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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】電気プラグコネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20231122BHJP
   H01R 13/504 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/504
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022517311
(86)(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2020025412
(87)【国際公開番号】W WO2021052625
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】A50805/2019
(32)【優先日】2019-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】501016102
【氏名又は名称】ノイトリーク・アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100159259
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 実
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト ユッツ
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第202018105147(DE,U1)
【文献】特開2020-113535(JP,A)
【文献】中国実用新案第205828780(CN,U)
【文献】米国特許第05681409(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03490077(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続され
一方のハウジング部材(1)には、シール(21)又はシールエッジ(33)に対して同軸に配置され、互いに周方向に離間して隆起したリブ(15)が形成され、
対向するハウジング部材(3)には、対応する箇所に対応する寸法の凹部(35)が形成されている、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項2】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続されて、
第1ハウジング部材(3)は、ポット形に形成され、
端面とは反対側の底部(36)は、接点要素(4)を通すための貫通孔(31)を備え、
第1ハウジング部材(3)の底部(36)は、環状接続領域に沿って第1ハウジング部材(3)の周壁(37)と接続されている、別個に製造された部材である、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項3】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続され、
第1ハウジング部材(3)は、電気接点要素(4)の受容孔(51)を備えた接点支持体(5)が挿入されて固定されている受容開口部を形成する周壁(37)を有し、
接点支持体(5)は、周壁(37)の端面(38)に載って、これと超音波溶接によって全面的に接続されている、周方向に延びるカラー部(52)を有する、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項4】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続され、
一方のハウジング部材(3)の内部にロック機構(6)が配置されており、
ロック解除要素(61)は、他方のハウジング部材(1)の貫通開口部(16)を通って外側に突出している、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項5】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続され、
シール(21)に、一方のハウジング部材(1)の組付け孔(12)又は外周縁部(13)の領域に達する別のシール要素(22、24)が形成されている、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項6】
電気接点要素(4)と、互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)とを含み、接触面(14、30)の間にシール(21)が収容されており、前記接触面(14、30)は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられ、シール(21)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)上に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応して設計されたシール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに接続され、
