(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】充填検出装置、および、充填検出システム
(51)【国際特許分類】
E02D 5/34 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
E02D5/34 Z
(21)【出願番号】P 2020089629
(22)【出願日】2020-05-22
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000174943
【氏名又は名称】三井住友建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】安田 泰
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 晃平
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 哲也
(72)【発明者】
【氏名】金重 順一
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519898(JP,A)
【文献】特開2013-002197(JP,A)
【文献】特開平09-013369(JP,A)
【文献】特開2019-019453(JP,A)
【文献】特開平10-031013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからデータを取得する取得手段と、
前記センサからのデータに基づく、前記掘削孔内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を無線で送信するアンテナ手段と、
前記掘削孔内に装置本体を固定させる固定手段と、
を備え
、
前記固定手段が、前記掘削孔内に設置された鉄筋籠において、前記掘削孔の掘削方向に伸びた前記鉄筋籠の主鉄筋に、当該主鉄筋の先端から挿し込むための管を有することを特徴とする充填検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の充填検出装置において、
前記充填検出装置の本体の上部に、ワイヤーを掛ための吊り部が取り付けられたことを特徴とする充填検出装置。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載の充填検出装置において、
前記掘削孔の掘削方向における複数の深さの位置に、前記センサが設置されることを特徴とする充填検出装置。
【請求項4】
掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出する充填検出装置と、
前記コンクリートの高さのデータを記録する記録装置と、を備える充填検出システムにおいて、
前記充填検出装置は、
掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからデータを取得する取得手段と、
前記センサからのデータに基づく、前記掘削孔内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を無線で送信するアンテナ手段と、
前記掘削孔内に装置本体を固定させる固定手段と、
を有し、
前記固定手段が、前記掘削孔内に設置された鉄筋籠において、前記掘削孔の掘削方向に伸びた前記鉄筋籠の主鉄筋に、当該主鉄筋の先端から挿し込むための管を有することを特徴とする充填検出システム。
【請求項5】
請求項
4に記載の充填検出システムにおいて、
前記充填検出装置からの電波を、前記記録装置に中継する中継装置を更に備えたことを特徴とする充填検出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填検出装置、および、充填検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場はで、コンクリート打設において掘削孔内のコンクリートの充填状況がセンサで検知されている。例えば、特許文献1には、安定液で満たされた地中孔に、孔壁から所定の距離を確保しつつ光ファイバセンサを設置するとともに、光ファイバセンサに接触する安定液の温度を初期温度に設定し、コンクリートを打設した後、初期温度を設定した時点に対するコンクリートを打設した後の光ファイバセンサの伸縮量を検出し、伸縮量に基づいて初期温度との温度変化を該光ファイバセンサ上の少なくとも1か所以上で計測し、温度変化に基づいて温度上昇が確認された光ファイバセンサの計測位置において、光ファイバセンサにコンクリートが接触したものと判定するコンクリートの充填確認方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術では、掘削孔内からコードを外部の出力装置等に敷設する必要があり、コードがトレミー管の取り付け、ケーシングの引き抜き等の一連の打設作業を阻害していたという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点等に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、打設作業を阻害しにくい充填