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特許7389928集塵装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】集塵装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/00 20160101AFI20231122BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20231122BHJP
【FI】
H02P29/00
B29C43/34
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023050045
(22)【出願日】2023-03-27
【審査請求日】2023-05-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】林口 慎也
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-68810(JP,A)
【文献】特開2008-295267(JP,A)
【文献】特開2007-151655(JP,A)
【文献】特開2008-79766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/00
B29C 43/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂成形装置に設けられた1又は複数の集塵口から塵埃を集塵する集塵装置であって、
モータで駆動される送風機と、前記モータの回転数を制御するインバータとを備え、前記樹脂成形装置の樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵するものであり、
前記インバータは、前記モータの回転数を第1回転数に制御し、前記第1回転数から回転数を下げる場合に前記モータへの電気的な接続を解除して前記モータを惰性回転させるものであり、
前記樹脂材料供給モジュールは、樹脂材料を搬送するための搬送用部材に樹脂材料を供給する樹脂材料供給部をさらに備え、
前記インバータは、前記樹脂材料供給部による前記搬送用部材への樹脂材料供給時に、前記モータを惰性回転させる、集塵装置。
【請求項2】
前記インバータは、前記第1回転数と、前記第1回転数よりも低い回転数である第2回転数との間で前記モータの回転数を切り替えるものであり、前記第1回転数から前記第2回転数に切り替える場合に前記モータへの電気的な接続を解除して前記モータを惰性回転させる、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項3】
前記インバータは、前記モータの回転数が惰性回転により前記第2回転数に到達した後に、前記モータを前記第2回転数に制御する、請求項2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記インバータは、前記モータを前記第1回転数に制御して、前記樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵する第1集塵状態と、前記モータを前記第2回転数に制御して、前記樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵する第2集塵状態とを切り替える、請求項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記樹脂材料供給モジュールは、樹脂材料又は離型フィルムを搬送するための搬送用部材を清掃する清掃ステージ部を有し、
前記インバータは、前記清掃ステージ部による前記搬送用部材の清掃時に、前記モータを前記第1回転数に制御する、請求項に記載の集塵装置。
【請求項6】
前記樹脂材料供給モジュールは、前記搬送用部材を移動させる移動ステージ部と、当該移動ステージ部を清掃するステージ清掃部とを有し、
前記インバータは、前記ステージ清掃部による前記移動ステージ部の清掃時に、前記モータを前記第1回転数に制御する、請求項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記樹脂材料供給モジュールは、樹脂材料又は使用済みの離型フィルムを廃棄する廃棄部をさらに備え、
前記インバータは、前記廃棄部に樹脂材料又は使用済みの離型フィルムを廃棄する時に、前記モータを惰性回転させる、又は、前記モータを前記第2回転数に制御する、請求項に記載の集塵装置。
【請求項8】
複数の前記集塵口と前記送風機とを接続する接続配管と、
前記接続配管に設けられ、前記送風機により集塵する前記集塵口を切り替える切り替え機構とを備える、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項9】
前記切り替え機構により切り替えられる前記集塵口に対応して前記モータの回転数が設定されている、請求項に記載の集塵装置。
