(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】車両の貸し出しシステム
(51)【国際特許分類】
E05B 49/00 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2020051350
(22)【出願日】2020-03-23
【審査請求日】2022-08-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】望月 信吾
(72)【発明者】
【氏名】清水 紀博
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】祖父江 啓太
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-204254(JP,A)
【文献】特開2019-191647(JP,A)
【文献】特開2018-92323(JP,A)
【文献】特開2012-215047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貸し出し用キーと車載器とが近距離無線通信により通信を行うことにより認証を行い、前記認証が完了すると車両の使用が可能となる車両の貸し出しシステムであって、
前記車両の車両情報および前記車両の使用条件に関する情報を有するとともに前記貸し出し用キーと前記近距離無線通信が可能に構成され、前記車両情報および前記使用条件を前記貸し出し用キーに送信する情報書き込み装置を備え、
前記貸し出し用キーは、前記情報書き込み装置と前記近距離無線通信で接続されることにより、前記車両情報および前記使用条件に関する情報が書き込まれるよう構成されており、
前記車両情報および前記使用条件に関する情報が書き込まれた前記貸し出し用キーと前記車載器と前記認証を行うことにより前記車両の使用が可能となり、
前記車載器および前記
情報書き込み装置は、前記車両に搭載されたカーシェア装置であり、前記カーシェア装置を登録モードに移行すると、前記カーシェア装置から前記車両情報および前記使用条件に関する情報が前記貸し出し用キーに送信される、車両の貸し出しシステム。
【請求項2】
前記貸し出し用キーは、アンテナおよびICチップを備えたカードであり、前記アンテナに生じる誘導電流により前記ICチップが動作し、前記情報書き込み装置との近距離無線通信を行う、請求項1に記載の車両の貸し出しシステム。
【請求項3】
前記貸し出し用キーと前記車載器との前記認証が完了しても、前記貸し出し用キーに書き込まれた前記使用条件が満たされない場合、前記車両の使用が許可されない、請求項1または請求項2に記載の車両の貸し出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の貸し出しシステム、貸し出し用キーおよび貸し出し用キーの製作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、近距離無線通信を介して、車載器と携帯機との間の通信を実行する電子キーシステムが知られている。たとえば、特開2013-100645号公報(特許文献1)には、電子キーとしての携帯機の携帯性を損なうことなく、車両または携帯機の状態に対処する対処方法を通知可能とする無線通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、1台の車両を複数人で共有する(車両を貸し出す)カーシェアリングシステムが実用化されている。一般的なカーシェアリングシステムにおいては、携帯端末(スマートフォン等)により、ネットワーク通信(インターネット接続)を介してサーバにアクセスして、車両の鍵情報等を携帯端末にダウンロードする。そして、鍵情報等を取得した携帯端末と車載器との間で近距離無線通信を行うことにより認証を実行し、1台の車両を複数人に貸し出すことを可能としている。
【0005】
このため、従来のカーシェアリングシステムでは、ネットワーク通信が可能な環境でなければ、携帯端末に鍵情報を取得できず、車両を貸し出すことができないという課題がある。
【0006】
本開示は、サーバ等のネットワーク通信システムを用いることなく車両を貸し出し可能な、車両の貸し出しシステム、貸し出し用キーおよび貸し出し用キーの製作方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の車両の貸し出しシステムは、貸し出し用キーと車載器とが近距離無線通信により通信を行うことにより認証を行い、認証が完了すると車両の使用が可能となる車両の貸し出しシステムであって、車両の車両情報および車両の使用条件に関する情報を有するとともに貸し出し用キーと近距離無線通信が可能に構成され、車両情報および使用条件を貸し出し用キーに送信する情報書き込み装置を備える。貸し出し用キーは、情報書き込み装置と近距離無線通信で接続されることにより、車両情報および使用条件に関する情報が書き込まれるよう構成されており、車両情報および使用条件に関する情報が書き込まれた貸し出し用キーが車載器と認証を行うことにより車両の使用が可能となる。
【0008】
この構成によれば、情報書き込み装置と貸し出し用キーの近距離無線通信を用いて、貸し出し用キーに車両情報および使用条件を書き込む。車両情報と使用条件が書き込まれた貸し出し用キーによって車両の使用が可能となる。したがって、ネットワーク通信を用いることなく、車両を貸し出すことが可能となる。
