(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】センサ及び電子装置
(51)【国際特許分類】
G01C 19/5705 20120101AFI20231122BHJP
【FI】
G01C19/5705
(21)【出願番号】P 2021029719
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】平賀 広貴
(72)【発明者】
【氏名】丸藤 竜之介
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 泰
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 史登
(72)【発明者】
【氏名】小野 大騎
(72)【発明者】
【氏名】増西 桂
(72)【発明者】
【氏名】小川 悦治
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-503557(JP,A)
【文献】特開2020-187018(JP,A)
【文献】特表2012-508373(JP,A)
【文献】特開2013-156260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 19/00-19/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部を備え、
前記センサ部は、支持部及び可動部を含み、
前記可動部は、
第1平面において前記支持部の周りに設けられた可動部材と、
前記支持部と前記可動部材との間に設けられ前記可動部材を前記支持部と接続する折れ曲がり状の複数の構造部材と、
を含み、
前記可動部材は振動可能であり、
前記可動部は、前記支持部を中心とする回転対称であり、
前記可動部は、複数の鏡映面を有し、
前記複数の鏡映面は、前記回転対称の中心を通り前記第1平面と交差し、
前記センサ部は、第1電極及び第2電極をさらに含み、
前記回転対称の前記中心から前記第1電極への方向は、前記第1平面に沿う第1方向に沿い、
前記回転対称の前記中心から前記第2電極への方向は、前記第1平面に沿う第2方向に沿い、前記第2方向は、前記第1方向と交差する、センサ。
【請求項2】
前記複数の構造部材の1つは、前記支持部と前記第1電極との間にあり、
前記複数の構造部材の前記1つは、前記第1方向を軸にして非対称である、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記可動部材は、第1対向部及び第2対向部を含み、
前記第1対向部は、前記第1電極と対向し、
前記第1対向部及び前記第1電極は、櫛歯状にかみ合い、
前記第2対向部は、前記第2電極と対向し、
前記第2対向部及び前記第2電極は、櫛歯状にかみ合う、請求項
1または
2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記センサ部は、第3電極及び第4電極をさらに含み、
前記支持部は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1電極との間にあり、
前記支持部は、前記第2方向において、前記第4電極と前記第2電極との間にあり、
前記第3電極に印加される電圧に応じて、前記可動部材は、前記第1方向に沿って振動可能であり、
前記第4電極に印加される電圧に応じて、前記可動部材は、前記第2方向に沿って振動可能である、請求項
1~
3のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項5】
前記可動部は、n回回転対称であり、前記nは、3、4または6である、請求項1
~4のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項6】
前記センサ部は、前記支持部が固定される基体を含み、
前記基体は、n角形、または、2n角形である、請求項
5に記載のセンサ。
【請求項7】
前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された回路部をさらに備え、
前記回路部は、前記第1電極から得られる信号、及び、前記第2電極から得られる信号に基づく情報を出力可能である、請求項1~
6のいずれか1つに記載のセンサ。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる信号に基づいて回路を制御可能な回路制御部と、
