(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】皮引き俎板
(51)【国際特許分類】
A47J 47/00 20060101AFI20231122BHJP
【FI】
A47J47/00 Z
(21)【出願番号】P 2022168692
(22)【出願日】2022-10-03
【審査請求日】2022-10-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522307616
【氏名又は名称】熊本 仁春
(72)【発明者】
【氏名】熊本 仁春
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204683416(CN,U)
【文献】特開2001-149240(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0036886(US,A1)
【文献】登録実用新案第3203873(JP,U)
【文献】特開2019-205539(JP,A)
【文献】登録実用新案第3116963(JP,U)
【文献】実開昭51-12557(JP,U)
【文献】中国実用新案第201920586(CN,U)
【文献】実開平5-60441(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 47/00
A22C 25/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮の付いた魚の身から包丁で魚の皮を引く、または皮の付いた魚の身から魚の皮を包丁で切り離すための、魚の皮面に接する位置に溝を有する俎板
であって、前記俎板の溝は、
50~120ミリメートルの幅、0.3~10ミリメートルの深さであり、溝外形と溝底部に直線部分と曲線部分の両方を有し、溝底部の深さは俎板中央が浅く俎板外周にむけて深くなる、俎板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誰でも各自の持つ包丁で簡単かつ精緻に食材の皮やスジなど薄膜の除去を可能にする不定形の溝を有する俎板に関する。
【背景技術】
【0002】
魚の身は、魚種、個体差、部位など多様ではあるが一般的に外部からウロコ、銀皮、皮下脂肪層、繊維質の赤身、白身で構成される。一流の料理人は銀皮または皮下脂肪層を身に残して皮だけを除去する。
皮下脂肪層には魚の旨味があり、銀皮や繊維質の赤身は身の弾力を維持する、これら皮目は食味のうえで重要な役割を持つ。
しかし魚の皮引きは熟練の料理人でさえ失敗をすることがある。時間の制約がある一般の鮮魚商は時々失敗、食味を向上させる皮目を皮と一緒に捨ててしまっているのが現状である。また一般家庭においては皮引きを出来ないと最初から敬遠する人もいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、これまで魚の皮引きを各個人の技量に依存してきた精度を誰でも一流の料理人なみに皮目を残した皮引きを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
魚の皮を引くとき、包丁で皮を俎板に押さえつけ、圧迫された皮は引きにくく力を要するため包丁の安定が疎かになり失敗につながっていた。これを解消するため俎板に溝をつけ溝底部に包丁との隙間を形成し皮を引きやすくする。
【0005】
形成された隙間を一定に維持するため包丁を動かさず皮を引くほうに集中することができる。
【発明の効果】
【0006】
一番美味しい皮目の部分を皮に残さず可食部にすることで、食味の向上と可食部の増加、廃棄物の減少が実現される。
【0007】
初心者の料理人や鮮魚商は最高の皮引きを体感でき、これを基準にすれば技術の向上に結びつく。
【0008】
皮引き作業の時間短縮につながる。
【0009】
誰でも簡単に皮引きができるため一般家庭で魚料理の機会が増える。
【0010】
世界的な健康志向により魚食を見直す傾向がある。これら魚食文化の普及に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】平面図と AB 各方向から見た断面図、C方向から見た断面図は点線が溝底部を表示している。
【
図2】[
図1]A側の底部直線溝に包丁を設置した状態で[請求項3]に記述の、溝は俎板平面部に包丁を設置したとき、包丁刃先と俎板溝の底部に隙間を形成する。魚の皮など除去したい部分がこの隙間を通りぬける。
【0012】
俎板の厚みや縦横寸法は多様であり特定できない。
溝深さは0.3~10ミリメートル程度、溝幅は50~120ミリメートル程度が現実的に使いやすいと思われるが、この数値に限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
片面を平面とし、片面に溝をつければ両面使え、収納に困らない。
【0014】
包丁を俎板上に設置した後、皮を引く方向に包丁の峰を傾斜させると軽く皮を引くことができる。
【0015】
包丁を俎板上に設置した後、皮を引く方向に包丁の峰を傾斜させたとき、刃先に反りのある刃物の場合は溝底部に形成される隙間が大きくなる。これも使用者の好みや刃物の切れ味、対象となる食材によって適宜調整できる。
【実施例】
【0016】
試作品では包丁と溝底部の隙間が安定しているため、皮目の仕上がりが全体に均一であり良好だった。
【産業上の利用可能性】
【0017】
コロナ禍により、にわかにアウトドア、釣りブームが起きているように見受けられます。これまで魚料理において最大最後の難関であった皮引きが誰でも簡単にできるようになれば、釣りたての魚を刺身で楽しむことができる。
【0018】
鮮魚商は皮に身を残すことなく販売できるので微量ながら売上の増加、廃棄物の減少が期待できる。
【要約】 (修正有)
【課題】簡単かつ精緻に食材の皮やスジなど薄膜の除去を可能にする俎板を提供すること。
【解決手段】俎板に溝をつけ包丁刃先と俎板溝底部に隙間を設ける。溝深さは0.3~10ミリメートル程度、溝幅は50~120ミリメートル程度とする。また、多様な包丁の刃先に対応できるよう直線と曲線を溝底部にもうけ、また溝の深さも深浅をもうけ勾配をつける。包丁を俎板上に設置した後、皮を引く方向に包丁の峰を傾斜させると軽く皮を引くことができる。
【選択図】
図1