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特許7389880電子タバコの制御方法、電子タバコ装置及びコンピュータ記憶媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電子タバコの制御方法、電子タバコ装置及びコンピュータ記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/57 20200101AFI20231122BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20231122BHJP
【FI】
A24F40/57
A24F40/465
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022172662
(22)【出願日】2022-10-27
(62)【分割の表示】P 2021506512の分割
【原出願日】2019-08-05
(65)【公開番号】P2023015154
(43)【公開日】2023-01-31
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】201810889905.7
(32)【優先日】2018-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】喩宗平
(72)【発明者】
【氏名】李永海
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
【審査官】芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/218982(WO,A8)
【文献】特表2017-511123(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068100(WO,A1)
【文献】特表2015-531600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00 - 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの誘導コイル及び発熱デバイスを含む電磁加熱ユニットが、カートリッジを加熱して煙を生成するように制御するための電子タバコの制御方法であって、
第1の段階で前記電磁加熱ユニットを起動し、前記発熱デバイスを発熱させ、温度センサが収集した前記発熱デバイスの温度情報を受信し、前記温度情報及び所定の予熱温度に基づき、現在の温度情報と前記予熱温度との間の第1の差分値を計算し、前記第1の差分値に基づき、第1のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整し、前記発熱デバイスが前記予熱温度に達するように、前記制御信号を前記電磁加熱ユニットに出力し、電磁加熱ユニットの出力パワーを制御することと、
前記発熱デバイスが前記予熱温度に達した後、第2の段階で現在の温度情報と目標喫煙温度との間の第2の差分値を計算し、前記第2の差分値に基づき、第2のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整し、前記発熱デバイスが前記予熱温度よりも低い目標喫煙温度を保つように、前記制御信号を前記電磁加熱ユニットに出力し、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御することと、を含む、
ことを特徴とする電子タバコの制御方法。
【請求項2】
前記第1のPIDアルゴリズムは、前記第2のPIDアルゴリズムよりも応答速度が大きいPIDアルゴリズムであり、前記第1の段階の持続時間は3~4秒である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項3】
前記第1の段階で前記電磁加熱ユニットを起動することは、第1の段階において、前記誘導コイルに第1の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットに所定の出力パワーを出力させることを含み、
前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することは、第2の段階において、前記誘導コイルに前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御することを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項4】
前記予熱温度は200~350℃である、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項5】
ユーザからの起動命令を受信し、前記起動命令に基づき、前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させることを、さらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項6】
前記発熱デバイスが目標喫煙温度を保つように、第2の段階で前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することは、具体的には、
第2の段階において、第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスが喫煙過程中に目標喫煙温度を保つように制御することを含み、前記喫煙過程は複数の段階に分けられ、各段階は対応する目標喫煙温度を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項7】
前記第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスが喫煙過程中に目標喫煙温度を保つように制御することは、具体的には、
温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集することと、
前記温度情報及び現段階の目標喫煙温度に基づき、前記発熱デバイスが前記目標喫煙温度に達するように、第2のPIDアルゴリズムにより、前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行うことと、を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子タバコの制御方法。
