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特許7389884圧縮されたプリーツ構成のフィルタ用の固定式の剛性壁装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】圧縮されたプリーツ構成のフィルタ用の固定式の剛性壁装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/07 20060101AFI20231122BHJP
   B01D 65/10 20060101ALI20231122BHJP
   B01D 63/14 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B01D29/06 510Z
B01D65/10
B01D63/14
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022186214
(22)【出願日】2022-11-22
(62)【分割の表示】P 2020216245の分割
【原出願日】2017-08-23
(65)【公開番号】P2023029871
(43)【公開日】2023-03-07
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】62/380,747
(32)【優先日】2016-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504115013
【氏名又は名称】イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソンホワ・リウ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・リンチ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン・シルビア
(72)【発明者】
【氏名】ジョーセフ・アルマジアン
(72)【発明者】
【氏名】サルバトーレ・ジグリア
(72)【発明者】
【氏名】リュック・メシエ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-045876(JP,A)
【文献】国際公開第03/084637(WO,A1)
【文献】特表2000-517240(JP,A)
【文献】特開2007-275786(JP,A)
【文献】特表2005-508249(JP,A)
【文献】特開2000-153122(JP,A)
【文献】特開平11-239574(JP,A)
【文献】米国特許第5489352(US,A)
【文献】Brown, A I,Scale-down Prediction of Industrial Scale Pleated Membrane Cartridge Performance,Biotechnology and Bioengineering,米国,Wiley,2010年12月01日,vol.108, No.4,830-838,https://doi.org/10.1002/bit.23013
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00
B01D 29/00-96
B01D 35/00
B01D 63/14
B01D 65/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大規模濾過装置の濾過特性を再現するためのカップスタイルスケーリングツールにして、前記スケーリングツールが、表面を有するディスク形状のハウジングであって、流体入口および流体出口を有し且つシール部を収容することができる環状溝を有するハウジングと、前記流体入口および前記流体出口と流体連通し、前記の表面から軸方向に延びる楔形の膜を包含するように構成されたフィルタ受入領域とを備え、前記フィルタ受入領域は、膜の1つまたは複数のプリーツを圧縮して保持し前記大規模濾過装置の濾過性能を比例的に再現するのに有効な量だけ前記1つまたは複数のプリーツを圧縮するように構成された剛性の壁構造および切欠きを有する楔形のスロットによって画定され、楔形のプリーツ膜が、1つまたは複数のプリーツを有し且つ端部を備え、切欠きおよびフィルタ受入領域内に配置されることが可能であり、前記ディスク形状のハウジングは、さらに、前記流体入口を有するカバーと、前記流体出口および前記フィルタ受入領域を有するベース部材とを備え、前記カバーと、前記ベース部材とが併せて密封されている、カップスタイルスケーリングツール。
【請求項2】
前記プリーツ膜の前記プリーツがM字のプリーツパターンに方向付けされている、請求項1に記載のスケーリングツール。
【請求項3】
前記比例的な再現が1:1のスループットの再現である、請求項1に記載のスケーリングツール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年8月29日に出願された米国仮特許出願第62/380,747号の優先権を主張し、その開示の全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
小規模のサイズのフィルタは、プロセス流れにおける大規模フィルタの性能の初期評価をするのに、特にフルスケール運転に関する膜面積要件を推定するのに極めて有用である。線形スケールアップは、選択される装置の形式にかかわらず、濾過性能、例えば流束および容量が膜面積と共に直線的に増減することを前提としている。ただし、多くの要因がスケーリングの予測に影響を与える可能性があるため、線形スケーリングは実際には不正確なことが多い。結果として、膜性能およびプロセス条件の変動性を許容するために、大きな安全係数が典型的には使用される必要がある。
【0003】
円筒形の濾過カートリッジは、多孔質材料のプリーツ状の層を含んでいる。プリーツ様式は、例えば滅菌グレードの膜濾過用途に一般的に使用されており、高密度のプリーツの幾何学形状が比較的小型の装置の中に含まれることを可能にする様々なプリーツ構成によって可能である。しかしながら、高密度のプリーツ構成は流れを制限する問題を引き起こす可能性がある。
【0004】
