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特許7389887シート状物の搬送装置および同搬送装置を備えた使い捨て着用物品の製造システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】シート状物の搬送装置および同搬送装置を備えた使い捨て着用物品の製造システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20231122BHJP
   B65G 47/244 20060101ALI20231122BHJP
   A61F 13/15 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
B65G54/02
B65G47/244
A61F13/15 371
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022503221
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2021004302
(87)【国際公開番号】W WO2021171963
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】P 2020034483
(32)【優先日】2020-02-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591040708
【氏名又は名称】株式会社瑞光
(74)【代理人】
【識別番号】110001265
【氏名又は名称】弁理士法人山村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八木 浩晃
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幸彦
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-011048(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0331888(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
B65G54/02
B65H5/04
B65G47/244
H02P25/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状に配置されたレール部Rと、
複数の走行子10と、
前記レール部Rに沿って前記複数の走行子10を周回させるリニアモータMと、
前記複数の走行子10の各々に取り付けられるパッド1とを備え、
シート状物Wを前記パッド1上に保持しながら少なくとも1つの水平面Pにおいて周回して前記シート状物Wを搬送するシート状物の搬送装置100であって、
前記各パッド1は前記1つの水平面Pに直交する軸線Lのまわりに回転して姿勢変更できるように前記走行子10に取り付けられており、
前記走行子10が加減速されるのに伴い前記パッド1に前記軸線Lのまわりに慣性力が作用して前記パッド1が前記軸線Lのまわりに旋回するように、前記パッド1の重心が前記軸線Lから離れた位置に設定されている、シート状物の搬送装置100。
【請求項2】
請求項1において、
前記走行子10の走行を制御するコントローラCを更に備え、
前記レール部R上には、加速区間S1と、前記加速区間S1の下流側で当該加速区間S1と隣り合う高速区間S2と、前記高速区間S2の下流側で当該高速区間S2と隣り合う減速区間S3と、前記減速区間S3の下流側で当該減速区間S3と隣り合う低速区間S4とが設けられ、
前記コントローラCは、
前記加速区間S1において前記走行子10を加速させ、
前記高速区間S2において前記走行子10を一定の高速度で走行させ、
前記減速区間S3において前記走行子10を減速させ、
前記低速区間S4において前記走行子10を一定の低速度で走行させるように速度制御を行う、シート状物の搬送装置100。
【請求項3】
請求項2において、
第1ロール21と第2ロール22とを更に備え、
前記第1ロール21は、前記シート状物Wを保持した状態で前記シート状物Wを介して前記パッド1の保持面1Fに接して前記シート状物Wを前記保持面1Fに配置し、
前記第2ロール22は、前記パッド1上の前記シート状物Wを介して前記保持面1Fに接して前記シート状物Wを前記保持面1Fから受け取るシート状物の搬送装置100。
