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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】燃焼装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/78 20060101AFI20231122BHJP
   F23Q 3/00 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
F23D14/78 Z
F23Q3/00 102J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022086858
(22)【出願日】2022-05-27
【審査請求日】2022-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 耕輝
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-127865(JP,A)
【文献】実公昭54-014993(JP,Y2)
【文献】米国特許出願公開第2005/0271995(US,A1)
【文献】特開2007-064522(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/78
F23Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させる燃焼装置であって、
前記混合ガスが流れる筒状体と、
前記筒状体の下流側の開口端を覆うように前記筒状体に取付けられ、前記筒状体の前記混合ガスを通過させて表面で燃焼させる多孔状の表面燃焼部材と、
前記表面燃焼部材よりも、下流側に先端部が配置されたグランドロッドと、
前記筒状体の内部から前記表面燃焼部材を貫通し、前記グランドロッドの前記先端部との間で、スパークを発生させるスパークロッドと、を備え、
前記表面燃焼部材には、前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドまたは前記グランドロッドに向かって流れる前記混合ガスの流量を、他の部分を流れる前記混合ガスの流量よりも増大させる流量増大部が形成され、
前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドまたは前記グランドロッドを、前記混合ガスの流れる方向で前記表面燃焼部材に投影した領域に前記流量増大部が存在することを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記流量増大部は、前記表面燃焼部材に形成された貫通孔であることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドと前記グランドロッドのいずれか一方には、他方の先端部側に向かって屈曲した屈曲部が形成されており、
前記屈曲部を前記表面燃焼部材に投影した領域に前記流量増大部が存在することを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記筒状体を流れる前記混合ガスは、水平方向に噴出しており、
前記スパークロッドと前記グランドロッドとは、上下方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記流量増大部は、前記表面燃焼部材に形成された貫通孔であり、
前記グランドロッドは、前記貫通孔に対して水平方向に挿通されており、前記グランドロッドは、前記貫通孔の周縁部に支持されていることを特徴とする請求項に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記スパークロッドは、前記スパークロッドを保護する保護管に挿通され、
前記グランドロッドは、前記保護管に固定され、
前記表面燃焼部材には、前記スパークロッドとともに前記保護管を挿通する挿通孔が形成されており、