を備えた電子装置。
【請求項9】
前記電子装置は、ロボット及び移動体の少なくともいずれかを含む、請求項
8に記載の電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、センサ及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ジャイロセンサなどのセンサがある。センサ及び電子装置において、検出精度の向上が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、精度を向上できるセンサ及び電子装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態によれば、センサは、センサ部を含む。前記センサ部は、支持部及び可動部を含む。前記可動部は、第1平面において前記支持部の周りに設けられた可動部材と、前記支持部と前記可動部材との間に設けられ前記可動部材を前記支持部と接続する折れ曲がり状の複数の構造部材と、を含む。前記可動部材は振動可能である。前記可動部は、前記支持部を中心として回転対称である。前記可動部は、複数の鏡映面を有する。前記複数の鏡映面は、前記回転対称の中心を通り前記第1平面と交差する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る電子装置を例示する模式図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(h)は、電子装置の応用を例示する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚さと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図1に示すように、実施形態に係るセンサ110は、センサ部10Uを含む。センサ110は、回路部70を含んでも良い。センサ部10Uは、支持部18及び可動部38を含む。
【0009】
可動部38は、可動部材38Mと、折れ曲がり状の複数の構造部材32を含む。可動部材38Mは、第1平面において支持部18の周りに設けられる。第1平面は、例えば、X-Y平面である。X-Y平面に沿う1つの方向をX軸方向とする。X-Y平面に沿いX軸方向に対して垂直な方向をY軸方向とする。X-Y平面に対して垂直な方向に対して垂直な方向をZ軸方向とする。
【0010】
複数の構造部材32は、支持部18と可動部材38Mとの間に設けられる。この例では、複数の構造部材32は、例えば、第1~第8構造部材32a~32hを含む。複数の構造部材32のそれぞれは、折れ曲がり状である。複数の構造部材32のそれぞれは、例えば、折り返し部を含む。複数の構造部材32のそれぞれは、例えば、ミアンダ状である。折れ曲がり状の複数の構造部材32の1つは、折り返し部を含む。複数の構造部材32は、可動部材38Mを支持部18と接続する。複数の構造部材32は、例えば、ばね構造体である。
【0011】
可動部材38Mは、リング状である。可動部材38Mは、振動可能である。後述するように、センサ部10Uに加わる回転の力に応じて、可動部材38Mの振動の状態が変化する。振動の状態の変化を検出することで、回転の力が検出できる。センサ110は、例えばジャイロセンサである。
【0012】
図1に示すように、可動部38は、支持部18を中心とする回転対称である。支持部18は、X-Y平面における中心18cを含む。可動部38は、支持部18の中心18cを中心とする回転対称である。可動部38の回転対称の中心は、支持部18の中心18cに対応する。
【0013】
可動部38は、n回回転対称である。「n」は、例えば、3、4または6である。この例では、可動部38は、4回回転対称である。
【0014】
可動部38は、複数の鏡映面を有する。例えば、可動部38は、Z軸方向に沿って見たときに、複数の鏡映面を有する。この例では、複数の鏡映面は、第1鏡映面La1及び第2鏡映面La2を含む。この例では、複数の鏡映面は、第3鏡映面La3及び第4鏡映面La4をさらに含む。複数の鏡映面(第1鏡映面La1、第2鏡映面La2、第3鏡映面La3及び第4鏡映面La4)は、回転対称の中心(中心18c)を通る。複数の鏡映面(例えば、第1鏡映面La1及び第2鏡映面La2)は、第1平面(X-Y平面)と交差する。複数の鏡映面は、互いに交差する。
