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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】界面活性剤組成物及び洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 1/06 20060101AFI20231122BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231122BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231122BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231122BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20231122BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20231122BHJP
   C11D 3/20 20060101ALI20231122BHJP
   C07C 59/125 20060101ALN20231122BHJP
【FI】
C11D1/06
A61K8/34
A61K8/39
A61Q5/02
A61Q19/10
C11D1/722
C11D3/20
C07C59/125 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020043578
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2020164815
(43)【公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2019066191
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】末永 えりか
【審査官】中田 光祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-207189(JP,A)
【文献】特開2002-226889(JP,A)
【文献】特開2009-263289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11D 1/00- 19/00
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸(塩)(A)と、一般式(2)で表されるアルコールのアルキレンオキシド付加物(B)と、一般式(3)で表されるアルコール(C)とを含有する界面活性剤組成物であって、
前記界面活性剤組成物は更に水を含有し、前記(A)と(B)と(C)と水との合計重量に対する、(A)の含有量が20~25重量%、(B)及び(C)の合計含有量が0.4~8重量%、水の含有量が67~79.6重量%である界面活性剤組成物
O-(AO)-R-COOM (1)
[一般式(1)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数1~3のアルキレン基、Aはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基であり、mは1~20の数を表し、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
O-(AO)-H (2)
[一般式(2)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、Aはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基であり、nは1~20の数を表す。]
O-H (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。]
【請求項2】
一般式(1)におけるAがエチレン基であり、Rがメチレン基である請求項1に記載の界面活性剤組成物。
【請求項3】
前記(A)と(B)と(C)との合計重量に対する(A)の含有量が、78~98重量%である請求項1又は2に記載の界面活性剤組成物。
【請求項4】
前記(B)と前記(C)との重量比率(B)/(C)が、30/70~99/1である請求項1~のいずれか1項に記載の界面活性剤組成物。
【請求項5】
炭素数1~6のアルコール、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、(A)以外のアニオン性界面活性剤、(B)以外のノニオン界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、薬効剤、抗
炎症剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、コンディショニング剤、エモリエント剤、シリコーン、パール化剤、キレート剤、pH調整剤、色素及び香料からなる群から選ばれる1種以上並びに請求項1~のいずれかに記載の界面活性剤組成物を含有してなる洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、界面活性剤組成物及び洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤は、毛髪用や身体用の洗浄剤として配合されており、特にアルキレンオキサイドの付加モル分布の狭いエーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤は低刺激性で低温安定性に優れることが知られている(特許文献1~3)。
