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特許7389814把持器組立体、シート材料からレイアウトを回収する装置、及びシート材料の廃棄物からレイアウトを分離する方法
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  • 特許-把持器組立体、シート材料からレイアウトを回収する装置、及びシート材料の廃棄物からレイアウトを分離する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】把持器組立体、シート材料からレイアウトを回収する装置、及びシート材料の廃棄物からレイアウトを分離する方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/08 20060101AFI20231122BHJP
   B65H 5/22 20060101ALI20231122BHJP
   B65H 29/54 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B65H5/08 B
B65H5/22 C
B65H29/54
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021555461
(86)(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-18
(86)【国際出願番号】 EP2020025134
(87)【国際公開番号】W WO2020187452
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-09-14
(31)【優先権主張番号】19020133.5
(32)【優先日】2019-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512159605
【氏名又は名称】ボブスト メックス ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Bobst Mex SA
【住所又は居所原語表記】Route de Faraz 3,CH-1031 MEX(VD),Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ホーニック ポール
(72)【発明者】
【氏名】ルーラン ヤニック
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルテリオ ロベルト
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01074354(EP,A1)
【文献】特表2017-524567(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0292226(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00-5/38
B65H 29/52-29/70
B31B 50/00-70/99
B31C 1/00-99/00
B31D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材料(12)から、特に紙又は段ボールからレイアウト(22)を回収するための把持器組立体(27)であって、
前記シート材料(12)を供給するためのコンベヤユニット(14)であって、前記コンベヤユニット(14)は、前記シート材料(12)を前記コンベヤユニット(14)上に保持するための真空システム(15)を備える、コンベヤユニット(14)と、
前記コンベヤユニット(14)によって供給されたシート材料(12)と相互作用するようになっており、空気流開口(34a、34b)のアレイがその上に配置される把持器本体(32)を備え、前記空気流開口(34a、34b)の各々が、真空力を加えることによって少なくともシート材料(12)の一部をつかむようになっている、真空把持器(26)と、
を備え、
前記レイアウト(22)の1又は2以上のブランク(20)と関連する空気流開口(34a、34b)は選択的に開放され、前記シート材料(12)の廃棄物(28)と関連する空気流開口(34a、34b)は選択的に閉鎖され、
前記真空システム(15)は、前記レイアウト(22)の前記1又は2以上の前記ブランク(20)及び前記廃棄物(28)に前記真空力を付与する一方で、前記真空把持器(26)は、前記レイアウト(22)の前記1又は2以上のブランク(20)に前記真空力を付与するが前記廃棄物(28)には前記真空力を付与せず、
