(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】ストリップ状の製品を冷却するための冷却装置とこのような冷却装置を操作するための方法
(51)【国際特許分類】
C21D 1/00 20060101AFI20231122BHJP
C21D 9/573 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
C21D1/00 120
C21D9/573 101Z
(21)【出願番号】P 2021552622
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 EP2020055119
(87)【国際公開番号】W WO2020178125
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】102019203086.6
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019206596.1
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】クラマー・ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ベルク・ヘンニング
(72)【発明者】
【氏名】フォンテーヌ・アンネ-マリー
【審査官】村岡 一磨
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-065408(JP,U)
【文献】特開平10-235425(JP,A)
【文献】特開平07-223014(JP,A)
【文献】特表2010-514567(JP,A)
【文献】特開平11-197733(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21D 1/00
C21D 9/52- 9/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの冷却剤チャンバ(3,27)と、この冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液(22)を適用するための複数の冷却剤出口管(4,28)とを備えた少なくとも1つの冷却バー(2,26)を備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置(1,15,18,25)において、
冷却剤チャンバ(3,27)内に圧力流体を急激に導入するための少なくとも1つの導入装置(5)が設けられていること、圧力流体が圧縮空気であること、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の起動及び停止をするための少なくとも1つのスイッチ装置(7)と、導入装置(5)とスイッチ装置(7)を制御するための少なくとも1つの制御機器が設けられ、この制御機器は、圧力流体が冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止直後に冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されるよう、導入装置(5)とスイッチ装置(7)を制御するように設定されていること、及び、スイッチ装置(7)が、少なくとも1つの空圧式の制御要素(8)を備え、この制御要素が、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給中に圧縮空気によって開放を維持され、空圧式の制御要素(8)の出口開口が、少なくとも1つの圧縮空気ライン(14)を介して冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続されていること、を特徴とする冷却装置(1,15,18,25)。
【請求項2】
導入装置(5)は、冷却液(22)が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入される方向(6)と一致する方向に、圧力流体が冷却剤チャンバ(3,27)に導入されるように配置されていること、を特徴とする請求項
1に記載の冷却装置(1,15,18,25)。
【請求項3】
1つの冷却剤チャンバ(3,27)と、この冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液(22)を適用するための複数の冷却剤出口管(4,28)とを備えた少なくとも1つの冷却バー(2,26)を備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置(1,15,18,25)を操作するための方法において、
冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止直後に、圧力流体が、急激に冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されること、圧力流体が圧縮空気であること、並びに、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給中に、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の起動及び停止をするためのスイッチ装置(7)の空圧式の制御要素(8)が、圧縮空気によって開放を維持されること、及び、圧力流体として、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止時に空圧式の制御要素(8)から流出する圧縮空気が使用されること、を特徴とする方法。
【請求項4】
冷却液(22)が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入される方向(6)と一致する方向に、圧力流体が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されること、を特徴とする請求項
3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つの冷却剤チャンバと、この冷却剤チャンバと連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管とを備えた少なくとも1つの冷却バーを備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置に関する。更に、本発明は、1つの冷却剤チャンバと、この冷却剤チャンバと連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管とを備えた少なくとも1つの冷却バーを備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置を操作するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平らなもしくはストリップ状の金属製品、特に金属ストリップ又は金属シートの製造時、金属製品を搬送する移送区間の幅にわたって延在する冷却バーを使用して金属製品の冷却を行なうことが知られている。このため、冷却バーが冷却剤チャンバを備えることができるが、この冷却剤チャンバは、冷却液を供給され、この冷却剤チャンバから、上の領域で、グースネック状に形成された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管が分岐する。この場合、それぞれの冷却剤出口管は、ほぼJ字状に形成され、湾曲部分を介して互いに結合された2つの直線部分を備え、それらの内の長い方の直線部分が、冷却剤チャンバと接続されている。他の実施形態では、真直ぐな冷却剤出口管が、冷却剤チャンバ内に存在し、この冷却剤チャンバの入口開口が、冷却剤チャンバの上の領域に存在する。
【0003】
J字状に形成された冷却剤出口管を備えた冷却バーにおいては、冷却バーへの冷却液供給の停止後に、吸引効果に基づいて1つ又は複数の冷却剤出口管からある程度の期間にわたって更に冷却液が流出する(これは、継続流と呼ばれる)ことが問題である。冷却バーの前述の他の実施バリエーションの場合、冷却剤流の遮断後に、冷却剤出口管の冷却剤入口開口の上に空気容積(空容積)が生じるまで、冷却液が継続して流れる。冷却液のこの継続流は、一方では、生産プロセス内の進行、例えばその後のストリップに不利に作用し、他方では、冷却された金属製品に不利に作用するが、それは、特に、継続流が、継続流の量及び継続流の局所性に関して大抵はアトランダムに生じるか、もしくは、冷却過程後に必ずしも同じ冷却剤出口管が継続流効果を示すのではないからである。
【0004】
冷却液の容積流の修正を、機械的な調整手段によって、例えば、金属製品への容積流の作用を阻止する又は少なくとも著しく制限する、冷却バー外に移動可能に配置された少なくとも1つの遮蔽要素又は偏向要素を使用することによって、又は、冷却バーからの容積流の流出を阻止する又は少なくとも著しく制限する、冷却バー内に移動可能に配置された遮断装置、例えば回転可能な管内の穴あきスクリーンを使用することによって、行なうことが知られている。このような機械的な調整手段は、高い摩耗、故障及び整備に対する感受性、並びに一度の及び継続的なコストを伴う。
【0005】
西独国特許出願公開第2107664号明細書は、金属ストリップの上で金属ストリップの移動方向に相前後して配置されかつ一方の側から水を投入される複数の水槽を備える、実質的に水平に移動する金属ストリップを冷却するための冷却装置を開示する。各水槽は、かなりの数の水管もしくはサイフォン管を備えており、これら管は、その上側に接続され、湾曲した中間部分を介して下方向に開放し、従ってグースネック状に形成されている。水槽の上側の一端又は両端と、外気と自由に連通するそれぞれ1つの直立管が接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】西独国特許出願公開第2107664号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、ストリップ状の製品の冷却の精度を高め、この冷却をより安価に実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題は、独立請求項によって解決される。有利な構成は、以下の説明、従属請求項及び図に再現され、これら構成は、それぞれ個々に採用すること、又は、これら構成の少なくとも2つを互いに技術的に有効に種々に組み合わせて、本発明の発展的な、特にまた好ましい又は有利な態様であり得る。この場合、装置の構成は、方法の構成に対応すること及びその逆も可能であり、これは、以下で個々のケースで明示的に指摘されない場合でも同様である。