検出装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからデータを取得する取得手段と、前記センサからのデータに基づく、前記掘削孔内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を無線で送信するアンテナ手段と、前記掘削孔内に装置本体を固定させる固定手段と、を備え、前記固定手段が、前記掘削孔内に設置された鉄筋籠において、前記掘削孔の掘削方向に伸びた前記鉄筋籠の主鉄筋に、当該主鉄筋の先端から挿し込むための管を有することを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の充填検出装置において、前記充填検出装置の本体の上部に、ワイヤーを掛ための吊り部が取り付けられたことを特徴とする充填検出装置。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の充填検出装置において、前記掘削孔の掘削方向における複数の深さの位置に、前記センサが設置される
ことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に記載の発明は、掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出する充填検出装置と、前記コンクリートの高さのデータを記録する記録装置と、を備える充填検出システムにおいて、前記充填検出装置は、掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからデータを取得する取得手段と、前記センサからのデータに基づく、前記掘削孔内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を無線で送信するアンテナ手段と、前記掘削孔内に装置本体を固定させる固定手段と、を有し、前記固定手段が、前記掘削孔内に設置された鉄筋籠において、前記掘削孔の掘削方向に伸びた前記鉄筋籠の主鉄筋に、当該主鉄筋の先端から挿し込むための管を有することを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の充填検出システムにおいて、前記充填検出装置からの電波を、前記記録装置に中継する中継装置を更に備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからのデータに基づく、掘削孔内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を、掘削孔内に固定された装置本体から無線で送信することにより、何本ものケーブルを掘削孔から外部へ敷設する必要が無いため、打設作業を阻害しにくい充填検出装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る充填検出システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【
図2】
図1の充填検出装置の概略構成の一例を示す模式図である。
【
図3】
図1の充填検出装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図1の記録装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】充填検出システムにおけるコンクリートの充填の一例を示す模式図である。
【
図7】実施形態に係る充填検出システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、充填検出システム等に対して本発明を適用した場合の実施形態である。
【0015】
[1.充填検出システムおよび各装置の構成および機能概要]
(1.1 充填検出システムの構成および機能概要)
【0016】
まず、本発明の一実施形態に係る充填検出システムの構成および概要機能について、
図1を用いて説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る充填検出システムの概略構成の一例を示す模式図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る充填検出システム1は、ケーシングチューブCtを回転させながら地中に押し込む全周回転機Mと、ケーシングチューブCt内に打設するコンクリートの高さを検出する充填検出装置10と、充填検出装置10からの電波を中継する中継装置20と、中継装置20からの電波を受信して、データを記録する記録装置30と、を備える。
【0019】
全周回転機Mにより、ケーシングチューブCtのファーストチューブを地面Gから建て込んで、掘削し、排土する。さらにケーシングチューブCtを継ぎ足し、掘削し、排土することを繰り返し、所定の深さの掘削孔Pが形成される。なお、掘削孔P内に水を注入してから掘削を行ってもよい。また、ケーシングチューブCtを用いず、掘削孔Pが形成されてもよい。
【0020】
ケーシングチューブCt内の掘削孔Pに、鉄筋籠40をクローラクレーン等で、ケーシングチューブCt内の掘削孔Pに挿入して、鉄筋籠40の建て込みが行われる。
【0021】