前記真空システム(15)によって前記レイアウト(22)に付与される前記真空力は、前記真空把持器(26)によって前記レイアウト(22)に付与される前記真空力より小さい、
把持器組立体(27)。
【請求項2】
前記空気流開口(34a、34b)のアレイは、前記真空把持器(26)で操作される予め定められた最大判型の前記シート材料(12)をカバーする、請求項1に記載の把持器組立体(27)。
【請求項3】
前記空気流開口(34a、34b)のアレイは、前記把持器本体(32)の把持側に配置され、前記把持側は、マスク(36)を備え、前記マスク(36)は、選択的に前記廃棄物(28)に関連する空気流開口(34b)をカバーし、選択的に前記レイアウト(22)の前記1又は2以上のブランク(20)に関連する空気流開口(34a)を妨げない、請求項1又は2に記載の把持器組立体(27)。
【請求項4】
前記真空把持器(26)の前記把持側は、磁性があり、特に、磁性カバー(38)が前記真空把持器(26)の前記把持側に取り付けられている、請求項3に記載の把持器組立体(27)。
【請求項5】
前記マスク(36)は、前記真空把持器(26)の磁性側と、前記真空把持器(26)の反対側で前記マスク(36)をカバーする磁性シートとの間に位置する、請求項4に記載の把持器組立体(27)。
【請求項6】
前記コンベヤユニット(14)は、前記真空システム(15)と流体接続した複数の吸引開口(15a)を備え、前記シート材料(12)は、前記真空システム(15)によって吸引開口(15a)を介して空気を吸い込むことで前記コンベヤユニット(14)の上に保持することができ、特に、前記吸引開口(15a)の構成は、処理される前記シート材料(12)のサイズ及び/又は形状に無関係である、請求項1から5のいずれか一項に記載の把持器組立体(27)。
【請求項7】
前記真空システム(15)は、前記真空システム(15)によって前記1又は2以上のブランクに加えられる真空力が、前記真空把持器(26)によって前記1又は2以上のブランクに加えられる真空力よりも小さいように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の把持器組立体(27)。
【請求項8】
シート材料(12)から、特に紙又は段ボールからレイアウト(22)を回収するための装置(10)であって、
請求項1から7のいずれかに記載の把持器組立体(27)であって、前記レイアウト(22)及び廃棄物(28)を備える前記シート材料(12)は、前記把持器組立体(27)の前記コンベヤユニット(14)によって供給され、前記把持器組立体(27)の前記真空把持器(26)は、前記真空把持器(26)を操作する操作ユニット(24)に結合される、把持器組立体(27)と、
前記シート材料(12)から回収された前記レイアウト(22)の1又は2以上のブランク(20)をその上に配置することができるレイアウト保管ユニット(18)と、
を備える装置(10)。
【請求項9】
1又は2以上の追加の真空把持器(26a)をさらに備え、前記追加の真空把持器(26a)の各々は、前記1つ又は2以上の追加の真空把持器(26a)をそれぞれ操作するそれぞれの追加の操作ユニット(24a)に結合する、請求項8に記載の装置(10)。
【請求項10】
前記操作ユニット(24)及び前記追加の操作ユニット(24a)のうちの少なくとも一方は、工業用ロボットを備え、前記工業用ロボットは、予め定められた移動範囲の中でそれぞれの前記真空把持器(26、26a)を操作するようになっている請求項9に記載の装置(10)。
【請求項11】
前記レイアウト保管ユニット(18)は、積み重ねユニットである、請求項8から10のいずれか一項に記載の装置(10)。
【請求項12】
シート材料(12)から、特に紙又は段ボールからレイアウト(22)を回収するための方法であって、
a)コンベヤユニット(14)上にシート材料(12)を供給するステップであって、前記シート材料(12)は、1又は2以上のブランク(20)を有する前記レイアウト(22)及び廃棄物(28)を備え、前記シート材料(12)の前記1又2以上のブランク(20)及び前記廃棄物(28)の両方は、前記コンベヤユニット(14)の真空システム(15)によって前記コンベヤユニット(14)上に保持される、ステップと、
b)前記1又は2以上のブランク(20)を真空把持器(26)で、好ましくは請求項1から7のいずれか一項に記載の把持器組立体(27)の真空把持器(26)でつかむステップであって前記真空把持器(26)で前記レイアウト(22)の前記1又は2以上のブランク(20)に真空力を付与するが、前記真空把持器(26)が前記廃棄物(28)に前記真空力を付与するのを防ぐことによって前記廃棄物(28)とは相互作用しないステップと、を含み、