【0009】
ストリップ状の製品を冷却するための本発明による冷却装置は、1つの冷却剤チャンバと、この冷却剤チャンバと連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管とを備えた少なくとも1つの冷却バーと、冷却剤チャンバ内に圧力流体を急激に導入するための少なくとも1つの導入装置を備える。
【0010】
本発明によれば、冷却剤出口管からの冷却液の継続流を阻止するために、圧力流体は、急激に冷却剤チャンバ内に導入され、これにより、冷却剤チャンバから個々の冷却剤出口管への冷却液供給は、圧力流体の衝撃によって中断されるか、冷却剤チャンバ内の圧力が急激に高められ、これが、より迅速な排出、もしくは、冷却剤出口管の入口開口の上の空容積のより迅速な形成を生じさせる。冷却剤チャンバ内への本発明による圧力流体の急激な導入後には、継続流はもはやほぼ生じない。これにより、最大限可能な量の冷却液が冷却バー内に残り、冷却バー内の水位は、もはや、例えば西独国特許出願公開第2107664号明細書に記載されているような低いレベルに低下しない。これにより、冷却液の冷却バーへの供給の再起動時の起動速度が高められるか、もしくは、冷却液の冷却バーへの供給の新たな起動後、冷却液が新たに冷却すべき製品上へ生じるまでに経過する時間が短縮される。
【0011】
圧力流体は、少なくとも1つの圧力ラインを介して冷却剤チャンバに供給される。冷却剤チャンバへの圧力流体の急激な導入は、冷却液の継続流を阻止するためにできるだけ速い時点を達成するために、好ましくは冷却液の冷却バーへの供給が遮断される停止過程と同期され、停止過程直後に行なわれる。圧力流体は、環境に対して圧力下にある流体である。圧力流体は、例えば圧縮空気であり得る。
【0012】
本発明は、冷却すべき製品への冷却液容積流の適用特性の修正を行なう。特に、本発明は、冷却バーからの継続流が阻止されるか、少なくとも十分に低減されることによって、継続流特性の修正を行なう。これは、特に時間的及び空間的な特性及び制御性に関する、冷却すべき製品への冷却液の適用特性の改善を伴う。これにより、本発明による装置を装備した設備のより高いプロセス速度、改善されたプロセス安定性及びプロセス動特性とより高い生産性が達成され得る。
【0013】
本発明のパラメータは、圧力流体流の量、容積、圧力及び/又は時間特性、冷却バーを経る冷却液の流動方向に関する圧力流体流の流動方向及び/又は導入地点、冷却液の流れ制御をするための回路技術的及び時間的同期、及び/又は、冷却液の流れ制御をするための構成要素への圧力流体の統合であり得る。流動する冷却液内への圧力流体のプロセス技術的導入は、製品において発生した特性が最適化されるように、冷却すべき製品への冷却液の時間的及び空間的適用の特性を改善するようにして達成され得る。冷却液は、例えば、添加剤を含む又は含まない水であり得る。
【0014】
冷却剤出口管は、上の領域で冷却剤チャンバから分岐することができる。この場合、冷却剤出口管は、それぞれほぼグースネック状にもしくはほぼJ字状に形成すること、及び、1つの湾曲部分を介して互いに接続された長さの異なるそれぞれ2つの直線部分を備えることができ、これら直線部分の内の長い方の直線部分が、冷却剤チャンンバと接続されている。選択的に、冷却剤出口管は、冷却剤チャンバ内に配置すること、及び、冷却剤チャンバの上の領域に存在する入口開口を備えることができる。
【0015】
本発明による装置は、特に、金属加工産業のストリップ状の製品を冷却するために使用することができる。例えば、本発明による装置によって、金属ストリップ及び/又はシートが、熱間圧延機内で冷却され得る。選択的に、本発明による装置は、例えば紙、金属又はプラスチック産業において基体に液状及びガス状の媒体を適用するために使用することができる。
【0016】
有利な構成によれば、装置が、冷却液の冷却バーへの供給の起動及び停止をするための少なくとも1つのスイッチ装置と、導入装置とスイッチ装置を制御するための少なくとも1つの制御機器を備え、この制御機器は、圧力流体が冷却液の冷却バーへの供給の停止直後に冷却剤チャンバ内に導入されるよう、導入装置とスイッチ装置を制御するように設定されている。これにより、冷却剤チャンバ内への圧力流体の急激な導入は、できるだけ迅速に継続流を防止し得るように、遮断過程と同期され、遮断過程の直後に行なわれる。
【0017】
