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特許7389759アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
A24B3/14
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020568443
(86)(22)【出願日】2019-06-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 EP2019067489
(87)【国際公開番号】W WO2020002686
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】18181031.8
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】カポ シルヴィア
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特公昭43-028080(JP,B1)
【文献】特公昭39-008800(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するためのキャスティング装置であって、
アルカロイドを含有する前記材料のスラリーを収容するように適合されたキャスティングボックスであって、前記キャスティングボックスが開口部を有する、キャスティングボックスと、
移動可能な支持体と、
前記キャストシートを形成するために、少なくとも部分的に前記キャスティングボックス内に位置付けられ、前記キャスティングボックス内に収容された前記スラリーを前記移動可能な支持体の上へとキャストするように適合されたキャスティングローラーと、を備え、
前記キャスティングローラーが、それらの間に間隙を形成する前記移動可能な支持体と面し、かつ前記移動可能な支持体が少なくとも部分的に前記キャスティングローラーの上方に位置し、
前記キャスティング装置が、前記キャスティングボックス内に位置し、前記キャスティングボックスから前記キャスティングローラーにスラリーを移送するよう適合された移送ローラーを更に含む、キャスティング装置。
【請求項2】
前記キャスティングローラーおよび前記移送ローラーが、第一の回転軸および第二の回転軸を画定し、前記第一の回転軸および前記第二の回転軸が相互に平行である、請求項に記載のキャスティング装置。
【請求項3】
前記キャスティングボックスが、側壁および前記スラリーのための入口を含み、前記スラリーのための前記入口が前記側壁のうちの一つにおいて形成される、請求項1又は2に記載のキャスティング装置。
【請求項4】
前記入口が、前記キャスティングローラーの第一の回転軸の高さより垂直方向に下方に位置付けられる、請求項に記載のキャスティング装置。
【請求項5】
前記移動可能な支持体が、ドラムおよびベルトを含み、前記ドラムが、前記キャスティングローラーの第一の回転軸に平行な第三の回転軸を画定する、請求項1~いずれかに記載のキャスティング装置。
【請求項6】
前記第一の回転軸と前記第二の回転軸との間の距離が、約320ミリメートル~約1100ミリメートルから成る、請求項に記載のキャスティング装置。
【請求項7】
前記キャスティングローラーと前記移動可能な支持体との間に存在する前記間隙が、約0.01ミリメートル~約5ミリメートルから成る、請求項1~のいずれかに記載のキャスティング装置。
【請求項8】
アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するための方法であって、
開口部を有するキャスティングボックスを提供することと、
前記キャスティングボックス内に少なくとも部分的に位置付けられたキャスティングローラーを提供することと、
前記キャスティングローラーに面する移動可能な支持体を提供することと、
スラリーを前記キャスティングボックス内でスラリーレベルまで導入することであって、前記キャスティングローラーの一部分が前記スラリーレベルの上方に位置するスラリーを導入することと、
前記スラリーが前記移動可能な支持体上にキャスティングされるように、前記キャスティングローラーを回転させることと、
前記キャスティングボックスの内側に移送ローラーを提供することと、
前記移送ローラーを回転させて、前記キャスティングボックス内の前記スラリーを混合することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記移送ローラーを回転させて、前記スラリーを前記キャスティングボックスから前記キャスティングローラーへと移送することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
約5メートル/分~約50メートル/分から成る速度で前記移動可能な支持体を移動させることを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
スラリーを前記キャスティングボックス内でスラリーレベルまで導入することが、
前記スラリーを前記キャスティングボックス内で供給方向に沿って導入することであって、前記供給方向が水平面と約-45度~約+45度から成る角度を形成することを含む、請求項10いずれかに記載の方法。
【請求項12】
アルカロイドを含有する材料の前記キャストシートが均質化したたばこシートを含む、請求項11いずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記キャスティングローラーに面する移動可能な支持体を提供することが、
少なくとも部分的に前記キャスティングローラーの上方に位置付けられた移動可能な支持体を提供すること、を含む、請求項12いずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、アルカロイドを含有する材料は均質化したたばこ材料であり、例えば、紙巻たばこ、または「加熱非燃焼式」タイプのたばこ含有製品などのエアロゾル発生物品で使用されることが好ましい。
【0003】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中に、たばこ葉の取り扱い中に副産物として作り出される。
【0004】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである(TCLはたばこキャストリーフの頭字語である)。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してたばこスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えば、いわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上へとキャストすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。均質化したたばこウェブは調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するために、カットされていないそのままの葉たばこと類似した様式で切断されてもよい。こうした均質化したたばこを作製するプロセスは、例えば欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0005】
「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品では、エアロゾル形成基体は、エアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼を防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは典型的に唯一のたばこであるか、またはこのような「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこの大半を含む。これは、こうした「加熱非燃焼式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。従って、例えば、エアロゾルの味わいの制御のためには、均質化したたばこ材料の組成にわたる良好な制御を有することが重要である。