第1ハウジング部材(3)は、組込みプラグコネクタのハウジングとして設計され、
第2ハウジング部材(1)は、この組込みプラグコネクタのフランジプレートとして設計され、少なくとも1つの挿入口(11)と、機器の壁、制御パネル又はこれに類するものに固定するための少なくとも1つの組付け孔(12)とを備えている、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
【請求項7】
ハウジング部材(1、3)の接続は、リブ(15)と凹部(35)の領域で作成されていることを特徴とする、請求項に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項8】
ハウジング部材(1、3)の接続は、超音波溶接によって作成されていることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項9】
第1ハウジング部材(3)の底部(36)は、超音波溶接によって第1ハウジング部材(3)の壁(37)と全面的に接続されていることを特徴とする、請求項に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項10】
シール(21)は、貫通開口部(27)を備えた半径方向拡張部(26)で貫通開口部(16)も取り囲み、
ハウジング部材のシールエッジ(33)は、半径方向拡張部で貫通開口部(16、39)を包含している、ことを特徴とする、請求項に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項11】
フランジプレートとして設計された第2ハウジング部材(1)内で、その第1ハウジング部材(3)に面する背面に、シール構成(2)が挿入され、
シール構成(2)は、挿入口(11)の周囲の少なくとも1つの環状シール(21)と、組付け孔(12)に対するシール要素(22、24)、及び/又は縁部領域に沿って周方向に延びて第1ハウジング部材(3)に向かって突出する外周シール(22)とを有する、ことを特徴とする、請求項に記載の電気プラグコネクタ。
【請求項12】
シール構成(2)の一体成形された要素(22、25、25)は、少なくとも1つの半径方向に延びる接続片(23)を介して、シールエッジ(33)と協働する環状シール(21)と一体的に結合するように設計されていることを特徴とする、請求項11に記載の電気プラグコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部による、電気接点要素と、互いに当接する平坦な接触面で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材を含む電気プラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特に、機器、制御パネル等に組み込むために設けられた、シャーシソケットとも呼ばれる、特に組込みプラグコネクタの両ハウジング部材は、通常、組み込む過程で互いに固く接続される。これは、固定ねじによって行われ、組込みプラグコネクタは、機器の壁、制御パネル等に固定され、同時に外部に見えるフランジプレートも接続フランジと一緒にハウジングに固定される。必要に応じて、別の部材、特にシールも、フランジプレートと接続フランジとの間に固定される。このような複雑な構造と組立てを伴う組込みプラグコネクタの実施例は、中国実用新案第205828780号明細書に開示されている。
【0003】
特開2017-191643号公報は、2つの部分からなるハウジングを有し、互いに接着されたハウジング部材の間にシールが挿入されている、自動車用充電プラグを開示している。シールは、ハウジング部材の環状部分が互いに挿入されて形成されたハウジング部材のシール面の間に、ブッシュ状の平坦なシールリングとして着座するが、シール効果を確実にするには、組立時に正確に位置決めするために少なからぬ努力を必要とする。一方のハウジング部材は、実質的にポット形に形成されており、第2のハウジング部材は、組み付けフランジを備えている。
欧州特許出願公開第1450445号明細書は、ハウジングが互いに接続された2つのハウジング部材からなる、プラグソケットの形態のプラグコネクタ構成を開示している。このようなプラグソケットの一実施形態は、ハウジング部材の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられた、2つの互いに当接する平坦な接触面を有する。接触面の間には、接点要素のための開口部の外側で周方向に延びるシールビードを有する板状シールが収容されている。シールは、接触面よりもわずかに小さく、ハウジング部材は、シールの半径方向外側で超音波溶接により接続されている。
台湾特許出願公開第202010194号公報は、超音波溶接によって互いに分離不能に接続された2つのハウジング部材からなる、電子機器用の防水ハウジングを開示している。一方のハウジング部材は、周方向カラー部を有し、これは第2のハウジング部材の平坦な周方向接触面に載る。その間に、溶接材料が受容される。ハウジング部材の互いに挿入された円筒形壁の間には、環状にシールが配置されている。
欧州特許出願公開第3490077号明細書で開示されている装置の一部である電気コネクタは、2つのハウジング部材を使用して組み立てられている。他のプラグコネクタとの接続を密封するために、シールが設けられている。このシールの部分領域は、可能な実施形態によれば、溶接プロセスによって接続することもできるハウジング部材の間に配置されている。