【0009】
本開示の貸し出し用キーは、車両の車両情報および車両の使用条件に関する情報を有する情報書き込み装置と近距離無線通信で接続されると、車両情報および使用条件が書き込まれる。
【0010】
この構成によれば、情報書き込み装置から、近距離無線通信を用いて、貸し出し用キーに車両情報および使用条件が書き込まれる。したがって、ネットワーク通信を必要としない貸し出し用キーを提供できる。
【0011】
本開示の貸し出し用キーの製作方法は、貸し出し用キーと情報書き込み装置との間で近距離通信の接続を行うステップと、貸し出し用キーに記憶されている共通鍵の情報を情報書き込み装置に送信するステップと、情報書き込み装置において、受信した前記共通鍵の情報を用いて照合を行うステップと、照合が成立すると、情報書き込み装置から貸し出し用キーへ、車両情報および使用条件に関する情報を送信するステップと、受信した車両情報および使用条件に関する情報を、貸し出し用キーに書き込むステップと、を含む。
【0012】
この構成によれば、情報書き込み装置から、近距離無線通信を用いて、貸し出し用キーに車両情報および使用条件が書き込まれる。したがって、ネットワーク通信を用いることなく貸し出し用キーを製作することができる。
【0013】
本開示の貸し出し用キーの製作方法は、貸し出し用キーと情報書き込み装置との間で近距離通信の接続を行うステップと、貸し出し用キーに記憶されている共通鍵および固有鍵を含む情報を前記情報書き込み装置に送信するステップと、情報書き込み装置において、受信した共通鍵の情報を用いて照合を行うステップと、照合が成立すると、固有鍵に関する情報を情報書き込み装置に書き込むステップと、照合が成立すると、情報書き込み装置から貸し出し用キーへ、車両情報および使用条件に関する情報を送信するステップと、受信した車両情報および使用条件に関する情報を、貸し出し用キーに書き込むステップと、を含む。
【0014】
この構成によれば、情報書き込み装置から、近距離無線通信を用いて、貸し出し用キーに車両情報および使用条件が書き込まれる。したがって、ネットワーク通信を用いることなく貸し出し用キーを製作することができる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、サーバ等のネットワーク通信システムを用いることなく車両を貸し出し可能な、車両の貸し出しシステム、貸し出し用キーおよび貸し出し用キーの製作方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施形態に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図である。
【
図2】NFCカード30のメモリエリアに書き込まれるデータを示す図である。
【
図3】第1の実施形態における、NFCカード30のメモリエリアにデータを書き込むステップを示した図である。
【
図4】第2の実施形態に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図である。
【
図5】第2の実施形態における、NFCカード30のメモリエリアにデータを書き込むステップを示した図である。
【
図6】変形例に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図である。
図1示すように、車両1は、電子キー2との無線によりID照合を行って車載装置3の作動を実行又は許可する電子キーシステム4を備える。電子キーシステム4は、車両1からの通信を契機に狭域無線によりID照合(スマート照合)を実行するスマートキーシステムである。スマートキーシステムは、電子キー2を直に操作することなく自動でID照合が行われるものである。車載装置3は、たとえば、ドアロック装置5やエンジン6などである。
【0019】
車両1は、ID照合を行う照合ECU(Electronic Control Unit)7と、車載電装品を制御するボディECU8と、エンジン6を制御するエンジンECU9とを備える。照合ECU7、ボディECU8およびエンジンECU9は、車内の通信線10を介して電気接続されている。通信線10は、例えばCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)である。照合ECU7及び電子キー2の各メモリ(図示略)には、車両1に登録された電子キー2の電子キーIDと、ID照合の認証時に使用する電子キー固有鍵とが登録されている。ボディECU8は、車両ドアの施錠および解錠を行うドアロック装置5を制御する。
【0020】
車両1は、電波を送信する送信部11と、電波を受信する受信部12とを備える。送信部11は、たとえば車室外に電波を送信する室外用と、車室内に電波を送信する室内用とを備える。送信部11はLF(Low Frequency)帯の電波を送信する。受信部12はUHF(Ultra High Frequency)帯の電波を受信する。電子キーシステム4は、LF-UHFの双方向通信により電子キー2と通信する。
【0021】
