(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/18 20060101AFI20231122BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20231122BHJP
E06B 3/263 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
E06B1/18 E
E06B5/00 B
E06B3/263 A
(21)【出願番号】P 2020079645
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】大浦 豊
(72)【発明者】
【氏名】朝岡 幸康
(72)【発明者】
【氏名】大橋 貴文
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-169554(JP,A)
【文献】実開昭60-26584(JP,U)
【文献】実開昭55-59078(JP,U)
【文献】特開2004-169453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00 - 1/70
E06B 3/04 - 3/46
E06B 3/50 - 3/52
E06B 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側仕切体と内側仕切体と
断熱材を備え、外側仕切体と内側仕切体は、枠と、枠内に設けた遮蔽体とを有し、
遮蔽体は、上框とガラスを有し、断熱材は、外側仕切体の枠の室内側見付面と内側仕切体の枠の室外側見付面との間
、及び外側仕切体の上框と内側仕切体の上框との間に設けてあることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
窓の断熱性を高めるために、外窓の室内側に内窓を設けた二重窓が採用されることがあるが(例えば、非特許文献1参照。)、より一層の断熱性能の向上が求められた。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社 三協アルミ社発行のカタログ「リフォーム商品 総合カタログ」(カタログNo.STJ1450A C.18.05-150)、2018年5月、p.598-599
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、断熱性能が向上した建具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による建具は、外側仕切体と内側仕切体と断熱材を備え、外側仕切体と内側仕切体は、枠と、枠内に設けた遮蔽体とを有し、遮蔽体は、上框とガラスを有し、断熱材は、外側仕切体の枠の室内側見付面と内側仕切体の枠の室外側見付面との間、及び外側仕切体の上框と内側仕切体の上框との間に設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明による建具は、外側仕切体と内側仕切体と断熱材を備え、外側仕切体と内側仕切体は、枠と、枠内に設けた遮蔽体とを有し、遮蔽体は、上框とガラスを有し、断熱材は、外側仕切体の枠の室内側見付面と内側仕切体の枠の室外側見付面との間、及び外側仕切体の上框と内側仕切体の上框との間に設けてあることで、断熱性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の建具の第1実施形態を示す縦断面図である。
【
図3】(a)は第1実施形態の建具の室外側正面図であり、(b)は第1実施形態の建具の室内側正面図である。
【
図4】第1実施形態の建具の施工手順を順に示す縦断面図である。
【
図5】本発明の建具の第2実施形態を示す縦断面図である。
【
図7】本発明の建具の第3実施形態を示す縦断面図である。
【
図9】本発明の建具の第4実施形態を示す縦断面図である。
【