【請求項8】
電子タバコ装置であって、
発熱デバイスの温度情報を検出するための温度センサと、
少なくとも1つの誘導コイル及び発熱デバイスを含む、パワーを出力して前記電子タバコ装置内に配置されているカートリッジを加熱するための電磁加熱ユニットと、
それぞれ前記温度センサ及び電磁加熱ユニットに接続されるコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが請求項1~7のいずれか一つに記載の電子タバコの制御方法を実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
ことを特徴とする電子タバコ装置。
【請求項9】
起動スイッチをさらに備え、
前記起動スイッチは、前記コントローラに接続され、ユーザからの起動命令を受信して前記コントローラに前記起動命令を伝送することで、前記コントローラが前記起動命令に基づいて前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させる、
ことを特徴とする請求項8に記載の電子タバコ装置。
【請求項10】
プロセッサに実行される時に、請求項1~7のいずれか一つに記載の電子タバコの制御方法のステップを実現する電子タバコ制御プログラムが記憶されている、
ことを特徴とするコンピュータ記憶媒体。
【請求項11】
非揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令がコンピュータに実行される時に、前記コンピュータに請求項1~7のいずれか一つに記載の方法を実行させる、
ことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2018年08月07日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号201810889905.7、発明の名称「電子タバコの制御方法及び電子タバコ装置」の中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、電子タバコの技術分野に関し、特に、電子タバコの制御方法、電子タバコ装置及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
加熱式非燃焼カートリッジの発展につれて、市場には、非燃焼加熱式の低温熱風乾燥タバコ装置がたくさん出回った。
【0004】
発明者は、本願を実現する過程中に、従来の低温熱風乾燥タバコ装置が、加熱方式及び加熱制御方式の制限によって、カートリッジの目標予熱温度に達するまでの時間が長く、通常、20秒~40秒程度のような長い時間がかかって達することができることを発見した。よって、ユーザが電子タバコ装置を使用して喫煙する時に、長い時間待つ必要があり、喫煙効果が良くない。
【0005】
したがって、従来の電子タバコ装置では、煙を直ちに提供することができず、ユーザの電子タバコに対する使用体験が影響される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の実施例の1つの目的は、電子タバコの制御方法及び電子タバコ装置を提供することである。従来の電子タバコ装置では、吸い時間が長く、吸い効果が悪いという技術課題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した技術課題を解決するために、本願において採用された技術案は、少なくとも1つの誘導コイル及び発熱デバイスを含む電磁加熱ユニットが、カートリッジを加熱して煙を生成するように制御するための電子タバコの制御方法であって、前記カートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度よりも高い予熱温度を決定することと、第1の段階で前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させ、前記発熱デバイスを発熱させることと、温度センサが即時収集した前記発熱デバイスの温度情報を受信し、前記温度情報及び所定の予熱温度に基づき、前記発熱デバイスが前記予熱温度に達するように、第1のPIDアルゴリズムにより前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行うことと、前記発熱デバイスが前記予熱温度に達した後、前記発熱デバイスが前記予熱温度よりも低い目標喫煙温度を保つように、第2の段階で前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することと、を含むことを特徴とする電子タバコの制御方法を提供することである。
【0008】
選択的に、前記第1のPIDアルゴリズムは、応答速度の速いPIDアルゴリズムであり、前記第1の段階の持続時間は3~4秒である。
【0009】
選択的に、前記第1の段階で前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させることは、具体的には、第1の段階において、前記誘導コイルに第1の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットに所定の出力パワーを出力させることを含み、前記第2の段階で前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することは、具体的には、第2の段階において、前記誘導コイルに前記第1の周波数よりも小さい第2の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御することを含む。
【0010】
選択的に、前記予熱温度は200~350℃である。
【0011】
選択的に、前記方法は、ユーザからの起動命令を受信し、前記起動命令に基づき、前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させることを、さらに含む。
【0012】
選択的に、前記発熱デバイスが目標喫煙温度を保つように、第2の段階で前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することは、具体的には、第2の段階において、第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスが喫煙過程中に目標喫煙温度を保つように制御することを含み、前記喫煙過程は複数の段階に分けられ、各段階は対応する目標喫煙温度を有し、前記第2のPIDアルゴリズムは、応答速度の遅いPIDアルゴリズムである。