プリーツの数、プリーツ間の所与の厚さおよび角度が、プリーツにどれだけの圧縮が存在するかを決定する。プリーツの密集密度が高まるにつれて、圧縮は増大し、同様に、より多くのプリーツが円筒形のカートリッジまたはフィルタハウジングに挿入されるにつれて、プリーツ間の角度は縮小する。プリーツ間の角度が縮小し、プリーツ間の圧縮が増大するにつれて、濾過特性は影響を受ける。より大きな面積のプリーツ状の濾過装置では、プリーツ間の圧縮が増大し、流束および濾過容量(これはしばしばスループット値によって測定される)などの濾過特性を変化させる。
【0005】
すなわち、プリーツ構造がより密であるほど、大きな粒子がプリーツの間を移動してプリーツ膜のより下方の領域に近づくことがより困難になる。これは、ユーザーがベンチトップから製造スケールまでのスケーリング特性を推定しようとする際、スケーリングの不正確さを引き起こす可能性がある。従来、平らなディスク状の膜(例えば、EMD Millipore社のOptiscale(R)25カプセル濾過装置)とモデリングとの組み合わせが、通常の流れ濾過大規模装置の性能を予測するために使用されている。しかしながら、特に大規模装置が高密度のプリーツ構造を有する大面積装置である場合、平らなシート状の膜単独で大規模装置の性能を予測する能力は限られている。より正確なスケーリングツールが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、大規模濾過装置のさらなる指標となる濾過特性を示し、すべての試験用の流れ(challenging streams)において大面積のプリーツ付き装置に対する正確なスケーリングを可能にするスケーリング装置を提供することが望ましいであろう。
【0007】
大規模濾過装置の性能を正確に予測するスケーリングツールの要件を決定するためのモデリング方法論を提供することも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術の問題は、小規模濾過スケーリングツールに関する、本明細書に開示された実施形態によって克服されてきた。特定の実施形態では、濾過特性を制御するために様々なスケーリングツール様式で使用することができる剛性の壁構造が設けられる。剛性の壁構造はフィルタ受入領域を画定する。いくつかの実施形態では、フィルタ受入領域は楔形である。特定の実施形態では、スケーリングツールは使い捨てであり、ツールが大規模の円筒形の濾過装置のフィルタ性能(例えば、スループット)を比例的に再現することを可能にする方向にプリーツ膜のプリーツを固定する剛性の壁構造を含む。特定の実施形態では、比例的な再現は1対1または実質的に1対1である。特定の実施形態では、ツールは、内部の剛性の壁構造と、それによって支持されたプリーツ膜とを含む使い捨て器具である。特定の実施形態では、剛性の壁構造は、試験用の流れが装置に導入される際、ツールが大規模濾過装置の性能を予測することを可能にし、そのように能力が試されたときの装置の性能に基づいてスケールアップを促進するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、スケーリングツールは、大規模濾過装置の濾過特性を再現するためのものであり、流体入口および流体出口を有するハウジングと、流体入口および流体出口と流体連通してプリーツ膜のプリーツなどのフィルタを収容するように構成されるフィルタ受入領域とを備える。フィルタ受入領域は、例えば膜の1つまたは複数のプリーツなどのフィルタを保持するように、かつ大規模濾過装置の濾過性能を比例的に再現するのに有効な量でフィルタを圧縮するように構成された剛性の壁構造によって画定される。特定の実施形態では、剛性の壁構造は、フィルタを所定の方向に保持する。いくつかの実施形態では、所定の方向は楔形である。
【0010】
いくつかの実施形態では、フィルタ受入領域の寸法は、大規模装置の構成に基づいて決定される。例えば、大規模装置におけるプリーツ膜のプリーツの数、それらのプリーツの高さ、およびその装置におけるプリーツ膜の圧縮は、既知のパラメータであり、これらを使用して、スケーリングツールで使用されるプリーツ膜のプリーツの数およびプリーツの高さに基づいて、大規模装置の性能を比例的に再現するのに必要なスケーリングツールのフィルタ受入領域の構成を決定することができる。いくつかの実施形態では、一旦大規模装置に基づいてフィルタ受入領域の理論的構成が決定されると、スケーリングツールのフィルタ受入領域のさらなる改変は、例えば従来のスケーリング装置と、大規模装置との比較から生じたデータを用いることによる大規模装置との間接的な比較によって行われてよい。スケーリングツールをOptiscale(R)-25(“OS-25”)装置(大規模装置とかねてより関係が示されていた)などの従来のスケーリングツールの性能と相関させることによりスケーリングツールの性能を大規模装置と間接的に相関させることは、それが、大規模装置を運転するために比較的大きな供給量を使用する必要性を排除するため、望ましいことである。例えば、スケーリングツールの性能は、同じロットからの膜を使用するOptiscale(R)-25(OS-25)装置などの従来のスケーリングツールの性能と比較することができる。次に、現在のスケーリングツールと、OS-25装置との性能の違いが評価される。スケーリングツールの性能がOS-25装置と異なる場合、スケーリング係数が適用される場合があり、それに応じてスケーリングツールのフィルタ受入領域の設計が改変される場合もある。例えばスケーリングツールは、スケーリングツールの性能がOS-25装置とどのくらい異なっていたかによって、フィルタ受入領域の角度を変更して膜のプリーツを多少圧縮することによって改変されてよい。現在のスケーリングツールのフィルタ受入領域の他の寸法も同様に改変することができる。
【0011】
本明細書に開示される実施形態のスケーリング装置は、100分の1から1000分の1のオーダーの大規模な装置からの縮小を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】特定の実施形態によるスケーリングツール部材の斜視図である(「パック」設計)。
図1A】特定の実施形態による、プリーツ膜と、カラーとを含む、図1のスケーリングツール部材(「パック」設計)の上面図である。
図1B】特定の実施形態による、図1のスケーリングツール部材(「パック」設計)を含むスケーリングツールのハウジングの図である。
図2図1のスケーリングツール部材(「パック」設計)の上面図である。
