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特許7389779呼吸補助システム及び呼吸補助システムのための送風機
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】呼吸補助システム及び呼吸補助システムのための送風機
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/44 20060101AFI20231122BHJP
   F04D 29/28 20060101ALI20231122BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F04D29/44 S
F04D29/28 C
A61M16/00 380
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021172311
(22)【出願日】2021-10-21
(62)【分割の表示】P 2018558215の分割
【原出願日】2017-04-27
(65)【公開番号】P2022009347
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-19
(31)【優先権主張番号】62/331,750
(32)【優先日】2016-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/350,093
(32)【優先日】2016-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ボスマ ヨハネス ニコラース
(72)【発明者】
【氏名】ヤング アレックス
【審査官】落合 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-214398(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0234323(US,A1)
【文献】特表2015-506253(JP,A)
【文献】特公平05-002840(JP,B2)
【文献】特開2009-178557(JP,A)
【文献】特開2006-046317(JP,A)
【文献】特表2019-514558(JP,A)
【文献】特表2009-537735(JP,A)
【文献】特表2014-524268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
インペラチャンバであって、その中で前記インペラが回転するインペラチャンバと、軸方向入口と、第1の軸方向出口と、第2の軸方向出口とを含むハウジングと
を含み、
第1の回転方向における前記インペラの回転では、前記第1の軸方向出口からのガス流は、前記第2の軸方向出口からのガス流よりも大きく、及び
第2の回転方向における前記インペラの回転では、前記第2の軸方向出口からのガス流は、前記第1の軸方向出口からのガス流よりも大きく、
前記ハウジングは、第1のステータリングと、第2のステータリングとを含み、各ステータリングは、複数の渦巻路を含み、前記第1の軸方向出口は、前記第1のステータリングの前記渦巻路を含み、且つ前記第2の軸方向出口は、前記第2のステータリングの前記渦巻路を含む、デュアル軸方向出口送風機。
【請求項2】
前記第1の回転方向における前記インペラの回転は、前記第1の軸方向出口からの第1のガス流及び前記第2の軸方向出口からの第2のガス流を発生させ、且つ
前記第2の回転方向における前記インペラの回転は、前記第2の軸方向出口からの前記第1のガス流又は第3のガス流及び前記第1の軸方向出口からの前記第2のガス流又は第4のガス流を発生させ、及び
前記第1のガス流の流量は、前記第2のガス流の流量よりも大きく、前記第3のガス流の流量は、前記第4のガス流の流量よりも大きい、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記インペラは、対称インペラであり、前記インペラの回転が、
前記第1の回転方向では、前記第1の軸方向出口からのガス流が前記第2の軸方向出口からのガス流よりも大きく、
前記第2の回転方向では、前記第2の軸方向出口からのガス流が前記第1の軸方向出口からのガス流よりも大きい、
請求項1又は2に記載の送風機。
【請求項4】
前記インペラのブレードは、直線であるか、又は他に回転方向を問わず所与の回転速度に対して所与の流量を与えるような形状の、半径方向に延びるブレードである、請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記インペラは、非対称インペラであり、前記インペラの回転が、
前記第1の回転方向では、前記第1の軸方向出口からのガス流が前記第2の軸方向出口からのガス流よりも大きく、
前記第2の回転方向では、前記第2の軸方向出口からのガス流が前記第1の軸方向出口からのガス流よりも大きい、
請求項1又は2に記載の送風機。
【請求項6】
前記インペラのブレードは、角度をなし、湾曲し、及び/又は他に前記インペラが1つの方向に優先的に回転する形状である、請求項5に記載の送風機。
【請求項7】
前記インペラの回転を駆動するためのモータを含み、及び前記ハウジングは、前記インペラチャンバと、前記ハウジング内の前記モータを支持するためのモータチャンバとを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項8】
前記インペラは、遠心インペラである、請求項1~7のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項9】
前記第1の軸方向出口は、前記送風機の第1の側にある軸方向出口であり、且つ前記第2の軸方向出口は、前記送風機の第2の側にある軸方向出口である、請求項1~8のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項10】
第1のインペラと、第2のインペラとを含み、及び前記ハウジングは、第1のインペラチャンバであって、その中で前記第1のインペラが回転する第1のインペラチャンバと、第2のインペラチャンバであって、その中で前記第2のインペラが回転する第2のインペラチャンバとを含み、
前記第1のインペラと前記第2のインペラとは、一緒に回転するように結合されており、前記第1のインペラと前記第2のインペラとが前記第1の回転方向に回転すると、前記第1のインペラは、前記第1の軸方向出口からガス流を発生させ、且つ前記第1のインペラと前記第2のインペラとが前記第2の回転方向に回転すると、前記第2のインペラは、前記第2の軸方向出口からガス流を発生させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項11】
前記第1のインペラ及び前記第2のインペラの回転を駆動するためのモータを含み、前記モータは、ロータと、ステータとを含み、前記第1のインペラと前記第2のインペラとは、前記ロータに結合されている、請求項10に記載の送風機。
【請求項12】
前記ロータは、前記第1のインペラと前記第2のインペラとの間に軸方向に配置されており、
前記ハウジングは、前記第1のインペラチャンバと前記第2のインペラチャンバとの間に軸方向に位置する前記モータのためのモータチャンバを含む、請求項11に記載の送風機。
【請求項13】
前記ステータリングの前記渦巻路以外に渦巻きチャンバを有しない、請求項1~12の何れか1項に記載の送風機。
【請求項14】
各ステータリングは、複数の湾曲したベーンを含み、それぞれの前記渦巻路は、前記湾曲したベーンにより、前記ステータリング内の隣接する渦巻路から分離されている、請求項9又は13に記載の送風機。
【請求項15】
各ステータリングの前記複数の湾曲したベーンは、周方向に離間し、前記インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側に位置する、請求項14に記載の送風機。
【請求項16】
各ステータリングの前記複数の湾曲したベーンは、周方向に離間し、かつ、
前記インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲に位置する、又は、前記インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲に隣接して位置する、請求項14に記載の送風機。
【請求項17】
前記第1のステータリングの渦巻路及び前記第2のステータリングの渦巻路は、前記第1の軸方向出口及び前記第2の軸方向出口を提供する、請求項1~16のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項18】
空気流の速度が前記渦巻路に沿って減少し、流れの圧力が増加するように、各渦巻路は、該渦巻路の少なくとも途中まで、前記空気流の方向に垂直に増加する面積を有する、請求項1~17のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項19】
各渦巻路は湾曲した経路を有し、前記渦巻路の前記インペラチャンバに接続された端部から前記渦巻路の出口端部まで寸法が増加する周方向及び/又は半径方向の幅によって、各渦巻路は前記空気流の方向に垂直に増加する面積を有する、請求項18に記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、患者又はユーザに呼吸ガス流を供給するための送風機を含む呼吸補助システム及び呼吸補助システムのための送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸器の健康問題を治療するために患者又はユーザに供給される呼吸ガス流を発生させるために送風機(ガス供給ユニット)が使用される。例えば、睡眠時無呼吸を治療するための持続的気道陽圧デバイス及び/又はシステムは、ユーザの気道を支持するための陽圧空気流を供給するための送風機を含む。多くの場合、送風機は、ユーザに加湿ガス流を供給するための加湿器と共に使用される。呼吸システムは、加湿器と送風機との両方を含む一体型ガス供給デバイスを含み得る。先行技術の一体型ガス供給デバイスについては、国際特許公開公報国際公開第2013/009193号に記載されている。
【0003】
図1にモジュール式呼吸システムの概略図を示す。システムは、導管を通じて加湿器4と流体連通する送風機2を含む。更なる導管3は、送風機2によって発生し、加湿器によって加湿されたガス流を、患者インターフェイス5を通じてユーザ1に供給する。図2に、送風機2と加湿器4とを単一の一体型ユニット内に含む一体型の送風機及び加湿ユニット6を示す更なる概略図を示す。
【0004】
図1及び図2のシステムでは、患者インターフェイス5は、ユーザの口及び鼻を通じてユーザの気道にガス流を供給するフルフェイスマスクであり得、又は口インターフェイス若しくは鼻インターフェイスであり得る。鼻インターフェイスは、鼻の周りでユーザの顔に密閉され得、又は密閉若しくは非密閉状態のいずれかでユーザの鼻孔に係合され得る。例えば、鼻カニューレは、気密シールを形成することなくユーザの鼻孔に係合するプロングの対を提供し得る。代替的に、鼻インターフェイスは、ユーザの鼻孔に密閉係合する鼻ピローの対を含み得る。
【0005】
本明細書において、特許明細書、他の外部文献、他の情報源を参照する場合、これは、全般的に本発明の特徴を述べるための前後関係を提供するためである。別途具体的に明示されない限り、このような外部文献の参照は、このような文献又はこのような情報源がいかなる法域でも先行技術であること又は当該技術分野における共通の一般知識の一部をなすという承認として解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、改良された送風機若しくは呼吸補助システムを提供すること、又は業界若しくは公共に有用な選択肢を少なくとも提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、流れ又は呼吸ガスを供給するための送風機は、デュアル出口送風機を含む呼吸(補助)システムを含み、送風機の第1の出口及び第2の出口の1つは、鼻インターフェイスの鼻出口の対の1つにガス流を供給し、且つ第1の出口及び第2の出口の他の1つは、鼻インターフェイスの鼻出口の対の他の1つにガス流を供給するか、又は第1の出口及び第2の出口の1つは、口鼻インターフェイスの鼻出口にガス流を供給し、且つ第1の出口及び第2の出口の他の1つは、口鼻インターフェイスの口出口にガス流を供給する。