独国実用新案第202018105147号明細書には、ポット形の第1ハウジング部材と、扁平キャップ形の第2ハウジング部材から組み立てられた、充電器の防水ハウジングが記載されている。接点は、超音波溶接によって第1ハウジング部分と接続された扁平キャップを通って外側に導出されている。
台湾実用新案第583637号公報には、組込みプラグコネクタの例が開示されており、シールは存在するが、プラグコネクタのハウジングの組付け孔の領域も含む、相補的なプラグコネクタのためのロック構成はない。シールは、フランジプレートとコネクタハウジングとの間に挿入されている。
【0004】
さらに、例えば米国特許出願公開第2002/093830号明細書により自動車分野のランプソケット用に、又は独国特許出願公開102013224296号明細書により電気プラグ装置の分野で、ハウジング部材同士を超音波溶接で接続することが知られている。米国特許5681409号明細書には、超音波溶接によるプラグハウジングの2つのハウジング部材の接続が開示されており、ハウジング部材は、シールを介さずに結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】中国実用新案第205828780号明細書
【文献】特開2017-191643号公報
【文献】米国特許出願公開第2002/093830号明細書
【文献】独国特許出願公開102013224296号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1450445号明細書
【文献】台湾特許出願公開第202010194号公報
【文献】欧州特許出願公開第3490077号明細書
【文献】独国実用新案第202018105147号明細書
【文献】台湾実用新案第583637号公報
【文献】米国特許5681409号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、先行技術の欠点を克服し、取り扱いが容易で、わずかな部材で簡単かつ迅速に組み付けられる最適な密閉型プラグコネクタをなす装置を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題は、特許請求の範囲に記載された装置及び方法によって解決される。
【0008】
このために、本発明による装置は、第1ハウジング部材がその接触面に、対向するハウジング部材に位置合わせされた環状シールエッジを装備し、第2ハウジング部材がその接触面に、シールエッジに対応する環状シールを装備し、これらのハウジング部材は、シールとシールエッジの半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されていることを特徴とする。シールエッジとシールの組み合わせにより、所望の最適なシール効果が得られ、両ハウジング部材を接続することにより、最初から1つの製品のように取り扱い、組み付け、必要に応じて再び分解することもできる個別部材が得られる。
【0009】
好ましくはこの場合に、一方のハウジング部材には、シール又はシールエッジに対して同軸に配置され、互いに周方向に離間して隆起したリブが形成され、対向するハウジング部材には、対応する箇所に対応する寸法の凹部が形成されている。これらの構造により、接続される両ハウジング部材を、接触面の平面内で互いに対して正確に位置合わせすることが可能になる。
【0010】
本発明の特に有利な実施形態によれば、ハウジング部材の接続は、リブと凹部の領域でも同時に作成されている。この領域では、幾何学的な条件に基づいて、特に良好な材料接触も与えられており、これは、接着であれ他の種類の接続であれ、両ハウジング部材の接続の作成を大いに助長する。
【0011】
ハウジング部材の接続が超音波溶接で作成されている実施形態は、特に好都合で安全である。
【0012】
プラグコネクタ、特に組込みプラグコネクタにとって特に有利な実施形態は、第1ハウジング部材がポット形に形成され、シールのある端面とは反対側の底部は、接点要素を通すための貫通孔を備えていることである。これにより、様々な種類の良好に絶縁された組込みプラグコネクタ、プラグコネクタの雄部材を作成することができる。
【0013】
このような種類のプラグコネクタは、好ましくは第1ハウジング部材の別途製造された底部を備えて構成され、底部は、環状接続領域に沿って第1ハウジング部材の周壁と接続されている。
【0014】
ここでも、第1ハウジング部材の底部が超音波溶接によって第1ハウジング部材の壁と全面的に接続されていると、特に迅速かつ安全な接続方式が可能である。
【0015】
プラグ接続、特にシャーシソケットの雌部材を作製するために、簡単で迅速な解決策は、第1ハウジング部材が、電気接点要素の受容孔を備えた接点支持体が挿入されて固定されている受容開口部を形成する周壁を有することを特徴とする。
【0016】
好ましくは、接点支持体は、周壁の端面に載ってこれと接続されているカラー部を有する。好ましくは超音波溶接によって全面的な接続が実現されている。
【0017】
本発明による別の有利な実施形態は、一方のハウジング部材の内部にロック機構が配置されており、ロック解除要素が他方のハウジング部材の貫通開口部を通って外側に突出していることを特徴とする。
【0018】