鉄筋籠40は、主鉄筋41と、帯鉄筋42と、を有する。主鉄筋41の先端は、コンクリートの打ち上がり高さhcとほぼ同じになる。
【0022】
(1.2 充填検出装置10の構成および機能)
次に、充填検出装置10の構成および機能について、図を用いて説明する。
【0023】
図2は、充填検出装置の概略構成の一例を示す模式図である。
図3は、充填検出装置の概要構成の一例を示すブロック図である。
図4は、の鉄筋籠の一例を示す断面図である。
【0024】
図2に示すように、充填検出装置10は、充填検出装置本体10Bと、アンテナ部10aと、吊り部10bと、管接続部10cと、を有する。
【0025】
充填検出装置本体10Bは、例えば、鉄製の籠の架台である。充填検出装置本体10Bの内部に、バッテリー、インバータ、無線機、制御機等が収納される。
【0026】
アンテナ部10aは、充填検出装置本体10Bの上部に取り付けられる。アンテナ部10aは、センサSnからのデータに基づく、掘削孔P内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を無線で送信するアンテナ手段の一例である。
【0027】
吊り部10bは、クローラクレーンのワイヤーを掛ける部分で、充填検出装置本体10Bの上部中央に設置される。
【0028】
管接続部10cは、充填検出装置本体10Bの下部中央から、下方に伸びる棒状の部材である。管接続部10cと主鉄筋41に挿し込むための管10eとは、クランプ等の連結部材10dにより、固定される。管10eは、単管または塩ビ管である。なお、管接続部10cは、充填検出装置本体10Bの下部中央に限らず、管10eと連結できるように、充填検出装置本体10Bにおける位置や形状ならばよい。管接続部10cは、掘削孔P内に装置本体を固定させる固定手段の一例である。管接続部10cは、掘削孔P内に設置された鉄筋籠40に固定させる固定手段の一例である。管接続部10cは、前記掘削孔Pの掘削方向に伸びる鉄筋籠40の主鉄筋41の先端に固定させる固定手段の一例である。
【0029】
水中打設の場合、充填検出装置本体10Bが水に浸されないように、掘削孔P内水位がコンクリート天端の高さhcより高くなるようにする必要があり、管10eの長さは、予想される掘削孔P内水位hwに応じて設定される。
【0030】
図3に示すように、充填検出装置10は、センサターミナル部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14と、を有する。
【0031】
センサターミナル部11は、複数のセンサSnからのリード線であるケーブルを接続するコネクタを有する。センサターミナル部11の各コネクタはチャネルを形成し、各センサSnと、1対1に接続する。センサターミナル部11の各コネクタに、チャネル番号等のIDが割り振られている。
【0032】
センサSnは、コンクリートの充填を検知するセンサである。センサSnは、センサが設置されている環境の変化として、水からコンクリートへの変化、または、空気からコンクリートへの変化を検出できるセンサならばよい。例えば、センサSnとして、発振された振動を検知する振動センサ、温度変化によりコンクリートの充填を検知する光ファイバセンサ、温度センサ、圧力センサ、pHセンサ、電気抵抗センサ、電解センサ等が挙げられる。センサSnが、振動を検出する振動センサの場合、振動を発生させる発振器とのペアのセンサでもよいし、発信器は別体でもよい。センサSnが、圧力センサの場合、圧力の変化による電気抵抗の変化を検知するピエゾ素子でもよいし、圧力の変化による静電容量の変化を検知する素子でもよい。
【0033】
ここで、
図4に示すように、各センサSnは、スペーサ43に取り付けられる。U字形のスペーサ43は、ケーシングチューブCtの内壁と、鉄筋籠40の主鉄筋41や帯鉄筋42とが接触することを防止する。センサSnの設置位置は、例えば、最上段の帯鉄筋42付近の各四方、最上段から3段目の帯鉄筋42付近の各四方、最上段から5段目の帯鉄筋42付近の各四方等に設置される。センサSnの設置位置と、センサターミナル部11の各コネクタの位置と、を対応させたテーブル等の予め設定された設計図に従い、センサSnが設置される。このように、掘削孔Pの掘削方向における複数の深さの位置に、センサSnが設置される。
【0034】
通信部12は、無線通信機能を有する。通信部12は、アンテナ部10aを介して、記録装置30等との通信状態を制御する。通信部12は、例えば、5GHz帯、2.4GHz帯等の電波により通信を行う。通信部12の通信方式として、無線LAN(Local Area Network)等で使用される通信規格が挙げられる。
【0035】
記憶部13は、例えば、シリコンディスクドライブやハードディスクドライブ等からなる。記憶部13は、充填検出装置10を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム等が挙げられる。なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0036】
記憶部13は、センサSnの設置位置と、センサターミナル部11の各コネクタのチャネル番号と、を対応させたテーブル等のデータベースを有してもよい。
【0037】
