側から最初のコイルがccw方向の巻き方となっており、次のコイルがcw方向の巻き方となっており、cw方向の巻き方とccw方向の巻き方とを交互に行うことでコイルが形成されている。
【0039】
また、各々の直列コイルにおいて、あるコイルが径方向内側から外側に向かうように巻き回されている場合、周方向に隣り合うコイルは径方向外側から内側に向かうように巻き回され、周方向に隣り合う2つのコイル同士を接続する渡り線が径方向の内側及び外側の交互に配置されてもよいし、渡り線が常に巻始め側が内径側又は外径側に配置されてもよい。
【0040】
以上のように第1~第3コイル群3~5が形成されることにより、第1ステータ21において、第1コイル群3の直列コイル31を構成するコイルと、第2コイル群4の直列コイル41を構成するコイルと、第3コイル群5の直列コイル51を構成するコイルと、が周方向の第1方向Aにこの順で並ぶ。同様に、第2ステータ22において、第1コイル群3の直列コイル32を構成するコイルと、第2コイル群4の直列コイル42を構成するコイルと、第3コイル群5の直列コイル52を構成するコイルと、が周方向の第1方向Aにこの順で並ぶ。
【0041】
第1ステータ21に設けられるとともに第1コイル群3を構成するコイル(直列コイル31を構成するコイル)と、第2ステータ22に設けられるとともに第1コイル群3を構成するコイル(直列コイル32を構成するコイル)と、が周方向に隣り合う。第1ステータ21に設けられるとともに第2コイル群4を構成するコイル(直列コイル41を構成するコイル)と、第2ステータ22に設けられるとともに第2コイル群4を構成するコイル(直列コイル42を構成するコイル)と、が周方向に隣り合う。第1ステータ21に設けられるとともに第3コイル群5を構成するコイル(直列コイル51を構成するコイル)と、第2ステータ22に設けられるとともに第3コイル群5を構成するコイル(直列コイル52を構成するコイル)と、が周方向に隣り合う。
【0042】
第1~第3コイル群3~5は、以下に説明するように結線される。第1コイル群3における直列コイル31、32の巻終わり部31B、32Bと、第2コイル群4における直列コイル41、42の巻始め部41A、42Aと、が接続される。このとき、巻終わり部31B、32Bがいずれも16番目のティース212と16番目のティース222との間に設けられ、巻始め部41A、42Aがいずれも17番目のティース212と17番目のティース222との間に設けられることから、巻終わり部31B、32Bと巻始め部41A、42Aとが周方向において隣接する。具体的には、巻終わり部31B、32Bと巻始め部41A、42Aとは、上下合計2つのティースを挟んで周方向に並ぶように設けられる。
【0043】
第3コイル群5における直列コイル51、52の巻終わり部51B、52Bと、第1コイル群3における直列コイル31、32の巻始め部31A、32Aと、が接続される。このとき、巻終わり部51B、52Bがいずれも18番目のティース212と18番目のティース222との間に設けられ、巻始め部31A、32Aがいずれも1番目のティース212と1番目のティース222との間に設けられることから、巻終わり部51B、52Bと巻始め部31A、32Aとが周方向において隣接する。具体的には、巻終わり部51B、52Bと巻始め部31A、32Aとは、上下合計2つのティースを挟んで周方向に並ぶように設けられる。
【0044】
第2コイル群4における直列コイル41、42の巻終わり部41B、42Bと、第3コイル群5における直列コイル51、52の巻始め部51A、52Aと、が接続される。このとき、巻終わり部41B、42Bがいずれも2番目のティース212と2番目のティース222との間に設けられ、巻始め部51A、52Aがいずれも3番目のティース212と3番目のティース222との間に設けられることから、巻終わり部41B、42Bと巻始め部51A、52Aとが周方向において隣接する。具体的には、巻終わり部41B、42Bと巻始め部51A、52Aとは、上下合計2つのティースを挟んで周方向に並ぶように設けられる。
【0045】