【請求項4】
請求項3において、
前記高速区間S2において、前記第1ロール21が前記シート状物Wを前記保持面1Fに配置し、
前記低速区間S4において、前記第2ロール22が前記シート状物Wを前記保持面1Fから受け取るように構成されている、シート状物の搬送装置100。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項において、
前記パッド1の姿勢を前記周回に伴って変更制御するループ状のガイド31と、
前記ガイド31に案内される被案内部32とを更に備える、シート状物の搬送装置100。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項において、
前記ループ状のレール部Rは、互いに平行で、かつ、搬送方向が同一の第1位置Q1および第2位置Q2において、前記シート状物Wの受け渡しが可能に設定されている、シート状物の搬送装置100。
【請求項7】
請求項3~4のいずれか1項のシート状物の搬送装置100を備えた使い捨て着用物品の製造システムであって、
鉛直面に沿って立設された多数のパネル40で構成されたパネル群を有し、前記パネル群のうち1以上のパネル40が前記第1ロール21および前記第2ロール22を支持し、
前記パネル群に設けられた開口42を前記パッド1が通り抜けるように前記レール部Rが前記パネル群の正面側および背面側にわたって設けられている、使い捨て着用物品の製造システム200。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状物を搬送する搬送装置および同搬送装置を備えた使い捨て着用物品の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の搬送装置として、リニアモータを用いたものは公知である(特許文献1)。この従来の搬送装置は、ループ状のレール部に沿って水平軸線のまわりに周回する走行子と、この走行子の外周側に設けられたパッドとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】WO2017/158572A1(要約)
【発明の概要】
【0004】
しかし、前記先行技術では、パッドがレール部に沿って1周する間に当該パッドの位置が鉛直方向に移動する。そのため、レール部の上り部分においてリニアモータに大きな負荷がかかる。
また、水平軸線のまわりに走行子が周回するようにレール部が構成されており、そのため、レール部が高さ方向に大型化し易い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、リニアモータにかかる負荷を抑制でき、かつ、高さ方向(鉛直方向)に小型化できる、シート状物の搬送装置を提供することである。
【0006】
本発明のシート状物の搬送装置100は、ループ状に配置されたレール部Rと、複数の走行子10と、前記レール部Rに沿って前記複数の走行子10を周回させるリニアモータMと、前記複数の走行子10の各々に取り付けられるパッド1とを備え、シート状物Wを前記パッド1上に保持しながら少なくとも1つの水平面Pにおいて周回して前記シート状物Wを搬送する。
【0007】
本発明によれば、シート状物を搬送するパッドは、少なくとも1つの水平面において周回する。そのため、パッドが高さ方向(鉛直方向)に上がることがなく、リニアモータにかかる負荷を抑制できる。
また、1つの水平面に沿ってパッドが周回するため、レール部が高さ方向に大型化し難い(小型化できる)。
【0008】
なお、「1つの水平面に沿って」とは、概ね水平であればよく、若干の勾配や起伏があってもよいことを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1Aは本発明の一実施形態を示す搬送装置の概略平面図、図1Bは同正面図である。
図2図2は同搬送装置の左半分を示す概略平面図である。
図3図3Aは同搬送装置の右半分を示す概略平面図、図3Bは同搬送装置の右側面図である。
図4図4は着用物品の製造方法の一実施形態を示す平面図である。
図5図5A図5Bおよび図5Cは、それぞれ、同搬送装置をフレームに組み込んだ状態を示す平面断面図、正面図および横断面図である。
図6図6は他の実施形態にかかるパッドの軌跡を示す平面図である。
【0010】