【0006】
例えば、スラリーの濃度、粘度、繊維のサイズ、粒子サイズ、水分、または経時などのスラリーの物理的特性の変化に起因して、均質化したたばこのウェブのキャスティング中に、標準的なキャスティング方法およびキャスティング装置が、支持体の上へとスラリーの適用に意図しない変化をもたらす場合がある。最適ではないキャスティング方法およびキャスティング装置は、均質化したたばこのキャストウェブの不均質性および欠陥につながる場合がある。
【0007】
均質化したたばこウェブの不均質性は、エアロゾル発生物品の製造において、均質化したたばこウェブのその後の取扱いの困難につながる場合がある。例えば、不均質性は、ウェブの製造またはさらなる処理中の、ウェブの引き裂きまたはウェブの破壊にさえもつながる場合がある。結果としてこれは、例えば機械の停止をもたらす可能性がある。加えて、不均質なたばこウェブは、エアロゾル送達において、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しない差異を作り出す場合がある。
【0008】
上述の問題を克服するか、または少なくとも大幅に減少させるように適合されたアルカロイドを含有する材料のキャストウェブを製造するためのキャスティング装置および方法に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するためのキャスティング装置に関し、キャスティング装置は、アルカロイドを含有する材料のスラリーを収容するように適合されたキャスティングボックスであって、開口部を有するキャスティングボックスと、移動可能な支持体と、少なくとも部分的にキャスティングボックス内に位置付けられ、キャストシートを形成するためにキャスティングボックス内に収容されたスラリーを移動可能な支持体の上へとキャストするように適合されたキャスティングローラーと、を備え、前記キャスティングローラーは、それらの間に間隙を形成する移動可能な支持体に面し、かつ移動可能な支持体は、少なくとも部分的にキャスティングローラーの上方に位置する。
【0010】
回転するローラーは、移動可能な支持体上にキャストされるキャストシートの厚さに対する良好な制御を提供する。こうした厚さの変動は、例えば、移動可能な支持体とキャスティングローラーとの間に形成された間隙の幅を修正して、簡単に得られる。
【0011】
さらに、アルカロイドを含有する材料のシートを移動可能な支持体の上へとキャストするために回転するキャスティングボックス内のローラーの存在は、キャスティングボックス内に収容されたスラリーに対する混合作用を作り出す場合がある。混合は、均質なスラリーの形成、そして結果として、わずかな欠陥しか有しないキャストシートの形成を可能にする場合がある。
【0012】
本明細書で使用される場合、「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。シートの幅は、約10ミリメートルより大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルより大きいことがより好ましい。シートの幅は、約100ミリメートル~約300ミリメートルから成ることがなおより好ましい。連続的な「シート」は、本明細書では「ウェブ」と呼ばれる。
【0013】
本明細書で使用される場合、「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向に移動することができる表面を含む任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向で途切れることのない搬送能力を提供するように、閉ループを形成してもよい。しかしながら、移動可能な支持体は前後移動のやり方でも同様に移動してもよい。移動可能な支持体は、コンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよく、また構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、その表面に開口部を示さない場合があり、またはその上に払い出されたスラリーが貫通することができないようなサイズのオリフィスのみを示す場合がある。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができる帯を含んでもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、および銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴム材料で作製されてもよい。帯は、加熱してスラリーの乾燥プロセスを加速することができるように、耐温度性材料で作製されてもよい。
【0014】
本明細書で使用される場合、「スラリー」という用語は、異なる液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料の乳濁液であって、ある特定の量の固体状態の粒子を含有してもよく、但しスラリーが依然として液体様の、粘性のある、またはペースト状の挙動を示す、乳濁液を含んでもよい、液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料を意味する。
【0015】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えば、たばこの中に見いだされる場合がある。
【0016】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、および窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、およびより稀には塩素、臭素、リンなどのその他の元素も含有する場合がある。
【0017】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、および動物を含む多種多様な生物体によって生成される。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンがアルカロイドの例である。
【0018】
本明細書で使用される場合、「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を意味する。それ故に、アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料とすることができる。
【0019】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルトの上にキャストすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ含水量が高いスラリーを、製紙と似たプロセスで使用することができる。
【0020】
均質化したたばこシート材料は、再構成シート材料と呼ぶこともでき、またたばこ組成物を形成するために、粒子状たばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成することができる。このたばこ組成物はその後、たばこ組成物からシート材料を形成するために、キャストされ、押出成形され、圧延され、またはプレスされてもよい。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動ベルトの上へとキャスティングされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0021】
