(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電気外科手術用患者パッドモニタ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2021568323
(86)(22)【出願日】2020-05-13
(86)【国際出願番号】 US2020032709
(87)【国際公開番号】W WO2020232146
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2019-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510236656
【氏名又は名称】クーパーサージカル・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CooperSurgical, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】アビラ アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】グラバーソン ジョン
【審査官】宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-229050(JP,A)
【文献】米国特許第05496313(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0172660(US,A1)
【文献】特表平08-503381(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/00
A61B 18/12 - A61B 18/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作信号を出力するよう構成された第一の発生器;
アクティブ電極と
患者パッドと
を含む、該操作信号のための経路;および
測定信号を出力するよう構成された第二の発生器と
変圧器の一次側で該測定信号を受け取るように構成され、かつ該変圧器の二次側で該操作信号を受け取るように構成され、該変圧器の該二次側が該患者パッドに接続されている、該変圧器と
変流器の一次側で該変圧器の該二次側に接続された、該変流器であって、該変流器により、該変流器の該一次側の、該変圧器の該二次側への接続に基づいて、該変圧器の該二次側により該患者パッドに誘導された電流が測定される、該変流器と
複数のフィルタと
を含む、該患者パッドの複素インピーダンスを測定するよう構成された回路
を含む電気外科手術システム。
【請求項2】
変圧器が共振変圧器である、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項3】
変圧器が、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有する、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項4】
変圧器が3~40の範囲のQ値を有する、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項5】
変流器が、2つの一次側および1つの二次側を有する、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項6】
変流器の二次側が、該変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と該変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されている、請求項5記載の電気外科手術システム。
【請求項7】
複素インピーダンスが負荷によって提供され、かつ0~10,000オームの範囲にわたる、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項8】
測定信号の周波数が固定されている、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項9】
測定信号の周波数が、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されている、請求項8記載の電気外科手術システム。
【請求項10】
測定信号の周波数が136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されている、請求項8記載の電気外科手術システム。
【請求項11】
操作信号が494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有する、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項12】
回路が、
変圧器に関連する複素励磁電圧を測定するよう構成された電圧チャネル、および
変流器に関連する複素誘導電流を測定するよう構成された電流チャネル
をさらに含む、請求項1記載の電気外科手術システム。
【請求項13】
複素インピーダンスが、複素励磁電圧を複素誘導電流で割ることによって算出される、請求項12記載の電気外科手術システム。
【請求項14】
電圧チャネルが、
バンドパスフィルタの第一のセット、
第一の同期復調器、および
ローパスフィルタの第一のセット
を含み、電流チャネルが、
バンドパスフィルタの第二のセット、
第二の同期復調器、および
ローパスフィルタの第二のセット
を含む、請求項12記載の電気外科手術システム。
【請求項15】
第一の同期復調器が、第一の参照信号と第二の参照信号を順次受け取るよう構成されており、該第一の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が経験する位相差に対して、該第二の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が90度の位相差を経験する、請求項14記載の電気外科手術システム。
【請求項16】
電気外科手術システムの第一の発生器
が操作信号を生成する
動作であって、該操作信号が、アクティブ電極と患者パッドとを含む経路に沿って伝搬するよう構成されている、前記
動作;
該電気外科手術システムの第二の発生器
が測定信号を生成する
動作であって、該第二の発生器が回路の一部であり、該回路が