なお、各図において、シート状物はグレーで着色されて図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は請求の範囲によってのみ定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1Aは本発明の一実施形態である搬送装置100の概略図であり、図1Bは同搬送装置100を備えた使い捨て着用物品Nの製造システム200の概略図である。
【0014】
図1Aに示すように、搬送装置100は、レール部Rと、複数の走行子10と、リニアモータMと、パッド1を備える。また、図1Bに示すように、本製造システム200は、搬送装置100と、第1ロール21および第2ロール22などを有する。本製造システム200は、図4に示すように、シート状物Wである吸収性本体を一対の胴回り部Tに架設して、周知の使い捨て着用物品Nを製造するものである。
【0015】
シート状物Wの一種である吸収性本体としては、たとえば、吸収コアをトップシートとバックシートとの間に挟んだものであってもよい。胴回り部Tは糸ゴムなどの弾性部材を有していてもよい。使い捨て着用物品Nとしては使い捨てオムツやパンツであってもよい。
【0016】
図1Aにおいて、リニアモータMは、ループ状に配置されたレール部Rに沿って複数の走行子10を周回させる。かかるリニアモータMとしては、例えば、US2014/331888A1に開示された構造を採用することができ、ここに、その全ての記述が組み込まれる。
【0017】
複数の走行子10の各々には、パッド1が取り付けられている。図1Bに示すとおり、各パッド1はシート状物Wを保持しながら1つの水平面Pにおいて周回し、シート状物Wを搬送する。
【0018】
第1ロール21は、シート状物Wを保持した状態でシート状物Wを介してパッド1の保持面1Fに接して、シート状物Wを保持面1Fに配置する(受け渡す)。詳しくは、第1ロール21は、当該第1ロール21の上流から搬送される帯状のシート状物Wを第1ロール21の外周面に吸引保持するとともに、パッド1の保持面1Fに接する際に吸引状態を解除して片状のシート状物Wを保持面1Fに配置しやすくする。
【0019】
第2ロール22は、パッド1上のシート状物Wを介して保持面1Fに接して、シート状物Wを保持面1Fから受け取る。
【0020】
図1Bにおいて、第1ロール21には帯状のシート状物Wを切断するカッタ20が間欠的に当接する。一方、第2ロール22は、パッド1の保持面1Fから受け取ったシート状物Wを第3ロール23上の帯状の胴回り部Tに配置する。
【0021】
本形態の場合、図1Aおよび図1Bに示すように、各パッド1は1つの水平面Pに直交する軸線Lのまわりに回転して姿勢変更できるように走行子10に取り付けられている。なお、図を見易くするために、図1Bの軸線Lは1つのパッド1にのみ表記されている。例えば、図1Aの各パッド1は、レール部Rを1周する間に、黒丸で示す軸心11(図2)のまわりに90°正逆回転する。
【0022】
本実施形態においては、搬送装置100はリニアモータMを制御するコントローラCを備える。図2および図3に示すように、レール部R上には、加速区間S1と、加速区間S1の下流側で当該加速区間S1と隣り合う高速区間S2と、高速区間S2の下流側で当該高速区間S2と隣り合う減速区間S3と、減速区間S3の下流側で当該減速区間S3と隣り合う低速区間S4とが設けられている。コントローラCは、リニアモータMを介して、以下のように走行子10の走行を制御する。
【0023】
図2の第1加速区間S1においては、リニアモータMが走行子10を加速させる。この第1加速区間S1の下流の高速区間S2においては、リニアモータMが走行子10を一定の高速度で走行させる。この高速区間S2の下流の減速区間S3においては、リニアモータMが走行子10を減速させる。
【0024】
図3Aの減速区間S3の下流の低速区間S4においては、リニアモータMが走行子10を一定の低速度で走行させる。この低速区間S4の下流の第2加速区間S5においては、リニアモータMが再び走行子10を加速させる。この第2加速区間S5の下流の等速区間S6ではリニアモータMが走行子10を一定の速度で走行させる。
【0025】
図1Aに示すように、レール部Rの外周囲にはループ状のガイド31が配置されている。図1Bのガイド31はカム溝31Cを有し、パッド1の姿勢を前記周回に伴って変更制御する。
なお、ガイド31とレール部Rとを見易くするために、図1Aおよび図2および図3Aにおいてレール部Rの表面に相当する部位はグレーで着色されている。