電子キー2を起動させるウェイク信号が送信部11からLF送信されているとき、電子キー2は、ウェイク信号の通信エリアに進入して受信すると、待機状態から起動し、照合ECU7とID照合(スマート照合)を実行する。スマート照合には、たとえば電子キーIDの正否を確認する電子キーID照合や、電子キー固有鍵(暗号鍵)を用いたチャレンジレスポンス認証などが含まれる。照合ECU7は、車室外の電子キー2とID照合(室外スマート照合)が成立することを確認すると、ボディECU8による車両ドアの施錠および解錠を許可する。
【0022】
照合ECU7は、車室内の電子キー2とID照合(室内スマート照合)が成立することを確認すると、エンジンECU9へエンジン6の作動を許可する信号を送信する。これにより、たとえば、ブレーキペダルを踏み込んだ状態でエンジンスイッチが操作されると、エンジン6が始動する。
【0023】
車両1は、1台の車両1を複数人で共有する(車両を貸し出す)カーシェアリングシステムに対応可能となっている。カーシェアリングシステムは、1台の車両を複数人に貸し出すことが可能なシステムであり、本件開示における「車両の貸し出しシステム」の一例である。本実施形態のカーシェアリングシステムは、近距離無線通信(NFC:Near Field Communication)が可能なICカードからなる貸し出し用キー30(以下、NFCカード30とも称する)が、車両1に搭載されたカーシェア装置14と近距離無線通信(NFC)を用いて通信を行うことにより実現される。
【0024】
本実施形態において、カーシェア装置14は、車両1の電子キーシステム4のハード構成から独立した構成とされている。カーシェア装置14は、カーシェア装置14の作動を制御するシェアECU15と、近距離無線通信(BLE:Bluetooth Low Energy)を行うBLE通信部17と、近距離無線通信(NFC)を行うNFC通信部18と、記憶部19を備える。シェアECU15は、通信線10を介して照合ECU7と接続されている。記憶部19には、携帯端末40およびNFCカード30との通信に使用する固有鍵(暗号鍵)20と固有ID21が記憶されている。固有鍵20と固有ID21は、照合ECU7のメモリ(図示せず)に予め書き込まれている。シェアECU15と照合ECU7が通信線10を介して接続されたとき、照合ECU7に書き込まれている固有鍵20および固有ID21が、記憶部19に書き込まれる。
【0025】
携帯端末40は、携帯端末40の作動を制御する端末制御部41と、携帯端末40においてネットワーク通信を行うネットワーク通信部42と、近距離無線通信(BLE)を行うBLE通信部43と、近距離無線通信(NFC)を行うNFC通信部44と、記憶部45および入力部46を備える。たとえば、携帯端末40は、入力部46に相当するタッチパネルディスプレイを備えたスマートフォンである。ただしこれに限られず、携帯端末40としては、任意の携帯端末を採用可能であり、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ)等であってよい。携帯端末40の記憶部45とカーシェア装置14の記憶部19には、ペアリングを行うための共通鍵が記憶されている。携帯端末40とカーシェア装置14のペアリングは、携帯端末40のBLE通信部43もしくはNFC通信部44と、カーシェア装置14のBLE通信部17もしくはNFC通信部18との通信によって、共通鍵を用いて行われる。ペアリングが終了すると、カーシェア装置14の記憶部19に記憶されていた固有鍵20および固有ID21が、携帯端末40の記憶部45に書き込まれる。なお、記憶部45に固有鍵20および固有ID21が書き込まれた後は、固有鍵20および固有ID21を用いて、カーシェア装置14と携帯端末40のID照合が行われる。
【0026】
貸し出し用キー30(NFCカード30)は、近距離無線通信(NFC)による通信が可能なICカードである。本実施形態において、近距離無線通信(NFC)とは、「ISO/IEC18092」等の標準規格によって定められた近距離無線通信であり、数cm以内の距離で非接触通信を行う。なお、本実施形態において、近距離無線通信(BLE)は、Bluetooth(登録商標)規格による近距離無線通信で、Bluetooth4.0以降の規格で追加になった低消費電力の通信モードであり、本実施形態では、数m程度の通信距離を有する。
【0027】
NFCカード30は、アンテナ31とICチップ32を備えている。NFCカード30を、カーシェア装置14のNFC通信部18、あるいは、携帯端末40のNFC通信部44にかざすと(数cm以内の距離に近づけると)、NFC通信部18(NFC通信部44)のアンテナから発生する交流磁界によってアンテナ31に誘導電流が発生し、この誘導電流を起電力としてICチップ32が動作し、NFC通信部18(NFC通信部44)とNFCカード30の通信が可能となる。NFC通信部18(NFC通信部44)とNFCカード30の通信が可能になると、NFCカード30に記憶されたデータの読み書きが可能になる。このように、NFC通信部18およびNFC通信部44は、NFCカード30のリーダ/ライタの機能を有し、カーシェア装置14および携帯端末40はNFCカード30の「情報書き込み装置」として動作する。
【0028】
図2は、NFCカード30のメモリエリア(ICチップ32のメモリエリア)に書き込まれるデータを示す図である。認証鍵記憶エリアは、共通鍵と固有鍵を記憶することができる。車両情報登録エリアは、固有鍵、固有IDおよび使用条件を示す情報を記憶することができる。