【0015】
複数の構造部材32は、複数の鏡映面(第1鏡映面La1及び第2鏡映面La2)を有する。この例では、第1構造部材32a及び第2構造部材32bを含む領域が、第1要素となる。第3構造部材32c及び第4構造部材32dを含む領域が、第2要素となる。第5構造部材32e及び第6構造部材32fを含む領域が、第3要素となる。第7構造部材32g及び第8構造部材32hを含む領域が、第4要素となる。
【0016】
例えば、複数の構造部材32の1つは、可動部38の回転対称の中心(中心18c)を通る放射方向(X-Y平面に沿う1つの方向)を軸にして非対称である。例えば、第1構造部材32a及び第2構造部材32bは、鏡面対称である。
【0017】
例えば、センサ部10Uに回転の力が加わる。第1構造部材32aに時計周りの回転の力が加わったときの第1構造部材32aにおける振動の状態は、第1構造部材32aに反時計周りの回転の力が加わったときの第1構造部材32aにおける振動の状態とは異なる。このような回転方向の違いによる振動の状態の違いは、第1構造部材32a及び第2構造部材32bの組み合わせにおいて、抑制される。
【0018】
例えば、全ての複数の構造部材の形状が同じ参考例が考えられる。参考例において、可動部38が鏡映面を有しない。参考例において、このような回転方向の違いによる振動の状態の違いがキャンセルされない。力が加わって生じた変位の検出において、回転方向の違いによる差が生じる。
【0019】
実施形態においては、回転方向の違いによる振動の状態の違いが抑制される。これにより、より精度の高い検出が可能になる。実施形態によれば、精度を向上できるセンサが提供できる。
【0020】
実施形態において、複数の鏡映面の数は、例えば、3以上6以下である。複数の鏡映面の数が3以上において、例えば、+X軸方向の変位検出と、-X軸方向の変位検出と、の間の誤差が生じ難くなる。複数の鏡映面の数が2以下において、例えば、-X軸方向の変位検出と、の間の誤差が生じ易くなる。複数の鏡映面の数が2以下の場合、例えば、印加された外力に応じた可動部38の変位の変化において、外力の方向によって差が生じる。例えば、複数の鏡映面の数が4の場合、印加された外力に応じた可動部38の変位の変化において、外力の方向による応答性の差が抑制される。例えば、複数の鏡映面の数が3または6の場合印加された外力に応じた可動部38の変位の変化において、外力の方向による応答性の差が、より抑制される。
【0021】
複数の構造部材32の数は、例えば、6以上である。
【0022】
図1に示すように、基体10sを含む。支持部18は、基体10sに固定される。基体10sは、例えば、第1平面(X-Y平面)に沿う。可動部38がn回回転対称であるときに、基体10sは、n角形、または、2n角形である。基体10sがこのような形状であるときに、回転方向の違いによる振動の状態の違いがより抑制される。より高い精度が得易くなる。
【0023】
図1に示すように、センサ部10Uは、複数の電極(例えば、第1~第8電極11a~11h)を含む。回転対称の中心(中心18c)から第1電極11aへの方向は、第1方向D1に沿う。第1方向D1は、第1平面(X-Y平面)に沿う。
【0024】
回転対称の中心(中心18c)から第2電極11bへの方向は、第2方向D2に沿う。第2方向D2は、第1平面(X-Y平面)に沿う。第2方向D2は、第1方向D1と交差する。
【0025】
例えば、複数の構造部材32の1つ(例えば第1構造部材32a)は、支持部18と第1電極11aとの間にある。複数の構造部材32の上記の1つ(第1構造部材32a)は、第1方向D1を軸にして非対称である。
【0026】
例えば、複数の構造部材32の別の1つ(例えば第2構造部材32b)は、支持部18と第2電極11bとの間にある。複数の構造部材32の上記の別の1つ(第2構造部材32b)は、第2方向D2を軸にして非対称である。複数の構造部材32の1つ(例えば第1構造部材32a)、及び、複数の構造部材32の上記の別の1つ(第2構造部材32b)は、例えば、鏡面対称である。
【0027】
第1電極11aは、可動部材38Mの振動の第1方向D1に沿う成分をより高感度に検出可能である。第2電極11bは、可動部材38Mの振動の第2方向D2に沿う成分をより高感度に検出可能である。
【0028】