【0026】
図1Bおよび図3Bに示すように、カム溝31Cにはカムフォロア(被案内部)32が嵌まり込んでいる。図1Bの各カムフォロア32は各パッド1ごとに設けられ、カム溝31C(図3B)に案内される。図2および図3Aに示すように、各パッド1において各カムフォロア32は軸心11(黒丸)に対し若干偏心しており、これにより、パッド1の姿勢変更が制御される。
【0027】
図1A図2図3Aおよび図5Aにおいて、パッド1の重心1Gを白黒で色分けした円で示す。この重心1Gはパッド1の軸心11に対して大きく偏心した位置に設けられている。すなわち、パッド1の重心1Gは軸線L(図1B)から大きく離れた位置に設定されている。
【0028】
このように重心1Gが偏心していることにより、前述のように走行子10が加減速されるのに伴い、各パッド1において軸線L(図1B)のまわりに慣性力が作用して当該パッド1が軸線Lのまわりに旋回する。
以下、前記重心1Gの偏心と走行子10の加減速によるパッド1に作用する慣性力について説明する。
【0029】
図2の第1加速区間S1においては、レール部Rが半円弧状で、パッド1の軸心11が加速され、軸心11よりも進行方向の斜め後方の重心1Gが軸心11に対して遅れ、第1の回転方向F1にパッド1が若干旋回するように第1の回転方向F1に慣性力がパッド1に作用する。この慣性力でカムフォロア32がガイド31に接する接触圧が小さくなって、リニアモータMの負荷が小さくなる。同時に、カムフォロア32がカム溝31Cに案内されてパッド1の姿勢は次の高速区間S2に示すように、進行方向に沿って長い第1姿勢となる。
【0030】
この高速区間S2においては、パッド1は前記第1姿勢を維持しながら高速で走行すると共に、互いに隣り合うパッド1,1が最接近する。すなわち、先行のパッド1の短辺と後続のパッド1の短辺とが互いに向かいあっている。この高速区間S2はレール部Rが直線である。
【0031】
図2のパッド1が高速区間S2から減速区間S3に入ると、カムフォロア32がカム溝31Cに案内されて、パッド1および重心1Gが軸心11のまわりに第2の回転方向F2に旋回し始める。
一方、この減速区間S3ではパッド1が減速され、重心1Gが軸心11よりも先に進もうとする慣性力が前記第2の回転方向F2に作用し、パッド1のスムースな回転を促す。すなわち、カムフォロア32がガイド31に接する接触圧が小さくなって、リニアモータMの負荷が小さくなる。なお、第2の回転方向F2は第1の回転方向F1とは逆方向である。
【0032】
図3Aのパッド1が前記減速区間S3から低速区間S4に入ると、パッド1の姿勢は進行方向に短い第2姿勢となる。減速区間S3および低速区間S4は高速区間S2(図2)と同じ直線である。この低速区間S4においては、互いに隣り合うパッド1の重心1G同士の距離は小さくなるが、パッド1同士の間には隙間ができる。なお、第2姿勢は図2の第1姿勢からパッド1が90°旋回した姿勢である。
【0033】
図3Aのパッド1が前記低速区間S4から第2加速区間S5に入ると、パッド1は再び加速される。この第2加速区間S5においてレール部Rは半円弧状である。
【0034】
この第2加速区間S5において、加速されたパッド1の重心1Gには再び第1の回転方向F1に慣性力が作用し、パッド1が第1の回転方向F1に旋回し始める。同時に、第2加速区間S5においては、カムフォロア32がカム溝31Cに案内されてパッド1の姿勢が制御される。
【0035】
図3Aのパッド1が前記第2加速区間S5から等速区間S6に入ると、パッド1は等速で走行する。この等速区間S6においてレール部Rは直線である。この等速区間S6において、パッド1の姿勢は一定で、レール部Rに対し斜めに傾いた姿勢のまま走行する。この等速区間S6において、重心1Gは軸心11に対し進行方向の斜め後方に位置している。
【0036】
図2のパッド1が前記等速区間S6から再び第1加速区間S1に入ると、パッド1の速度は加速される。この加速区間S1におけるパッド1の挙動は前述したとおりである。
【0037】
つぎに、図1Bのシート状物Wの搬送について説明する。
シート状物Wは連続した状態で第1ロール21に導入される。その後、前述のとおり、シート状物Wは第1ロール21において個々の着用物品の単位に切断され、第1ロール21からパッド1に受け取られる。
その後、パッド1で図4のシート状物Wの姿勢およびシート状物W間の距離が変更された後、図1Bのパッド1から第2ロール22にシート状物Wが渡される。
