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  • 特許-リング紡績機 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】リング紡績機
(51)【国際特許分類】
   D01H 1/241 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
D01H1/241
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021549605
(86)(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-06
(86)【国際出願番号】 IB2020051583
(87)【国際公開番号】W WO2020174380
(87)【国際公開日】2020-09-03
【審査請求日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】102019000002661
(32)【優先日】2019-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518115263
【氏名又は名称】マルツォーリ・マシーンズ・テキスタイル・ソチエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】MARZOLI MACHINES TEXTILE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】アッセンツァ,ロザリオ
(72)【発明者】
【氏名】ガッリ,マッシモ
(72)【発明者】
【氏名】グリッティ,フェデリコ
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-521594(JP,A)
【文献】特開昭63-085124(JP,A)
【文献】特開平01-221527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01H 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド(20)とテール(22)との間に長手方向軸(X)に沿って主に延びる、糸のボビンを製造するためのロービング(S)の糸巻きを処理するのに適した、紡績ライン用のリング紡績機(1)であって、
前記紡績機の第1バンク(10A)に沿って配列した第1の複数のスピンドル(12Aij)および前記第1バンクと反対側の前記紡績機の第2バンク(10B)に沿って配列した第2の複数のスピンドル(12Bij)であって、前記スピンドル(12Aij、12Bij)は前記第1バンク(10A)のスピンドル(12Aij)と前記第2バンク(10B)のスピンドル(12Bij)とを含むスピンドル((12A、12B))のグループに組み立てられる、第1の複数のスピンドル(12Aij)および第2の複数のスピンドル(12Bij)と、
複数のベルト(30)であって、それぞれのベルト(30)が所定のスピンドル((12A、12B))のグループのすべての前記スピンドルに係合し、前記複数のベルト(30)は互いに機械的に独立している、複数のベルト(30)と、
複数の駆動装置であって、それぞれの駆動装置が所定のスピンドル((12A、12B))のグループの前記ベルト(30)を駆動する役割を担い、前記駆動装置が、それぞれの前記ベルト(30)に動作可能に結合されてそれを駆動する複数の電動モータ(40qj)を備える、複数の駆動装置と、
を備え、
スピンドル((12A、12B))のそれぞれのグループに対して、前記複数のモータ(40qj)は、フィードバックを有する唯一のマスターモータと、前記マスターモータと並列に動作可能に接続されたスレーブモータと、を備える、
紡績機。
【請求項2】
前記紡績機(1)の全体を制御するための単一の論理ユニット(62)を備える制御グループ(60)、を備える、
請求項1に記載の紡績機。
【請求項3】
前記制御グループ(60)は、従業員が前記紡績機の全体の動作を制御するために使用可能な制御パネル、を備える、
請求項2に記載の紡績機。
【請求項4】
複数の電気駆動部(50)であって、それぞれの駆動部(50)が所定のスピンドルのグループ((12A、12B))の前記複数のモータ(40qj)を電気的に動作させるよう構成されている、複数の電気駆動部(50)、を備える、
請求項1から3のいずれか1項に記載の紡績機。
【請求項5】
前記駆動部(50)は、互いに電気的に独立している、
請求項4に記載の紡績機。
【請求項6】
前記駆動部(50)に動作可能に接続され、それぞれのスピンドル((12A、12B))のグループの前記複数のモータ(40qj)の論理制御のためのスピンドル制御手段、を備える、
請求項4または5に記載の紡績機。
【請求項7】
請求項2に従属する場合に、前記スピンドル制御手段は、前記論理ユニット(62)に動作可能に接続される、
請求項6に記載の紡績機。
【請求項8】
それぞれのバンク(10A、10B)用のドラフト装置(4)と、前記ドラフト装置に動作可能に接続され、前記ドラフト装置の論理制御のためのドラフト制御手段と、を備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載の紡績機。
【請求項9】