図3は、NFCカード30のメモリエリアにデータを書き込むステップ(以下、Sと略す場合がある)を示した図である。NFCカード30を携帯端末40のNFC通信部44にかざすと、ICチップ32に電力が供給され、近距離通信(NFC)が接続する(S1)。近距離通信(NFC)が接続すると、NFCカード30の認証鍵記憶エリアに記憶されている共通鍵で暗号化した共通鍵情報を携帯端末40に送信する(S2)。携帯端末40は、記憶部45に記憶されている共通鍵を用いて、受信した共通鍵情報を復号し照合を行う。NFCカード30が正当なものであれば、双方の共通鍵は一致しており、照合が成立する(S3)。
【0029】
照合が成立すると、携帯端末40は、車両1の車両情報である、固有鍵20および固有ID21のデータを、記憶部45から読み出して、NFCカード30へ送信する(S4)。また、携帯端末40は、ユーザが入力部46から入力した使用条件、たとえば、貸し出し日時に関する情報および車両の使用回数に関する情報を、NFCカード30に送信する(S4)。そして、NFCカード30は、受信した固有鍵20を認証鍵記憶エリアに書き込むとともに、受信した固有鍵20、固有ID21および使用条件を車両情報登録エリアに書き込む(S5)。このようにして、NFCカード30への各種データの書き込みが完了する(S6)。なお、固有IDは、車両1のユニークな情報であり、たとえば、車体番号等であってよい。
【0030】
携帯端末40により、NFCカード30(貸し出しカード30)に、車両情報(固有鍵20、固有ID21)および使用条件が書き込まれると、NFCカード30を用いた車両1の貸し出しが可能となる。NFCカード30の貸与を受けたユーザは、NFCカード30をカーシェア装置14のNFC通信部18にかざすことにより、車両1を使用できる。NFCカード30がNFC通信部18にかざされると、ICチップ32に電力が供給され、近距離通信(NFC)が接続する。NFCカード30に記憶されている固有鍵20および固有ID21は、カーシェア装置14の記憶部19に記憶されている固有鍵20および固有ID21と一致している。したがって、シェアECU15による照会によって、NFCカード30とカーシェア装置14のID照合が成立し、認証が完了する。このID照合が成立し、認証が完了すると、シェアECU15は、車両1の今回の使用が、NFCカード30に記憶されている使用条件を満たすか否かを判断する。シェアECU15は、車両1の今回の使用が使用条件を満たすと判断すると、照合ECU7へ車両1の使用を許可する許可信号を送信する。許可信号を受信した照合ECU7は、ボディECU8による車両ドアの解錠を許可するとともに、エンジンECU9へエンジン6の作動を許可する信号を送信する。これにより、車両1の使用が可能となる。
【0031】
シェアECU15は、照合ECU7へ車両1の使用を許可する許可信号を送信すると、NFCカード30の車両情報記憶エリアに記憶されている使用回数の値がひとつ減少するよう、使用回数のデータを書き換える。なお、NFC通信部18を、たとえば、車両1の開閉できない窓ガラスおよびセンターコンソールの各々に設け、NFCカード30が窓ガラスに設けたNFC通信部18にかざされたときに車両ドアの解錠を許可し、NFCカード30がセンターコンソールに設けたNFC通信部18にかざされたときにエンジン6の作動を許可するようにしてもよい。シェアECU15は、車両1の今回の使用が、NFCカード30に記憶されている使用条件を満たさない場合には、照合ECU7へ車両1の使用を許可する許可信号を送信せず、車両1の使用を許可しない。この場合、図示しない警報装置等で、警報を行ってもよい。
【0032】
本実施の形態では、携帯端末40の記憶部45に、車両情報(固有鍵20、固有ID21)が記憶されている。また、携帯端末40の入力部46から、使用条件(貸し出し日時、使用回数)が入力可能とされている。そして、車両1を貸し出す際に、携帯端末40のNFC通信部44にNFCカード30(貸し出し用キー30)をかざすことにより、携帯端末40が保有する車両情報(固有鍵20、固有ID21)および使用条件(貸し出し日時、使用回数)に関する情報を、NFCカード30に書き込む。車両情報(固有鍵20、固有ID21)および使用条件(貸し出し日時、使用回数)に関する情報が書き込まれたNFCカード30を、カーシェア装置14のNFC通信部18にかざすことにより、固有鍵20および固有ID21を用いたID照合がなされ、車両1を使用することができる。
【0033】
本実施形態では、携帯端末40とNFCカード30の近距離無線通信(NFC)を用いて、NFCカード30に車両情報(固有鍵20、固有ID21)および使用条件(貸し出し日時、使用回数)を書き込むことにより、NFCカード30を貸し出し用キー30として使用することができる。ネットワーク通信が可能な環境でなくとも、貸し出し用キー30の製作が可能であり、ネットワーク通信がなくとも車両1を貸し出すことが可能となる。したがって、サーバ等を用いたネットワーク通信システムを構築、開発する工数を削減でき、また、サーバ等を維持するコストも削減可能となる。
【0034】
本実施の形態では、NFCカード30に、使用条件を書き込んでいる。使用条件は、車両1を貸し出す条件であり、車両1を使用可能な日時(貸し出し日時)や使用回数、あるいは、使用可能距離(走行可能距離)等である。NFCカード30に書き込まれた使用条件を満たさなくなると、たとえば、貸し出し日時の時間を外れたり、車両1の利用回数が使用回数を超えたりすると、カーシェア装置14とNFCカード30のID照合が成立しても、シェアECU15は、車両1の使用許可を与えない。すなわち、NFCカード30が貸し出し用キー30として機能しない。(NFCカード30が無効になる。)したがって、当初予定していた形態で車両1を貸し出すことを担保でき、車両1の不正な貸し出し(不正な使用)を抑止し得る。
