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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】中気門亜目ダニ類の防除用組成物
(51)【国際特許分類】
   A01N 43/42 20060101AFI20231122BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 43/90 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 47/22 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 53/04 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 53/08 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 57/14 20060101ALI20231122BHJP
   A01N 57/20 20060101ALI20231122BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
A01N43/42 101
A01N43/40 101Q
A01N43/90 101
A01N47/22 D
A01N47/22 G
A01N47/22 Z
A01N53/04 510
A01N53/08 110
A01N53/08 120
A01N53/08 125
A01N57/14 E
A01N57/20 D
A01P7/02
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020546215
(86)(22)【出願日】2019-09-13
(86)【国際出願番号】 JP2019036053
(87)【国際公開番号】W WO2020054835
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-09-07
(31)【優先権主張番号】P 2018172426
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006091
【氏名又は名称】Meiji Seikaファルマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001047
【氏名又は名称】弁理士法人セントクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲
(72)【発明者】
【氏名】井上 武彦
【審査官】鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/032629(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0077602(US,A1)
【文献】国際公開第2002/083644(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/119752(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/106811(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107711849(CN,A)
【文献】特許第7090071(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A01P
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【化1】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、-COR、-COOR(ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す)、-CHOCH、又は-COCHOCHを表し、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を表す。]
【請求項2】
前記一般式(1)で表される化合物が、式中のRがアセチル基又はメトキシカルボニル基である化合物である、請求項1に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項3】
中気門亜目ダニ類が、ワクモ科のダニ類及びオオサシダニ科のダニ類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項4】
他の有害生物防除剤が、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項5】
他の有害生物防除剤が、下記一般式(10):
【化2】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ファモキサドン(famoxadone)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、シアゾファミド(cyazofamid)、アミスルブロム(amisulbrom)、フラトラニル(Flutolanil)、メプロニル(mepronil)、イソフェタミド(isofetamid)、フルオピラム(fluopyrum)、カルボキシン(carboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、フラメトピル(furametpyr)、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、ジフルメトリム(diflumetorim)、フルアジナム(fluazinam)、フェリムゾン(ferimzone)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホスエチル(azinphos-ethyl)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、カズサホス(cadusafos)、クロレトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルメホス(chlormephos)、クロルピリホス(chlopyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クマホス(coumaphos)、シアノホス(cyanophos)、ジメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト(EPN)(ethyl-p-nitrophenyl phenylphosphonothioate)、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、ファンフル(famphur)、フェナミホス(fenamifos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ヘプテノホス(heptenophos)、イミシアホス(imicyafos)、イソフェンス(isofenphos)、イソプロイル-O-(メトキシアミノチオホスホル)サリチアート(isopropyl-O-(methoxyaminothio-phosphoryl)salicylate)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled)、オメトエート(omethoate)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、パラチオン(parathion)、メチルパラチオン(parathion-methyl)、フェントエート(phenthoate)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、プロペタムホス(propetamphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン(thiometon)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、バミドチオン(vamidothion)、アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ブトカルボキシム(butocarboxim)、ブトキシカルボキシム(butocarboxim)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メチオカルブ(methiocarb)、メソミル(methomy1)、メトルカルブ(metolcarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノックス(thiofanox)、トリアザメート(triazamate)、トリメタカルブ(trimethacarb)、XMC、キシリルカルブ(xylylcarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップナトリウム塩(thiosultap-sodium)、ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、クロルデン(chlordane)、エンドスルファン(endosulfan)、フィプロニル(fipronil)、エチロール(ethiprole)、アベルメクチン(avermectin)、イベルメクチン(ivermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、セラメクチン(selamectin)、モキシデクチン(moxidectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン安息香酸塩(emamectin