図3図2の線2-2に沿って取られた図1のスケーリングツール部材(「パック」設計)の断面図である。
図4図1のスケーリングツール部材(「パック」設計)の正面図である。
図5】特定の実施形態による、所定の場所のプリーツ膜を示す、スケーリングツール部材(「パック」設計)の第2の斜視図である。
図6】第1の代替の実施形態(「カップ」設計)による、所定の場所にプリーツ膜を有するスケーリングツールの一部の斜視断面図である。
図7図6のスケーリングツール(「カップ」設計)の一部の斜視図である。
図8】ツール部材への挿入前のプリーツ膜を有する図6のスケーリングツール(「カップ」設計)の部分の分解組立図であり、図14の入口カバーなしで示される図である。
図9】第2の代替実施形態(「コンパクト」設計)によるスケーリングツールの分解組立図である。
図10】組み立てられた状態の図9のスケーリングツール(「コンパクト」設計)の側面図である。
図11図10の線A-Aに沿って取られた図9のスケーリングツール(「コンパクト」設計)の断面図である。
図12】本明細書に開示される実施形態のスケーリングツールを実証するために使用される試験用の流れの粒径分布を示すグラフである。
図13】試験用の流れのスループット値を示すグラフである。
図14図6のスケーリングツール(「カップ」設計)用の入口カバーの断面図である。
図15】各種装置のスループット値を示すグラフである。
図16】特定の実施形態による10インチの大規模装置と、スケーリングツール装置(「パック」設計)の透水率/貫通スケーリング係数を比較するグラフである。
図17】特定の実施形態による10インチの大規模装置と、スケーリングツール装置(「カップ」設計)の透水率/貫通スケーリング係数を比較するグラフである。
図18】各種装置のスループット値を示すグラフである。
図19】各種装置のスループット値を示すグラフである。
図20A】特定の実施形態によるフィルタ受入領域の正面図である。
図20B】特定の実施形態によるフィルタ受入領域の斜視図である。
図20C】特定の実施形態によるフィルタ受入領域の上面図である。
図21】M字プリーツを備えたEMD Millipore Express(R)大面積大規模濾過装置の斜視図である。
図22】特定の実施形態による様々なフィルタ受入領域構成の概略図である。
図23図6から図8に示されるような(「カップ」設計)、特定の実施形態による衛生クランプ取り付け具の中に固定されて示されるスケーリングツールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書に開示されている構成要素、プロセスおよび装置のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって得ることができる。図面は、本開示を説明するための簡便さおよび容易さに基づいた概略図に過ぎず、したがって装置またはその構成要素の相対的なサイズおよび寸法を示すこと、および/または例示的実施形態の範囲を定義または制限することは意図されていない。
【0014】
明確にするために以下の説明では特定の用語が使用されているが、これらの用語は、図面に示すために選択された実施形態の特定の構造のみを指すことを意図しており、本開示の範囲を定義または限定することは意図されていない。以下の図面および以下の説明では、同様の番号指定は同様の機能の構成要素を指すことを理解されたい。
【0015】
単数形「a」、「an」、および「the」は、前後関係が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の指示対象も含める。
【0016】
本明細書で使用されているように、様々な装置および部品は他の構成要素を「含む」ように説明されることもある。本明細書で使用される用語「含む」、「含む」、「有する」、「有する」、「することができる」、「収容する」、およびその変形は、追加の要素の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語または単語であることが意図されている。
【0017】
特定の実施形態では、その性能をスケーリングツールを用いて再現することが望まれる大規模装置はプリーツ膜カートリッジである。いくつかの実施形態では、大規模装置は、EMD Millipore社から市販されているものなどの10インチの大面積のプリーツ型濾過装置である。いくつかの実施形態において、大規模装置は、MILLIPORE EXPRESS(R)大面積の商品名で販売されているEMD Millipore社から市販されているものなど、10インチの大面積のプリーツ型の円筒形濾過装置であり、この場合プリーツ膜は、M字プリーツのパターンで装置内に存在する。いくつかの実施形態では、大規模装置は、EMD Millipore社から市販されているものなど、20インチの大面積のプリーツ型濾過装置である。いくつかの実施形態では、大規模装置は、EMD Millipore社から市販されているものなど、30インチの大面積のプリーツ型濾過装置である。
【0018】
そのような装置は無菌グレードで高容量であり、従来のプリーツ型膜装置よりも約100%大きい膜面積を有する。特定の実施形態では、大規模濾過装置は、ハウジングと、流体入口と、流体入口から離間した流体出口と、コアと、ハウジング内に収容されその中で密封され、かつ入口と、出口との間に配置されることで流体入口に投入されたすべてのものは流体出口を通ってハウジングを出る前にこの膜を通って流れる必要があるプリーツ状の濾過膜とを有する濾過カートリッジである。
カートリッジは、1つまたは複数の熱可塑性樹脂またはそれらの混合物から構成されてよい。膜は、プリーツ状またはアコーディオン状の構成、あるいはらせん状のプリーツ状の構成などの様々な構成に形成することができる。
【0019】