別の有利な形態によれば、装置が、冷却液の冷却バーへの供給の起動及び停止をするための少なくとも1つのスイッチ装置を備え、このスイッチ装置が、少なくとも1つの空圧式の制御要素を備え、この制御要素が、冷却液の冷却バーへの供給中に圧縮空気によって開放を維持され、空圧式の制御要素の出口開口が、少なくとも1つの圧縮空気ラインを介して冷却剤チャンバと連通するように接続されている。加えて、スイッチ装置は、少なくとも1つの空圧式の駆動装置を備え、この駆動装置により、スイッチ装置の少なくとも1つの遮断機構、例えば遮断フラップ又は遮断弁が操作可能であり、この遮断機構を介して、冷却液の冷却バーへの供給が解放可能かつ遮断可能である。空圧式の駆動装置は、空圧式の制御要素を介して圧縮空気の作用を受ける。冷却液の冷却バーへの供給の停止時、空圧式の駆動装置の圧縮空気供給は、空圧式の制御要素によって停止される。同時に又はその直後に、空圧式の制御要素に印加される圧縮空気は、空圧式の制御要素の出口開口に切り換えることができる。これにより、一方では、圧縮空気によって与えられる圧力流体の冷却剤チャンバ内への急激な導入との、冷却剤の冷却バーへの供給の停止の完璧な同期が自動的に得られ、他方では、冷却剤チャンバ内への圧力流体の急激な導入が、理想的な時点で行なわれる。従って、圧力流体が急激に冷却剤チャンバ内に導入される時点は、好ましくは、空圧式の制御要素の切替えによって規定される。空圧式の制御要素の「切替え空気」だけが圧力サージとして冷却剤チャンバ内に導入される場合には、起動期間も、空圧式の制御要素の切替えによって規定することができる。付加的な圧縮空気供給を行なう必要はない。空圧式の制御要素は、電磁弁として形成することができる。
【0018】
別の有利な構成によれば、圧縮空気ラインは、冷却バーの移動時に圧縮空気ラインがサイフォンを形成するように、空圧式の制御要素の出口開口と冷却剤チャンバに対して相対的に配置されている。空圧式の制御要素から冷却バーへの導入地点へのこの配管により、特に、冷却バーが位置変化を受ける場合に、空圧式の制御要素への冷却液の流入が阻止される。冷却バーが、例えば上に旋回されると、配管により、残留空気が残り、逃げることができないサイフォンが生じ、これにより、空圧式の制御要素への冷却液の浸入が防止される。付加的な逆止弁は必要ない。
【0019】
1つの冷却剤チャンバと、この冷却剤チャンバと連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管とを備えた少なくとも1つの冷却バーを備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置を操作するための本発明による方法によれば、冷却液の冷却バーへの供給の停止直後に、圧力流体が、急激に冷却剤チャンバ内に導入される。
【0020】
冷却装置に関して前で述べた利点が、相応に方法と結びついている。特に、前記構成の1つによる又はこれら構成の少なくとも2つの互いの組合せによる冷却装置が、方法を実施するために使用され得る。
【0021】
有利な構成によれば、冷却液の冷却バーへの供給中に、冷却液の冷却バーへの供給の起動及び停止をするためのスイッチ装置の空圧式の制御要素が、圧縮空気によって開放を維持され、圧力流体として、冷却液の冷却バーへの供給の停止時に空圧式の制御要素から流出する圧縮空気が使用される。冷却装置の相応の構成に関して前で述べた利点が、相応にこの構成と結びついている。
【0022】
以下で、本発明を、添付図に関係づけて好ましい実施形態により模範的に説明するが、以下で説明する特徴は、個々にでも、技術的に有意義な異なる互いの組合せでも、本発明の有利な又は発展する態様であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3A】冷却状態にある本発明による冷却装置のべつの実施例の概略断面図
【
図4A】冷却状態にある本発明による冷却装置の別の実施例の概略図
【発明を実施するための形態】
【0024】
図内で、同じもしくは機能的に同じ部品は、同じ符号を備えている。
【0025】
図1は、示してないストリップ状の製品を冷却するための本発明による冷却装置1の実施例の概略図を示す。
【0026】
冷却装置1は、1つの冷却剤チャンバ3と、この冷却剤チャンバ3と連通するように接続された、この冷却剤チャンバ3から分岐する、グースネック状に形成された、ストリップ状の製品に冷却液を適用するための複数の冷却剤出口管4とを備えた冷却バー2を備える。冷却剤出口管4は、例えば
図3A及び3Bに応じて形成することができる。
【0027】
更に、冷却装置1は、冷却剤チャンバ3内に圧縮空気の形態の圧力流体を急激に導入するための導入装置5を、冷却剤チャンバ3内に導入された圧力流体が冷却剤出口管4の示してない入口開口を通って流れ込むように備える。導入装置5は、冷却液が冷却剤チャンバ3内に導入される、矢印6によって示した方向と一致する方向に、圧力流体が冷却剤チャンバ3内に導入されるように配置されている。
【0028】
加えて、冷却装置1は、冷却液の冷却バー2への供給の起動及び停止をするためのスイッチ装置7を備える。スイッチ装置7は、電磁弁として形成された空圧式の制御要素8を備え、この制御要素は、圧縮空気ライン9を介して圧縮空気を供給される。加えて空圧式の制御要素8は、電気エネルギー供給ライン10と接続されている。
【0029】
