(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】空気圧縮機のシリンダーのピストン
(51)【国際特許分類】
F04B 39/10 20060101AFI20231122BHJP
F04B 53/12 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F04B39/10 M
F04B53/12
(21)【出願番号】P 2022065520
(22)【出願日】2022-04-12
【審査請求日】2022-04-12
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】501164676
【氏名又は名称】周 文三
(73)【特許権者】
【識別番号】519443952
【氏名又は名称】周 承賢
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】周 文三
(72)【発明者】
【氏名】周 承賢
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3237854(JP,U)
【文献】特開2007-309175(JP,A)
【文献】特開2009-115044(JP,A)
【文献】特開2003-322083(JP,A)
【文献】登録実用新案第3121989(JP,U)
【文献】米国特許第04275999(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 39/00
F04B 39/10
F04B 53/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動させてシリンダー内でピストンを上下方向に往復運動させる、空気圧縮機のシリンダーのピストンであって、
前記空気圧縮機に取り付けられた前記ピストンのピストンヘッドには、エアストップシートが取り付けられ、
前記エアストップシート上には、機械工業技術を利用して第1の摺曲部が設けられ、
前記エアストップシートは、前記第1の摺曲部を境界軸線として用いて作用領域及び位置決め領域に分けられ、前記エアストップシートの正面に、180度より小さな鈍角が形成されるとともに、前記エアストップシートの前記作用領域が前記シリンダーの上面に背向する背向面が自ずと前記ピストンヘッドの頂端平面に小角度が形成されて開いた状態となって通気空間が形成され、
前記作用領域の内周には、非完全円形状に穿設された環状内空領域が形成され、前記作用領域は、外環分片及び内円分片の2つの部分に分けられ、前記外環分片と前記内円分片とが接続される箇所には、首部が形成され、前記首部には、機械工業技術を利用して第2の摺曲部が形成され、前記内円分片を僅かに押し上げ、前記エアストップシートは、前記シリンダー内部で前記シリンダーの頂端に対向する上面に、前記内円分片及び前記外環分片が前記第2の摺曲部を軸として用いて180度より小さな鈍角が形成されるとともに、前記内円分片の底面及び前記外環分片の上面は、前記第2の摺曲部に小角度の鋭角を形成し、
前記第1の摺曲部は、第1の折曲げ線及び第2の折曲げ線を含む少なくとも1つの折曲げ線を有し、
前記エアストップシートの前記第1の摺曲部は、第1側に位置決め領域が設けられ、前記第1側の反対側の第2側に作用領域が設けられ、
前記ピストンヘッドから下方へ延びたピストンロッドの上端には、左右側辺に貫通された空洞が形成されるとともに、エア通路が形成され、前記空洞は、前記ピストンヘッドの吸気流路と連通し、前記空洞の底端面には、立設したピンが設けられ、その上にはばねが嵌設され、前記ばねは、前記ピストンロッドの前記空洞に沿って前記ピストンヘッドの前記吸気流路に挿通され、前記ばねの他端が前記エアストップシートの前記作用領域の背面に当接されると、前記エアストップシートが前記ばねの力を受けて前記エアストップシートの前記作用領域が前記シリンダーの上面に背向する背向面が前記ピストンヘッドの頂端平面に小角度が形成されて開いた状態となり、前記エア通路及び前記吸気流路が大気と連通されることを特徴とする、空気圧縮機のシリンダーのピストン。
【請求項2】