【0038】
これについて更に詳しく説明すると、図1Bの第1ロール21は切断後のシート状物Wを図2の高速区間S2において第1姿勢のパッド1の保持面1F上に配置する。このシート状物Wはパッド1と共に図2および図3Aの減速区間S3において90°姿勢を変更される。
【0039】
姿勢変更後のシート状物Wは低速区間S4において低速搬送され、図1Bに示すように、パッド1の保持面1Fから第2ロール22に受け取られる。
【0040】
その後、シート状物Wは図1Bの第3ロール23の胴回り部T上に配置され、更に、第3ロール23の下流において、図4に示すように、シート状物Wが胴回り部Tに配置された積層体が個々のオムツの単位に切断される。
【0041】
図5A図5Cは製造システム200の概略を示す。
製造システム200は、多数のパネル40で構成されたパネル群を有する。図5A図5Cにおいては、見易くするために、パネル40はグレーで着色されている。
【0042】
パネル群の各パネル40は、各々、鉛直面に沿って配置され、種々のロール等を支持する。本形態の場合、1つのパネル40はカッタ20および第1ロール21を回転自在に支持する。別の1つのパネル40は第2ロール22および第3ロール23を回転自在に支持する。
なお、各パネル40は柱41に支持されていてもよい。
【0043】
図5Bに示すように、パネル群には開口42が形成されている。すなわち、リニアモータMの上方および左右に配置されたパネル群によって開口42が定義されている。
図5Aおよび図5Cに示すように、この開口42をパッド1が通り抜けるようにレール部Rがパネル群の正面側および背面側にわたって設けられている。
なお、開口はリニアモータMの両側にそれぞれ設けられてもよい。すなわち、開口を有するパネルを2以上設けて、周回するパッド1がレール部Rの半円弧状の部分において各開口を通り抜けるように、リニアモータMが配置されていてもよい。
【0044】
図6は別の実施形態のパッド1の軌跡を示す平面図である。
図6の形態の場合、ループ状のレール部R(図1)は、互いに平行で、かつ、搬送方向が互いに同一の第1位置Q1および第2位置Q2において、シート状物W(図4)の受け渡しが可能に設定されている。
すなわち、第1位置Q1よりも上流において受け取った1つのシート状物Wを第1位置Q1において受け渡し、前記上流において受け取った別のシート状物Wを第2位置Q2において受け渡すように設定されている。
【0045】
上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が主に含まれている。
【0046】
シート状物の搬送装置100は、ループ状に配置されたレール部Rと、複数の走行子10と、前記レール部Rに沿って前記複数の走行子10を周回させるリニアモータMと、前記複数の走行子10の各々に取り付けられるパッド1とを備え、シート状物Wを前記パッド1上に保持しながら少なくとも1つの水平面Pにおいて周回して前記シート状物Wを搬送する。
【0047】
上記構成によれば、シート状物を搬送するパッドは、少なくとも1つの水平面において周回する。そのため、パッドが高さ方向(鉛直方向)に上がることがなく、リニアモータにかかる負荷を抑制できる。
また、1つの水平面に沿ってパッドが周回するため、レール部が高さ方向に大型化し難い。
【0048】
好ましい実施形態としては、第1ロール21と第2ロール22とを更に備え、前記第1ロール21は、前記シート状物Wを保持した状態で前記シート状物Wを介して前記パッド1の保持面1Fに接して前記シート状物Wを前記保持面1Fに配置し、前記第2ロール22は、前記パッド1上の前記シート状物Wを介して前記保持面1Fに接して前記シート状物Wを前記保持面1Fから受け取る。
【0049】
この場合、第1ロール21からリニアモータMのパッド1を介して第2ロール22にシート状物Wを移載することができる。
【0050】
更に好ましい実施形態としては、前記走行子10の走行を制御するコントローラCを更に備え、前記レール部R上には、加速区間S1と、前記加速区間S1の下流側で当該加速区間S1と隣り合う高速区間S2と、前記高速区間S2の下流側で当該高速区間S2と隣り合う減速区間S3と、前記減速区間S3の下流側で当該減速区間S3と隣り合う低速区間S4とが設けられている。また、前記コントローラCは、前記加速区間S1において前記走行子10を加速させ、前記高速区間S2において前記走行子10を一定の高速度で走行させ、前記減速区間S3において前記走行子10を減速させ、前記低速区間S4において前記走行子10を一定の低速度で走行させるように速度制御を行う。