【0035】
本実施の形態のNFCカード30を、バレット係へ車両1を預けるバレットパーキングサービスに用いる貸し出し用キーとして活用できる。ホテルのボーイ等、バレット係へ電子キー2や携帯端末40を預けることは、セキュリティ、個人情報保護等の関係で懸念が生じる場合も想定される。この場合、使用回数を最低限とする情報(たとえば、使用回数を3回に設定)やトランクルームの解錠を不許可とする情報を、使用条件として書き込んだNFCカード30をバレット係に預けることにより、これらの懸念を解消することが可能になる。
【0036】
本実施の形態においては、携帯端末40の記憶部45に記憶される固有鍵20および固有ID21は、携帯端末40とカーシェア装置14のペアリング終了後に、カーシェア装置14の記憶部19に記憶されていた固有鍵20および固有ID21が、携帯端末40の記憶部45に書き込まれる。これに対して、携帯端末40のネットワーク通信部42を介した通信により、ユーザが指定したサーバとネットワーク通信を行い、サーバに保管されている固有鍵20および固有ID21をダウンロードし、記憶部45に固有鍵20および固有ID21を書き込むようにしてもよい。
【0037】
なお、本実施の形態においては、携帯端末40が「情報書き込み装置」に相当し、カーシェア装置14が「車載器」に相当する。
【0038】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、携帯端末40とNFCカード30との間で近距離無線通信(NFC)を行うことにより、NFCカード30に車両情報および使用条件を書き込んでいた。第2の実施形態では、カーシェア装置14とNFCカード30との間で近距離無線通信(NFC)を行うことにより、NFCカード30に車両情報および使用条件に関する情報を書き込む。
図4は、第2の実施形態に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図である。
図1に示す第1の実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
車両1は、入力部22を備える。入力部22は、ユーザからの入力を受け付ける。入力部22は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をシェアECU15へ出力する。通信方式は有線でも無線でもよい。入力部22の例としては、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル等が挙げられる。入力部22は、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよく、音声入力を受け付けるスマートスピーカであってもよい。ユーザは、入力部22を操作することにより、カーシェア装置14を登録モードに移行することができる。また、ユーザは、入力部22を操作することにより、たとえば、貸し出し日時に関する情報および車両の使用回数に関する情報等の使用条件を入力することができる。カーシェア装置14の記憶部19には、固有ID21が書き込まれているが、最初は、固有鍵20は記憶されていない。(照合ECU7にも、固有ID21は予め書き込まれているが、固有鍵20は書き込まれていない。)NFCカード30の認証鍵記憶エリアには、共通鍵と固有鍵20が記憶されている。他の構成は、第1の実施形態における携帯端末40が必須でないことを除いて、第1の実施形態と同様な構成を備えている。
【0040】
図5は、第2の実施形態における、NFCカード30のメモリエリアにデータを書き込むステップを示した図である。
図5に示したステップは、ユーザが入力部22を操作し、カーシェア装置14が登録モードに移行すると開始する。NFCカード30をカーシェア装置14のNFC通信部18にかざすと、ICチップ32に電力が供給され、近距離通信(NFC)が接続する(S11)。近距離通信(NFC)が接続すると、NFCカード30の認証鍵記憶エリアに記憶されている共通鍵で暗号化した共通鍵情報および固有鍵20の情報をカーシェア装置14に送信する(S12)。シェアECU15は、記憶部19に記憶されている共通鍵を用いて、受信した共通鍵情報を復号し照合を行う。NFCカード30が正当なものであれば、双方の共通鍵は一致しており、照合が成立する(S13)。
【0041】
照合が成立すると、シェアECU15は、受信した固有鍵20の情報を、記憶部19に書き込む(S14)。固有鍵20の書き込みが終了すると、シェアECU15は、固有鍵20および固有ID21のデータを車両情報として、記憶部19から読み出して、NFCカード30へ送信する(S15)。また、シェアECU15は、ユーザが入力部22から入力した使用条件、たとえば、貸し出し日時に関する情報および車両の使用回数に関する情報を、NFCカード30に送信する(S15)。そして、NFCカード30は、受信した固有鍵20、固有ID21および使用条件を車両情報登録エリアに書き込む(S16)。このようにして、NFCカード30への各種データの書き込みが完了する(S17)。
