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特許7389808アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021540042
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-02
(86)【国際出願番号】 IB2020050094
(87)【国際公開番号】W WO2020144580
(87)【国際公開日】2020-07-16
【審査請求日】2021-08-27
(31)【優先権主張番号】62/789,791
(32)【優先日】2019-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512319830
【氏名又は名称】タレス・カナダ・インク
【氏名又は名称原語表記】THALES CANADA INC.
【住所又は居所原語表記】105 Moatfield Drive, Suite 100, Toronto, Ontario, M3B 0A4, Canada
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100205833
【弁理士】
【氏名又は名称】宮谷 昂佑
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン キャスタン
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0286959(US,A1)
【文献】特開2009-294147(JP,A)
【文献】特開2005-067276(JP,A)
【文献】特開2018-085058(JP,A)
【文献】特開2010-137644(JP,A)
【文献】特許第5753301(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を動的に検出、分離、及び推定するためのシステムであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号を提供し、前記システムは、
メモリユニットであって、アクチュエータパラメータデータ及び前記アクチュエータの構成要素の少なくとも1つのモデルを記憶するように構成されており、各構成要素は前記アクチュエータパラメータデータ内の対応するパラメータと関連付けられている、メモリユニットと、
前記メモリユニットに動作可能に接続されるセンサ監視ユニットであって、前記アクチュエータ指令信号及び前記アクチュエータの変位を示す前記信号を受信し前記アクチュエータの変位を示す前記信号及び前記アクチュエータ指令信号に基づいて、前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを使用することにより、前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号内の所与の振動の存在を決定するように構成される、センサ監視ユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続されるトリガユニットであって、前記アクチュエータ指令信号及び前記アクチュエータの変位を示す前記信号を受信し前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを使用することにより、前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号についての許容値の包絡線を動的に計算し、前記アクチュエータの変位を示す前記信号が前記計算された許容値の包絡線の外側にあるか否かを決定し、トリガ信号を取得するように構成される、トリガユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続されるパラメータ及び状態推定ユニットであって、前記アクチュエータ指令信号及び前記アクチュエータの変位を示す前記信号を受信し前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを使用することにより、前記アクチュエータの各対応するパラメータ及び状態を推定し、前記アクチュエータの各対応するパラメータおよび状態についての複数の残留推定を示す信号を取得するように構成される、パラメータ及び状態推定ユニットと、
前記パラメータ及び前記状態推定ユニット、並びに前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記分離ユニットは、前記トリガ信号を受信し、前記アクチュエータの各対応するパラメータ及び状態についての前記複数の残留推定を受信し、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの少なくとも1つのパラメータを決定、前記メモリユニットにおいて前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルにより使用される前記アクチュエータパラメータデータにおける、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの値更新するように構成される、前記分離ユニットと、
を備える、システム。
【請求項2】
記センサ監視ユニットは、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を受信し、前記アクチュエータによって作動される表面の変位における振動を示す前記信号内の所与の振動の存在を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記分離ユニットは、各々のパラメータについての許容値のそれぞれの範囲に基づいて、それぞれのモデルを用いて、許容値の前記包絡線動的に計算するように構成される、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記アクチュエータは電気油圧サーボアクチュエータ(EHSA)及び電気バックアップ液圧アクチュエータ(EBHA)からなる群から選択される、請求項1乃至3の何れか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記アクチュエータはセンサから構成され、前記システムは前記センサの劣化を決定するために使用される、請求項1乃至4の何れか一項に記載のシステム。
【請求項6】
アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を動的に検出、分離、及び推定するためのシステムであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を提供し、前記システムは、
アクチュエータデータ及び前記アクチュエータの少なくとも1つの数学的モデルを記憶するためのメモリユニットと、
前記メモリユニットに動作可能に接続されるセンサ監視ユニットであって、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信、前記アクチュエータの変位における振動を示す前記信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号の1つにおける所与の振動の存在を決定し、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを決定するように構成される、センサ監視ユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続されるトリガユニットであって、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、前記アクチュエータの位置が許容値の所の包絡線の外側にあるか否かを決定し、トリガ信号を取得するように構成される、トリガユニットと、
少なくとも1つの推定パラメータユニットであって、前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々は、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続されており、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを使用することにより、前記アクチュエータの対応するパラメータ又は状態の1つを推定し、前記アクチュエータの各対応するパラメータ及び状態についての複数の残留推定を取得するように構成される、少なくとも1つの推定パラメータユニットと、