第1コイル群3における巻始め部31A、32Aは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線33Aを有する。第1コイル群3における巻終わり部31B、32Bは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線33Bを有する。第2コイル群4における巻始め部41A、42Aは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線43Aを有する。第2コイル群4における巻終わり部41B、42Bは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線43Bを有する。第3コイル群5における巻始め部51A、52Aは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線53Aを有する。第3コイル群5における巻終わり部51B、52Bは、上記のようにステータ2の上側に引き出されるとともに引出線53Bを有する。
【0046】
引出線33A、33B、43A、43B、53A、53Bは、径方向の内側に向かって引き出されることで径方向に沿って延在し、複数の引出線33A、33B、43A、43B、53A、53Bが周方向に並ぶように配置される。また、引出線33Bと引出線43Aとが結線され、引出線53Bと引出線33Aとが結線され、引出線43Bと引出線53Aとが結線される。尚、第1コイル群3は2つの直列コイル31、32を有し、2つの直列コイル31、32のそれぞれが巻始め部31A、32Aを有しているが、2つの巻始め部31A、32Aに対して1本の引出線33Aが設けられてもよいし、巻始め部31A、32Aのそれぞれに設けられた引出線をまとめて引出線33Aとしてもよい。これは、巻終わり側の引出線33Bについても同様であり、第2コイル群4における引出線43A、43B及び第3コイル群5における引出線53A、53Bについても同様である。また、各引出線は、コイルと一体に形成されていてもよいし、別体に形成されていてもよい。
【0047】
ここで、図8に示すように、他の実施例として、第1コイル群13と第2コイル群14と第3コイル群15との各々の直列コイルにおいて、複数のコイルの形成方向が全て第1方向Aである場合について説明する。本実施形態と他の実施例とでは、第1コイル群の巻き方が共通であり、第3コイル群の巻き方が共通であり、第2コイル群の巻き方が互いに異なっている。
【0048】
第2コイル群14を構成する上下2つの直列コイルは、それぞれ、電線が2番目のティース212、222に巻き回されてコイルを形成した後、電線が第1方向Aに向かうことで渡り線を形成し、電線が5番目のティース212、222に巻き回されてコイルを形成し、これを繰り返す。即ち、2つのティースを飛ばすようにしてコイルが形成され、17番目のティース212、222に形成されたコイルが最後のコイルとなる。即ち、第2コイル群14の直列コイルでは、2番目のティース212と2番目のティース222との間に巻始め部が設けられ、17番目のティース212と17番目のティース222との間に巻終わり部が設けられる。
【0049】
第1コイル群13及び第3コイル群15のうち第1ステータ21に設けられた直列コイルにおいて、巻始め側から最初のコイルがcw方向の巻き方となっているのに対し、第2コイル群14のうち第1ステータ21に設けられた直列コイルにおいて、巻始め側から最初のコイルがccw方向の巻き方となっている。また、第1コイル群13及び第3コイル群15のうち第2ステータ22に設けられた直列コイルにおいて、巻始め側から最初のコイルがccw方向の巻き方となっているのに対し、第2コイル群14のうち第2ステータ22に設けられた直列コイルにおいて、巻始め側から最初のコイルがcw方向の巻き方となっている。また、いずれの直列コイルにおいても、本実施形態と同様にcw方向の巻き方のコイルとccw方向の巻き方のコイルとが交互に並んでいる。
【0050】