前記ピストンヘッドは、互いに分離された2つの固定ピンを有し、前記固定ピンに対応した前記エアストップシートの前記位置決め領域には、互いに分離された円孔がそれぞれ形成され、前記エアストップシートの前記円孔が前記ピストンヘッドの前記固定ピンにそれぞれ位置決めされると、前記エアストップシートが前記ピストンヘッド上に堅牢に固定され、前記エアストップシートは、前記作用領域に貫通されて形成された貫通孔を有し、前記ピストンヘッドの前記貫通孔に対応した箇所には、前記貫通孔に嵌合される位置規制フックが設けられるとともに、前記空気圧縮機の前記ピストンが静止状態にあるとき、前記エアストップシートの前記作用領域は、対応した前記ピストンヘッドの前記吸気流路を開くことを特徴とする請求項1に記載の空気圧縮機のシリンダーのピストン。
【請求項3】
前記ピストンヘッドの前記位置規制フックは、縦支柱及び横支柱を有し、
前記縦支柱は、前記エアストップシートの開閉経路を提供し、前記空気圧縮機の出力パワーの大きさに応じて前記縦支柱の長さ及び前記横支柱を調整するようにされているため、前記エアストップシートの初期高さを調整し得ることを特徴とする請求項
2に記載の空気圧縮機のシリンダーのピストン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気圧縮機に関し、特に、空気圧縮機のシリンダー内で上動行程及び下動行程を行うピストンを含む空気圧縮機のシリンダーのピストンに関する。
【背景技術】
【0002】
空気圧縮機の主な構造は、モータによりシリンダー内でピストンを往復させて圧縮動作を行うと、圧縮された空気がシリンダーを介して空気貯蔵ユニット内まで送られる。空気貯蔵ユニット上のマニホールドに接続されたホースは気体被注入物に接続され、従来のピストンのピストンヘッドは、上下方向に貫通されて形成されたエア通路を有する。ピストンヘッドの頂面は、エア通路上を覆うエアストップシートを有し、空気圧縮機が停止している状態下で、エアストップシートによりピストンヘッドのエア通路を閉じ、空気圧縮機の前回の稼働後、ピストンヘッドの円形周辺に設けた気密シール及びエアストップシートによりピストンヘッドのエア通路を閉じて形成された気密性により、シリンダー内に残留した高圧空気は排出することができなかった。空気圧縮機を再び稼働させると、ピストンが圧縮を開始する過程で、シリンダー内に残留した高圧空気と衝突し、空気圧縮機の負荷及び電流が瞬間的に増大し、空気圧縮機の寿命が短くなることがあった。そのため従来の問題点を改善するために、本発明者は、空気圧縮機が停止した状態で、ピストンヘッドの頂端面とエアストップシートとの間に小角度の通気空間を形成し、空気圧縮機の稼働が終了した後、シリンダー内に残留した圧縮空気を通気空間からエア通路を介して排出してシリンダー中の圧力を周囲の大気と均衡させ、空気圧縮機を再び稼働させたときにピストンの上動行程で余分な抵抗力が発生しないようにし、圧縮負荷及び電流が瞬間的に増大することを防ぎ、ピストンがシリンダー内で往復運動するときにスムーズに圧縮させるとともに、安全に使用することができる上、使用寿命が延び、気体被注入物に容易かつ速やかに気体を注入させることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の第1の課題は、空気圧縮機に取り付けられたピストンのピストンヘッドには、エアストップシートが取り付けられ、エアストップシート上には、機械工業技術を利用して第1の摺曲部が設けられ、上述したエアストップシートの第1の摺曲部は、右側に位置決め領域が設けられ、左側に作用領域が設けられ、上述した作用領域の内周には、非完全円形状に穿設された環状内空領域が形成され、この作用領域は、外環分片及び内円分片の2つの部分に分けられ、外環分片と内円分片とが接続される箇所には、首部が形成され、首部には、機械工業技術を利用して第2の摺曲部が形成され、上述した内円分片を僅かに押し上げ、エアストップシートは、シリンダー内部でシリンダーの頂端に対向する上面に、内円分片及び外環分片が第2の摺曲部を軸として用いて180度より小さな鈍角が形成され、別の角度から言うと、内円分片の底面及び外環分片の上面は、小角度θ2の鋭角を形成し、前述したピストンヘッドの軸心には、下方に延びたピストンロッドが空洞を有し、その底端に立設されたピンにはばねが嵌設され、そのばねの他端は、ピストンヘッドに沿って上下方向に貫通されたエア通路を介して上方に突出されるとともに、前述したエアストップシートに当接して僅かに押し上げ、空気圧縮機のピストンが停止した状態下で、エアストップシートの作用領域がエア通路に対して開いた状態に維持され、ピストンのエア通路は流れがスムーズとなり、シリンダー中の圧力は、周囲の大気と均衡し、空気圧縮機が再び稼働されると、そのピストンの上動行程時に余計な抵抗力(背圧抵抗力)は発生せず、シリンダー内でピストンが往復運動を行うときに、スムーズな圧縮を維持することができ、安全に使用することができる上、使用寿命が延び、気体被注入物に容易かつ速やかに気体を注入させることができる空気圧縮機のシリンダーのピストンを提供することにある。
本発明の第2の課題は、空気圧縮機内に設けられたシリンダー内で運動するピストン上にエアストップシートが設けられ、このエアストップシートの位置決め領域に円孔が形成され、前述した円孔に対応したピストンヘッドの頂端平面が固定ピンを有し、前述したエアストップシートは、作用領域の外環分片に貫通されて形成された貫通孔を有し、前述したピストンヘッドの上述した貫通孔に対応した箇所には、貫通孔に嵌合される位置規制フックが設けられるとともに、上述した位置規制フックが空気圧縮機の出力パワーの大きさに応じてエアストップシートを開く高さを調整し、ピストンの上動行程において、エアストップシートの作用領域の内円分片が前述したピストンヘッドの頂端平面上に接触され、エアストップシートによりエア通路を閉じ、ピストンの下動行程では、エアストップシートが外気の押圧力を受けて開く幅が大きくなりやすいが、上述した位置規制フックにより制限され、エアストップシートが無制限に開かれることによりエアストップシートがへたったり損壊したりすることを防ぐことができ、ピストンが静止状態にあるとき、前述したエアストップシートの作用領域と、前述したピストンヘッドの頂端平面とが開かれた状態に維持され、上述したエアストップシートの貫通孔が、前述した位置規制フックに係止される空気圧縮機のシリンダーのピストンを提供することにある。
本発明の第3の課題は、空気圧縮機内に設置したシリンダー内で運動するピストン上にエアストップシートが設けられ、このエアストップシートの位置決め領域と作用領域との間には、機械工業技術を利用してシート上に第1の摺曲部が形成され、この第1の摺曲部には、第1の折曲げ線及び第2の折曲げ線を含む複数の折曲げ線が形成され、大きめのパワーの空気圧縮機は、上下動行程をスムーズにし得て、静止状態にあるとき、このエアストップシートの作用領域と、前述したピストンヘッドの頂端平面との間が開かれた状態に維持され、上述したエアストップシートの貫通孔が、前述した位置規制フックに係止される空気圧縮機のシリンダーのピストンを提供することにある。
本発明の第4の課題は、シリンダー内で運動するピストンが、ピストンヘッドと、その軸心から下方に延びたピストンロッドと、を有し、前述したピストンロッドは、左右側辺に貫通された空洞と、外界と連通して形成されたエア通路とを有し、空洞は、前述したピストンヘッドの吸気流路と連通し、空洞の底端面には、立設したピンが設けられ、その上にばねが嵌設され、そのばねがピストンロッドの空洞に沿って、上述したピストンヘッドの吸気流路に挿通される空気圧縮機のシリンダーのピストンを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のシリンダーのピストンを示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のシリンダーのピストンを示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のシリンダーのピストンを示す部分拡大断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のシリンダーのピストンのエアストップシートを示す上面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機が筐体に設置された状態を示す分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のピストンの下動行程時の圧縮空気の流れの説明図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る空気圧縮機のピストンの上動行程時の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、これによって本発明が限定されるものではない。