前記廃棄物(28)と前記1又は2以上のブランク(20)を分離するように、前記真空システム(15)によって前記レイアウト(22)に付与される前記真空力は、前記真空把持部(26)によって前記レイアウト(22)に付与される前記真空力よりも小さい、
法。
【請求項13】
ステップc)の後で、前記ブランク(20)をブランク保管ユニット(18)、特に積み重ねユニットに、又はさらなるコンベヤユニットに移動させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステップb)の間に、前記真空把持器(26)は、前記シート材料(12)の上に配置され、前記真空把持器(26)は、前記廃棄物(28)と協働することなく前記ブランク(20)を選択的につかむ、請求項12又は13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート材料、特に紙又は段ボールからレイアウトを回収するための把持器組立体に関し、把持器組立体は、シート材料を供給するためのコンベヤユニットと、空気流開口のアレイがその上に配置された把持器本体を有する真空把持器とを備え、各開口は、真空力を加えることで少なくともシート材料の一部をつかむようになっている。
【0002】
さらに、本発明は、シート材料、特に紙又は段ボールからレイアウトを回収するための装置に関し、装置は、上記のタイプの把持器組立体を備え、把持器組立体の真空把持器は、操作ユニットに結合されており、装置は、シート材料から回収されたレイアウトの1又は2以上のブランクをその上に配置することができるレイアウト保管ユニットをさらに備える。
【0003】
加えて、本発明は、シート材料、特に紙又は段ボールの廃棄物からレイアウトを分離するための方法に関する。
【背景技術】
【0004】
紙又は段ボールから作られている製品のために製造ラインにおいて、通常、単一シート又はウェブの形態のシート材料が供給される。次に、このシート材料は、例えばレーザー切断機で切断されるが、シート材料の全ての部分が最終製品に必要なわけではない。従って、最終製品に必要ない部分(いわゆる廃棄物)から最終製品に必要な部分(いわゆるレイアウト)を分離する必要がある。
【0005】
正確には、レイアウトは、シート材料の使用可能部分と定義され、これは、一般に複数のブランクで構成される。分離プロセスは、剥離又は打抜きとも呼ばれる。
【0006】
紙製品及び段ボール製品は益々個別化しているので、顧客は、多種多様な紙又は段ボール製品の製造を要求するが、品種ごとに製作される製品は比較的少ない。
【0007】
従って、紙又は段ボール製品の製造業者は、小バッチ又は小ロットサイズの紙又は段ボール製品を経済的に製造する立場にあることを余儀なくされる。換言すると、短時間運転が経済的である。
【0008】
対応する製造機械に関する限り、把持器組立体及び装置は連結され、新規な又は後続の製造バッチのために機械を準備するための短いセットアップ時間が必須である。2つの異なるバッチの製造の間で、切替時間はできるだけ短くする必要がある。
【0009】
一方で、これらの要件は、一般にレーザー切断機を使用する紙又は段ボール切断の分野を満たしており、剥離又は打抜きのセットアップ時間及び切替時間は、依然として比較的長い。
【0010】
また、工具は剥離されるレイアウトに特別に適合する必要があるので、公知の剥離又は打抜き装置の工具費は比較的高い。このような工具の代替手段は手動操作であろうが、これはコストの観点から著しい利点をもたらさない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、小バッチ製造に適する、すなわち短いセットアップ時間及び短い切替時間をもたらす、把持器組立体、シート材料からレイアウトを分離するための装置、及び対応する方法を提供することである。これは、小バッチ製造が他に負けないコスト、すなわち低コストで実現されるであろうことを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この問題は、請求項1の把持器組立によって解決される。真空システムを有するコンベヤユニットは、あらゆる形状及びサイズのシート材料の安全な搬送を可能にする。加えて、このようなコンベヤユニットは、正確な方法でシート材料を関連する真空把持器に供給することができる。さらに、コンベヤユニットは、既存の又は計画された物流にスムーズの統合することができる。真空把持器が関連する限り、レイアウトに関連する空気流開口は、レイアウトの1又は2以上のブランクのサイズとすることができるが、廃棄物に関連する空気流開口はこれと協働しないことになる。このために、レイアウトに関連する空気流開口及び廃棄物に関連する空気流開口の決定は、能動的なプロセスであり、これは実際の把持操作が始まる前に行われる。これにより、レイアウトは、廃棄物から容易に分離することができる。真空把持器は、対応する空気流開口を選択的に開放しかつ廃棄物に関連する全ての空気流開口を選択的に閉鎖することで、対応する廃棄物から分離されるレイアウトの幾何学的形状に特に適合される。これは簡単かつ迅速に行うことができ、短いセットアップ時間及び短い切替時間を可能にする。結果として、このような真空把持器は、妥当なコストで少量の個別化された紙又は段ボール製品の製造に最適である。