【0013】
選択的に、前記第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスが喫煙過程中に目標喫煙温度を保つように制御することは、具体的には、温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集することと、前記温度情報及び現段階の目標喫煙温度に基づき、前記発熱デバイスが前記目標喫煙温度に達するように、第2のPIDアルゴリズムにより、前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行うことと、を含む。
【0014】
選択的に、前記第1のPIDアルゴリズム又は第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスの出力パワーにフィードバック制御を行うことは、具体的には、現在の温度情報と前記予熱温度との間の第1の差分値を計算することと、前記第1の差分値に基づき、所定の第1のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整することと、前記制御信号を前記電磁加熱ユニットに出力して、出力パワーを制御することと、を含むか、又は、現在の温度情報と前記目標喫煙温度との間の第2の差分値を計算することと、前記第2の差分値に基づき、所定の第2のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整することと、前記制御信号を前記電磁加熱ユニットに出力して、出力パワーを制御することと、を含む。
【0015】
選択的に、前記第1のPIDアルゴリズムの応答速度は、第2のPIDアルゴリズムの応答速度よりも大きい。
【0016】
上記した技術課題を解決するために、本願において採用された別の技術案は、発熱デバイスの温度情報を検出するための温度センサと、少なくとも1つの誘導コイル及び発熱デバイスを含む、パワーを出力して前記電子タバコ装置内に配置されているカートリッジを加熱するための電磁加熱ユニットと、それぞれ前記温度センサ及び電磁加熱ユニットに接続され、前記温度情報及び所定の発熱デバイスの予熱温度に基づき、前記発熱デバイスが前記予熱温度に達するように、第1のPIDアルゴリズムにより前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行うためのコントローラと、を備える電子タバコ装置を提供することである。
【0017】
選択的に、前記コントローラは、具体的には、前記発熱デバイスが前記予熱温度に達するように、第1のPIDアルゴリズムにより、前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行うとともに、第2のPIDアルゴリズムにより、前記電磁加熱ユニットが目標喫煙温度を保つようにフィードバック制御を行うために用いられる。
【0018】
選択的に、前記電子タバコ装置は、起動スイッチをさらに備え、前記起動スイッチは、前記コントローラに接続され、前記コントローラが前記起動命令に基づいて前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させるように、ユーザからの起動命令を受信して前記コントローラに前記起動命令を伝送するために用いられる。
【0019】
選択的に、前記コントローラは、
少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサに通信可能に接続されるメモリと、を含み、
前記メモリには、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行可能な命令が記憶されており、前記命令は、前記少なくとも1つのプロセッサが前記コントローラに実行されるステップを実行できるように、前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される。
【0020】
上記した技術課題を解決するために、本願において採用された別の技術案は、プロセッサに実行される時に、以上に記載の電子タバコの制御方法のステップを実現する電子タバコ制御プログラムが記憶されているコンピュータ記憶媒体を提供することである。
【0021】
上記した技術課題を解決するために、本願において採用された別の技術案は、非揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令がコンピュータに実行される時に、前記コンピュータに以上に記載の方法を実行させるコンピュータプログラム製品を提供することである。
【0022】
本願の実施例により提供される電子タバコの制御方法は、PIDアルゴリズムと電磁加熱を組み合わせた方式を採用し、発熱デバイスが予熱温度に達するまでに必要な時間が効果的に短縮され、基本的には3~4秒程度であり、ユーザに直ちに喫煙することを実感させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
1つ又は複数の実施例について、それに対応する添付図面における図を通じて例示的に説明する。これらの例示的な説明は、実施例を限定するものではなく、添付図面において、同じ参照数字記号を有する素子は、類似する素子を表す。特に断りがない限り、添付図面における図は、比例を制限するものではない。
図1】本願の実施例により提供される従来の加熱式非燃焼電子タバコにおける発熱デバイスの温度制御方法のフローチャートである。
図2】本願の実施例により提供される電子タバコの制御方法の方法のフローチャートである。
図3】本願の別の実施例により提供される電子タバコの制御方法の方法のフローチャートである。
図4】本願の別の実施例により提供される電子タバコの制御方法の方法のフローチャートである。
図5図3又は図4に示される具体的な例を適用する時に、発熱デバイスの温度の時間に伴う変化模式図である。
図6】本願の実施例により提供される電子タバコ装置の構造模式図である。
図7】本願の別の実施例により提供される電子タバコ装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本願の目的、技術案及び利点をより明瞭かつ分かりやすくするために、以下、添付図面及び実施例を組み合わせて、本願をさらに詳しく説明する。ここで記載されている具体的な実施例は、本願を解釈するためのものであり、本願を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0025】