【0008】
いくつかの実施形態では、送風機は、
インペラと、
インペラチャンバであって、その中でインペラが回転するインペラチャンバと、第1の出口と、第2の出口とを含むハウジングと
を含み、
第1の出口は、インペラが第1の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されており、且つ第2の出口は、インペラが反対の第2の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転では、第1の出口からのガス流は、第2の出口からのガス流よりも大きく、及び
第2の回転方向におけるインペラの回転では、第2の出口からのガス流は、第1の出口からのガス流よりも大きい。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ
反対の第2の回転方向におけるインペラの回転は、第2の出口からの第1のガス流又は第3のガス流及び第1の出口からの第2のガス流又は第4のガス流を発生させ、及び
第1のガス流の流量は、第2のガス流の流量よりも大きく、且つ第3のガス流の流量は、第4のガス流の流量よりも大きい。
【0011】
いくつかの実施形態では、第1のガス流の流量は、第3のガス流の流量と実質的に同じである。
【0012】
いくつかの実施形態では、送風機は、インペラの回転を駆動するためのモータを含み、及びハウジングは、インペラチャンバと、ハウジング内のモータを支持するためのモータチャンバとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラと、第2のインペラとを含み、及びハウジングは、第1のインペラチャンバであって、その中で第1のインペラが回転する第1のインペラチャンバと、第2のインペラチャンバであって、その中で第2のインペラが回転する第2のインペラチャンバとを含み、
第1のインペラと第2のインペラとは、共に回転するように回転自在に結合されており、第1のインペラは、第1のインペラと第2のインペラとが第1の回転方向に回転すると、第1の出口からガス流を発生させるためのものであり、且つ第2のインペラは、第1のインペラと第2のインペラとが第2の回転方向に回転すると、第2の出口からガス流を発生させるためのものである。
【0014】
いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラ及び第2のインペラの回転を駆動するためのモータを含み、モータは、ロータと、ステータとを含み、第1のインペラと第2のインペラとは、ロータに回転自在に結合されている。
【0015】
いくつかの実施形態では、ロータは、第1のインペラと第2のインペラとの間に軸方向に配置されており、
ハウジングは、第1のインペラチャンバと第2のインペラチャンバとの間に軸方向に位置するモータのためのモータチャンバを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、インペラは、遠心インペラである。
【0017】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、インペラチャンバからのガス流を受け入れる渦巻きチャンバを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の出口は、ハウジングから、インペラの第1の回転方向に対して実質的に接線方向に延び、且つ第2の出口は、ハウジングから、インペラの反対の第2の回転方向に対して実質的に接線方向に延びる。
【0019】
いくつかの実施形態では、渦巻きチャンバは、第1のインペラチャンバ及び第2のインペラチャンバからのガス流を受け入れる。
【0020】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、
第1のインペラチャンバからのガス流を受け入れるための第1の渦巻きチャンバであって、第1の出口は、第1の渦巻きチャンバからの第1のガス流を案内するように構成されている、第1の渦巻きチャンバと、
第2のインペラチャンバからのガス流を受け入れるための第2の渦巻きチャンバであって、第2の出口は、第2の渦巻きチャンバからの第2のガス流を案内するように構成されている、第2の渦巻きチャンバと
を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、第1の出口及び第2の出口は、軸方向出口である。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1の出口は、送風機の第1の側にある軸方向出口であり、且つ第2の出口は、送風機の第2の側にある軸方向出口である。
【0023】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、第1のステータリングと、第2のステータリングとを含み、各ステータリングは、複数の渦巻路を含み、第1の軸方向出口は、第1のステータリングの渦巻路を含み、且つ第2の軸方向出口は、第2のステータリングの渦巻路を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、複数の湾曲したベーンを含み、それぞれの前記渦巻路は、前記湾曲したベーンにより、ステータリング内の隣接する渦巻路から分離されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲の半径方向外側に、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲に隣接して、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲において周方向に離間された複数の湾曲したベーンを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、送風機は、
インペラと、
インペラチャンバであって、その中でインペラが回転するインペラチャンバと、第1の出口と、第2の出口とを含むハウジングと
を含み、
第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ
反対の第2の回転方向におけるインペラの回転は、第2の出口からの第1のガス流又は第3のガス流及び第1の出口からの第2のガス流又は第4のガス流を発生させ、及び
第1のガス流の流量は、第2のガス流の流量よりも大きく、且つ第3のガス流の流量は、第4のガス流の流量よりも大きい。
【0027】
いくつかの実施形態では、送風機は、
インペラと、
第1の出口と、第2の出口とを含むインペラハウジングと
を含み、
第1の出口は、ハウジングから、インペラの第1の回転方向に対して実質的に接線方向に延び、且つ第2の出口は、ハウジングから、インペラの反対の第2の回転方向に対して実質的に接線方向に延びる。
【0028】
いくつかの実施形態では、システムは、鼻インターフェイスを含み、インターフェイスは、ユーザの鼻孔の1つを通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための第1の鼻出口と、ユーザの鼻孔の他の1つを通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための第2の鼻出口とを含み、送風機の第1の出口は、鼻インターフェイスの第1の鼻出口と流体連通しており、且つ送風機の第2の出口は、鼻インターフェイスの第2の鼻出口と流体連通しており、
第1の回転方向における送風機のインペラの回転は、鼻インターフェイスの第1の鼻出口へのガス流を発生させ、且つ第2の回転方向におけるインペラの回転は、鼻インターフェイスの第2の鼻出口へのガス流を発生させる。
【0029】
いくつかの実施形態では、システムは、ユーザの鼻孔の1つの閉鎖を判定するためのセンシング機構と、インペラの回転方向を応答制御するためのコントローラとを含み、
ユーザの鼻孔の1つが少なくとも部分的に閉鎖されていることをセンシング機構が検出する場合、センシング機構は、インペラを第1の回転方向及び第2の回転方向の1つに回転させて、ユーザの鼻孔の他の1つに対する流れを発生させ、この逆も同様である。
【0030】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、ユーザの鼻孔に対する又はユーザの鼻孔における圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の1つ又は他方が少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための圧力センサ又はフローセンサを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、
ユーザの鼻孔の1つに対する又はユーザの鼻孔の1つにおける圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の1つが少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための第1の圧力センサ又はフローセンサと、
ユーザの鼻孔の他の1つに対する若しくはユーザの鼻孔の他の1つにおける圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の他の1つが少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための第2の圧力センサ又はフローセンサと
を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、システムは、ユーザの鼻孔の少なくとも1つを通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための鼻出口と、ユーザの口を通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための口出口とを含む口鼻インターフェイスを含み、
送風機ハウジングの第1の出口は、口鼻インターフェイスの鼻出口と流体連通しており、且つ送風機ハウジングの第2の出口は、口鼻インターフェイスの口出口と流体連通しており、
第1の回転方向における送風機のインペラの回転は、鼻出口へのガス流を発生させ、且つ第2の回転方向におけるインペラの回転は、口出口へのガス流を発生させる。
【0033】
いくつかの実施形態では、システムは、ユーザ入力、測定条件、又は所定条件の少なくとも1つに基づき、インペラの回転方向を制御するように構成されているコントローラを含む。
【0034】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、デュアル軸方向出口送風機は、
インペラと、
インペラチャンバであって、その中でインペラが回転するインペラチャンバと、軸方向入口と、第1の軸方向出口と、第2の軸方向出口とを含むハウジングと
を含み、
第1の回転方向におけるインペラの回転では、第1の出口からのガス流は、第2の出口からのガス流よりも大きく、及び
第2の回転方向におけるインペラの回転では、第2の出口からのガス流は、第1の出口からのガス流よりも大きい。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ
反対の第2の回転方向におけるインペラの回転は、第2の出口からの第1のガス流及び第1の出口からの第2のガス流を発生させ、及び
第1のガス流の流量は、第2のガス流の流量よりも大きい。
【0036】