【請求項10】
前記インバータは、前記モータが惰性回転している状態から前記第1回転数に制御する場合には、前記モータの回転数を検出して、当該検出した回転数に基づいて、前記モータへの通電を再開する、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項11】
前記樹脂成形装置は、一対の成形型により成形対象物に対して樹脂材料を圧縮成形するものである、請求項1に記載の集塵装置。
【請求項12】
一対の成形型を有する樹脂成形モジュールと、
前記樹脂成形モジュールに樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールと、
請求項1乃至11の何れか一項に記載の集塵装置とを備える、樹脂成形装置。
【請求項13】
請求項12に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記成形型に成形対象物及び樹脂材料を供給する供給工程と、
前記成形対象物に対して樹脂成形を行う樹脂成形工程と、
樹脂成形された樹脂成形品を前記成形型から搬出する搬出工程とを含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵装置、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、樹脂封止装置において生じる塵埃を集塵装置により集塵することが行われている。この樹脂封止装置では、枚葉フィルム及び樹脂を搬送する外枠治具又は内枠治具をクリーニングするクリーナー部を有している。そして、このクリーナー部には、駆動源により回転駆動されるクリーニングブラシやエアーブロー、集塵機構等が設けられており、外枠治具又は内枠治具に付着した樹脂粉塵等を除去している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-61238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、樹脂成形装置の消費電力量において、集塵装置の消費電力量が占める割合は小さくない。
【0005】
しかしながら、従来の樹脂成形装置における集塵装置の送風機は、集塵箇所又は集塵タイミング等に関わらず一定の回転数で運転されている。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点を解決すべくなされたものであり、樹脂成形装置に用いられる集塵装置の消費電力量を低減することをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち本発明に係る集塵装置は、樹脂成形装置に設けられた1又は複数の集塵口から塵埃を集塵する集塵装置であって、モータで駆動される送風機と、前記モータの回転数を制御するインバータとを備え、前記インバータは、前記モータの回転数を第1回転数に制御し、前記第1回転数から回転数を下げる場合に前記モータへの電気的な接続を解除して前記モータを惰性回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように構成した本発明によれば、樹脂成形装置に用いられる集塵装置の消費電力量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る樹脂成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】同実施形態の集塵装置の構成を示す模式図である。
図3】同実施形態における送風機のモータの制御内容を示す模式図である。
図4】各モードにおけるモータ回転数及び消費電力量を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明に係る技術について、例を挙げてさらに詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の技術により限定されない。
【0011】
本発明に係る技術1の集塵装置は、樹脂成形装置に設けられた1又は複数の集塵口から塵埃を集塵する集塵装置であって、モータで駆動される送風機と、前記モータの回転数を制御するインバータとを備え、前記インバータは、前記モータの回転数を第1回転数に制御し、前記第1回転数から回転数を下げる場合に前記モータへの電気的な接続を解除して前記モータを惰性回転させることを特徴とする。
【0012】
この集塵装置であれば、モータの回転数を第1回転数から回転数を下げる場合にモータへの電気的な接続を解除してモータを惰性回転させているので、樹脂成形装置に用いられる集塵装置の消費電力量を低減することができる。また、インバータによって第1回転数から回転数を下げる場合に減速制御する必要がなく、その減速制御において発生する回生エネルギーの処理を軽減又は不要にすることができる。その結果、回生エネルギーを吸収するための抵抗器等の部品を小型化又は不要にすることができる。
【0013】