更に、特定の分布を有するエーテルカルボン酸型アニオン界面活性剤について、すすぎ性が良好で皮脂洗浄性も高いことが知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭61-021199号公報
【文献】特開平02-175799号公報
【文献】特開2001-207189号公報
【文献】特開2012-072399号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの洗浄剤組成物は起泡性、すすぎ性、皮脂洗浄性に優れるものの、泡安定性が不十分で、毛髪用や身体用の洗浄剤として使用する際に粘度が低いため、手に取ったときに流れにくい粘度を出すためには多量の増粘剤を配合する必要があり、多量の増粘剤を配合することにより、泡量が減ったり泡質や外観安定性が悪くなったりするといった課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。即ち、本発明は、一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸(塩)(A)と、一般式(2)で表されるアルコールのアルキレンオキシド付加物(B)と一般式(3)で表されるアルコール(C)とを含有する界面活性剤組成物及び前記界面活性剤組成物を含む洗浄剤組成物である。
O-(AO)-R-COOM (1)
[一般式(1)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、Rは炭素数1~3のアルキレン基、Aはそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基であり、mは1~20の数を表し、Mは水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン又は有機アンモニウムイオンを表す。]
O-(AO)-H (2)
[一般式(2)中、Rは炭素数8~22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基であり、
はそれぞれ独立に炭素数2~4のアルキレン基であり、nは1~20の数を表す。]
O-H (3)
[一般式(3)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。]
【発明の効果】
【0006】
本発明の界面活性剤組成物及びそれを含む洗浄剤組成物は、起泡性及び泡安定性に優れ、洗浄剤に配合した際に洗浄剤に適度な粘度を与えることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の界面活性剤組成物は、一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸(塩)(A)と、一般式(2)で表されるアルコールのアルキレンオキシド付加物(B)と一般式(3)で表されるアルコール(C)とを含有する。
【0008】
O-(AO)-R-COOM (1)
【0009】
上記一般式(1)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基である。炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基は、例えば、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、オクタジエニル基、ノナジエニル基、デカジエニル基、ウンデカジエニル基、ドデカジエニル基、トリデカジエニル基、テトラデカジエニル基、ペンタデカジエニル基、ヘキサデカジエニル基、ヘプタデカジエニル基、オクタデカジエニル基、ノナデカジエニル基、イコサジエニル基、ヘンイコサジエニル基、ドコサジエニル基、オクタデカトリエニル基、イコサトリエニル基、イコサテトラエニル基、イコサペンタエニル基、ドコサヘキサエニル基、イソステアリル基及びテトラメチルヘキサデセニル基(フィチル基)等が挙げられる。
【0010】
のうち起泡性の観点より、好ましくは飽和又は不飽和結合を含む炭素数10~16の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは飽和結合のみからなる炭素数12~14の脂肪族炭化水素基である。
【0011】
上記一般式(1)中、Rは炭素数1~3のアルキレン基であり、炭素数1~3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基及びプロピレン基が挙げられる。
のうち、配合時の粘度の観点より、好ましくはメチレン基である。
【0012】
上記一般式(1)中、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基を表す。具体的には、オキシエチレン基(以下、EOと略記)、オキシプロピレン基(以下、POと略記)及びオキシブチレン基(以下、BOと略記)等が挙げられる。これらのうち、起泡性の観点から、好ましくはEO及びPOであり、更に好ましくはEOである。
【0013】
上記一般式(1)中、mは1~20の数を表し、起泡性の観点より、好ましくは1~5の数である。
【0014】
上記一般式(1)中のMは水素イオン、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン及び有機アンモニウムイオンを表す。
アルカリ金属イオンとしては、ナトリウムイオン及びカリウムイオン等が挙げられる。