可動部材38Mは、第1対向部31a及び第2対向部31bを含む。第1対向部31aは、第1電極11aと対向する。第1対向部31a及び第1電極11aは、櫛歯状にかみ合う。第2対向部31bは、第2電極11bと対向する。第2対向部31b及び第2電極11bは、櫛歯状にかみ合う。例えば、第1電極11a及び第1対向部31aとの間の電気容量は、可動部材38Mの振動に応じて変化する。例えば、第2電極11b及び第2対向部31bとの間の電気容量は、可動部材38Mの振動に応じて変化する。
【0029】
異なる2つの方向に沿う振動の状態を検出して検出結果を処理することで、任意の方向の回転を検出できる。
図1の例において、「第1電極」が第1電極11aであるときに、「第2電極」が、他の電極(例えば第6電極11fなど)でも良い。
【0030】
第1電極11aから得られる第1信号は、可動部材38Mに加わる回転角速度に応じている。第2電極11bから得られる第2信号は、可動部材38Mに加わる回転角速度に応じる。
【0031】
第1電極11aから得られる第1信号は、第1方向D1と交差する方向に沿って振動する可動部材38Mに生じる第1方向D1の振動の振幅に応じる。第2電極11bから得られる第2信号は、第2方向D2と交差する方向に沿って振動する可動部材38Mに生じる第2方向D2の振動の振幅に応じる。
【0032】
可動部材38Mに生じる第1方向D1の振動は、例えば、可動部38に作用するコリオリ力に基づいている。可動部材38Mに生じる第2方向D2の振動は、可動部38に作用するコリオリ力に基づく。第1電極11a及び第2電極11bは、例えば検出用の電極である。
【0033】
例えば、第1電極11a及び第2電極11bは、回路部70と電気的に接続される。第1電極11aから得られる第1信号が、回路部70により処理されても良い。第2電極11bから得られる第2信号が、回路部70により処理されても良い。
【0034】
回路部70は、第1電極11aから得られる第1信号、及び、第2電極11bから得られる第2信号に基づく情報を出力可能である。出力される情報は、センサ部10Uの回転角速度、及び、回転角度である。回転角度は、回転角速度を積算(例えば積分)に対応する。
【0035】
図1に示すように、この例では、センサ部10Uは、第3電極11c及び第4電極11dを含む。支持部18は、第1方向D1において、第3電極11cと第1電極11aとの間にある。支持部18は、第2方向D2において、第4電極11dと第2電極11bとの間にある。第3電極11cに印加される電圧に応じて、可動部材38Mは、第1方向D1に沿って振動可能である。第4電極11dに印加される電圧に応じて、可動部材38Mは、第2方向D2に沿って振動可能である。
【0036】
例えば、可動部材38Mは、第3対向部31c及び第4対向部31dを含む。第3対向部31cは、第3電極11cと対向する。第3対向部31c及び第3電極11cは、櫛歯状にかみ合う。第4対向部31dは、第4電極11dと対向する。第4対向部31d及び第4電極11dは、櫛歯状にかみ合う。第3電極11cと第3対向部31cとの間に生じる静電力により、可動部材38Mが振動する。第4電極11dと第4対向部31dとの間に生じる静電力により、可動部材38Mが振動する。第3電極11c及び第4電極11dは、例えば、駆動用の電極である。
【0037】
例えば、第3電極11c及び第4電極11dは、回路部70と電気的に接続される。回路部70から第3電極11c及び第4電極11dに電圧(例えば交流電圧)が供給される。電圧に応じて可動部材38Mが振動する。
【0038】
図1に示すように、第5電極11eと第7電極11gとの間に支持部18が設けられる。第6電極11fと第8電極11hとの間に支持部18が設けられる。例えば、第7電極11gから第5電極11eへの方向は、X-Y平面に沿い、第1方向D1及び第2方向D2と交差する。例えば、第8電極11hから第6電極11fへの方向は、X-Y平面に沿い、第1方向D1及び第2方向D2と交差する。
【0039】
第5~第8電極11e~11hは、回路部70と電気的に接続される。第7電極11g及び第8電極11hは、例えば駆動用の電極である。
【0040】
例えば、可動部材38Mは、第5~第8対向部31e~31hを含む。第5対向部31eは、第5電極11eと対向する。第5対向部31e及び第5電極11eは、櫛歯状にかみ合う。第6対向部31fは、第6電極11fと対向する。第6対向部31f及び第6電極11fは、櫛歯状にかみ合う。第7対向部31gは、第7電極11gと対向する。第7対向部31g及び第7電極11gは、櫛歯状にかみ合う。第8対向部31hは、第8電極11hと対向する。第8対向部31h及び第8電極11hは、櫛歯状にかみ合う。