いくつかの実施形態では、送風機は、インペラの回転を駆動するためのモータを含み、及びハウジングは、インペラチャンバと、ハウジング内のモータを支持するためのモータチャンバとを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、インペラは、遠心インペラである。
【0038】
いくつかの実施形態では、第1の出口は、送風機の第1の側にある軸方向出口であり、且つ第2の出口は、送風機の第2の側にある軸方向出口である。
【0039】
いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラと、第2のインペラとを含み、及びハウジングは、第1のインペラチャンバであって、その中で第1のインペラが回転する第1のインペラチャンバと、第2のインペラチャンバであって、その中で第2のインペラが回転する第2のインペラチャンバとを含み、
第1のインペラと第2のインペラとは、共に回転するように回転自在に結合されており、第1のインペラと第2のインペラとが第1の回転方向に回転すると、第1のインペラは、第1の出口からガス流を発生させ、且つ第1のインペラと第2のインペラとが第2の回転方向に回転すると、第2のインペラは、第2の出口からガス流を発生させる。
【0040】
いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラ及び第2のインペラの回転を駆動するためのモータを含み、モータは、ロータと、ステータとを含み、第1のインペラと第2のインペラとは、ロータに回転自在に結合されている。
【0041】
いくつかの実施形態では、ロータは、第1のインペラと第2のインペラとの間に軸方向に配置されており、
ハウジングは、第1のインペラチャンバと第2のインペラチャンバとの間に軸方向に位置するモータのためのモータチャンバを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、第1のステータリングと、第2のステータリングとを含み、各ステータリングは、複数の渦巻路を含み、第1の軸方向出口は、第1のステータリングの渦巻路を含み、且つ第2の軸方向出口は、第2のステータリングの渦巻路を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、送風機は、ステータリングの渦巻路以外に渦巻きチャンバを有しない。
【0044】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、複数の湾曲したベーンを含み、それぞれの前記渦巻路は、前記湾曲したベーンにより、ステータリング内の隣接する渦巻路から分離されている。
【0045】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲の半径方向外側に、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲に隣接して、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲において周方向に離間された複数の湾曲したベーンを含む。
【0046】
本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによれば、デュアル軸方向出口送風機は、
インペラと、
ハウジングであって、
インペラチャンバであって、その中でインペラが回転するインペラチャンバと、
第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口と
を含むハウジングと
を含み、
第1の出口は、インペラが第1の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されており、且つ第2の出口は、インペラが反対の第2の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、インペラは、遠心インペラである。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1の出口は、送風機の第1の側にある軸方向出口であり、且つ第2の出口は、送風機の第2の側にある軸方向出口である。
【0049】
いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラと、第2のインペラとを含み、ハウジングは、第1のインペラチャンバであって、その中で第1のインペラが回転する第1のインペラチャンバと、第2のインペラチャンバであって、その中で第2のインペラが回転する第2のインペラチャンバとを含み、
第1のインペラと第2のインペラとは、共に回転するように回転自在に結合されており、第1のインペラと第2のインペラとが第1の回転方向に回転すると、第1のインペラは、第1の出口からガス流を発生させ、且つ第1のインペラと第2のインペラとが第2の回転方向に回転すると、第2のインペラは、第2の出口からガス流を発生させる。
【0050】
いくつかの実施形態では、ハウジングは、第1のステータリングと、第2のステータリングとを含み、各ステータリングは、複数の渦巻路を含み、第1の軸方向出口は、第1のステータリングの渦巻路を含み、且つ第2の軸方向出口は、第2のステータリングの渦巻路を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、送風機は、ステータリングの渦巻路以外に渦巻きチャンバを有しない。
【0052】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、複数の湾曲したベーンを含み、それぞれの前記渦巻路は、前記湾曲したベーンにより、ステータリング内の隣接する渦巻路から分離されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、各ステータリングは、インペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲の半径方向外側に、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲に隣接して、又はインペラ若しくは第1のインペラ及び第2のインペラのそれぞれの1つの半径方向外側周囲において周方向に離間された複数の湾曲したベーンを含む。
【0054】
本明細書及び特許請求の範囲で「含んでいる」という用語が使用される場合、「少なくとも部分的に~からなっている」を意味する。「含んでいる」という用語を含む本明細書及び特許請求の範囲の各文を解釈する場合、この用語に続くもの以外の特徴も存在し得る。「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの関連用語も同様に解釈される。
【0055】
本明細書中に開示される数の範囲(例えば、1~10)への言及は、その範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9、及び10)、及びその範囲内の有理数のあらゆる範囲(例えば、2~8、1.5~5.5、及び3.1~4.7)への言及も組み込み、したがって本明細書中に明示的に開示される全範囲の全部分範囲を明示的に開示する。これらは、特に意図するものの単なる例であり、列挙する最小値と最大値との間の数値のあらゆる可能な組み合わせを同様に本出願に明示的に記載すると考えるべきである。
【0056】
本明細書で使用する場合、「及び/又は」という用語は、「及び」若しくは「又は」又はこの両方を意味する。
【0057】
本明細書で使用する場合、名詞に続く「(s)」は、この名詞の複数形及び/又は単数形を意味する。
【0058】
本発明に関係する当業者には、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の多くの構造の変更形態並びに広く異なる実施形態及び用途が示唆される。本開示及び本明細書中の記載は、純粋に例示であり、決して限定ではない。
【0059】
本発明は、前述のものを含み、また以下に単なる例として記載する構造を想定する。
【0060】
本発明の好適な実施形態を単なる例として図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図1】先行技術の呼吸システムの概略図である。
図2】別の先行技術の呼吸システムの概略図である。
図3】本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる呼吸システムの概略図である。
図4】本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる送風機の送風機ハウジングを示す。
図5A図4のハウジングを含むが、モータを図から省略した、本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる送風機の分解組立図である。
図5B図4のハウジングを含むが、モータを図から省略した、本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる送風機の分解組立図である。
図6】送風機のインペラの端面図を示すためにハウジングの一部を取り外した図5A及び図5Bの送風機を示す。
図7図6の線IIX-IIXにおける図5A及び図5Bの送風機の断面図を示す。
図8】ハウジングの渦巻きチャンバ及びモータチャンバを示す図4の送風機ハウジングの断面図を示す。
図9】本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる送風機の代替的な送風機ハウジングを示す。
図10図9のハウジングを含む、図9図X-Xにおける断面図である、本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる送風機の断面図を示す。
図11図10の送風機での使用に好適なモータ構成の断面図を示す。
図12図3の呼吸システムで使用され得る典型的なカニューレの断面図を示す。
図13】本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる軸方向出口送風機を示す。
図14】送風機の側部及び各端部から示される図13の送風機の分解組立図を示す。
図15】送風機の側部及び各端部から示される図13の送風機の分解組立図を示す。
図16】送風機の第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口を提供する渦巻路を示すために、送風機のインペラの外径に隣接する平面上にある、図13に示される線XVI-XVIにおいて切断された断面を有する図13の送風機の断面図を示す。
図17】切断平面が送風機の中心を通る、図13の送風機の断面図を示す。
図18図13の送風機のインペラを示す。
図19】送風機シャフト及びインペラの代替的な軸受支持構成を示す。
図20】本明細書中に開示される実施形態の少なくとも1つによる軸方向出口送風機を示す。
図21】送風機の第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口を提供する渦巻路を示すために、送風機の第1のインペラ及び第2のインペラの外径に隣接する平面上にある、図20に示される線XXI-XXIにおいて切断された断面を有する図20の送風機の断面図を示す。
図22】切断平面が送風機の中心を通る、図20の送風機の断面図を示す。
図23】インペラの一方の側及び各端部から見た図20の送風機のインペラを示す。
図24図20の送風機のデュアルインペラ及びロータの組立体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0062】
図を参照して様々な実施形態を記載する。記載する様々な実施形態における同一又は類似の構成要素を示すために全体を通して同一の参照番号を使用する。
【0063】