前記挿通孔と前記流量増大部とは、連続していることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グランドロッドとスパークロッドとの間に、電圧を印加することにより、スパークを発生させ、燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として、たとえば、特許文献1には、混合ガスが流れる内筒の先端の開口を、表面燃焼部材で覆い、内筒を流れて表面燃焼部材を通過した混合ガスを、表面燃焼部材の表面で燃焼する燃焼装置が提案されている。この燃焼装置は、グランドロッドとスパークロッドとを備えており、これらの間に電圧を印加することにより、スパークを発生させ、表面燃焼部材を通過した混合ガスが着火され、表面燃焼部材の表面に隣接した空間で、混合ガスが燃焼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-127865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の燃焼装置では、表面燃焼部材を通過した混合ガスが、燃焼した火炎で、グランドロッドまたはスパークロッドが、継続して加熱され過加熱の状態となることがあり、熱変形をするおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、グランドロッドまたはスパークロッドの熱変形を低減することができる燃焼装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を鑑みて、発明者は鋭意検討を重ねた結果、表面燃焼部材を通過する混合ガスのうち、グランドロッドまたはスパークロッドに向かう混合ガスの流量を、他の箇所よりも増加させることにより、グランドロッドまたはスパークロッドが、他の箇所で混合ガスが燃焼した火炎に晒されること低減し、過加熱により熱変形することを抑えることができるとの新たな知見を得た。
【0007】
前記課題を鑑みて、本発明に係る燃焼装置は、燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させる燃焼装置であって、前記混合ガスが流れる筒状体と、前記筒状体の下流側の開口端を覆うように前記筒状体に取付けられ、前記筒状体の前記混合ガスを通過させて表面で燃焼させる多孔状の表面燃焼部材と、前記表面燃焼部材よりも、下流側に先端部が配置されたグランドロッドと、前記筒状体の内部から前記表面燃焼部材を貫通し、前記グランドロッドの前記先端部との間で、スパークを発生させるスパークロッドと、を備え、前記表面燃焼部材には、前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドまたは前記グランドロッドに向かって流れる前記混合ガスの流量を、他の部分を流れる前記混合ガスの流量よりも増大させる流量増大部が形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、筒状体を流れる混合ガスは、多孔状の表面燃焼部材を通過する。グランドロッドとスパークロッドとに電圧を印加することにより、これらの間でスパークが発生する。このスパークにより、表面燃焼部材を通過した混合ガスが、着火され、混合ガスが燃焼される。
【0009】
ここで、表面燃焼部材のうち、流量増大部を除く部分では、適切な流量で均一に混合ガスが流れ出るため、安定した燃焼を実現できる。その一方で、流量増大部では、これらの箇所に比べて、混合ガスがより多く流れ、完全に燃焼しないまたは未燃焼のガスのまま、表面燃焼部材よりも下流側のスパークロッドまたはグランドロッドに向かって流れ、燃焼状態となる前にスパークロッドまたはグランドロッドに到達する。この結果、スパークロッドまたはグランドロッドが、高温の火炎に晒されることを防止することができる。スパークロッドまたはグランドロッドが、継続して加熱され過加熱の状態となることを抑え、これらの熱変形を低減することができる。
【0010】
より好ましい態様としては、前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドまたは前記グランドロッドを、前記混合ガスの流れる方向で前記表面燃焼部材に投影した領域に前記流量増大部が存在する。
【0011】
この態様によれば、スパークロッドまたはグランドロッドの投影した領域に流量増大部が存在するので、表面燃焼部材よりも下流側のスパークロッドまたはグランドロッドの部分に、流量増大部からの混合ガスをより確実に吹き付けることができる。これにより、スパークロッドまたはグランドロッドが、継続して加熱され過加熱の状態となることを抑え、これらの熱変形を低減することができる。
【0012】
ここで、流量増大部は、たとえば、多孔状の表面燃焼部材の他の部分に比べて、空隙率が高くてもよく、他の箇所に比べて、流量増大部から混合ガスがより多く流れるのであれば、特に限定されるものではない。しかしながら、より好ましい態様としては、前記流量増大部は、前記表面燃焼部材に形成された貫通孔である。
【0013】