【0006】
図5を参照する。
図5に示すように、本発明の一実施形態に係る空気圧縮機10は、チャンバ、筐体1又はその他現場に設置されてもよい。
図5に示すように、筐体1内には、空気圧縮機10が配設され、この空気圧縮機10は、気体を注入するために用いるか、シール・ポンプアップ装置と接続して(この技術は従来技術であるため図示しない)気体注入及びパンク修理を行うことができる。空気圧縮機10は、モータ12を固定する基板11と、基板11上に結合するシリンダー13と、を含む。基板11には、空気圧縮機10の伝動機構14が配設される。伝動機構14には、ピストンが接続される。
図1~
図4を参照する。
図1~
図4に示すように、ピストンは、ピストンヘッド21を含む。ピストンヘッド21の外周縁部には、気密シール24が取り付けられる。気密シール24は、空気圧縮機10が稼働中でもピストンの周囲及びシリンダー13内の表面を密封し続けることができる。前述したピストンヘッド21には、上下方向に貫通された吸気流路23が形成される。前述したピストンヘッド21には、下方に延びたピストンロッド5が延設される。ピストンロッド5は、伝動機構14中のクランクシャフト141が枢着される円孔51を下端に有する。前述したピストンロッド5の上端には、左右側辺に貫通された空洞50が形成されるとともに、エア通路52が形成される。空洞50は、前述したピストンヘッド21の吸気流路23と連通する。空洞50の底端面には、立設したピン53が設けられ、その上にはばね54が嵌設される。ばね54は、ピストンロッド5の空洞50に沿って上述したピストンヘッド21の吸気流路23に挿通され、ばね54の他端がエアストップシート7の作用領域73の背面に当接されると、エアストップシート7がばね54の力を受けてエアストップシート7の作用領域73がシリンダー13の上面に背向する背向面が前述したピストンヘッド21の頂端平面に小角度θ1が形成されて開いた状態となる。このような設計によりエア通路52及び吸気流路23が大気と連通されるようにしてもよい。モータ12の出力軸は、伝動機構14のクランクシャフト141を旋回させるとともに、シリンダー13内でピストンが上動及び下動の動作を行って発生させた圧縮空気を空気貯蔵ユニット15内に進入させ、排気マニホールドを介して圧縮空気を圧力計16に進入させて圧力を表示させ、排気ホースを接合して気体被注入物に気体を注入してもよいし(図示せず)、排気ホース又はバルブを介して破損したタイヤにシール剤を注入してタイヤを修理するとともにタイヤの気圧を高めてもよいが(図示せず)、これらは従来技術であるため図示しておらず、細部の構造についても省略していることをここで併せて述べておく。
【0007】
本発明に係る空気圧縮機10のシリンダー内のピストンは、ピストンヘッド21と、前述したピストンヘッド21に接続されたピストンロッド5と、を含む。前述したピストンヘッド21には、エアストップシート7が取り付けられる。エアストップシート7上には、機械工業技術を利用して第1の摺曲部71が設けられる。本明細書で述べる第1の摺曲部71とはエアストップシート7を指し、機械工業技術を利用し、例えば歯状、アーチ状、逆U字状、傾斜状、階段状などに形成してもよい。上述した第1の摺曲部71は、抵抗力の大きさ(空気圧縮機のパワーの大きさに応じて設計する)及びその厚さに応じて、少なくとも1つの折曲げ線を有してもよい(即ち、複数の折曲げ線を有してもよい)。本実施形態の第1の摺曲部71は、第1の折曲げ線711及び第2の折曲げ線712を有する。上述したエアストップシート7の第1の摺曲部71は、右側に位置決め領域72が設けられ、左側に作用領域73が設けられる。