benzoate)、レメクチン(lepimectin)、ミルベメクチン(mylbemectin)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(c1othianidin)、チアメトキサム(thiamethoxam)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エンペントリン(empenthrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、カデスリン(kadethrin)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、メトプレン(methoprene)、ヒドロプレン(hydroprene)、キノプレン(kinoprene)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド(spinosad)、スルフォキサフロル(sulfoxaflor)、フルピラジフロン(flupyradifurone)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、シロマジン(Cyromazine)、エトキサゾール(ethoxazole)、クロフェンテジン(clofentezine)、ジフロダジン(diflovidazin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、アゾシクロチン(azocyclotin)、水酸化トリクロヘキシルスズ(cyhexatin)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、プロパルギット(propargite)、テトラジホン(tetradifon)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、DNOC、スルフルラミド(sulfluramid)、ピフルブミド(pyflubumide)、ブプロフェジン(buprofezin)、アミトラズ(amitraz)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、アセキノシル(acequinocyl)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ビフェナゼート(bifenazate)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、ロテノン(デリス)(rotenone(derris))、メタフルミゾン(metaflumizone)、インドキサカルブ(indoxacarb)スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメジフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、フルベンジアミド(flubendiamide)、フロニカミド(flonicamid)、アザジラクチン(azadirachtin)、ベンゾメート(ベンゾキシメート)(benzoximate)、フェニソボロモレート(ブロモプロピレート)(bromopropylate)、キノメチオナート(chinomethionat)、ジコホル(dicofol)、GS-オメガ/カッパHXTY-Hvlaペプチド(GS-omega/kappaHXTY-Hvla peptide)、ピリダリル(pyridalyl)、デミジトラズ(demiditraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、フルヘキサフォン(fluhexafon)、エモデプシド(emodepside)、モネパンテル(monepantel)、フェンベンダゾール(fenbendazol)、フェバンテル(febantel)、パモ酸ピランテル(pyrantel pamoate)、メタジアミド(meta-diamid)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、スピロテトラマト(spirotetramat)、レピメクチン(lepimectin)、メタフルミゾン(metaflumizone)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、トリアザメート(triazamate)、フロメトキン(flometoquin)、アフィドピロペン(afidopyropen)、フルララネル(fluralaner)、アフォキソラネル(afoxolaner)、トルトラズリル(toltrazuril)、スルファジメトキシン(sulfadimethoxine)、クマテトラリル(coumatetralyl)、フルピリミン(flupyrimin)、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、有機金属系化合物、ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物、及びこれら化合物の酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項6】
他の有害生物防除剤が、次式(11):
【化3】
で表される化合物、次式(12):
【化4】
で表される化合物、次式(13):
【化5】
で表される化合物、カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ペルメトリン(permethrin)、フルピリミン(flupyrimin)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポキスル(propoxur)、フェニトロチオン(fenitrothion)、トリクロルホン(trichlorfon)、フェノトリン(phenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、アバメクチン(abamectin)、及びこれら化合物の酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~3のうちのいずれか一項に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項7】
動物薬・中気門亜目ダニ類防除上許容可能な担体をさらに含有する、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項8】
下記一般式(10):
【化6】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、フルピリミン(flupyrimin)及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項9】
中気門亜目ダニ類が、ワクモ科のダニ類及びオオサシダニ科のダニ類からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項8に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項10】
前記一般式(10)で表される化合物が、次式(11):
【化7】
で表される化合物、次式(12):
【化8】
で表される化合物、及び次式(13):
【化9】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である
請求項8又は9に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【請求項11】
ヒト以外に対して、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物を用いる、中気門亜目ダニ類の防除方法。
【請求項12】
中気門亜目ダニ類防除のための、
下記一般式(1):
【化10】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、-COR、-COOR(ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す)、-CHOCH、又は-COCHOCHを表し、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ物。
【請求項13】
請求項12に記載の組み合わせ物の有効量を、中気門亜目ダニ類、定温動物、昆虫、及び中気門亜目ダニ類の生息場所からなる群から選択される少なくとも1種(ただしヒトを除く)に施用する、中気門亜目ダニ類の防除方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中気門亜目ダニ類の防除用組成物、より詳しくは、中気門亜目ダニ類防除用組成物及び中気門亜目ダニ類防除のための組み合わせ物、並びに、これらを用いる中気門亜目ダニ類の防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
中気門亜目ダニ類には、ワクモ、トリサシダニ、イエダニ、ミツバチヘギイタダニ、イヌハイダニなどが含まれ、昆虫や鳥類、哺乳類などの定温動物に寄生したり吸血したりするため、獣医衛生上重要な問題を引き起こすことが知られている。そのため、このような昆虫や定温動物に寄生又は吸血するダニ類に対し、従来から多くの防除剤が開発されているが、かかるダニ類には薬剤抵抗性が認められるなど、充分な防除効果が得られておらず、優れた殺ダニ活性を有する中気門亜目ダニ類の防除用組成物の開発は依然として望まれている。
【0003】
このような防除用組成物としては、例えば、本件出願人が、下記の本発明に係る一般式(1)で表される化合物を有効成分として含有する中気門亜目ダニ類防除剤について2017年3月17日付で出願している(特願2017-052200)。
【0004】
また、特許文献1(特開2003-055115号公報)には、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩と水稲害虫防除化合物の少なくとも1種を含有する水稲用殺虫殺菌混合組成物が記載されており、特許文献2(国際公開第2012/121121号)には、式(I)で示されるキノリン化合物と、ヒドラジド化合物と、ジノテフラン等より選ばれる1種以上の害虫防除化合物とを含有する有害生物防除用組成物が記載されている。しかしながら、これらの特許文献には、かかる組成物がワクモやトリサシダニ等を含む中気門亜目ダニ類に対して効力を示すことは開示されていない。
【0005】
また、このように有害生物防除効果を有する化合物を組み合わせた組成物としては、例えば、特許文献4(特許第5745704号)において、N―[1-((6-クロロピリジン-3-イル)メチル)ピリジン-2(1H)-イリデン]-2,2,2-トリフルオロアセタミド及びその酸付加塩の少なくとも1種と、イミダクロプリド等の他の有害生物防除剤の少なくとも1種を含有してなる、有害生物防除用組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-055115号公報
【文献】国際公開第2012/121121号