本開示は、ユーザに呼吸ガス流を供給するための改良された送風機又は呼吸システムに関する。いくつかの実施形態では、ガスは、ユーザの鼻孔に係合する鼻インターフェイスを通じてユーザに供給される。鼻インターフェイスは、非密閉インターフェイスであり得、又は密閉インターフェイスであり得る。いくつかの実施形態では、鼻インターフェイスは、鼻カニューレであり得、又は代替的に、ユーザの各鼻孔を密閉する鼻ピローを有する鼻インターフェイスであり得る。各例において、鼻インターフェイスは、2つの出口を含み、各出口は、ユーザの2つの鼻孔の対応する1つにガス流を供給するためのものである。2つの出口を含む例示的な鼻インターフェイスは、図12に示される。
【0064】
送風機から呼吸ガス流を受け入れるユーザ又は患者の鼻孔の1つは、例えば、ユーザの鼻孔の1つにおいて粘液が増すことで閉鎖されるか又は部分的に閉鎖される場合ある。患者の鼻孔の1つが詰まるか又は部分的に詰まると、呼吸システムにより提供される呼吸ガス治療は、ユーザの両方の鼻孔があまり詰まっていないか又は部分的に詰まっていない場合に比べて有効性が低下する可能性がある。或いは、一部の場合、ユーザは、口で呼吸する方を好む場合があり、そのような状況では、ユーザの鼻孔に空気を流すこと、又はガス流の供給をユーザの鼻孔と口との間で例えば定期的に切り換えることが有益な場合がある。
【0065】
図3の概略図を参照すると、いくつかの実施形態によるシステムは、デュアル出口送風機10を含み、各出口11、12は、鼻インターフェイス5の鼻出口21、22の対の1つにガス流を供給する。
【0066】
本明細書中に記載される実施形態によれば、デュアル出口送風機10は、インペラ15と、第1の出口11と第2の出口12とを含むハウジングとを含む。第1の出口11は、インペラが第1の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されており、且つ第2の出口12は、インペラが反対の第2の回転方向に回転すると、ハウジングからガス流を案内するように構成されている。デュアル出口送風機10は、送風機インペラの回転方向を単に選択することによってユーザの鼻孔の1つ又はユーザの鼻孔の他の1つにガス流を案内するための手段を提供する。ユーザの鼻孔の1つが詰まるか又は部分的に詰まると、インペラの対応する回転方向を選択することによって流れがユーザの鼻孔の他の1つに供給され得る。
【0067】
インペラの回転は、モータ25によって駆動される。モータは、第1の回転方向と反対の第2の回転方向との両方にインペラを回転させるように適合されている。インペラを第1の回転方向に回転させるようにモータを作動させると、ハウジングの第1の出口から出るガス流を発生させる。この流れは、鼻インターフェイスの第1の鼻出口に案内され得る。インペラを反対の第2の回転方向に回転させるようにモータを作動させると、ハウジングの第2の出口から出るガス流を発生させる。この流れは、鼻インターフェイスの第2の鼻出口に案内され得る。
【0068】
本明細書の実施形態によるシステムは、第1の送風機出口11と鼻インターフェイス5の第1の出口21との間に第1の呼吸システム、及び第2の送風機出口12と鼻インターフェイス5の第2の出口22との間に第2の呼吸システムを含み、第1の呼吸システムと第2の呼吸システムとは、空気的に分離している。第1の呼吸システム及び第2の呼吸システムは、それぞれ対応する送風機出口11、12と対応する鼻インターフェイス出口21、22との間に延びる導管3a、3bを含み得る。いくつかの実施形態では、鼻インターフェイスは、第1のルーメンを通じて鼻インターフェイスの第1の出口21と空気連通している第1の入口51と、第2のルーメンを通じて鼻インターフェイスの第2の出口22と空気連通している第2の入口52とを含み、第1のルーメンと第2のルーメンとは、空気的に分離している。第1の導管3aは、送風機の第1の出口11と鼻インターフェイスの第1の入口51との間に延び得、第2の導管3bは、送風機の第2の出口12と鼻インターフェイスの第2の入口52との間に延び得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、システムは、2つの加湿器を含み得る。例えば、図3の概略図によって示されているように、第1の送風機出口12と鼻インターフェイスの第1の出口21との間の第1の呼吸システムは、第1の加湿器4aを含み得、第2の送風機出口12と鼻インターフェイスの第2の出口22との間の第2の呼吸システムは、第2の加湿器4bを含み得。代替的に、システムは、加湿なしで非加湿ガス流をユーザに供給し得る。更なる代替的な実施形態では、送風機入口13を通じて送風機に入るガス流を加湿するために、送風機の上流に1つの加湿器が提供され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、呼吸システムは、ユーザの鼻孔の1つの閉鎖又は部分閉鎖を判定して、インペラの回転方向を応答制御するためのセンシング機構を含む。ユーザの鼻孔の1つが少なくとも部分的に閉鎖されていることをセンシング機構が検出した場合、センシング機構は、インペラを第1の回転方向及び第2の回転方向の1つに回転させて、ユーザの鼻孔の他の1つに対する流れを発生させ得、この逆も同様である。
【0071】
いくつかの実施形態では、センシング機構は、ユーザの鼻孔に対する又はユーザの鼻孔における圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の1つ又は他方が少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための圧力センサ又はフローセンサを含み得る。例えば、センシング機構は、ユーザの鼻孔の1つに対する又はユーザの鼻孔の1つにおける圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の1つが少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための第1の圧力センサ又はフローセンサ61と、ユーザの鼻孔の他の1つに対する又はユーザの鼻孔の他の1つにおける圧力又は流れを検出して、ユーザの鼻孔の他の1つが少なくとも部分的に閉鎖されているかどうかを判定するための第2の圧力センサ又はフローセンサ62とを含み得る。コントローラ40は、ユーザの鼻孔の1つ又は他方が閉鎖されているか又は部分的に閉鎖されているかどうかに応じ、モータ25を作動させて、インペラを第1の方向又は第2の方向に回転させるための信号をセンシング機構から受信するために設けられ得る。例えば、圧力センサ又はフローセンサは、信号を閾値と比較するコントローラに信号を提供し得、信号が、ユーザの鼻孔の1つにおける圧力又は流れが1つの鼻孔が少なくとも部分的に閉鎖されていることを示す所定の閾値を上回るか又は下回ることを示す場合、コントローラは、モータを作動させ、インペラを第1の回転方向及び第2の回転方向の1つに回転させ、閉鎖されていないユーザの鼻孔の1つにガス流を供給し得る。図3では、センサ61、62は、患者インターフェイスに位置するものとして示されているが、センサは、システムの別の場所、例えば送風機の出口11、12に又は送風機出口と鼻インターフェイスの出口との間に位置し得る。
【0072】
いくつかの実施形態では、レスピレータシステムは、デュアル出口送風機10を含み、第1の出口11及び第2の出口12の1つは、ユーザの鼻孔の少なくとも1つにガス流を供給し、第1の出口11及び第2の出口12の他の1つは、ユーザの口にガス流を供給する。いくつかの実施形態では、呼吸補助システムは、口鼻インターフェイスを含む。口鼻マスクは、ユーザの鼻孔の少なくとも1つを通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための少なくとも1つの鼻出口と、ユーザの口を通じてユーザに呼吸ガス流を供給するための口出口とを含む。送風機ハウジングの第1の出口は、口鼻インターフェイスの鼻出口と流体連通しており、且つ送風機ハウジングの第2の出口は、口鼻インターフェイスの口出口と流体連通している。第1の回転方向におけるインペラの回転は、鼻出口へのガス流を発生させ、且つ第2の回転方向におけるインペラの回転は、口出口へのガス流を発生させる。システムは、ユーザ入力、測定条件、又は所定条件の少なくとも1つに基づき、インペラの回転方向を制御するように構成されているコントローラを含み得る。例えば、コントローラは、インペラを、ユーザの口に流れを供給する方向に回転するように制御し得、インペラを、ユーザの鼻孔を定期的に流すために、ユーザの鼻孔に流れを供給する反対方向に定期的に回転するように制御し得る。
【0073】
第1の送風機と、別個の第2の送風機とを含むシステムを提供することも可能である。1つの構成では、第1の送風機は、鼻インターフェイスの鼻出口の対の1つにガス流を供給し得、且つ第2の送風機は、鼻インターフェイスの鼻出口の対の他の1つにガス流を供給し得る。別の構成では、第1の送風機は、口鼻インターフェイスの鼻出口及び口出口の1つにガス流を供給し得、且つ第2の送風機は、口鼻インターフェイスの鼻出口及び口出口の他の1つにガス流を供給し得る。
【0074】
ここで、上述したものなどのシステムに実装するのに好適なデュアル出口送風機の例を、図4図8を参照して記載する。図9図11を参照して記載する送風機を含む更なる代替形態も記載する。
【0075】
図4は、送風機10のハウジング70を示す。図5a及び図5bは、送風機10の分解図を示すが、送風機のモータが省略されている。インペラを駆動するのに好適であり得るモータは、国際公開第2013/009193号に記載されており、その内容は、参照により本明細書に援用される。
【0076】
示されているように、送風機10は、インペラ15と、ハウジング70とを含む。ハウジングは、インペラチャンバであって、その中でインペラが回転して加圧ガス流を発生させるインペラチャンバ20(図7)と、第1の出口11と、第2の出口12とを含む。第1の出口11は、インペラが図6に方向Aと示される第1の回転方向に回転すると、ハウジング70からガス流を案内するように構成されており、第2の出口12は、インペラが図6の方向Bと示される反対の第2の回転方向に回転すると、ハウジング70からガス流を案内するように構成されている。
【0077】
図5a及び図5bに示すように、いくつかの実施形態では、ハウジングは、組み合わせられた2つ以上の部品を含み得る。図示される実施形態では、ハウジングは、第1の又は主要ハウジング部分71と、第1のハウジング部分71に組み付ける第2のハウジング部分又はキャップ72とを含む。第1のハウジング部分71は、第1の出口及び第2の出口を含み得、第2のハウジング部分又はキャップ72は、送風機入口13を含み得る。
【0078】
第1の入口11及び第2の入口12は、それぞれハウジング70の渦巻きチャンバ30から延びる導管を含む。典型的には、ポンプ内の「渦巻きチャンバ」は、ポンプの出口に向かって面積が増加する湾曲した漏斗である。しかしながら、本明細書及び特許請求の範囲では、「渦巻きチャンバ」という用語は、インペラチャンバからインペラによって圧送された空気を受け入れ、空気流の速度を減少させて相対的に高い圧力を生じさせるハウジング又はチャンバを意味するように広く解釈されるべきである。したがって、本明細書に記載される実施形態による送風機の渦巻きチャンバは、必ずしも渦巻き形状ではない。
【0079】
インペラチャンバ内におけるインペラの回転により、送風機の入口13からインペラチャンバ30に空気を引き込む。入口13は、インペラの回転軸線に対して中心に位置していることが好ましい。
【0080】
インペラチャンバ内でインペラが回転すると、インペラは、入口からインペラチャンバに空気を引き込み、インペラチャンバ20と渦巻きチャンバ30との間の通路19を通じてインペラチャンバから渦巻きチャンバに空気を押しやる。渦巻きチャンバ内に集まった空気は、インペラの回転方向に応じて、第1の出口11又は第2の出口12を通じて渦巻きチャンバから送られる。
【0081】
図では、インペラは、1つの方向に回転しているときに、反対方向と比較してより多くの流れを発生させるように構成されているインペラである非対称インペラとして示されている。例えば、非対称インペラでは、インペラのブレード16は、インペラのハブ17から角度をなし且つ/若しくは湾曲し得、又は他にインペラが1つの方向に優先的に回転する形状であり得る。しかしながら、他の実施形態では、インペラは、例えば、直線であるか、又は他に回転方向を問わず所与の回転速度に対して所与の流量を与えるような形状の半径方向に延びるブレードを有して構成されている対称インペラであり得る。