なお、衝突しない限り、本願の実施例における各特徴は、相互に組み合わせることができ、全て本願の保護範囲内にある。また、装置模式図において機能モジュールが区画されており、フローチャートにおいて論理順序が示されているが、装置におけるモジュール区画、又はフローチャートにおける順序と異なるように、示されているか又は記載されているステップを実行できる場合もある。なお、本願に用いられている「第1」、「第2」などの用語は、データ及び実行順を限定するものではなく、機能及び作用が実質的に同じである同様項目又は類似項目を区分するためのものに過ぎない。
【0026】
一般的に用いられている加熱式非燃焼電子タバコでは、主に、電子タバコの内部に設けられている発熱デバイスにより、カートリッジを低温加熱し、当該発熱デバイスが抵抗発熱方式を採用し、匂いが出るようにベーキングし、本当のタバコに近い吸い効果を達成する。したがって、このような電子タバコにとって、低温加熱の温度制御は、電子タバコの喫煙効果に影響する肝心な要因である。
【0027】
図1は、従来の加熱式非燃焼電子タバコにおける発熱デバイスの温度制御方式である。図1に示すように、当該制御方式は、大まかに以下のいくつかのステップを含むことができる。
【0028】
ステップ110、電子タバコ装置が非使用状態にある時、一定の時間内にユーザからの起動命令を受信したか否かを判定する。そうであれば、ステップ120を実行し、そうでなければ、ステップ130を実行する。
【0029】
ステップ120、電子タバコは、発熱デバイスが所定の予熱温度に徐々に達するように、一定の出力パワーで所定の時間(例えば、20秒又は40秒)加熱する。
【0030】
当該所定の温度は、電子タバコ装置の喫煙過程におけるカートリッジ予熱段階である。この段階において、カートリッジは、高い温度に達してから、ベーキングを経て炭化する効果が発生し、カートリッジが煙を揮発することを実現することができる。
【0031】
ステップ130、電子タバコの電力消費を低減するように、電子タバコ装置をスリープモードに切り替える。
【0032】
ステップ140、喫煙過程中に、発熱デバイスを加熱し続けることで、それが一定の温度を保ってカートリッジを加熱する。
【0033】
ステップ140は、電子タバコ装置の喫煙段階である。喫煙段階において、カートリッジは、既に煙揮発状態にあり、一定の温度を保てば、カートリッジの持続的な煙揮発を実現し、ユーザの喫煙を保証することができる。
【0034】
ステップ150、電子タバコに対する喫煙を終了する停止命令を受信したか否かを判定する。そうでなければ、ステップ160を実行し、そうであれば、ステップ170を実行する。
【0035】
ステップ160、発熱デバイスの定温を保ち続ける。
【0036】
ステップ170、加熱を終了する。
【0037】
図1に示される加熱制御方法を使用する時、電子タバコは、予熱段階において長い時間がかかる必要があり、カートリッジは直ちに煙を揮発することができず、喫煙スイッチを起動してからユーザが喫煙して煙が出るまでの間の応答時間が長く、これは、ユーザが電子タバコを使用する時の喫煙体験にひどく影響する。電子タバコに対する喫煙体験をさらに向上させるために、本願の実施例により提供される電子タバコの制御方法を利用して、発熱デバイスの温度に微細な調整を行うことで、ユーザの喫煙体験を確保することができる。
【0038】
これに基づいて、本願の実施例は、電磁加熱ユニットがカートリッジを加熱して煙を生成するまでに必要な時間を効果的に短縮できる電子タバコの制御方法を提供する。図2を参照し、図2は、本願の実施例により提供される電子タバコの制御方法の方法フローチャートである。図2に示すように、前記方法は、以下のステップを含む。
【0039】
ステップ210、第1の段階で前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させ、前記発熱デバイスを発熱させ、温度センサが即時収集した前記発熱デバイスの温度情報を受信し、前記温度情報及び所定の予熱温度に基づき、前記発熱デバイスが予熱温度に達するように、第1のPIDアルゴリズムにより前記電磁加熱ユニットの出力パワーにフィードバック制御を行う。
【0040】
当該発熱デバイスは、予め設定された、発熱デバイスが達する必要のある予熱温度を有し、前記予熱温度は、前記カートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度よりも高い。
【0041】
当該予熱温度は、経験的な数値であり、原則的には、当該予熱温度は、カートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度よりも高い。当該予熱温度は、実際に使用されるカートリッジなどの具体的な状況に関わり、異なるタイプのカートリッジのタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度が異なるため、当該予熱温度も異なる。例えば、あるタイプのカートリッジの臨界温度が220程度である場合、当該予熱温度は、摂氏250度に設定されることができる。当業者は、実際の状況に応じて、予熱温度を設定することができ、一般的には、上記予熱温度は、摂氏200~350度に設定することが好ましい。
【0042】
当該予熱温度がカートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度よりも高いため、第1の段階において、電磁加熱ユニットは、迅速にカートリッジを加熱して煙を揮発させることができ、従来技術に比べて、予熱時間が短縮される。
【0043】
第1の段階は、発熱デバイスが迅速に加熱される段階である。発熱デバイスは、加熱時に熱量が生じる部材であり、金属シートのような熱伝導性の高い材質を選択することができる。ただし、発熱デバイスに対する加熱方式は、加熱効率に影響する要因の1つである。よって、本実施例において、前記発熱デバイスは、電磁加熱の方式で加熱され、即ち、発熱デバイスは、誘導コイルの交番磁界により渦電流発熱が発生し、当該加熱方式によれば、発熱デバイスの温度向上効率がより高くなり、予熱温度により迅速に達し、それと接触するカートリッジに煙を揮発させることができる。
【0044】