加えてスイッチ装置7は、空圧式の駆動装置11を備え、この駆動装置は、空圧式の制御要素8によって操作される。空圧式の駆動装置11は、遮断弁12を操作し、この遮断弁を介して、冷却剤流入口13からの冷却液の冷却バー2への供給が、選択的に解放又は遮断され得る。空圧式の制御要素8は、冷却液の冷却バー2への供給中に、圧縮空気によって開放を維持されるので、空圧式の駆動装置11は、遮断弁12をその開放位置に維持する。
【0030】
空圧式の制御要素8の示してない出口開口は、圧縮空気
ライン14を介して冷却剤チャンバ3と連通するように接続されている。圧縮空気ライン14は、冷却バー2の移動時に圧縮空気ライン14がサイフォンを形成するように、空圧式の制御要素8の出口開口と冷却剤チャンバ3に対して相対的に配置することができる。空圧式の制御要素8が閉鎖されると、圧縮空気の空圧式の駆動装置11への供給が終了し、これにより、空圧式の駆動装置11は、遮断弁12をその遮断位置に移動させるので、冷却液の冷却バー2への供給が停止されている。空圧式の制御要素8の閉鎖時、同時に空圧式の制御要素8の出口開口が開放されるので、圧縮空気は、圧縮空気ライン14を介して急激に冷却剤チャンバ3内に導入される。これは、例えば
図2に応じて行なうことができる。
【0031】
図2は、示してないストリップ状の製品を冷却するための本発明による冷却装置15の別の実施例の概略図を示す。冷却装置15は、それ以外は
図1に示した実施例に応じて形成することができる。従って、繰返しを回避するために、
図1に対する上記説明を参照する。
【0032】
図2は、どのように圧縮空気ライン14が冷却剤チャンバ
3内に導入及び形成されているかを示す。圧縮空気ライン14は、冷却剤チャンバ
3内に存在する出口終端部分16を備え、この出口終端部分は、そこから流出する圧縮空気が矢印17に応じて冷却剤出口管4の示してない入口開口を通って流れ込むように整向されている。
【0033】
図3Aは、冷却状態にある示してないストリップ状の製品を冷却するための本発明による冷却装置18の別の実施例の概略断面図を示す。冷却装置18は、それ以外は
図1及び/又は
図2に示した実施例に応じて形成することができる。従って、繰り返しを回避するため、
図1もしくは
図2に対する前記説明を参照する。
【0034】
冷却装置18の内、冷却剤チャンバ3と、そこから分岐するグースネック状に形成された2つの冷却剤出口管4だけが示されている。各冷却剤出口管4は、J字状に形成され、C字状の上の湾曲部分19と、冷却剤チャンバ3と連通するように接続された、垂直な長い方の直線部分20と、冷却液22が流出する垂直な短い方の直線部分21を備え、垂直な長い方の直線部分20は、C字状の上の湾曲部分19を介して、垂直な短い方の直線部分21と接続されている。加えて、冷却剤出口管4の入口開口24が示されている。
【0035】
図3Aに示した冷却状態で、冷却剤チャンバ3と冷却剤出口管4は、完全に冷却液22で満たされ、ストリップ状の製品を冷却するために、冷却液が、矢印23に応じて冷却剤出口管4から流出する。
【0036】
図3Bは、静止状態にある
図3Aに示した冷却装置18の概略図を示す。この静止状態は、冷却液22の冷却バー2への供給が停止され、冷却液22の冷却バー2への供給のこの停止直後に、冷却剤チャンバ3内に導入された圧力流体が冷却剤出口管4の入口開口24を通って流れ込んだことによって発生される。これにより、冷却液22は、入口開口24から分離されたので、
冷却液22の非常に少ない継続流しか生じず、冷却剤出口管4は、未だ冷却液22で最大限に満たされたままである。
【0037】
図4Aは、冷却状態にある示してないストリップ状の製品を冷却するための本発明による冷却装置25の別の実施例の概略図を示す。冷却装置25は、それ以外は
図1及び/又は
図2及び/又は
図3に示した実施例に応じて形成することができる。繰り返しを開始するため、
図1もしくは
図2もしくは
図3に対する前記説明を参照する。
【0038】
冷却装置25の内、1つの冷却剤チャンバ27と、この冷却剤チャンバ27と連通するように接続された、この冷却剤チャンバ27内に配置された、真直ぐに形成された複数の冷却剤出口管28とを備えた冷却バー26だけが示されている。冷却剤出口管28の入口開口29は、冷却剤チャンバ27の上の領域に配置されている。示してないストリップ状の製品を冷却するため、各冷却剤出口管28から、冷却液22が流出する。
【0039】
図4Bは、静止状態にある
図4Aに示した冷却装置25の概略断面図を示す。この静止状態は、冷却液22の冷却バー26への供給が停止され、冷却液22の冷却バー26への供給のこの停止直後に、圧力流体が、急激に冷却剤チャンバ27内に導入されたことによって発生される。これにより、冷却剤チャンバ27内の圧力が増大され、これが、より迅速な排出もしくは冷却剤出口管28の入口開口29の上の空容積30のより迅速な形成を生じさせるので、冷却液22の非常に少ない継続流しか生じず、冷却剤出口管28は、未だ冷却液22で最大限に満たされたままである。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.1つの冷却剤チャンバ(3,27)と、この冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液(22)を適用するための複数の冷却剤出口管(4,28)とを備えた少なくとも1つの冷却バー(2,26)を備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置(1,15,18,25)において、
冷却剤チャンバ(3,27)内に圧力流体を急激に導入するための少なくとも1つの導入装置(5)が設けられていること、を特徴とする冷却装置(1,15,18,25)。
2.圧力流体が圧縮ガスであること、を特徴とする上記1に記載の冷却装置(1,15,18,25)。
3.冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の起動及び停止をするための少なくとも1つのスイッチ装置(7)と、導入装置(5)とスイッチ装置(7)を制御するための少なくとも1つの制御機器が設けられ、この制御機器は、圧力流体が冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止直後に冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されるよう、導入装置(5)とスイッチ装置(7)を制御するように設定されていること、を特徴とする上記1又は2に記載の冷却装置(1,15,18,25)。
4.冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の起動及び停止をするための少なくとも1つのスイッチ装置(7)が設けられ、このスイッチ装置(7)が、少なくとも1つの空圧式の制御要素(8)を備え、この制御要素が、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給中に圧縮空気によって開放を維持され、空圧式の制御要素(8)の出口開口が、少なくとも1つの圧縮空気ライン(14)を介して冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続されていること、を特徴とする上記1又は2に記載の冷却装置(1,15,18,25)。
5.圧縮空気ライン(14)は、冷却バー(2,26)の移動時に圧縮空気ライン(14)がサイフォンを形成するように、空圧式の制御要素(8)の出口開口と冷却剤チャンバ(3,27)に対して相対的に配置されていること、を特徴とする上記4に記載の冷却装置(1,15,18,25)。
6.導入装置(5)は、冷却液(22)が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入される方向(6)と一致する方向に、圧力流体が冷却剤チャンバ(3,27)に導入されるように配置されていること、を特徴とする上記1~5のいずれか1つに記載の冷却装置(1,15,18,25)。
7.1つの冷却剤チャンバ(3,27)と、この冷却剤チャンバ(3,27)と連通するように接続された、ストリップ状の製品に冷却液(22)を適用するための複数の冷却剤出口管(4,28)とを備えた少なくとも1つの冷却バー(2,26)を備えるストリップ状の製品を冷却するための冷却装置(1,15,18,25)を操作するための方法において、
冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止直後に、圧力流体が、急激に冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されること、を特徴とする方法。
8.冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給中に、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の起動及び停止をするためのスイッチ装置(7)の空圧式の制御要素(8)が、圧縮空気によって開放を維持されること、及び、圧力流体として、冷却液(22)の冷却バー(2,26)への供給の停止時に空圧式の制御要素(8)から流出する圧縮空気が使用されること、を特徴とする上記7に記載の方法。
9.冷却液(22)が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入される方向(6)と一致する方向に、圧力流体が冷却剤チャンバ(3,27)内に導入されること、を特徴とする上記7又は8に記載の方法。
【符号の説明】
【0040】
1 冷却装置
2 冷却バー
3 冷却剤チャンバ
4 冷却剤出口管
5 導入装置
6 矢印(冷却液流動方向)
7 スイッチ装置
8 制御要素
9 圧縮空気ライン
10 エネルギー供給ライン
11 駆動装置
12 遮断弁
13 冷却剤流入口
14 圧縮空気ライン
15 冷却装置
16 出口終端部分
17 矢印(圧縮空気流動方向)
18 冷却装置
19 4の湾曲部分
20 4の長い方の直線部分
21 4の短い方の直線部分
22 冷却液
23 矢印(冷却液流)
24 4の入口開口
25 冷却装置
26 冷却バー
27 冷却剤チャンバ
28 冷却剤出口管
29 28の入口開口
30 空容積(空気)