制御部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)と、を有する。制御部14は、CPUが、ROMや、RAMや、記憶部13に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。制御部14は、各センサSnからの信号を、送信用のデータに変換したり、通信部12を制御したりする。
【0038】
なお、中継装置20は、ケーシングチューブCtの先端に取り付けられる。中継装置20は、通信部12の通信方式の電波の信号を、充填検出装置10から記録装置30に中継する。中継装置20は、中継用のアンテナを有する。充填検出装置10のバッテリーから電力が中継装置20に供給されてもよいし、中継装置20がバッテリーを有してもよい。中継装置20は、充填検出装置10からの電波を、記録装置30に中継する中継装置の一例である。
【0039】
(1.3 記録装置30の構成および機能)
次に、記録装置30の構成および機能について、
図5を用いて説明する。
【0040】
図5は、記録装置30の概要構成の一例を示すブロック図である。
【0041】
図5に示すように、コンピュータとして機能する記録装置30は、通信部31と、表示部32と、記憶部33と、操作部34と、入出力インターフェース部35と、制御部36とを有する。そして、制御部36と入出力インターフェース部35とは、システムバス37を介して接続されている。例えば、記録装置30は、パーソナルコンピュータやスマートフォンを含む携帯型無線電話機やPDA等の携帯端末である。
【0042】
通信部31は、無線通信機能を有する。通信部31は、充填検出装置10等との通信状態を制御する。通信部31は、充填検出装置10の通信部12の通信方式と同じ通信方式で、充填検出装置10と通信を行う。
【0043】
表示部32は、例えば、液晶表示素子またはEL(Electro Luminescence)素子等によって構成されている。表示部32には、掘削孔P内のコンクリートの高さ等の情報を表示される
【0044】
記憶部33は、例えば、シリコンディスクドライブやハードディスクドライブ等からなる。記憶部33は、記録装置30を制御するための各種プログラム等を記憶したりする。各種プログラムは、オペレーティングシステム等が挙げられる。なお、各種プログラムは、例えば、無線通信網等のネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、CD、DVD等の記録媒体に記録されてドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。
【0045】
記憶部33は、充填検出装置10から送信されてきたデータを、センサターミナル部11のチャンネル番号に関連付けて記憶する。記憶部33は、充填検出装置10から受信データを、測定時刻として受信時間と共に記憶してもよい。
【0046】
記憶部33は、センサSnの設置位置と、センサターミナル部11の各コネクタのチャネル番号と、を対応させたテーブル等のデータベースを有してもよい。
【0047】
操作部34は、例えば、キーボードおよびマウス等によって構成されている。操作部34は、表示部32がタッチパネルのようなタッチスイッチ方式の表示パネルでもよい。
【0048】
入出力インターフェース部35は、通信部31等と制御部36とのインターフェースである。
【0049】
制御部36は、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、を有する。制御部36は、CPUが、ROMや、RAMや、記憶部23に記憶された各種プログラムを読み出して実行する。
【0050】
[2.充填検出システムの動作例]
次に、充填検出システムの動作例について、図を用いて説明する。
【0051】
図6は、充填検出システムにおけるコンクリートの充填の一例を示す模式図である。
図7は、実施形態に係る充填検出システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【0052】
鉄筋籠40が掘削孔P内に建て込みが行われた後、鉄筋籠40の主鉄筋41に、充填検出装置本体10Bの管10eが差し込まれ、充填検出装置10が掘削孔P内に設置される。各センサSnが、所定の高さに鉄筋籠40に設置される。各センサSnからのケーブルを充填検出装置10のセンサターミナル部11に接続する。
【0053】
図6に示すように、トレミー管Tmが掘削孔P内に挿入される。なお、トレミー管Tmが取り付けられた後に、充填検出装置10が、掘削孔P内に設置されてもよい。
【0054】
次に、コンクリートの打設が開始される。ミキサー車からトレミー管Tmに供給されたコンクリートが、トレミー管Tmの下端から排出される。
【0055】
次に、
図7に示すように、充填検出システム1は、各センサSnからデータを取得する(ステップS1)。具体的には、充填検出装置10の制御部14は、センサターミナル部11を介して、各センサSnからデータを取得する。制御部14は、コンクリートCnがセンサに達したか否かに符号化した情報に変換する。例えば、センサSnが振動センサの場合、制御部14は、振動数の変換に所定の閾値に応じて、センサSnからの振動データを、符号化する。充填検出装置10は、掘削孔内に充填されているコンクリートの高さを検出するためのセンサからデータを取得する取得手段の一例として機能する。