発熱デバイスを常温から短い時間内で予熱温度まで加熱するために、一般的には、第1の段階において、前記電磁加熱ユニットの出力パワーは、最大パワーである。いくつかの実施例では、誘導コイルに発生する第1の周波数の交番磁界を制御することで、電磁加熱ユニットの出力パワーを制御することができ、当該第1の周波数は、一般的に、コイルの最大周波数である。
【0045】
当該温度情報は、温度センサが収集して取得した発熱デバイスの現在の温度データである。当該温度データは、具体的には、任意の適切なタイプの温度センサにより収集して取得することができ、アナログ又はデジタル信号の形で伝送されることができる。
【0046】
本実施例において、温度センサがサンプリングして取得した温度情報及び目標予熱温度に合わせて、PIDアルゴリズムの方式で電磁加熱ユニットの出力パワーを動的に調整することにより、発熱デバイスが目標予熱温度により速く達することができる。
【0047】
ただし、予熱温度は、PIDアルゴリズムにより達する必要のある安定状態であり、絶えず入力される温度情報は、PIDアルゴリズムの入力値である。
【0048】
PIDアルゴリズムは、典型的な閉ループのフィードバック制御方法である。それは、P(比例)、I(積分)及びD(微分)の3つのパラメータを調節することで、システムの閉ループ制御を実現し、一定の安定状態に保つことができる。PIDアルゴリズムでは、3つのパラメータの異なる設定によって、PIDアルゴリズムがそれに対応する性能を有することができる。
【0049】
第1のPIDアルゴリズムは、予熱温度に達する速度(即ち、安定状態)をできるだけ高めるために採用された応答速度の速いPIDアルゴリズムであり、発熱デバイスの出力パワーにフィードバック制御を行い、速い応答速度を実現することができる。例えば、第1のPIDアルゴリズムによって、より高い比例パラメータで、発熱デバイスが高い出力パワーを使用し、常温で予熱温度に迅速に達することができるように制御することができ、本実施例において、前記第1の段階の持続時間は、3~4秒程度である。
【0050】
本実施例において、「応答速度の速いPIDアルゴリズム」のような用語を使用する場合、発熱デバイスに対して、高い出力パワーであるように制御するPIDアルゴリズムを採用することを表す。なお、本願の実施例における「速い」は、一般的なPIDアルゴリズムに対する概念である。つまり、可能であれば、基本的なPIDアルゴリズムによるフィードバック制御を満たす前提で、PIDアルゴリズムにより安定状態に達する時間をできるだけ短縮する。
【0051】
ステップ220、前記発熱デバイスが前記予熱温度よりも低い目標喫煙温度を保つように、第2の段階で前記電磁加熱ユニットの出力パワーを調整する。
【0052】
第2の段階は喫煙段階であり、即ち、加熱カートリッジが煙を揮発する温度を持続できるように、電磁加熱ユニットは、目標喫煙温度範囲内に保つ。
【0053】
喫煙段階において、発熱デバイスが通常、定温制御を採用するという制御特徴に対して、所定の予熱温度に達した後、前記電子タバコの制御方法は、第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイスが喫煙過程中に目標喫煙温度を保つように制御することをさらに含んでもよい。ただし、前記第2のPIDアルゴリズムは、応答速度の遅いPIDアルゴリズムである。前記第1のPIDアルゴリズムの応答速度は、第2のPIDアルゴリズムの応答速度よりも大きい。
【0054】
予熱温度に達した後、発熱デバイスが安定状態により速く達することは、差し迫ったニーズでなくなる。よって、予熱段階に対して応答速度の遅いPIDアルゴリズムにより、発熱デバイスが必要な安定状態(即ち、設定された温度)を維持するように保つことができる。
【0055】
本実施例において、第2の段階で、さらに、誘導コイルに第2の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御し、発熱デバイスに必要な安定状態(即ち、設定された温度)を維持させることができる。なお、予熱温度がカートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度よりも高いため、当該第2の周波数は、第1の周波数よりも小さい。
【0056】
本実施例において、より良い喫煙体験を提供するには、電子タバコの全喫煙過程を複数の段階に区画し、各段階において対応する目標喫煙温度を設定することができる。
【0057】
全喫煙過程を複数の異なる段階に断片化し、各段階の喫煙温度を細かく調整することで、ユーザがより良い喫煙体験を有することができる。なお、具体的な段階区画及び各段階において設定された喫煙温度は、個性的な又はユーザの実際の使用状況に応じて設定されたパラメータ値である。これは、大量のユーザデータを収集すること又は実験の方式によって決定可能である。具体的には設定する際に、上記目標喫煙温度は、カートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する臨界温度に近いか、又はそれよりもやや高くすることができ、また、異なる喫煙段階において、当該臨界温度を基に上下浮動することができる。
【0058】
例えば、全喫煙段階を5つの段階に区画することができ、第1の段階では摂氏220度とし、第2の段階では摂氏225度とし、第3の段階では摂氏230度とし、第4の段階では摂氏225度とし、第5の段階では摂氏220度とし、正規分布曲線の形を形成する。
【0059】
本実施例により提供される電子タバコの制御方法は、PIDアルゴリズムと電磁加熱を組み合わせた方式を採用し、発熱デバイスが予熱温度に達するまでに必要な時間が効果的に短縮され、基本的には4秒程度で達成することができ、即ち、カートリッジ内のタバコ材料が加熱されて煙を揮発する時間が短縮され、ユーザに直ちに喫煙することを実感させる。さらに、本実施例において、喫煙段階における定温制御を複数の異なる段階に断片化し、かつ、PIDアルゴリズムにより異なる段階に微細な制御を行うことで、ユーザにより良い喫煙体験を提供する。
【0060】
上記した方式の実施例に開示された出願思想に基づき、図3は、本願の実施例により提供されるPIDアルゴリズムによりデューティ比を制御することで電子タバコの制御方法を実現する具体的な例である。図3に示すように、以下のように電子タバコ加熱体に対する制御を実現することができる。
【0061】
予熱段階において、
310、ユーザからの起動命令を受信したか否かを判定し、そうであれば、ステップ320を実行し、発熱デバイスを起動し、そうでなければ、待機し続ける。