均質化したたばこシートは、一般的にたばこに加えて、結合剤およびエアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含む。
【0022】
本明細書で使用される場合、「エアロゾル形成材料」という用語は、加熱に伴い揮発性化合物を放出してエアロゾルを発生する能力を有する材料を意味する。たばこは、その他の化合物と一緒に、エアロゾル形成材料として、特にエアロゾル形成体を含む均質化したたばこのシートとして分類されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル形成材料を含んでもよく、またはエアロゾル形成材料から成ってもよい。均質化したたばこシートはエアロゾル形成材料として使用することができる。
【0023】
スラリーは、数多くの異なる構成成分または成分を含んでもよい。これらの構成成分は、アルカロイドを含有する材料のキャストウェブの特性に影響を及ぼす場合がある。第一の成分は、例えば、粉末形態でアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えば、たばこ粉末ブレンドとすることができ、これはスラリー内に存在するたばこの大部分を含有することが好ましい。たばこ粉末ブレンドは均質化したたばこ材料中のたばこの大部分の供与源であり、それ故に、例えば、均質化したたばこ材料を加熱することによって発生するエアロゾルなどの最終生成物に風味を与えるものである。アルカロイド材料ウェブの引張強さを増加するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプがスラリーに添加されることが好ましい。結合剤を添加してもよい。エアロゾル形成体を添加してもよい。均質化したシートの引張特性を強化するため、およびエアロゾルの形成を促進するために、結合剤およびエアロゾル形成体が添加されることが好ましい。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするために最適なある特定の粘度および水分に達するために、スラリーに水が添加されてもよい。
【0024】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥質量で約1パーセント~約5パーセントから成ってもよい。結合剤の量は、約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、たばこ粉末が均質化したたばこウェブを通して実質的に分散されたままになることを確実にする場合がある。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0025】
スラリーの中へのセルロース繊維の導入は典型的に、たばこ材料ウェブの引張強さを増加し、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することは、均質化したたばこ材料ウェブの弾力性を増加させる場合がある。均質化したたばこ材料のスラリー中に含むためのセルロース繊維は当業界で公知であり、また針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。さらに、セルロース繊維の量は、スラリー(または均質化したたばこシート)の総重量の乾燥質量基準で約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0026】
均質化したたばこ材料用のスラリー中に含むために適切なエアロゾル形成体は当業界で公知であり、これには一価アルコール(メントールのような)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、またはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0028】
スラリーは、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。スラリーは、乾燥質量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥質量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥質量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0029】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0030】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0031】
アルカロイド含有材料は、たばこであることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0032】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0033】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0034】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、好ましくは約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0035】
本発明の装置は、スラリーを収容するためのキャスティングボックスと、スラリーがキャストされる移動可能な支持体とを含む。
【0036】
スラリーは、異なる場所からキャスティングボックスに到達してもよい。従って、キャスティングボックスは、スラリーが形成される場所ではなくてもよい。例えば、スラリーは、サイロまたはタンク内で作り出され、そこから適切な配管を経由してキャスティングボックスへと移送されてもよい。スラリーはキャスティングボックスに連続的に供給され、一方でスラリーは移動可能な支持体の上へとキャストされて、アルカロイドを含有する材料の連続ウェブを形成することが好ましい。それ故に、サイロおよびキャスティングボックスは、スラリーが一方からもう一方へと流れることを可能にするために流体接続されることが好ましい。
【0037】
キャスティングボックスは、スラリーを収容するための容器を形成するためにボックス形状であることが好ましい。キャスティングボックスは、壁を含むことが好ましい。結果として壁は側壁を含むことが好ましく、第一の側壁、第二の側壁、第三の側壁、および第四の側壁を含むことがより好ましい。有利なことに、第一の側壁および第二の側壁が相互に面しているだけでなく、第三の側壁および第四の側壁も相互に面している。側壁は、実質的に垂直であるか、または垂直平面に対して傾斜している。キャスティングボックスは、上側で開放することができ、またはリッドもしくは上部壁を含んでもよい。加えて、キャスティングボックスは底部壁を含んでもよい。
【0038】
キャスティングボックスの壁は、キャスティングボックス自体の内部体積を画定し、すなわち、壁はキャスティングボックスの内部体積を区切る。
【0039】
キャスティングボックスは、ボックスが完全な密封容器にならないように、壁のうちの一つに開口部をさらに含む。それ故に、キャスティングボックスの内部体積は、外側と接触する。開口部の存在に起因して、開口部によって画定される区域が閉じられている「理論上の」ボックスの体積が、キャスティングボックスの内部体積として考慮される。ボックスの内部体積と外側との間の境界線は、従って、壁によって閉じられている開口部を考慮して作製されることが好ましい。開口部は、二つ以上の壁に形成されてもよい(例えば、ボックスの角部に形成された開口部である角部の開口部)。さらに、二つ以上の単一の開口部が存在してもよい。
【0040】