【0042】
シェアECU15により、NFCカード30(貸し出しカード30)に、車両情報(固有鍵20、固有ID21)および使用条件が書き込まれると、第1の実施形態と同様に、NFCカード30を用いた車両1の貸し出しが可能となる。NFCカード30の貸与を受けたユーザは、NFCカード30をカーシェア装置14のNFC通信部18にかざすことにより、車両1を使用できる。NFCカード30に記憶されている固有鍵20および固有ID21は、カーシェア装置14の記憶部19に記憶されている固有鍵20および固有ID21と一致しているので、シェアECU15による認証によって、NFCカード30とカーシェア装置14のID照合が成立する。このID照合が成立すると、シェアECU15は、車両1の今回の使用が、NFCカード30に記憶されている使用条件を満たすか否かを判断する。シェアECU15は、車両1の今回の使用が使用条件を満たすと判断すると、照合ECU7へ車両1の使用を許可する許可信号を送信する。許可信号を受信した照合ECU7は、ボディECU8による車両ドアの解錠を許可するとともに、エンジンECU9へエンジン6の作動を許可する信号を送信する。これにより、車両1の使用が可能となる。
【0043】
なお、NFC通信部18は、車両1の開閉できない窓ガラスおよびセンターコンソールの各々に設けられている。NFCカード30をセンターコンソールに設けたNFC通信部18にかざした状態で、
図5に示す登録モードを実行する(NFCカード30のメモリエリアにデータを書き込むステップを実行する)ようにすれば、車両1にユーザが乗り込んだ状態で、第1の実施形態の携帯端末40を用いる場合と同様な操作性を担保しながら、貸し出し用キー30としてのNFCカード30を製作できる。
【0044】
第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を奏するとともに、携帯端末40を用いることなく、貸し出し用キー30としてのNFCカード30を製作することができる。
【0045】
複数の貸し出し用キー30(NFCカード30)を製作する場合、製作する数だけの固有鍵20が必要になる。第1の実施形態では、カーシェア装置14の記憶部19に(照合ECU7から固有鍵20を読み出して記憶する場合は、照合ECU7のメモリにも)、製作する数だけの固有鍵20を記憶しておく必要がある。これに対して、第2の実施形態では、固有鍵20は、NFCカード30に記憶されている。第2の実施形態では、NFCカード30に記憶している固有鍵20を読み出して、カーシェア装置14の記憶部19に書き込むので、複数の固有鍵20を記憶部19で記憶しておく必要がない。
【0046】
なお、本実施の形態では、カーシェア装置14が「情報書き込み装置」および「車載器」に相当する。
【0047】
(変形例)
図6に、変形例に係る車両の貸し出しシステムの全体構成図を示す。第1の実施形態では、カーシェア装置14のシェアECU15は通信線10により照合ECU7と接続されており、車両1の工場出荷段階で、カーシェア装置14が車両1に搭載される。
図6に示す変形例は、車両1に対して、カーシェア装置140が後付け可能に構成されている。カーシェア装置140は、第1の実施形態のカーシェア装置14の構成に、スマート通信部16が追加されている。
【0048】
カーシェア装置140の記憶部19には、電子キーIDと電子キー固有鍵が記憶されており、スマート通信部16と送信部11および受信部12の間で、電子キー2と同様な照合を実行し、スマート通信部16と送信部11および受信部12を介して、シェアECU15と照合ECU7の通信を確立する。シェアECU15と照合ECU7の通信が、第1の実施形態における通信線10を介するのではなく、スマート通信部16と送信部11および受信部12を介して実行される以外は、第1の実施の形態と同様に作動する。したがって、この変形例では、カーシェア装置140を後付けすることにより、車両1をカーシェアリングに使用することができる。
【0049】
上記の各実施形態において、NFCカード30は、NFC通信部18(NFC通信部44)のアンテナから発生する交流磁界によってアンテナ31に誘導電流が発生し、この誘導電流を起電力としてICチップ32が動作する、所謂、「パッシブ・タグ」タイプとして説明したが、電源を備えている「アクティブ・タグ」タイプであってもよい。たとえば、携帯端末40が「アクティブ・タグ」タイプのICチップを備えたスマートフォンであれば、携帯端末40を貸し出し用キーとして使用することができる。
【0050】
上記の各実施形態において、近距離無線通信(BLE)を用いて、貸し出し用キーを製作することも可能である。たとえば、第1の実施形態および第2の実施形態において、NFCカード30をスマートフォンに置き換え、このスマートフォンとカーシェア装置14のBLE通信部17あるいは携帯端末40のBLE通信部43と近距離無線通信(BLE)を行うことにより、スマートフォンに車両情報(固有鍵20、固有ID21)、使用条件を書き込み、スマートフォンを貸し出し用キーとすることもできる。
【0051】
上記の各実施形態において、カーシェア装置14のシェアECU15において、NFCカード30とのID照合(認証)を行っていたが、固有鍵20、固有ID21等の情報を用いて、照合ECU7でNFCカード30とのID照合(認証)を行ってもよい。
【0052】