【0082】
いくつかの実施形態では、インペラチャンバ20と渦巻きチャンバ30とは、仕切り壁によって分離されている。いくつかの実施形態では、インペラチャンバは、ハウジング70の仕切り壁35によって渦巻きチャンバから分離されている。いくつかの実施形態では、インペラチャンバ20と渦巻きチャンバ30との間の通路19は、仕切り壁内のアパーチャである。示されているように、いくつかの実施形態では、仕切り壁は、渦巻きチャンバの側壁36まで完全には延びず、通路は、仕切り壁35の縁部37と側壁36との間の間隙19である。側壁は、送風機ハウジングの周囲側壁であり得る。いくつかの実施形態では、通路19は、三日月形である。いくつかの実施形態では、仕切り壁と側壁との間の間隙19は、三日月形である。例えば、図6に最も良く示されているように、間隙19は、三日月形であり、通路の最広箇所19wの両側は、最広箇所の両側の1つ又は複数の狭箇所19nまで細くなっている。図6に示すように、最広箇所19wは、第1の出口11と第2の出口12との間の中間に位置することが好ましい。インペラチャンバと渦巻きチャンバとの間の通路19は、送風機入口13の半径方向外側にある。通路19が壁35のアパーチャである実施形態では、アパーチャは、ハウジングの側壁に隣接していることが好ましい。更に、アパーチャは、第1の出口と第2の出口との間の中間にあることが好ましい。
【0083】
いくつかの実施形態では、第1の出口11及び第2の出口12は、渦巻きチャンバから接線方向に又は実質的に接線方向に延びる。例えば、出口は、ハウジングから、インペラの回転軸線に対する接線から30度未満、又は20度未満、又は10度未満の角度で延び得る。いくつかの実施形態では、第1の出口11は、ハウジングから、インペラの第1の回転方向に対して実質的に接線方向に延び、且つ第2の出口12は、ハウジングから、インペラの反対の第2の回転方向に対して実質的に接線方向に延びる。例えば、図6に示すように、第1の出口と第2の出口とは、これらの出口が平行であり、両方が1つの側方方向に延びるように、ハウジングの中心線又はインペラの回転軸線を通って延びる線上に互いの鏡像になるように配置されている。他の配置構成も可能であり、例えば、第1の出口11と第2の出口12とは、ハウジングから、互いに直角又は90度になるように延び得る。更に別の代替形態では、これらの出口は、直列であり、反対の側方方向に延び得る。例えば、第1の出口11と第2の出口12とが下方に延びる図6を参照すると、いくつかの実施形態では、第1の出口11は、下方に延び得、第2の出口12は、上方に第1の出口と直列に延び得る。図に示されているように、インペラは、遠心インペラである。遠心インペラは、接線速度成分と動径速度成分とに分解することができる流れ速度を発生させる。いくつかの実施形態では、第1の出口は、ハウジングから延び、第1の回転方向に回転しているとき、インペラによって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れるように構成されており、第2の出口は、ハウジングから延び、第2の回転方向に回転しているとき、インペラによって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れるように構成されている。したがって、モータの回転方向を変えることによってインペラの回転方向を単に変えることにより、主にハウジングの第1の出口又は第2の出口のいずれかから空気流が案内され得る。送風機の配置構成は、モータの方向制御により、バルブ及びバルブ作動デバイスなどの他のデバイスを要することなく、選択した出口、したがってユーザの鼻孔の選択された1つ又はユーザの鼻及び口の選択された1つに流れを供給するように構成されている。
【0084】
いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、第1のガス流は、第2のガス流よりも大きい。インペラから第1の出口及び第2の出口への流路が等しく、インペラが対称である実施形態において、反対の第2の回転方向におけるインペラの回転は、第2の出口からの第1のガス流及び第1の出口からの第2のガス流を発生させる。換言すると、所与のインペラ速度に対し、第1の回転方向において、第1の出口を通じて特定の流量が提供され、第2の回転方向において、同じ流量が第2の出口によって提供される。或いは、例えば、インペラが非対称である場合、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ反対の第2の回転方向におけるインペラの回転は、第2の出口からの第3のガス流及び第1の出口からの第4のガス流を発生させ、第1のガス流の流量は、第2のガス流の流量よりも大きく、且つ第3のガス流の流量は、第4のガス流の流量よりも大きい。対称な送風機構成では、第3の流量は、第1の流量に実質的に等しく、第4の流量は、第2の流量に実質的に等しい。
【0085】
いくつかの実施形態では、ハウジング10は、送風機のハウジング内にモータを収容するためのモータチャンバ60を提供する。いくつかの実施形態では、渦巻きチャンバ30は、モータチャンバ60の周囲に延びる。換言すると、モータは、環状渦巻きチャンバ30の半径方向内側に位置する。いくつかの実施形態では、モータは、環状渦巻きチャンバの半径方向内側に位置する。モータ又はインペラのシャフトがインペラとモータとの間に延びて、インペラをモータに回転自在に結合することができるように、アパーチャがモータチャンバとインペラチャンバとの間に設けられている。モータを環状渦巻きの半径方向内側に配置することで、平らな(軸方向長さが短い)送風機構成を実現する。
【0086】
いくつかの実施形態では、送風機は、1つ以上の電子回路基板を含み得、例えば、送風機は、モータ制御電子機器を含み得る。いくつかの実施形態では、電子機器は、送風機から遠隔に設けられ得る。このような一実施形態では、送風機へのケーブルにより、リモートモータコントローラからモータに通信並びにモータ制御電流及び/又は電圧を提供し得る。
【0087】
図4に示される送風機の流れ性能データの表を以下に記載する。遮断流れは、出口を遮断した状態で送風機出口11、12において発生した圧力を示す。バイアス抵抗流れは、インターフェイスからの出口が遮断されているときに患者インターフェイス(例えば、図3の鼻カニューレ5)から出る流れである。例えば、抵抗を有するインターフェイスにおいて、10cmH2Oにおいて約30~40lpmで出る漏れがある。バイアス流れは、患者による吸入及び吐出とは独立した呼吸システム内の最小の漏れである。オープンフローは、下流の流れ抵抗がない状態において出口11、12で得られる流量である。
【0088】
【表1】
【0089】
表に示すように、インペラが1つの方向に回転するオープンフローでは、1つの出口の流量は、他の1つの出口の流れの約20%である。しかしながら、この2つの出口の流れの顕著な差は、実際には認められていない。バイアス流れでは、1つの出口の流量は、他の1つの出口の流れの約80%である。通常動作において、吐出中、送風機は、遮断流れ(流れなし)とバイアス流れとの間の範囲の流れを提供し、吸入中、バイアス流れを含む、送風機によって提供される最大流れは、10Krpmにおいて約80lpmであり得る。したがって、通常動作において、吸入中、1つの出口の流量は、他の1つの出口の流れの約3分の1であり得る。
【0090】
図9図11を参照して代替的な送風機110について記載する。図9に代替的なハウジング170が示されており、図10にモータを省略した送風機110の断面図が示されている。図9のハウジングを含む送風機は、図10に示されているように、2つのインペラ15a及び15bを含む。2つのインペラは軸方向に離間されている。ハウジング170は、第1のインペラ15aを受け入れるための第1のインペラチャンバ20aと、第2のインペラ15bを受け入れるための第2のインペラチャンバ20bとを含む。第1の仕切り壁35aは、第1のインペラチャンバ20aを第1の渦巻きチャンバ30aから分離している。第2の仕切り壁35bは、第2のインペラチャンバ20bを第2の渦巻きチャンバ30bから分離している。いくつかの実施形態では、ハウジング170は、第1のインペラチャンバ及び第2のインペラチャンバの両方からのガス流を受け入れる単一の渦巻きチャンバを含み得る。図4図8の実施形態を参照して記載したように、各インペラチャンバは、1つ又は複数の渦巻きチャンバとアパーチャ又は間隙19a、19bを通じて連通する。図9及び図10の実施形態では、ハウジングは、単一のモータチャンバ60を含む。ステータとロータとを含むモータがモータチャンバ内に配置されている。モータチャンバ及びモータは、第1のインペラチャンバと第2のインペラチャンバとの間に軸方向に位置している。ロータと、第1のインペラと、第2のインペラとが一緒に回転するように、ロータは、第1のインペラ15aと第2のインペラ15bとに結合されている。第1の回転方向において、第1のインペラは、第1の出口11を通って第1の渦巻きチャンバ又は渦巻きチャンバを出るガス流を発生させる。第2の回転方向において、第2のインペラは、第2の出口12を通って第2の渦巻きチャンバ又は渦巻きチャンバを出るガス流を発生させる。
【0091】
図11に、送風機110で使用するための例示的なロータ及びデュアルインペラ構成が示されている。モータ25は、シャフト28によって第1のインペラ15aと第2のインペラ15bとに結合されたロータ26を含む。ロータは、ステータ27内に配置されており、軸受要素29によって支持されており、ステータ27に対して回転する。軸受要素は、軸受取付部31によって支持されている。軸受取付部は、例えば、エラストマーから形成され、弾性であり得る。図示される実施形態では、軸受要素は、ステータと軸受要素との間に位置する軸受取付部31によって支持されており、軸受要素はシャフト上に位置している。ステータは、送風機ハウジング170のモータチャンバ60内に支持されている。ステータをモータチャンバ60内に取り付けるために、弾性取付部が設けられ得る。図4図8を参照して記載した送風機10で類似のモータ及びインペラの配置構成を用い得るが、1つのインペラは、モータの一端から延びるシャフト27に結合されている。
【0092】
図4図8並びに図9及び図10に示される送風機は、遠心送風機であり、接線空気流を発生させるための、ハウジングを有する遠心インペラ(又は複数のインペラ)を含む。しかしながら、他の実施形態では、デュアル出口送風機は、軸方向空気流を発生させるための、1つ又は複数のインペラと、ハウジングとを含み得る。いくつかの実施形態では、インペラを含む送風機は、送風機の第1の側に第1の軸方向出口、及び送風機の第2の側に第2の軸方向出口を含む。第1の回転方向において、インペラは、ハウジングの第1の軸方向出口から出るガス流を発生させる。第2の回転方向において、インペラは、ハウジングの第2の軸方向出口から出るガス流を発生させる。いくつかの実施形態では、送風機は、第1のインペラを受け入れるための第1のインペラチャンバと、第2のインペラを受け入れるための第2のインペラチャンバと、第1のインペラチャンバと関連付けられた第1の軸方向出口と、第2のインペラチャンバと関連付けられた第2の軸方向出口とを有するハウジングを含む。ハウジングはまた、単一のモータチャンバを含み得る。ステータとロータとを含むモータがモータチャンバ内に配置されている。モータチャンバ及びモータは、第1のインペラチャンバと第2のインペラチャンバとの間に軸方向に位置し得る。軸方向送風機は、ロータと、第1のインペラと、第2のインペラとが一緒に回転するように、ロータが第1のインペラと第2のインペラとに結合されている、図12に示される構成のようなデュアルインペラとロータの構成を含み得る。第1の回転方向において、第1のインペラは、ハウジングの第1の軸方向出口から出るガス流を発生させる。第2の回転方向において、第2のインペラは、ハウジングの第2の軸方向出口から出るガス流を発生させる。1つ又は複数のインペラは、遠心インペラであり得る。