この態様によれば、表面燃焼部材の流量増大部を貫通孔とすることにより、他の箇所に比べて、抵抗なく貫通孔に混合ガスを流すことができる。これにより、貫通孔から流れ出した混合ガスが、スパークロッドまたはグランドロッドに吹き付けられるため、これらの過加熱を、効果的に抑えることができる。
【0014】
流量増大部を貫通孔としたことを前提として、より好ましい態様としては、前記表面燃焼部材よりも下流側の前記スパークロッドと前記グランドロッドのいずれか一方には、他方の先端部側に向かって屈曲した屈曲部が形成されており、前記屈曲部を前記表面燃焼部材に投影した領域に前記流量増大部が存在する。
【0015】
ここで、上述した屈曲部は、スパークロッドのグランドロッドの先端部側において、過加熱で熱変形し易く、スパークロッドの先端部とグランドロッドの先端部との距離が変化して、最適な距離の範囲を確保できないことがあり、着火不良が発生することがある。しかしながら、この態様によれば、屈曲部に、貫通孔から流れ出した混合ガスを吹き付けることができるため、屈曲部の熱変形を低減し、着火不良を抑制することができる。
【0016】
ここで、スパークロッドとグランドロッドとは、水平方向に配置されていてもよいが、より好ましい態様としては、前記流量増大部は、前記表面燃焼部材に形成された貫通孔であり、前記筒状体を流れる前記混合ガスは、水平方向に噴出しており、前記スパークロッドと前記グランドロッドとは、上下方向に配置されている。
【0017】
スパークロッドとグランドロッドとが、上下方向に配置されていると、上述した熱変形の際に、これらの自重の影響を受けて、先端部の距離が変化し易いため、着火不良が生じ易い。しかしながら、この態様によれば、スパークロッドとグランドロッドとの熱変形を抑えることができるので、スパークロッドとグランドロッドとが、このような配置関係であっても、これらの先端部の距離を、適切な距離に維持することができるため、着火不良を抑えることができる。
【0018】
ここで、グランドロッドは、筒状体の外周面からスパークロッドの先端部まで延在していてもよいが、より好ましい態様としては、前記混合ガスが水平方向に噴出する態様において流量増大部を貫通孔としたことを前提として、前記グランドロッドは、前記貫通孔に対して水平方向に挿通されており、前記グランドロッドは、前記貫通孔の周縁部に支持されている。
【0019】
この態様によれば、グランドロッドは、貫通孔に挿通されているため、貫通孔から流れ出す混合ガスに直接晒されるため、過加熱となり難い。さらに、グランドロッドは、貫通孔の周縁部に支持されているため、グランドロッドの基端部側の熱変形を抑えることができる。この結果、グランドロッドとスパークロッドとの距離を適切な距離に保持することができ、混合ガスの着火不良を抑えることができる。
【0020】
より好ましい態様としては、前記スパークロッドは、前記スパークロッドを保護する保護管に挿通され、前記グランドロッドは、前記保護管に固定され、前記表面燃焼部材には、前記スパークロッドとともに前記保護管を挿通する挿通孔が形成されており、前記挿通孔と前記流量増大部とは、連続している。
【0021】
この態様によれば、挿通孔と流量増大部が連続しているため、挿通孔を介して挿通されたスパークロッドの近傍に、流量増大部から混合ガスを流出させることができるため、スパークロッドの過加熱を抑えることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、グランドロッドまたはスパークロッドの熱変形を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の模式的概念図である。
図2図1に示す燃焼装置の要部の模式的斜視図である。
図3図2に示す燃焼装置の要部の分解斜視図である。
図4図3に示す表面燃焼部材に、スパークロッドとグランドロッドを投影した平面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る燃焼装置の模式的斜視図である。
図6図5に示す表面燃焼部材に、スパークロッドとグランドロッドを投影した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃焼装置の模式的概念図であり、図2は、図1に示す燃焼装置の要部の模式的斜視図である。図3は、図2に示す燃焼装置の要部の分解斜視図であり、図4は、図3に示す表面燃焼部材に、スパークロッドとグランドロッドを投影した平面図である。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る燃焼装置1は、燃料ガスと空気とが混合された混合ガスを燃焼させるバーナであり、たとえば、排気管を備えたケーシング内に設置される。ケーシングは、洗浄装置の洗浄タンク、加熱炉等の壁部に取付けられ、バーナで加熱されたケーシングによりその内部を加熱するものである。