前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々、及び前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記分離ユニットは、前記アクチュエータの前記位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの対応するパラメータ及び対応する状態のうち少なくとも1つを決定、前記メモリユニットにおいて前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルにより使用される前記アクチュエータパラメータデータにおける、前記アクチュエータの前記位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの対応するパラメータの値及び対応する状態のうち前記少なくとも1つの値を更新するように構成される、前記分離ユニットと、
を備える、システム。
【請求項7】
アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定する方法であって、前記方法は、プロセッサによって実行され、前記プロセッサは、アクチュエータパラメータデータを用いて、前記アクチュエータの構成要素の少なくとも1つのモデルにアクセスすることができ、各構成要素は、前記アクチュエータパラメータデータ内の対応するパラメータに関連付けられており、前記方法は、
前記アクチュエータの制御信号の取得と、
前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号内の所与の振動の存在の決定と
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号ついての許容値の包絡線の動的な計算と、
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを用いて計算された許容値の包絡線の外側にあるか否かの決定と、
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号が前記計算された包絡線の外側にある場合、
前記少なくとも1つのモデルを用いた、前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、
前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの値による前記少なくとも1つのモデルの更新と、
を含む、方法。
【請求項8】
前記アクチュエータは位置制御され、更に、前記制御信号は位置制御信号である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記アクチュエータは速度制御され、更に、前記制御信号は速度制御信号である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号が更に取得される、請求項7乃至9の何れか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記アクチュエータの変位に対する許容値の前記包絡線の計算は動的に実行される、請求項7乃至10の何れか一項に記載の方法。
【請求項12】
コンピュータ実行可能な命令を格納するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータ実行可能な命令は、実行されると、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を動的に検出、分離、及び推定するための方法をコンピュータに実行させ、前記コンピュータは、前記アクチュエータ指令信号及びアクチュエータパラメータデータを用いて、前記アクチュエータの構成要素の少なくとも1つのモデルにアクセスすることができ、前記方法は、
前記アクチュエータの制御信号の取得と、
前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号内の所与の振動の存在の決定と
前記アクチュエータの前記変位を示す前記信号ついての許容値の包絡線の計算と、
前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、
前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にある場合、
前記アクチュエータの前記構成要素の前記少なくとも1つのモデルを用いた、前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、
前記アクチュエータの変位を示す前記信号が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、
前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの値による前記少なくとも1つのモデルの更新と、
を含む、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年1月8日に出願された米国仮出願第62/789,791号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明の1つ又は複数の実施形態は、アクチュエータを監視する分野に関する。より正確には、本発明の1つ又は複数の実施形態は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
アクチュエータを監視できることは非常に興味深い。
【0004】
残念ながら、アクチュエータを監視するための従来技術の方法は多くの制限を受ける。
【0005】
例えば、従来技術の方法の限界は、アクチュエータの構成要素の劣化を検出することができないことである。
【0006】
従来技術の方法の別の制限は、それらが複雑であり、所与の特定のアクチュエータに通常制限されることである。
【0007】
上記の欠点の少なくとも1つを克服する方法及びシステムが必要とされている。
【0008】
本発明の特徴は、以下の本発明の開示、図面、及び説明を検討することによって明らかになるであろう。
【発明の概要】
【0009】
広い態様によれば、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステムが開示され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号を提供し、前記システムは、アクチュエータパラメータデータを記憶するためのメモリユニットと、前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号を受信するセンサ監視ユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示し、前記センサ監視ユニットは、前記アクチュエータの変位を示す信号内の所与の振動の存在を決定する、センサ監視ユニットと、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号を受信するトリガユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示し、許容値の包絡線を計算し、前記アクチュエータの変位を示す信号が前記計算された許容値の包絡線の外側にあるか否かを決定するためのトリガユニットと、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、更に前記アクチュエータ指令信号を受信するパラメータ及び状態推定ユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示す、前記アクチュエータの各対応するパラメータ及び状態を推定するためのパラメータ及び状態推定ユニットと、前記パラメータ及び前記状態推定ユニット、並びに前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの少なくとも1つのパラメータを決定、及び提供するための分離ユニットと、を備え、更に、前記メモリユニットは、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの値で更新される。