図11】(a)はシャッター上部のスラットの室外側正面図、(b)はA-A断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1~3は、本発明の建具の第1実施形態を示している。この建具は、建物の躯体開口部の室外側に設置した外側仕切体1と、躯体開口部の室内側に設置した内側仕切体2とを備える。外側仕切体1と内側仕切体2は、いずれも開閉不能な嵌め殺し窓となっている。
【0009】
外側仕切体1は、
図1~3に示すように、躯体開口部に固定される枠3と、枠3内に設けた遮蔽体4とを有し、遮蔽体4は上框5とガラス6とを有している。
枠3は、アルミ形材よりなる上枠7と下枠8と左右の縦枠9,9とを枠組みして構成されている。上枠7と下枠8と左右の縦枠9,9は、それぞれ内周側に向けて開口した取付溝10を有しており、上枠7の取付溝10に上框5の上縁部をシール材11を介して取付け、下枠8の取付溝10にガラス6の下縁部をシール材11を介して取付け、縦枠9の取付溝10にガラス6の側縁部をシール材11を介して取付けている。ガラス6の上縁部は、上框5の下縁部に内周側に向けて開口して設けた取付溝10にシール材11を介して取付けてある。
【0010】
上框5は、
図1に示すように、室外側面と室内側面に通気孔12a,12bを形成し、空気が室内外に連通する連通部(室外側通気部)13が設けてある。室外側面の通気孔12aは室内側面の通気孔12bよりも低い位置に形成してあり、雨水が連通部13を通過しにくくしている。連通部13内には、花粉や埃等の侵入を防ぐフィルター14が取付けてある。
上枠7は、上框5の室外側に垂下する被覆片15を有しており、被覆片15は上框5の連通部13を被覆している。したがって、空気は被覆片15と上框5との隙間を通って連通部13に導かれる。被覆片15が有ることで、雨水が連通部13に浸入するのを防止できる。
また上枠7は、上框5の室内側に間隔をおいて整流片16が垂下して設けてあり、整流片16は上框5の連通部13よりも下までのびており、整流片16と遮蔽体4との間の空間17が連通部13と連続している。この整流片16は、連通部から流出した空気を下向きに流すか、又は遮蔽体4に沿って上昇した空気を連通部13に導くものとなっている。整流片16と上框5との間隔は、遮蔽体4に沿って上昇した空気を効率よく連通部13に導くために、被覆片15と上框5との間隔よりも広くしてある。具体的には、整流片16と上框5との間隔は約35mmとしてある。
上枠7の室外側の被覆片15の下縁と室内側の整流片16の下縁は、上框5の下縁と同一面上にあり、室外側及び室内側から見て上框5が見えないように被覆片15と整流片16によって隠されている。
【0011】
内側仕切体2は、
図1,2に示すように、躯体開口部に固定される枠18と、枠18内に取付けた遮蔽体としての障子19とを備え、障子19は室内側から上下けんどんにて枠18に取付け・取外しできるようになっている。
枠18は、樹脂製の押出形材よりなる上枠20と下枠21と左右の縦枠22,22を枠組みして構成してある。障子19は、樹脂製の押出形材よりなる上框23と下框24と左右の縦框25,25を框組みし、その内側にガラス(複層ガラス)26を嵌め込んで構成してある。上框23は、室外側壁と室内側壁に通気孔27a,27bを形成し、空気が室内外に連通する連通部(室内側通気部)28が設けてある。
【0012】
上枠20は、
図1に示すように、下向きに開口した略コ字形の断面に形成されており、上框23の上部を呑み込む溝29と、上框23の室外側に間隔をおいて垂下する整流片30と、上框23の室内側面に対向して垂下する被覆片31を有している。溝29は、障子19を上下けんどんにて着脱するために、上框23の上方に広い空間32を設けてある。溝29の室外側面と室内側面には、上框23の上端部に当接する気密片33が設けてある。