変圧器の一次側で該測定信号を受け取るように構成され、かつ該変圧器の二次側で該操作信号を受け取るように構成され、該変圧器の該二次側が該患者パッドに接続されている、該変圧器、
変流器の一次側で該変圧器の該二次側に接続された、該変流器、および
複数のフィルタ
をさらに含む、前記
動作;
該変圧器に関連付けられた電圧チャネル
が複素励磁電圧を測定する
動作;
該変流器に関連付けられた電流チャネル
が複素誘導電流を測定する
動作であって、該複素誘導電流が該変流器の該一次側の、該変圧器の該二次側への接続に基づく、前記
動作;ならびに
コンピューティングデバイスが該複素励磁電圧を該複素誘導電流で割って、複素インピーダンス値を算出する
動作
を含む、患者パッドの複素インピーダンスをモニタするための方法。
【請求項17】
コンピューティングデバイスが複素インピーダンス値を抵抗しきい値と比較する
動作をさらに含む、請求項16記載の方法。
【請求項18】
変圧器が共振変圧器である、請求項16記載の方法。
【請求項19】
変圧器が、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有する、請求項16記載の方法。
【請求項20】
変圧器が3~40の範囲のQ値を有する、請求項16記載の方法。
【請求項21】
変流器が、2つの一次側および1つの二次側を有する、請求項16記載の方法。
【請求項22】
変流器の二次側が、該変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と該変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されている、請求項16記載の方法。
【請求項23】
複素インピーダンスが負荷によって提供され、かつ0~10,000オームの範囲にわたる、請求項16記載の方法。
【請求項24】
測定信号の周波数が固定されている、請求項16記載の方法。
【請求項25】
測定信号の周波数が、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されている、請求項24記載の方法。
【請求項26】
測定信号の周波数が136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されている、請求項24記載の方法。
【請求項27】
操作信号が494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有する、請求項16記載の方法。
【請求項28】
電圧チャネルが、
バンドパスフィルタの第一のセット、
第一の同期復調器、および
ローパスフィルタの第一のセット
を含み、電流チャネルが、
バンドパスフィルタの第二のセット、
第二の同期復調器、および
ローパスフィルタの第二のセット
を含む、請求項16記載の方法。
【請求項29】
第一の同期復調器が、第一の参照信号と第二の参照信号を順次受け取るよう構成されており、該第一の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が経験する位相差に対して、該第二の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が90度の位相差を経験する、請求項28記載の方法。
【請求項30】
自己校正のために開回路状態、固定抵抗状態、および短絡状態のそれぞれが用いられる、請求項28記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、幅広い外科分野にわたって使用される電気外科手術システムに関する。
【背景技術】
【0002】
背景
電気外科手術では、生体組織の切開、凝固、乾燥、または放電凝固などを行うために、高周波(例えば、無線周波数)の交番極性電流を生体組織に適用する。電気外科手術システムでは、電極を1つ(モノポーラ)または2つ(バイポーラ)備えた器具に接続された高周波(HF)発生器によって電流を生成する。モノポーラ器具を含む構成では、外科手術のために器具のアクティブ電極に通電し、患者の体の別の場所に配置された拡散電極が電流を拡散させて下部組織の熱傷を防止する。HF発生器によって生成される電流のレベルが潜在的に危険であることから、電気外科手術システムの電気的特性、例えば、システムの拡散電極に関連する構成要素(例えば、患者パッド)のインピーダンスがモニタされる。
【発明の概要】
【0003】
概要
記載されるシステムおよび技術は、広い抵抗範囲(例えば、0Ω~1,000Ωまたは0Ω~10,000Ω)にわたる、電気外科手術システムの電気的特性、例えば、患者パッドのインピーダンスの正確かつ信頼性の高い測定を提供することによって、電気外科手術システムの安全性を改善することができる。さらに、記載されるシステムおよび技術は、モニタリング信号と、電気外科手術システムのHF発生器によって生成される信号との間の干渉により生じるうなり周波数の存在を制限することができる。例えば、患者パッドのインピーダンスを測定することによって、外科手術者または検査技師は、患者と電気外科手術システムの拡散電極との間の均一かつ直接的な接続を確実に維持することができ、したがって熱傷のリスクが減少する。
【0004】
一局面において、電気外科手術システムは、操作信号を出力するよう構成された第一の発生器を含む。本システムはまた、操作信号のための経路を含み、該経路はアクティブ電極と患者パッドとを含む。本システムはまた、患者パッドの複素インピーダンスを測定するよう構成された回路を含む。前記回路は、測定信号を出力するよう構成された第二の発生器を含む。本システムはまた、変圧器、変流器、および複数のフィルタを含む。
【0005】
以下の特徴の1つまたは複数が実施形態に含まれてもよい。変圧器は共振変圧器であってもよい。変圧器は、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有する。変圧器は3~40の範囲のQ値を有してもよい。変流器は2つの一次側および1つの二次側を有してもよい。変流器の二次側は、変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されてもよい。複素インピーダンスは負荷によって提供されてもよく、かつ0~10,000オームの範囲にわたる。測定信号の周波数は固定されてもよい。測定信号の周波数は、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されてもよい。測定信号の周波数は136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されてもよい。操作信号は494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有してもよい。回路は、(i)変圧器に関連する複素励磁電圧を測定するよう構成された電圧チャネル、および(ii)変流器に関連する複素誘導電流を測定するよう構成された電流チャネルを含んでもよい。複素インピーダンスは、複素励磁電圧を複素誘導電流で割ることによって算出されてもよい。