【文献】特許第5745704号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、中気門亜目ダニ類に対して優れた防除効果を有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物及び中気門亜目ダニ類防除のための組み合わせ物、並びに、これらを用いる中気門亜目ダニ類の防除方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、特定のキノリン誘導体化合物と他の有害生物防除剤とを組み合わせて用いることにより、各成分が活性を損なわないばかりか、相乗的な効果を発揮して、中気門亜目ダニ類に対して顕著に優れた防除効果を示すことを見出し、本発明を完成した。
【0009】
かかる知見により得られた本発明の態様は次のとおりである。
[1]
下記一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物。
【0010】
【化1】
【0011】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、-COR、-COOR(ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す)、-CHOCH、又は-COCHOCHを表し、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
[2]
前記一般式(1)で表される化合物が、式中のRがアセチル基又はメトキシカルボニル基である化合物である、[1]に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[3]
中気門亜目ダニ類が、ワクモ科のダニ類及びオオサシダニ科のダニ類からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[4]
他の有害生物防除剤が、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のうちのいずれかに記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[5]
他の有害生物防除剤が、下記一般式(10):
【0012】
【化2】
【0013】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ファモキサドン(famoxadone)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、シアゾファミド(cyazofamid)、アミスルブロム(amisulbrom)、フラトラニル(Flutolanil)、メプロニル(mepronil)、イソフェタミド(isofetamid)、フルオピラム(fluopyrum)、カルボキシン(carboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、フラメトピル(furametpyr)、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、ジフルメトリム(diflumetorim)、フルアジナム(fluazinam)、フェリムゾン(ferimzone)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホスエチル(azinphos-ethyl)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、カズサホス(cadusafos)、クロレトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルメホス(chlormephos)、クロルピリホス(chlopyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クマホス(coumaphos)、シアノホス(cyanophos)、ジメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト(EPN)(ethyl-p-nitrophenyl phenylphosphonothioate)、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、ファンフル(famphur)、フェナミホス(fenamifos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ヘプテノホス(heptenophos)、イミシアホス(imicyafos)、イソフェンス(isofenphos)、イソプロイル-O-(メトキシアミノチオホスホル)サリチアート(isopropyl-O-(methoxyaminothio-phosphoryl)salicylate)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled)、オメトエート(omethoate)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、パラチオン(parathion)、メチルパラチオン(parathion-methyl)、フェントエート(phenthoate)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、プロペタムホス(propetamphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン(thiometon)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(Trichlorfon)、バミドチオン(vamidothion)、アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ブトカルボキシム(butocarboxim)、ブトキシカルボキシム(butocarboxim)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メチオカルブ(methiocarb)、メソミル(methomy1)、メトルカルブ(metolcarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノックス(thiofanox)、トリアザメート(triazamate)、トリメタカルブ(trimethacarb)、XMC、キシリルカルブ(xylylcarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)、ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップナトリウム塩(thiosultap-sodium)、ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、クロルデン(chlordane)、エンドスルファン(endosulfan)、フィプロニル(fipronil)、エチロール(ethiprole)、アベルメクチン(avermectin)、イベルメクチン(ivermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、セラメクチン(selamectin)、モキシデクチン(moxidectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン安息香酸塩(emamectin benzoate)、レメクチン(lepimectin)、ミルベメクチン(mylbemectin)、イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(c1othianidin)、チアメトキサム(thiamethoxam)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)、アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エンペントリン(empenthrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、カデスリン(kadethrin)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、メトプレン(methoprene)、ヒドロプレン(hydroprene)、キノプレン(kinoprene)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド(spinosad)、スルフォキサフロル(sulfoxaflor)、フルピラジフロン(flupyradifurone)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、シロマジン(Cyromazine)、エトキサゾール(ethoxazole)、クロフェンテジン(clofentezine)、ジフロダジン(diflovidazin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、アゾシクロチン(azocyclotin)、水酸化トリクロヘキシルスズ(cyhexatin)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、プロパルギット(propargite)、テトラジホン(tetradifon)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、DNOC、スルフルラミド(sulfluramid)、ピフルブミド(pyflubumide)、ブプロフェジン(buprofezin)、アミトラズ(amitraz)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、アセキノシル(acequinocyl)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ビフェナゼート(bifenazate)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、ロテノン(デリス)(rotenone(derris))、メタフルミゾン(metaflumizone)、インドキサカルブ(indoxacarb)スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメジフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、フルベンジアミド(flubendiamide)、フロニカミド(flonicamid)、アザジラクチン(azadirachtin)、ベンゾメート(ベンゾキシメート)(benzoximate)、フェニソボロモレート(ブロモプロピレート)(bromopropylate)、キノメチオナート(chinomethionat)、ジコホル(dicofol)、GS-オメガ/カッパHXTY-Hvlaペプチド(GS-omega/kappaHXTY-Hvla