本発明に係る技術2の集塵装置は、上記の技術1の構成に加えて、前記インバータは、前記第1回転数と、前記第1回転数よりも低い回転数である第2回転数との間で前記モータの回転数を切り替えるものであり、前記第1回転数から前記第2回転数に切り替える場合に前記モータへの電気的な接続を解除して前記モータを惰性回転させることが望ましい。
この構成であれば、高い集塵能力が求められる場合はモータを第1回転数で回転し、高い集塵能力が求められない場合はモータを第2回転数で回転することができる。その結果、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができ、集塵装置の消費電力量を低減することができる。また、第1回転数から第2回転数に切り替える場合に、モータへの電気的な接続を解除してモータを惰性回転させているので、第2回転数に切り替える際の消費電力量を低減することができる。
【0014】
本発明に係る技術3の集塵装置は、上記の技術2の構成に加えて、前記インバータは、前記モータの回転数が惰性回転により前記第2回転数に到達した後に、前記モータを前記第2回転数に制御することが望ましい。
この構成であれば、インバータによって第1回転数から第2回転数に減速制御する必要がなく、その減速制御において発生する回生エネルギーの処理を軽減又は不要にすることができる。その結果、回生エネルギーを吸収するための抵抗器等の部品を小型化又は不要にすることができる。
【0015】
本発明に係る技術4の集塵装置は、上記の技術1乃至3の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂成形装置の樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵するものであることが望ましい。
この構成であれば、樹脂成形装置において塵埃が発生しやすい樹脂材料供給モジュールの塵埃を集塵することができ、本発明の効果を一層顕著にすることができる。
【0016】
本発明に係る技術5の集塵装置は、上記の技術4の構成に加えて、前記インバータは、前記モータを前記第1回転数に制御して、前記樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵する第1集塵状態と、前記モータを前記第2回転数に制御して、前記樹脂材料供給モジュールに設けられた集塵口から塵埃を集塵する第2集塵状態とを切り替えることが望ましい。
この構成であれば、樹脂成形装置において塵埃が発生しやすい樹脂材料供給モジュールにおいて、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができ、集塵装置の消費電力量を低減することができる。
【0017】
本発明に係る技術6の集塵装置は、上記の技術4又は5の構成に加えて、前記樹脂材料供給モジュールは、樹脂材料又は離型フィルムを搬送するための搬送用部材を清掃する清掃ステージ部を有し、前記インバータは、前記清掃ステージ部による前記搬送用部材の清掃時に、前記モータを前記第1回転数に制御することが望ましい。
搬送用部材の清掃時には、多くの塵埃が発生する。この搬送用部材の清掃時に、インバータがモータを第1回転数に制御しているので、高い集塵能力を発揮することができ、塵埃を効率よく集塵することができる。
【0018】
本発明に係る技術7の集塵装置は、上記の技術4乃至6の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂材料供給モジュールは、前記搬送用部材を移動させる移動ステージ部と、当該移動ステージ部を清掃するステージ清掃部とを有し、前記インバータは、前記ステージ清掃部による前記移動ステージ部の清掃時に、前記モータを前記第1回転数に制御することが望ましい。
移動ステージ部の清掃時には、多くの塵埃が発生する。この移動ステージ部の清掃時に、インバータがモータを第1回転数に制御しているので、高い集塵能力を発揮することができ、塵埃を効率よく集塵することができる。
【0019】
本発明に係る技術8の集塵装置は、上記の技術4乃至7の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂材料供給モジュールは、前記搬送用部材に樹脂材料を供給する樹脂材料供給部をさらに備え、前記インバータは、前記樹脂材料供給部による前記搬送用部材への樹脂材料供給時に、前記モータを惰性回転させる、又は、前記モータの回転数を前記第2回転数に制御することが望ましい。
搬送用部材への樹脂材料供給時は、塵埃が発生しにくい又は発生する塵埃が少ない。この樹脂材料供給時に、インバータがモータを惰性回転させる、又は、モータの回転数を第2回転数に制御しているので、集塵装置の消費電力量を低減することができる。
【0020】
本発明に係る技術9の集塵装置は、上記の技術4乃至8の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂材料供給モジュールは、樹脂材料又は使用済みの離型フィルムを廃棄する廃棄部をさらに備え、前記インバータは、前記廃棄部に樹脂材料又は使用済みの離型フィルムを廃棄する時に、前記モータを惰性回転させる、又は、前記モータを前記第2回転数に制御することが望ましい。