本明細書で使用される「フィルタ」という用語は、膜、シート、フィルタ、フィルタ要素、濾過媒体およびそれらの組み合わせなどの1つまたは複数の多孔質材料を含むことができるが、それらに限定されるものではない。フィルタはプリーツが付けられる、平らである、らせん状に巻き付けられる、およびそれらの組み合わせであってよい。フィルタは単層または多層膜装置であってよく、感染性生物およびウイルスのような汚染物質、ならびにサイズ排除および化学的または物理的吸着によって除去され得る環境有害物質および汚染物を含む望ましくない物質の濾過のために使用されてよい。フィルタ材料は、限定するものではないが、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、例えば、ナイロン、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、フルオロカーボン、例えばポリ(テトラフルオロエチレン-コ-パーフルオル(アルキルビニルエーテル))、ポリカーボネート、ポリエチレン、ガラス繊維、ポリカーボネート、セラミック、および金属を含む任意の好適な材料で構成されてよい。
【0020】
濾過装置は、その構造的な剛性を維持するために、不織布または織布の支持材料によって支持された1層のフィルタ材料であってよい。装置内のフィルタ材料は、その構造的剛性を維持するために、不織布または織布の支持材料によって支持された二層の場合もある。装置内のフィルタ材料は、その構造的剛性を維持するために、不織布または織布の支持材料によって支持された三層の場合もある。カートリッジ装置におけるフィルタ材料のための支持材料は、頂部若しくは底部、または頂部と底部の両方および/または中間にあるフィルタ媒体のいずれかに織り込まれる、または織り込まれない場合もある。
【0021】
フィルタ材料は、これに限定されるものではないが、浸漬沈殿、熱誘起相分離、酸/アルカリ浸出、エレクトロスピニング、エレクトロブローなどの当技術分野において公知の方法によって形成された多孔質構造の中にあってよい。フィルタ媒体は、繊維状のマットの形態、またはMillipore Express(R)およびMillipore Durapore(R)膜に見られるものなどの伝統的な多孔質構造の場合がある。
【0022】
図1図5は、大規模装置の濾過性能を厳密に再現するためにスケーリングツール(「パック」設計)に適切なフィルタ受入領域を組み込むことを可能にする実施形態を示す。プリーツ膜ユニットを保持するためのフィルタ受入領域は、底部、高さ(または壁の高さ)、壁の角度および長さによって規定される。規定される各部分は、楔形が模倣するように設計される大規模装置から計算することができる。これは図20に描かれている。底面は、フィルタ受入領域の下流側(小さい方の側)である。底面の寸法は、模倣される大規模カートリッジの寸法によって規定され、計算される。底面はコアの円周に比例する。底面はカートリッジのコアの円周をコアに接触するプリーツの数で割ったものに等しい。その後、その値にスケーリングツールで必要なプリーツ数を掛ける。フィルタ受入領域の高さは、模倣されるカートリッジのプリーツの高さによって規定される。フィルタ受入領域の高さは、模倣されるカートリッジのプリーツの高さに等しい、またはそれを超える場合もある。側壁の角度は、円形カートリッジ全体のプリーツの数に対するスケーリングツールのプリーツの数に比例する。底面の幅の既知の距離および(隣接するプリーツ中心間の)既知の角度およびプリーツの高さ(図20A)を用いて、非対称の台形が導き出される。この角度は、フィルタ受入領域の壁の傾斜を設定するのに使用される。設計された幾何学的形状によって規定される圧縮を提供するために、壁が剛性材料から作られることも重要である。プリーツの数に加えて、フィルタ受入領域の長さ(図20C)を、目標とする有効濾過面積(EFA)を達成するように操作することができる。上記の特性のすべては、スケーリングツール装置内での所望される濾過特性を調整するために改変することができる。改変には、限定されるものではないが、フィルタ受入領域の壁幾何学形状が含まれる。例えば、壁の幾何学的形状は、図22に例示されるように、直線である、湾曲される、対称的である、またはそうではない場合もあるオフセット領域を有する場合がある。
【0023】
図1図5では、流体出口(図示せず)と連通するように構成された内部孔12を含むドーナツ形の部材10が示されている。いくつかの実施形態では、部材10は、内側の環状の剛性の無孔性の壁18と、外側の環状の剛性の無孔性の壁16とによって画定される。特定の実施形態では、スロット19の場所を除いて、内壁18と、外壁16との間の空間は、中実であり得るか、または寸法安定性を提供するために離間した半径方向のリブを含む場合もある。内側および外側の環状の剛性の非孔性の壁18、16は、孔12から外壁16を通り抜けて半径方向外向きに延びるスロット19によって形成された不連続の領域を有する。特定の実施形態では、スロット19の幅が内側の環状壁18で最小となり、外側の環状壁16で最大となるように、スロット19は半径方向外側に進むにつれて外側に先細になる。スロット19は、このように楔形であり、プリーツ膜20(図1A)のプリーツを収容するように構成されたフィルタ受入領域15を画定する。重要なのは、ドーナツ型部材10のこのフィルタ受入領域15の機能であり、ドーナツ型部材10の残りの構成は重要ではなく、適切なスケーリングツールの中に収容され、フィルタ受入領域15内に位置決めされたプリーツ膜を通り抜ける流体流れを可能にするように主として設計されている。底面の幅と、既知の壁の角度とを有するフィルタ受入領域15は、大規模カートリッジに見られるプリーツの圧縮を模倣するための最小ユニットを提供する。フィルタ受入領域15の適切な壁の角度θは、模倣される大規模装置におけるプリーツ膜の圧縮に応じて、8°および9°を含む。同様に、楔の半径方向の長さは、模倣される大規模装置内のプリーツ膜の高さに応じて変えることができる。したがって、プリーツ膜20は、内壁16と、外壁18との間に位置決めされ、部材10の外側から孔12に流れる流体を濾過する。プリーツ膜20は、生産用または大規模なプリーツ膜よりも小さい有効膜面積を有する。
【0024】
特定の実施形態では、スロット19の半径方向外側部分の近くの外側の環状壁16の外面は、図示のように切欠き22を含む。これにより、図1Aに示すように、プリーツ膜20をスロット19に挿入し易くし、ひとたび挿入されるとプリーツ膜20の端部を密封し易くする。好適な密封剤は特に限定されず、エポキシ樹脂、シリコーン、アクリルおよびウレタンを含む。さらに、熱接着を利用してフィルタを固定することができる。図1Aは、所定の位置にあり、フィルタ受入領域15内に密封されたプリーツ膜20を有するドーナツ形の部材10を示す。図示の実施形態では、図示のように、複数の離間された半径方向のリブ24A~24Nが内側の剛性の環状壁18から外側の環状壁16まで延びている。いくつかの実施形態では、中実の床26によって図1Aに見ることができるリブから隔てられたドーナツ形の部材の反対側に、同様のパターンのリブが設けられる。リブは、ドーナツ形の部材10を補強し、寸法安定性を提供するように作用する。図1Aおよび図5は、ドーナツ形の部材10を囲む環状カラー29も示しており、環状カラー29には、流体がツール内に流れ込み、フィルタ受入領域15内にあるプリーツ膜20に接触することを可能にするためのスロットなどの1つまたは複数の開口部30が形成される。