【0013】
本発明による把持器組立体は、単一シート又はウェブの形態で提供されるシート材料に用いることができる。上述の効果及び利点は、両方の変形例で得ることができる。真空把持器を単一シートの形態のシート材料に用いることが好ましい。このような材料は、切断されたシート材料を指す。
【0014】
通常、把持器組立体で処理されることになるシート材料は、事前に切断機で処理され、ここでは、レイアウトと廃棄物との間の境界が切断される。換言すると、把持器組立体は、シート材料の進行方向に関して切断機の下流に配置される。好ましくは、切断機はレーザー切断機である。
【0015】
これに関連して、把持器組立体のコンベヤユニットはレーザー切断機と共用することができる、すなわち切断機及び把持器組立体において同じコンベヤユニットが使用される。
【0016】
紙又は段ボール以外に、真空把持器は、ポリマー、中質繊維板、又は何らかの他の可撓性材料から作られたシート材料の操作にも適する。
【0017】
隣接する空気流開口の間の距離又はアレイのメッシュサイズは、レイアウトの幾何学的要素に比べて小さくなるように選択することができる。結果的に、レイアウトの小さな、細身の、又は特殊な形状の幾何学的要素は、確実な方法で真空把持器によってつかむことができる。正確には、各幾何学的要素は、比較的多数の空気流開口によってつかまれる。加えて、小さなメッシュサイズは、シート材料の特定の領域に適用できる真空力を高めることができる。従って、比較的重い又は厚いシート材料を処理することができる。
【0018】
好ましくは、空気流開口のアレイは、真空把持器で操作される予め定められた最大判型(maximum format)のシート材料をカバーする。結果的に、上述のように空気流開口を選択的に閉鎖及び開放することで、最大判型の外側境界の中に適合する限り、何らかの種類の幾何学的形状のレイアウトを残りの廃棄物から分離することができる。このような真空把持器は、多種多様な段ボール又は紙製品に用いられる傾向にある。
【0019】
シート材料が単一シートの形態で提供される場合、シート材料の最大判型は、真空把持器で処理される単一シートの最大判型に対応する。
【0020】
本発明の一実施形態では、空気流開口のアレイは把持器本体の把持側に配置され、把持側はマスクを備え、マスクは、選択的に廃棄物に関連する空気流開口をカバーし、選択的にレイアウトの1又は2以上のブランクに関連する空気流開口を妨げない。これは、マスク上に除去(cut-out)領域が設けられることを意味し、この除去領域は空気流開口をカバーしない。この除去領域は、実質的にレイアウトの1又は2以上のブランクの幾何学的形状に対応する。マスクの残りの領域、従って廃棄物に対応する領域は、選択的に対応する空気流開口をカバーする、すなわち閉鎖する。これに関連して、「妨げない」は、真空把持器のつかむ機能が、これらの開口に関して維持されることを意味する。結果的に、真空は、廃棄物ではなくブランクのみに適用される。異なる幾何学的形状のレイアウトに対して異なるマスクを提供することができる。従って、高度に個別化された製品では、適切なマスクがあらゆる作業に提供される。後続の作業のために把持器を準備する場合、マスクの交換だけが必要とされ、この交換は工具を使用することなく行われる。このプロセスは、迅速に行うことができ、短いセットアップ時間及び短い交換時間が可能になる。コンベヤユニットは、作業の変更時に適合させる必要はない。これは、把持器組立体で処理される全ての種類の作業に例外なく適している。
【0021】
マスクは、シート材料から、特に段ボール又はプラスチック材のシートから製作することができる。ソリッドシートを発端として、レーザー切断機は、特定の作業に適するマスクを製作するために使用することができる。このために、レーザー切断機は、手動又は自動で装着することができる。自動の場合、これに取り付けられた把持器を備えるロボットは、未加工マスクの積み重ねからシートを抜き取り、これを切断領域に置くことができる。
【0022】
結果的に、マスクを製作するために及びシート材料を処理するために同じ切断機を利用することが可能になり、シート材料は、その後、このマスクを備える真空把持器と相互作用する。従って、マスクを製作するための特別な機械は必要ない。