上枠20の整流片30は、上框23の連通部28よりも下方までのびており、整流片30と上框23との間の空間34が連通部28と連通している。この整流片30は、連通部28から流出した空気を下向きに流すか、又は遮蔽体(障子)19に沿って上昇した空気を連通部28に導くものとなっている。これにより、障子19の室外側面に沿って上昇した空気が、上枠20の整流片30と遮蔽体(障子)19との間の空間34と連通部28を通じて室内にスムーズに導かれるようにしている。被覆片31は、上框23の連通部28を被覆しており、上框23の連通部28を通過した空気は、上框23と被覆片31との隙間を通じて室内に流入する。整流片30と上框23との間隔は、遮蔽体(障子)19に沿って上昇した空気を効率よく連通部28に導くために、被覆片31と上框23との間隔よりも広くしてある。具体的には、整流片30と上框23との間隔は約25mmとしてある。
上枠20の室外側の整流片30の下縁と室内側の被覆片31の下縁は、上框23の下縁と同一面上にあり、室外側及び室内側から見て上框23が見えないように整流片30と被覆片31によって隠されている。なお、整流片30及び被覆片31の下縁は、外側仕切体1の上枠7の被覆片15及び整流片16の下縁とも同一面上にある。
【0013】
下枠21は、
図1に示すように、上向きに開口した溝35を有するコ字型断面に形成してあり、溝35内に障子19の下框24が挿入してある。下枠21の上縁と下框24の上縁は同一面上にあり、室外側及び室内側から見て下框24が見えないように隠してある。なお、下枠21の上縁は、外側仕切体1の下枠8の上縁とも同一面上にある。
【0014】
縦枠25は、
図2に示すように、縦框25の外周側に位置する本体部36と、本体部36の内周側に取付けた突部37とで略L字型断面に形成してある。突部37には、縦框25の室外側面に当接する気密片38が設けてある。
障子19は、
図3(b)に示すように、四周の框のうち縦框25のみが室内側から見て露出している。縦框25の室内側面には、障子19の取付け・取外しを行う際の持ち手39が設けてある。
【0015】
図1に示すように、外側仕切体1の枠3の室内側見付面40と内側仕切体2の枠18の室外側見付面41との間には、断熱材42が四周に設けてある。断熱材42は、発泡スチロール等のプラスチック系発泡断熱材43と、その内周側を覆うように設けた木製の化粧材44とで構成されている。断熱材42の内周側縁45は、外側仕切体1の枠3の内周側縁及び内側仕切体2の枠18の内周側縁と同一面となっている。
本建具は、このように外側仕切体1の枠3の室内側見付面40と内側仕切体2の枠18の室外側見付面41との間に断熱材42を設けたことで、外側仕切体1の枠3と内側仕切体2の枠18の間の伝熱が断熱材42で遮断されるため、断熱性能が向上する。
さらに本建具は、外側仕切体1及び内側仕切体2の枠3,18の内周側縁と断熱材42の内周側縁45を略同一面としたので、室外側及び室内側から見て断熱材42が外側仕切体1及び内側仕切体2の枠3,18の内周側に露出せず、意匠性が良い。
【0016】
図1,2に示すように、内側仕切体2の枠18の室内側には室外側壁材46が設けてある。室内側壁材46は、内側仕切体2の枠18の内周側縁と同一面を成すように開口部47が形成されている。したがって、室内側から見て内側仕切体2の枠18は室内側壁材46に隠れて見えない。
【0017】
次に、本建具の施工手順を説明する。まず、
図4(a)に示すように、躯体開口部に断熱材42を取付ける。次に、
図4(b)に示すように、躯体開口部に室外側から外側仕切体1を取付ける。次に、
図4(c)に示すように、躯体開口部に室内側から内側仕切体2を取付ける。最後に、
図4(d)に示すように、室内側壁材46を取付ける。
【0018】
本建具は、樹脂製の枠18及び框23,24,25と複層ガラス26を用いた内側仕切体2を設けたことに加え、外側仕切体1の室外側通気部(連通部)13と内側仕切体2の室内側通気部(連通部)28を通じて室内外を空気が流れ、その際に外側仕切体1と内側仕切体2の間の中間層48を空気が外側仕切体1の内側面と内側仕切体2の外側面に沿うように迂回して流れることで、空気の流入する方向とは逆方向の熱移動が妨げられ、より一層の断熱効果を発揮する。
冬期の場合について説明すると、換気扇等により室内を負圧に調整し、