【0006】
別の局面において、患者パッドの複素インピーダンスをモニタするための方法は、電気外科手術システムの第一の発生器によって操作信号を生成する工程を含む。操作信号は、アクティブ電極と患者パッドとを含む経路に沿って伝搬するよう構成されている。本方法はまた、第二の発生器によって測定信号を生成する工程を含む。第二の発生器は回路の一部であり、該回路は変圧器、変流器、および複数のフィルタをさらに含む。本方法はまた、変圧器に関連付けられた電圧チャネルによって複素励磁電圧を測定する工程を含む。本方法はまた、変流器に関連付けられた電流チャネルによって複素誘導電流を測定する工程、および複素励磁電圧を複素誘導電流で割って、複素インピーダンス値を算出する工程を含む。
【0007】
以下の特徴の1つまたは複数が実施形態に含まれてもよい。前記方法は、複素インピーダンス値を抵抗しきい値と比較する工程をさらに含んでもよい。変圧器は共振変圧器であってもよい。変圧器は、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有してもよい。変圧器は3~40の範囲のQ値を有してもよい。変流器は2つの一次側および1つの二次側を有してもよい。変流器の二次側は、変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されてもよい。複素インピーダンスは負荷によって提供されてもよく、0~10,000オームの範囲である。測定信号の周波数は固定されてもよい。測定信号の周波数は、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されてもよい。測定信号の周波数は136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されてもよい。操作信号は494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有してもよい。電圧チャネルは、バンドパスフィルタの第一のセット、第一の同期復調器、およびローパスフィルタの第一のセットを含んでもよい。電流チャネルは、バンドパスフィルタの第二のセット、第二の同期復調器、およびローパスフィルタの第二のセットを含んでもよい。第一の同期復調器は、第一の参照信号と第二の参照信号を順次受け取るよう構成されており、第一の参照信号を受け取ったときに第一の同期復調器が経験する位相差に対して、第二の参照信号を受け取ったときに第一の同期復調器は90度の位相差を経験する。自己校正のために開回路状態、固定抵抗状態、および短絡状態が用いられてもよい。
【0008】
これらおよび他の局面、特徴、ならびに種々の組み合わせは、方法、装置、システム、機能を実行するための手段、プログラム製品などとして表現されてもよい。
【0009】
他の特徴および利点は、本明細書および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
[本発明1001]
操作信号を出力するよう構成された第一の発生器;
アクティブ電極と
患者パッドと
を含む、該操作信号のための経路;および
測定信号を出力するよう構成された第二の発生器と
変圧器と
変流器と
複数のフィルタと
を含む、該患者パッドの複素インピーダンスを測定するよう構成された回路
を含む電気外科手術システム。
[本発明1002]
変圧器が共振変圧器である、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1003]
変圧器が、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有する、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1004]
変圧器が3~40の範囲のQ値を有する、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1005]
変流器が、2つの一次側および1つの二次側を有する、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1006]
変流器の二次側が、該変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と該変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されている、本発明1005の電気外科手術システム。
[本発明1007]
複素インピーダンスが負荷によって提供され、かつ0~10,000オームの範囲にわたる、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1008]
測定信号の周波数が固定されている、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1009]
測定信号の周波数が、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されている、本発明1008の電気外科手術システム。
[本発明1010]
測定信号の周波数が136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されている、本発明1008の電気外科手術システム。
[本発明1011]
操作信号が494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有する、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1012]
回路が、
変圧器に関連する複素励磁電圧を測定するよう構成された電圧チャネル、および
変流器に関連する複素誘導電流を測定するよう構成された電流チャネル
をさらに含む、本発明1001の電気外科手術システム。
[本発明1013]
複素インピーダンスが、複素励磁電圧を複素誘導電流で割ることによって算出される、本発明1012の電気外科手術システム。