このような他の実施例においても、本実施形態と同様のΔ結線となるように巻始め部と巻終わり部とが接続される。即ち、第1コイル群13の巻終わり部に設けられた引出線13Bと、第2コイル群14の巻始め部に設けられた引出線14Aとが結線される。第3コイル群15の巻終わり部に設けられた引出線15Bと、第1コイル群13の巻始め部に設けられた引出線13Aと、が結線される。第2コイル群14の巻終わり部に設けられた引出線14Bと、第3コイル群15の巻始め部に設けられた引出線15Aとが結線される。このとき、第3コイル群15の巻終わり部の引出線15Bと、第1コイル群13の巻始め部の引出線13Aと、は本実施形態と同様に周方向に隣接している。しかしながら、第1コイル群13の巻終わり部の引出線13Bと、第2コイル群14の巻始め部の引出線14Aと、は上下のステータ合計で6個のティースを挟んでおり、本実施形態と比較して離れて配置されている。同様に、第2コイル群14の巻終わり部の引出線14Bと、第3コイル群の巻始め部の引出線15Aと、は上下のステータ合計で6個のティースを挟んでおり、本実施形態と比較して離れて配置されている。
【0051】
従って、本実施形態では、他の実施例に対し、接続される巻終わり部と巻始め部とが周方向において隣接して配置され、これらを接続するための接続線を短くすることができる。従って、巻終わり部と巻始め部との結線が容易となり、接続線同士が交差したり接続線が相手方のステータに干渉したりしにくい。
【0052】
本実施形態によれば、第1コイル群3及び第3コイル群5の直列コイルの形成方向(第1方向A)に対し、第2コイル群4の直列コイルの形成方向(第2方向B)が反対方向となっていることで、各コイル群の直列コイルにおいて接続される巻終わり部及び巻始め部を周方向において隣接させることができ、結線の作業性を向上させることができる。従って、モータ1の組立を容易にすることができる。
【0053】
また、第1~第3コイル群3~5が、それぞれ、第1ステータ21及び第2ステータ22に設けられる直列コイルを有することで、直列コイルが第1ステータ21と第2ステータ22とに跨るように形成されず、第1ステータ21及び第2ステータ22のそれぞれにおいて独立に電線を巻き回すことで直列コイルを形成することができる。さらに、第1~第3コイル群3~5のそれぞれにおいて、第1ステータ21に設けられた直列コイルと第2ステータ22に設けられた直列コイルとが並列に接続されることで、第1ステータ21と第2ステータ22とに跨るようなコイルを形成した場合と同様の特性を得ることができる。
【0054】
また、第1ステータ21に設けられる直列コイル31、41、51において、渡り線が第2ステータ22とは反対側に配置され、第2ステータ22に設けられる直列コイル32、42、52において、渡り線が第1ステータ21とは反対側に配置されることで、渡り線と相手方のステータとが干渉しにくく、モータ1の組立を容易にすることができる。
【0055】
また、第1~第3コイル群3~5の巻始め部及び巻終わり部が、径方向内側に引き出される引出線を有し、これらの引出線が周方向に並ぶように配置されていることで、引き出し線同士を結線しやすくすることができ、モータ1の組立を容易にすることができる。
【0056】
また、本実施形態では、他の実施例に対し、接続される巻終わり部と巻始め部とが周方向において隣接して配置され、これらを接続するための接続線を短くすることができる。従って、接続線が短くなったことで接続線の抵抗値が低くなり、モータ全体の抵抗値を低くすることができる。
【0057】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のモータは上記実施形態の構成に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、第1~第3コイル群3~5の巻始め部及び巻終わり部が、径方向内側に引き出される引出線を有するものとしたが、引出線は、径方向外側に引き出されてもよいし、回転軸X方向に沿うように引き出されてもよく、引出線の延在方向は、モータを構成する他の部材との関係で適宜に設定されればよい。
【0058】
また、上記実施形態では、第1~第3コイル群3~5がΔ結線されるものとしたが、これらはY結線されてもよい。また、モータは、少なくとも第1~第3コイル群を備えていればよく、4相以上であってもよく、相数に応じた適宜な結線が採用されればよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第1ステータ21と第2ステータ22とがそれぞれ18個のティースを有し、ステータ全体として合計36個のティースを有するものとしたが、ステータにおけるティースの数は任意に設定されればよい。