【0010】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータは、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を更に提供し、前記センサ監視ユニットは、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号内の所与の振動の存在と、前記アクチュエータの変位を示す前記信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つと、を決定する。
【0011】
1つ又は複数の実施形態によれば、許容値の前記包絡線は動的に計算される。
【0012】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータは電気油圧サーボアクチュエータ(EHSA)及び電気バックアップ液圧アクチュエータ(EBHA)からなる群から選択される。
【0013】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータはセンサから構成され、前記システムは前記センサの劣化を決定するために使用される。
【0014】
広い態様によれば、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステムが開示され、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を提供し、前記システムは、アクチュエータデータを記憶するためのメモリユニットと、前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を受信するセンサ監視ユニットであって、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおける所与の振動の存在、並びに前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを決定するセンサ監視ユニットと、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信するトリガユニットであって、前記トリガユニットは、前記アクチュエータの位置が許容値の所定の包絡線の外側にあるか否かを決定するためのトリガユニットと、少なくとも1つの推定パラメータユニットであって、前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々は、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、更に前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、各推定パラメータユニットが前記アクチュエータの対応するパラメータ又は状態の1つを推定するための少なくとも1つの推定パラメータユニットと、前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々、及び前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記アクチュエータの位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの対応するパラメータ及び対応する状態のうち少なくとも1つを決定及び提供するための分離ユニットと、を備え、更に、前記メモリユニットは、前記アクチュエータの前記位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの対応するパラメータの値及び対応する状態で更新される。
【0015】
広い態様によれば、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定する方法が開示され、前記方法は、前記アクチュエータの制御信号の取得と、前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、前記アクチュエータの前記変位に対する許容値の包絡線の計算と、前記アクチュエータの前記変位が計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にある場合、前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、前記アクチュエータの変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの表示の提供と、を含む。
【0016】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータは位置制御され、更に、前記制御信号は位置制御信号である。
【0017】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータは速度制御され、更に、前記制御信号は速度制御信号である。
【0018】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号が更に取得される。
【0019】
1つ又は複数の実施形態によれば、前記アクチュエータの変位に対する許容値の前記包絡線の計算は動的に実行される。
【0020】
広い態様によれば、コンピュータ実行可能な命令を格納するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が開示され、実行されると、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法をコンピュータに実行させ、前記方法は、前記アクチュエータの制御信号の取得と、前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、前記アクチュエータの前記変位に対する許容値の包絡線の計算と、前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にある場合、前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、前記アクチュエータの変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの表示の提供と、を含む。
【0021】
本明細書に開示される方法の1つ又は複数の実施形態は、様々な理由から非常に有利である。
【0022】
より正確には、第1の理由は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステムの1つ又は複数の実施形態が構成要素の劣化の表示を提供することである。したがって、故障が発生する前に故障を予想することが可能であり、これは非常に有利である。
【0023】
第2の理由は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステムの1つ又は複数の実施形態が特定のアクチュエータアーキテクチャに依存せず、数学モデルが既知であるならば様々なタイプのアーキテクチャに対して実装され得ることである。
【0024】
第3の理由は、全ての数学モデルをそれに応じて調整するために、対応する構成要素の推定された劣化が記録され、全ての数学モデルに再注入されることである。
【0025】
本発明を容易に理解できるようにするために、本発明の1つ又は複数の実施形態を添付の図面に例として示す。
【0026】
本発明の1つ又は複数の実施形態及びその利点の更なる詳細は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するシステムの一実施形態を示す。
図2】アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図3図3Aは、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためにシステムと共に使用され得る質量-バネ減衰システムの実施形態を示す。図3Bは、図3Aに示す質量-バネ減衰システムと等価な閉ループを示す。