peptide)、ピリダリル(pyridalyl)、デミジトラズ(demiditraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、フルヘキサフォン(fluhexafon)、エモデプシド(emodepside)、モネパンテル(monepantel)、フェンベンダゾール(fenbendazol)、フェバンテル(febantel)、パモ酸ピランテル(pyrantel pamoate)、メタジアミド(meta-diamid)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、スピロテトラマト(spirotetramat)、レピメクチン(lepimectin)、メタフルミゾン(metaflumizone)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、トリアザメート(triazamate)、フロメトキン(flometoquin)、アフィドピロペン(afidopyropen)、フルララネル(fluralaner)、アフォキソラネル(afoxolaner)、トルトラズリル(toltrazuril)、スルファジメトキシン(sulfadimethoxine)、クマテトラリル(coumatetralyl)、フルピリミン(flupyrimin)、N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET)、有機金属系化合物、ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラジン系化合物、及びこれら化合物の酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のうちのいずれかに記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[6]
他の有害生物防除剤が、次式(11):
【0014】
【化3】
【0015】
で表される化合物、次式(12):
【0016】
【化4】
【0017】
で表される化合物、次式(13):
【0018】
【化5】
【0019】
で表される化合物、カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ペルメトリン(permethrin)、フルピリミン(flupyrimin)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポキスル(propoxur)、フェニトロチオン(fenitrothion)、トリクロルホン(trichlorfon)、フェノトリン(phenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、アバメクチン(abamectin)、及びこれら化合物の酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のうちのいずれかに記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[7]
動物薬・中気門亜目ダニ類防除上許容可能な担体をさらに含有する、[1]~[6]のうちのいずれかに記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[8]
下記一般式(10):
【0020】
【化6】
【0021】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[9]
中気門亜目ダニ類が、ワクモ科のダニ類及びオオサシダニ科のダニ類からなる群から選択される少なくとも1種である、[8]に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[10]
他の有害生物防除剤が、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤からなる群から選択される少なくとも1種である、[8]又は[9]に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[11]
前記一般式(10)で表される化合物が、次式(11):
【0022】
【化7】
【0023】
で表される化合物、次式(12):
【0024】
【化8】
【0025】
で表される化合物、及び次式(13):
【0026】
【化9】
【0027】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種であり、
他の有害生物防除剤が、カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ペルメトリン(permethrin)、フルピリミン(flupyrimin)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポキスル(propoxur)、フェニトロチオン(fenitrothion)、トリクロルホン(trichlorfon)、フェノトリン(phenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、アバメクチン(abamectin)、及びこれら化合物の酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種である、
[8]又は[9]に記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物。
[12]
[1]~[11]のうちのいずれかに記載の中気門亜目ダニ類防除用組成物を用いる、中気門亜目ダニ類の防除方法。
[13]
中気門亜目ダニ類防除のための、
下記一般式(1):
【0028】
【化10】
【0029】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、-COR、-COOR(ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す)、-CHOCH、又は-COCHOCHを表し、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ物。
[14]
[13]に記載の組み合わせ物の有効量を、中気門亜目ダニ類、定温動物、昆虫、及び中気門亜目ダニ類の生息場所からなる群から選択される少なくとも1種に施用する、中気門亜目ダニ類の防除方法。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、定温動物や昆虫に寄生したり吸血したりして被害を与える中気門亜目ダニ類に対して優れた防除効果を有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物及び中気門亜目ダニ類防除のための組み合わせ物、並びに、これらを用いる中気門亜目ダニ類の防除方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0032】
本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物(以下、場合により単に「防除用組成物」という)は、下記一般式(1):
【0033】
【化11】
【0034】
[一般式(1)中、Rは、水素原子、-COR、-COOR(ここで、Rは炭素数1~4のアルキル基を表す)、-CHOCH、又は-COCHOCHを表し、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有するものである。
【0035】
前記一般式(1)で表される化合物において、Rは、水素原子、-COR、-COOR、-CHOCH、又は-COCHOCHを表す。ここで、Rは、炭素数1~4のアルキル基を表す。R及びRは、同一でも異なっていてもよく、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。
【0036】
好ましくは、前記一般式(1)で表される化合物において、Rが-COR又は-COORであって、Rが、炭素数1~4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)であり、より好ましくは、メチル基である。また、好ましくは、R及びRが、それぞれ独立に、ハロゲン原子、水素原子、又は炭素数1~4のアルキル基を表し、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などである。これらの一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩は、例えば、日本国特許第4152742号に記載された製造方法又はこれに準じた方法により、製造することができる。
【0037】
本発明において、「酸付加塩」としては、農畜薬上許容可能な酸付加塩、及び/又は、動物薬上許容可能な酸付加塩であることが好ましく、例えば、塩酸塩、硝酸塩、リン酸塩、酢酸塩などが挙げられる。
【0038】
本発明において、一般式(1)で表される化合物、及び下記の一般式(10)で表される化合物は、それぞれ独立に、水和物又は溶媒和物の形態を取ることも可能であり、本発明においては、そのような水和物及び溶媒和物もこれら化合物に包含される。
【0039】
上記一般式(1)で表される化合物の具体例の一部を示せば、Rがアセチル基又はメトキシカルボニル基である下記の表1の化合物が挙げられる。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明の防除用組成物において、「有効成分として含有する」とは、剤型に応じた製薬的に許容された担体(動物薬・中気門亜目ダニ類防除上許容可能な担体)等を含む場合も包含することは勿論のこと、併用可能な他の薬剤を含有してもよいことをいう。
【0042】