有機アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオン及びテトラブチルアンモニウムイオン等が挙げられる。
これらのうち、起泡性の観点から、好ましくはアルカリ金属イオン及びアンモニウムイオンであり、更に好ましくはアルカリ金属イオンである。
【0015】
本発明の一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸(塩)(A)としては、例えばポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO5)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO4)トリデシルエーテル酢酸、ポリオキシエチレン(EO3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO7)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO11)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム及びポリオキシエチレン(EO3)ミリスチルエーテル酢酸ナトリウム等が挙げられる。
これらのうち、起泡性の観点より、好ましくはポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸カリウム、ポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム、ポリオキシエチレン(EO3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム及びポリオキシエチレン(EO3)ミリスチルエーテル酢酸ナトリウムである。
【0016】
O-(AO)-H (2)
【0017】
上記一般式(2)はアルコールのアルキレンオキシド付加物を表す。
一般式(2)中、Rは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、上述のRで例示した基を用いることができる。
これらのうち、起泡性の観点より、好ましくは飽和又は不飽和結合を含む炭素数10~16の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは不飽和結合を含む炭素数12~14の脂肪族炭化水素基である。
【0018】
上記一般式(2)中、AOはそれぞれ独立に炭素数2~4のオキシアルキレン基を表す。具体的には、オキシエチレン基(以下、EOと略記)、オキシプロピレン基(以下、POと略記)及びオキシブチレン基(以下、BOと略記)等が挙げられる。これらのうち、配合時の粘度の観点から、好ましくはEO及びPOであり、更に好ましくはEOである。
【0019】
上記一般式(2)中、nは1~20の数を表し、配合時の粘度の観点より、好ましくは1~5の数である。
【0020】
一般式(2)で表されるアルコールのアルキレンオキシド付加物(B)としては、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンペンタデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンヘプタデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクタデシルエーテル及びポリオキシエチレンイソステアリルエーテル等が挙げられる。
これらのうち、起泡性の観点より、好ましくはポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル及びポリオキシエチレンセチルエーテルである。
【0021】
本発明における一般式(1)で表されるエーテルカルボン酸(塩)(A)は、公知の方法で製造することができ、例えば以下の工程(1)~(4)を経て(A)が製造できる。
工程(1):一般式ROH[Rは一般式(1)における基と同じ]で示されるアルコール(a1)に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加して、アルコール(a1)のアルキレンオキサイド付加物(a2)を得る工程。
工程(2):前記(a2)を苛性アルカリ存在下でハロゲン化カルボン酸アルカリ金属塩などによりカルボキシアルキル化する工程。
工程(3):反応系内を酸性にして、水洗・分液し、副生したハロゲン化アルカリ金属塩を除去し、精製して、酸型のエーテルカルボン酸型界面活性剤を得る工程。
工程(4):アルカリ性物質を用いて中和し、少なくとも一部に塩型のエーテルカルボン酸型界面活性剤を含むエーテルカルボン酸型界面活性剤を得る工程。
【0022】
工程(1)の反応条件としては、(a1)に触媒及び必要により溶媒を仕込み、窒素置換を行った後、-0.8~5MPaで、80~200℃で炭素数2~4のアルキレンオキサイドを導入し、所定量のアルキレンオキサイドを圧入後、80~200℃で反応系内の圧力が平衡になるまで熟成を行う方法などが挙げられる。
前述の触媒としては、アルカリ触媒、ルイス酸触媒、過ハロゲン酸もしくはその塩、硫酸もしくはその塩、燐酸もしくはその塩、及び硝酸もしくはその塩等が挙げられる。
アルカリ触媒としては、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物が挙げられ、具体的には水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム及び水酸化バリウム等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、水酸化カリウム及び水酸化セシウムである。