【0093】
図13図19を参照して、例示的なデュアル軸方向出口送風機が記載されている。送風機210は、ハウジング270を含む。ハウジングは、第1のハウジング部分271と、第2のハウジング部分272とを含み得る。ハウジングは、周囲壁275によって軸方向に離間されている、第1の壁273と、第2の壁274とを含む。第1の壁及び第2の壁と周囲壁は、組み合わされてインペラ215を受け入れるためのインペラチャンバ20を形成する。第1の壁及び第2の壁は、好ましくは、平面であり、送風機のインペラの回転軸線に垂直である。図示される実施形態では、第1の壁及び第2の壁は、環状である。
【0094】
ハウジングは、第1の中心ハブ276と、第2の中心ハブ277とを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の中心ハブ276は、半径方向のリブ278によって第1の環状壁273の内部周囲に接続されている。いくつかの実施形態では、第2の中心ハブ277は、リブ279によって第2の環状壁274の内部周囲に接続されている。好ましくは、各ハブを各環状壁に接続しているリブは、ハブと環状壁との間に半径方向に延びる。
【0095】
いくつかの実施形態では、第1の中心ハブ276が第1の環状壁273から軸方向に離間され、インペラチャンバ20から軸方向に離れて配置されるように、第1の環状壁273と第1の中心ハブ276との間に延びる半径方向のリブ278は、軸方向延在部278aと、半径方向延在部278bとを含む。これにより、第1の中心ハブ276と、第1の中心ハブと第1の環状壁との間に延びるリブ278とによって画定される凹設領域を形成する。凹設領域は、ステータ227と、ロータ226とを含むモータ225を受け入れるためのモータチャンバ60を形成する。第1のハブ276は、ステータの支持体、第1の軸受229の少なくとも部分支持体としての役割を果たし、ロータ226及びインペラ215の組立体の支持を更に提供する。リブ278間のアパーチャ又は間隙213は、第1の軸方向入口213を提供する。これにより、モータの冷却も提供される。
【0096】
第2の中心ハブ277は、第2の軸受の少なくとも部分支持体を提供し、ロータ226及びインペラ215の組立体の支持も更に提供する。いくつかの実施形態では、リブ279間のアパーチャ又は間隙214は、第2の軸方向入口214を提供する。
【0097】
モータ225は、ステータ227と、ロータ226とを含む。ステータは、半径方向のリブ278によって支持されており、リブの軸方向部分278aによって半径方向に配置されており、及びリブの半径方向部分278bによって軸方向に配置されている。ステータ227は、トロイダル巻線227bを有する環状スタック積層コア227aを含む。ロータは、シャフト228に結合されている環状又はトロイダル磁石226aを含む。シャフトの下端部は、環状磁石を受け入れるための、環状磁石226aの内径に対応する外径を有する環状リベート228aを有する。シャフト228は、軸受管の形態の円筒状管であり得る。例えば、軸受229は、各端部が軸受管内に配置されている。各軸受は、外部環状軸受レース/ハウジングと、内部環状軸受レース/ハウジングと、これらの間を移動可能な玉軸受又はころ軸受とを含み得る。1つの非限定的な例として、軸受は、約4mm~8mmの外径、約1.5mm~3mmの内径、及び約2mm~4mmの厚さを有し得る。
【0098】
外部軸受レースは、内部軸受レースに対して回転する。内部軸受レースは、静止したままであり得る。代替的な形態では、平面軸受又はブッシュが代わりに使用され得る。シャフト228は、第1の中心ハブと第2の中心ハブとの間に支持されている。第1のハウジング部品及び第2のハウジング部品の両方は、スタブアクスル269a、269bを含み、スタブアクスル269a、269bは、中心ハブから延びる弾力及び/又は弾性突起の形態であり、シャフトの各端部において、各軸受内に延び、各軸受に結合する。突起は、各軸受の軸受レース内に延び、各軸受の軸受レースに結合している。好ましくは、スタブアクスルは、エラストマー(例えば、シリコーン)又は他の弾力及び/若しくは弾性材料から形成されており、各軸受レース内に摩擦嵌合している。或いは、スタブアクスルは、中実及び/又は剛性とすることができ、弾性及び/又は可撓性材料でオーバーモールドされている。或いは、スタブアクスルは、中実であり得る。スタブアクスル/軸受配置構成は、シャフトが、簡単に支持される手法で第1のハブ及び第2のハブに回転自在に支持/結合されることを可能にする。
【0099】
例えば、外部軸受レースの外径は、約4mmであり得る。中空シャフトは、軸受レースのすべり嵌めを可能にするために、約4mmの対応する直径を有し得る。リベート228aにおける外部シャフト寸法は、約5mmであり得る。
【0100】
インペラ215は、シャフト228上に結合され得る(例えば、プレス嵌め)か又はシャフト228と一体形成され得る。シャフトは、従来のトポロジーにおけるシャフトと同様の直径のものとすることができ、インペラの堅固な機械的結合を可能にする。軸受はシャフトの内部に取り付けられていることから、シャフトの直径は軸受の内径に影響されない。シャフトの外径は、したがって、インペラの堅固な結合を可能にするほどの適切な寸法、例えば約5mm又は代替的に約3mm~約5mmであり得る。軸受はシャフトの内部にあり、軸受の寸法(例えば、直径寸法)を、許容できる軸受速度に基づいて選択することができることから、(不必要に高い軸受速度につながる)軸受径の寸法の影響なく大径シャフトも依然として使用することができる。
【0101】
同様に、磁石/ロータ226a/226がシャフトに押し込まれる。シャフトは、堅固な結合を可能にするほどの適切な寸法であり得るという同様の利点がこの場合も当てはまる。
【0102】
インペラ215は、ハブ部分217と、ハブ部分から半径方向に延び、ハブ部分に接続している(完全な長さの)ブレード(「ベーン」と呼ばれることもある)216とを含む。図示される実施形態では、ブレードは、ハブから半径方向に延びるが、他の配置構成も可能であり得、例えば、ブレードは、インペラの回転方向に対して前方に角度をなし得る。ブレードは、平坦若しくは直線であり得、又はブレードは、湾曲し得る。環状リブ/リング218は、完全な長さのブレード間に延び、ブレードの周囲に向かって剛性を与える。図17に示すように、リングは、外側半径方向縁部及び内側半径方向縁部に向かって厚さが減少し得る。ハブの途中まで延びる複数の短いスタブ(部分的な長さの)ブレード216b(「スプリッタブレード」とも称される)が、完全な長さのブレード216間に空間をあけて配置されている。環状リブ218もスタブブレード216b間に延びることで、スタブブレード216bを完全な長さのブレードにより支持する。スタブブレードは、ハブにおける空隙を減少させる、ハブまで延びる材料を必要とすることなく、付加的なブレードによって通常得られる付加的な圧力を提供する。ハブにおける空隙の減少は、送風機210の最大流れ性能を低減する。ブレードの数が多すぎる(したがって、ブレードが多すぎることによりハブにおける空隙が少なすぎる)場合、入口流が閉塞し、送風機の出口空気流を制限する。
【0103】
材料特性及び構築技法では、液体の密度が高いことから、液体を圧送する場合、ブレード数を増加させると有利であるとされている。例えば、回転速度(Hz)をブレードの数で乗じ、ブレード通過周波数を求める。ヒトの聴覚は、300Hz~15kHzのトーン入力に敏感であるため、音楽的なものではない場合には騒音として分類する。高周波の音波は、低周波の騒音に比べて減衰が容易である。典型的なCPAP(持続的気道陽圧)送風機は、約180毎秒回転数の回転速度を有する。したがって、減衰特性を向上させるためにブレード数を増加させると有利である。7、11、13、17、19及び23などの不等の異なる素数は、ロータとステータとの間の一般的な部分相互作用の減少を促進する。別の例として、流れ面積を急激に増加させることによる流体の減速は、境界層分離、流れの反転、及び乱流損失につながる可能性がある。拡散メカニズムによる圧力損失の回復では、ブレード間の角度は12度を超えるべきではないとされている。全周(360度)をブレード厚さ角度と流路角度との合計によって除すると、最適な拡散のための最小ブレード数を算出することができる。最適なものより多くのブレードを付加すると、流路寸法が減少し、圧力損失が増加する。
【0104】
しかし、単一のブレードが支持しなければならない力を分散させるため、且つ騒音除去を補助するためにブレード数を増加させると、インペラ内の流路の寸法が減少し、不利になる。本発明者らは、スタブ/スプリッタブレードを使用することによってこの課題を克服している。ハブの近傍における閉塞を最小にするために、いくつかのブレードが先端を切り取られ得、これは、スプリッタブレードと呼ばれる。スプリッタブレードは、その荷重の一部をハブに伝達するために支持円板又は覆い上に配置され得る。しかし、ブリスク(blisk)(ブレード付きディスク)及び覆い付きインペラは、回転モーメントがかなり高くなる。本発明者らは、記載したようにスプリッタブレードをリブ218上に支持することによってこれを回避している。これにより、覆い又は円板にかかる慣性を低減すると共に閉塞も最小にする。
【0105】
ハウジングは、第1の壁273を取り囲む第1のステータリング281と、第2の壁274を取り囲む第2のステータリング282とを含む。各ステータリングは、外部周囲壁283と、内部周囲壁284とを含む。図に示すように、いくつかの実施形態では、第1の及び/又は第2のステータリングの外部周囲壁は、ステータリングから軸方向に延びて、インペラチャンバ20の周囲壁275を形成している。図示される実施形態では、インペラチャンバの周囲壁275は、第1のステータリングの外部周囲壁283と一体形成されていると共に、第1のステータリングの外部周囲壁283から軸方向に延びる。第2のハウジング部分272の第2のステータリング282の外部周囲壁284は、第1のハウジング部分271のインペラハウジング20の周囲壁275に当接している。第1のハウジング部品271と第2のハウジング部品272とは、差込みピン、バンプ、スナップ嵌合、接着剤、超音波若しくは摩擦溶接、又は任意の他の適切な手段によって互いに合わせられ得る。ステータリングは、流路の固定リングである。
【0106】
第1のステータリング281及び第2のステータリング282のそれぞれにおいて、内部周囲壁283と外部周囲壁284との間に、インペラ215からの空気流を受け入れて減速し、圧力を生成するための例えば湾曲したチャネル285、286(図16を参照されたい)が形成されている。したがって、前述の実施形態のような渦巻きチャンバよりもむしろ、図13図19の軸方向出口実施形態では、第1のステータリング281及び第2のステータリング282のそれぞれが、リング内に周方向に離間された小さい渦巻きチャンバ又は渦巻路285、286のリングを提供する。渦巻路285、286は、インペラ215の半径方向外側に位置するか、又はインペラのインペラブレード216、216bの半径方向外側周囲に隣接して位置するか若しくはインペラのインペラブレード216、216bの半径方向外側周囲に位置する。
【0107】
第1のステータリング281及び第2のステータリング282は、第1の軸方向出口285及び第2の軸方向出口286を提供する。第1のステータリング281及び第2のステータリング282の渦巻路285、286は、第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口を提供する。したがって、第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口のそれぞれは、複数の出口経路を含み、各出口経路は、渦巻路である。空気流の速度が渦巻路に沿って減少し、流れの圧力が増加するように、渦巻路は、渦巻路の少なくとも途中まで空気流の方向に垂直に増加する面積を有する。例えば、周方向若しくは半径方向の幅又はこの両方は、渦巻路のインペラチャンバ端部から渦巻路の出口端部まで寸法が増加し得る。