請求項2に従属する場合に、前記ドラフト制御手段は、前記論理ユニット(62)に動作可能に接続される、
請求項8に記載の紡績機。
【請求項10】
それぞれのバンク(10A、10B)用のリングレール(14)と、前記紡績機(1)の全体の前記リングレール(14)の論理制御のためのレール制御手段と、を備える、
請求項1から9のいずれか1項に記載の紡績機。
【請求項11】
請求項2に従属する場合に、前記レール制御手段は、前記論理ユニット(62)に動作可能に接続される、
請求項10に記載の紡績機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、通常ロービングフレームに由来するロービングの糸巻き(spool)から糸(yarm)のボビンを得るための紡績ラインのリング紡績機である。
【0002】
周知のように、紡績機は、ロービングをドラフトして(drafted)よりをかけた(twisted)後、そこから糸のボビンを得るためにロービングの糸巻きを処理することができる。
【0003】
この目的のために、紡績機は、ロービングの糸巻きがつるされた長手方向軸に沿って延びるガントリー(gantry)と、ドラフトされるためにロービングが通過する長手方向に延びる一連のシリンダにより構成されるガントリーの下方に配置された延伸装置と、長手方向軸に沿って並んだその垂直軸の周りを回転するスピンドルを運び、ドラフトされてよりをかけられた糸が巻き取られるバンクと、からなる。
【0004】
紡績機の生産性を向上させるために、通常、2つの対向するバンクがあり、それぞれのバンクはスピンドルの列を有する。
【0005】
スピンドルは、ベルト駆動装置により垂直軸の周りを回転する。ベルト駆動装置では、ベルトは、電動モータにより駆動され、2つのバンクのスピンドルと係合している。
【0006】
紡績機用の駆動装置に関連する多数の解決策が存在する。
【0007】
例えば、いずれも本出願人名義の、国際公開第2009/040734号および国際公開第2009/040839号、欧州特許出願公開第0400260号明細書、イタリア特許出願第102018000009103号、に記載されている。他の解決策は、米国特許第5,590,514号明細書、米国特許第4,944,144号明細書、国際公開第2007/039260号、および独国特許出願第2125597号明細書に記載されている。
【0008】
しかし、この分野(sector)での現在の傾向は、紡績ラインの生産性を向上させるために非常に多くのスピンドルを有するバンクを提供することにある。
【0009】
しかし、本出願人は、スピンドルの数を増やすことは、紡績機の操作に関しておよびメンテナンス操作の実行などのさらなる態様に関して、いくつかの欠点が生じることを発見した。
【0010】
例えば、スピンドルの数が非常に多い、例えば1900以上の場合、スピンドルの回転を制御するモータの回転数(RPM)の最適な同期を維持することは特に困難であり、さらなる技術的な欠点があることがわかっている。
【0011】
本発明の目的は、この分野の要求を満たし、上述の欠点を克服するリング紡績機を構築することである。
【0012】
この目的は、請求項1による紡績機により達成される。従属請求項は、本発明のさらなる有利な実施の形態を規定する。
【0013】
本発明に係るリング紡績機の特徴および利点は、添付の図面を参照して、非限定的な例として、以下の説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明にかかるリング紡績機の一部を示す概略図
図2】本発明の実施の形態にかかる紡績機の概略図
【0015】
添付の図面を参照すると、ロービングSの糸巻きから糸のボビンを生成するための紡績ラインの紡績機が符号1でまとめて示されている。
【0016】
紡績機1は、長手方向軸Xに沿って延びるガントリー2を備える。ガントリー2からロービングSの糸巻きが所定の高さに吊り下げられている。
【0017】
紡績機1はさらに、ガントリー2の下方に配置されたドラフト装置(drafting device)4を備える。
【0018】
ドラフト装置4は、通常、3つまたは4つの数の、電動式で、長手方向に連続しまたは並置されたセクションで分離された下部長手方向シリンダ6と、通常、アイドル状態で、下部シリンダ6と圧力下で結合し、後者によって回転駆動される複数の上部ローラー8と、を備える。
【0019】
下部シリンダ6に結合されたそれぞれの上部ローラー8は、紡績ポイントを画定する。それぞれの紡績ポイントでは、上流から下流に向かって増加する下部シリンダの周辺速度により、ドラフトされるロービングが上部ローラー8と下部シリンダ6との間を通過する。
【0020】
ドラフト装置4の下流において、紡績機1はさらに、長手方向軸に沿って並び、その垂直軸の周りを回転し、ドラフトされよりをかけられた糸が巻き取られるスピンドル12を運ぶバンク10を備える。
【0021】
紡績機1はさらに、チューブに糸を巻き付けるために、長手方向に延び、交互に垂直に動作し、それぞれのスピンドルに同軸とリング16を運ぶリングレール14を備える。
【0022】
最後に、紡績機1は、好ましくは単一の、主要構成要素を支持するための、特に、ドラフト装置4、バンク10、およびリングレール14を支持するためのフレーム18を備える。
【0023】
具体的には、紡績機1は、2つの対向するバンク10A,10Bを備える。紡績機1のヘッド20と紡績機1のテール22との間に長手方向に配列されたそれぞれのスピンドル12A、12Bが、バンク10A,10Bに沿って配置される。