【0041】
図2及び
図3は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図2に示すように、実施形態に係るセンサ111も、センサ部10Uを含む。センサ110は、回路部70を含んでも良い。センサ部10Uは、支持部18及び可動部38を含む。センサ111において、センサ部10Uは、複数の調整電極(例えば第1~第8調整電極13a~13hなど)を含む。センサ部10Uは、複数の抵抗(例えば第1~第8抵抗R1~R8など)を含む。可動部材38Mは、複数の調整対向部(例えば第1~第8調整対向部33a~33hなど)を含む。センサ111におけるこれ以外の構成は、センサ110の構成と同様で良い。
【0042】
センサ111において、センサ部10Uは、第1調整電極13a及び第1抵抗R1を含む。第1抵抗R1は、第1調整電極13aと電気的に接続される。支持部18から第1調整電極13aへの向きは、第1平面(X-Y平面)に沿う。第1調整電極13a及び第1抵抗R1に印加された電圧に応じて、可動部材38Mの振動状態が変化可能である。例えば、回路部70から第1調整電極13a及び第1抵抗R1に電圧が印加される。電圧により、可動部材38Mの振動状態が変化する。第1調整電極13a及び第1抵抗R1は、例えば、電気的ダンパとして機能できる。第1調整電極13a、第1抵抗R1、及び、電圧により、例えば、振動の時定数が変更可能である。第1抵抗R1は、例えば、可変抵抗で良い。
【0043】
可動部材38Mは、第1調整対向部33aを含む。第1調整対向部33aは、第1調整電極13aと対向する。第1調整電極13a及び第1調整対向部33aは、櫛歯状にかみ合う。可動部材38Mは、第2~第8調整対向部33b~33hを含む。第2~第8調整対向部33b~33hは、第2~第8調整電極13b~13hとそれぞれ対向する。第2~第8調整電極13b~13h及び第2~第8調整対向部33b~33hは、それぞれ櫛歯状にかみ合う。
【0044】
図2に示すように、センサ部10Uは、固定部14を含んでも良い。複数の固定部14は、例えば、基体10sに固定されている。
【0045】
図3は、固定部14を含む領域を拡大して示している。
図3に示すように、可動部材38Mは、固定対向部34を含む。固定対向
部34は、固定部14に対向する。この例では、固定対向部34は、固定部14の周りに設けれる。固定対向部34は、可動部材38Mの一部の領域である。
【0046】
図3に示すように、この例では、固定部14及び固定対向部34の少なくともいずれかは、突起部を含む。例えば、固定部14に突起部14pが設けられる。例えば、固定対向部34に突起部34pが設けられる。
【0047】
図4は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図4に示すように、実施形態に係るセンサ120は、センサ部10Uを含む。センサ110は、回路部70を含んでも良い。センサ120においても、センサ部10Uは、支持部18及び可動部38を含む。
【0048】
可動部38は、可動部材38Mと、折れ曲がり状の複数の構造部材32を含む。可動部材38Mは、第1平面(X-Y平面)において支持部18の周りに設けられる。複数の構造部材32は、支持部18と可動部材38Mとの間に設けられる。この例では、複数の構造部材32は、第1~第6構造部材32a~32fを含む。
【0049】
センサ120においても、可動部38は、支持部18を中心とする回転対称である。可動部38は、支持部18の中心18cを中心とする回転対称である。可動部38は、n回回転対称である。この例では、可動部38は、3回回転対称である。可動部38は、複数の鏡映面を有する。この例では、複数の鏡映面は、第1鏡映面La1、第2鏡映面La2及び第3鏡映面La3を含む。複数の鏡映面(第1~第3鏡映面La1~La3)は、回転対称の中心(中心18c)を通る。
【0050】
センサ120においても、回転方向の違いによる振動の状態の違いが抑制される。これにより、より精度の高い検出が可能になる。実施形態によれば、精度を向上できるセンサが提供できる。
【0051】
センサ110に関して説明した構成が、センサ120に適用されて良い。例えば、
図4に示すように、センサ部10Uは、基体10sを含む。支持部18は、基体10sに固定される。この例では、可動部38は、3回回転対称である。基体10sは、6角形である。基体10sがこのような形状であるときに、回転方向の違いによる振動の状態の違いがより抑制される。より高い精度が得易くなる。