【0056】
なお、制御部14は、センサターミナル部11のチャネル番号に基づき、各センサSnからのコンクリートCnがセンサSnに達したか否かの情報に、チャネル番号を付加する。制御部14は、各センサSnからの各情報に測定時刻を付加してもよい。
【0057】
なお、制御部14は、チャンネル番号に基づき、記憶部13のデータベースを参照して、各センサSnからデータから、掘削孔P内におけるコンクリートCnの高さh情報に変換してもよい。掘削孔P内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報として、コンクリートCnがセンサSnに達したか否かに符号化した情報、センサSnのチャネル番号、センサSnの測定時刻、コンクリートCnの高さ情報等が挙げられる。
【0058】
次に、充填検出システム1は、センサからの情報を無線で送信する(ステップS2)。具体的には、充填検出装置10の通信部12が、センサターミナル部11のチャンネル番号等を付加した各センサSnからの各情報を、所定の信号形式に変換して、記録装置30に送信する。例えば、通信部12が、デジタル変調して送信用のデータに変換して送信する。充填検出装置10のアンテナ部10aから電波が放射され、中継装置20を介して記録装置30に電波が届く。なお、充填検出装置10から記録装置30まで電波が直接届く場合、中継装置20を介さなくてもよい。
【0059】
次に、記録装置30の通信部31が、データを受信して、復号して、掘削孔P内に充填されているコンクリートに関するセンサSnのセンサ情報として、コンクリートが各センサSnに達したか否かの情報、チャネル番号、測定時刻等を抽出する。
【0060】
記録装置30は、抽出したセンサ情報を記憶部33に記憶する。例えば、制御部36が、各センサSnのチャンネル番号に関連付けて、コンクリートCnが各センサSnに達したか否かの情報、測定時刻等を、記憶部33に記憶する。
【0061】
次に、充填検出システム1は、コンクリートの高さ等を計算する(ステップS3)。具体的には、記録装置30の制御部36が、チャンネル番号に基づき、記憶部33のデータベースを参照して、各センサSnからデータから、掘削孔P内におけるコンクリートCnの高さhを計算する。より具体的に、制御部36が、記憶部33に予め記憶されたチャンネル番号とセンサSnが設置される高さおよび帯鉄筋42における位置との関係を設計したテーブルを参照して、コンクリートCnを捉えたセンサSnのうち、最大の高さのセンサSnの位置を、掘削孔P内におけるコンクリートCnの高さhを計算する。
【0062】
高さh1の位置にあるセンサSnが、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh1と計算する。高さh2の位置にあるセンサSnが、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh2と計算する。高さh3の位置にあるセンサSnが、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh3と計算する。
【0063】
また、高さh1の位置にある複数のセンサSn全てが、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh1と計算してもよい。また、高さh1の位置にある複数のセンサSnの少なくとも1つが、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh1と計算してもよい。また、高さh1の位置にある複数のセンサSnのうち半数以上が、コンクリートCnを検知した場合、制御部36が、コンクリートCnの高さhは、高さh1と計算してもよい。
【0064】
また、制御部36が、複数の高さh1、h2、h3のセンサSnの測定時刻に基づき、コンクリートCnの高さhの時間的変換を計算して、コンクリートCnの上昇速度、上昇加速等のコンクリートCnの充填状況の情報を計算してもよい。記録装置30は、計算されたコンクリートCnの高さ等の情報を記憶部33に記憶してもよい。
【0065】
次に、充填検出システム1は、コンクリートの高さ等の情報を表示する(ステップS4)。具体的には、記録装置30の制御部36が、掘削孔P内に充填されているコンクリートの高さhや上昇速度等をグラフ化した表示や、各センサSnの状態等を、表示部32に表示する。
【0066】
なお、記録装置30が、高さhに応じて、音で通知してもよい。例えば、高さh1、h2、h3の位置にある各センサSnが、コンクリートCnを検知した場合、記録装置30が、スピーカから、各高さh1、h2、h3の情報を音声で通知する。また、記録装置30が、高さに応じて、通知する音の種類を変えてもよい。
【0067】
次に、充填検出システム1は、コンクリートの供給量を制御する(ステップS5)。具体的には、ミキサー車からトレミー管Tmへのコンクリートの供給量を制御する。記録装置30が、掘削孔P内に充填されているコンクリートCnの高さhや上昇速度等の情報を、コンクリートCnの供給を制御するコンクリート供給制御装置(図示せず)に送信する。なお、記録装置30が、コンクリート供給制御装置を制御する制御情報を、コンクリート供給制御装置に送信してもよい。コンクリート供給制御装置がコンクリートCnの供給量を制御する。