【0051】
この場合、走行子10に取り付けられたパッド1が加減速され、隣り合うパッド1間の距離を変更することができる。
【0052】
更に好ましい実施形態としては、前記高速区間S2において、前記第1ロール21が前記シート状物Wを前記保持面1Fに配置し、前記低速区間S4において、前記第2ロール22が前記シート状物Wを前記保持面1Fから受け取るように構成されている。
【0053】
この場合、第1ロール21から高速で移動するパッド1の保持面1F上にシート状物Wを配置し、その後、パッド1が減速して、低速で移動する保持面1Fからシート状物Wを第2ロール22に受け取ることができる。
【0054】
好ましい実施形態としては、前記各パッド1は前記1つの水平面Pに直交する軸線Lのまわりに回転して姿勢変更できるように前記走行子10に取り付けられている。
【0055】
この場合、パッド1上のシート状物Wを水平面に沿って搬送しながら、シート状物Wの姿勢を変更することができる。
【0056】
更に好ましい実施形態としては、前記走行子10が加減速されるのに伴い前記パッド1に前記軸線Lのまわりに慣性力が作用して前記パッド1が前記軸線Lのまわりに旋回するように、前記パッド1の重心が前記軸線Lから離れた位置に設定されている。
【0057】
この場合、走行子10と共にパッド1が加減速されるのに伴い、パッド1を旋回させる慣性力が作用し、パッド1の旋回がスムースになる。
【0058】
更に好ましい実施形態としては、前記パッド1の姿勢を前記周回に伴って変更制御するループ状のガイド31と、前記ガイド31に案内される被案内部32とを更に備える。
【0059】
この場合、パッド1の姿勢を確実に変更することができる。
【0060】
別の好ましい実施形態としては、前記ループ状のレール部Rは、互いに平行で、かつ、搬送方向が同一の第1位置Q1および第2位置Q2において、前記シート状物Wの受け渡しが可能に設定されている。
【0061】
この場合、シート状物Wを搬送方向の幅方向に変位させることができる。
【0062】
使い捨て着用物品の製造システム200としては、鉛直面に沿って立設された多数のパネル40で構成されたパネル群を有し、前記パネル群のうち1以上のパネル40が前記第1ロール21および前記第2ロール22を支持し、前記パネル群に設けられた開口42を前記パッド1が通り抜けるように前記レール部Rが前記パネル群の正面側および背面側にわたって設けられている。
【0063】
この場合、同システムにリニアモータをスペース効率よく配置できる。
【0064】
1つの実施態様または好ましい各実施形態に関連して説明および/または図示した特徴は、1つまたはそれ以上の他の実施態様において同一または類似な形で、および/または他の実施態様と組み合わせて、または、その代わりに利用することができる。
【0065】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば本明細書を見て、自明な範囲で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。
たとえば、搬送装置によって搬送されるシート状物は胴部であってもよい。
また、着用物品は生理用品などであってもよい。
したがって、そのような変更および修正は、請求の範囲から定まる本発明の範囲内のものと解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は種々のシート状物の搬送に適用し得る。
【符号の説明】
【0067】
1:パッド 1F:保持面 1G:重心 10:走行子 11:軸心
20:カッタ 21:第1ロール 22:第2ロール 23:第3ロール
31:ガイド 31C:カム溝 32:被案内部(カムフォロア)
40:パネル 41:柱 42:開口
100:搬送装置
200:使い捨て着用物品の製造システム
C:コントローラ
F1:第1の回転方向 F2:第2の回転方向
M:リニアモータ
R:レール部
L:軸線 P:水平面
S1:(第1)加速区間 S2:高速区間 S3(第1)減速区間
S4:低速区間 S5:(第2)加速区間 S6:等速区間
Q1:第1位置 Q2:第2位置
W:シート状物(吸収性本体) N:着用物品 T:胴回り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6