【0023】
また、マスクのための保管ユニットを備えることができ、様々な幾何学的形状のマスクは、真空把持器で使用されない期間に保管することができる。
【0024】
真空把持器のマスクを交換するために、把持器は、取り付け位置を取ることができ、これは、オペレータのアクセスしやすさで特徴付けされる。次に、オペレータは、手動でマスクを交換することができる。
【0025】
好都合には、真空把持器の把持側は磁性があり、特に、磁性カバーが真空把持器の把持側に取り付けられている。このような磁性カバーは、磁性シートの形態とすることができ、空気流開口のいずれも妨げない。結果的に、これは、真空把持器の機能を妨害しない。磁性カバーは、把持器の把持側に接着すること又は何らかの他の手段でこれに取り付けることができる。このような把持器は、磁気的手段でマスクをこれに対して取り付ける可能性をもたらす。これにより、マスクの簡単かつ迅速な交換が可能になる。
【0026】
これに関連して、マスクは、真空把持器の磁性側と、真空把持器の反対側でマスクをカバーする磁性シートとの間に位置することができる。従って、マスクは、把持器本体に確実な方法で取り付けられるが、依然として簡単にアクセスすることができる。好ましくは、磁性シートには穴が設けられ、この穴は把持器の各空気流開口に対向し配置される。従って、真空把持器の機能は、磁性シートによって阻害されない。好都合には、マスクは、非磁性材料で作ることができる。磁性シートの代替案として、真空把持器の反対側でマスクをカバーする磁性グリッドを設けることができる。両方の代替案、すなわち磁性シート及び磁性グリッドにおいて、マスクは、上述のように手動で交換することができる。
【0027】
もしくは、マスクの半自動交換が可能である。これに関連して、磁性シートは、正確な位置に保管され、オペレータは、磁性シート上で把持器上に取り付けられることになるマスクを手動で配置する。前のマスクを把持器から取り外した後、磁性シートが把持器に磁気的に引き付けられるように、把持器は自動的に磁性シートの垂直方向上方の位置に移動される。結果的に、マスク及び磁性シートは、把持器に取り付けられる。
【0028】
また、マスクを全自動で交換することもできる。その準備として、オペレータは、磁性シート及び現在のマスクを把持器から取り外す。その後、新しいマスクは、真空把持器の機能を利用して把持器によってつかまれる。これは、廃棄物に関連する空気流開口が、マスクをつかんでこれを把持器に取り付けるために使用されることを意味する。次に、この場合も正確な位置に保管された磁性シートは、磁性シートが磁気的に引き付けられて把持器上に保持されるように、把持器を磁性シートの垂直方向上方の位置に移動させることで、把持器に取り付けられる。
【0029】
新しい又は異なるマスクが把持器に取り付けられるときはいつでも、マスクは、汚染を伴わない、特にマスクの製造プロセスに起因する廃棄物を伴わない。さもなければ、小さな廃棄物小片が磁性シートと真空把持器との間に詰まる可能性があり、望ましくない又は制御できない方法で空気流開口を塞ぐ。これは避ける必要がある。
【0030】
マスクが廃棄物小片で汚染されるリスクは、回収されるレイアウトの幾何学的形状に従ってマスクを切断する切断プロセス、例えばレーザー切断プロセスの直後で特に高い。マスクから廃棄物小片を取り除くために、マスクから廃棄物小片を分離する空気ジェットで処理することができる。もしくは、マスクの切断プロセスの間に、マスクが切断されるシート材料の廃棄物部分は、詰まることなく真空把持器の真空チャンバを通って吸い込まれるように十分に小さな要素に切り込むことができる。この場合、把持器の機能を阻害するリスクはない。また、マスクが非平面コンベヤベルト上で切断される場合、このような小さな廃棄物小片は、コンベヤベルトに落ちるか又は詰まることなくコンベヤベルトを通って吸い込まれるであろう。
【0031】
コンベヤユニットは、真空システムに流体接続された複数の吸引開口を備えることができ、シート材料は、真空システムによって吸引開口を介して空気を吸い込むことで、コンベヤユニット上に保持できるようになっている。特に、吸引開口の構成は、処理されるシート材料のサイズ及び/又は形状に無関係である。また、これは、吸引開口の構成が、1又は2以上のブランク、すなわちレイアウトのサイズ及び/又は形状に無関係であることを意味する。換言すると、コンベヤユニットは、例外なくあらゆる種類のレイアウトを構成するあらゆる種類のシート材料に適している。その結果として、コンベヤユニットは、把持器組立体を新しい作業に適合させる際に何らかの変更を必要としない。従って、変更時間及び対応する尽力が低減される。