【0068】
コンクリートの供給量の制御の仕方として、高さh1になった場合、コンクリートの供給量を低下させ、高さh2になった場合、コンクリートの供給量をさらに、低下させ、高さh3になった場合、コンクリートの供給量を停止するように、コンクリートの供給量が制御される。高さh1と高さh2の通過時刻、すなわち、コンクリートの上昇速度に基づき、供給量の低下度が調整されてもよい。
【0069】
なお、表示部32に表示された、コンクリートCnの高さhや上昇速度、各センサSnの状態等の情報を、作業者が見て、作業者がコンクリートの供給量を調整してもよい。
【0070】
次に、充填検出システム1は、終了か否かを判定する(ステップS6)。具体的には、記録装置30が、高さh3に到達したか否かを判定する。記録装置30が、記録装置30の電源やプログラム等が終了したか否かを判定してもよい。
【0071】
終了していない場合(ステップS6;NO)、充填検出システム1は、ステップS1の処理に戻って、各センサSnからデータを取得する。
【0072】
終了した場合(ステップS6;YES)、充填検出システム1は、一連の動作を終了する。具体的には、記録装置30が、プログラムを終了する。記録装置30が、動作停止の信号を充填検出装置10に送信して、充填検出装置10が、動作を終了してもよい。
【0073】
実施形態に係る充填検出装置10によれば、掘削孔P内に充填されているコンクリートCnの高さhを検出するためのセンサSnからのデータに基づく、掘削孔P内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を、掘削孔P内に固定された装置本体10Bのアンテナ部10aから無線で送信することにより、何本ものケーブルを掘削孔Pから外部へ敷設する必要が無いため、トレミー管の取り付け、ケーシングの引き抜き 等の打設作業を阻害しにくくなる。
【0074】
また、ケーブルを掘削孔Pから外部へ敷設する必要が無いため、何本ものケーブルを敷設する手間を省くことができる。
【0075】
また、コンクリートCnの充填状況を離れた場所からリアルタイムで確認できる。コンクリートの充填状況の計測を遠方で確認できるため、杭工事の作業を止める必要はない。
【0076】
オールケーシングの場所打ち杭のコンクリート打設において、杭頭付近のコンクリートCnの充填性を、人間の感覚に頼ることなく計測できる。また、コンクリートCnの充填状況の記録をデジタル化し帳票化することも容易にできる。
【0077】
掘削孔P内に設置された鉄筋籠40に、固定手段の一例である管接続部10cにより固定させる場合、掘削孔P内において、充填検出装置10を取り付けたり、取り外したりする作業がしやすくなる。
【0078】
掘削孔Pの掘削方向に伸びる鉄筋籠40の主鉄筋41の先端に固定させる場合、掘削孔P内の水や、打設されるコンクリートから、充填検出装置10の充填検出装置本体10Bを保護することができる。
【0079】
掘削孔Pの掘削方向における複数の深さの位置に、センサSnが設置される場合、打設するコンクリートの供給量をコントロールしやすくなる。同じ高さまたは深さの帯鉄筋42付近のU字形のスペーサ43に、センサSnを複数設置されることにより、鉄筋かぶり部分の充填不良をより確実に検知することができる。
【0080】
充填検出装置10からの電波を、掘削孔P外の記録装置30に中継する中継装置20により、電波が届きにくい場合でも、充填検出装置10から記録装置30へ、掘削孔P内に充填されているコンクリートに関するセンサ情報を送信できる。また、中継装置20の使用により、より離れた場所から検知結果をリアルタイムでコンクリートの充填状況を確認できる。
【0081】
なお、コンクリートの打設が終了し、各センサSnのケーブルが切断され、充填検出装置10から切り離される。充填検出装置本体10Bは、掘削孔P内から回収される。また、センサSnのケーブルが、センサターミナル部11の接続ターミナルなるから、引き抜く等により、充填検出装置10と各センサSnとが、切り離されてもよい。
【0082】
埋没したセンサSnをセンサターミナル部11に再接続して、または、充填検出装置10が掘削孔P内に設置されたままで、充填検出装置10が、埋没したセンサSnからデータを取得してもよい。
【0083】
埋没したセンサSnからデータを取得して、打設されたコンクリートの状態を、充填検出装置10が測定して、記録装置30に送信してもよい。打設されたコンクリートの状態の一例として、コンクリートの硬化状態、経年変化等が挙げられる。
【0084】
地中連壁工法等におけるコンクリートの打設にも、本発明を適用してもよい。
【0085】
さらに、本発明は、上記各実施形態に限定されるものではない。上記各実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0086】
1:充填検出システム
10:充填検出装置
10B:充填検出装置本体
10a:アンテナ部(アンテナ手段)
10c:管接続部(固定手段)
20:中継装置
30:記録装置
P:掘削孔
Sn:センサ