【0025】
図1Aおよび図5はまた、切欠き22および環状カラー29の内壁内に嵌合するインサート28も示す。特定の実施形態では、インサート28は、カラー29のスロットまたは開口部30からフィルタ受入領域15へ流体が流れることを可能にするための開口部またはスロット(図示せず)を有する。インサート28は、フィルタ受入領域15をカラー29に対して適切な位置に保持するのを助長するのに役立つ。
【0026】
いくつかの実施形態では、プリーツ膜20に適したフィルタ材料としては、EMD Millipore社から市販されているDurapore(R)、Virosolve(R)NFP、Virosolve(R)NFR、およびMilligard(R)セルロース媒体などの精密濾過、ナノ濾過または限外濾過に適した膜フィルタが挙げられる。いくつかの実施形態では、プリーツ膜20のプリーツは、「M」字形のプリーツパターンに折り畳まれてもよい。
【0027】
ドーナツ形の部材10は、端部キャップ35A、35Bなどに取り付けられて、図1Bに示されるようなスケーリングツールハウジング36を形成するように構成される。スケーリングツールのための構成材料は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリカーボネートおよび他の熱可塑性物質または熱硬化性ポリマーのような、濾過中に使用される流体と有害に干渉しないものを含む。
【0028】
図6図7図8および図14は、フィルタ受入領域を組み込んで大規模装置の濾過性能を厳密に再現するスケーリングツールを提供することができる別の装置(「カップ」設計)を示す。図示の実施形態では、スケーリングツール10’は、軸方向に延在するスロット19’を含み、出口部材41と流体連通するフィルタ受入領域15’を画定するディスク形状の面40を有する。環状溝17が、Oリング等を収容するために外周縁部のちょうど半径方向内側で面40に形成されることで、頂部ハウジングまたはカバー90(図14)を面40に対して密閉することができ、このカバーもまた、Oリングを収容するために環状溝17と整列する対応する環状溝17’を有する。例えばTri-Clamp(R)取り付け具(図23)のような衛生クランプ取り付け具85を使用して、組立体を固定することができる(図14図7、および図23)。科学産業で広く使用されている1.5インチのTri-Clamp接続は、使い易さと、図23に示されるようにスケーリングツールをその供給流に取り付ける多数の顧客の接続可能性を考慮している。図14に示す一般的なスケーリングツールカバーは、試験に容易に採用できるように入口および通気口を有するように設計されている。特定の実施形態では、カバー90は、組み立てられた状態にあるときにフィルタ受入領域15’と流体連通する1つまたは複数の流体入口91、92(1つまたは複数の通気口であり得る)を有する。いくつかの実施形態では、スロット19’の開口部を囲むのは、プリーツ膜の端部を収容するように構成された切欠き42である。切欠き42は、その中にプリーツ膜20を挿入してそれを定位置に固定するのを助けることができるより深いスリット43A、43Bを含むことができる。プリーツ膜のプリーツまたは折畳みは、図6に最もよく見られるように、フィルタ受入領域15’に挿入され、プリーツ膜20の端部は、適切な接着剤で切欠き42に接着され得る。スロット19’の構成は、スケーリングツール10’が大規模な濾過装置を再現するように、プリーツ膜20を適切に方向づけし、圧縮する。スケーリングツールのための構成材料は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリカーボネートおよび他の熱可塑性物質または熱硬化性ポリマーのような、濾過中に使用される流体と有害に干渉しないものを含む。
【0029】
図9図11は、フィルタ受入領域を組み込んで大規模装置の濾過性能を厳密に再現するスケーリングツールを提供することができる別の装置(コンパクトな設計)を示す。図示の実施形態では、フィルタ受入領域15”は、第1および第2の圧縮部材60、61によって形成されている。第1および第2の圧縮部材60、61は協働してフィルタ受入領域15’’を形成するように成形されている。いくつかの実施形態では、第1の圧縮部材60はほぼ弓形であり、その軸方向の長さに沿って台形の切欠き領域70を含む。1つまたは複数の開口部72を第1の圧縮部材60に配置し得ることで、流体入口取り付け具73と、フィルタ受入領域15”との間に流体連通を実現することができる。いくつかの実施形態では、第2の圧縮部材61もまたほぼ弓形であり、軸方向に延びる楔形の切欠きとして形成されたフィルタ受入領域15”を含む。1つまたは複数の開口部(図示せず)が第2の圧縮部材61に配置されることで、流体出口取り付け具74(および/または通気孔)と、フィルタ受入領域15”との間に流体連通を実現することができる。特定の実施形態において、プリーツ膜20のプリーツは、プリーツ膜20の翼部または端部20A、20Bが第2の圧縮部材61の三角形の耳部材61A、61Bの上に折り畳まれ、第2の圧縮部材61のほぼ平坦な領域61C、61Dの上に延在している状態で、フィルタ受入領域15”に挿入させることができる。プリーツ膜20がそのように配置されると、第1の圧縮部材60を第2の圧縮部材61と整列させ、第1の圧縮部材60と、第2の圧縮部材61との間にプリーツ膜20の端部20A、20Bを挟み、プリーツ膜20をフィルタ受入領域15”内に固定することができる。いくつかの実施形態では、第1の圧縮部材60および第2の圧縮部材61と、フィルタ受入領域15”に収容されたプリーツ膜との組立体は、しっかりと収容するのに十分な内径の内部孔81を含む中空の円筒形のカラー80で固定することができる。端部キャップ82などをカラー80内に密封させることができる。カラー80は、ツールを通る流体の流れを可能にするために、第1および第2の圧縮部材のそれぞれの開口部と整列する開口部83A、83Bを含み得る。スケーリングツールのための構成材料は、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリスルホン、ポリカーボネートおよび他の熱可塑性物質または熱硬化性ポリマーのような、濾過中に使用される流体と有害に干渉しないものを含む。