図1に示すように、本建具を空気が室外から室内に向けて流れるようにする(図中の矢印は、空気の流れを示す)。外側仕切体1の室外側通気部13から流入した冷たい空気(外気)は、上枠7の室内側の整流片16に当たることで下向きに流出し、その後、冷たい空気はコールドドラフトにより外側仕切体1の内側面に沿って中間層48の下まで流れてから折り返し、内側仕切体2のガラス26から室内の熱が伝わることで暖められ、ガラス26の室外側面に沿って上昇し、この間にガラス26から室外に逃げる熱を空気の流れによって回収する。また、窓に日射を受ける場合は、このように中間層48を空気が外側仕切体1の内側面と内側仕切体2の外側面に沿うように流れる間に、日射熱を取得することができる。その後、暖められた空気は上枠20の室外側の整流片30と上框23との間の空間34に流入し、上框23に設けられた室内側通気部28を通過し、上框23の室内側面と上枠20の室内側の被覆片31との間の隙間を通じて室内に流入する。空気が室内側通気部28と上框23と被覆片31との隙間を通過する際にも、室内の熱で暖められた上框23や上枠20の熱を空気の流れによって回収する。そうして暖められた空気を室内に取り入れることで、回収した熱を室内に戻すことができる。
【0019】
このように本建具は、冬期に室外から室内に空気が流れる際、中間層48内を外側仕切体1のガラス6の内側面と内側仕切体2のガラス26の外側面に沿うように迂回して空気が流れることで、室内から室外に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室内に戻すことで、室内から室外への熱の損失がほとんどなくなるので、非常に高い断熱性が得られる。また、外気を暖めて室内に採り込めるので、室内に居る人が冷たい風を感じることがなく、暖房効率も良い。
本建具は、外側仕切体1の室外側通気部13の室内側に上枠7の整流片16を有することで、中間層48に整流板やブラインド等を設けて中間層48内を仕切らなくても、外側仕切体1の通気部13から出る空気の流れを下向きにして、中間層48内に外側仕切体1の内側面と内側仕切体2の外側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
さらに本建具は、内側仕切体2の上枠20の室外側の整流片30と上框23の室外側面との間に空間34を設けてあることで、内側仕切体2の外側面に沿って上昇した空気が同空間34に流入することで室外側に逆流するのを防ぎ、室内にスムーズに導くことができる。
【0020】
夏期には、換気扇等により室内を正圧に調整し、冬期とは逆に室内から室外に空気が流れるようにする。内側仕切体2の室内側通気部28から出た空気は、上枠20の室外側の整流片30に当たって下向きに流れ、室内の空気の温度は室外よりも低いので内側仕切体2のガラス26の室外側面に沿って下向きに流れ、その後、中間層48の下部で折り返し、外側仕切体1のガラス6等の熱が伝わることで外側仕切体1のガラス6の室内側面に沿って上昇し、この間にガラス6を通じて室外から室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。その後、空気は上枠7の室内側の整流片16と上框5との間の空間17に入った後、外側仕切体1の室外側通気部13を通過し、上枠7の室外側の被覆片15と上框5との隙間を通じて空気が室外に放出される。空気が室外側通気部13を通過する際、上框5を伝って室内に入ってくる熱を空気の流れによって回収する。そして、空気が室外に放出されることで、外側仕切体1のガラス6や上框5から回収した熱を室外に捨てる。このように室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し、室外に捨てることで、空気が流出する方向とは逆方向である室外側から室内側への熱輸送が妨げられ、優れた断熱効果を発揮して、室内が涼しく保たれる。
【0021】
このように本建具は、夏期に室内から室外に空気が流れる際、中間層48内を内側仕切体2のガラス26の外側面と外側仕切体1のガラス6の内側面に沿うように迂回して空気が流れることで、室外から室内に伝わる熱を空気の流れによって回収し室外に捨てることで、室外から室内に入ってくる熱を抑えられるので、冷房負荷を抑えることができる。