キャスティングボックス内側にキャスティングローラーが位置付けられる。キャスティングボックスの内側へのキャスティングローラーの据え付けは、ローラーが、回転軸(以下では、第一の回転軸と呼ばれる)の周りを回転することができるようなものである。キャスティングローラーは、対向する長軸方向の第一の端および第二の端を画定し、そして対向する長軸方向の両端は、キャスティングボックスの対向する側壁に取り付けられ、例えば、一方の端は第一の側壁に取り付けられ、反対側の端は第二の側壁に取り付けられることが好ましい。
【0041】
キャスティングローラーは、実質的に円筒状であることが好ましい。キャスティングローラーは、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属で作製されてもよい。あるいは、プラスチック材料またはゴムを含んでもよい。キャスティングローラーは、長軸方向寸法に対応する主要な寸法を有することが好ましく、これは、結果として円筒の軸の方向に対応することが好ましい。
【0042】
キャスティングローラーは、モーターによって第一の回転軸と呼ばれるその回転軸の周りを回転されることが好ましい。キャスティングローラーの長軸方向はまた、第一の回転軸とも平行であるか、または一致することが好ましい。それ故に、有利なことにキャスティングローラーは回転するように駆動され、そしてその回転速度を調整することができる。
【0043】
第一の回転軸は、実質的に水平であり、すなわち水平面の一部であることが好ましい。さらに、第一の回転軸とキャスティングボックスの底部壁との間の距離は、キャスティングローラーの長軸方向の長さに沿って一定であることが好ましい。キャスティングローラーの長軸方向の長さは、対向するその第一の長軸方向の端と第二の長軸方向の端との間のローラーの長さである。
【0044】
さらに、キャスティングローラーがキャスティングボックス内に据え付けられる高さは、キャスティングローラーの少なくとも一部がスラリーと接触するような高さであることが好ましい。キャスティングローラーは、キャスティングローラーの回転によって、キャスティングローラーの外表面がスラリーの層によって覆われるように、スラリーの中に部分的に浸漬されることが好ましい。キャスティングローラーが据え付けられる高さは、垂直なZ軸に沿った第一の回転軸と基準水平面との間の距離として定義される。距離がキャスティングローラーの長さに沿って一定ではない場合、距離の平均が高さとして取られる。しかしながら、スラリーは、他の要素、こうした追加的なローラーからキャスティングローラーに移送することができるため、キャスティングボックスの内側に存在するスラリーとキャスティングローラーが接触することは必ずしも必要ではない。従って、「キャスティングローラーがキャスティングボックス内に収容されたスラリーをキャストするのに適している」という語句は、キャスティングローラーは、キャスティングボックス内のある特定の瞬間に存在するスラリーをキャストするが、しかしスラリーは、キャスティングボックスからキャスティングローラーによって直接取られてキャストされる必要はなく、スラリーは、追加的な要素によってキャスティングボックスからキャスティングローラーへと移送することができることを意味する。
【0045】
キャスティングローラーおよび移動可能な支持体の相対的な据え付けは、両者が相互に面するようなものである。間隙は、キャスティングローラーと移動可能な支持体との間に形成されることが好ましい。この間隙は、スラリーの層の厚さと実質的に等しいことが好ましい。
【0046】
さらに、移動可能な支持体は、少なくとも部分的にキャスティングローラーの上方に位置することが好ましい。「少なくともある程度上方に位置する」という語句は、「少なくとも部分的に上方に位置する」の同義語であり、かつその第一の回転軸の場所によって定義されるような、キャスティングローラーの垂直軸(縦座標)に沿った座標と、移動可能な支持体の上へとスラリーがキャストされる線の場所の同一の垂直軸に沿った座標(縦座標)、すなわち、スラリーと移動可能な支持体との接触線とが、二つの異なる高さにあり、かつ接触線の高さが、キャスティングローラーの第一の回転軸の高さより高いことを意味する。それ故に、Zが、垂直軸に沿ったキャスティングローラーの第一の回転軸の座標であり、Z接触が、キャスティングローラー上のスラリーと、同一の垂直軸に沿った移動可能な支持体との間の接触線の座標である場合、両方の座標が正である(座標が正でない場合、座標が正であり、かつより高い高さに向かって増加するように、基準系を選択することができる)と仮定すると、Z接触>Zである。上記において、第一の回転軸の座標Zは、その延長に沿って一定のままになると考えられる。これが当てはまらない場合、すなわち、第一の回転軸が水平でない場合、Zは、第一の回転軸のその延長に沿ったすべての点iのすべてのZ軸、iの平均である。同様に、接触線の座標Z接触は、その延長に沿って一定のままであると考えられてきた。これが当てはまらない場合、すなわち、接触線が水平でない場合、Z接触は、接触線のその延長に沿ったすべての点iのすべてのZ接触、iの平均である。
【0047】
ある構成では、「部分的に上方に位置する」とは、上面図では、移動可能な支持体とキャスティングローラーとが少なくとも部分的に重なることを意味する場合がある。
【0048】
この構成の利点は、スラリーの適用がより均一である場合があることである。スラリーは移動可能な支持体上に「落下」しないが、制御された様式で移動可能な支持体上に適用される。
【0049】
有利なことに、キャスティングローラーが回転へと駆動されるとき、スラリー層は、その「粘着性」の特性に起因して、キャスティングローラーの外表面に自ら付着する。キャスティングローラーと移動可能な支持体との間に存在する間隙が、好ましくは層の厚さより小さい、または層の厚さと等しいという事実に起因して、スラリーの層は、接触によって移動可能な支持体へと自動的に移送される。このようにして、アルカロイドを含有する材料のウェブがキャストされる。
【0050】
キャスティングローラーの接線方向速度は、移動可能な支持体の接線方向速度と類似または同一であることが好ましい。従って、キャスティングローラーと移動可能な支持体との間に画定される間隙における二つの接線方向速度の間の比は、約0.9~約1.1から成ることが好ましく、約1であることがより好ましい。
【0051】
間隙の幅は、とりわけ、スラリーの粘度などのパラメータに依存する。間隙の幅は、移動可能な支持体またはキャスティングローラーの位置を変更して簡単に制御または修正することができ、従って、キャストウェブの厚さに対する簡単な制御が得られる。
【0052】
間隙は幅が均一であることが好ましく、すなわち、間隙の幅はキャスティングローラーのすべての長軸方向の延長に対して一定のままである。
【0053】
間隙は、キャスティングローラーと移動可能な支持体との間の最小距離と等しいことが好ましい。
【0054】
移動可能な支持体は、例えば、移動可能なベルトであってもよい。移動可能な支持体は、キャスティングボックス内に形成された開口部に面して、または開口部に隣接して位置付けられることが好ましい。移動可能な支持体が作製される材料は、キャストされるときにスラリーがその上に接着することを回避または最少化するのに適切であることが好ましい。
【0055】
移動可能な支持体は、キャスティングボックスの外側に少なくとも部分的に位置付けられ、キャストシートをキャスティングボックスから離れるように搬送する。移動可能な支持体はすべて、キャスティングボックスの外側に位置することがより好ましい。間隙はまた、キャスティングボックスの外側にも位置することが好ましい。キャスティングローラーおよび移動可能な支持体は、開口部があるところで相互に面しており、これはキャスティングボックスの内部体積が外側と接触することができる場所である。
【0056】
スラリーをキャスティングボックスから移動可能な支持体へと移送するための回転運動において、キャスティングローラーはまた、スラリーを混合する。「スラリーの波」および回転によって引き起こされる攪拌は、キャスティングボックスの内側でスラリーを混合するのに役立つ場合がある。
【0057】