【0024】
それぞれのバンク10A、10Bにおいて、スピンドル12A、12Bは、ヘッド20からテール22まで所定の方法に従って、2つ以上のサブグループに分けられる。したがって、スピンドルのそれぞれのサブグループにおいてスピンドルの総数をn、第1バンク10Aにおけるサブグループの総数をkとして、i=1~n、j=1~kの場合に、第1バンク10において、スピンドル12Aijが定義される。言い換えると、参照符号A11は、第1バンクの第1サブグループの第1スピンドルを示す。参照符号12Aijは、第1バンクのj番目のグループのi番目のスピンドルを示す。
【0025】
同様に、第2バンク10Bのスピンドル12Bijが示される。
【0026】
第1バンクおよび第2バンクの対応するサブグループのスピンドルは、相対的なグループを形成する。
【0027】
例えば、第1バンク10Aの第1グループのスピンドル12Ai1および第2バンク10Bの第1グループのスピンドル12Bi1は、紡績機1の第1グループのスピンドル(12A、12B)を集合的に構成している。一般的に、第1バンク10Aのj番目のサブグループのスピンドル12Aijおよび第2バンク10Bのj番目のサブグループのスピンドル12Bijは、紡績機1のj番目のグループのスピンドル(12A、12B)を集合的に構成している。
【0028】
紡績機1はさらに、それぞれのグループのスピンドル(12A、12B)用の駆動装置を備える。駆動装置は、その垂直軸の周りにそのグループのスピンドル(12A、12B)のスピンドルを回転させるのに適する。
【0029】
それぞれの駆動装置は、紡績機1のj番目のグループのスピンドル(12A、12B)を駆動するよう構成されたベルト30を備える。ベルト30は、スピンドル(12A、12B)のそれぞれのグループのすべてのスピンドルを接線方向に係合する閉路に沿って配置される。
【0030】
それぞれの駆動装置はさらに、それぞれのベルトを駆動するための複数の電動モータを備える。特に、それぞれのベルト30は、通常、それぞれのベルト30により画定される閉路内に配置されるいくつかの電動モータ40qj(q=1~pの場合に、pはj番目のグループのモータの総数)により駆動される。
【0031】
それぞれのグループのスピンドル(12A、12B)に対して、複数のモータ40qjは、フィードバックを有する唯一のマスターモータを備え、他のモータは、スレーブ(slaves)でありマスターモータと並列に動作可能に接続される。
【0032】
スピンドル(12A、12B)の1つのグループのそれぞれのベルト30は、スピンドル(12A、12B)の他のグループのベルト30から機械的に独立している。さらに、スピンドル(12A、12B)の1つのグループのモータ40qjは、スピンドル(12A、12B)の他のグループのモータから機械的に独立している。言い換えると、例えば、スピンドルの1つのグループのベルトとスピンドルの他のグループのベルトとの間、またはスピンドルの1つのグループのモータとスピンドルの他のグループのモータとの間の動きの機械的伝達手段は存在しない。
【0033】
さらに、それぞれの駆動装置は、スピンドルのそれぞれのグループのモータ40qjを電気的に駆動する駆動部50を備える。
【0034】
好ましくは、スピンドル(12A、12B)の1つのグループのモータ40qjは、スピンドル(12A、12B)の他のグループのモータ40qjから電気的に独立しており、それぞれの独立した駆動部50により駆動される。
【0035】
最後に、紡績機1は、従業員が紡績機1全体の動作を管理するために使用可能な制御パネルと、例えばCPUまたはPLCなどの紡績機1を制御するための単一の論理ユニット62と、を備える制御グループ60を備える。
【0036】
紡績機1はさらに、ドラフト装置に動作可能に接続された、ドラフト装置の論理制御のためのドラフト制御手段を備える。
【0037】
さらに、紡績機1は、駆動部50jに動作可能に接続された、スピンドル(12A、12B)のそれぞれのグループのモータ40qjの制御のためのスピンドル制御手段を備える。
【0038】
さらに、紡績機1は、紡績機1の全体のリングレール14の論理制御のためのレール制御手段を備える。
【0039】
ドラフト制御手段、スピンドル制御手段、およびレール制御手段は、制御グループ60の論理ユニット62に動作可能に連結されている。
【0040】
革新的に、本発明による紡績機は、先行技術を参照して述べた欠点を克服している。
【0041】
事実上、本出願人は、少なくとも部分的に、個々のベルトが受ける摩耗が少ないため、電動モータ間の優れた同期を維持することができることを発見した。
【0042】
有利なことに、さらに、複数のベルト、したがって複数のグループのスピンドルを備えることにより、同じベルトに係合するモータの数を減らすことができる。このため、スピンドルのグループのすべてのモータ、すなわちマスターモータおよびマスターモータと並列のスレーブモータの電源を、実質的に同じ電圧に維持することができる。
【0043】
同時に、スピンドルの個々のグループ内で、マスター/スレーブシステムにより、グループのモータ間で電力の分配が可能になり、ベルトによりモータの同期を確実にする。
【0044】
当業者であれば、付随的なニーズを満たすために、上述の紡績機に変更を加えることができることは明らかである。これらの変更はまた、以下の特許請求の範囲に規定される保護の範囲に含まれる。
図1
図2