【0108】
第1のステータリング281の渦巻路285は、第1の回転方向に回転しているとき、第2のステータリング282の渦巻路286に比べて、空気流の接線速度成分のより大きい部分をインペラ215から受け入れるように構成されている。また、第2の反対の回転方向に回転するインペラでは、第2のステータリング282の渦巻路286は、第1のステータリング281の渦巻路285に比べて、インペラ215から空気流の接線速度成分のより大きい部分を受け入れるように構成されている。いくつかの実施形態では、第1のステータリング281の渦巻路285は、インペラチャンバ20から延び、第1の回転方向に回転しているとき、インペラ215によって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れ、第2のステータリング282の渦巻路286はインペラチャンバ20から延び、第2の回転方向に回転しているとき、インペラ215によって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れる。したがって、モータ225の回転方向を変えることによってインペラ215の回転方向を単に変えることにより、ハウジングの第1の軸方向出口285又は第2の軸方向出口286の主にいずれかからの空気流が案内され得る。好適な実施形態では、インペラ215は、対称なインペラであり、第1のステータリング281と第2のステータリング282とは同一であるが、第1の回転方向におけるインペラの回転が第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ反対の第2の回転方向におけるインペラの回転が第2の出口からの第1のガス流及び第1の出口からの第2のガス流を発生させるように、1つのステータリングは、インペラの回転軸線上で他の1つのステータリングに対して180度反転されている。第1のガス流は、第2のガス流よりも大きい。換言すると、所与のインペラ速度に対し、第1の回転方向において、第1の出口285を通じて特定の流量が提供され、第2の回転方向において、同じ流量が第2の出口286によって提供される。しかしながら、代替的な実施形態では、インペラ及び/又はステータリングは、第1の回転方向及び第2の回転方向において、所与の速度に対し、第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口から異なる流れを提供するように構成され得る。
【0109】
図16に最も良く示されているように、第1のステータリングの渦巻路285は、インペラチャンバ20から、第1の回転方向において、送風機の第1の軸方向Iに向かって回転するインペラ215の接線方向から湾曲する281。第2のステータリング282の渦巻路286は、インペラチャンバ20から、第2の反対側の回転方向において、送風機の第2の軸方向IIに向かって回転するインペラの反対側の接線方向から湾曲する。換言すると、第1のステータリングの渦巻路285は、第1の軸方向Iから第2の回転方向に回転するインペラの接線方向に向かって湾曲し、第2のステータリング282の渦巻路286は、第2の軸方向IIから第1の回転方向に回転するインペラの反対側の接線方向に向かって湾曲する。
【0110】
また、図16に最も良く示されているように、各ステータリング281、282において、各渦巻路285、286は、湾曲したリブ又はベーン287により、隣接する渦巻路から分離されている。いくつかの実施形態では、各湾曲したリブ287は、リブの軸方向長さに沿って、インペラチャンバからリブの軸方向出口端部に向かって増加する、ステータリングの周方向に延びる幅を有する。いくつかの実施形態では、湾曲したリブ287の周方向幅は、リブのインペラチャンバ端部の箇所まで減少する。
【0111】
モータ225は、インペラを回転させて所望の出力空気流(圧力及び/又は流量の両方)を生成するために、電源と、コントローラとを使用して制御される。空気は、インペラの回転により、冷却を提供するためにモータ上を含め、軸方向入口を形成するアパーチャ213、214内に引かれ、インペラのブレードにより第1のステータリング281及び第2のステータリング282に案内される。第1の回転方向では、より大きい圧力/流れが第2の軸方向出口286よりも第1の軸方向出口285において発生するように、インペラによって発生した空気流の接線速度成分のより多くが第2のステータリング282よりも第1のステータリング281によって受け入れられる。第2の回転方向では、より大きい圧力/流れが第1の軸方向出口285よりも第2の軸方向出口286において発生するように、インペラによって発生した空気流の接線速度成分のより多くが第1のステータリング281よりも第2のステータリング282によって受け入れられる。したがって、いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口285からの第1のガス流、第2の出口286からの第2のガス流を発生させ、第1のガス流は、第2のガス流よりも大きい。各ステータリングは、流れを減速して圧力を生成し、流れは、送風機のステータリング/軸方向出口を軸方向に出るように案内される。
【0112】
いくつかの実施形態では、送風機は、単一の軸方向入口のみを含み得る。例えば、送風機は、第1の環状壁273から第1のハブ276を支持するリブ278間に間隙又はアパーチャ213を含む第1の軸方向入口213のみを含み得る。第2の壁274は、ハウジング270の周囲壁275内に延びるディスク又はプレート又は連続的なカバーであり得、第2の中心ハブ277は第2の壁274の中心に形成されており、第2の中心ハブの周りにリブ及び対応するアパーチャはない。或いは、送風機は、第2の環状壁274から第2のハブ277を支持するリブ279間に間隙又はアパーチャ214を含む第2の軸方向入口214のみを含み得る。第1の壁273は、環状部分内の半径方向に、モータ225を受け入れるための環状壁部分と、凹設壁部分とを含み得、第1の中心ハブ276は、凹設部分の中心に形成されており、第1の中心ハブの周りにリブ及び対応するアパーチャはない。
【0113】
図19を参照すると、別の代替形態では、スタブアクスルは、軸受の全体に延びない可能性がある。むしろ、各スタブアクスルは、軸受内の一部のみに延びる(例えば、スタブアクスル269cを参照されたい)か又は軸受に接触するのみ(例えば、スタブアクスル269dを参照されたい)である可能性がある。これら配置構成は、十分な支持をなお提供し、回転を可能にする。
【0114】
モータの他のトポロジーも可能であり、記載したものは単に例示である。例えば、ブラシ付き又はブラシレスDCモータ、ACモータ、インダクタンスモータ、又は可変リラクタンスモータが使用され得る。ロータ及びステータは、記載したもの以外の形態を取ることができる。
【0115】
記載したデュアル軸方向実施形態は、いくつかの利点を有する。記載したデュアル軸方向実施形態は、プロファイル及び/又は平面の両方においてフットプリントを低減した送風機を提供する。小さいフットプリントは、小さいハウジングを可能にする。小さいフットプリントの理由の1つは、ステータリングが、1つ又は複数の渦巻きチャンバを省略することを可能にし、送風機の全体的な直径及び/又は高さを低減すると共に、ハウジング直径に対するブレードの長さの比率も増加させることである(即ち、ブレードの長さのためのスペースは、渦巻きチャンバの存在によって低減されず、渦巻きチャンバを有するハウジングに比べて、利用可能なフットプリント直径のより多くをブレードの長さに使用することを可能にする)。
【0116】
実施形態はまた、より小型の(即ち直径、厚さ及び/又は重量が小さい)インペラの使用を可能にする。これは、更に、より小型/軽量の送風機及び/又は慣性が小さい送風機をもたらす。より小型/軽量のトポロジーは、送風機を、ポータブルで、小型化された状態で及び/又は頭部若しくはマスク取付式のCPAP、高流量治療、又は他の呼吸装置で使用することを可能にする。
【0117】
一例として、インペラは、直径約48mmのリングの内部に約47mmの直径を有し得、98%のハウジング直径に対するブレード長さの比率を提供する。別の例は、半径約20mmのハウジング内に約18mmのブレードであり、90%の配分である。これらは単なる例示であり、他の直径も可能である。送風機の典型的な容器/フットプリントは、
・直径:≦約52mm、
・高さ:≦約20mm、
・重量:≦約50g(例えば、27g)
であり得る。
【0118】
これら寸法の小型インペラは、上述の用途での使用に適していない。これは、通常の速度(毎分回転数)で動作する場合、その空気流特性が、必要な治療を提供するのに不十分な(例えば、この性質の小型インペラによって発生した流量及び/又は圧力が十分でない)ことが理由である。更に、これらの速度は、いくつかの欠点をもたらすことから、これらのインペラを高速で駆動して必要な流量及び/又は圧力を生成することは不可能であった。例えば、速度を増加させると、軸受は、より高い速度及び/又は温度で動作する。これにより、セラミック、より高価な空気軸受又は流体軸受などの特殊な軸受の使用が必要になる。軸受の速度を低減するために、より小径の軸受レース及び軸受を使用する必要がある。これにより、シャフトがなお軸受レースの中心を通ることができるように、シャフト直径を低減することが必要になる。より小径のシャフトを使用する場合、例えば、一体設計又は摩擦嵌合によってインペラ及び/又はロータ磁石を取り付けることがはるかに困難である。これを実施可能な状態で行うには製造公差が厳密になりすぎる。したがって、小型のインペラの収容は、現在まで実現不可能であった。別の代替形態は、複数のインペラステージを有する送風機を使用することであるが、これにはより費用がかかり、大型となり、製造がより困難になる。
【0119】
図13の実施形態は、これらの課題の1つ以上を克服することができ、単一ステージ送風機におけるより小型のインペラの使用を可能にする。使用されるシャフトは、中空であるか又は少なくとも部分的に中空である。軸受は、シャフトの内部に取り付けられている。これは、2つのことを可能にする。第1に、シャフト直径を前述のものと同一又は類似の寸法のものとすることを可能にするため、インペラ及び/又はロータ(又は磁石)を通常の手法でシャフトに組み込むか又は取り付けることができ、第2に、軸受が内部に配置されていることから、(同一直径のシャフトをなお有しながらも)より小径の軸受の使用を可能にする。したがって、これにより、インペラがより高速で回転し、より小径のインペラで必要な流量及び/又は圧力を生成することを可能にする。しかし、インペラ/シャフトが高速で動作しているにもかかわらず、より小径の軸受は、従来使用されているより大径の軸受に比べて低速で動作し、上述の高速に関する課題を回避する。スタブアクスルは、したがって、軸受の内レースへの接続を可能にし、スタブアクスルの弾力/弾性は、シャフトが回転する際の弾力を可能にする。この配置構成はまた、シャフト及び/又は軸受における渦電流を低減又は排除する。渦電流は、軸受を劣化させるおそれがある。
【0120】
加えて、スタブブレード並びに空気入口の数及び/又は寸法の増加は、より短いブレードの長さからより大きい圧力を発生させることを可能にする。
【0121】
軸方向出口は、送風機フットプリントを増加する可能性のある接線出口ダクトの必要を排除する。
【0122】
この配置構成は、低減されたフットプリント又はより低い(低い)プロファイルを提供する単一ステージ(デュアル)軸方向入力/デュアル軸方向出力送風機も可能にする。記載されている実施形態は、渦巻きチャンバを有しないために寸法も減少する。ステータリングは、静圧を生成する。いくつかの実施形態では、軸方向気流入口は、モータのステータの冷却を可能にする。
【0123】
ここで、図20図24を参照して記載する更なる実施形態では、デュアル軸方向出口送風機310は、図23に示されているように、2つのインペラ315a及び315bを含み得る。2つのインペラは、軸方向に離間されている。ハウジング370は、第1のインペラ315aを受け入れるための第1のインペラチャンバ20aと、第2のインペラ315bを受け入れるための第2のインペラチャンバ20bとを含む。