図4図3Aに示す質量-バネ減衰システムの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するシステムの一実施形態を示す。
図5】時間に対する指令に対する質量?バネ減衰位置を示すグラフ、時間に対する劣化分離を示すグラフ、及び時間に対する再構成を示すグラフである。
図6】バイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを計算するためのシステムの一実施形態を示すブロック図である。
図7】アクチュエータの変位を示す信号に対する許容値の包絡線を決定するためのユニットの一実施形態を示すブロック図である。
図8】パラメータ及び状態推定ユニットの一実施形態を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の実施形態の説明は、添付の図面を参照することにより本発明を実施することができる例を示す。
【0029】
用語
「発明」等の用語は、特に明記しない限り、「本願に開示される1つ以上の発明」を意味する。
【0030】
「態様」、「実施形態」、「一実施形態」、「1つ又は複数の実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「1つの実施形態」、「別の実施形態」等の用語は、特に明記しない限り、開示された発明の「1つ又は複数の(ただし、全てではない)実施形態」を意味する。
【0031】
実施形態を説明する際の「別の実施形態」又は「別の態様」への言及は、特に明記しない限り、参照された実施形態が別の実施形態(例えば、参照された実施形態の前に説明された実施形態)と相互に排他的であることを意味しない。
【0032】
「含む(including)」、「備える(comprising)」、及びそれらの変形は、特に明記しない限り、「含むがこれに限定されない」を意味する。
【0033】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、別段の明示の規定がない限り、「1以上」を意味する。
【0034】
「複数」という用語は、特に明記しない限り、「2つ以上」を意味する。
【0035】
「本明細書中」という用語は、特に明記しない限り、「本出願において、参考として援用され得るものを含む」を意味する。
【0036】
「それによって」という用語は、本明細書において、先に明示的に記載されている何かの意図された結果、目的、又は結果のみを表現する条項又は他の一連の言葉の前にのみ使用される。従って、「それによって」という用語がクレームにおいて使用される場合、「それによって」という用語は、クレームの特定の更なる限定を確立しないか、或いはその他クレームの意味若しくは範囲を制限しない。
【0037】
「e.g.」等の用語は、「例えば」を意味し、従って、それらが説明する用語又は句を限定しない。
【0038】
「i.e.」等の用語は、「すなわち」を意味し、従って、それらが説明する用語又は句を限定する。
【0039】
「発明の名称」も「要約書」も、本開示の発明の範囲としていかなる形でも限定するものと解釈されるべきではない。本出願の発明の名称及び本出願で提供されるセクションの見出しは、便宜上のものにすぎず、いかなる形でも本開示を限定するものと解釈されるべきではない。
【0040】
本出願では、多数の実施形態が説明されており、説明の目的のためだけに提示される。記載された実施形態は、いかなる意味においても限定するものではなく、限定することを意図するものではない。本開示から容易に明らかであるように、本発明の1つ又は複数の実施形態は、多数の実施形態に広く適用可能である。当業者であれば、本発明の開示された1つ又は複数の実施形態は、構造的及び論理的修正等の様々な修正及び変更を伴って実施され得ることを認識するであろう。開示された本発明の1つ又は複数の実施形態の特定の特徴は、1つ又は複数の特定の実施形態及び/又は図面を参照して説明されてもよいが、そのような特徴は特に指定されない限り、それらが説明される1つ又は複数の特定の実施形態又は図面における使用に限定されないことを理解されたい。
【0041】
この全てを念頭に置いて、本発明の1つ又は複数の実施形態は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステムを対象とする。
【0042】
本システムは、様々な構成で使用され得ることが理解されるであろう。
【0043】
例えば、一構成では、本システムは、アクチュエータが電気油圧サーボアクチュエータ(EHSA)である構成で使用される。代替的な実施形態では、本システムは、アクチュエータが電気バックアップ液圧式アクチュエータ(EBHA)である構成で使用される。
【0044】
実際、アクチュエータは、種々なタイプであってもよいことが理解されるであろう。例えば、アクチュエータは、アクチュエータとセンサとの組み合わせであってもよい。代替的な実施形態では、本システムは、センサの劣化を決定するために使用されることが理解されるであろう。
【0045】
本発明を更に説明するために、図4に示すアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するために、本システムの実施形態を使用して監視され得る質量-バネダンパシステム300の実施形態を図3Aに開示する。
【0046】
この実施形態では、質量-バネダンパシステム300の位置は、図示しないコンピュータによって制御される。質量-バネダンパシステム300は、質量体302、バネ304、及びダンパ306を備える。質量体302は、バネ304を介して固定ベース308に接続されることが理解されよう。ダンパ306は、固定ベース308にバネ304と平行に取り付けられている。
【0047】
質量体302は、質量mによって特徴付けられる。
【0048】
バネ304は、バネ定数kによって特徴付けられる。
【0049】
ダンパ306は、減衰Bによって特徴付けられる。
【0050】
従って、質量-バネダンパシステム300は、劣化を受ける可能性のある2つの構成要素、すなわち、バネ304及びダンパ306を備えることを理解されたい。各構成要素は、対応するパラメータ、すなわち、バネ304に対するバネ定数k、及びダンパ306に対する減衰Bによって特徴付けられる。したがって、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための本システムの目的は、この実施形態では、バネ304及びダンパ306のうち少なくとも1つの劣化を検出、分離、及び推定することである。
【0051】
次に、図3Bを参照して、図3Aでは質量-バネダンパシステム300の閉ループの均等物が示される。
【0052】
この実施形態では、yはシステム300の変位を示す信号であり、xは質量-バネダンパシステム300の位置を示す信号である。
【0053】
rは指令信号であり、uは制御信号である。
【0054】
eは、指令信号rとシステム300の変位を示す信号との間の差に等しい誤差信号である。
【0055】
以下に更に説明するように、作業するためには、アクチュエータの数学的モデル又はモデル化がアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステムによって必要とされることが理解されよう。当業者は、アクチュエータの数学的モデル化が様々な実施形態に従って提供され得ることを理解するであろう。アクチュエータの数学的モデル化は、アクチュエータが位置制御信号で制御される場合、制御信号u及びアクチュエータ位置信号と同様に、アクチュエータをモニタするための対応するパラメータの少なくともそれぞれを含む処方であることが理解されよう。
【0056】
図3Aに示される質量-バネダンパシステム300の実施形態において、式は以下の通りである。
【0057】
【数1】
【0058】
Bはダンパ306の減衰であり、kはバネ304のバネ定数であり、Mは質量体302であり、
である。
【0059】