上述した作用領域73の内周には、非完全円形状に穿設された環状内空領域74が形成され、この作用領域73は、外環分片732及び内円分片733の2つの部分に分けられる。外環分片732と内円分片733とが接続される箇所には、首部734が形成される。首部734には、機械工業技術を利用して第2の摺曲部75が形成され、上述した内円分片733を僅かに押し上げ、エアストップシート7はシリンダー13内部でシリンダー13の頂端の上面に対向する。内円分片733及び外環分片732は、第2の摺曲部75中の第1の折曲げ線751を軸として用いて180度より小さな鈍角を形成する。別の角度から言うと、内円分片733の底面及び外環分片732の上面は、第2の摺曲部75中の第1の折曲げ線751との接続箇所に小角度θ2の鋭角を形成する。外部の圧力がエアストップシート7に印加されると、エアストップシート7は既定の第1の摺曲部71に形成された第1の折曲げ線711、第2の折曲げ線712及び第2の摺曲部75の第1の折曲げ線751(又は軌道)に沿って応力が発生し、上下方向に開閉動作を行う。第2の折曲げ線712の一側に設けられた位置決め領域72は、前述したピストンヘッド21上に取付けられてもよい。即ち、ピストンヘッド21は、互いに分離された2つの固定ピンを有し、固定ピンに対応したエアストップシート7の位置決め領域72には、互いに分離された円孔721,722がそれぞれ形成され、エアストップシート7の円孔721,722がピストンヘッド21の固定ピンにそれぞれ位置決めされると、エアストップシート7がピストンヘッド21上に堅牢に固定される。前述したエアストップシート7は、第1の摺曲部71の他側を作用領域73として用いる。作用領域73は、外環分片732及び内円分片733の2つの部分に分けられる。外環分片732と内円分片733とが接続される箇所には、首部734が形成される。首部734には、機械工業技術を利用して第2の摺曲部75を形成する。第2の摺曲部75は、第1の折曲げ線751を有し、上述した内円分片733を角度θ2の角度で僅かに押し上げる。本発明のシリンダー13のピストンは、ピストンヘッド21と、その軸心から下方に延びたピストンロッド5と、を有し、前述したピストンロッド5は、左右側辺に貫通された空洞50と、外界と連通して形成されたエア通路52とを有し、空洞50は、前述したピストンヘッド21の吸気流路23と連通し、空洞50の底端面には、立設したピンが設けられ、その上にばね54が嵌設され、そのばね54がピストンロッド5の空洞50に沿って、上述したピストンヘッド21の吸気流路23に挿通される。
【0008】
ピストンの上動行程において、内円分片733により前述した吸気流路23が閉じられる。前述したエアストップシート7の作用領域73とエアストップシート7の位置決め領域72とは、第1の摺曲部71を境界軸線として用い、エアストップシート7の正面(即ち、上動動作を行うときのエアストップシート7はシリンダー13の上面に対向する)に、180度より小さな鈍角が形成されるとともに、エアストップシート7がばね54の力を受けてエアストップシート7の作用領域73がシリンダー13の上面に背向する背向面が前述したピストンヘッド21の頂端平面に小角度θ1が形成されて開いた状態となって通気空間Zが形成され、空気圧縮機10のピストンが停止した状態下で、エアストップシート7の作用領域73の内円分片733が吸気流路23及びエア通路52に対して開いた状態に維持されるとともに、ピストンロッド5の空洞50内にばね54を設け、ばね54の他端は、エアストップシート7の作用領域73の背面に接触され、エアストップシート7とピストンヘッド21の頂端平面とが開いた状態の通気空間Zが形成され、エアストップシート7に第1の摺曲部71が設けられ、ばね54がエアストップシート7の作用領域73の背向面に当接されることにより、エアストップシート7の開く動作又はピストンヘッド21が静止している段階で、エアストップシート7の動作をスムーズに維持しながら保護し、弾性疲労が発生することを防ぎ、ピストンの吸気流路23の流れがスムーズとなり、シリンダー13中の圧力は、周囲の大気と均衡し、空気圧縮機10が再び稼働されると、そのピストンの上動行程時に余計な抵抗力(背圧抵抗力)は発生せず、ばね54の緩衝により、シリンダー13内でピストンが往復運動を行うときに、スムーズな圧縮動作を維持することができ、安全に使用することができる上、使用寿命が延び、気体被注入物に容易かつ速やかに気体を注入させることができる。前述したエアストップシート7は、作用領域73の外環分片732に貫通されて形成された貫通孔731を有する。前述したピストンヘッド21の上述した貫通孔731に対応した箇所には、貫通孔731に嵌合される位置規制フック20が設けられる。