本建具は、内側仕切体2の室内側通気部28の室外側に上枠20の整流片30を有することで、中間層48に整流板やブラインド等を設けて中間層48内を仕切らなくても、内側仕切体2の通気部28から出る空気の流れを下向きにして、中間層48内に内側仕切体2の外側面と外側仕切体1の内側面に沿うように迂回する空気の流れをつくることができる。
さらに本建具は、外側仕切体1の上枠7の室内側の整流片16と上框5の室内側面との間に空間17を設けてあることで、外側仕切体1の内側面に沿って上昇した空気が同空間17に流入することで室内側に逆流するのを防ぎ、室外にスムーズに導くことができる。
【0022】
図5,6は、本発明の建具の第2実施形態を示している。本実施形態の建具は、内側仕切体2に遮蔽体として障子19の代わりにロールスクリーン49を設置している。外側仕切体1は、第1実施形態と同じ嵌め殺し窓となっている。
内側仕切体2は、上枠20と、上枠20内に取付けたロールスクリーン49と、スクリーン50を案内する左右のガイドレール51とを備えている。
【0023】
上枠20は、
図5に示すように、室外側に垂下する整流片30と室内側に垂下する被覆片31とを有する略コ字型断面に形成されている。ロールスクリーン49は、長手方向に間隔をおいて配置された複数のブラケット52により上枠20の天面に取付けてあり、ブラケット52が配置されていない範囲の上枠20天面とロールスクリーン49との間の隙間を、室内外を空気が連通する連通部(室内側通気部)28としてある。また、連通部28を通過した空気は、ロールスクリーン49と室内側の被覆片31との隙間を通じて室内外を空気が流通する。ロールスクリーン49と室外側の整流片30との間には空間34が設けてあり、同空間34が連通部28と連続している。
外側仕切体1の上枠7の室内側見付面40と内側仕切体2の上枠20の室外側見付面41との間には、第1実施形態と同様に断熱材42が設けてある。
スクリーン50の下端部に取付けたウエイトバー53の下面には気密材54が設けてあり、気密材54を化粧材44に当接することで気密している。また、
図6に示すように、スクリーン50の左右の縁部はガイドレール51の溝に挿入され、溝内に設けた気密材55によりスクリーン50とガイドレール51の間を気密してある。
【0024】
第2実施形態の建具は、第1実施形態と同様に、外側仕切体1のガラス6の内側面と内側仕切体2のロールスクリーン49の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。内側仕切体2の遮蔽体をロールスクリーン49としたことで、二重窓とする場合と比べてコストを削減できる。また、外からの視線や強い日射しを遮ることができる。
ロールスクリーン49は上枠20内に設置してある上、上枠20の室内側を室内側壁材46で覆ってあるため、室内側から見てロールスクリーン49も上枠20も見えず、さらには外側仕切体1の枠3も見えないので、意匠性が良い。
【0025】
図7,8は、本発明の建具の第3実施形態を示している。本実施形態は、内側仕切体2を引き違い窓としている。外側仕切体1は、第1実施形態と同様に嵌め殺し窓となっている。
内側仕切体2は、上枠20と下枠21と左右の縦枠22,22とからなる枠18と、上下枠20,21間に引き違い状に開閉自在に設けた外障子19a及び内障子19bとを備えている。外障子19aと内障子19bは、上框23と下框24と戸先框56と召合せ框57とを框組みし、その内側にガラス(複層ガラス)26を嵌め込んで構成してある。
上框23には、
図7に示すように、室内外を空気が連通する連通部(室内側通気部)28が設けてある。上枠20は、室外側に垂下する整流片30と室内側に垂下する被覆片31を有し、整流片30及び被覆片31の下縁を上框23の下縁までのばすことで、上框23が室内側及び室外側から見て見えないように隠してある。そして、