一方のハウジング部材の環状シールは、貫通開口部を備えた半径方向拡張部で貫通開口部も取り囲み、ハウジング部材のシールエッジが半径方向拡張部で貫通開口部の領域を包含することによって、環状シールは、さらにシーリングを高めるためにこの貫通開口部にも適合している。
【0019】
プラグコネクタのシーリングをさらに最適化するために、好ましくは、本発明に従って、シールに、一方のハウジング部材の組付け孔又は外周縁部の領域に達する別のシール要素が形成されている。
【0020】
本発明によるプラグコネクタは、有利には組込みプラグコネクタとして、第1ハウジング部材が組込みプラグコネクタのハウジングとして設計され、第2ハウジング部材がこの組込みプラグコネクタのフランジプレートとして設計され、少なくとも1つの挿入口と、機器の壁、制御パネル又はこれに類するものに固定するための少なくとも1つの組付け孔とを備えているように構成されている。
【0021】
好ましくは最適なシーリング効果を得るために、フランジプレートとして設計された第2ハウジング部材内でその第1ハウジング部材に面する背面に、挿入口の周囲の少なくとも1つの環状シールと、組付け孔に対する好ましくは一体成形されたシール要素、及び/又は縁部領域に沿って周方向に延びて第1ハウジング部材に向かって突出する外周シールとが挿入されている。
【0022】
好ましくは、シール構成の一体成形された要素は、少なくとも1つの半径方向に延びる接続片を介して、シールエッジと協働する環状シールと一体的に結合するように設計されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明をより良く理解するために、以下の図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】
図は、それぞれ著しく簡略化された模式的表現で示されている。
【0025】
図1】本発明による組込みプラグコネクタの分解斜視図である。
図2】シール構成を挿入した図1の組込みプラグコネクタのフランジプレート背面斜視図である。
図3図1の組込みプラグの縦断面図である。
図4】本発明によるソケットの分解図である。
図5図4のソケットの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において、同じ部材には同じ参照符号又は同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は、同じ参照符号又は同じ部材名称を有する同じ部材に準用できるものとする。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども、直接説明及び表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は、位置が変化した場合には新しい位置に準用されるものとする。
【0027】
図1には、本発明によるプラグコネクタの第1の実施形態が、組込みプラグコネクタの形態で、即ち機器、制御パネル等に組み込むために設けられたプラグ接続の雄部材の形態で示されている。この組込みプラグは、基本的に、機器の外側から内側に向かって数えて、フランジプレート1、シール2、ハウジング3、及び電気接点4から構成されている。
【0028】
フランジプレート1は、相補的なプラグコネクタに対する挿入口11と、組付け孔12を有し、組み込まれた状態で固定手段、好ましくは固定ねじが、これらの組付け孔12を通じて、機器、制御パネル等の壁に固定される。
【0029】
組み込まれた状態で機器の壁などに面し、必要に応じてそれらに完全に当接するフランジプレート1の背面(図2参照)には、シール構成2が存在する。このシール構成2は、好ましくはフランジプレート1の背面の凹部に挿入されるか、その中に鋳込まれている。フランジプレート1の背面は、実質的に平坦な接触面14を含み、組み立てられた状態でハウジング3がこれに当接する。このとき接触面14は、フランジプレート1の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられている。
【0030】
シール構成2は、挿入口11を環状に取り囲む少なくとも1つの環状シール21を有する。有利には、組込みプラグコネクタの縁部領域をシールするために、フランジプレート1の外縁部13に続く外周シール22が設けられている。このシーリング効果を最適化するために、任意選択で、外周シール22の縁部又はエッジにシールリップ25を形成することができる。この場合、シール21は、同様に平坦な接触面14に対して平行な平面構成でフランジプレート1に当接している。
【0031】
特に好ましくは、機械的耐性を高めるために、環状シール21と外周シール22は、半径方向ウェブ23によって互いに接続されている。シール21と、外周シール22と、半径方向ウェブ23は、好ましくは一体的に設計されている。代替として、シール構成2は、シール21に形成された別のシール要素、特にフランジプレート1の組付け孔12の領域に対するシール要素24を有することができる。
【0032】
接点ピン4に対する貫通孔31を備えたハウジング3は、フランジプレート1の背面に面する前面側に接続フランジ32を有し、その前面側には、フランジプレート1の背面に、特にその接触面14に当接するための実質的に平坦な接触面30がある。この接触面30も、フランジプレート1の接触面14に対して平行に、ハウジング3の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられている。接続フランジ32の接触面30には、環状シールエッジ33が存在して、シール21に位置合わせされ、ハウジング3の挿入口34を環状に取り囲み、組込みプラグコネクタを組み立てた状態でシール21内に圧入される。シールエッジ33とシール21は、周長、幅及び位置の点で対応するように配置されている。