【0009】
図6及び
図7を参照する。
図6及び
図7は、シリンダー13内のピストンの上動行程及び下動行程の動作を示す。ピストンの上動工程において、
図7は、前述したばね54が圧縮されてエアストップシート7により吸気流路23が閉じられ、エアストップシート7によりエア通路52が閉じられた状態を示し、ピストンが下動行程の段階のとき、前述したばね54が伸びてエアストップシート7を押し開いて吸気流路23から離して開口状態にする(
図6を参照する)。エアストップシート7が外気の押圧力を受けて開く幅が大きくなりやすいが、上述した位置規制フック20に設けられた横支柱214により制限され、エアストップシート7が無制限に開かれることによりエアストップシート7がへたったり損壊したりすることを防ぐことができる。ピストンが静止状態にあるとき、ばね54によりエアストップシート7を押し上げ、エアストップシート7の作用領域73に開口角度θ1が形成されるため、その状態は
図6に示すように、上述したエアストップシート7の作用領域73と、前述したピストンヘッド21の頂端平面とが開かれた状態に維持される。即ち、予め開かれた角度θ及び通気空間Zを有する。上述したエアストップシート7の貫通孔731は、前述した位置規制フック20の横支柱214に係止される。本発明の位置規制フック20に設けた縦支柱213は、エアストップシート7の開閉経路を提供し、空気圧縮機の出力パワーの大きさに応じて縦支柱213の長さ(又は高さ)及び横支柱214を調整するようにされているため、エアストップシート7の初期高さを調整することができる。
【0010】
本発明のエアストップシート7の技術的特徴は、シート本体上に第1の摺曲部71を設けて第1の折曲げ線711及び第2の折曲げ線712を形成し、エアストップシート7により作用領域73におけるシートと、前述したピストンヘッド21の頂端平面とにより共同で形成された小角度θ1で開いた状態が形成され、また、第2の摺曲部75により内円分片733の底面と外環分片732の上面とは、第2の摺曲部75中の第1の折曲げ線751との境界箇所に小角度θ2で開いた状態が形成される。前述した角度θ1及びもう一つの角度θ2の技術的特徴により、ピストンの吸気流路23の流れがスムーズとなり、シリンダー13中の圧力が周囲の大気と均衡し、空気圧縮機10が再び稼働されると、そのピストンの上動行程時に余計な抵抗力(背圧抵抗力)は発生せず、シリンダー13内でピストンが往復運動を行うときに、スムーズな圧縮動作を維持することができ、安全に使用することができる上、使用寿命が延び、気体被注入物に容易かつ速やかに気体を注入させることができる。大パワーがエアストップシート7に出力されるため、第1の摺曲部71及び位置決め領域72を設けることにより、エアストップシート7全体が行う上下振幅の開閉動作をスムーズにし、エアストップシート7全体が破壊されることを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0011】
1:筐体
5:ピストンロッド
7:エアストップシート
10:空気圧縮機
11:基板
12:モータ
13:シリンダー
14:伝動機構
15:空気貯蔵ユニット
16:圧力計
20:位置規制フック
21:ピストンヘッド
23:吸気流路
24:気密シール
50:空洞
51:円孔
52:エア通路
53:ピン
54:ばね
71:第1の摺曲部
72:位置決め領域
73:作用領域
74:環状内空領域
75:第2の摺曲部
141:クランクシャフト
211:固定ピン
212:固定ピン
213:縦支柱
214:横支柱
711:第1の折曲げ線
712:第2の折曲げ線
721:円孔
722:円孔
731:貫通孔
732:外環分片
733:内円分片
734:首部
751:第1の折曲げ線
Z:通気空間
θ1:角度
θ2:角度