【0052】
図4に示すように、センサ部10Uは、複数の電極(例えば、第1~第6電極11a~11f)を含む。回転対称の中心(中心18c)から第1電極11aへの方向は、第1方向D1に沿う。回転対称の中心(中心18c)から第2電極11bへの方向は、第2方向D2に沿う。第2方向D2は、第1平面(X-Y平面)に沿う。第2方向D2は、第1方向D1と交差する。
【0053】
例えば、複数の構造部材32の1つ(例えば第1構造部材32a)は、支持部18と第1電極11aとの間にある。複数の構造部材32の上記の1つ(第1構造部材32a)は、第1方向D1を軸にして非対称である。
【0054】
例えば、複数の構造部材32の別の1つ(例えば第2構造部材32b)は、支持部18と第2電極11bとの間にある。複数の構造部材32の上記の別の1つ(第2構造部材32b)は、第2方向D2を軸にして非対称である。複数の構造部材32の1つ(例えば第1構造部材32a)、及び、複数の構造部材32の上記の別の1つ(第2構造部材32b)は、例えば、鏡面対称である。
【0055】
第1電極11aは、可動部材38Mの振動の第1方向D1に沿う成分を検出可能である。第2電極11bは、可動部材38Mの振動の第2方向D2に沿う成分を検出可能である。
【0056】
可動部材38Mは、第1~第6対向部31a~31fを含む。第1~第6対向部31a~31fは、第1~第6電極11a~11fとそれぞれ対向する。第1~第6対向部31a~31fは、第1~第6電極11a~11fとそれぞれ櫛歯状にかみ合う。
【0057】
図4に示すように、この例では、センサ部10Uは、第3電極11c及び第4電極11dを含む。支持部18は、第1方向D1において、第3電極11cと第1電極11aとの間にある。支持部18は、第2方向D2において、第4電極11dと第2電極11bとの間にある。第3電極11cに印加される電圧に応じて、可動部材38Mは、第1方向D1に沿って振動可能である。第4電極11dに印加される電圧に応じて、可動部材38Mは、第2方向D2に沿って振動可能である。
【0058】
図5は、第1実施形態に係るセンサを例示する模式的平面図である。
図5に示すように、実施形態に係るセンサ130は、センサ部10Uを含む。センサ110は、回路部70を含んでも良い。センサ130においても、センサ部10Uは、支持部18及び可動部38を含む。
【0059】
可動部38は、可動部材38Mと、折れ曲がり状の複数の構造部材32を含む。可動部材38Mは、第1平面(X-Y平面)において支持部18の周りに設けられる。複数の構造部材32は、支持部18と可動部材38Mとの間に設けられる。この例では、複数の構造部材32は、第1~第12構造部材32a~32lを含む。
【0060】
センサ130においても、可動部38は、支持部18を中心とする回転対称である。可動部38は、支持部18の中心18cを中心とする回転対称である。可動部38は、n回回転対称である。この例では、可動部38は、3回回転対称である。可動部38は、複数の鏡映面を有する。この例では、複数の鏡映面は、第1鏡映面La1、第2鏡映面La2、第3鏡映面La3、第4鏡映面La4、第5鏡映面La5及び第6鏡映面La6を含む。複数の鏡映面(第1~第6鏡映面La1~La6)は、回転対称の中心(中心18c)を通る。
【0061】
センサ130においても、回転方向の違いによる振動の状態の違いが抑制される。これにより、より精度の高い検出が可能になる。実施形態によれば、精度を向上できるセンサが提供できる。
【0062】
例えば、センサ111に関して説明した構成が、センサ120及び130に適用されても良い。例えば、第1~第6調整電極13a~13f、及び、第1~第6調整対向部33a~33fがセンサ120及び130に設けられて良い。固定部14及び固定対向部34がセンサ120及び130に設けられても良い。
【0063】
センサ110、111、120及び130において、回路部70は、センサ110、111、120及び130とは別に設けられても良い。
【0064】
例えば、実施形態においては、例えば、励振軸とは交差する方向に沿う振動特性における差が抑制できる。例えば、変位方向に沿う応答特性における差が抑制される。
【0065】
(第2実施形態)
第2実施形態は、電子装置に係る。
図6は、第2実施形態に係る電子装置を例示する模式図である。