本発明において、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、ともに用いられる他の有害生物防除剤は、特に限定されるものではないが、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、殺菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、共力剤などの薬剤が挙げられ、これらのうちの1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。他の有害生物防除剤としては、好ましくは、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0043】
一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、ともに用いられる他の有害生物防除剤として、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤の好ましい例としては、下記一般式(10):
【0044】
【化12】
【0045】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、メトミノストロビン(metominostrobin)、オリサストロビン(orysastrobin)、ファモキサドン(famoxadone)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、ピリベンカルブ(pyribencarb)、シアゾファミド(cyazofamid)、アミスルブロム(amisulbrom)、フラトラニル(Flutolanil)、メプロニル(mepronil)、イソフェタミド(isofetamid)、フルオピラム(fluopyrum)、カルボキシン(carboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、フルキサピロキサド(fluxapyroxad)、フラメトピル(furametpyr)、ペンフルフェン(penflufen)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、ボスカリド(boscalid)、ジフルメトリム(diflumetorim)、フルアジナム(fluazinam)、フェリムゾン(ferimzone)、フェンピロキシメート(fenpyroximate);アセフェート(acephate)、アザメチホス(azamethiphos)、アジンホスエチル(azinphos-ethyl)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、カズサホス(cadusafos)、クロレトキシホス(chlorethoxyfos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、クロルメホス(chlormephos)、クロルピリホス(chlopyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos-methyl)、クマホス(coumaphos)、シアノホス(cyanophos)、ジメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、ダイアジノン(diazinon)、ジクロルボス(dichlorvos)、ジクロトホス(dicrotophos)、ジメトエート(dimethoate)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジスルホトン(disulfoton)、エチルパラニトロフェニルチオノベンゼンホスホネイト(EPN)(ethyl-p-nitrophenyl phenylphosphonothioate)、エチオン(ethion)、エトプロホス(ethoprophos)、ファンフル(famphur)、フェナミホス(fenamifos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、フェンチオン(fenthion)、ホスチアゼート(fosthiazate)、ヘプテノホス(heptenophos)、イミシアホス(imicyafos)、イソフェンス(isofenphos)、イソプロイル-O-(メトキシアミノチオホスホル)サリチアート(isopropyl-O-(methoxyaminothio-phosphoryl)salicylate)、イソキサチオン(isoxathion)、マラチオン(malathion)、メカルバム(mecarbam)、メタミドホス(methamidophos)、メチダチオン(methidathion)、メビンホス(mevinphos)、モノクロトホス(monocrotophos)、ナレッド(naled)、オメトエート(omethoate)、オキシジメトンメチル(oxydemeton-methyl)、パラチオン(parathion)、メチルパラチオン(parathion-methyl)、フェントエート(phenthoate)、ホレート(phorate)、ホサロン(phosalone)、ホスメット(phosmet)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホキシム(phoxim)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロフェノホス(profenofos)、プロペタムホス(propetamphos)、プロチオホス(prothiofos)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、キナルホス(quinalphos)、スルホテップ(sulfotep)、テブピリムホス(tebupirimfos)、テメホス(temephos)、テルブホス(terbufos)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、チオメトン(thiometon)、トリアゾホス(triazophos)、トリクロルホン(Trichlorfon)、バミドチオン(vamidothion)のような有機リン系化合物;アラニカルブ(alanycarb)、アルジカルブ(aldicarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ブトカルボキシム(butocarboxim)、ブトキシカルボキシム(butocarboxim)、カルバリル(carbaryl)、カルボフラン(carbofuran)、カルボスルファン(carbosulfan)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、ホルメタネート(formetanate)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メチオカルブ(methiocarb)、メソミル(methomy1)、メトルカルブ(metolcarb)、オキサミル(oxamyl)、ピリミカーブ(pirimicarb)、プロポキスル(propoxur)、チオジカルブ(thiodicarb)、チオファノックス(thiofanox)、トリアザメート(triazamate)、トリメタカルブ(trimethacarb)、XMC、キシリルカルブ(xylylcarb)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;ベンスルタップ(bensultap)、カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、チオスルタップナトリウム塩(thiosultap-sodium)のようなネライストキシン誘導体;ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、クロルデン(chlordane)、エンドスルファン(endosulfan)のような有機塩素系化合物;フィプロニル(fipronil)、エチロール(ethiprole)のようなフェニルピラゾール系化合物;アベルメクチン(avermectin)、イベルメクチン(ivermectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、セラメクチン(selamectin)、モキシデクチン(moxidectin)、エプリノメクチン(eprinomectin)、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン安息香酸塩(emamectin benzoate)、レメクチン(lepimectin)、ミルベメクチン(mylbemectin)のようなアベルメクチン系化合物;イミダクロプリド(imidacloprid)、クロチアニジン(c1othianidin)、チアメトキサム(thiamethoxam)、アセタミプリド(acetamiprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、チアクロプリド(thiacloprid)、ジノテフラン(dinotefuran)のようなネオニコチノイド系化合物;アクリナトリン(acrinathrin)、アレスリン(allethrin)、ビフェントリン(bifenthrin)、ビオレスメトリン(bioresmethrin)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、シフルトリン(cyfluthrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、シフェノトリン(cyphenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、エンペントリン(empenthrin)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フェンプロトリン(fenpropathrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルメトリン(flumethrin)、フルバリネート(fluvalinate)、ハルフェンプロックス(halfenprox)、イミプロトリン(imiprothrin)、カデスリン(kadethrin)、ペルメトリン(permethrin)、フェノトリン(phenothrin)、プラレトリン(prallethrin)、ピレトリン(pyrethrins)、レスメトリン(resmethrin)、シラフルオフェン(silafluofen)、テフルトリン(tefluthrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、トラロメトリン(tralomethrin)、トランスフルトリン(transfluthrin)のようなピレスロイド系化合物;ビストリフルロン(bistrifluron)、フルシクロクスロン(flucycloxuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ジフルベンズロン(diflubenzuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、メトプレン(methoprene)、ヒドロプレン(hydroprene)、キノプレン(kinoprene)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)のような幼若ホルモン様化合物;クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、テブフェノジド(tebufenozide)のような脱皮ホルモン様化合物が挙げられる。