[本発明1014]
電圧チャネルが、
バンドパスフィルタの第一のセット、
第一の同期復調器、および
ローパスフィルタの第一のセット
を含み、電流チャネルが、
バンドパスフィルタの第二のセット、
第二の同期復調器、および
ローパスフィルタの第二のセット
を含む、本発明1012の電気外科手術システム。
[本発明1015]
第一の同期復調器が、第一の参照信号と第二の参照信号を順次受け取るよう構成されており、該第一の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が経験する位相差に対して、該第二の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が90度の位相差を経験する、本発明1014の電気外科手術システム。
[本発明1016]
電気外科手術システムの第一の発生器によって操作信号を生成する工程であって、該操作信号が、アクティブ電極と患者パッドとを含む経路に沿って伝搬するよう構成されている、前記工程;
第二の発生器によって測定信号を生成する工程であって、該第二の発生器が回路の一部であり、該回路が
変圧器、
変流器、および
複数のフィルタ
をさらに含む、前記工程;
該変圧器に関連付けられた電圧チャネルによって複素励磁電圧を測定する工程;
該変流器に関連付けられた電流チャネルによって複素誘導電流を測定する工程;ならびに
該複素励磁電圧を該複素誘導電流で割って、複素インピーダンス値を算出する工程
を含む、患者パッドの複素インピーダンスをモニタするための方法。
[本発明1017]
複素インピーダンス値を抵抗しきい値と比較する工程をさらに含む、本発明1016の方法。
[本発明1018]
変圧器が共振変圧器である、本発明1016の方法。
[本発明1019]
変圧器が、1つの一次側と、2つの二次側、または単一のセンタータップ付き二次側とを有する、本発明1016の方法。
[本発明1020]
変圧器が3~40の範囲のQ値を有する、本発明1016の方法。
[本発明1021]
変流器が、2つの一次側および1つの二次側を有する、本発明1016の方法。
[本発明1022]
変流器の二次側が、該変流器の第一の一次側に対応する第一の電流と該変流器の第二の一次側に対応する第二の電流との和を測定するよう構成されている、本発明1016の方法。
[本発明1023]
複素インピーダンスが負荷によって提供され、かつ0~10,000オームの範囲にわたる、本発明1016の方法。
[本発明1024]
測定信号の周波数が固定されている、本発明1016の方法。
[本発明1025]
測定信号の周波数が、操作信号との干渉により生じるうなり周波数を防止するように選択されている、本発明1024の方法。
[本発明1026]
測定信号の周波数が136kHz~138kHzの範囲内であるように選択されている、本発明1024の方法。
[本発明1027]
操作信号が494kHz~496kHzの範囲内の周波数を有する、本発明1016の方法。
[本発明1028]
電圧チャネルが、
バンドパスフィルタの第一のセット、
第一の同期復調器、および
ローパスフィルタの第一のセット
を含み、電流チャネルが、
バンドパスフィルタの第二のセット、
第二の同期復調器、および
ローパスフィルタの第二のセット
を含む、本発明1016の方法。
[本発明1029]
第一の同期復調器が、第一の参照信号と第二の参照信号を順次受け取るよう構成されており、該第一の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が経験する位相差に対して、該第二の参照信号を受け取ったときに該第一の同期復調器が90度の位相差を経験する、本発明1028の方法。
[本発明1030]
自己校正のために開回路状態、固定抵抗状態、および短絡状態が用いられる、本発明1028の方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1B】電気外科手術システムの脱着可能な構成要素の説明図である。
【
図2】電気外科手術システムの機能ブロック図である。
【
図3】電気外科手術用患者パッドモニタリング回路の回路図である。
【
図4】構成要素セットを減らした電気外科手術用患者パッドモニタリング回路の回路図である。
【
図5】電気外科手術システムのための複素インピーダンス測定プロセスの流れ図である。
【
図6】本明細書に記載の技術と共に使用され得るコンピュータデバイスおよびモバイルコンピュータデバイスの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明
図1Aおよび1Bを参照すると、高周波(例えば、無線周波数)の電流を生成して生体組織の切開、凝固、乾燥、または放電凝固などを行うさまざまな外科手術のために、電気外科手術システム100を使用することができる。電気外科手術システム100は、高周波(HF)発生器102、手術器具114、および患者パッド118を含み得る。手術器具114および患者パッド118は、ポートインタフェース112においてHF発生器102にプラグ接続されて、HF発生器102に電気的に接続され得る。いくつかの場合において、手術器具114はHF発生器102からのアクティブ出力を受け取るモノポーラ器具であり、手術器具の先端は電気外科手術システム100のアクティブ電極として働く。モノポーラ器具を使用する場合、患者パッド118は電気外科手術システム100の拡散電極(接地パッドまたは戻り電極とも称される)として働くことができる。いくつかの場合において、患者パッド118は、金属板または可撓性金属化プラスチックパッドを含む。いくつかの場合において、患者パッド118は、金属板および/または可撓性金属化プラスチックパッドを2つ以上含む「分割パッド」構成を有し得る。
【0012】
電気外科手術システム100を使用する外科手術の際、操作者(例えば、外科医)は、手術器具114を、手術部位で患者の生体組織と接触させるように使用し、一方、患者パッド118は、手術部位から離れた部位で患者と直接接触している状態で保持される。HF発生器102は高周波(例えば、400kHz~600kHz)の交番極性電流を生成し、この電流は、患者の体内を伝搬して手術器具114と患者パッド118の間を往復する。患者パッド118は電流を拡散させて患者の熱傷を防止する。
【0013】