【0062】
当該起動命令は、ユーザが出した、カートリッジを加熱し、電子タバコを吸おうとする命令を指す。それは、具体的には、任意の適切なタイプの入力機器により収集することができ、キー、タッチスクリーン、ノブ又はスライドスイッチなどを含むが、これらに限定されない。
【0063】
320、温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集する。
【0064】
当該サンプリング周期は、具体的には実際の電子タバコ装置により設定され、使用要求を満たすことができればよい。勿論、より速いサンプリング周期は、通常、より良い制御精度をもたらすことができる。
【0065】
330、現在の温度情報と前記予熱温度との間の第1の差分値を計算する。本実施例において、当該予熱温度は、摂氏200~350度に設定可能である。
【0066】
340、前記第1の差分値に基づき、所定の第1のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整する。
【0067】
本実施例において、当該第1のPIDアルゴリズムにより、制御信号のデューティ比を調整することで、出力パワーに対する制御を実現し、フィードバック閉ループ調整を実現する。当該第1のPIDアルゴリズムは、応答速度の速いPIDアルゴリズムであり、より急進的な方式を採用して、電磁加熱ユニットが高出力パワーで迅速に安定状態に達するように制御する。
【0068】
350、前記制御信号を電磁加熱ユニットに出力し、電磁加熱ユニットの出力パワーを制御する。
【0069】
制御信号のデューティ比を調整することにより、電磁加熱ユニットの起動・停止時間の比例を変え、発熱デバイスが予熱温度に達するまで、電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することができる。
【0070】
喫煙段階において、
360、温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集する。同様に、段階に分けて温度制御を行うことを実現するために、発熱デバイスは、さらに喫煙段階において温度情報を持続的にサンプリングする必要がある。
【0071】
370、現在の温度情報と前記目標喫煙温度との間の第2の差分値を計算し、前記第2の差分値に基づき、所定の第2のPIDアルゴリズムにより制御信号のデューティ比を調整する。
【0072】
以上に記載されたように、各異なる段階で、いずれも対応する目標喫煙温度を設定することができ、喫煙段階に対する微細な調整が実現される。
【0073】
喫煙段階において、予熱段階と異なるPID制御ポリシーを採用する。当該第2のPIDアルゴリズムは、応答速度の遅いPIDアルゴリズムである。電磁加熱ユニットが低い出力パワーであるように制御することにより、各段階の安定状態の調節を実現する。
【0074】
380、前記制御信号を前記電磁加熱ユニットに出力し、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御する。
【0075】
上記した方式の実施例に開示された出願思想に基づき、図4は、本願の実施例により提供される電磁加熱ユニットにおける誘導コイルに第1の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、電子タバコの制御方法を実現する具体的な例である。図4に示すように、以下のように電子タバコ加熱体に対する制御を実現することができる。
【0076】
予熱段階において、
410、ユーザからの起動命令を受信したか否かを判定し、そうであれば、ステップ420を実行し、発熱デバイスを起動し、そうでなければ、待機し続ける。
【0077】
当該起動命令は、ユーザが出した、カートリッジを加熱し、電子タバコを吸おうとする命令を指す。それは、具体的には、任意の適切なタイプの入力機器により収集することができ、キー、タッチスクリーン、ノブ又はスライドスイッチなどを含むが、これらに限定されない。
【0078】
420、温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集する。
【0079】
当該サンプリング周期は、具体的には実際の電子タバコ装置により設定され、使用要求を満たすことができればよい。勿論、より速いサンプリング周期は、通常、より良い制御精度をもたらすことができる。
【0080】
430、現在の温度情報と前記予熱温度との間の第1の差分値を計算する。本実施例において、当該予熱温度は、摂氏200~350度に設定可能である。
【0081】
440、前記第1の差分値に基づき、前記誘導コイルに第1の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御する。
【0082】
制御信号のデューティ比を調整することにより、電磁加熱ユニットの起動・停止時間の比例を変え、発熱デバイスが予熱温度に達するまで、電磁加熱ユニットの出力パワーを調整することができる。
【0083】
喫煙段階において、
450、温度センサにより、所定のサンプリング周期で前記発熱デバイスの温度情報を収集する。同様に、段階に分けて温度制御を行うことを実現するために、発熱デバイスは、さらに喫煙段階において温度情報を持続的にサンプリングする必要がある。
【0084】
460、現在の温度情報と前記目標喫煙温度との間の第2の差分値を計算し、前記第2の差分値に基づき、前記誘導コイルに第2の周波数の交番磁界が発生するように制御することで、前記電磁加熱ユニットの出力パワーを制御する。
【0085】
以上に記載されたように、各異なる段階で、いずれも対応する目標喫煙温度を設定することができ、喫煙段階に対する微細な調整が実現される。喫煙段階において、電磁加熱ユニットが低い出力パワーであるように制御することにより、各段階の安定状態の調節を実現する。
【0086】
なお、図3では、PIDアルゴリズムによりデューティ比を調節することで、電磁加熱ユニットの第1の段階及び第2の段階での出力パワーを制御し、図4では、誘導コイルに異なる周波数の交番磁界が発生するように制御することで、電磁加熱ユニットの第1の段階及び第2の段階での出力パワーを制御する。上記した2つの制御方法は、単独で又は組み合わせる方式で、電磁加熱ユニットの第1の段階及び第2の段階での出力パワーを制御することができ、本実施例においてこれに対して制限しない。
【0087】