ルイス酸触媒としては、四塩化スズ、五塩化アンチモン、三塩化鉄及び三フッ化ホウ素等が挙げられる。
【0023】
触媒の使用量としては、反応速度と経済性の点から、前述(a1)と(a1)に付加させる炭素数2~4のアルキレンオキサイドとの合計100重量部当たり、好ましくは0.001~1重量部であり、更に好ましくは0.003~0.8重量部であり、最も好ましくは0.005~0.5重量部である。
また触媒、溶媒及び触媒の使用量などは、特開平2001-011489号公報に記載のものも適用できる。
【0024】
工程(2)における苛性アルカリとしては、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等が挙げられる。苛性アルカリの性状としては、水溶液、粉末状、顆粒状及びフレーク状等が挙げられる。反応効率の良さ及び安全性の観点から、これらのうち好ましいのは顆粒状である。
【0025】
工程(2)のハロゲン化カルボン酸アルカリ金属塩としては、モノクロル酢酸ナトリウム、モノクロル酢酸カリウム、モノブロム酢酸ナトリウム及びモノブロム酢酸カリウム等が挙げられる。
【0026】
工程(2)においては、溶媒を使用してもよい。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン及びシクロヘキサン等が挙げられるが、反応効率の良さと反応後の除去しやすさの観点から、好ましいのはトルエンである。溶媒を使用する場合の好ましい溶媒濃度は、工程(2)で使用する溶媒以外のすべての原料重量の総和に対して、5~130重量%である。
【0027】
工程(3)において使用できる酸は、塩酸及び硫酸等の鉱酸が好ましい。
酸を加えて酸型のエーテルカルボン酸とすることで、反応中に副生した塩の水溶液との分離がしやすくなる。酸の仕込み当量は、工程(2)における苛性アルカリの当量の1.0~1.5当量が好ましい。また、水洗・分液がしやすいように、適宜、水を追加してもよい。
【0028】
工程(4)で使用できるアルカリ性物質は、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、塩基性アミノ酸及び四級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。
【0029】
本発明における一般式(2)で表されるアルコールのアルキレンオキシド付加物(B)は、公知の方法で製造することができる。
例えば一般式ROH[Rは一般式(2)における基と同じ]で示されるアルコール(a3)を加圧反応容器に投入し、無触媒又は触媒の存在下に、炭素数2~4のアルキレンオキサイドを滴下し、1段階又は多段階で反応を行う方法が挙げられる。炭素数2~4のアルキレンオキサイドとしては、EO、PO及びBO等が挙げられ、これらの中で1種又は2種類以上を併用することができる。
反応温度は、好ましくは60~200℃であり、更に好ましくは70~140℃である。反応圧力は、好ましくは0.001~0.5MPaである。反応時間は、好ましくは2~24時間であり、更に好ましくは3~10時間である。
触媒としては、アルカリ触媒(水酸化ナトリウム及び水酸化カリウム等)等が挙げられる。触媒の使用量は、前述(a3)と(a3)に付加させる炭素数2~4のアルキレンオキサイドとの合計重量に基づき好ましくは0.01~5重量%であり、更に好ましくは0.1~0.5重量%である。
反応終了後、触媒は(B)中にそのまま残しておいてもよいし、吸着剤を用いて吸着・ろ過し除去する方法、酸で中和して触媒を不活性化する方法等により処理してもよい。
【0030】
O-H (3)
【0031】
上記一般式(3)は1価のアルコールである。
一般式(3)中のRは炭素数8~22の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素基であり、上述のRで例示した基を用いることがでる。
これらのうち、起泡性の観点により、好ましくは飽和又は不飽和結合を含む炭素数10~16の脂肪族炭化水素基であり、更に好ましくは不飽和結合を含む炭素数12~14の脂肪族炭化水素基である。
【0032】
一般式(3)で表されるアルコール(C)としては、オクチノール、デカノール、ウンデカノール、ラウリルアルコール、トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、ノナデシルアルコール及びイソステアリルアルコール等が挙げられる。
これらのうち、起泡性の観点から、好ましくはデカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びセチルアルコールである。
【0033】
前記(A)の含有量は、前記(A)と(B)と(C)との合計重量に対して、起泡性の観点から、好ましくは78~98重量%である。
【0034】
前記(B)と、前記(C)との重量比率(B)/(C)は、配合時の粘度の観点から、好ましくは30/70~99/1であり、更に好ましくは40/60~90/10である。
【0035】
本発明の界面活性剤組成物は、更に水を含有してもよい。
【0036】
本発明の界面活性剤組成物が水を含有する場合、前記(A)の含有量は、(A)と(B)と(C)と水との合計重量に対して、起泡性の観点から、好ましくは20~35重量%であり、更に好ましくは23~30重量%である。
【0037】
前記(B)及び(C)の合計含有量は、(A)と(B)と(C)と水との合計重量に対して、本発明の界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物の粘度と泡安定性の観点から、好ましくは0.4~8重量%であり、更に好ましくは0.6~4重量%である。