【0026】
本実施形態では、燃焼装置1の装置本体10に流す混合ガスは、これよりも上流において、生成される。具体的には、以下の構成は図示しないが、燃焼装置1に接続されたブロワにより流量調整された空気が、ミキサに送風され、ミキサにおいて、プロパンガスなどの燃料ガスが混合されて、予混合ガス(混合ガス)が生成される。生成された混合ガスGは、供給管31を介して、装置本体10に供給される。装置本体10に供給された混合ガスは、後述する表面燃焼部材12に向け流れる。
【0027】
装置本体10は、混合ガスGが流れる筒状体11と、筒状体11の下流側の開口端11aを覆うように筒状体11に取付けられ、筒状体11の混合ガスGを通過させて表面で燃焼させる多孔状の表面燃焼部材12と、を備えている。
【0028】
筒状体11および表面燃焼部材12は、耐熱性のステンレス鋼からなる。表面燃焼部材12は、筒状体11の開口端11aの形状に応じた板状の部材(たとえば円板状の部材)であり、耐熱性の金属線材をニット状に編み込んだ部材(たとえばメタルニット(登録商標)など、厚さ方向に沿って混合ガスを通過させることができる多孔質体であれば特に限定されるものではない。
【0029】
本実施形態では、筒状体11は、水平方向に沿って延在しており、より具体的には、筒状体11の軸心は、水平方向に沿っている。筒状体11の基端11bは封止されており、その側面には、ミキサ(図示せず)で混合された混合ガスGを供給する供給管31が接続されている。このようにして、筒状体11を流れる混合ガスGは、表面燃焼部材12から水平方向に噴出する。ただし、この態様に限定されるものではなく、たとえば、筒状体11の配置および形状を適宜選定することにより、混合ガスGは、水平方向と交差する方向に噴出してもよい。
【0030】
装置本体10は、表面燃焼部材12よりも、下流側に先端部が配置されたグランドロッド21と、筒状体11の内部から表面燃焼部材12を貫通し、グランドロッド21の先端部21aとの間で、スパークを発生させるスパークロッド22と、を備えている。グランドロッド21とスパークロッド22は、耐熱合金からなり、たとえば、カンタル(登録商標)やSYTT(登録商標)など、一般的に利用される耐熱合金である。
【0031】
グランドロッド21の先端部21aと、スパークロッド22の先端部22bの間で、スパークを発生させることにより、混合ガスGに着火することができるのであれば、これらの配置関係は特に限定されるものではないが、本実施形態では、スパークロッド22とグランドロッド21は、上下方向に配置されている。より具体的には、グランドロッド21に対して、スパークロッド22が上側に配置されている。スパークロッド22は、直線状であり、グランドロッド21の先端部21aは、スパークロッド22の先端部22b側に向かって屈曲した屈曲部21cが形成されている。
【0032】
筒状体11は、円筒状であり、その内部には、スパークロッド22を支持する支持管13が内挿されている。支持管13は、その外周にフランジ等を設けることにより、筒状体11の基端11bに着脱自在に取付けられている。支持管13の先端は、閉塞されており、その先端には後述する保護管15が、溶接等により接続されている。
【0033】
スパークロッド22は、電気的に絶縁性を有した絶縁管14に挿通されており、スパークロッド22の基端部22aは、絶縁管14に挿通された状態で、支持管13に支持されている。スパークロッド22の基端部22aには、高圧導線24が接続されており、これにより、グランドロッド21とスパークロッド22との間に電圧が印加されると、これらの先端部21a、22bにスパークを生成することができる。
【0034】
本実施形態では、スパークロッド22を保護する保護管15が、支持管13に固定されており、筒状体11の内部に配置されている。保護管15の内部には、スパークロッド22が挿通されており、スパークロッド22の先端部22bは、表面燃焼部材12を貫通し、筒状体11の外側において、絶縁管14と保護管15から露出している。
【0035】
さらに、筒状体11、保護管15、および絶縁管14は、同軸上に配置されており、保護管15の内径は、絶縁管14の外径より大きい。このため、保護管15と絶縁管14との間には、後述する混合ガスが流れる空間が形成されている。保護管15には、保護管15の外部(具体的には筒状体11内)から保護管15の内部に、筒状体11の混合ガスGが流れる流入孔15aが、保護管15の周方向に複数(たとえば2つ)形成されている。
【0036】