【0030】
プリーツの高さ、フィルタ受入領域の角度および底面の幅を変更することにより、小規模装置を任意の特定のプリーツ構成の大規模装置に合わせてスケール変更することができる。例えば、以下に例証されるような大面積製品に対するスケーリングに加えて、高プリーツ密度装置であるEMD Millipore社のDurapore II(ポリフッ化ビニリデン、PVDF)もまた、Soy Tおよび水などの異なる流れにおいて、OS-25のようなフラットシートメンブレン装置を使用して同様の濾過スケーリング現象を有することが知られている。OS-25フラットシートメンブレン装置が正確にスケーリングできない流れにおける高密度のプリーツの大規模装置でもあるDurapore IIに対しても、改変を伴っている現在のスケーリングツール設計は正確なスケールである。
【0031】
(例1)
フィルタ受入領域の構成の理論的決定
例示的な従来の大規模濾過装置100を図21に示す。大型装置用スリーブ101の内径(ID)は2.62インチである。大規模装置のコア102の外径(OD)は1.35インチである。大規模装置100には合計159個のメンブレンプリーツがある。プリーツの全高(標準的なプリーツ)は0.63インチである。これより短いM字パターンのプリーツは標準プリーツの高さの60%である。標準プリーツと、M字プリーツとの比は2:1である。合計52個の短いプリーツ(M字プリーツ)と、107個の標準プリーツがある。
【0032】
構築されるべきスケーリングツールは、1つのM字パターンのプリーツと、2つの標準プリーツとを含む合計3つのプリーツを有することになる。これに基づいて、フィルタ受入領域のための理論的設計は以下の通りである。
【0033】
壁の角度は360°/159*3=6.8°である。
【0034】
大規模装置においてプリーツが占める底面の長さは2πr/(プリーツ数)であり、1.35π/159である。スケーリングツールには合計3つのプリーツがあるので、スケーリングツールの底面の長さ(B)は1.35π/159*3=0.08インチである。
【0035】
濾過受入領域の高さ(H)は、大規模装置100のプリーツの全高に一致するように0.63インチである。
【0036】
濾過受入領域の幅(L)は、スケールダウン膜面積要件に応じて、「1/2~1インチ」になるように選択される。その目的は、スケーリング装置内の膜面積を最小限に抑える一方で、スケーリングツールの供給量も最小限に抑え、さらに正確な濾過性能データを生成するのに十分な膜面積および供給量をなおも有することである。したがって、スケーリングツールの濾過受入領域のこのような寸法は、使用される供給量に基づいて適切な有効膜面積を達成するために当業者によって改変することができる。
【0037】
結果として得られる理論的設計構成は基準ラインであり、大規模装置100の濾過性能(例えば、スループット)に比例する濾過性能を生み出すであろう。いくつかの実施形態において、その割合は、1対1または実質的に1対1である。他の実施形態では、その比率は1対1以外であり、実際のスケーリング試験に基づいてフィルタ受入領域の設計を改変するためにスケーリング係数を適用することができる。
【0038】
理論的には、スケーリングツールが適切な水のスケーリングを提供する場合、このときスケーリングツールは試験用の流れに対しても正確にスケール変更すべきである。この理論は、様々なプロセス流れの適応性を保証するために適切な水のスケーリングが達成された後にテストされた。スケーリングツールの異なる実施形態はそれぞれ、異なるフィルタ受入領域角度を表すことができるが、スケーリングの場合、それらは透水性に関しては単一に近づく。
【0039】
(例2)
フィルタ受入領域の角度に対する膜の切断および挿入の実証
完全な10インチのMillipore Express(R)High Area SHC装置を外側スリーブから取り外し、超音波パックカッターの中に入れた。超音波ブレードがパックを所望の断面に切断する間、パックカッターはプリーツ膜を回転させた。典型的に1/2から1インチの幅を有する断面は、スケーリングツールに関する所定の場所に濾過領域を固定するために使用された翼部を使用して単一のM字プリーツを手動で切断することによってさらに縮小された。プリーツ膜は手で所定の場所に位置決めされ、中心に配置され、完全に挿入されることを保証する。
【0040】
この単一のM字プリーツは、スケーリングの目的で楔の角度の概念と共にスケーリングツールの設計を通して使用された。説明されたフィルタ受入領域、例えば楔は、先に説明されたようにパック、カップおよびコンパクトな設計で構築された。各設計は、剛性の壁のフィルタ受入領域内にプリーツを固定するわずかに異なる方法を使用した。装置の設計にかかわらず、フィルタ受入領域が濾過性能の推進体であることが実証されている。
【0041】
(例3)
図1の実施形態における剛性の楔の組み立て(パック設計)
図1のスケーリングツール部材に挿入する前に、プリーツ翼部を端部で継ぎ合わせて膜層を互いに結合し、その後で部材10のフィルタ受入領域15に挿入した。底面にプリーツが付けられた膜の翼部は、シリコーン密封材を介して部材10に接着された。確実な嵌合を保証にするために、プラスチックインサート28も翼部の頂部に接着された。端部キャップの目的で、プラスチックカラー29が部材10の外側に配置された。次いで、プリーツの頂部および底部が、装置を所定の位置に保持するためにカスタマイズされた固定具を使用して標準的なエンドキャッピングプロセスによって密封された。部材10の頂部および底部のリブは、接着強度および端部キャップの一体性を助けるように機能した。
【0042】
(例4)
図6の実施形態における剛性の楔形の組み立て(カップ設計)