図5は、図3又は図4に示される具体的な例を適用する時に、発熱デバイスの温度の時間に伴う変化模式図である。図5に示すように、当該発熱デバイスの温度は、まず、短い時間、即ち、第1の段階で、摂氏250度の予熱温度に迅速に上昇し、カートリッジが加熱されて煙が発生し、消費者が喫煙を開始するまでの待ち時間が効果的に減少される。続いて、持続的にカートリッジを高温加熱することで焼き過ぎ又は焼き焦がしを招くという問題を回避し、かつ、煙揮発時間が長く維持されるように保つために、第2の段階で摂氏220度程度まで降下して、煙を揮発するように加熱し、基本的に当該温度を維持して煙を揮発し続ける。
【0088】
上記電子タバコの制御方法に基づき、本願の実施例は、さらに上記電子タバコの制御方法を適用した電子タバコ装置を提供する。当該電子タバコ装置は、本願の実施例により提供される制御方法に基づき、予熱温度に迅速に達するとともに、喫煙段階の断片化を実現し、ユーザにより良い喫煙体験を提供することができる。
【0089】
本願の実施例は、さらに電子タバコ装置を提供する。図6を参照し、図6は、本願の実施例により提供される電子タバコ装置の構造模式図である。当該電子タバコ装置600は、温度センサ610、コントローラ620、電磁加熱ユニット630及び電源モジュール640を備える。電磁加熱ユニット630は、誘導コイル631及び発熱デバイス632を有する。
【0090】
誘導コイル631は、発熱デバイス632の外周に巻き付けられ、誘導コイル631に通電する時、前記発熱デバイス632は加熱されて熱量を出力し、前記電子タバコ装置内に配置されているカートリッジ650を加熱し、当該カートリッジ650は、非燃焼加熱式タバコ装置によく用いられる種々のタイプのカートリッジなどであってもよい。
【0091】
前記温度センサ610は、電子タバコ装置600の適切な位置に設けることができ、前記発熱デバイス632の温度情報、つまり、当該電磁加熱ユニット630の現在の温度を検出するために用いられる。前記誘導コイル631は、加熱又は熱量を提供するコア部材であり、所定の出力パワーで発熱デバイス632を加熱するために用いられ、明らかに、出力パワーが高いほど、発熱デバイス632の温度上昇速度が速くなる。
【0092】
前記コントローラ620は、電子タバコ装置全体の制御コア部材であり、具体的にはは、論理演算を実現できる任意のタイプの電子コンピューティングプラットフォーム又は集積チップを採用して実現することができる。前記コントローラ620は、それぞれ前記温度センサ610及び電源モジュール640に接続され、電源モジュール640の両極は、誘導コイル631の両端に電気的に接続される。
【0093】
温度センサ610は、検出した発熱デバイス632の温度情報をコントローラ620に伝送し、コントローラ620は、当該温度情報及び所定の予熱温度に基づき、発熱デバイス632が前記予熱温度に達するように、第1のPIDアルゴリズムにより、前記電源モジュール640の通電時間にフィードバック制御を行うか、又は誘導コイル631に所定の周波数の磁界が発生するように制御することで、出力パワーを制御することができる。
【0094】
ただし、前記コントローラ620は、第1の段階において、第1のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイス632が前記予熱温度に達するようにフィードバック制御を行う。高パワーであるように制御することにより、発熱デバイス632が予熱温度に迅速に達し、カートリッジを加熱して煙を揮発させ、良い喫煙体験を提供することができる。
【0095】
コントローラ620は、第2の段階において、第2のPIDアルゴリズムにより、前記発熱デバイス632が目標喫煙温度に達するようにフィードバック制御を行う。本実施例において、全喫煙過程は、複数の段階に区画され、各段階は対応する目標喫煙温度を有し、定温から断片化管理に変える。採用されたのは、第1のPIDアルゴリズムと逆である制御ポリシーの制御であり、第2の段階において、発熱デバイス632が対応する目標喫煙温度を保つには、低パワーであるように制御する必要がある。
【0096】
別の実施例において、起動や停止などの機能を実現するために、前記電子タバコは、起動スイッチ(図示せず)をさらに含むことができる。
【0097】
前記起動スイッチは、前記コントローラ620に接続され、前記コントローラ620が前記起動命令に基づいて前記電磁加熱ユニットを起動して所定の出力パワーを出力させるように、ユーザからの起動命令を受信し、前記コントローラ620に前記起動命令を伝送するために用いられる。当該起動スイッチ45は、具体的には、任意の適切なタイプの入力機器により実現することができ、ボタン、ノブ、タッチキーなどを含むが、これらに限定されない。
【0098】
なお、コントローラ620は上記ステップを実行する以外、コントローラ620は、さらに電子タバコの制御方法の実施例において挙げられた他のステップも実行する。
【0099】
いくつかの実施例では、図7に示すように、コントローラ620は、1つ又は複数のプロセッサ6202及びメモリ6201を含み、図7では、1つのプロセッサ6202を例とする。
【0100】
プロセッサ6202及びメモリ6201は、バス又は他の方式を介して接続することができ、図7では、バスを介して接続することを例とする。
【0101】
メモリ6201は、非揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体として、本願の実施例におけるコントローラ620により実行されるプログラム命令/モジュールなどの非揮発性のソフトウェアプログラム、非揮発性のコンピュータ実行可能なプログラム及びモジュールを記憶するために用いられる。プロセッサ6202は、メモリ6201に記憶されている非揮発性のソフトウェアプログラム、命令及びモジュールを実行することによって、サーバの様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、即ち、上記の方法の実施例におけるコントローラ620により実行される方法を実現する。
【0102】