このようにして、筒状体11の内部を流れる混合ガスGを、流入孔15aを介して保護管15内に流入させることができ、保護管15の先端側において、混合ガスGをスパークロッド22の先端部22b側に向かって噴出させることがでる。
【0037】
表面燃焼部材12には、表面燃焼部材12よりも下流側のスパークロッド22に向かって流れる混合ガスGの流量を、他の部分を流れる混合ガスGの流量よりも増大させる流量増大部16が形成されている。
【0038】
本実施形態では、流量増大部16は、他の部分を流れる混合ガスGの流量よりも増大させることができるのであれば、特に限定されるものではなく、たとえば、この部分の肉厚を薄くしたり、空隙率を高めたりすることにより、混合ガスGの流量を増大させてもよい。より好ましい態様としては、本実施形態では、流量増大部16は、表面燃焼部材12に形成された貫通孔16Aである。
【0039】
本実施形態では、表面燃焼部材12には、スパークロッド22とともに保護管15を挿通する挿通孔16Bが形成されている。挿通孔16Bと流量増大部16(貫通孔16A)とは、連続している。挿通孔16Bは、円形状の孔であり、貫通孔16Aは、長方形状の長孔であるので、これらの全体的な孔の形状は、鍵形の形状となる。グランドロッド21は、貫通孔16Aに挿通されており、グランドロッド21は、保護管15に溶接等により保護管15に沿って水平状(水平な姿勢)に固定されており、その先端部21a側において、貫通孔16Aの周縁部16aに支持されている。
【0040】
図4に示すように、表面燃焼部材12よりも下流側のグランドロッド21を、混合ガスGの流れる方向で表面燃焼部材12に投影した領域に流量増大部16が存在する。換言すると、表面燃焼部材12は、筒状体11内において、混合ガスGが流れる方向に対して、直交しており、表面燃焼部材12の表面に沿った仮想平面において、グランドロッド21を投影した領域(少なくとも領域の一部)が、流量増大部16の領域に含まれる。具体的には、本実施形態では、表面燃焼部材12よりも下流側のグランドロッド21の屈曲部21cを、表面燃焼部材12に投影した領域に、流量増大部16が存在する。
【0041】
本実施形態では、まず、供給管31から筒状体11に混合ガスGを供給する。筒状体11を流れる混合ガスGは、多孔状の表面燃焼部材12を通過する。グランドロッド21とスパークロッド22とに電圧を印加することにより、グランドロッド21の先端部21aと、スパークロッド22の先端部22bとの間でスパークが発生する。このスパークにより、表面燃焼部材12を通過した混合ガスGが、着火され、混合ガスGが燃焼される。
【0042】
表面燃焼部材12のうち、流量増大部16(貫通孔16A)を除く部分では、適切な流量で均一に混合ガスが流れ出るため、安定した燃焼を実現できる。その一方で、流量増大部16では、これらの箇所に比べて、より多くの混合ガスGが、完全に燃焼しないまたは未燃焼のガスのまま、表面燃焼部材12よりも下流側のグランドロッド21に向かって流れ、燃焼状態となる前にグランドロッド21の先端部21aまで到達する。
【0043】
この結果、グランドロッド21が、高温の火炎に晒されることを防止することができるため、グランドロッド21が、継続して加熱され過加熱の状態となることを抑え、これらの熱変形を低減することができる。ここで、表面燃焼部材12の流量増大部16を貫通孔16Aとすることにより、他の箇所に比べて、抵抗なく貫通孔16Aに混合ガスGを流すことができる。これにより、貫通孔16Aから流れ出した混合ガスGが、グランドロッド21に吹き付けられるため、グランドロッド21の過加熱を、効果的に抑えることができる。
【0044】
特に、本実施形態では、表面燃焼部材12よりも下流側のグランドロッド21を、混合ガスGの流れる方向で表面燃焼部材12に投影した領域に流量増大部16(貫通孔16A)が存在する。このため、投影した領域内に存在するグランドロッド21の部分に、流量増大部16からの混合ガスGをより確実に吹き付けることができる。これにより、グランドロッド21が、継続して加熱され過加熱の状態となることを抑え、これらの熱変形を低減することができる。
【0045】
特に、屈曲部21cは、グランドロッド21の先端部21a側の過加熱で熱変形し易く、スパークロッド22の先端部22bとグランドロッド21の先端部21aとの距離が変化して、最適な距離の範囲を確保できないことがあり、着火不良が発生することがある。しかしながら、屈曲部21cに、貫通孔16Aから流れ出した混合ガスGを吹き付けることができるため、屈曲部21cの熱変形を低減し、着火不良を抑制することができる。
【0046】