【0033】
実質的に平坦な接触面14、30の間では、シール構成2全体も、同様に実質的に平面的形態で存在し、接触面14、30と同様にハウジング3とフロントパネル1の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられている。
【0034】
接続フランジ32の前面側には、シール21とシールエッジ33の半径方向外側の複数の箇所で、凹部35が、好ましくは切片の形態で短い溝が加工されている。組み立てた状態で対応する箇所に、フランジプレート1の背面は、対応して形成された対応する寸法のリブ15を有しており、これらのリブ15は、フランジプレート1とハウジング3がそれらの接触面14、30で互いに当接すると、溝に突入係合する。理想的には、フランジプレート1とハウジング3は、これらの凹部35とリブ15の領域で、好ましくは超音波溶接によって、あるいは接着又は類似の方法で互いに分離不能に接続されている。
【0035】
図1及び図3に示すハウジング3は、ポット形に形成されており、挿入口34と接続フランジ32を備えた端面では、接点ピン4を通すための貫通孔31を備えた底部36が、ハウジング3を閉じている。この底部36は、好ましくは最初に別個に製造される部材であり、環状接続領域に沿ってハウジング3の周壁37と接続されている。ここでも超音波溶接が用いられることが好ましい。もちろん壁37と底部36を一体的に設計することも可能である。
【0036】
図4及び図5は、本発明による別の実施形態、即ちシャーシソケットとも呼ばれる雌の組込みプラグコネクタを示している。ハウジング3の周壁37の内部に接点支持体5が挿入されており、この接点支持体5は、挿入口11及び34の方向からの電気接点4と、相補的なプラグコネクタの接点ピンとのための受容孔51を有する。好ましくは、接点支持体5の後端部には、周方向のカラー部52が設けられており、このカラー部52により、接点支持体5は、周壁37の後端面38に載ってこれと接続されている。ここでも好ましくは、全面的な接続のために再び超音波溶接が用いられる。ハウジング3内の接点支持体5の正確な位置合わせを確保するために、ハウジング3の背面には、ピン40が配置されている。カラー部52には、接点支持体5が挿入されたときにピン40が突入係合する切欠き部53が加工されていて、組込みプラグコネクタの中心軸周りの正確な位置決めを確保する。
【0037】
ロック機構6は、組み立てた状態でハウジング3の内部に配置されるように接点支持体5に設けられて、接点支持体5と接続されている。ロック解除要素61は、必要に応じてプラグ接続を再び取り外すことができるように設けられており、これは、利用者が操作できるようにフランジプレート1の前面側に突出していなければならない。その際に、周壁37は、ロック解除要素61を収容するために半径方向外側に拡張されており、挿入口34は、ロック解除要素61がハウジング3の前面側に突出するための半径方向切欠き部39を有する。フランジプレート1も、ロック解除要素61のための貫通開口部16を有しており、シール21も、半径方向拡張部26を備えており、その中にロック解除要素61のための貫通開口部27が、切欠き部39及びフランジプレート1の貫通開口部16と一直線になるように配置されている。
【0038】
以上の実施形態は可能な実施態様を示すものであり、この箇所で注記すると、本発明は、特別に図示された本発明の実施態様に制限されておらず、むしろ個々の実施態様を互いに種々組み合わせることが可能であり、この変形可能性は、本発明による技術的行為に関する教示に基づき、当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0039】
保護の範囲は、請求項によって規定されている。しかしながら、請求項を解釈するために詳細な説明と図面が援用される。図示及び説明された種々の実施例に基づく個別の特徴又は特徴の組合せは、それ自体で独自の発明による解決をなすことができる。独自の発明による解決の根底にある課題は、詳細な説明から読み取ることができる。
【0040】
本発明の説明において値の範囲に関するすべての指示は、当該範囲内のすべての任意の部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば、1~10という指示には、下限1を起点として上限10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1~1.7、又は3.2~8.1、又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0041】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、部材は、一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
本発明の態様の一部を以下に記載する。
[態様1]
互いに当接する平坦な接触面(14、30)で互いにシールするように接続された2つのハウジング部材(1、3)を含み、前記接触面は、ハウジング部材(1、3)の長手方向軸線に対して実質的に垂直に向けられている、電気プラグコネクタであって、