キャスティングローラーによって引き起こされる混合は、キャスティングボックス内に存在する唯一の混合である場合があり、または混合のための他の要素(攪拌器、フィンまたは類似のものなど)が、キャスティングボックスの内側に存在してもよい。
【0058】
混合は、スラリーを形成する成分およびスラリーのパラメータ(例えば、温度、粘度、およびその他など)がキャスティングボックスの内側で均等に分布しうるように、キャスティングボックスの内側のスラリーを均質化するのに役立つ。スラリーは非常に高密度で、粘性が高い場合があり、非ニュートン流体と見なすことができる。スラリー内の不均質性は、しばしば局所にとどまり、不均質性が「伝播」するのは困難が伴う。スラリーにおける不均質性は、キャストシートにおける不均質性に変わり、最終製品の非再現性を引き起こす。従って、スラリー混合の改善は、最終製品の特性にとって有益である場合がある。
【0059】
さらに、キャスティングローラーの混合とキャスティングの二つの機能を同時に実行するために、単一の要素のみが必要である。追加的な構成要素は必要ない。
【0060】
キャスティングローラーは、キャスティングボックス内に収容された第一の部分と、開口部から突出する第二の部分とを有することが好ましい。有利なことに、キャスティングローラーがキャスティングボックス内に据え付けられると、キャスティングローラーは、キャスティングボックス内に位置する第一の部分、すなわち、キャスティングボックスの内部体積内に位置する第一の部分を有し、一方で、第二の部分は外側に位置する。キャスティングボックスの内部体積の外側に位置するために、キャスティングローラーの第二の部分は、開口部から突出する。開口部のサイズは、キャスティングローラーの第二の部分が開口部から突出することができるように十分幅広いことが好ましい。
【0061】
キャスティングボックス内の開口部は、キャスティングボックスの上方部分に位置することが好ましい。キャスティングボックスは、Z方向に沿った所与の高さを有する。キャスティングボックスの「上方部分」は、キャスティングボックスの高さの中央値を通過して水平面の上方に位置するキャスティングボックスの部分である。キャスティングボックス内のある高さ以上を定義することができる場合、中央値を取る前に、すべての高さの平均が考慮される。
【0062】
装置は、キャスティングボックスからキャスティングローラーにスラリーを移送するのに適しているキャスティングボックス内に位置する移送ローラーを含むことが好ましい。第二のローラーは、有利なことにキャスティングボックス内に、すなわちキャスティングボックスの内部体積内に位置付けられる。移送ローラーは、キャスティングローラーと同一のやり方でキャスティングボックスに接続されうることが好ましい。例えば、移送ローラーは、対向する長軸方向の第一の端および第二の端を画定してもよく、対向する端は、キャスティングボックスの対向する側壁、例えば、キャスティングローラーが取り付けられているのと同一の対向する壁に取り付けられる。
【0063】
キャスティングボックスの内側への移送ローラーの据え付けは、ローラーが、回転軸(以下では、第二の回転軸と呼ばれる)の周りを回転することができるようなものである。移送ローラーは、実質的に円筒状であることが好ましく、かつ第二の回転軸は、円筒の長軸方向軸に対応する。
【0064】
第二の間隙は、キャスティングローラーと移送ローラーとの間に形成されることが好ましい。第二の間隙は、キャスティングローラーと移送ローラーとの間の最小距離と等しいことが好ましい。第二の間隙の幅は、キャスティングローラーおよび移送ローラーの長軸方向の延長に沿って一定であることが好ましい。
【0065】
移送ローラーもまた、モーターによって回転して駆動されることが好ましい。キャスティングローラーの接線方向速度は、移送ローラーの接線方向速度と類似または同一であることが好ましい。従って、キャスティングローラーと移送ローラーとの間に画定される第二の間隙における二つの接線方向速度の間の比は、約0.9~約1.1から成ることが好ましく、約1であることがより好ましい。
【0066】
移送ローラーの直径は、キャスティングローラーの直径より大きいことが好ましい。この構成では、移送ローラーは、回転する間に大量のスラリーを「移動」させ、スラリーの混合を増加させる。
【0067】
別の方法として、移送ローラーの直径は、キャスティングローラーの直径より小さい。この構成では、実質的に類似した接線方向速度を達成するために、より小さい移送ローラーは、キャスティングローラーより高い角速度を有することが好ましい。高速の移送ローラーは、改善された混合のために「スラリーの波」を作り出す場合がある。
【0068】
移送ローラーは、スラリーをキャスティングボックスからキャスティングローラーへと移送することが好ましい。移送ローラーは、スラリー内に少なくとも部分的に浸漬されることが好ましい。移送ローラーは、スラリーによって完全に浸漬されることがより好ましい。この二つのローラーを有するこの構成では、キャスティングボックス内のスラリーによってキャスティングローラーが浸漬される必要はなく、移送ローラーは、キャスティングローラーの表面上にスラリーを移送する。従って、キャスティングローラーは、キャスティングボックス内でスラリーレベルの完全に上方に位置してもよい。
【0069】
キャスティングローラーの総体積に対するスラリーによって浸漬されるキャスティングローラーの体積の比は、移送ローラーが検討されるときと同じ比よりも小さいことが好ましい。スラリーは、移送ローラーをキャスティングローラーより多く覆うことが好ましい。第一の回転軸の高さは、第二の回転軸の高さより高いことが好ましい。それ故に、Zが、垂直軸に沿ったキャスティングローラーの第一の回転軸の座標であり、Z軸2が、同じ垂直軸に沿った移送ローラーの第二の回転軸の座標である場合、両方の座標が正である(座標が正でない場合、座標が正であり、かつより高い高さに向かって増加するように、基準系を選択することができる)と仮定すると、Z>Z軸2である。上記では、第一の回転軸および第二の回転軸の座標は、その延長に沿って一定のままであると考えられてきた。これが当てはまらない場合、すなわち、第一の回転軸が水平でない場合、Zは、第一の回転軸のその延長に沿ったすべての点iのすべてのZ軸、iの平均である。同じように、第二の回転軸の座標は、その延長に沿って一定のままであると考えられてきた。これが当てはまらない場合、すなわち、第二の回転軸が水平でない場合、Z軸2は、その延長に沿った第二の回転軸のすべての点iのすべてのZ軸2、iの平均である。
【0070】
スラリーをキャスティングボックスからキャスティングローラーへと移送するための回転運動を実行することによって、移送ローラーはまた、スラリーを混合する。従って、キャスティングボックス内には少なくとも二重の混合があり、キャスティングローラーがその表面からスラリーを移動可能な支持体へとスラリーを移送することによってその一つが実行され、次いでスラリーをその表面からキャスティングローラーへと移送する移送ローラーによってもまた一つが実行されることが好ましい。移送ローラーの混合は、移送ローラーはキャスティングローラーより多くのスラリーと接触することが好ましく、そのためより大きいスラリーの体積に動作を付与することができるので、キャスティングローラーの混合よりもさらに効果的とすることができる。
【0071】
さらに、二つのローラー(移送ローラーおよびキャスティングローラー)の存在は、キャストウェブの厚さの制御を改善する場合がある。この実施例におけるスラリーは、二つの間隙を通過する必要があり、その幅を、容易かつ正確に選択することができる。従って、移動可能な支持体上にキャストされたスラリーは、制御されたサイズを有する。
【0072】
キャスティングローラーおよび移送ローラーは、第一の回転軸および第二の回転軸を画定し、第一の回転軸および第二の回転軸は相互に平行であることが好ましい。第一および第二の回転軸は、キャスティングローラーと移送ローラーとの間の距離が、それらの長軸方向の延長に沿って一定に留まり、スラリーの実質的に均一な層を形成するように平行であることが好ましい。