【0038】
水の含有量は、(A)と(B)と(C)と水との合計重量に対して本発明の洗浄剤組成物の粘度と泡安定性の観点から、好ましくは57~79.6重量%であり、更に好ましくは66~74.4重量%である。
【0039】
本発明の洗浄剤組成物の性状は特に限定されないが、液体状及びペースト状が挙げられる。これらのうち、取り扱い易さの観点から好ましくは液体状である。
【0040】
本発明の洗浄剤組成物は上述の界面活性剤組成物のみならず、炭素数1~6のアルコール、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、(A)以外のアニオン性界面活性剤、(B)以外のノニオン界面活性剤、増粘剤、ゲル化剤、薬効剤、抗炎症剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、コンディショニング剤、エモリエント剤、シリコーン、パール化剤、キレート剤、pH調整剤、色素及び香料からなる群から選ばれる1種以上を含有することが好ましい。
【0041】
両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤、カルボベタイン型両性界面活性剤及びスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
アミノ酸型両性界面活性剤としては、アルキルアミノプロピオン酸塩(ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等)が挙げられる。
カルボベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチル酢酸ベタイン(ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン及びラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等)、アルキルアミド酢酸ベタイン{ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン及びラウリン酸アミドプロピルベタイン等}及びアルキルジヒドロキシアルキルベタイン(ラウリルジヒドロキシエチルベタイン等)等が挙げられる。
スルホベタイン型両性界面活性剤としては、アルキルジメチルヒドロキシスルホベタイン(ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン等)、アルキルアミドヒドロキシスルホベタイン(ラウリルアミドプロピルヒドロキシスルホベタイン等)等が挙げられる。
【0043】
カチオン性界面活性剤としては、第4級アンモニウム塩型及びアミン塩型などが挙げられる。
【0044】
(A)以外のアニオン性界面活性剤としては、(A)以外のカルボン酸塩、硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、スルホン酸塩及びリン酸エステル塩などが挙げられる。
【0045】
(B)以外のノニオン界面活性剤としては、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活
性剤[高級アルコール(炭素数23以上の脂肪族アルコール)、アルキルフェノール(炭素数10~24)もしくは高級アミン(炭素数8~18)にアルキレンオキシドを付加させたものまたはさらに水酸基をアルキル化剤でアルキルエーテル化させたもの、ポリオキシアルキレングリコールに高級脂肪酸(炭素数12~24)などを反応させたものまたは;ジオールまたは3~8価の多価アルコールなどの水酸基含有化合物に高級脂肪酸(炭素数12~24)を反応させて得られたエステル化物にアルキレンオキシドを付加させたもの、高級脂肪酸(炭素数8~24)アミドにアルキレンオキシドを付加させたもの、多価アルコール(前記のもの)アルキル(炭素数8~60)エーテルにアルキレンオキシドを付加させたものなど]、および多価アルコール(炭素数3~20)型非イオン界面活性剤[多価アルコール脂肪酸(炭素数8~60)エステル、多価アルコールアルキル(炭素数8~60)エーテル、脂肪酸(炭素数8~60)アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド)]等が挙げられる。
【0046】
増粘剤、ゲル化剤、薬効剤、抗炎症剤、抗菌剤、防腐剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、及び香料としては、「香粧品科学」田村健夫著 社団法人日本毛髪科学協会1976年発行のp204~211に記載のゲル化剤としての高分子化合物、p185~196に記載の殺菌剤と防腐剤、p177~183に記載の紫外線吸収剤、p199~203に記載の酸化防止剤、p145~148に記載の着色料、およびp150~176に記載の香料などが挙げられる。
エモリエント剤としては、例えばカルナウバ蝋、蜜蝋、鉱油、扁桃油、ヒマシ油、ゴマ油、水素化ポリイソブテン、およびジカプリル酸ジカプリン酸ブチレングリコール(SasolからMyglyol(登録商標)として市販されている)など、これらの混合物が挙げられる。
コンディショニング剤としては、重量平均分子量500~500万のカチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、シリコーン類、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、タンパク質誘導体、セラミド類、擬似セラミド類、炭素数16~40の脂肪酸及びパンテノール等が挙げられる。
キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ポリリン酸、ピロリン酸、グルコン酸、アスコルビン酸及びこれらの塩等が挙げられる。
pH調整剤としては、pH調整剤としては、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、乳酸、コハク酸及びクエン酸等が挙げられる。
色素としては、青色1号、青色2号、緑色3号及び赤色1号等が挙げられる。
【実施例
【0047】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
【0048】
<実施例1>
撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、富士フィルム和光純薬(株)製デカノールを158部(1モル)及びナトリウムメチラート28%メタノール溶液0.5部を仕込み、混合した後、系内の気相を窒素で置換した。その後、減圧下(2.6KPa)に、120℃にて2時間脱メタノールを行った。次いでEO132部(3モル)を、150℃にてゲージ圧が0.1~0.3MPaとなるように導入した。EOの付加重合に要した時間は3時間であった。その後、撹拌及び温度調節機能の付いたガラス製反応容器に上記生成物217.5部(0.75モル)とモノクロル酢酸ナトリウム116.5部(1.0モル)を仕込み、温度を50℃に保ちながら徐々に減圧度を高め10KPaとした。その後、減圧下に脱水しながら顆粒状の水酸化ナトリウム45.2部(1.13モル)を2時間かけて仕込み、更に熟成を6時間行った。水350部を加え、35%の塩酸133部で酸性にし、30分間撹拌した後、3時間静置し、分液して副生塩を含有する下液を廃棄した。70℃にて水337部を加え、48.5%の水酸化ナトリウム水溶液62部(0.75モル)を徐々に加えて中和することで界面活性剤組成物(X1)を得た。(X1)の組成は、ポリオキシエチレン(EOの平均付加モル数=3モル)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム(A1)が(X1)の全体重量に対して29重量%、ポリオキシエチレンデシルエーテル(B1)が0.5重量%、デカノール(C1)が0.4重量%になるように水を加えて調整した。
【0049】
<実施例2>
製造例1において、デカノールを富士フィルム和光純薬(株)製ラウリルアルコール186部(1モル)に、水337部を384部に変えた以外は同様の条件で界面活性剤組成物(X2)を得た。(X2)の組成は、ポリオキシエチレン(EO3)ラウリルエーテル酢酸ナトリウム(A2)が(X2)の全体重量に対して29重量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(B2)が0.5重量%、ラウリルアルコール(C1)が0.4重量%であった。
【0050】
<実施例3>
製造例1において、デカノールを富士フィルム和光純薬(株)製ミリスチルアルコール214部(1モル)に、水337部を431部に変えた以外は同様の条件で界面活性剤組成物(X3)を得た。(X3)の組成は、ポリオキシエチレン(EO3)ミリスチルエーテル酢酸ナトリウム(A3)が(X3)の全体重量に対して29重量%、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル(B3)が0.5重量%、ミリスチルアルコール(C3)が0.4重量%であった。
【0051】
<製造例1>
撹拌及び温度調節機能の付いたステンレス製オートクレーブに、富士フィルム和光純薬(株)製ラウリルアルコールを186部(1モル)及び水酸化カリウム0.1部を仕込み、混合した後、系内の気相を窒素で置換した。次いでEO220部(5モル)を、170℃にてゲージ圧が0.1~0.3MPaとなるように導入した。EOの付加重合に要した時間は5時間であった。その後、50℃まで冷却し、クエン酸0.1部を加えて混合し、pHを約7.0に調整し、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(B2)93重量%とラウリルアルコール(C2)7重量%の混合物(D1)を得た。
【0052】
<製造例2>
製造例4において、ラウリルアルコール186部(1モル)を富士フィルム和光純薬(株)製ミリスチルアルコール214部(1モル)に変えた以外は同様の条件でポリオキシエチレンミリスチルエーテル(B3)93重量%とミリスチルアルコール(C3)7重量%の混合物(D2)を得た。
【0053】
<製造例3>
製造例4において、ラウリルアルコール186部(1モル)を富士フィルム和光純薬(株)製セチルアルコール242部(1モル)に変えた以外は同様の条件で、ポリオキシエチレンセチルエーテル(B4)93重量%とセチルアルコール(C4)7重量%の混合物(D3)を得た。
【0054】
<実施例4~12及び比較例1~4>
上記の実施例1~3で得られた(X1)~(X3)、製造例1~3で得られた(D1)~(D3)、下記各種アルコールである(C2)~(C4)及び水を、表1又は表2に示した部数になるように配合して界面活性剤組成物(X4)~(X12)及び(X’1)~(X’4)を作製した。
(C2)ラウリルアルコール(富士フィルム和光純薬(株)製)
(C3)ミリスチルアルコール(富士フィルム和光純薬(株)製)