第1ハウジング部材(3)は、その接触面(30)に、対向するハウジング部材(1)に位置合わせされた環状シールエッジ(33)を装備し、
第2ハウジング部材(1)は、その接触面(14)に、シールエッジ(33)に対応する環状シール(21)を装備し、
ハウジング部材(1、3)は、シール(21)とシールエッジ(33)の半径方向外側の複数の箇所で互いに分離不能に接続されている、ことを特徴とする電気プラグコネクタ。
[態様2]
一方のハウジング部材(1)には、シール(21)又はシールエッジ(33)に対して同軸に配置され、互いに周方向に離間して隆起したリブ(15)が形成され、
対向するハウジング部材(3)には、対応する箇所に対応する寸法の凹部(35)が形成されている、ことを特徴とする、態様1に記載のプラグコネクタ。
[態様3]
ハウジング部材(1、3)の接続は、リブ(15)と凹部(35)の領域で作成されていることを特徴とする、態様2に記載のプラグコネクタ。
[態様4]
ハウジング部材(1、3)の接続は、超音波溶接によって作成されていることを特徴とする、態様1~3のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様5]
第1ハウジング部材(3)は、ポット形に形成され、
端面とは反対側の底部(36)は、接点要素(4)を通すための貫通孔(31)を備えている、ことを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様6]
第1ハウジング部材(3)の底部(36)は、環状接続領域に沿って第1ハウジング部材(3)の周壁(37)と接続されている、別個に製造された部材であることを特徴とする、態様5に記載のプラグコネクタ。
[態様7]
第1ハウジング部材(3)の底部(36)は、超音波溶接によって第1ハウジング部材(3)の壁(37)と全面的に接続されていることを特徴とする、態様6に記載のプラグコネクタ。
[態様8]
第1ハウジング部材(3)は、電気接点要素(4)の受容孔(51)を備えた接点支持体(5)が挿入されて固定されている受容開口部を形成する周壁(37)を有することを特徴とする、態様1~4のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様9]
接点支持体(5)は、周壁(37)の端面(38)に載って、これと好ましくは超音波溶接によって全面的に接続されている、周方向に延びるカラー部(52)を有することを特徴とする、態様8に記載のプラグコネクタ。
[態様10]
一方のハウジング部材(3)の内部にロック機構(6)が配置されており、
ロック解除要素(61)は、他方のハウジング部材(1)の貫通開口部(16)を通って外側に突出している、ことを特徴とする、態様1~9のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様11]
シール(21)は、貫通開口部(27)を備えた半径方向拡張部(26)で貫通開口部(16)も取り囲み、
ハウジング部材のシールエッジ(33)は、半径方向拡張部で貫通開口部(16、39)を包含している、ことを特徴とする、態様10に記載のプラグコネクタ。
[態様12]
シール(21)に、一方のハウジング部材(1)の組付け孔(12)又は外周縁部(13)の領域に達する別のシール要素(22、24)が形成されていることを特徴とする、態様1~11のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様13]
第1ハウジング部材(3)は、組込みプラグコネクタのハウジングとして設計され、
第2ハウジング部材(1)は、この組込みプラグコネクタのフランジプレートとして設計され、少なくとも1つの挿入口(11)と、機器の壁、制御パネル又はこれに類するものに固定するための少なくとも1つの組付け孔(12)とを備えている、ことを特徴とする、態様1~12のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
[態様14]
フランジプレートとして設計された第2ハウジング部材(1)内で、その第1ハウジング部材(3)に面する背面に、シール構成(2)が挿入され、
シール構成(2)は、挿入口(11)の周囲の少なくとも1つの環状シール(21)と、組付け孔(12)に対する好ましくは一体成形されたシール要素(22、24)、及び/又は縁部領域に沿って周方向に延びて第1ハウジング部材(3)に向かって突出する外周シール(22)とを有する、ことを特徴とする、態様13に記載のプラグコネクタ。
[態様15]
シール構成(2)の一体成形された要素(22、25、25)は、少なくとも1つの半径方向に延びる接続片(23)を介して、シールエッジ(33)と協働する環状シール(21)と一体的に結合するように設計されていることを特徴とする、態様12~14のいずれか一項に記載のプラグコネクタ。
【符号の説明】
【0042】
1 フランジプレート
2 シール構成
3 ハウジング
4 接点/接点ピン
5 接点支持体インサート
6 ロック機構
11 挿入口
12 組付け孔
13 外縁部
14 接触面
15 リブ
16 貫通開口部
21 シール
22 外周シール
23 ウェブ
24 シール要素
25 シールリップ
26 半径方向拡張部
27 貫通開口部
30 接触面
31 貫通孔
32 接続フランジ
33 シールエッジ
34 挿入口
35 凹部
36 底部
37 壁
38 後端面
39 切欠き部
40 ピン
51 受容孔
52 カラー部
53 切欠き部
61 ロック解除要素
図1
図2
図3
図4
図5