HF発生器102は、以下の特徴の1つまたは複数を有してもよい。いくつかの場合において、HF発生器102は、HF発生器によって生成される出力を制御するための制御インタフェース110を含む。例えば、制御インタフェース110は、生成されている電力のレベルを操作者に示すためのディスプレイを含んでもよい。制御インタフェース110はまた、HF発生器102の電力出力を上げ下げするためのボタンを含んでもよい。いくつかの場合において、制御インタフェース110は、生体組織の切開または凝固などの特定の操作のための所定の出力に対応するボタンを有し得る。
【0014】
HF発生器102はまた、操作者に情報を提供するためのディスプレイインタフェース108を含み得る。例えば、ディスプレイインタフェース108は、患者パッド118がはがれているかまたはその接続が外れているとき、漏電しているとき、電気外科手術システム100が動作可能であるとき、電流が生成されているときなどに操作者に通知するために光るLEDインジケータを含み得る。
【0015】
HF発生器102はフットスイッチポート120をさらに含み得、フットスイッチポート120を通してフットスイッチをHF発生器102に接続することができ、それによって、操作者の手が塞がっている場合に操作者がHF発生器102の出力を足で制御することが可能になる。
【0016】
電気外科手術システム100は、HF発生器102、手術器具114、および患者パッド118に加えて、以下の構成要素の1つまたは複数を含み得る。電気外科手術システム100は台104を含み得、台104は、HF発生器102を支持することができ、手術室内での電気外科手術システム100の安全かつ容易な移動を促進するよう適合させることができる。電気外科手術システム100はまた、手術部位における副生成物を吸い込み臭気を取り除くよう構成された排煙器106を含み得る。いくつかの場合において、排煙器106は台104に取り付けるかまたは台104に配置することができ、手術部位から離れていてもよい。そのような場合には、排煙器管116を使用して、遠隔に配置された排煙器106との接続を提供しながら手術部位における吸引を提供することができる。
【0017】
図2を参照すると、電気外科手術システム100は複数の機能サブシステムを含み得る。これらのサブシステムは、特に、発生器サブシステム202、操作サブシステム204、排煙サブシステム206、および接触品質モニタリングサブシステム208を含み得る。
【0018】
電気外科手術システム100の発生器サブシステム202はHF発生器102を含み、生体組織の切開、凝固、乾燥、または放電凝固などのために使用される電流の生成を担う。
【0019】
電気外科手術システム100の操作サブシステム204は、患者との直接的な接触を提供するとともに、外科的処置の間、操作者に制御を提供する。電気外科手術システム100の操作システム204は、手術器具114、患者パッド118、およびHF発生器102の制御インタフェース110を含む。
【0020】
電気外科手術システムの排煙サブシステム206は、手術部位における吸引を提供して、副生成物を吸い込み臭気を取り除く。排煙サブシステムは、排煙器106および排煙器管116を含む。
【0021】
接触品質モニタリングサブシステム208は、患者と患者パッドとの間に均一かつ直接的な接触が生じることを確実にし、接触していないときに操作者に通知する。発生器サブシステムによって生成され患者の体内を通る電流のレベルが潜在的に危険であることから、患者の熱傷を防止するために、この接触のモニタリングが必要である。接触品質モニタリングサブシステム208は、HF発生器102内の回路網によって物理的に具現化することができ、これは本明細書においてさらに詳細に記載される。
【0022】
図3は、患者と患者パッド118との間の接触品質をモニタするために使用される患者パッドモニタリング回路300の1つの構成を提示する。モニタリング回路300は、測定信号を生成する矩形波発生器302を含む。測定信号は、本明細書において変圧器304とも称される共振変圧器を通して、患者パッド(例えば、
図1に示される患者パッド118)の分割半体306A、306Bに電圧を印加する。変圧器304は1つの一次巻線および2つの二次巻線を有するが、他の設計を採用してもよい。例えば、変圧器304は、単一のセンタータップ付き二次巻線、または他のタイプの変圧器設計を含んでもよい。励磁電圧を表す信号は変圧器304の一次側で収集され、電圧チャネル312に通され、電圧チャネル312はこの信号をフィルタリングし、この信号に関連する複素電圧を算出する。
【0023】
電圧チャネル312は6極バンドパスフィルタ(3×2極フィルタ)318を含み、これは、測定信号の周波数の電圧を増幅することができる一方で、他の周波数の信号(例えば、高調波)をフィルタリングし、HF発生器102からのHF信号308による干渉を低減する。あるいは、バンドパスフィルタ318は、他のタイプのフィルタ、例えば、4極バンドパスフィルタのための2×2極フィルタを用いて実装され得る。バンドパスフィルタ318の後、得られた信号は一対の同期復調器320A、320Bに入力され、同期復調器320A、320Bはそれぞれ、AC電圧をDC電圧に変換する。この2つの同期復調器は、二相発生器324によって生成された異なる参照信号を受け取り、これらの参照信号は90度だけ位相がずれており、それによって励磁電圧の実数成分と虚数成分の独立した測定が可能になる。復調器320A、320Bの同期特性はまた、HF信号308の大部分を除去しながら、測定信号の周波数の測定を可能にする。一対の同期復調器320A、320Bの後には、4極ローパスフィルタ(2×2極フィルタ)322A、322Bがそれぞれ続き、ローパスフィルタ322A、322Bは、復調器320A、320Bによって生成されたリップル、および、測定信号とHF信号308との間の干渉によって生成されたうなり周波数が作り出したリップルを低減する。電圧チャネル312からの出力は、複素電圧の実数成分(REALV 326)および虚数成分(IMAGV 328)を表す。
【0024】
変圧器304の二次側では、測定信号が、共振回路、および本明細書において変流器310と称される第二の変成器を通って伝搬し、変流器310は、変圧器304によって負荷において誘導された電流の測定を可能にする。変流器は、2つの一次巻線および1つの二次巻線を有する。一次側はそれぞれ、患者パッド118の分割半体306A、306Bの一方に関連付けられ、変流器310の二次側では、負担抵抗器314が変流器310の二次側と並列に接続されている。負担抵抗器314の両端に生じた電圧は、変流器310の2つの一次側における電流の和に比例する。この構成は、患者パッドの接触品質についての高分解能の詳細を提供する。例えば、回路は、患者と戻り電極との間の電流路に関係なく、接触品質を測定することができる。負担抵抗器314の両端電圧を表す信号は収集され、電流チャネル316に通され、電流チャネル316はこの信号をフィルタリングし、この信号に関連する複素電流を算出する。