図6に示すように、実施形態に係る電子装置310は、実施形態に係るセンサと、回路制御部170と、を含む。
図6の例では、センサとして、センサ110(またはセンサ装置210)が描かれている。回路制御部170は、センサから得られる信号S1に基づいて回路180を制御可能である。回路180は、例えば駆動装置185の制御回路などである。実施形態によれば、高精度の検出結果に基づいて、駆動装置185を制御するための回路180などを高精度で制御できる。
【0066】
図7(a)~
図7(h)は、電子装置の応用を例示する模式図である。
図7(a)に示すように、電子装置310は、ロボットの少なくとも一部でも良い。
図7(b)に示すように、電子装置310は、製造工場などに設けられる工作ロボットの少なくとも一部でも良い。
図7(c)に示すように、電子装置310は、工場内などの自動搬送車の少なくとも一部でも良い。
図7(d)に示すように、電子装置310は、ドローン(無人航空機)の少なくとも一部でも良い。
図7(e)に示すように、電子装置310は、飛行機の少なくとも一部でも良い。
図7(f)に示すように、電子装置310は、船舶の少なくとも一部でも良い。
図7(g)に示すように、電子装置310は、潜水艦の少なくとも一部でも良い。
図7(h)に示すように、電子装置310は、自動車の少なくとも一部でも良い。電子装置310は、例えば、ロボット及び移動体の少なくともいずれかを含んでも良い。
【0067】
実施形態は、以下の構成(例えば技術案)を含んでも良い。
(構成1)
センサ部を備え、
前記センサ部は、支持部及び可動部を含み、
前記可動部は、
第1平面において前記支持部の周りに設けられた可動部材と、
前記支持部と前記可動部材との間に設けられ前記可動部材を前記支持部と接続する折れ曲がり状の複数の構造部材と、
を含み、
前記可動部材は振動可能であり、
前記可動部は、前記支持部を中心とする回転対称であり、
前記可動部は、複数の鏡映面を有し、
前記複数の鏡映面は、前記回転対称の中心を通り前記第1平面と交差する、センサ。
【0068】
(構成2)
前記複数の鏡映面の数は、3以上6以下である、構成1記載のセンサ。
【0069】
(構成3)
前記複数の構造部材の数は、6以上である、構成1または2に記載のセンサ。
【0070】
(構成4)
前記可動部は、n回回転対称であり、前記nは、3、4または6である、構成1~3のいずれか1つに記載のセンサ。
【0071】
(構成5)
前記センサ部は、前記支持部が固定される基体を含み、
前記基体は、n角形、または、2n角形である、構成4記載のセンサ。
【0072】
(構成6)
前記センサ部は、第1電極及び第2電極をさらに含み、
前記回転対称の前記中心から前記第1電極への方向は、前記第1平面に沿う第1方向に沿い、
前記回転対称の前記中心から前記第2電極への方向は、前記第1平面に沿う第2方向に沿い、前記第2方向は、前記第1方向と交差した、構成1~5のいずれか1つに記載のセンサ。
【0073】
(構成7)
前記複数の構造部材の1つは、前記支持部と前記第1電極との間にあり、
前記複数の構造部材の前記1つは、前記第1方向を軸にして非対称である、構成6記載のセンサ。
【0074】
(構成8)
前記第1電極は、前記可動部材の振動の前記第1方向に沿う成分を検出可能であり、
前記第2電極は、前記可動部材の前記振動の前記第2方向に沿う成分を検出可能である、構成6または7に記載のセンサ。
【0075】
(構成9)
前記第1電極から得られる第1信号は、前記可動部材に加わる回転角速度に応じ、
前記第2電極から得られる第2信号は、前記回転角速度に応じる、構成6または7に記載のセンサ。
【0076】
(構成10)
前記第1電極から得られる第1信号は、前記第1方向と交差する方向に沿って振動する前記可動部材に生じる前記第1方向の振動の振幅に応じ、
前記第2電極から得られる第2信号は、前記第2方向と交差する方向に沿って振動する前記可動部材に生じる前記第2方向の振動の振幅に応じる、構成6または7に記載のセンサ。
【0077】
(構成11)
前記可動部材は、第1対向部及び第2対向部を含み、
前記第1対向部は、前記第1電極と対向し、
前記第1対向部及び前記第1電極は、櫛歯状にかみ合い、
前記第2対向部は、前記第2電極と対向し、
前記第2対向部及び前記第2電極は、櫛歯状にかみ合う、構成6~10のいずれか1つに記載のセンサ。
【0078】
(構成12)
前記センサ部は、第3電極及び第4電極をさらに含み、