次に、図1を参照して、ライン交換可能ユニット(LRU)100は、制御信号uをアクチュエータ114に供給することが理解されよう。アクチュエータ114に提供される制御信号uは、アクチュエータ114の制御に用いられる。一実施形態において、制御信号uは、アクチュエータ114の位置を制御するために使用される。別の代替的な実施形態において、制御信号uは、アクチュエータ114の速度を制御するために使用される。
【0060】
アクチュエータ102は、アクチュエータ114の変位を示す信号y1、及びアクチュエータ114によって作動される表面の変位を示す信号y2を提供する。
【0061】
システム112は、アクチュエータ114の対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するために使用される。
【0062】
アクチュエータ114の対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステム112は、センサ監視ユニット102、トリガユニット104、パラメータ及び状態推定ユニット106、分離ユニット108、並びにメモリユニット110を備えることが理解されよう。
【0063】
より正確には、センサ監視ユニット102は、アクチュエータ114の変位を示す信号y1及びアクチュエータ114によって作動される表面の変位を示す信号y2のうち少なくとも1つにおける所与の振動の存在を決定するために使用される。
【0064】
センサ監視ユニット102は、更に、アクチュエータ114の変位を示す信号y1及びアクチュエータ114によって作動される表面の変位を示す信号y2のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つの存在を決定するために使用される。
【0065】
次に、図4を参照して、図3Aに示される質量-バネダンパシステム300の実施形態では、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステム400は、センサ監視ユニット402、トリガユニット404、パラメータ及び状態推定ユニット408、分離ユニット406、並びにメモリユニット410を備えることが理解されよう。
【0066】
センサ監視ユニット402は、システム300の変位を示す信号y内の所与の振動の存在を決定するために使用されることが理解されよう。システム300の変位を示す信号yにおける振動の検出は、様々な実施形態に従って行われてもよいことが理解されよう。
【0067】
一実施形態では、発振の検出は、3次バタワースノッチフィルタ、3次バタワースノッチフィルタの出力に動作可能に接続される閾値デバイス、及びカウンタの出力に動作可能に接続されるカウンタを使用して行われる。
【0068】
当業者は、システム300の変位を示す信号yにおける振動の検出を実行するために、多くの様々な代替的な実施形態が可能であり得ることを理解するであろう。
【0069】
より正確には、3次バタワースノッチがシステム300の変位を示す信号yをフィルタリングし、システム300の変位を示す対応するフィルタリングされた信号yを提供する。
【0070】
システム300の変位を示すフィルタリングされた信号yは、3次バタワースノッチフィルタの出力に動作可能に接続される閾値デバイスに供給される。
【0071】
閾値デバイスは、対応する入力信号が所与の閾値を超えたときに信号を出力することが理解されよう。
【0072】
カウンタの目的は、システム300の変位を示すフィルタリングされた信号yが所定の閾値を超える回数をカウントすることであることが理解されよう。所与の閾値は、当業者に知られている様々な実施形態に従って定義することができることが理解されよう。
【0073】
従って、カウンタは、システム300の変位を示すフィルタリングされた信号yにおける所与の閾値の超過頻度を決定するために使用される。
【0074】
前述のように、対応するセンサ監視ユニット102は、アクチュエータ114の変位を示す信号y1及びアクチュエータ114によって作動される表面の変位を示す信号y2におけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを決定するためにも使用されることが理解されよう。
【0075】
バイアス及びドリフトは、当業者に知られていることが理解されよう。
【0076】
実際、センサバイアス及びドリフトを評価するためには、2つのセンサが必要であることが理解されよう。事実上、第1のセンサは、アクチュエータ114の変位を測定し、アクチュエータ114の変位を示す対応する信号を提供し、一方で、第2のセンサは、アクチュエータ114によって作動される表面の変位を測定し、アクチュエータ114によって作動される表面の変位を示す対応する信号y2を提供するために使用されることが理解されよう。
【0077】
より正確には、上述のアクチュエータ114の数学的モデル又はモデル化が使用されることが理解されよう。数学的モデルは、監視するアクチュエータの構成要素の対応するパラメータの各々、制御信号u、並びに、制御信号uが位置制御信号である場合におけるアクチュエータの測定位置及び制御信号uが速度制御信号の場合におけるアクチュエータの測定速度のうち少なくとも1つを含むことが理解されよう。
【0078】
次に、図6を参照して、バイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを計算するためのシステム600の一実施形態を示す。バイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを計算するためのシステム600は、オブザーバ602、ルックアップテーブル604、及び論理モジュール606を備える。
【0079】
オブザーバ602は、アクチュエータの変位を示す信号y1の推定を提供するために使用される。
【0080】
より正確には、オブザーバ602は、制御信号u、アクチュエータの変位を示す信号y1、並びにアクチュエータの変位を示す信号y1のバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを示す信号を受信し、アクチュエータの変位を示す信号y1の推定を提供する。
【0081】
ルックアップテーブル604は、2つの測定値間の等価性を確立するために使用される。
【0082】
図6に示される実施形態では、ルックアップテーブル604は、表面の変位を示す信号y2を受信し、アクチュエータの変位を示す信号y1の対応する推定を提供する。
【0083】
論理モジュール606は、アクチュエータの変位を示す信号y1のバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを示す信号、並びに表面の変位を示す信号y2のバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを示す信号を生成するために使用される。実際、ルックアップテーブル606との2つの測定値の間の比較は、アクチュエータセンサ上及び表面位置センサ上に存在する全バイアスを決定することを可能にすることが理解されよう。一実施形態において、全バイアスは、負荷効果に補正される。バイアス及びドリフトは、様々な代替的な実施形態に従って決定され得ることが理解されよう。例えば、数学的モデル化を使用することにより、アクチュエータの変位を示す信号y1及び表面の変位を示す信号y2におけるドリフトと同様にバイアスを決定してもよい。
【0084】
センサ監視ユニット102は、様々な実施形態に従って実施されてもよいことが理解されよう。一実施形態において、センサ監視ユニット102は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)半導体を使用して実装される。別の実施形態において、センサ監視ユニット102は、専用回路を使用して実装される。別の実施形態において、センサ監視ユニット102は、マイクロコントローラを使用して実装される。別の実施形態において、センサ監視ユニット102は、ソフトウェアで実装され、ライン交換可能ユニット100又は他の場所に統合される。
【0085】
図3Aに開示された実施形態の場合、センサは、システム300の変位を示す信号yを提供する。
【0086】
次に、図1を参照して、アクチュエータの変位を示す信号y1が許容値の所与の包絡線の外側にあるか否かを判定するために、トリガユニット104が使用されることが理解されよう。このような状態は、アクチュエータ114の少なくとも1つの構成要素の劣化又は故障を示すことが理解されよう。許容値の所与の包絡線は、一実施形態では動的に生成されることが理解されよう。