メモリ6201は、ストレージプログラムエリアとストレージデータエリアとを含むことができ、その中で、ストレージプログラムエリアは、オペレーティングシステム、少なくとも1つの機能に必要なアプリケーションプログラムを記憶することができ、ストレージデータエリアは、データなどを記憶することができる。また、メモリ6201は、高速ランダムアクセスメモリを含むことができ、非揮発性メモリをさらに含むことができ、例えば、少なくとも1つの磁気ディスクメモリ装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の非揮発性ソリッドステートメモリ装置である。いくつかの実施例では、メモリ6201は、プロセッサ6202に対して遠隔に設定されたメモリを選択的に含むことができる。上記のネットワークの例は、インターネット、イントラネット、ローカルエリアネットワーク、モバイル通信ネットワーク、及びその組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0103】
前記1つ又は複数のモジュールは、前記メモリ6201に記憶され、前記1つ又は複数のプロセッサ6202に実行される時、上記した任意の方法の実施例におけるコントローラ620により実行される方法を実行する。
【0104】
上記製品は、本願の実施例により提供される方法を実行することができ、方法を実行する機能モジュール及び有益な効果を有する。本実施例において詳しく記載されていない技術的詳細事項は、本願の実施例により提供される方法を参照することができる。
【0105】
本願の実施例の電子機器は様々な形態で存在し、以下のものを含むが、これらに限定されない。
(1)移動通信機器:このような機器の特徴は、移動通信機能を有し、音声、データ通信の提供を主な目標としていることである。このような端末は、スマートフォン(例えば、iPhone)、マルチメディア電話、フィーチャーフォン及びローエンド携帯電話などを含む。
(2)ウルトラモバイルパソコン機器:このような機器は、パーソナルコンピュータの範疇に属し、コンピューティング及び処理機能を有し、一般的には、モバイルインターネットアクセスの特性をも有する。このような端末は、PDA、MID及びUMPC機器などを含み、例えば、iPadが挙げられる。
(3)携帯型娯楽機器:このような機器は、マルチメディアコンテンツを表示・再生することができる。このような機器は、オーディオ・ビデオプレイヤー(例えば、iPod)、携帯型ゲーム機、電子本、インテリジェント玩具及び携帯型カーナビゲーション装置を含む。
(4)サーバ:コンピューティングサービスを提供する機器であり、サーバの構成は、プロセッサ、ハードディスク、メモリ、システムバスなどを含み、サーバは、汎用のコンピュータのフレームワークに類似するが、信頼性の高いサービスを提供する必要があるため、処理能力、安定性、信頼性、安全性、拡張性、管理可能性などの面で要求が高い。
(5)データインタラクション機能を有する他の電子装置。
【0106】
本願の実施例は、非揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供し、前記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体には、コンピュータ実行可能な命令が記憶されており、当該コンピュータ実行可能な命令は、1つ又は複数のプロセッサにより実行される時に、上記した電子タバコの制御方法の実施例におけるステップを実現する。本願の実施例は、コンピュータプログラム製品を提供し、前記コンピュータプログラム製品は、非揮発性のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムを含み、前記コンピュータプログラムは、プログラム命令を含み、前記プログラム命令がコンピュータに実行される時に、前記コンピュータに電子タバコの制御方法の実施例におけるステップを実行させる。
【0107】
なお、当業者は、本願の実施例により提供される電子タバコ装置を基に、さらに、対応する機能を実現して、異なる実際の要求を満たすように、実際の状況の要求に応じて、1つ又は複数の機能モジュールを追加又は省略することができる。
【0108】
本願の実施例により提供される電子タバコ装置は、PIDアルゴリズムと電磁加熱を組み合わせた方式を採用し、発熱デバイスが予熱温度に達するまでに必要な時間が効果的に短縮され、基本的には3~4秒程度で達成することができ、ユーザに直ちに喫煙することを実感させる。さらに、喫煙段階における定温制御を複数の異なる段階に断片化し、かつ、PIDアルゴリズムにより、異なる段階に微細な制御を行うことで、ユーザにより良い喫煙体験を提供する。
【0109】
以上に記載されている装置又は機器の実施例は、単なる例示的なものであり、前記の分離部材として説明されたユニットモジュールは、物理的に分離しているものであってもよく、そうでなくてもよく、モジュールユニットとして表示されている部材は、物理ユニットであってもよく、そうでなくてもよく、即ち、同一の位置にあってもよく、複数のネットワークモジュールユニットに分布してもよい。実際のニーズに応じて、そのうちの一部又は全部のモジュールを選択して本実施例の方案の目的を実現することができる。
【0110】
以上の実施形態の記載によれば、当業者にとって、各実施形態がソフトウェアと汎用のハードウェアプラットフォームを組み合わせた方式で実現することができ、勿論、ハードウェアによって実現してもよいことが明らかである。このような理解に基づき、上記した技術案は、実質的に又は関連技術に貢献した部分が、ソフトウェア製品の形で表すことができ、当該コンピュータソフトウェア製品は、ROM/RAM、フロッピーディスク、光学ディスクなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されることができ、コンピュータ装置(パーソナルコンピュータ、サーバ、又はネットワーク装置など)に各実施例又は実施例の一部に記載された方法を実行させるための複数の命令を含む。
【0111】
最後に、以上の実施例は、単に本願の技術案を説明するために用いられ、それを制限するものではない。本願の考え方では、以上の実施例又は異なる実施例における技術的特徴の間も、組み合わせることができ、ステップは、任意の順序で実現することができ、以上に記載された本願の異なる面の他の変形がたくさん存在し、簡潔にするために、詳細事項が提供されていない。前記実施例を参照しながら、本願を詳しく説明したが、当業者は、依然として前記各実施例に記載された技術案に修正、又はその中の一部の技術的特徴に同等の置換を行うことができ、これらの修正又は置換によって、対応する技術案の本質が本願の各実施例の技術案の範囲から逸脱することはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7