さらに、スパークロッド22とグランドロッド21とが、上下方向に配置されていると、特にグランドロッド21は水平に固定されることから、上述した熱変形の際に、自重の影響を受けて、先端部21a、22bの距離が変化し易いため、着火不良が生じ易い。しかしながら、図1に示すこのような配置状態であっても、スパークロッド22とグランドロッド21との熱変形を抑えることができるので、スパークロッド22とグランドロッド21とが、このような配置関係であっても、これらの先端部21a、22bの距離を、適切な距離に維持することができるため、着火不良を抑えることができる。
【0047】
グランドロッド21は、貫通孔16Aに挿通されているため、グランドロッド21は貫通孔16Aから流れ出す混合ガスGに直接晒されるため、過加熱となり難い。さらに、グランドロッド21は、貫通孔16Aの周縁部16aに支持されているため、グランドロッド21の先端部21a側の自重による熱変形を抑えることができる。この結果、グランドロッド21とスパークロッド22との距離を適切な距離に保持することができ、混合ガスGの着火不良を抑えることができる。
【0048】
また、挿通孔16Bと流量増大部16が連続しているため、挿通孔16Bを介して挿通されたスパークロッド22の近傍に、流量増大部16から混合ガスGを流出させることができるため、スパークロッド22の過加熱を抑えることができる。
【0049】
〔第2実施形態〕
図5は、本発明の第2実施形態に係る燃焼装置の模式的斜視図であり、図6は、図5に示す表面燃焼部材に、スパークロッドとグランドロッドを投影した平面図である。本実施形態に係る燃焼装置が、第1実施形態のものと相違する点は、グランドロッド21とスパークロッド22の形状と、流量増大部16の大きさおよび形状である。したがって、第1実施形態のものと同じ機能を有する部材については、その詳細な説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、本実施形態に係るグランドロッド21は、筒状体11に固着されており、その先端部21aが、屈曲している。グランドロッド21の上側には、スパークロッド22の先端部22bには、グランドロッド21の先端部21aに向かって屈曲した屈曲部22cが形成されている。
【0051】
この実施形態でも、表面燃焼部材12よりも下流側のスパークロッド22およびグランドロッド21を、混合ガスGの流れる方向で表面燃焼部材12に投影した領域に、流量増大部16が存在している。本実施形態でも、流量増大部16は、貫通孔16Aである。本実施形態では、表面燃焼部材12よりも下流側のスパークロッド22の屈曲部22cを表面燃焼部材12に投影した投影領域S1に流量増大部16が存在している。
【0052】
第2実施形態の場合も同様に、流量増大部16(貫通孔16A)を通過する混合ガスは、他の箇所に比べて抵抗が少ない状態で流れ、グランドロッド21およびスパークロッド22に吹き付けられる。この結果、グランドロッド21およびスパークロッド22が、継続して加熱され過加熱の状態となることを抑え、これらの熱変形を低減することができる。
【0053】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。本発明は、或る実施形態の構成を他の実施形態の構成に追加したり、或る実施形態の構成を他の実施形態と置換したり、或る実施形態の構成の一部を削除したりすることができる。
【符号の説明】
【0054】
1:燃焼装置、11:筒状体、12:表面燃焼部材、15:保護管、16:流量増大部、16A:貫通孔、16a:周縁部、21:グランドロッド、21a:先端部、21c:屈曲部、22:スパークロッド、22b:先端部、22c:屈曲部、G:混合ガス
【要約】
【課題】グランドロッドの熱変形を低減することができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】燃焼装置1は、混合ガスが流れる筒状体11と、筒状体11の下流側の開口端11aを覆うように筒状体11に取付けられ、筒状体11の混合ガスを通過させて表面で燃焼させる多孔状の表面燃焼部材12と、表面燃焼部材12よりも、下流側に先端部21aが配置されたグランドロッド21と、筒状体11の内部から表面燃焼部材12を貫通し、グランドロッド21の先端部21aとの間で、スパークを発生させるスパークロッド22と、を備えている。表面燃焼部材12には、表面燃焼部材12よりも下流側のグランドロッド21に向かって流れる混合ガスGの流量を、他の部分を流れる混合ガスGの流量よりも増大させる流量増大部16が形成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6