【0025】
電圧チャネル312と同様、電流チャネル316は6極バンドパスフィルタ(3×2極フィルタ)330を含み、これは、測定信号の周波数の、負担抵抗器314の両端電圧を増幅する一方で、他の周波数の信号(例えば、高調波)をフィルタリングし、HF発生器102からのHF信号308によって引き起こされる干渉を低減する。あるいは、バンドパスフィルタ330は、1つまたは複数の他のフィルタ(例えば、4極バンドパスフィルタのための2×2極フィルタ)を用いて実装され得る。バンドパスフィルタ330の後、得られた信号を一対の同期復調器332A、332Bが受け取り、同期復調器332A、332Bはそれぞれ、AC電圧をDC電圧に変換する。この2つの同期復調器332A、332Bに、二相発生器324によって生成された異なる参照信号が入力され、これらの参照信号は90度だけ位相がずれており、それによって電流の実数成分と虚数成分の独立した測定が可能になる。いくつかの場合において、電流チャネル316において同期復調器332A、332Bが受け取る参照信号は、電圧チャネル312において同期復調器320A、320Bが受け取る参照信号と同一である。復調器332A、332Bの同期特性はまた、HF信号308による実質的な干渉なしに、測定信号の周波数の測定を可能にする。一対の同期復調器332A、332Bの後には、4極ローパスフィルタ(2×2極フィルタ)334A、334Bがそれぞれ続き、ローパスフィルタ334A、334Bは、復調器332A、332Bによって生成されたリップル、および、測定信号とHF信号308との間の干渉によって生成されたうなり周波数が作り出したリップルを低減する。電流チャネル316からの出力は、複素電流の実数成分(REALI 336)および虚数成分(IMAGI 338)を含む。
【0026】
患者パッド118のインピーダンスは、電圧チャネル312および電流チャネル316の出力から算出することができる。インピーダンスの算出は、HF発生器102内に含まれていてもよい、マイクロコントローラなどのコンピューティングデバイスが実施することができる。いくつかの場合において、コンピューティングデバイスは外部デバイスであってもよい。インピーダンスを算出するためには、以下のように複素電圧を複素電流で割る。
電圧=REALV+i×IMAGV (1)
電流=REALI+i×IMAGI (2)
インピーダンス=電圧/電流 (3)
【0027】
複素インピーダンスの実数部は測定抵抗を表し、複素インピーダンスの虚数部は容量性または誘導性リアクタンスを表す。
【0028】
いくつかの構成において、患者パッドモニタリング回路300の性能は、デジタルポテンショメータ(DPOT)を採用して、回路の構成要素における不完全性のための校正を行うことによって改善されてもよい。例えば、第二のセットの測定を、コンピューティングデバイスの恩恵なしに実施することができる。補助回路340Aおよび340Bにおいて、出力信号(REALI 336)および(REALV 326)が比較器に提供され、それぞれの電圧の一部分(fraction)が他方と比較されるが、該一部分はDPOTによって調整されてもよい。この例では、補助回路340Aは、抵抗が135Ωを超えるときに検出し、補助回路340Bは、抵抗が5Ω未満のときに検出する。
【0029】
患者パッド118の測定抵抗が許容範囲(例えば、5Ω~135Ω)から外れている場合、電気外科手術システム100の接触品質モニタリングサブシステム208は、患者が患者パッドと直接的および/または均一に接触していないと操作者に通知することができる。例えば、患者パッドがはがれていることを示すために、HF発生器102のディスプレイインタフェース108上のLEDインジケータを点灯させることができる。0Ω~5Ωの範囲内の抵抗は、単一のパッドの場合に測定され得るのに対し、5Ω~135Ωの測定値は、分割パッド設計の場合の妥当な読取り値であると考えることができる。135Ω超の測定値は、接続不良を示していると考えることができる。視覚インジケータに加えて、アラームなどの可聴インジケータを生成してもよい。代替的にまたは追加的に、患者パッド118の測定抵抗が許容範囲から外れていると特定したことに応答して、接触品質モニタリングサブシステム208は、HF発生器が潜在的に有害な電流を生成できないように、電気外科手術システム100の発生器サブシステム202をディセーブルにすることができる。
【0030】
図4は、構成要素セットを減らした、別の実施形態の患者パッドモニタリング回路400を提示する。
図3の患者パッドモニタリング回路300は実数および虚数の測定を同時に実施するのに対し、
図4に提示されている回路400はこれらの測定を順次実施する。この実施形態において、患者パッドモニタリング回路400は、2つの単相発生器424および402を含む。これらの2つの発生器424、402間の位相差は、計算デバイス(例えば、マイクロコントローラ)によってプログラムすることができる。2つの発生器424、402間の位相差は90度に限定されないが、高い分解能で設定することができる。(
図4と共に)
図3を簡単に参照すると、二相発生器324は、位相が90度ずれた2つの参照波を同時に出力するのに対し、単相発生器424は出力の位相を順次変化させる。この構成において、電圧チャネル412は、1つの同期復調器420および1つの4極ローパスフィルタ422のみを必要とする。同様に、電流チャネル416は、1つの同期復調器432および1つの4極ローパスフィルタ434のみを必要とする。1つの実施形態において、同期復調器420、432はそれぞれ反転増幅器を含み、その結果、各信号は正極性および負極性で(すなわち、位相が180度ずれた状態で)利用可能であり、測定信号の周波数と同じ周波数の、単相発生器424によって出力された参照信号により、交互に切り替えられる。電圧チャネル312および電流チャネル316のそれぞれについての第二の同期復調器およびローパスフィルタを不要にすることによって、患者パッドモニタリング回路400はより少ない構成要素を使用し、それによって、実装面積(real estate)の必要性、電力消費、費用などが低減される。
【0031】