廃棄部に樹脂材料又は使用済みの離型フィルムを廃棄する時は、塵埃が発生しにくい又は発生する塵埃が少ない。この廃棄時にインバータがモータを惰性回転させる、又は、モータの回転数を第2回転数に制御しているので、集塵装置の消費電力量を低減することができる。
【0021】
本発明に係る技術10の集塵装置は、上記の技術1乃至9の何れか1つの構成に加えて、複数の前記集塵口と前記送風機とを接続する接続配管と、前記接続配管に設けられ、前記送風機により集塵する前記集塵口を切り替える切り替え機構とを備えることが望ましい。
この構成であれば、複数の集塵口に対して共通の送風機を用いることができ、送風機の台数を削減することができる。その結果、集塵装置の消費電力量を低減することができる。
【0022】
本発明に係る技術11の集塵装置は、前記切り替え機構により切り替えられる前記集塵口に対応して前記モータの回転数が設定されていることが望ましい。
この構成であれば、例えば清掃ステージ部の集塵口やステージ清掃部の集塵口等に切り替えた場合には、モータを第1回転数に制御することができる。また、その他の部分の集塵口に切り替えた場合には、モータを惰性回転させる、又は、モータの回転数を第2回転数に制御することができる。なお、第1回転数及び第2回転数の他に、第3回転数等の他の回転数を設定しても良い。
【0023】
本発明に係る技術12の集塵装置は、上記の技術1乃至11の何れか1つの構成に加えて、前記インバータは、前記モータが惰性回転している状態から前記第1回転数に制御する場合には、前記モータの回転数を検出して、当該検出した回転数に基づいて、前記モータへの通電を再開することが望ましい。
この構成であれば、インバータが惰性回転するモータの回転数を検出するので、別途回転センサを設ける必要がなく、集塵装置の構成を簡単にすることができる。ここで、インバータは、電流検出形速度サーチ機能を有するものであることが考えられる。
【0024】
本発明に係る技術13の集塵装置は、上記の技術1乃至12の何れか1つの構成に加えて、前記樹脂成形装置は、一対の成形型により成形対象物に対して樹脂材料を圧縮成形するものであることが望ましい。
【0025】
また、本発明に係る技術14の樹脂成形装置は、一対の成形型を有する樹脂成形モジュールと、前記樹脂成形モジュールに樹脂材料を供給する樹脂材料供給モジュールと、上記の技術1乃至13の何れか1つの集塵装置とを備えることを特徴とする。
この樹脂成形装置であれば、集塵装置の消費電力量を低減することができるので、樹脂成形装置の消費電力量を低減することができる。また、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができるので、樹脂成形品の品質を向上することができる。
【0026】
さらに、本発明に係る技術15の樹脂成形品の製造方法は、上記の技術14の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、前記成形型に成形対象物及び樹脂材料を供給する供給工程と、前記成形対象物に対して樹脂成形を行う樹脂成形工程と、樹脂成形された樹脂成形品を前記成形型から搬出する搬出工程とを含むことを特徴とする。
この樹脂成形品の製造方法であれば、集塵装置の消費電力量を低減することができるので、樹脂成形品の製造コストを低減することができる。また、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができるので、樹脂成形品の品質を向上することができる。
【0027】
<本発明の一実施形態>
以下に、本発明に係る樹脂成形装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下に示すいずれの図についても、わかりやすくするために、適宜省略し又は誇張して模式的に描かれている。同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0028】
<1.樹脂成形装置100の基本構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、成形対象物である基板Wに固定された電子部品(不図示)を、熱硬化性の樹脂材料Jを用いた樹脂成形により樹脂封止して樹脂成形品Pを製造するものである。
【0029】
ここで、基板Wとしては、例えば金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミックス製基板、回路基板、半導体製基板、リードフレーム、シリコンウエハ、ガラスウエハ等を挙げることができる。また、電子部品としては、例えば半導体チップ、抵抗素子、キャパシタ素子等の電子素子、又はこれら電子素子の少なくとも1つが樹脂封止された形態の電子部品を挙げることができる。さらに、樹脂材料Jは、例えば液状樹脂、シート状樹脂、タブレット状樹脂、粉粒体状樹脂(顆粒状樹脂を含む)等を挙げることができる。なお、樹脂材料Jは、熱可塑性を有する材料であってもよい。