【0087】
更に図1を参照して、トリガユニット104は、アクチュエータ114に提供される制御信号u、アクチュエータの変位を示す信号y1、並びアクチュエータの変位を示す信号y1のバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを示す信号を受信することが理解されよう。
【0088】
トリガユニット104は、更に、メモリユニット110から、アクチュエータ114の構成要素のパラメータの推定を示す信号を受信する。トリガユニット104は、アクチュエータ114の数学的モデルを更に使用することが理解されよう。
【0089】
上述のように、アクチュエータ114の位置が進展する許容値の包絡線は動的に設計されることが理解されよう。許容値の包絡線を設計するために、監視すべき少なくとも1つの構成要素に対応する各パラメータの許容値の範囲が評価される。以下で更に説明するように、各パラメータの許容値の範囲を有する2つの数学的モデルが構築される。
【0090】
次に、図7を参照して、トリガユニット104のアクチュエータの変位を示す信号y1に対する許容値の包絡線を決定するためのユニット700の一実施形態を示す。
【0091】
アクチュエータの変位を示す信号y1に対する許容値の包絡線を決定するためのユニット700は、最小オブザーバ708、最大オブザーバ702、第1カルマンゲイン704、第2カルマンゲイン710、第1信号加算ユニット706、及び第2信号加算ユニット712を含む。
【0092】
最大オブザーバ702は、アクチュエータの変位を示す信号y1を最大化する各パラメータの許容値の範囲の限界を使用し、一方で、最小オブザーバ708は、アクチュエータの変位を示す信号y1を最小化する各パラメータの許容値の範囲の限界を使用することが理解されよう。
【0093】
当業者であれば、最小オブザーバ708及び最大オブザーバ702は、様々な実施形態に従って設計され得ることが理解されよう。一実施形態において、最小オブザーバ708及び最大オブザーバ702は、アクチュエータの製造業者の仕様を考慮して、及び/又はシステム上の騒音測定若しくは外乱による誤警報を低減する目的で設計される。
【0094】
第1カルマンゲイン704及び第2カルマンゲイン710を使用して提供されるカルマンゲインは、アクチュエータの変位を示す信号y1に対する許容値の包絡線の振幅を制御するために使用される。
【0095】
アクチュエータの変位を示す信号y1がユニット700によって計算された許容値の包絡線の外側にある場合、トリガユニット104によってトリガ信号が生成、及び提供されることが理解されよう。
【0096】
トリガユニット104は、様々な実施形態に従って実装され得ることが理解されよう。一実施形態において、トリガユニット104は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)半導体を使用して実装される。別の実施形態において、トリガユニット104は、専用回路を使用して実装される。別の実施形態において、トリガユニット104は、マイクロコントローラを使用して実装される。別の実施形態において、トリガユニット104は、ソフトウェアで実装され、ライン置換可能ユニット100又は他の場所に統合される。好ましい実施形態において、トリガユニット104は、ライン置換可能ユニット100に一体化される。
【0097】
当業者であれば、トリガユニット104について様々な代替的な実施形態が可能であることを理解するであろう。
【0098】
次に、図4を参照して、トリガユニット404は、制御信号u、システム300の変位を示す信号y、及びシステムの各システムパラメータの推定を示す信号(すなわちketD)をメモリユニット410から受信することが理解されよう。
【0099】
トリガユニット404は、システム300の数学的モデルを使用する。
【0100】
トリガユニット404は、システム300の変位を示す信号yがシステム300の変位を示す信号yに対する許容値の計算された包絡線の外側にある場合、対応するトリガ信号を提供する。
【0101】
包絡線は、特に、アクチュエータのシステム300の少なくとも1つの構成要素の各パラメータの許容値の範囲を使用して計算される。前述のように、2つの数学的モデルは、これらの範囲で構築され、許容値の計算された包絡線の各境界を決定する。
【0102】
当業者は、許容値の包絡線を計算するために様々な実施形態が使用され得ることを理解するであろう。
【0103】
次に、図1を参照して、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステム112は、パラメータ及び状態推定ユニット106を更に含む。
【0104】
パラメータ及び状態推定単位106は、アクチュエータ114の各パラメータ及び状態の値を推定するために使用されることが理解されよう。
【0105】
次に、図8を参照して、パラメータ及び状態推定ユニット106の一実施形態を示す。
【0106】
パラメータ及び状態推定ユニット106は、本実施形態では、第1オブザーバ802、信号加算ユニット806、及びフィルタ804を含む第1オブザーバユニットを備える。第1オブザーバユニットは、第1の対応するパラメータの対応する残留推定を提供する。
【0107】
パラメータ及び状態推定ユニット106は、第2オブザーバ808、信号加算ユニット812、及びフィルタ810を含む第2オブザーバユニットを更に備える。第2オブザーバユニットは、第2の対応するパラメータの対応する残留推定を提供する。
【0108】
従って、各オブザーバユニットは、アクチュエータ114の少なくとも1つのパラメータ及び少なくとも1つの状態のうち所与の1つに対して対応する残留推定を提供することが理解されよう。
【0109】
より正確には、パラメータ及び状態推定ユニット106は、制御信号u、アクチュエータの変位を示す信号y1、アクチュエータの変位を示す信号y1のバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを示す信号、並びにアクチュエータ114の各パラメータの推定を示す信号を受信する。パラメータ及び状態推定ユニット106は、更に、アクチュエータ114の各パラメータ及び状態に関する複数の残留推定を示す信号を提供する。
【0110】
アクチュエータ114の各パラメータ及び状態の値の推定は、様々な実施形態に従って行われてもよいことが理解されよう。
【0111】
一実施形態において、状態を推定するためにカルマンフィルタが使用される。
【0112】
アクチュエータ114の場合、状態は、サーボアクチュエータ位置、サーボ作動速度、チャンバ1内の圧力、チャンバ2内の圧力、及びチャンバ1とチャンバ2との間の内部漏れを含むことが理解されよう。図3Aに開示されるシステムの実施形態では、状態は、システム300の位置及び速度である。
【0113】
各オブザーバユニットの出力は、適切であれば、劣化を分離するために分離ユニット108に供給されることが理解されよう。
【0114】
当業者であれば、パラメータ及び状態推定ユニット106は、様々な実施形態に従って実装され得ることが理解されよう。一実施形態において、パラメータ及び状態推定ユニット106は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)半導体を用いて実装される。別の実施形態において、パラメータ及び状態推定ユニット106は、専用回路を使用して実装される。別の実施形態において、パラメータ及び状態推定ユニット106は、マイクロコントローラを使用して実装される。別の実施形態において、パラメータ及び状態推定ユニット106は、ソフトウェアで実装され、ライン交換可能ユニット100又は他の場所に統合される。好ましい実施形態において、パラメータ及び状態推定ユニット106は、ライン交換可能ユニット100内に統合される。
【0115】
次に、図1を参照して、分離ユニット108は、パラメータ及び状態推定ユニット106並びにトリガユニット104に動作可能に接続されることが理解されよう。
【0116】
分離ユニット108は、アクチュエータの位置が所与の包絡線の外側にある原因となるアクチュエータ114の対応するパラメータ及び対応する状態のうち少なくとも1つを決定し、提供するために使用されることが理解されよう。