【0060】
また、上記実施形態では、第1ステータ21と第2ステータ22の形状の一例を示したが、第1ステータ及び第2ステータは、以下の変形例1~4に説明するような形状を有していてもよい。
【0061】
[変形例1のステータ]
図9に示される変形例1のステータ2Aは、第1ステータ21A及び第2ステータ22Aを有する。第1ステータ21A及び第2ステータ22Aは、それぞれ、上記実施形態と同様のヨーク部(環状部)211、221と、上記実施形態と同様の複数のティース212、222と、に加え、ヨーク部211、221から径方向の外側に延在する複数の突出部213、223を有する。第1ステータ21Aにおいて、複数の突出部213は、それぞれ、2つのティース212の間に配置されており、第2ステータ22Aにおいて、複数の突出部223は、それぞれ、2つのティース222の間に配置されている。
【0062】
第1ステータ21Aと第2ステータ22Aとは、第1ステータ21Aの突出部213と第2ステータ22Aのティース222との周方向位置が略一致するように組み付けられる。これにより、突出部213の径方向外側の端部(端面)213Aと、ティース222の径方向内側の端部222Aのうち露出した部分と、が対向する。このとき、第2ステータ22Aの突出部223と第1ステータ21Aのティース212との周方向位置が略一致する。これにより、突出部223の径方向外側の端部(端面)223Aと、ティース212の径方向内側の端部212Aのうち露出した部分と、が対向する。ティースと突出部とが対向する面同士は、当接してもよいし、多少の隙間を開けてもよい。
【0063】
尚、上記実施形態及び変形例1では、ティース212、222の径方向内側の端部212A、222Aの一部が露出して段部が形成されているものとしたが、段部が形成されず、例えばティースとヨーク部とが滑らかに接続される構成としてもよい。
【0064】
[変形例2のステータ]
図10に示される変形例2のステータ2Bは、第1ステータ21B及び第2ステータ22Bを有する。第1ステータ21B及び第2ステータ22Bは、それぞれ、円環状のヨーク部(環状部)214、224と、ヨーク部214、224から径方向の外側(一方側)に延在する複数のティース215、225と、を有する。第1ステータ21Bのヨーク部214の外周側には、2つのティース215の間のそれぞれに凹部214Aが形成され、第2ステータ22Bのヨーク部224Aの外周側には、2つのティース225の間のそれぞれに凹部224Aが形成されている。変形例2では、周方向において、第1ステータ21Bのうち凹部214Aが形成されていない範囲全体にティース215が形成され、第2ステータ22Bのうち凹部224Aが形成されていない範囲全体にティース225が形成されているものとする。即ち、2つの凹部214Aの間に位置する突出部215Aもティース215に含まれ、2つの凹部224Aの間に位置する突出部225Aもティース225に含まれ、ティース215、225は、回転軸X方向から見てT字状に形成されている。
【0065】
第1ステータ21Bにおける突出部215Aの周方向寸法は、第2ステータ22Bにおける凹部224Aの周方向寸法と同等に設定され、突出部215Aの高さ(径方向寸法)は、凹部224Aの深さ(径方向寸法)と同等に設定されている。第2ステータ22Bにおける突出部225Aの周方向寸法は、第1ステータ21Bにおける凹部214Aの周方向寸法と同等に設定され、突出部225Aの高さ(径方向寸法)は、凹部214Aの深さ(径方向寸法)と同等に設定されている。
【0066】
第1ステータ21Bと第2ステータ22Bとは、第1ステータ21Bの凹部214Aと第2ステータ22Bの突出部225Aとの周方向位置が略一致し、且つ、第2ステータ22Bの凹部224Aと第1ステータ21Bの突出部215Aとの周方向位置が略一致するように組み付けられる。これにより、第1ステータ21Bにおける複数の凹部214A(2つのティース215の間の部分)のそれぞれに対し、第2ステータ22Bにおけるティース225の突出部225A(径方向内側の端部)が嵌る。また、第2ステータ22Bにおける複数の凹部224A(2つのティース225の間の部分)のそれぞれに対し、第1ステータ21Bにおけるティース215の突出部215A(径方向内側の端部)が嵌る。