患者パッドモニタリング回路300および患者パッドモニタリング回路400は両方とも、患者パッド118の正確かつ信頼性の高いインピーダンス測定を可能にする。例えば、モニタリング回路300、400は両方とも、変圧器304、404および変流器310、410内に存在し得る並列抵抗に対して堅牢である。変圧器304、404内の並列抵抗が励磁電圧のレベルに影響を及ぼす可能性があるとき、結果として生じる、変圧器304、404の一次側の両端電圧を測定することにより、モニタリング回路300、400がその作用を考慮できるようになる。同様に、並列抵抗が変流器310、410内に存在し得るとき、結果として生じる、変流器310、410の負担抵抗器314、414の両端電圧を測定することにより、モニタリング回路300、400がその作用を考慮できるようになる。
【0032】
さらに、患者パッドモニタリング回路300および患者パッドモニタリング回路400の構成は、変圧器304、404の共振を確実にしながら、測定信号と、HF発生器102によって生成されるHF信号308、408との間の望ましくない干渉を防止するための技術を可能にする。一例では、電気外科手術システム100のHF発生器102は、495kHz、最大約4000V、および最大1.5A~2Aで動作する。これは、測定信号の周波数によっては、測定信号と大量の干渉を生じる可能性がある。したがって、測定信号の周波数の調整を必要とせずに、HF信号308、408との干渉を制限する測定信号の周波数を選択することが望ましい。いくつかの場合において、電気外科手術システム100の凝固用信号は、495kHzでの2サイクルと信号の無い30サイクルとを含む、短いデューティサイクルの高電圧信号である。その結果、高調波に起因して、側帯波が約15.5kHz(495kHz/32サイクル)毎に現れる。したがって、この例では、測定信号の周波数は、その倍数(すなわち、高調波)が495kHzの周りの15kHz高調波とうなり周波数を生じないように選択するべきである。この要件を満たす測定信号用の周波数の一例は137kHzであるが、他の周波数を選んでもよい。
【0033】
測定信号用の周波数を選択したら、それがちょうど変圧器304、404の共振のための周波数であることを確実にすることがさらに重要である。測定周波数は既に選択されて固定されているので、患者パッドモニタリング回路300、400は、低いQ値(例えば、3~40)を有するように設計することができ、それによって幅広い共振が可能になり、確実に変成器の共振が達成される。さらに、位相シフトの問題に対処するために、二相発生器324または単相発生器424を、電圧チャネル312、412および電流チャネル316、416によって算出される虚数成分がどちらも0になるように調整することができる。
【0034】
図5は、患者パッドの複素インピーダンスをモニタするための動作を提示する流れ
図500である。動作は、電気外科手術システムの第一の発生器によって操作信号を生成すること502を含み、操作信号は、アクティブ電極と患者パッドとを含む経路に沿って伝搬するよう構成されている。例えば、操作信号は、電気外科手術システム100のHF発生器102によって生成されるHF信号308であってもよく、アクティブ電極は手術器具114に対応してもよい。動作はまた、第二の発生器によって測定信号を生成すること504を含み、第二の発生器は回路の一部であり、この回路は変圧器、変流器、および複数のフィルタをさらに含む。回路は、患者パッドモニタリング回路300、400などの患者パッドモニタリング回路であってもよい。変圧器は、患者パッドモニタリング回路300、400の変圧器304、404に対応してもよい。変流器は、患者パッドモニタリング回路300、400の変流器310、410に対応してもよい。複数のフィルタは、患者パッドモニタリング回路300、400のバンドパスフィルタ318、330、418、430およびローパスフィルタ322A~B、334A~B、422、434に対応してもよい。
【0035】
変圧器に関連付けられた電圧チャネルによって、複素励磁電圧が測定される506。複素励磁電圧は、それぞれREALV 326、426およびIMAGV 328、428などの実数成分および虚数成分を有してもよい。電圧チャネルは、患者パッドモニタリング回路300、400の電圧チャネル312、412に対応してもよい。同様に、変流器に関連付けられた電流チャネルによって、複素誘導電流が測定される508。複素誘導電流は、それぞれREALI 336、436およびIMAGI 338、438などの実数成分および虚数成分を有してもよい。電流チャネルは、患者パッドモニタリング回路300、400の電流チャネル316、416に対応してもよい。動作はさらに、複素励磁電圧を複素誘導電流で割って510、複素インピーダンス値を算出することを含む。複素インピーダンス値は、患者パッド118の抵抗に対応する実数成分、および患者パッドモニタリング回路300、400の容量性または誘導性リアクタンスに対応する複素成分を有してもよい。
【0036】
図6は、一般的なコンピュータシステム600の模式図である。1つの実施形態にしたがって、システム600を、上述のコンピュータ実装方法のいずれかに関連して記載された動作のために使用することができる。システム600は、プロセッサ610、メモリ620、記憶装置630、および入出力装置640を含む。構成要素610、620、630、および640はそれぞれ、システムバス650を用いて相互に接続されている。プロセッサ610は、システム600内で実行するための命令を処理することができる。1つの実施形態において、プロセッサ610はシングルスレッドプロセッサである。他の実施形態において、プロセッサ610はマルチスレッドプロセッサである。プロセッサ610は、メモリ620内または記憶装置630に記憶された命令を処理して、ユーザインタフェースのためのグラフィカルな情報を入出力装置640に表示することができる。
【0037】
メモリ620は、システム600内で情報を記憶する。いくつかの実施形態において、メモリ620はコンピュータ可読媒体である。メモリ620は、いくつかの実施形態においては揮発性メモリ装置であり、別の実施形態においては不揮発性メモリ装置である。
【0038】
記憶装置630は、システム600に大容量記憶を提供することができる。1つの実施形態において、記憶装置630はコンピュータ可読媒体である。種々の異なる実施形態において、記憶装置630は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、またはテープ装置であってもよい。
【0039】