(C4)セチルアルコール(富士フィルム和光純薬(株)製)(X4)は、(X1)と(X1)の全体重量に対して2.2重量%の(D3)とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X5)は、(X2)と(X2)の全体重量に対して2.2重量%の(D1)とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X6)は、(X3)と(X3)の全体重量に対して2.2重量%の(D2)とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X7)は、(X2)と(X2)の全体重量に対して16重量%の水とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X8)は、(X3)と(X3)の全体重量に対して16重量%の水とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X9)は、(X7)と、(X7)の全体重量に対して1.1重量%の(D1)と、(X7)の全体重量に対して1.1重量%の(D2)と、(X7)の全体重量に対して2.2重量%の(D3)とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X10)は、(X8)と、(X8)の全体重量に対して3.3重量%の(D1)と、(X8)の全体重量に対して3重量%の(C4)とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X11)は、(X2)と、(X2)の全体重量に対して38重量%の水とを表1に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X12)は、(X2)と、(D1)と、(C2)と水とを加えて表1に記載の重量比になるように配合して得られた界面活性剤組成物である。
(X’1)はX2から(B2)と(C2)を減圧留去後、水を加えることによって得られた界面活性剤組成物である。
(X’2)はX1と水とを表2に記載の重量比になるように配合することで得られた界面活性剤組成物である。
(X’3)は(X2)と、(D1)と、(C2)と水とを加えて表2に記載の重量比になるように配合して得られた界面活性剤組成物である。
(X’4)は(X3)と、(D1)と、(C4)と水とを加えて表2に記載の重量比になるように配合して得られた界面活性剤組成物である。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
<実施例13~24及び比較例5~8>
上記各種界面活性剤組成物(X1)~(X12)及び(X’1)~(X’4)について、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン(三洋化成工業(株)製、レボンHC-30W)、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(三洋化成工業(株)製、プロファンAB-20)、ポリオキシエチレン(60)セトステアリルヒドロキシミリスチレンエーテル(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製、エルファコスGT 282S)、クエン酸、安息香酸、サリチル酸及び水を、表3又は表4に示した部数に従って、60℃にて配合した。均一に撹拌後、上記組成物を40℃以下に冷却し、pHが6.0になるよう水酸化ナトリウム加えて調整することにより洗浄剤組成物(Y1)~(Y12)及び比較洗浄剤組成物(Y’1)~(Y’4)を作製し、各種評価を行った。
【0058】
<起泡性評価>
上記各種界面活性剤組成物(X1)~(X12)、(X’1)~(X’4)について、水道水で100倍に希釈し、クエン酸にてpHを7.0にした。また、(Y1)~(Y1
2)および洗浄剤組成物(Y’1)~(Y’4)については水道水で50倍に希釈し、それぞれの水溶液200mLを東芝(株)製、ジュースミキサー(MX-390GM)を用いて、25℃で30秒間撹拌した直後の泡高さを読みとり、下記基準で判定し、表1~4に記載した。
【0059】
[判定基準]
◎;135mm以上
○;120mm以上135mm未満
△;105mm以上120mm未満
×;105mm未満
【0060】
<泡安定性評価>
上記の起泡性評価と同様の方法で調整した各種水溶液を25℃で30秒間撹拌し、直後の泡高さと5分静置後の泡高さを読み取り、その泡高さの差を下記基準で判定し、表1~表4に記載した。
【0061】
[判定基準]
◎;泡高さの差が5mm未満
○;泡高さの差が5mm以上10mm未満
△;泡高さの差が10mm以上20mm未満
×;泡高さの差が20mm以上
【0062】
<配合時の粘度>
配合時から一日経過した洗浄剤組成物(Y1)~(Y12)及び比較洗浄剤組成物(Y’1)~(Y’4)を25℃下における粘度についてB型粘度計を用いて測定し、下記基準で判定した。
【0063】
[判定基準]
◎;4000mPa・s以上8000mPa・s未満
○;1000mPa・s以上4000mPa・s未満
△;500mPa・s以上1000mPa・s未満または
4000mPa・s以上8000mPa・s未満
×;500mPa・s未満または8000mPa・s以上
【0064】
【表3】
【0065】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は界面活性剤組成物及び洗浄剤組成物に関する発明である。前記界面活性剤組成物を含有する洗浄剤組成物は好適な外観安定性、気泡性及び泡安定性を有し、洗浄剤に配合の際、製剤に適度な粘度を与えることができるため、頭髪用洗浄剤又は皮膚用洗浄剤として好適である。また、家庭用洗浄剤(衣料用洗剤及び食器用洗剤等)及び工業用洗浄剤(金属及び精密部品等の洗浄剤等)として使用できる。