図7中に矢印で示すように、室外側の整流片30と上框23との隙間、上框23に設けた連通部28、室内側の被覆片31と上框23との隙間を通じて、室内外を空気が流通するようにしてある。
下枠21側及び縦枠22側も、上枠20側と同様に隠し框構造となっている。枠18の室内側面は、室内側壁材46で覆ってある。
外側仕切体1の枠3の室内側見付面40と内側仕切体2の枠18の室外側見付面41との間には、第1実施形態と同様に断熱材42が設けてある。
【0026】
第3実施形態の建具は、第1実施形態と同様に、外側仕切体1のガラス6の内側面と内側仕切体2のガラス26の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。
内側仕切体2は、四周の枠18とも隠し框構造になっており、さらに枠18の室内側面を室内側壁材46で覆ってあるため、室内側から内側仕切体2の枠18も框23,24,25も見えず、さらには外側仕切体1の枠3も見えないので、意匠性が良い。
【0027】
図9,10は、本発明の建具の第4実施形態を示している。本実施形態の建具は、外側仕切体1に遮蔽体としてシャッター58を設置している。内側仕切体2は、第1実施形態と同じ嵌め殺し窓となっている。
【0028】
外側仕切体1は、
図9,10に示すように、上枠7と下枠8と左右の縦枠9,9とからなる枠3と、シャッター58を有している。シャッターボックス59は、上枠7内に収納して設けてある。上枠7の室外側及び室内側には断熱材60を設けると共に、室外側壁材61及び室内側壁材46を設けて上枠7を隠してある。
シャッター58は、
図9に示すように、複数の帯状のスラット62を上下に連結して備えており、閉鎖時に上部に位置する何枚かのスラット62には、
図11に示すように、空気が室内外に連通する連通部(室外側通気部)13が設けてある。
上枠7は、
図9に示すように、連通部13を有するスラット62の室内側に間隔をおいて設けた整流片16を有し、整流片16は連通部13よりも下までのびており、整流片16とシャッター58との空間17が連通部13と連通している。
図10に示すように、縦枠9にはスラット62を案内するガイド溝63を有し、ガイド溝63内にはスラット62に当接するように気密材64が設けてある。また、
図9に示すように、一番下のスラット62に連結された座板65には、ゴム製の気密材66が下枠8に当接するように設けてある。上枠7とスラット62との間にも気密材67が設けてある。これらの気密材64,66,67により、シャッター58は気密性を有するものとなっている。
外側仕切体1の枠3の室内側見付面40と内側仕切体2の枠18の室外側見付面41との間には、第1実施形態と同様に断熱材42が設けてある。
【0029】
第4実施形態の建具は、第1実施形態と同様に、外側仕切体1のシャッター58の内側面と内側仕切体2のガラス26の外側面に沿うように空気を室外から室内、又は室内から室外に流すことで、高い断熱性能が得られ、冷暖房負荷を抑える効果がある。外側仕切体1にシャッター58を設けたことで、防犯性が向上する。
シャッターボックス59は上枠7内に設置してある上、上枠7の室外側に室外側壁材61を設けたので、室外側から見てシャッターボックス59も上枠7も見えず、意匠性が良い。
【0030】
以上に述べたように本建具(第1~4実施形態)は、空間を室内外方向に仕切る仕切体(内側仕切体)2を備えるものであって、仕切体2は、枠18と、枠18内に設けた遮蔽体(障子19,19a,19b、ロールスクリーン49)とを有し、上枠20は、室内側に被覆片31を有し、遮蔽体19,19a,19b,49の上端部と上枠20の被覆片31との隙間を通じて室内外を空気が流通するため、室内外に空気を流通させることができる。室内側から見て空気が流通する孔等が見えないため、意匠性が良い。
また本建具(第1~3実施形態)は、空間を室内外方向に仕切る仕切体(外側仕切体)1を備えるものであって、仕切体1は、枠3と、枠3内に設けた遮蔽体4とを有し、上枠7は、室外側に被覆片15を有し、上枠7の被覆片15と遮蔽体4の上端部との隙間を通じて室内外を空気が流通するため、室内外に空気を流通させることができる。室外側から見て空気が流通する孔等が見えないため、意匠性が良い。