さらに、その他の化合物として、スピネトラム(spinetoram)、スピノサド(spinosad)、スルフォキサフロル(sulfoxaflor)、フルピラジフロン(flupyradifurone)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、シロマジン(Cyromazine)、エトキサゾール(ethoxazole)、クロフェンテジン(clofentezine)、ジフロダジン(diflovidazin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、アゾシクロチン(azocyclotin)、水酸化トリクロヘキシルスズ(cyhexatin)、酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、プロパルギット(propargite)、テトラジホン(tetradifon)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、DNOC、スルフルラミド(sulfluramid)、ピフルブミド(pyflubumide)、ブプロフェジン(buprofezin)、アミトラズ(amitraz)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、アセキノシル(acequinocyl)、フルアクリピリム(fluacrypyrim)、ビフェナゼート(bifenazate)、フェナザキン(fenazaquin)、フェンピロキシメート(fenpyroximate)、ピリダベン(pyridaben)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、ロテノン(デリス)(rotenone(derris))、メタフルミゾン(metaflumizone)、インドキサカルブ(indoxacarb)スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメジフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、フルベンジアミド(flubendiamide)、フロニカミド(flonicamid)、アザジラクチン(azadirachtin)、ベンゾメート(ベンゾキシメート)(benzoximate)、フェニソボロモレート(ブロモプロピレート)(bromopropylate)、キノメチオナート(chinomethionat)、ジコホル(dicofol)、GS-オメガ/カッパHXTY-Hvlaペプチド(GS-omega/kappaHXTY-Hvla peptide)、ピリダリル(pyridalyl)、デミジトラズ(demiditraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、フルヘキサフォン(fluhexafon)、エモデプシド(emodepside)、モネパンテル(monepantel)、フェンベンダゾール(fenbendazol)、フェバンテル(febantel)のようなベンズイミダゾール化合物;パモ酸ピランテル(pyrantel pamoate)、メタジアミド(meta-diamid)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、スピロテトラマト(spirotetramat)、レピメクチン(lepimectin)、メタフルミゾン(metaflumizone)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、トリアザメート(triazamate)、フロメトキン(flometoquin)、アフィドピロペン(afidopyropen)、フルララネル(fluralaner)、アフォキソラネル(afoxolaner)のようなイソキサゾリン化合物;トルトラズリル(toltrazuril)、スルファジメトキシン(sulfadimethoxine)のようなサルファ薬;クマテトラリル(coumatetralyl)のようなクマリン系化合物;N,N-ジエチル-m-トルアミド(DEET);有機金属系化合物;ジニトロ系化合物;有機硫黄化合物;尿素系化合物;トリアジン系化合物;ヒドラジン系化合物;フルピリミン(Flupyrimin);及びこれら化合物の酸付加塩(好ましくは動物薬上許容可能な酸付加塩)が挙げられ、これらのうちの1種を単独であっても2種以上の組み合わせであってもよい。
【0046】
本発明の好ましい態様によれば、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、ともに用いられる他の有害生物防除剤としては、前記一般式(10)で表される化合物のうち、次式(11):
【0047】
【化13】
【0048】
で表される化合物、次式(12):
【0049】
【化14】
【0050】
で表される化合物、次式(13):
【0051】
【化15】
【0052】
で表される化合物;及びカルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ペルメトリン(permethrin)、フルピリミン(flupyrimin)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポキスル(propoxur)、フェニトロチオン(fenitrothion)、トリクロルホン(trichlorfon)、フェノトリン(phenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、アバメクチン(abamectin)、並びに、これら化合物の酸付加塩(好ましくは農畜薬上許容可能な酸付加塩)からなる群から選択される。
【0053】
また、本発明は、本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物として、
下記一般式(10):
【0054】
【化16】
【0055】
[一般式(10)中、R11は炭素数1~4のアルキル基を表し、R12は炭素数1~4のアルキル基、又は炭素数1~4個のアルコキシ基を表す。]
で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種とを有効成分として含有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物も提供する。
【0056】
前記一般式(10)で表される化合物として、好ましくは、次式(11):
【0057】
【化17】
【0058】
で表される化合物、次式(12):
【0059】
【化18】
【0060】
で表される化合物、及び次式(13):
【0061】
【化19】
【0062】
で表される化合物からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0063】
前記一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、ともに用いられる他の有害生物防除剤は、特に限定されるものではないが、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、殺菌剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、共力剤などの薬剤が挙げられ、これらのうちの1種であっても2種以上の組み合わせであってもよい。かかる他の有害生物防除剤として、好ましくは、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤からなる群から選択される少なくとも1種である。
【0064】
前記一般式(10)で表される化合物(好ましくは前記式(11)、(12)、又は(13)で表される化合物)及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、ともに用いられる他の有害生物防除剤として、殺虫剤、駆虫剤、殺ダニ剤、殺鼠剤、及び殺菌剤の好ましい例としては、カルバリル(carbaryl)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、ペルメトリン(permethrin)、フルピリミン(flupyrimin)、フェノブカルブ(fenobucarb)、プロポキスル(propoxur)、フェニトロチオン(fenitrothion)、トリクロルホン(trichlorfon)、フェノトリン(phenothrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、テトラメスリン(フタルスリン)(tetramethrin)、アバメクチン(abamectin)、及びこれら化合物の酸付加塩(好ましくは農畜薬上許容可能な酸付加塩)からなる群から選択される。
【0065】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ物も提供する。
【0066】
さらに、本発明は、前記一般式(10)で表される化合物(好ましくは前記式(11)、(12)、又は(13)で表される化合物)及びその酸付加塩からなる群から選択される少なくとも1種と、他の有害生物防除剤からなる群から選択される少なくとも1種との組み合わせ物も提供する。
【0067】
これらの組み合わせ物は、混合することによって、本発明の防除用組成物の製造に用いることができ、また、各成分を同時又は別々に下記の適用対象に適用することによって、中気門亜目ダニ類の防除に用いることができる。これらの組み合わせ物における他の有害生物防除剤としては、その好ましい態様も含めて、上記の本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物において挙げたとおりである。