第1の実施形態では、カーシェア装置14の記憶部19に記憶されている固有鍵20を携帯端末40の記憶部45に書き込み、記憶部45に記憶された固有鍵20をNFCカード30の認証鍵記憶エリアおよび車両情報登録エリアに書き込んでいた。(
図3、S4、S5)すなわち、新品時のNFCカード30には、固有鍵20が記憶されていない。しかし、第2の実施形態と同様に、NFCカード30の認証鍵記憶エリアに固有鍵20を書き込んでおき、認証鍵記憶エリアに記録された固有鍵20を用いてもよい。この場合、固有鍵20は、当初、記憶部19および記憶部45に記憶されておらず、
図3のS2で、
図5のS15と同様に、NFCカード30の認証鍵記憶エリアに記憶されている共通鍵で暗号化した共通鍵情報および固有鍵20の情報を携帯端末40に送信する。そして、照合が成立すると、携帯端末40は、受信した固有鍵20の情報を、記憶部19に書き込む。その後は、
図5と同様なステップでNFCカード30に車両情報および使用条件を書き込む。
【0053】
さらに、携帯端末40の記憶部45に書き込まれた固有鍵20を、近距離無線通信(BLE)または近距離無線通信(NFC)を用いて、カーシェア装置14の記憶部19に書き込む。このようにして、第1の実施形態においても、NFCカード30の認証鍵記憶エリアに記憶された固有鍵20を用いてもよい。このように第1の実施形態を変形し場合、あるいは、第1の実施形態において、携帯端末40を登録モードに設定したときに、NFCカード30への固有ID21等の書き込み(
図3に示す各ステップ等)が実行されるようにしてもよい。
【0054】
本開示における実施態様を例示すると、次のような態様を例示できる。
1)貸し出し用キー(30)と車載器(14)とが近距離無線通信により通信を行うことにより認証を行い、認証が完了すると車両の使用が可能となる車両の貸し出しシステムであって、車両の車両情報および車両の使用条件に関する情報を有するとともに、貸し出し用キー(30)と近距離無線通信が可能に構成された情報書き込み装置(14、40)を備え、貸し出し用キー(30)は、情報書き込み装置(14、40)と近距離無線通信で接続されることにより、車両情報および使用条件に関する情報が書き込まれるよう構成されており、車両情報および使用条件に関する情報が書き込まれた貸し出し用キー(30)と車載器(14)と認証を行うことにより前車両の使用が可能となる、車両の貸し出しシステム。
【0055】
この構成によれば、情報書き込み装置(14、40)と貸し出し用キー(30)の近距離無線通信を用いて、貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件を書き込む。したがって、ネットワーク通信を用いることなく、車両を貸し出すことが可能となる。また、貸し出し用キー(30)に、使用条件が書き込まれるので、車両の貸し出しに使用制限を加えることが可能となる。
【0056】
2)情報書き込み装置は、携帯端末(40)であり、携帯端末(40)と貸し出し用キー(30)が近距離無線通信で接続されることにより、携帯端末(40)から車両情報(固有ID21)および使用条件に関する情報が貸し出し用キー(30)に送信される、上記1に記載の車両貸し出しシステム。
【0057】
この構成によれば、携帯端末(40)により貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件を書き込むことができるので、操作性がよい。
【0058】
3)情報書き込み装置は、車両に搭載されたカーシェア装置(14)であり、カーシェア装置(14)と貸し出し用キー(30)が近距離無線通信で接続されることにより、カーシェア装置(14)から車両情報および使用条件に関する情報が貸し出し用キー(30)に送信される、上記1に記載の車両貸し出しシステム。
【0059】
この構成によれば、車両に搭載されたカーシェア装置(14)により貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件を書き込むことができるので、携帯端末を保有しないユーザであっても、車両の貸し出しが可能となる。
【0060】
4)貸し出し用キー(30)は、アンテナ(31)およびICチップ(32)を備えたカードであり、アンテナ(31)に生じる誘導電流によりICチップ(32)が動作し、情報書き込み装置(14、40)との近距離無線通信を行う、上記1~3に記載の車両貸し出しシステム。
【0061】
この構成によれば、貸し出し用キー(30)は、アンテナ(31)に生じる誘導電流により動作するので、電池切れ等の心配がない。
【0062】
5)貸し出し用キー(30)と車載器(14)との認証が完了しても、貸し出し用キー(30)に書き込まれた使用条件が満たされない場合、車両の使用が許可されない、上記1~4に記載の車両貸し出しシステム。
【0063】
この構成によれば、車両の貸し出しに使用制限を加えることが可能となる。たとえば、使用条件として、貸し出しが可能な日時(日程、スケジュール)、使用回数(貸し出し回数)等を設定することが可能である。
【0064】
6)車両の車両情報および前記車両の使用条件に関する情報を有する情報書き込み装置(14、40)と近距離無線通信で接続されると、車両情報および使用条件が書き込まれる、貸し出し用キー(30)。
【0065】