前記支持部は、前記第1方向において、前記第3電極と前記第1電極との間にあり、
前記支持部は、前記第2方向において、前記第4電極と前記第2電極との間にあり、
前記第3電極に印加される電圧に応じて、前記可動部材は、前記第1方向に沿って振動可能であり、
前記第4電極に印加される電圧に応じて、前記可動部材は、前記第2方向に沿って振動可能である、構成6~11のいずれか1つに記載のセンサ。
【0079】
(構成13)
前記可動部材は、第3対向部及び第4対向部を含み、
前記第3対向部は、前記第3電極と対向し、
前記第3対向部及び前記第3電極は、櫛歯状にかみ合い、
前記第4対向部は、前記第4電極と対向し、
前記第4対向部及び前記第4電極は、櫛歯状にかみ合う、構成12記載のセンサ。
【0080】
(構成14)
前記センサ部は、第1調整電極と、前記第1調整電極と電気的に接続された第1抵抗と、をさらに含み、
前記支持部から前記第1調整電極への向きは、前記第1平面に沿い、
前記第1調整電極及び前記第1抵抗に印加された電圧に応じて、前記可動部材の振動状態が変化可能である、構成1~13のいずれか1つに記載のセンサ。
【0081】
(構成15)
前記可動部材は、前記第1調整電極と対向する第1調整対向部を含み、
前記第1調整電極及び前記第1調整対向部は、櫛歯状にかみ合う、構成13記載のセンサ。
【0082】
(構成16)
前記センサ部は、固定部をさらに含み、
前記可動部材は、前記固定部に対向する固定対向部をさらに含み、
前記固定部及び前記固定対向部の少なくともいずれかは、突起部を含む、構成1~15のいずれか1つに記載のセンサ。
【0083】
(構成17)
前記固定対向部は、前記固定部の周りに設けられた、構成16記載のセンサ。
【0084】
(構成18)
前記第1電極及び前記第2電極と電気的に接続された回路部をさらに備え、
前記回路部は、前記第1電極から得られる信号、及び、前記第2電極から得られる信号に基づく情報を出力可能である、構成1~17のいずれか1つに記載のセンサ。
【0085】
(構成19)
構成1~18のいずれか1つに記載のセンサと、
前記センサから得られる信号に基づいて回路を制御可能な回路制御部と、
を備えた電子装置。
【0086】
(構成20)
前記電子装置は、ロボット及び移動体の少なくともいずれかを含む、構成19記載の電子装置。
【0087】
実施形態によれば、精度を向上できるセンサ及び電子装置が提供できる。
【0088】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、センサに含まれるセンサ部、支持部、可動部、可動部材、電極、対向部及び回路部などの各要素の具体的な構成に関しては、当業者が公知の範囲から適宜選択することにより本発明を同様に実施し、同様の効果を得ることができる限り、本発明の範囲に包含される。
【0089】
また、各具体例のいずれか2つ以上の要素を技術的に可能な範囲で組み合わせたものも、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に含まれる。
【0090】
その他、本発明の実施の形態として上述したセンサ及び電子装置を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全てのセンサ及び電子装置も、本発明の要旨を包含する限り、本発明の範囲に属する。
【0091】
その他、本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0092】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
10U…センサ部、 10s…基体、 11a~11h…第1~第8電極、 13a~13h…第1~第8調整電極、 14…固定部、 14p…突起部、 18…支持部、 18c…中心、 31a~31h…第1~第8対向部、 32…構造部材、 32a~32l…第1~第12構造部材、 33a~33h…第1~第8調整対向部、 34…固定対向部、 34p…突起部、 38…可動部、 38M…可動部材、 70…回路部、 110、111、120、130…センサ、 170…回路制御部、 180…回路、 185…駆動装置、 210…センサ装置、 310…電子装置、 D1、D2…第1、第2方向、 La1~La6…第1~第6鏡映面、 R1…回路、 R1~R8…第1~第8抵抗、 R1~R8…抵抗、 S1…信号