【0073】
キャスティングボックスは、側壁と、スラリー用の入口とを含み、スラリー用の入口は、側壁のうちの一つの中に形成されることが好ましい。例えば、上方からのスラリーの挿入の代わりの、側壁のうちの一つからのスラリーの挿入は、スラリー自体の内側での気泡の形成を最少化または制限するため、スラリーの均質性をさらに改善する場合がある。入口を介してキャスティングボックス内に追加的なスラリーを挿入することは、キャスティングボックス内の所与のスラリーのレベルより下方で実行されることが好ましい。キャスティングボックス内のスラリーの所与のレベルは、特定の高さまたは特定の高さの範囲内において実質的に一定に保持されることが好ましい。従って、有利なことに、キャスティング中に、適切な配管を介してキャスティングボックスの中へと引き寄せられる新しいスラリーの連続的な流れがある。スラリーがキャスティングボックスの上へと落下するようなやり方で追加される場合、空気を通して落下するスラリーは気泡を組み込む場合があり、これはキャストウェブ内に欠陥を引き起こす場合がある。入口が、所与のスラリーレベルを下回る側壁内に位置付けられると、気泡を形成するのが困難となる。
【0074】
入口は、垂直方向でキャスティングローラーの第一の回転軸の高さの下方に位置付けられることが好ましい。入口の高さは、第一の回転軸の高さより低いことが好ましい。従って、Zが、垂直軸に沿ったキャスティングローラーの第一の回転軸の座標であり、Z入口が、同一の垂直軸に沿った入口の座標である場合、両方の座標が正である(座標が正でない場合、これらが正であり、かつより高い高さに向かって増加するように、基準系を選択することができる)と仮定すると、Z>Z入口である。上記では、第一の回転軸および入口の座標は、その延長に沿って一定のままであると考えられてきた。これが当てはまらない場合、すなわち、第一の回転軸が水平でない場合、Zは、第一の回転軸のその延長に沿ったすべての点iのすべてのZ軸、iの平均である。同じように、入口の座標は、その延長に沿って一定のままであると考えられてきた。これが当てはまらない場合、すなわち、入口が水平でない場合、Z入口は、入口のその延長に沿ったすべての点iのすべてのZ入口、iの平均である。
【0075】
入口は、キャスティングボックス内のスラリーレベルの下方に位置することが好ましいので、かなり「低い」高さに位置付けられることが好ましい。入口は、垂直方向で移送ローラーの第一の回転軸の高さおよび第二の回転軸の高さの下方に位置付けられることがより好ましい。移送ローラーの第二の回転軸の高さは、第一の回転軸の高さより小さいことが好ましい。
【0076】
移動可能な支持体は、ドラムとベルトとを含み、ドラムは、キャスティングローラーの第一の回転軸に平行な第三の回転軸を画定することが好ましい。この配設により、キャスティングローラーと移動可能な支持体との間に一定の間隙を得ることができる。
【0077】
第一の回転軸と第二の回転軸との間の距離は、約320ミリメートル~約1100ミリメートルから成ることが好ましい。この距離は、約390ミリメートル~約780ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0078】
第一の回転軸を収容する垂直平面と第三の回転軸を収容する垂直平面との間の距離は、約800ミリメートル~約1700ミリメートルから成ることが好ましい。この距離は、約1000ミリメートル~約1500ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0079】
第一の回転軸を収容する垂直平面と第二の回転軸を収容する垂直平面との間の距離は、約200ミリメートル~約700ミリメートルから成ることが好ましい。この距離は、約250ミリメートル~約500ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0080】
第二の回転軸を収容する水平面と第三の回転軸を収容する水平面との間の距離は約1200ミリメートル~約2500ミリメートルから成ることが好ましい。この距離は、約1500ミリメートル~約2000ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0081】
第一の回転軸を収容する水平面と第二の回転軸を収容する水平面との間の距離は、約250ミリメートル~約850ミリメートルから成ることが好ましい。この距離は、約300ミリメートル~約600ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0082】
キャスティングローラーの直径は、約150ミリメートル~約1300ミリメートルから成ることが好ましい。キャスティングローラーの直径は、約500ミリメートル~約1100ミリメートルから成ることがより好ましい。移送ローラーの直径は、約250ミリメートル~約1700ミリメートルから成ることが好ましい。移送ローラーの直径は、約600ミリメートル~約1300ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0083】
キャスティングローラーと移動可能な支持体との間に存在する間隙は、二つの間の最短距離が間隙で示される場合、約0.01ミリメートル~約5ミリメートルから成ることが好ましい。間隙は、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルから成ることがより好ましい。間隙は、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0084】
キャスティングローラーと移送ローラーとの間に存在する間隙は、二つの間の最短距離が間隙で示される場合、約0.1ミリメートル~約15ミリメートルから成ることが好ましい。間隙は、約0.3ミリメートル~約7ミリメートルから成ることがより好ましい。間隙は、約0.5ミリメートル~約1.5ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0085】
移動可能な支持体は、キャスティングローラーの少なくとも部分的に上方に位置付けられることが好ましい。キャスティングローラーおよび移動可能な支持体のそれぞれの配設は、スラリーをキャスティングローラーから移動可能な支持体へと最適なやり方で移送するようなものであることが好ましい。
【0086】
本発明はまた、アルカロイドを含有する材料のキャストシートを製造するための方法にも関し、方法は、開口部を有するキャスティングボックスを提供することと、少なくとも部分的にキャスティングボックス内に位置付けられたキャスティングローラーを提供することと、キャスティングローラーに面する移動可能な支持体を提供することと、キャスティングボックス内に所与のレベルまでスラリーを導入することであって、キャスティングローラーの一部分がスラリーレベルの上方に位置するスラリーを導入することと、スラリーが移動可能な支持体の上へとキャストされるようにキャスティングローラーを回転させることと、を含む。
【0087】
本発明の方法の利点は、装置を考察する際に既に詳述されている。加えて、スラリーレベルに達するように、スラリーがキャスティングボックス内に導入される。スラリーレベルは一定に保持されるか、または範囲内に保持されることが好ましい。キャスティングローラーは、少なくとも一部分については、スラリーレベルを上回るようにスラリーの外側に位置付けられることが好ましい。キャスティングローラーはまた、完全にスラリーレベルの上方にある可能性もある。
【0088】
この構成の利点は、例えば、スラリーの量が変化する時の、キャスティングボックス内に存在する圧力値の可能な変化によって、キャスティングローラーから移動可能な支持体へのスラリーの適用が影響を受けないか、または影響が最少化されることである。
【0089】