7)アンテナ(31)およびICチップ(32)を備え、アンテナ(31)に生じる誘導電流によりICチップ(32)が動作し、情報書き込み装置(14、40)との近距離無線通信を行う、上記6に記載の貸し出し用キー(30)。
【0066】
この構成によれば、貸し出し用キー(30)は、アンテナ(31)に生じる誘導電流により動作するので、電池切れ等の心配がない。
【0067】
8)貸し出し用キー(30)と情報書き込み装置(40)との間で近距離通信の接続を行うステップ(S1)と、貸し出し用キー(30)に記憶されている共通鍵で暗号化した情報を情報書き込み装置(40)に送信するステップ(S2)と、情報書き込み装置(40)において、受信した情報を復号して照合を行うステップ(S3)と、照合が成立すると、情報書き込み装置(40)から貸し出し用キー(30)へ、車両情報および使用条件に関する情報を送信するステップ(S4)と、受信した車両情報および使用条件に関する情報を、貸し出し用キー(30)に書き込むステップ(S5)と、を含む貸し出し用キーの製作方法。
【0068】
この構成によれば、情報書き込み装置(40)から、近距離無線通信を用いて、貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件が書き込まれる。したがって、ネットワーク通信を用いることなく貸し出し用キーを製作することができる。情報書き込み装置(40)は、携帯端末(40)であってよい。貸し出し用キー(30)に記憶されている共通鍵を用いて照合を行うので、貸し出し用キー(30)の正当性を担保できる。なお、共通鍵は、車両(カーシェア装置14、140)、貸し出し用キー(30)の製造者等が予め設定するものであり、情報書き込み装置(40)は、この共通鍵を用いて復号を行う。
【0069】
9)貸し出し用キー(30)と情報書き込み装置(14)との間で近距離通信の接続を行うステップ(S11)と、貸し出し用キー(30)に記憶されている共通鍵で暗号化した、固有鍵(20)を含む情報を情報書き込み装置(14)に送信するステップ(S12)と、情報書き込み装置(14)において、受信した情報を復号して照合を行うステップ(S13)と、照合が成立すると、固有鍵(20)に関する情報を情報書き込み装置(14)に書き込むステップ(S14)と、照合が成立すると、情報書き込み装置(14)から貸し出し用キー(30)へ、車両情報および使用条件に関する情報を送信するステップ(S15)と、受信した車両情報および使用条件に関する情報を、貸し出し用キー(30)に書き込むステップ(S16)と、を含む貸し出し用キーの製作方法。
【0070】
この構成によれば、情報書き込み装置(14)から、近距離無線通信を用いて、貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件が書き込まれる。したがって、ネットワーク通信を用いることなく貸し出し用キーを製作することができる。情報書き込み装置(14)は、車両に搭載されたカーシェア装置(14)であってよい。貸し出し用キー(30)に記憶されている共通鍵を用いて照合を行うので、貸し出し用キー(30)の正当性を担保できる。共通鍵は、車両(カーシェア装置14、140)、貸し出し用キー(30)の製造者等が予め設定するものであり、情報書き込み装置(14)は、この共通鍵を用いて復号を行う。また、固有鍵(20)は、貸し出し用キー(30)に予め記憶されたものであり、固有鍵(20)が情報書き込み装置(14)に書き込まれたあとは、この固有鍵(20)を用いた照合(認証)を行うことが可能になる。このため、セキュリティを担保することが可能になる。
【0071】
10)情報書き込み装置(40)は、タッチパネルディスプレイを備えたスマートフォンである。
【0072】
この構成によれば、スマートフォンにカーシェア用の所定のアプリケーションソフトをインストールすることにより、情報書き込み装置(40)を構成することができるので、ユーザが保有するスマートフォンを有効活用することが可能となる。
【0073】
11)上記3の車両の貸し出しシステムであって、入力部(22)をさらに備え、入力部(22)の操作によりカーシェア装置(14)が登録モードに移行すると、カーシェア装置(14)から車両情報および使用条件に関する情報が貸し出し用キー(30)に送信可能にされる。
【0074】
この構成によれば、カーシェア装置(44)が登録モードに設定されると、貸し出し用キー(30)に車両情報および使用条件に関する情報が書き込み可能となる。カーシェア装置(14)が登録モードに設定されていなときは、カーシェア装置(14)と貸し出し用キー(30)との近距離無線通信によるID照合(認証)により、カーシェアリング(車両の貸し出し)が可能になる。したがって、カーシェア装置(44)を、情報書き込み装置および車載器(貸し出し用キー(30)と近距離無線通信により通信を行うことにより認証を行い、認証が完了すると車両の使用を可能とする車載器)のふたつの機能を備えた機器として利用できる。
【0075】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0076】
1 車両、7 照合ECU、14 カーシェア装置、15 シェアECU、17 BLE通信部、18 NFC通信部、19 記憶部、20 固有鍵、21 固有ID、22 入力部、30 NFCカード、31 アンテナ、32 ICチップ、40 携帯端末、41 端末制御部、43 BLE通信部、44 NFC通信部、45 記憶部、46 入力部。