【0124】
ハウジングは、周囲壁375aによって軸方向に離間されている、第1の壁373aと、第2の壁374aとを含む。先の単一のインペラの実施形態に関して上述したように、第1の壁及び第2の壁と周囲壁とは、組み合わされて、第1のインペラ315aを受け入れるための第1のインペラチャンバ20aを形成する。
【0125】
付加的に、ハウジング370は、第2の周囲壁375bによって軸方向に離間されている、第3の壁373bと、第4の壁374bとを含む。第3の壁及び第4の壁と第2の周囲壁とは、組み合わされて第2のインペラ315bを受け入れるための第2のインペラチャンバ20bを形成する。図示される実施形態では、第1の壁、第2の壁、第3の壁、及び第4の壁は、環状である。第1のインペラチャンバ20aと第2のインペラチャンバ20bとは、同一であり得るが、1つのインペラチャンバは、他のインペラチャンバに対してインペラの回転軸線上で180度反転されている。
【0126】
ハウジングは、第1の中心ハブ376と、第2の中心ハブ377とを更に含む。いくつかの実施形態では、第1の中心ハブは、半径方向のリブ378によって第1の環状壁373aの内部周囲に接続されている。いくつかの実施形態では、第2の中心ハブ377は、リブ379によって第3の環状壁373bの内部周囲に接続されている。好ましくは、各ハブを各環状壁に接続しているリブは、ハブと環状壁との間に半径方向に延びる。
【0127】
第1のハブ376は、第1の軸受229の少なくとも部分支持体を提供し、ロータ226及びデュアルインペラ315a、315bの組立体の支持も更に提供する。リブ378間のアパーチャ又は間隙313は、第1の軸方向入口を提供する。第2の中心ハブ377は、第2の軸受229の少なくとも部分支持体を提供し、ロータ226及びデュアルインペラ315a、315bの組立体の支持も更に提供する。いくつかの実施形態では、リブ間のアパーチャ又は間隙314は、第2の軸方向入口を提供する。
【0128】
図20の実施形態において、ハウジング370は、単一のモータチャンバ60を含む。ステータ227とロータ226とを含むモータがモータチャンバ内に配置されている。モータチャンバ及びモータは、第1のインペラチャンバ20aと第2のインペラチャンバ20bとの間に軸方向に位置している。例として及び示されているように、モータチャンバ60は、ハウジング370の第2の壁と第4の壁との間に延びる周囲壁によって提供され得る。ロータと、第1のインペラと、第2のインペラとが一緒に回転するように、ロータ226は、第1のインペラ315a及び第2のインペラ315bに結合されている。
【0129】
図24に、送風機310で使用される例示的なロータ及びデュアルインペラの構成が示されている。ロータ及びインペラの配置構成は、図17を参照して上述したものと類似するか又は同一であり得るが、ロータ磁石226aをシャフト328に沿った中間において支持するのに十分な長さのシャフト328を有すると共に、シャフトの各端部に位置するか又はロータ磁石のいずれかの軸方向側のシャフト上に位置する第1のインペラ315a及び第2のインペラ315bを有する。シャフトは、2つの部品で形成され、ロータ内に若しくはロータにプレス嵌めされ得、又は他に互いに固定され得る。シャフトの各部品は、2つのインペラのそれぞれの1つにプレス嵌めされ得、又は他に2つのインペラのそれぞれの1つに接続されるか若しくは2つのインペラのそれぞれの1つと一体形成され得る。単一のインペラを含む図13の先の実施形態で記載したように、ロータは、ステータ227内に配置されており、第1のハブ376及び第2のハブ377にあるスタブアクスル269a、269b上に軸受要素により支持されている。ステータをモータチャンバ60内に取り付けるために弾性取付部が設けられ得る。
【0130】
第1のインペラ315aと第2のインペラ315bとは、同一であり得るが、1つのインペラは、他のインペラに対してインペラの回転軸線上で180度反転されている。例示的な第1のインペラ及び第2のインペラを図23により詳細に示す(第1のインペラと第2のインペラとは同一である)。インペラ315a、315bは、ハブ部分317と、ハブ部分から半径方向に延び、ハブ部分に接続している平坦前進角付き(完全な長さの)ブレード(「ベーン」と呼ばれることがある)316とを含む。(或いはブレードは、後退角付き又は半径方向であり得る)。各ブレードは、ハブ317から延びる垂直(回転軸線に平行な)平坦部分を含む。環状リブ/リング318がブレード316内に形成されており、ブレード316間に延び、ブレードの周囲に剛性を与える。リングは、各ステータリング出口381、382に向かって湾曲し、ブレードに剛性を与えると共に、対応するステータリング内に空気流も案内する。ハブの途中まで延びる複数の短いスタブ(部分的な長さの)ブレード316b(「スプリッタブレード」とも称される)が完全な長さのブレード316間に空間をあけて配置されている。示される例示的実施形態では、隣接する完全な長さのブレードの各対間に3つのスタブブレードがある。環状リブ318はまた、スタブブレード316b内に形成されると共に、スタブブレード316b間に延びるため、スタブブレード316bを支持する。スタブブレードは、ハブにおける空隙を減少させる、ハブまで延びる材料を必要とすることなく、付加的なブレードによって通常得られる付加的な圧力を提供する。ハブにおける空隙の減少は、送風機310の最大流れ性能を低減する。ブレードの数が多すぎる(したがって、ブレードが多すぎることによりハブにおける空隙が少なすぎる)場合、入口流が閉塞し、送風機の出口空気流を制限する。したがって、図23のインペラは、図13図19を参照して上述した単一のインペラのデュアル軸方向出口送風機に関して上述したものと同じ関連の利点を有するが、回転方向に応じた圧力を優先的に生成するように、回転方向に対して前方に湾曲したブレードを用いて更に最適化されている。
【0131】
ハウジングは、第1の環状壁373を取り囲む第1のステータリング281と、第3の環状壁373bを取り囲む第2のステータリング282とを含む。ステータリング281、282は、図13の単一のインペラの実施形態に関して上述したものである。第1のインペラ315aは、インペラのリング318が第1のステータリング281の渦巻路285まで湾曲するように構成されており、第2のインペラ315bは、インペラのリング318が第2のステータリング282の渦巻路286まで湾曲するように構成されている。
【0132】
ロータ226並びに第1のインペラ315a及び第2のインペラ315bの組立体が回転すると、第1のインペラは、第1のステータリング281において圧力及び流れを生成し、第2のインペラは、第2のステータリング282において圧力及び流れを生成する。しかしながら、第1の回転方向に関して、第1のインペラ315aのブレードは、前進しているか又は前方に湾曲しており、第2のインペラ315bのブレードは、後退しているか又は後方に湾曲している。第1のインペラのブレードと第2のインペラのブレードとの反対の湾曲により、第1の回転方向に回転しているとき、第1のインペラは、第2のインペラが第2のステータリング282において生成するよりも大きい圧力を第1のステータリング281において生成する。また、第2の回転方向に回転しているとき、第2のインペラは、第1のインペラが第1のステータリング281において生成するよりも大きい圧力を第2のステータリング282において生成する。更に、第1のステータリングの渦巻路は、第1の回転方向に回転しているとき、第2の回転方向に回転しているときに比べて、空気流の接線速度成分のより大きい部分を第1のインペラから受け入れるように構成されている。また、第2のステータリングの渦巻路は、第2の回転方向に回転しているとき、第1の回転方向に回転しているときに比べて、第2のインペラから空気流の接線速度成分のより大きい部分を受け入れるように構成されている。したがって、ロータ並びに第1のインペラ及び第2のインペラの組立体が第1の回転方向に回転しているとき、第2の軸方向出口に比べて、第1の軸方向出口からより大きい圧力及び/又は流れが発生する。また、ロータ並びに第1のインペラ及び第2のインペラの組立体が第2の回転方向に回転しているとき、第1の軸方向出口に比べて、第2の軸方向出口からより大きい圧力及び/又は流れが発生する。したがって、いくつかの実施形態では、第1の回転方向におけるインペラの回転は、第1の出口285からの第1のガス流、第2の出口286からの第2のガス流を発生させ、第1のガス流は、第2のガス流よりも大きい。
【0133】
いくつかの実施形態では、第1のステータリング281の渦巻路285は、第1のインペラチャンバ20aから延び、第1の回転方向に回転しているとき、第1のインペラによって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れ、第2のステータリング282の渦巻路286は、第2のインペラチャンバ20bから延び、第2の回転方向に回転しているとき、第2のインペラによって発生した空気流の接線速度成分の少なくとも大部分を受け入れる。したがって、モータの回転方向を変えることによってロータ並びに第1のインペラ及び第2のインペラの組立体の回転方向を単に変えることにより、ハウジングの第1の軸方向出口又は第2の軸方向出口の主にいずれかからの空気流が案内され得る。好適な実施形態では、第1のインペラ315a及び第1のステータリング281は、第2のインペラ315b及び第2のステータリング282と同一であるが、第1の回転方向におけるインペラ及びロータの組立体の回転が第1の出口からの第1のガス流及び第2の出口からの第2のガス流を発生させ、且つ反対の第2の回転方向におけるインペラの回転が第2の出口からの第1のガス流及び第1の出口からの第2のガス流を発生させるように、1つのインペラ及びステータリングは、他のインペラ及びステータリングに対してインペラの回転軸線上で180度反転されている。第1のガス流は、第2のガス流よりも大きい。換言すると、所与のインペラ速度に対し、第1の回転方向において、第1の出口を通じて特定の流量が提供され、第2の回転方向において、同じ流量が第2の出口によって提供される。しかしながら、代替的な実施形態では、インペラ及び/又はステータリングは、第1の回転方向及び第2の回転方向において、所与の速度に対し、第1の軸方向出口及び第2の軸方向出口から異なる流れを提供するように構成され得る。
【0134】
モータは、インペラを回転させて所望の出力空気流(圧力及び/又は流量の両方)を生成するために、電源と、コントローラとを使用して制御される。空気は、ロータ及びデュアルインペラの組立体の回転によって軸方向入口のアパーチャ内に引かれ、第1のインペラ及び第2のインペラにより第1のステータリング及び第2のステータリングに案内される。各ステータリングは、流れを減速して圧力を生成し、流れは、送風機のステータリング/軸方向出口を軸方向に出るように案内される。
【0135】
上述の軸方向出口送風機はまた、第1の出口マニホールドと、第2の出口マニホールドとを含み得る。第1の出口マニホールドは、第1のステータリングの出口282から流れを受け入れ、この流れを第1のステータリングから第1の出口マニホールドの出口に案内するための入口を含み得る。同様に、第2の出口マニホールドは、第2のステータリングの出口282から流れを受け入れ、この流れを第2のステータリングから第2の出口マニホールドの出口に案内するための入口を含み得る。第1の出口マニホールド及び第2の出口マニホールドのそれぞれの出口は、単一の出口であり得、軸方向出口であり得る。
【0136】
前述の記載において、整数又はその既知の均等物を有する構成要素を参照してきたが、これらの整数は、個々に記載するかのように本明細書に組み込まれる。
【0137】
本発明の前述の記載は、その好適な形態を含む。特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく修正形態がなされ得る。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図23
図24