プリーツ膜を図6のスケーリングツール10’に挿入した状態で、膜が中心に置かれ、フィルタ受入領域15”内に完全に押し込まれた。プリーツは、二液型樹脂接着剤を介してツール10’に固定された。樹脂は最初に平坦な先端のシリンジの中に投与された。シリンジは、プリーツ膜の両側にある空隙に底部からいっぱいになるまで一定量が供給された。次に、楔の隆起部に沿って樹脂のビードを分配することによって翼部が密封された。ツール接続は、より簡単に使用できるように標準の1.5インチTC接続であった。
【0043】
(例5)
図9の実施形態における剛性の楔の組み立て(コンパクト設計)
図9の装置の実施形態は、3つの部分から構成されており、すなわち第2の圧縮部材61におけるフィルタ受入領域であるコア部分と、プリーツ膜20の翼部を締め付けてプリーツの周りの流れを防ぐ働きをする第1の圧縮部材60と、第1の圧縮部材60と第2の圧縮部材61との間の圧縮および装置全体の一体性を維持するカラー80である。カラー80は装置の入口および出口としても機能した。
【0044】
例1に説明したように、M字-プリーツの1つの繰り返し単位をMillipore Express(R)High Area SHCプリーツ型カートリッジから取り出した。フィルタ受入領域15”の長さに合わせるために、M字プリーツを1インチの長さに切断した。このプリーツは、第1の圧縮部材60と、第2の圧縮部材61との間に配置された。翼部に樹脂を塗布してプリーツの翼部の密封を補助した。
【0045】
第1の圧縮部材60および第2の圧縮部材61がプリーツを被包するとき、それらはカラー80内に挿入された。次いで、ドクターブレード法を用いて、均一で既知の厚さの樹脂をフィルム上に塗布した。次いで、装置を樹脂の中に入れてプリーツの縁を密封/ポッティングした。次に装置を硬化させた。
【0046】
(例6)
試験用の流れの研究
この研究では3つの試験用の流れが使用され、それらは以下の表1に列挙されている。これらの流れは、小、中、および大の粒径および粒径分布を表した。これらの流れの粒度分布は図12にグラフ化されている。プロセス条件で約30分以内、試験用流れを濃縮して高度の目詰まり(<1000リットル/m2の濾液で>90%の流束の減衰)を達成した。
【0047】
表1-スループット試験のための試験用流れのリスト
【0048】
【表1】
【0049】
それらの構成要素は、2016年5月のwww.emdmillipore.comに掲載されている、アプリケーションノート「High-Area Millipore Express(R)カートリッジフィルタの性能」に開示されており、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0050】
試験方法:OptiScale(R)25および10インチ大面積装置。
【0051】
すべてのスケールアップ試験は、同じロットからの膜を含む対応する10インチカートリッジと同時にテストされたOptiScale(R)25カプセル(3.5cmのEFA)を使用して行われた。カートリッジは、直径1.5インチの入口および出口衛生取り付け具を有するMilliporeシリーズ3000シングルラウンドインラインステンレス鋼ハウジング(EMD Millipore社、ビルリカ、マサチューセッツ州)内に設置された。得られた5つの25mmサンプルが各10インチカートリッジについてテストされた。
【0052】
すべての浄水透過性試験に対して逆浸透精製水が使用された。25mmディスクおよび10インチカートリッジの両方とも、行き止まり(ノーマルフロー)構成で約21~25℃、69kPadの浄水透過性について最初にテストされた。すべての透過率値は23℃に調整された。
【0053】
Micro Motion Fシリーズのコリオリ流量計を使用して、10インチのサブ組立体の水流量が測定された。25mmディスクについては、ロードセル(Tedea Huntleigh社:ペンシルバニア州マルバーンのVishay Measurements Group、0.5kg)を使用して、透過水の蓄積を経時的に記録した。25mmと、10インチの両方のサブ組立体試験に関して、水温は、Andersonインライン温度トランスミッタを使用して測定され、供給と透過の圧力差は、0~344.7kPadの差圧トランスデューサを使用して(Cole Parmer社、バーノンヒルズ、ニュージャージー州)測定された。すべての機器は10秒間隔でデータを記録するデータ収集システムに接続された。透水性の試験は、本質的に定常状態の流動条件が達成されるまで、典型的には5分以内に行われた。
【0054】
目詰まり溶液を伴うスループット試験は、行き止まりモードにおいて、69±7kPadの一定の圧力差で行われた。25mmディスクおよび10インチカートリッジについて、水の流量の濾過液量の測定に使用したものと同じ機器を使用して、試験用流れの流量および濾過液量を測定した。データ取得システムを使用して、供給と透過の圧力差、温度、および経時的な累積した透過物量データが収集された。試験は、膜透過性が清浄水透過性と比較して少なくとも95%減少するまで行われた。このレベルの目詰まりは、通常、説明された作動条件で約30~45分以内に達成された。
【0055】
ケーキング現象(caking phenomenon)を持たない中~高程度の目詰まり流れでは、OS-25と、装置の比率はおおよそ1を達成するが、ケーキングを生じる流れのスループット値は、OS-25カプセルと、大面積装置との間で相違する。SHC-HAの各々の流れの結果を図13に示すことができる。このケーキング現象は、OS-25スケーリングカプセルと、大面積装置との間で異なるスループット結果を生み出す。図15に見られるように、Millipore Express(R)High Area SHCに見られる圧縮は、OS-25カプセルと比較した場合、予想されるスループット値より低い値を提示する。
【0056】
透過性およびスループット試験の後、各10インチカートリッジのEFAは、カートリッジを分解し、プリーツパックを広げ、そして濾過に利用可能な表面積を測定することにより検証された。
【0057】
膜および装置の種類のそれぞれについての透水性のデータが表2に要約される。
【0058】
表2 透水性に関するカートリッジとディスクのスケーリング係数
【0059】
【表2】
【0060】
SHC-HAに関する透水性のスケーリング係数は、OS-25と比較しておおよそ0.5である。
【0061】
テスト方法:OptiScale25およびスケーリングツール