【0031】
本建具(第1~4実施形態)は、空間を室内外方向に仕切る仕切体(内側仕切体)2を備えるものであって、仕切体2は、上枠20と遮蔽体(障子19,19a,19b、ロールスクリーン49)とを備え、遮蔽体19,19a,19b,49は、上端部に空気が室内外に連通する連通部28を有し、上枠20は、遮蔽体19,19a,19b,49の上端部の室外側に間隔をおいて設けた整流片30を有し、整流片30は、連通部28よりも下方までのびており、整流片30と遮蔽体19,19a,19b,49との間の空間34が連通部28と連通していることで、仕切体2を通して換気ができる。また本建具は、冬期において室外から室内に向かって空気を流す場合、室内の熱で暖められて遮蔽体19,19a,19b,49の室外側面に沿って上昇した空気を、上枠20の整流片30と遮蔽体19,19a,19b,49との間の空間34を通じて室内にスムーズに導くことができる。また夏期において室内から室外に向かって空気を流す場合、連通部28から排出される空気を、整流片30に当てることで遮蔽体19,19a,19b,49の室外側面に沿って下方へスムーズに流すことができる。
また本建具(第1~4実施形態)は、空間を室内外方向に仕切る仕切体(外側仕切体)1を備えるものであって、仕切体1は、上枠と遮蔽体(遮蔽体4、シャッター58)とを備え、遮蔽体4,58は、上端部に空気が室内外に連通する連通部13を有し、上枠7は、遮蔽体4,58の上端部の室内側に間隔をおいて設けた整流片16を有し、整流片16は、連通部13よりも下方までのびており、整流片16と遮蔽体4,58との間の空間17が連通部13と連通していることで、仕切体1を通して換気が行える。また本建具は、冬期において室外から室内に向かって空気を流す場合、連通部13から導入した空気を、整流片16に当てることで遮蔽体4,58の室内側面に沿って下方へスムーズに流すことができる。また夏期において室内から室外に向かって空気を流す場合、室外の熱で暖められて遮蔽体4,58の室内側面に沿って上昇した空気を、上枠7の整流片16と遮蔽体4,58との間の空間17を通じて室外にスムーズに導くことができる。
本建具(第1~第4実施形態)は、内側仕切体2の上枠20の室外側の整流片30が、連通部28から流出した空気を下向きに流すか、又は遮蔽体(障子19,19a,19b、ロールスクリーン49)に沿って上昇した空気を連通部28に導くものとなっているので、中間層48に整流体を別に設けなくても、連通部28から流出した空気を下向きに流すことができ、また、遮蔽体19,19a,19b,49に沿って上昇した空気を室外側に逆流させることなく連通部28に導くことができる。
本建具(第1~第4実施形態)は、外側仕切体1の上枠7の室内側の整流片16が、連通部13から流出した空気を下向きに流すか、又は遮蔽体(遮蔽体4、シャッター58)に沿って上昇した空気を連通部13に導くものとなっているので、中間層48に整流体を別に設けなくても、連通部13から流出した空気を下向きに流すことができ、また、遮蔽体4,58に沿って上昇した空気を室内側に逆流させることなく連通部13に導くことができる。
さらに本建具(第1~第4実施形態)は、内側仕切体2の上枠20の室内側に連通部28を被覆する被覆片31を有するので、室内側から見て連通部28が見えず、意匠性が良い。
また本建具(第1~3実施形態)は、外側仕切体1の上枠7の室外側に連通部13を被覆する被覆片15を有するので、室外側から見て連通部13が見えず、意匠性が良いとともに、連通部13への雨水の浸入を防止できる。
第1~第3実施形態の建具の外側仕切体1は、上枠7の被覆片15の下縁と整流片16の下縁が上框5の下縁と略同じ高さにあるので、室外側及び室内側から見て上框7が見えず、意匠性がさらに向上する。
第1~第4実施形態の建具の内側仕切体2は、上枠20の被覆片31の下縁と整流片30の下縁が上框23の下縁と略同じ高さにあるので、室外側及び室内側から見て上框23が見えず、意匠性がさらに向上する。