入出力装置640は、システム600に入出力動作を提供する。1つの実施形態において、入出力装置640は、キーボードおよび/またはポインティングデバイスを含む。他の実施形態において、入出力装置640は、グラフィカルユーザインタフェースを表示するためのディスプレイ装置を含む。
【0040】
前述の特徴は、デジタル電子回路において、またはコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェアにおいて、またはこれらの組み合わせにおいて実施され得る。装置は、プログラマブルプロセッサによる実行のために機械可読記憶装置などの情報担体において有形に具現化されるコンピュータプログラム製品において実装され得、方法工程は、プログラマブルプロセッサが命令のプログラムを実行して、入力データを操作し出力を生成することによって前述の実施形態の機能を実行することにより、実施され得る。前述の特徴は、有利には、データ記憶システム、少なくとも1つの入力装置、および少なくとも1つの出力装置からデータおよび命令を受け取り、これらにデータおよび命令を送るように結合された少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能な1つまたは複数のコンピュータプログラムにおいて実施され得る。コンピュータプログラムとは、特定のアクティビティを実施するかまたは特定の結果をもたらすためにコンピュータにおいて直接的または間接的に使用することができる命令セットである。コンピュータプログラムは、コンパイラ型言語またはインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書くことができ、スタンドアローンプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境で使用するのに適した他のユニットとしての形式を含め、任意の形式で配置され得る。
【0041】
命令のプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用と専用両方のマイクロプロセッサ、および任意の種類のコンピュータの単独のプロセッサまたは複数のプロセッサのうちの1つのプロセッサが含まれる。一般に、プロセッサは、読取り専用メモリ、またはランダムアクセスメモリ、またはその両方から命令およびデータを受け取る。コンピュータの必須要素は、命令を実行するためのプロセッサと、命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリである。一般に、コンピュータは、データファイルを記憶するための1つもしくは複数の大容量記憶装置も含むか、またはこのような大容量記憶装置と通信するように動作可能に結合され、そのような装置には、内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに光ディスクが含まれる。コンピュータプログラム命令およびデータを有形に具現化するのに適した記憶装置には、あらゆる形の不揮発性メモリが含まれ、これには、例として、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイスなどの半導体メモリデバイス;内蔵ハードディスクおよびリムーバブルディスクなどの磁気ディスク;光磁気ディスク;ならびに、CD-ROMおよびDVD-ROMディスクが含まれる。プロセッサおよびメモリは、ASIC(特定用途向け集積回路)によって補足することができ、またはASICに組み込むことができる。
【0042】
ユーザとの対話を提供するために、前記の特徴は、ユーザに情報を表示するためのCRT(陰極線管)モニタまたはLCD(液晶ディスプレイ)モニタなどのディスプレイ装置と、ユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボードおよびポインティングデバイス、例えばマウスまたはトラックボールとを有するコンピュータにおいて実施され得る。
【0043】
前記の特徴は、データサーバなどのバックエンドコンポーネントを含むコンピュータシステム、またはアプリケーションサーバもしくはインターネットサーバなどのミドルウェアコンポーネントを含むコンピュータシステム、またはグラフィカルユーザインタフェースもしくはインターネットブラウザを有するクライアントコンピュータなどのフロントエンドコンポーネントを含むコンピュータシステム、またはこれらの任意の組み合わせにおいて実施され得る。システムの各構成要素は、通信ネットワークなどの、任意の形または媒体のデジタルデータ通信によって接続され得る。通信ネットワークの例には、例えば、LAN、WAN、ならびにインターネットを形成するコンピュータおよびネットワークが含まれる。
【0044】
コンピュータシステムは、クライアントおよびサーバを含み得る。クライアントおよびサーバは、一般に互いにリモートであり、通常は前述のネットワークなどのネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で動作しかつ互いにクライアント・サーバ関係を有するコンピュータプログラムによって、生じる。
【0045】
患者パッドモニタリング回路400(
図4に示されている)は、他の機能を提供できてもよく、例えば、自己校正を実施することができる。校正のために1つまたは複数の技術を使用してもよく、例えば、参照点(例えば、3点)を予想測定インピーダンスのために設けてもよい。1つの構成において、この3点は、短絡状態、固定抵抗値状態(例えば、135Ωの測定値)、および開回路状態を表す。短絡状態は、回路が経験する最小インピーダンス状態であり、それによって回路を低いレベルで(例えば、その電気ノイズフロアで)校正することが可能になる。固定抵抗状態(例えば、135Ω)の測定値は、回路400がトリッピング周波数で自己校正することを可能にし、開回路状態は、最大可能信号の生成を回路が認識することを可能にする。
【0046】
いくつかの態様を説明した。しかしながら、本明細書に記載されるプロセスおよび技術の精神および範囲から逸脱することなく種々の改変を行うことができることが理解されよう。さらに、添付の図面に描出された論理の流れは、望ましい結果を達成するために、示された特定の順序、または連続した順序を必ずしも必要としない。さらに、他の工程を提供してもよく、または前述の流れから工程を削除してもよく、また、前述のシステムに他の構成要素を追加してもよく、または前述のシステムから構成要素を取り除いてもよい。したがって、添付の特許請求の範囲内には他の態様が含まれる。