【0032】
さらに、真空システムは、真空システムによって1又は2以上のブランクに加えられる真空力が、真空把持器によって1又は2以上のブランクに加えられる真空力よりも小さいように構成される。従って、真空把持器は、コンベヤユニットによって保持されるブランクをつかんで移動させることができる。換言すると、真空把持器は、コンベヤユニットからブランクを分離することができる。
【0033】
加えて、上記の問題は請求項8による装置によって解決される。このような装置に関して、真空把持器に関して説明した効果及び利点は、準用される。これは、このような装置が、短いセットアップ時間及び短い切替時間を提供することができ、その結果として個別化された紙又は段ボール製品の製作によく適していることを意味する。さらに、このような装置は、真空把持器によって複数のブランクをつかむことができるので、レイアウトを構成するブランクの数に無関係である。これは、短い全処理時間及び比較的低いコストをもたらす。
【0034】
本発明による把持器組立体は、単一シート又はウェブの形態で提供されるシート材料に用いることができるので、本発明による装置は、同様に両方の代替案に用いることができる。
【0035】
このような装置との関連において、好ましくは、いわゆるニックポイント(nick point)、すなわち物理的にレイアウトを廃棄物に結合するシート材料の小さなブリッジ様の要素によって、レイアウトと廃棄物を結び付ける必要はない。換言すると、ニックポイントは、レイアウトと廃棄物との間のブリッジを生成するための切断線における小さな途切れである。結果的に、打抜きプロセスの間に、このようなニックポイントを破断する必要はない。これは、通常、破断されたニックポイントの端部に現れる小さな突起がないので紙又は段ボール製品の高い光学的品質をもたらす。
【0036】
このような装置の使用は、レーザー切断機と組み合わせる場合に特に適切である。上述のように、レーザー切断機は、短いセットアップ時間及び切替時間の利点を有する。本発明による装置も同様である、結果的に、概して連続する生産フローは、本発明によるレーザー切断機及び装置を用いて達成することができる。これは、時間単位当たりの高い生産量につながり、これはいわゆる短時間運転に特に当てはまる。
【0037】
装置は、1又は2以上の追加の真空把持器を備えることができ、追加の真空把持器の各々は、それぞれの追加の操作ユニットに結合する。従って、複数の真空把持器は、シート材料からレイアウトを回収するために並行して使用することができる。結果的に、打抜きプロセスは、高速で実行することができる。これは、時間単位当たりの高い生産量につながる。真空把持器の数は、一般に制限されず、具体的な事例に応じて選択することができる。
【0038】
複数の真空把持器は、1つのコンベヤユニット及び1つのシート保管ユニットと協働することができる。この構成において、真空把持器及び対応する操作ユニットは、コンベヤユニットの反対側に又は同じ側、例えば左右側に配置することができる。そうすることで装置のコンパクト設計を実現することができる。
【0039】
変形例では、操作ユニット及び追加の操作ユニットのうちの少なくとも一方は、工業用ロボットを備え、これは、予め定められた移動範囲の中でそれぞれの真空把持器26を操作するようになっている。例えば、6軸工業用ロボットアーム又は2軸ピックアンドプレースロボットを使用することができる。
【0040】
コンベヤユニットは、レーザー切断機の製品出力領域に直接、結合することができ、シート材料は、迂回することなくコンベヤユニット上に配置される。また、操作ユニット及び1又は2以上真空把持器は、移動コンベヤユニットと協働するよう構成することができる。結果的に、剥離プロセスは、シート材料が一定速度で移動する間に実行することができる。これは、短い全処理時間をもたらす。
【0041】
ブランク保管ユニットは、積み重ねユニットとすることができる。これは、シート材料から回収されるブランクが、互いの上に積み重ねられることを意味する。レイアウトが2以上のブランクを備える場合、異なるブランクは、同じ幾何学的形状又は種類のブランクが互いの上に積み重ねられるように保管することができる。
【0042】
加えて、上記の問題は、請求項12による方法によって解決される。結果的に、打抜又は剥離プロセスは、簡単かつ迅速な方法で実行することができる。これは、このようなプロセスの利益性を高める。
【0043】
ステップc)の後で、ブランクは、ブランク保管ユニット、特に積み重ねユニットに、又はさらなるコンベヤユニットに移動することができる。ブランク保管ユニットに関して上述した効果及び利点が参照される。
【0044】