【0068】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物は、さらに、動物薬・中気門亜目ダニ類防除上許容可能な担体をさらに含有する。本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物は、前記担体として、製薬学的に許容される固体担体、液体担体又はガス状担体などの担体を用い、必要に応じて、界面活性剤、補助剤、動物用飼料添加物などを加えて製剤とし、使用することができる。
【0069】
前記製剤としては、油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤、粒剤、粉剤、エアゾール、加熱蒸散剤、煙霧剤、燻煙剤、毒餌、ベイト剤、懸垂剤、マイクロカプセル剤、ULV剤、スポットオン製剤やポアオン製剤などの皮膚上又は体腔中に用いる液剤、シャンプー製剤、シート製剤、樹脂製剤、ペレット、錠剤、大丸薬、カプセル剤、注射用液剤、経口用液剤、軟膏剤、ゲルなどの半固体調整物などの任意の剤形に調整でき、これらを適用可能な各種用途に使用することができる。製剤化は、常法により、公知の方法によって製造することができる。
【0070】
前記製剤の製造の際に用いられる前記固体担体としては、例えば、タルク、ベントナイト、クレー、カオリン、珪藻土、バーミキュラライト、ホワイトカーボン、炭酸カルシウム、炭酸塩、炭酸水素塩、リン酸塩、酸化アルミニウム、シリカ、粘土、糖、セルロース、粉砕された穀物、澱粉、化学肥料、結晶セルロース等の餌成分などがある。
【0071】
前記液体担体としては、例えば、メタノール、エタノール、n-ヘキサノール、エチレングリコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、シクロヘキサノン等のケトン類;n-ヘキサン、ケロシン、シクロヘキサン、灯油等の脂肪族炭化水素類;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン等の芳香族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル類;ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の酸アミド類;ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;大豆油、綿実油等の植物油類;ジメチルスルホキシド、水等が挙げられる。
【0072】
前記ガス状担体としては、例えば、ブタンガス、LPG(液化石油ガス)等の液化石油ガス;空気;窒素;炭酸ガス;イソペンタン;ジメチルエーテル;フルオロカーボンが挙げられる。
【0073】
また、前記界面活性剤としては、例えば、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、[モノ、ビス(塩化トリメチルアンモニウムメチレン)]-アルキルトルエン、塩化ベンザルコニウム、臭化ドミフェン、塩化ベンゼトニウムなどの陽イオン性界面活性剤;ポリオキシエチル化されたヒマシ油、ポリオキシエチル化されたソルビタンオレエート、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸ポリオキシエチル、アルキルフェノールポリグリコールエーテルなどの非イオン界面活性剤;N-ラウリルβ-イミノジプロピオン酸二ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ポリアルキルポリアミノエチルグリシン、レシチンなどの両性界面活性剤;フッ素系界面活性剤;オパノール、ジクロロイソシアヌル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体、アルキルアリールエーテル類及びそのポリオキシエチレン化物、アルキル硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩が挙げられる。
【0074】
前記補助剤としては、固着剤、分散剤、酸化防止剤、保存料、誤食防止剤、増粘剤、起泡剤、発泡剤、消泡剤、発泡剤分解促進剤、酸化剤、酸化剤分解促進剤、発熱調整剤、害虫誘因性香料及び安定化剤等、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリレート、アルギネート、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、メチルビニルエーテルなど合成水溶性高分子、無水マレイン酸の共重合体、ポリエチレングリコール、ワックス、コロイド状シリカ、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、酸性リン酸イソプロピル、BHT(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、BHA(2-tert-ブチル-4-メトキシフェノールと3-tert-ブチル-4-メトキシフェノールとの混合物)、アゾジカルボンアミド、p,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’-ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、ジブチルヒドロキシトルエン、ノルジヒドログアイアイアレチン酸、デヒドロ酢酸、酸化亜鉛、酸化カルシウム、トウガラシ粉末、植物油、鉱物油、脂肪酸及び脂肪酸エステル、チーズ香料等が挙げられる。
【0075】
上記の各担体、界面活性剤及び補助剤は、適宜組み合わせて使用してよい。
【0076】
本発明の中気門亜目ダニ類の防除方法、並びに、本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物及び組み合わせ物の使用方法としては、適用対象、例えば、中気門亜目ダニ類、及び/又は、中気門亜目ダニ類の生息場所(生育し得る場所も含む)に散布、燻煙等により施用する方法;中気門亜目ダニ類が寄生する昆虫及び/又は定温動物、又は寄生する可能性のある昆虫及び/又は定温動物に、経口投与;注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内)などの非経口投与;浸漬、スプレー、入浴、洗浄、滴下(pouring-on)及びスポティング(spotting-on)、並びに、ダスティング(dusting)などの経皮投与、経鼻投与により投与する方法;細片、プレート、バンド、カラー、耳標(ear mark)、リム(limb)・バンド、標識装置などを用いた成形製品により投与する方法等が挙げられる。投与に当たっては、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種、又は一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と、他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種とを組み合わせた有効成分の投与経路に適した任意の剤形とすることが出来る。
【0077】
本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物及び組み合わせ物において、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種(A1成分)と他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種(B1成分)との質量比(A1:B1)、及び、一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種(A2成分)と他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種(B2成分)との質量比(A2:B2)としては、それぞれ独立に、200:1~1:100であることが好ましく、200:1~1:25であることがより好ましく、5:1~1:10であることがさらに好ましい。
【0078】
本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物又は組み合わせ物の、中気門亜目ダニ類、中気門亜目ダニ類が寄生する昆虫若しくは定温動物、又は、中気門亜目ダニ類、中気門亜目ダニ類が寄生する昆虫若しくは定温動物の生息場所への施用量は、その使用環境に応じて適宜変更可能であるが、組成物中又は組み合わせ物中の有効成分、すなわち、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種とを組み合わせた有効成分、或いは、一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種と他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種とを組み合わせた有効成分の量として、平面に施用する場合には、1mあたり、通常、0.01~5000mgの範囲内であり、空間に施用する場合には、1mあたり、通常、0.1~1000mgの範囲内である。
【0079】
本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物又は組み合わせ物を定温動物に投与する場合、前記組成物中又は組み合わせ物中の有効成分の投与量は、通常、0.01~2000mgの範囲内であり、経口的に投与する場合には、動物の体重1kgあたり、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種の量、或いは、一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種の量として、通常、0.01~500mgの範囲内である。
【0080】
本発明の中気門亜目ダニ類防除用組成物及び組み合わせ物において、一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種(A1成分)、一般式(10)で表される化合物及びその酸付加塩のうちの少なくとも1種(A2成分)、及び他の有害生物防除剤のうちの少なくとも1種(B1成分又はB2成分)の含有量は、特に制限されず、それぞれ独立に、上記の使用方法、施用量及び投与量に応じて、適宜調整することができる。
【0081】
また、本発明の防除用組成物は、通常、中気門亜目ダニ類防除剤としてそのまま用いるか、或いは、水などの溶剤で希釈して用いることができる。
【0082】