方法は、キャスティングボックスの内側に移送ローラーを提供することと、キャスティングボックス内でスラリーを混合するために移送ローラーを回転させることと、を含むことが好ましい。それ故に、キャスティングローラーと移送ローラーとの両方の回転によって引き起こされる二重混合が存在し、これはスラリーをなおもさらに均質化して、キャストシートの厚さに対するより良い制御を同様に可能にする。
【0090】
方法は、移送ローラーを回転させて、スラリーをキャスティングボックスからキャスティングローラーへと移送することを含むことが好ましい。スラリーは、最初にキャスティングボックスから移送ローラーへと移送され、次に移送ローラーからキャスティングローラーへと移送され、そして最終的にキャスティングローラーから移動可能な支持体へと移送されることが好ましい。追加的なローラーも同様に存在してもよい。
【0091】
方法は、約5メートル/分~約50メートル/分から成る速度で移動可能な支持体を移動させることを含むことが好ましい。移動可能な支持体は、キャスティング中に常に移動し、アルカロイドを含む材料のウェブを作り出す。選択された速度範囲は、高速製造の要件と滑らかな均質なキャストウェブの形成の要件との間の妥協点である。
【0092】
キャスティングボックスの内側にスラリーを導入する工程は、キャスティングボックス内のスラリーレベルの下方にスラリーを導入する工程を含むことが好ましい。スラリーは、好ましくは所与のスラリーレベルに到達するまでキャスティングボックス内に導入される。この所与のレベルは、選択された範囲内に維持されることが好ましい。スラリーは、アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするためにキャスティングボックスから連続的に取り出され、そのためスラリーレベルを選択された範囲内に維持するには、スラリーをキャスティングボックス内に追加する必要がある。この追加はスラリーレベルの下方で行われる、すなわち追加的なスラリーの入口が、キャスティングボックス内のスラリーレベルによって画定される高さより低い高さに位置付けられることが好ましい。スラリーレベルを下回るスラリーの導入は、スラリー内の気泡の数の低減を可能にする場合がある。
【0093】
キャスティングボックスの内側にスラリーを導入する工程は、供給方向に沿ってスラリーをキャスティングボックス内に導入することを含み、供給方向は、水平面と約-45度~約+45度から成る角度を形成することが好ましい。キャスティングボックス内のスラリーの導入は、その側壁上で行われることが好ましい。スラリーは所与の圧力で導入されることが好ましい。垂直ではない供給方向のおかげで、キャスティングボックスの内側での気泡の形成は、低減または最少化され、さらに、キャスティングボックス内に収容されるスラリーは、落下するスラリーの位置エネルギーの影響を受けず、これは必然的に、キャスティングボックス内の一定の圧力条件に起因して、より均質な(成分および厚さの)キャストリーフを伴う。
【0094】
スラリーの実質的に水平な供給は、スラリーの供給中に「重力効果」および関連する流れの変動を回避する場合がある。
【0095】
アルカロイドを含有する材料のキャストシートは、均質化したたばこシートを含むことが好ましい。
【0096】
移動可能な支持体を提供する工程は、少なくとも部分的にキャスティングローラーの上方に位置付けられた移動可能な支持体を提供することを含むことが好ましい、
【0097】
本発明はまた、キャストシートを製造するためのキャスティング装置にも関することが好ましく、キャスティング装置は、スラリーを収容するように適合されたキャスティングボックスであって、開口部を有するキャスティングボックスと、移動可能な支持体と、キャストシートを形成するために、キャスティングボックス内に収容されたスラリーを移動可能な支持体の上へとキャストするのに適している少なくとも部分的にキャスティングボックス内に位置付けられたキャスティングローラーと、を備え、前記キャスティングローラーは、それらの間に間隙を形成する移動可能な支持体に面する。
【0098】
本発明はまた、キャストシートを製造するための方法にも関することが好ましく、方法は、開口部を有するキャスティングボックスを提供することと、少なくとも部分的にキャスティングボックス内に位置付けられたキャスティングローラーを提供することと、キャスティングローラーに面する移動可能な支持体を提供することと、キャスティングボックス内に所与のレベルまでスラリーを導入することと、スラリーが移動可能な支持体の上へとキャストされるようにキャスティングローラーを回転させることと、を含む。
【0099】
本発明のさらなる利点は、添付の図面への非制限的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0100】
図1図1は、アルカロイドを含有する材料のウェブを製造するための装置の概略側面断面図である。
図2図2は、図1の装置の拡大図における詳細である。
図3a図3aは、図1の装置の二つの動作状態における概略図である。
図3b図3bは、図1の装置の二つの動作状態における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0101】
図1および図2は、本発明による均質化したたばこ材料のウェブ10を製造するための装置100を示す。
【0102】
装置100は、スラリー11を収容するキャスティングボックス10および移動可能な支持体7を備え、キャスティングボックス1に関連付けられたキャスティングローラー3は、均質化したたばこ材料のキャストシートまたはウェブ10を形成するために、キャスティングボックス1内に収容されたスラリー11を移動可能な支持体7の上へとキャストする。
【0103】
キャスティングボックス1は、対向する第一の壁および第二の壁13、14を含む側壁を備える。キャスティングボックス1は一般的に、四つの側壁、すなわち、対向する第一の壁および第二の壁13、14、ならびに対向する第一の壁および第二の壁13、14を接続する、対向する第三の壁および第四の壁(図中に示されていない)によって画定される。
【0104】
さらに、キャスティングボックス1は、底部壁15を含む。キャスティングボックス1はまた、この場合、キャスティングボックスの上部および壁14の一部分と一致する、開口部16も含む。開口部16は、移動可能な支持体7の近傍に位置付けられる。
【0105】
移動可能な支持体7は、ドラム組立品を含む連続的なステンレス鋼ベルトを備える。鋼ベルトは、一対の反対側にあるドラム4、12の周りに巻かれることが好ましい。スラリーは、キャスティングローラー3を通してドラム4において鋼ベルト上にキャストされ、均質化したたばこ材料の連続的なシート10を作り出す。
【0106】
キャストされたスラリー10は、図1において矢印17で示されるキャスティング方向に沿って移動可能な支持体7によって駆動され、そして加熱ユニット(図中に示されていない)に入り、ここで徐々に加熱され、かつ均一に乾燥される。
【0107】
入ってくるスラリー11は、開口部を形成するキャスティングボックス1の側壁13に接続された入口90(具体的にはパイプ60の端)からキャスティングボックス1の中へと導入され、開口部はこの入ってくるスラリー11をキャスティングボックス1の底部に近接して置く。
【0108】
バッファタンク(図面に示されていない)からのスラリー11は、通常はポンプ(図面に示されていない)によってキャスティングボックス1へと移送される。ポンプは、キャスティングボックス1内に導入されるスラリー11の量を制御するために、流量の制御(図面では不可視)を備えることが好ましい。ポンプは、有利なことに、スラリーの移送時間を確実に必要最小限に保持するよう設計されている。
【0109】
キャスティングボックス1内のスラリー11の量は、所定のレベルを有し、これは実質的に一定に、または所与の範囲内に保持されることが好ましい。スラリー11の量を実質的に同一のレベルに保持するために、ポンプは、スラリー11のキャスティングボックス1への流れを制御する。スラリーの所定のレベルは、図1および図2に破線19で表示される。