把持器組立体及び装置に関して上述したように、本方法は、単一シート及びウェブの形態で提供されるシート材料を用いて実行することができる。
【0045】
紙又は段ボールから作られているシート材料に加えて、本発明による方法は、ポリマー、中質繊維板、又は何らかの他の可撓性材料から作られたシート材料を処理するのにも適する。
【0046】
代替案として、真空把持器は、ステップb)の間にシートの上に配置され、把持器は、廃棄物と協働することなくブランクを選択的につかむ。これにより、真空把持器は、正確な方法でブランクをつかむことができる。従って、本方法は、非常に小さな又は繊細な部分を有するレイアウトにも適する。
【0047】
本発明は、添付図面に示されている複数の実施形態を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】本発明の第1の実施形態による、シート材料からレイアウトを回収するための装置の概略図を示し、シート材料も示されている。
図2図1による装置で処理することができる例示的なシート材料を示す。
図3】本発明の第2の実施形態による、シート材料からレイアウトを回収するための装置の概略図を示す。
図4図3の方向IVから見た図3の装置を示す。
図5】シート材料と相互作用する間の本発明による把持器組立体の真空把持器を示す。
図6】シート材料と真空把持器のマスクとの間の相互作用を概略的に示す。
図7】本発明の第2の実施形態による把持器組立体の真空把持器を分解組立図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1において、シート材料12からレイアウトを回収するための装置10が示されている。装置は、紙又は段ボールから作られているシート材料12と協働する。
【0050】
シート材料12は、図示の例ではコンベヤベルトであるコンベヤユニット14上に供給される。コンベヤベルトは、矢印16で示す方向に移動する。
【0051】
コンベヤユニット14は、コンベヤユニット14上の対応する表面上でシート材料12を保持するための真空システム15を備える。
【0052】
このため、コンベヤユニット14は、複数の吸引開口15aを備え、吸引開口15aは、これを介して空気を吸引することでシート材料12を保持することができるように、真空システム15に流体接続される(良く見えるように、吸引開口15aの一部だけが参照符号で指定されている)。
【0053】
さらに、装置10は、シート材料12から回収された1又は2以上のレイアウト22のブランク20をその上に配置することができるレイアウト保管ユニット18を備える。本例の場合、レイアウト保管ユニット18は、いわゆる積み重ねユニットである。このことは、レイアウト保管ユニット18内でレイアウト22のブランク20が互いの上に積み重ねられることを意味する。
【0054】
加えて、装置10は、真空把持器26が結合される操作ユニット24を有する。操作ユニット24及び対応する真空把持器26は、A、B、及びCで指示する3つの異なる場所に示されている。
【0055】
単に概略的な方法で示されている操作ユニット24は、工業用ロボットを備えることができ、これは、予め定められた移動範囲の中でそれぞれの真空把持器26を操作するようになっている。
【0056】
コンベヤユニット14及び真空把持器26は、把持器組立体27を形作る。
【0057】
シート材料12の廃棄物28からレイアウト22を分離する方法は、装置10によって実行することができる。換言すると、剥離又は打抜き方法が実行される。
【0058】
図2には、4つのブランク20を含むレイアウト22及び廃棄物28を備える例示的なシート材料12が示されている。
【0059】
方法の第1のステップにおいて、シート材料12を準備する。
【0060】
次に、レイアウト22ブランク20を真空把持器26でつかむ(図1の場所A参照)。そのために、真空把持器26をシート材料12の上に配置し、レイアウト22のみをつかむ。
【0061】
真空把持器26は、廃棄物28と相互作用しない。
【0062】
その後、図1の場所Bに示すように、レイアウト22を廃棄物28から分離する。本例では、レイアウト22を真空把持器26によって持ち上げ、一方で、廃棄物28をコンベヤユニット14上に留める。
【0063】
このことは、真空システム15によってレイアウト22に加えられる真空力が真空把持器26によってレイアウト22に加えられる真空力よりも小さいように、真空システム15が構成されるので可能となる。
【0064】
その後、真空把持器26を、場所Cに移動させ、ここでは真空把持器26はブランク保管ユニット18の上に位置する。ブランク20を、ブランク保管ユニット18の上に積み重ねるか又はすでにその上に位置する他のブランク20の上に積み重ねる。その後、真空把持器26とブランク20との間の相互作用が終了し、真空把持器26は、操作ユニット24によって場所Aに後退することができる。