【0067】
このような変形例2によれば、ティース215、225が径方向内側(ヨーク部214、224側)に突出部215A、225Aを有していることで、ステータ2Bの分割によってヨーク部214、224が薄くなっても、ティース215、225とヨーク部214、224との境界部において電線の巻きこぼれを抑制することができる。
【0068】
[変形例3のステータ]
図11に示される変形例3のステータ2Cは、第1ステータ21C及び第2ステータ22Cを有する。第1ステータ21C及び第2ステータ22Cは、それぞれ、円環状のヨーク部(環状部)216、226と、ヨーク部216、226から径方向の外側(一方側)に延在する複数のティース217、227と、を有する。変形例3のステータ2Cは、変形例2のステータ2Bに対し、ヨーク部216、226に形成された凹部216A、226Aの形状、及び、ティース217、227の突出部217A、227Aの形状が異なる。
【0069】
変形例2における凹部214A、224Aは、底面が周方向に沿うように延在しており、深さが略一定となっている。一方、変形例3における凹部217A、227Aは、ティース217、227から離れるにしたがって深くなっていき、回転軸X方向から見た際、回転軸Xを中心とする円よりも径方向内側に向かって凹んだ形状を有している。
【0070】
変形例2における突出部215A、225Aは、周方向内側の端面が周方向に沿うように延在しており、径方向寸法が略一定となっている。一方、変形例3における突出部217A、227Aは、凹部216A、226Aから離れるにしたがって径方向寸法が大きくなる。即ち、ティース217、227の径方向内側の端部である突出部217A、227Aは、回転軸X方向から見た際、径方向内側に向かって凸の曲面部217B、227Bを有している。即ち、凹部216A、226Aと突出部217A、227Aとが嵌り合う形状を有している。
【0071】
第1ステータ21Cと第2ステータ22Cとは、第1ステータ21Cの凹部216Aと第2ステータ22Cの突出部227Aとの周方向位置が略一致し、且つ、第2ステータ22Cの凹部226Aと第1ステータ21Cの突出部217Aとの周方向位置が略一致するように組み付けられる。これにより、第1ステータ21Cにおける複数の凹部216A(2つのティース217の間の部分)のそれぞれに対し、第2ステータ22Cにおけるティース227の突出部227A(径方向内側の端部)が嵌る。また、第2ステータ22Cにおける複数の凹部226A(2つのティース227の間の部分)のそれぞれに対し、第1ステータ21Cにおけるティース217の突出部217A(径方向内側の端部)が嵌る。
【0072】
このような変形例3によれば、変形例2と同様に、ティース217、227が突出部217A、227Aを有していることで、ステータ2Cの分割によってヨーク部216、226が薄くなっても、ティース217、227とヨーク部216、226との境界部において電線の巻きこぼれを抑制することができる。
【0073】
上記実施形態及び変形例1~3では、磁極部としてのティースが、環状部としてのヨーク部から径方向の外側に延在するものとしたが、磁極部は環状部から径方向の内側に延在してもよい。このとき、磁極部の径方向外側部分と、環状部の径方向内側部分と、の間に境界部が形成されるが、この境界部の構造は、上記実施形態及び変形例1~3と同様のものであればよい。
【0074】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0075】
1…モータ、21…第1ステータ、22…第2ステータ、211,221…ヨーク部(環状部)、212,222…ティース(磁極部)、212A,222A,215A,225A,217A,227A…端部、214A,224A,216A,226A…凹部、3…第1コイル群、4…第2コイル群、5…第3コイル群、31,32,41,42,51,52…直列コイル、31A,32A,41A,42A,51A,52A…巻始め部、31B,32B,41B,42B,51B,52B…巻終わり部、33A,33B,43A,43B,53A,53B…引出線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11