【0110】
キャスティングローラー3は、スラリーをキャストするためにキャスティングボックス1と関連付けられる。キャスティングローラー3は、その長軸方向の幅である主寸法を有する。キャスティングローラーは、その長軸方向に対応する第一の回転軸21(図1の十字で示す)を画定する。第一の回転軸21は、水平であることが好ましく、またキャスティング方向17と直角を成すことがより好ましい。
【0111】
キャスティングローラー3は、回転可能な様式でキャスティングボックス1に取り付けられ、その端によって二つの対向する側壁に取り付けられることが好ましい。さらに、キャスティングローラー3は、開口部16から部分的に突出し、かつ移動可能な支持体7に面する(図2の詳細を参照のこと)。キャスティングローラー3の直径は、Kで示され、その回転方向はPで示される。
【0112】
キャスティングローラー3と移動可能な支持体7の鋼ベルトとの間には、間隙が存在し、図中ではIで示され、その寸法が、とりわけ、均質化したたばこ材料のキャストウェブ10の厚さを決定する。キャスティングローラー3およびベルト7は、開口部16において相互に面し、またベルトはキャスティングローラー3の上方に部分的に位置付けられる。ベルト7を搬送する直径Mを有するドラム4は、キャスティングローラー3と同一の方向Qで回転することが好ましい(図2の矢印PおよびQの方向を参照のこと)。ドラム4は、図1の十字として描写される第三の回転軸23を画定することが好ましい。
【0113】
キャスティングボックス1はまた、第二のローラー、移送ローラー2も備えることが好ましい。移送ローラー2は、キャスティングローラー3の直径Kより大きい直径Jを有することが好ましい。移送ローラー2は円筒状であり、かつ第一の回転軸21と平行な第二の回転軸22(図1の十字で表示される)を画定することが好ましい。移送ローラー2は、キャスティングボックス1の二つの対向する側壁に回転可能な様式で取り付けられ、その長軸方向の端によって取り付けられることが好ましい。さらに、移送ローラー2は、キャスティングボックス1内にその全体が位置することが好ましく、そして移送ローラー2は、スラリー11によって少なくとも部分的に浸漬される。移送ローラー2の回転方向Oは、キャスティングローラー3およびドラム4の方向Pまたは方向Qとは反対向きである。
【0114】
キャスティングローラー2と移送ローラー3との間に間隙Hが形成される。
【0115】
キャスティングボックス1のさらなる好ましい技術的詳細は、以下の表1に列挙されている。表1では、すべての値はミリメートル(mm)で記載されている。
【表1】
【0116】
第一の回転軸21と第二の回転軸22との間の水平軸に沿った距離Aは、約200ミリメートル~約700ミリメートルから成ることが好ましい。Aは、約250ミリメートル~約500ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0117】
第一の回転軸21と第三の回転軸23との間の水平軸に沿った距離Bは、約800ミリメートル~約1700ミリメートルから成ることが好ましい。Bは、約1000ミリメートル~約1500ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0118】
第一の回転軸21と第二の回転軸22との間の垂直軸に沿った距離Cは、約250ミリメートル~約850ミリメートルから成ることが好ましい。Cは、約300ミリメートル~約600ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0119】
従って、第一の回転軸と第二の回転軸との間の距離は、以下の式
と等しく、これは、約320ミリメートル~約1101ミリメートルから成ることが好ましい。
【0120】
第一の回転軸21と第三の回転軸23との間の垂直軸に沿った距離Dは、約1200ミリメートル~約2500ミリメートルから成ることが好ましい。Dは、約1500ミリメートル~約2000ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0121】
キャスティングボックスの底部からの垂直軸に沿ったスラリーレベルEは、約100ミリメートル~約1000ミリメートルから成ることが好ましい。Eは、約200ミリメートル~約600ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0122】
キャスティングローラー2と移送ローラー3との間の間隙Hは、約0.10ミリメートル~約15ミリメートルから成ることが好ましい。Hは、約0.30ミリメートル~約7ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0123】
キャスティングローラー2とドラム4との間の間隙Iは、約0.01ミリメートル~約5ミリメートルから成ることが好ましい。Iは、約0.01ミリメートル~約2ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0124】
移送ローラー3の直径Jは、約250ミリメートル~約1700ミリメートルから成ることが好ましい。Jは、約600ミリメートル~約1300ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0125】
キャスティングローラー2の直径Kは、約150ミリメートル~約1300ミリメートルから成ることが好ましい。Kは、約500ミリメートル~約1100ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0126】
ドラム4の直径Mは、約750ミリメートル~約3000ミリメートルから成ることが好ましい。Mは、約1500ミリメートル~約2500ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0127】
キャスティングボックスの高さLは、約300ミリメートル~約2000ミリメートルから成ることが好ましい。Lは、約500ミリメートル~約1300ミリメートルから成ることがより好ましい。
【0128】
装置100の機能において、スラリー11は、キャスティングボックス1の底部の側壁13上に位置付けられる入口90においてキャスティングボックス1に供給される。スラリーは、所与のレベル19に到達する。移送ローラー3は、スラリー11がレベル19に到達する時にキャスティングボックス内のスラリー11と部分的に接触し、かつ移送ローラー3の回転に起因して、スラリー11は移送ローラー3の外表面をスラリー11のフィルムまたは層6で覆い、これによりキャスティングローラー3へのスラリー11の最初の移送前に、ローラー2においてスラリー被覆が存在する。その後、スラリーは、移送ローラー3上の層6とキャスティングローラー2の表面との間の接触に起因してキャスティングローラー3へと移送され、スラリー被覆層9が、搬送ベルト7へのその最終的な移送前に、キャスティングローラー2の表面上に形成される。
【0129】
キャスティングローラー2は軸21の周りを回転し、そしてスラリー層9は移動可能な支持体7のベルトに接触する。これは、キャスティングローラー3からベルト7へのスラリーの移送を引き起こし、スラリー被覆はキャストウェブ10を形成する。
【0130】
その後、ウェブは乾燥され、そして貯蔵のためにボビンへと巻き取られることが好ましい(図中に示されていない)。これらのボビンは、その後巻き出され、そしてエアロゾル発生物品用のたばこ構成要素を作り出すために使用される。
【0131】
図3a、図3bで見られるように、最初にキャスティングボックス1が取り付けられ、そしてローラー2、3がその中に配設され、その後に移動可能な支持体7がキャスティングを開始するためにキャスティングボックスの近くに移動されることが好ましい。
図1
図2
図3a
図3b