【0065】
図3及び4は、装置10の第2の実施形態を示す。この実施形態は、個別の追加の操作ユニット24aに結合されている、追加の真空把持器26aを備える点で上記の実施形態とは異なる。
【0066】
両方の真空把持器26、26aは、1つのコンベヤユニット14及び1つのレイアウト保管ユニット18と協働する。
【0067】
真空把持器26、26aは、2つの別形に従って作動することができる。両方の真空把持器26、26aのいずれも1つのシート材料12の異なる部分と協働し、ある意味で、真空把持器26は、レイアウトの第1の部分を捕らえてこれをレイアウト保管ユニット18上に載せ、追加の真空把持器26aは、レイアウトの残りの第2の部分を捕らえてこれをレイアウト保管ユニット18上に置く。もしくは、コンベヤユニット14で供給される1つおきのシート材料12を真空把持器26で処理し、別の1つおきのシート材料12を追加の真空把持器26aで処理することができる。
【0068】
図3に示すように、両方の別形において、両方の真空把持器26、26aは、同じ軌道30に沿って動作することができる。
【0069】
第2の実施形態でレイアウトをシート材料の廃棄物から分離する方法の実施に関連する限りにおいて、上記の説明は類似の方法で適用される。
【0070】
図5から7において、真空把持器26が詳細に示されている。また、例示的なシート材料12も示されている。追加の真空把持器26aは同一でありその説明は省略される。
【0071】
真空把持器26は、把持器本体32を備える。その把持側には、空気流開口34a、34bのアレイが配置される(良く見えるように、空気流開口34a、34bの一部だけが参照符号で指定されている)。空気流開口34a、34bの各々は、少なくともシート材料12の一部をつかむようになっている。
【0072】
図5及び6から分かるように、レイアウト22と関連する、すなわちレイアウト22の1又は2以上のブランク20と関連する空気流開口34aだけが開いている。残りの空気流開口34bは、マスク36でカバーされているので閉じている。その際、マスク36は、レイアウト22に関連する空気流開口34aを妨げない。
【0073】
そのため、真空把持器26は、レイアウト22の幾何学的形状に適合し、シート材料12の上に配置されると、ブランク20だけをつかむことができる。廃棄物28は、真空把持器26によって引き付けられない。従って、このような真空把持器26は、レイアウト22を廃棄物28から分離するのに適合する。
【0074】
空気流開口34a、34bのアレイは、真空把持器26によって操作されることになるシート材料12の予め定められた最大判型をカバーする。
【0075】
空気流開口34a、34bのアレイは、回収されることになるレイアウト22の幾何学的形状に比較した場合、小さなメッシュである。従って、マスク36をレイアウト22の幾何学的形状に適用することで、真空把持器は、多種多様の様々なタイプのレイアウト22を回収するのに適する。
【0076】
図7には、真空把持器26のさらなる実施形態が示されている。この実施形態において、真空把持器26は磁性がある、詳細には、磁性カバー38が、真空把持器26の把持側に例えば接着によって取り付けられている。
【0077】
マスク36は、ここでは、磁性カバー38と磁性シート40との間に位置し、これにより真空把持器26にしっかりと取り付けられる。
【0078】
マスク36は、非磁性材料から作られているので、磁性シート40を真空把持器26から分離して異なるマスク36を磁性カバー38の上に配置することで容易に交換することができる。
【0079】
図面から分かるように、穴のアレイが磁性カバー38及び磁性シート40の両方に設けられている。これらの穴のアレイは、空気流開口34a、34bのアレイに対応する。その結果、磁性カバー38又は磁性シート40のいずれも空気流開口34a、34bを塞ぐ又は妨げることはない。従って、真空把持器26を異なる幾何学的形状のレイアウト22に適応する場合、磁性カバー38又は磁性シート40を交換する又は適合させる必要はない。
【0080】
これらの構造的相違点とは別に、第2の実施形態による真空把持器26の機能性は、図5及び6を参照して説明した真空把持器26と相違しない。
【符号の説明】
【0081】
12 シート材料
14 コンベヤユニット
15 真空システム
20 ブランク
22 レイアウト
26 真空把持器
27 把持器組立体
28 廃棄物
32 把持器本体
34a、34b 空気流開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7