大規模スループットデータはその後、スケーリングツール装置をOS-25カプセルと一致させてテストする際、比較の目的で使用された。スケーリングツールが成功すれば、OS-25と10インチの大面積装置の透水性およびスループット値と同様の比率を提供するはずである。
【0062】
すべての試験は、同じロットからの膜を使用するスケーリングツールを備えたマニホールド上で同時にテストされたOptiScale(R)25カプセル(3.5cmのEFA)を使用して実施された。図1の実施形態のスケーリングツールをが、直径1.5インチの入口および出口衛生取り付け具を有するMilliporeシリーズ3000シングルラウンドインラインステンレス鋼ハウジング(EMD Millipore社、ビルリカ、マサチューセッツ州)の中に設置された。図6の実施形態のスケーリングツールは、試験用マニホールドに取り付けるためにガスケットおよびクランプを備えた直径8ミリメートルから1.5インチのアダプタを利用した。図9の実施形態のスケーリングツールは自己完結型であり、マニホールドに固定するためにルアーロックを利用していた。
【0063】
OS-25ディスクおよびスケーリングツールについては、ロードセル(Sentray、サンタアナ、カリフォルニア州)を使用して浸透水の蓄積を経時的に記録した。水温はAndersonインライン温度トランスミッタを用いて測定され、供給と透過の圧力差はAndersonインライン温度を用いて測定され、供給と透過の圧力差は25mmと、スケーリングツールテストの両方に関して0~344.7kpad差動圧力変換器を用いて測定された。すべての機器は10秒間隔でデータを記録するデータ収集システムに接続された。透水性の試験は、本質的に定常状態の流動状態が達成されるまで、典型的には10分以内に行われた。
【0064】
目詰まり溶液を含むスループット試験は、行き止まりモードで、10psiの一定の圧力差で行われた。水流速度の濾液体積の測定に使用されたのと同じ機器が、25mmディスクおよびスケーリングツール装置のための試験用流れの流速および濾液体積の測定に使用された。データ収集システムを使用して、供給と透過の圧力差、温度、および経時的な累積した透過物量データが収集された。試験は、膜透過性が清浄水透過性と比較して少なくとも95%減少するまで行われた。このレベルの目詰まりは、通常、説明された作動条件で約30~45分以内に達成された。
【0065】
図1および図6の実施形態の両スケーリングツールは、図16および図17に示すように、透水性および3つの異なる媒体の流れスループットにおいて正確にスケーリングすることができた。
【0066】
試験方法:スケーリングツールと10インチ装置
OS-25と10インチの大面積カートリッジを比較し、それらの比率をOS-25のものおよびスケーリングツールのものと相関させる透水性およびスループットデータが与えられることで、スケーリングツールの10インチ大面積装置への適切なスケーリングの明確な指標を与えるはずである。上述の課された流れを使用する10インチの大面積装置のための既に予定された適用作業のために、これは、スケーリングツールを完全な10インチのカートリッジと直接比較する機会を提供した。我々の試験では、テストされた10インチカートリッジと同じロットからの膜を用いて図6の実施形態が選択された。
【0067】
この実験の試験方法は、OS-25カプセルと同じマニホールド内に配置された図6の実施形態の2つのスケーリングツールを用いて、「試験方法:OptiScale25および10インチ大面積装置」で上述したものと同じ設定を用いて行われた。
【0068】
3つの試験用流れのうちの1つは、使用中のすべての3つの装置によってテストされた。以下の表は、EMD Soyスループット試験の同じロットのSHC膜を使用した3つの装置すべて(10インチカートリッジ、OS-25およびスケーリングツール)を表している(表3を参照)。
【0069】
表3:EMD Soyスケーリング(2g/L):SHC
【0070】
【表3】
【0071】
次に、Optiscale(R)25、図6の実施形態および大規模大面積装置についての上記の生データを比較して、スケーリング精度を決定した。先のセクションで見られるように、単位面積あたりの10インチの大面積カートリッジと、OS-25装置間のスケーリングは、水中ではおおよそ半分であった。このカートリッジを図6のスケーリングツールと比較すると、5%以内の透水率値が示される。EMD Soyは、OS-25は99%の精度でこのケースではフルSHCカートリッジに適切にスケール変更された非ケーキング流れである。図6のスケーリングツールと、フルSHCカートリッジとの比較もまた、99%の精度内のスケーリングを示している。これらのデータは、(表4に見られるように)透水性およびEMD Soyスループット試験の両方における線形のスケーラビリティのために、大面積用途においてOS-25のものより優れたスケーリング特性を提供するものとして図6のスケーリングツールを指している。
【0072】
表4:EMD Soyスケーリング(2g/L)のスケーリング係数:SHC
【0073】
【表4】
【0074】
OS-25、スケーリングツールおよび10インチの大面積装置のスループット値の代替の描写は、図18および図19に見られる。図18から、グラフは各装置のスループット対時間を示しており、スケーリングツールおよびカートリッジは実験を通してほぼ同一のスループット傾向をたどるのに対して、OS-25はカートリッジから分岐しているが、工程の終わりには統合を達成している。図19は、OS-25における不規則性と、カートリッジの絶対的な流束の減衰とを比較した、スケーリングツールのカートリッジに対する線形スケーリングを再度示す、時間ゼロから行程の終わりまでの絶対的な流束の減衰の傾向を示す。
【0075】
本明細書では様々な態様および実施形態が開示されているが、他の態様、実施形態、改変形態および代替形態は、前述の詳細な説明を読み理解することによって当業者には明らかとなろう。本明細書に開示されている様々な態様および実施形態は、例示を目的としており、限定を意図するものではない。本開示は、添付の特許請求の範囲またはその均等物の範囲内に入る限り、そのような態様、実施形態、改変形態および変更形態のすべてを含むと解釈されることが意図されている。
図1
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23