【0032】
本建具(第1~4実施形態)は、外側仕切体1と内側仕切体2とを備え、外側仕切体1と内側仕切体2は、枠3,18と、枠3,18内に設けた遮蔽体(遮蔽体4、障子19,19a,19b、ロールスクリーン49、シャッター58)とを有し、外側仕切体1の枠3の室内側見付面40と内側仕切体2の枠18の室外側見付面41との間に断熱材42が設けてあることで、断熱性能が向上する。
また本建具(第1~4実施形態)は、外側仕切体1及び内側仕切体2の枠3,18の内周側縁と断熱材42の内周側縁45を略同一面としたので、室外側及び室内側から見て断熱材42が外側仕切体1及び内側仕切体2の枠3,18の内周側に露出せず、意匠性が良い。
さらに本建具(第1~4実施形態)は、内側仕切体2の枠18の室内側に室内側壁材46を設け、室内側壁材46で内側仕切体2の枠18の室内側面を覆ってあるので、室内側から見て内側仕切体2の枠18が室内側壁材46で隠れて見えないので、意匠性が良い。
さらに本建具(第1,3,4実施形態)は、内側仕切体2の障子19,19a,19bの上框23と下框24が上枠20と下枠21に隠れており、室内側から見て障子19,19a,19bの縦框25だけしか見えないので(
図3(b)参照)、内観意匠が非常にすっきりしたものになる。
【0033】
本建具(第1~4実施形態)は、外側仕切体1と内側仕切体2を備え、室外空間から外側仕切体1と内側仕切体2の間の中間層48に連通する室外側通気部(連通部)13と、中間層48から室内空間に連通する室内側通気部(連通部)28を有し、外側仕切体1の内側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層48の端部付近で折り返し、内側仕切体2の外側面に沿って他方向に空気が流れるか、内側仕切体2の外側面に沿って一方向に空気が流れ、中間層48の端部付近で折り返し、外側仕切体1の内側面に沿って他方向に空気が流れることで、冬期には室内から室外に逃げる熱を回収し、夏期には室外から室内に入ってくる熱を回収して室外に捨てることができ、これにより換気を行いながら窓からの熱の出入りを減らし、冷暖房負荷を抑えることができる。
本建具(第1,4実施形態)は、内側仕切体2が嵌め殺し窓でありながら障子19を室内側から上下けんどんで取付け・取外しできるため、障子19を取外して中間層48の掃除やメンテナンスが行える。
【0034】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。外側仕切体の遮蔽体は、室外と中間層とに仕切れるものであればよく、ガラスやシャッターの他、雨戸やロールスクリーン等であってもよい。内側仕切体の遮蔽体は、中間層と室内とに仕切れるものであればよく、障子やロールスクリーンの他、カーテン、和障子等であってもよい。枠の断面形状や材質は、適宜変更することができる。断熱材は、必ずしも四周の枠全てに設けてなくてもよく、例えば上枠側にだけ設けてあってもよい。断熱材の形状や材質は、適宜変更することができる。
本発明の建具は、空気が常に室外から室内に向けて流れるもの、空気が常に室内から室外に向けて流れるもの、冬期と夏期で空気の流れる向きを切り替えるものの何れであってもよい。
室外空間から中間層に連通する室外側通気部、中間層から室内空間に連通する室内側通気部はどこに形成してあってもよく、例えば縦枠や下枠に設けてあったり、外壁又は内壁から中間層に跨って設けてあってもよい。外側仕切体と内側仕切体の枠は、一体に形成してあってもよい。
内側仕切体の枠の室内側に室内側壁材を設ける代わりに、天井の下面を上枠の下縁と一致させたり、床の上面を下枠の上縁と一致させることで、上枠や下枠を隠すこともできる。
【0035】
1 外側仕切体(仕切体)
2 内側仕切体(仕切体)
3 枠
4 遮蔽体
7 上枠
13 連通部
15 被覆片
16 整流片
17 空間
18 枠
19,19a,19b 障子(遮蔽体)
20 上枠
28 連通部
30 整流片
31 被覆片
34 空間
42 断熱材
49 ロールスクリーン(遮蔽体)
58 シャッター(遮蔽体)