【0117】
実際、トリガユニット104によって提供されるトリガ信号が真である場合、分離ユニット108は、一実施形態では、一般化オブザーバ方式(GOS)を使用して、どのパラメータ劣化又はどの状態がアクチュエータの変位の許容値の包絡線からのエクシット(exit)を引き起こしたかを決定することが理解されよう。
【0118】
実際、トリガ信号が真であり、残留推定i(i=1...n)(nはアクチュエータのパラメータ数である)が予め定義された閾値よりも低く、他の全ての残留推定が予め定義された閾値よりも大きい場合、残留推定iに関連するパラメータの劣化がアクチュエータの変位の許容値の包絡線からのエクシットの原因であると考えられる。
【0119】
所定の期間の確認の後、対応するパラメータの劣化値が提供され、メモリユニット110に格納され、対応する構成要素の劣化を示す信号が提供される。
【0120】
分離ユニット108は、様々な実施形態に従って実装され得ることが当業者によって理解されるであろう。一実施形態において、分離ユニット108は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)半導体を使用して実装される。別の実施形態において、分離ユニット108は、専用回路を使用して実装される。別の実施形態において、分離ユニット108は、マイクロコントローラを使用して実装される。別の実施形態において、分離ユニット108は、ソフトウェアで実装され、ライン交換可能ユニット100又は他の場所に統合される。好ましい実施形態において、分離ユニット108は、ライン交換可能ユニット100に一体化される。
【0121】
次に、図4を参照して、分離ユニット406は、トリガユニット404からのトリガ信号、並びにパラメータ及び状態推定ユニット408からの複数の残留推定を示す信号を受信することが理解されよう。
【0122】
分離ユニット406は、システム300の位置が許容値の所与の包絡線の外側にある原因となる、システム300の対応するパラメータ及び対応する状態のうち少なくとも1つを決定し、提供するために使用されることが理解されよう。
【0123】
実際、トリガユニット404によって提供されるトリガ信号が真である場合、分離ユニット406は、一般化オブザーバ方式(GOS)を使用して、どのパラメータ劣化又は状態がアクチュエータの変位の許容値の包絡線からのエクシットを生じさせたかを決定することが理解されよう。
【0124】
実際、トリガ信号が真であり、残留推定i(i=1...n)が所定の閾値よりも低く、他のすべての残留推定が所定の閾値よりも大きい場合、残留推定iに関連するパラメータの劣化は、システム300位置の許容値の包絡線からのエクシットの原因であると考えられる。
【0125】
所定の期間の確認の後、対応するパラメータの劣化値が提供され、メモリユニット410に格納され、対応する構成要素の劣化を示す信号が提供される。
【0126】
次に、図2を参照して、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定する方法の一実施形態を示す。
【0127】
処理ステップ200によれば、制御信号が取得される。アクチュエータが位置制御される場合、制御信号は位置制御信号であり、一方で、アクチュエータが速度制御される場合、制御信号は速度制御信号であることが理解されよう。
【0128】
処理ステップ202によれば、アクチュエータの変位を示す信号が取得される。
【0129】
別の実施形態において、アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号が更に取得される。
【0130】
処理ステップ204によれば、アクチュエータの変位に対する許容値の包絡線が計算される。アクチュエータの変位に対する許容値の包絡線は、様々な実施形態に従って計算され得ることが理解されよう。アクチュエータの変位に対する許容値の包絡線は動的に計算されることが理解されよう。
【0131】
処理ステップ206によれば、アクチュエータの変位が計算された包絡線の外側にあることを見出すために、テストが実行される。
【0132】
アクチュエータの変位が計算された包絡線の外側にある場合、処理ステップ208によれば、アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値が計算される。アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定は、上述のように様々な実施形態に従って計算されてもよいことが理解されよう。
【0133】
処理ステップ210によれば、アクチュエータの変位を計算された包絡線の外側にさせる原因となる少なくとも1つの対応するパラメータが特定される。
【0134】
処理ステップ212によれば、アクチュエータの変位を計算された包絡線の外側にさせる原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの表示が提供される。
【0135】
コンピュータ実行可能な命令を記憶するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体も開示され、実行されると、コンピュータがアクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定する方法を実行し、この方法は、アクチュエータの変位を示す信号の取得と、アクチュエータの変位に対する許容値の包絡線の計算と、アクチュエータの変位が計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、アクチュエータの変位が計算された包絡線の外側にある場合、アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定の計算と、アクチュエータの変位を計算された包絡線の外側にさせる原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、変位を計算された包絡線の外側にさせる原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの表示の提供と、を含むことが理解されよう。
【0136】
本明細書で開示されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステム112は、様々な理由で非常に有利であることが理解されよう。
【0137】
より正確には、第1の理由は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法及びシステムの1つ又は複数の実施形態が構成要素の劣化の表示を提供することである。従って、故障が発生する前に故障を予想することが可能であり、これは非常に有利である。
【0138】
第2の理由は、アクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための本方法及び本システムの1つ又は複数の実施形態は、特定のアクチュエータアーキテクチャに依存せず、数学的モデルが既知であるならば様々なタイプのアーキテクチャに対して実装され得ることである。
【0139】
第3の理由は、対応する構成要素の推定された劣化が記録され、全ての数学的モデルに再注入され、その結果、全ての数学的モデルがこれに応じて調整されることである。
【0140】
第1項:アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステムであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号を提供し、前記システムは、
アクチュエータパラメータデータを記憶するためのメモリユニットと、