本発明の防除用組成物又は組み合わせ物が防除効果を示す中気門亜目ダニ類としては、例えばワクモ(Dermanyssus gallinae)等のワクモ科のダニ類;トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)やネッタイトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)等のオオサシダニ科のダニ類;タンカンマヨイダニ(Blattisocius keegani)、フツウマヨイダニ(Blattisocius dentriticus)等のマヨイダニ科のダニ類;スズメサシダニ(Dermanyssus hirundinis)、イエダニ(Ornithonyssus bacoti)、ネズミトゲダニ(Laelaps echidninus)、イヌハイダニ(Pneumonyssus caninum)、ホクマントゲダニ(Laelaps jettmari)、サルハイダニ(Pneumonyssus simicola)等のハイダニ科のダニ類;ミツバチヘギイタダニ(Varroa destructor)等のトゲダニ科のダニ類が挙げられ、好ましくはワクモ(Dermanyssus gallinae)等のワクモ科のダニ類;トリサシダニ(Ornithonyssus sylviarum)やネッタイトリサシダニ(Ornithonyssus bursa)等のオオサシダニ科のダニ類である。
【0083】
本発明の防除用組成物又は組み合わせ物が防除効果を示す中気門亜目ダニ類が寄生したり吸血したりする昆虫や定温動物、又は本発明の防除用組成物や組み合わせ物の適用対象となる昆虫や定温動物としては、ヒト、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ラクダ、ロバ、イヌ、ネコ、ウサギ、サル、モルモット、ハムスターなどの哺乳動物;ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、シチメンチョウなどの鳥類;及びミツバチなど昆虫が挙げられ、好ましくは鳥類である。
【実施例
【0084】
以下に本発明の実施例を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0085】
以下に本発明の製剤例の代表的なものを示す。
【0086】
製剤例1.水和剤
本発明に係る化合物A(表1に記載の化合物A、以下同じ) 16%、ペルメトリン4%、クレー40%、珪藻土32%、ホワイトカーボン2%、ラウリル硫酸ナトリウム1%、リグニンスルホン酸カルシウム5%を均一に混合粉砕して、水和剤とした。
【0087】
製剤例2.フロアブル剤
本発明に係る化合物A 16%、ペルメトリン4%、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物4%、プロピレングリコール5%、キサンタンガム0.05%、シリコーン消泡剤0.05%、水70.9%を加え均一に混合粉砕して、フロアブル剤とした。
【0088】
製剤例3.フロアブル剤
本発明に係る化合物A 16%、ペルメトリン4%、ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテルサルフェート塩2%、プロピレングリコール5%、キサンタンガム0.2%、シリコーン消泡剤0.5%、リン酸3カルシウム0.5%、水71.8%を加え均一に混合粉砕して、フロアブル剤とした。
【0089】
製剤例4.粉剤
本発明に係る化合物A 1.6%、ペルメトリン0.4%、クレー60%、タルク37%、ステアリン酸カルシウム1%を均一に混合して、粉剤を得た。
【0090】
製剤例6.乳剤
本発明に係る化合物A 16%、ペルメトリン4%、N,N-ジメチルホルムアミド20%、キシレン50%、ポリオキシエテレンアルキルアリールエーテル10%を均一に混合して、溶解させ、乳剤を得た。
【0091】
製剤例7.液剤
本発明に係る化合物A 4%、ペルメトリン1%、ヘキシレングリコール50%、イソプロパノール45%を均一に混合して、経皮投与用液剤を得た。
【0092】
製剤例8.液剤
本発明に係る化合物A 1.6%、ペルメトリン0.4%、ジメチルスルホキシド10%、2-プロパノール35%、アセトン53%を均一に混合して、噴霧用液剤を得た。
【0093】
製剤例9.液剤
本発明に係る化合物A 1.6%、ペルメトリン0.4%、流動パラフィン98%を均一に混合して、(滴下)経皮投与用液剤を得た。
【0094】
製剤例10.エアゾール製剤
本発明に係る化合物A 0.08g、ペルメトリン0.02gをネオチオゾールF(中央化成(株);ケロシン(ノルマルパラフィン)120ml、エタンガス180mlに混合して、エアゾール製剤を得た。
【0095】
以下に本発明の防除用組成物(混合剤)を用いた場合(実施例)と各成分を単独(単剤)で用いた場合(比較例)との試験例を示す。
【0096】
試験例1:ワクモ(Dermanyssus gallinae)の防除効果1
パスツールピペットの先端をパラフィルムで封印し、ピペット上部から、所定濃度の、化合物A、若しくは下記の表2、4、6の左欄に記載の各殺虫剤(他の殺虫剤)(単剤)、又は、化合物Aと下記の表2、4、6の左欄に記載の各殺虫剤との混合物(混合剤)のメタノール溶液を流し込んだ。1分後に先端のパラフィルムを外して薬液を排出し、ピペットを風乾後、ピペット上端に脱脂綿を挿入し、ピペット内にワクモ(Dermanyssus gallinae)未吸血成ダニ20頭を放飼した。先端をヘマトシールで封印後、ピペットを暗黒下温度27~28℃・湿度50~60%のインキュベーターで保存した。処理72時間後に実体顕微鏡下でダニを観察し、生死及び苦悶を判定し、次式に従って死苦悶虫率(%)を算出した。結果を下記の表2、4、6にそれぞれ示す。
死苦悶虫率(%)={(死亡虫数+苦悶虫数)/(生存虫数+苦悶虫数+死亡虫数)}×100
また、以下に示すコルビーの式によって、相乗効果がない場合の理論値を算出した。その結果を下記の表3、5、7にそれぞれ示す。
コルビーの式:理論値(%)=100-(A×B)/100
(A:100-(化合物Aのみを適用した場合の死虫率);B:100-(他の殺虫剤のみを適用した場合の死虫率))
(相乗効果判定方法)
混合剤におけるワクモに対する死苦悶虫率がコルビーの式による理論値を超えた場合、相乗効果があると判定した。
【0097】
下記の表2~7に示すように、化合物Aと、他の殺虫剤のカルバリル、ベンダイオカルブ、ペルメトリン、フェノブカルブ、プロポキスル、フェニトロチオン、トリクロルホン、フェノトリン、デルタメトリン、テトラメトリン、アバメクチン、又はフルピリミンとの混合剤は、いずれも理論値を超えた死苦悶虫率を示しており、相乗効果があることが例証された。
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
試験例2:ワクモ(Dermanyssus gallinae)の防除効果2
パスツールピペットの先端をパラフィルムで封印し、ピペット上部から所定濃度の化合物A、若しくは他の殺虫剤(式(11)で表される化合物、式(12)で表される化合物、式(13)で表される化合物)(単剤)、又は、化合物Aと前記他の殺虫剤との混合物(混合剤)のメタノール溶液を流し込んだ。1分後に先端のパラフィルムを外して薬液を排出し、ピペットを風乾後、ピペット上端に脱脂綿を挿入し、ピペット内にワクモ(Dermanyssus gallinae)未吸血成ダニ20頭を放飼した。先端をヘマトシールで封印後、ピペットを暗黒下温度27~28℃・湿度50~60%のインキュベーターで保存した。処理3時間後に実体顕微鏡下でダニを観察し、生死及び苦悶を判定し、次式に従って死苦悶虫率(%)を算出した。結果を下記の表8にそれぞれ示す。
死苦悶虫率(%)={(死亡虫数+苦悶虫数)/(生存虫数+苦悶虫数+死亡虫数)}×100
また、以下に示すコルビーの式によって、相乗効果がない場合の理論値を算出した。その結果を下記の表9にそれぞれ示す。
コルビーの式:理論値(%)=100-(A×B)/100
(A:100-(化合物Aのみを適用した場合の死虫率);B:100-(他の殺虫剤のみを適用した場合の死虫率))
(相乗効果判定方法)
混合剤におけるワクモに対する死苦悶虫率がコルビーの式による理論値を超えた場合、相乗効果があると判定した。
【0105】
下記の表8~9に示すように、化合物Aと、式(11)で表される化合物、式(12)で表される化合物、又は式(13)で表される化合物との混合剤は、いずれも理論値を超えた死苦悶虫率を示しており、相乗効果があることが例証された。
【0106】
【表8】
【0107】
【表9】
【0108】
試験例3:ワクモ(Dermanyssus gallinae)の防除効果3
パスツールピペットの先端をパラフィルムで封印し、ピペット上部から、所定濃度の、式(11)で表される化合物、式(12)で表される化合物、若しくはフルピリミン(単剤)、又は、式(11)で表される化合物、若しくは式(12)で表される化合物とフルピリミンとの混合物(混合剤)のメタノール溶液を流し込んだ。1分後に先端のパラフィルムを外して薬液を排出し、ピペットを風乾後、ピペット上端に脱脂綿を挿入し、ピペット内にワクモ(Dermanyssus gallinae)未吸血成ダニ20頭を放飼した。先端をヘマトシールで封印後、ピペットを暗黒下温度27~28℃・湿度50~60%のインキュベーターで保存した。処理3時間後に実体顕微鏡下でダニを観察し、生死及び苦悶を判定し、次式に従って死苦悶虫率(%)を算出した。結果を下記の表10にそれぞれ示す。
死苦悶虫率(%)={(死亡虫数+苦悶虫数)/(生存虫数+苦悶虫数+死亡虫数)}×100
また、以下に示すコルビーの式によって、相乗効果がない場合の理論値を算出した。その結果を下記の表11にそれぞれ示す。
コルビーの式:理論値(%)=100-(A×B)/100
(A:100-(式(11)で表される化合物又は式(12)で表される化合物のみを適用した場合の死虫率);B:100-(フルピリミンのみを適用した場合の死虫率))
(相乗効果判定方法)
混合剤におけるワクモに対する死苦悶虫率がコルビーの式による理論値を超えた場合、相乗効果があると判定した。
【0109】
下記の表10~11に示すように、式(11)で表される化合物又は式(12)で表される化合物と、フルピリミンとの混合剤は、いずれも理論値を超えた死苦悶虫率を示しており、相乗効果があることが例証された。
【0110】
【表10】
【0111】
【表11】
【産業上の利用可能性】
【0112】
以上説明したように、本発明によれば、定温動物や昆虫に寄生したり吸血したりして被害を与える中気門亜目ダニ類に対して優れた防除効果を有する、中気門亜目ダニ類防除用組成物及び中気門亜目ダニ類防除のための組み合わせ物、並びに、これらを用いる中気門亜目ダニ類の防除方法を提供することが可能となる。