前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号を受信するセンサ監視ユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示し、前記センサ監視ユニットは、前記アクチュエータの変位を示す信号内の所与の振動の存在を決定する、センサ監視ユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号を受信するトリガユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示し、許容値の包絡線を計算し、前記アクチュエータの変位を示す信号が前記計算された許容値の包絡線の外側にあるか否かを決定するためのトリガユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、更に前記アクチュエータ指令信号を受信するパラメータ及び状態推定ユニットであって、前記信号は、前記アクチュエータの変位を示す、前記アクチュエータの各対応するパラメータ及び状態を推定するためのパラメータ及び状態推定ユニットと、
前記パラメータ及び前記状態推定ユニット、並びに前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの少なくとも1つのパラメータを決定、及び提供するための分離ユニットと、を備え、
更に、前記メモリユニットは、前記アクチュエータの前記変位が許容値の前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの値で更新される。
【0141】
第2項:前記アクチュエータは、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を更に提供し、前記センサ監視ユニットは、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号内の所与の振動の存在と、前記アクチュエータの変位を示す前記信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つと、を決定する、第1項に記載のシステム。
【0142】
第3項:許容値の前記包絡線は動的に計算される、第1項又は第2項に記載のシステム。
【0143】
第4項:前記アクチュエータは電気油圧サーボアクチュエータ(EHSA)及び電気バックアップ液圧アクチュエータ(EBHA)からなる群から選択される、第1項乃至第3項の何れか一項に記載のシステム。
【0144】
第5項:前記アクチュエータはセンサを更に備え、前記システムは前記センサの劣化を決定するために使用される、第1項乃至第4項の何れか一項に記載のシステム。
【0145】
第6項:アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するためのシステムであって、前記アクチュエータは、前記アクチュエータの変位を示す信号及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を提供し、前記システムは、
アクチュエータデータを記憶するためのメモリユニットと、
前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号を受信するセンサ監視ユニットであって、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおける所与の振動の存在、並びに前記アクチュエータの変位を示す前記信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号のうち少なくとも1つにおけるバイアス及びドリフトのうち少なくとも1つを決定するセンサ監視ユニットと、
前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す信号、及び前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信するトリガユニットであって、前記トリガユニットは、前記アクチュエータの位置が許容値の所定の包絡線の外側にあるか否かを決定するためのトリガユニットと、
少なくとも1つの推定パラメータユニットであって、前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々は、前記センサ監視ユニット及び前記メモリユニットに動作可能に接続され、更に前記アクチュエータ指令信号、前記アクチュエータの変位を示す前記信号、前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す前記信号を受信し、各推定パラメータユニットが前記アクチュエータの対応するパラメータ又は状態の1つを推定するための少なくとも1つの推定パラメータユニットと、
前記少なくとも1つの推定パラメータユニットの各々、及び前記トリガユニットに動作可能に接続される分離ユニットであって、前記アクチュエータの位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる前記アクチュエータの対応するパラメータ及び対応する状態のうち少なくとも1つを決定及び提供するための分離ユニットと、を備え、
更に、前記メモリユニットは、前記アクチュエータの前記位置が前記所与の包絡線の外側にある原因となる対応するパラメータの値及び対応する状態のうち前記少なくとも1つで更新される、システム。
【0146】
第7項:アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定する方法であって、前記方法は、
前記アクチュエータの制御信号の取得と、
前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、
前記アクチュエータの前記変位に対する許容値の包絡線の計算と、
前記アクチュエータの前記変位が計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、
前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にある場合、
前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、
前記アクチュエータの変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、
前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの表示の提供と、を含む。
【0147】
第8項:前記アクチュエータは位置制御され、更に、前記制御信号は位置制御信号である、第7項に記載の方法。
【0148】
第9項:前記アクチュエータは速度制御され、更に、前記制御信号は速度制御信号である、第7項に記載の方法。
【0149】
第10項:前記アクチュエータによって作動される表面の変位を示す信号が更に取得される、第7項乃至第9項の何れか一項に記載の方法。
【0150】
第11項:前記アクチュエータの変位に対する許容値の前記包絡線の計算は動的に実行される、第7項乃至第10項の何れか一項に記載の方法。
【0151】
第12項:コンピュータ実行可能な命令を格納するための非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、実行されると、アクチュエータ指令信号によって制御されるアクチュエータの対応する構成要素の劣化を検出、分離、及び推定するための方法をコンピュータに実行させ、前記方法は、
前記アクチュエータの制御信号の取得と、
前記アクチュエータの変位を示す信号の取得と、
前記アクチュエータの前記変位に対する許容値の包絡線の計算と、
前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にあるか否かの決定と、
前記アクチュエータの前記変位が前記計算された包絡線の外側にある場合、
前記アクチュエータの各パラメータ及び状態の推定値の計算と、
前記アクチュエータの変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる少なくとも1つの対応するパラメータの特定と、
前記変位が前記計算された包絡線の外側にある原因となる前記少なくとも1つの対応するパラメータの表示の提供と、を含む。
【0152】
上述した説明は、本発明者によって現在意図される1つ又は複数の実施形態に関するものであるが、本発明は、その広い態様において、本明細書に記載されている要素の機能的な均等物を含むことが理解されるであろう。
図1
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