【0030】
この樹脂成形装置100は、図1に示すように、基板供給・収納モジュールAと、樹脂成形モジュールBと、樹脂材料供給モジュールCとを、それぞれ構成要素として備える。各構成要素(各モジュールA~C)は、それぞれの構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0031】
基板供給・収納モジュールAは、成形前基板Wを供給する成形前基板供給部1と、成形済基板W(樹脂成形品P)を収納する成形済基板収納部2とを有する。
【0032】
樹脂成形モジュールBは、基板Wに対して樹脂材料Jを圧縮成形するものである。この樹脂成形モジュールBは、基板Wを保持する成形型である上型3と、キャビティ4Cが形成された成形型である下型4と、上型3及び下型4を型締めする型締め機構5とを有する。そして、樹脂成形モジュールBは、上型3及び下型4を型締めすることにより基板Wに固定された電子部品を、樹脂材料Jを用いた樹脂成形により樹脂封止する。
【0033】
ここで、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBには、成形前基板W及び樹脂成形品Pを搬送する基板搬送機構6が設けられている。
【0034】
この基板搬送機構6は、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBに亘って延びるレール(不図示)上を移動するものである。基板搬送機構6は、基板供給・収納モジュールA及び樹脂成形モジュールBにおいて少なくともX方向及びY方向に移動可能に構成されている。
【0035】
また、基板搬送機構6は、成形前基板Wを基板供給・収納モジュールAから樹脂成形モジュールBに搬送し、樹脂成形モジュールBにおいて成形前基板Wを成形型3、4に供給する。成形前基板Wの樹脂成形後に、基板搬送機構6は、樹脂成形モジュールBにおいて成形型3、4から樹脂成形品Pを受け取って、基板供給・収納モジュールAに搬送する。
【0036】
樹脂材料供給モジュールCは、搬送用部材として例えばトレイTを用い、トレイTに例えば粉粒体状樹脂を供給する樹脂材料供給部21を有する。樹脂材料供給部21は、先端部に粉粒体状樹脂を吐出する樹脂吐出部211を有している。なお、樹脂材料供給モジュールCは、粉粒体状樹脂(顆粒状樹脂を含む)を供給するものの他、液状樹脂、シート状樹脂、タブレット状樹脂などの他の形態の樹脂材料Jを供給するものであっても良い。
【0037】
本実施形態のトレイTは、離型フィルムFを保持するフィルム保持枠も備えるように構成されてもよい。このため、本実施形態の樹脂材料供給モジュールCは、離型フィルムFを切断するフィルム切断部20を有しており、切断された離型フィルムFがトレイTに保持される。なお、樹脂材料供給モジュールCのその他の構成は後述する。
【0038】
ここで、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBには、トレイTを搬送する樹脂材料搬送機構7が設けられている。
【0039】
この樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBに亘って延びるレール(不図示)上を移動するものである。樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールC及び樹脂成形モジュールBにおいて少なくともX方向及びY方向に移動可能に構成されている。
【0040】
また、樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールCにおいて樹脂材料Jが供給され離型フィルムFを保持したトレイTを、樹脂材料供給モジュールCから樹脂成形モジュールBに搬送する。そして、樹脂材料搬送機構7は、樹脂成形モジュールBにおいて、離型フィルムF及び樹脂材料Jを成形型3、4に供給する。成形前基板Wの樹脂成形後に、樹脂材料搬送機構7は、樹脂成形モジュールBにおいて成形型3、4から使用済みの離型フィルムFを回収する。樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料供給モジュールCにある廃棄部25に使用済みの離型フィルムFを廃棄することもできる。
【0041】
<2.樹脂材料供給モジュールC及び集塵装置30の具体的構成>
次に、本実施形態における樹脂材料供給モジュールC及び集塵装置30の具体的な構成について以下に説明する。
【0042】
本実施形態の樹脂材料供給モジュールCは、図1及び図2に示すように、上述した構成の他に、トレイTを清掃する清掃ステージ部22と、トレイT又は離型フィルムFを移動させる移動ステージ部23と、移動ステージ部23を清掃するステージ清掃部24と、樹脂材料J又は使用済みの離型フィルムFを廃棄する廃棄部25とを備えている。
【0043】
清掃ステージ部22は、図1に示すように、トレイTが載置されるステージ22aと、トレイTを清掃するための例えばブラシ等のトレイ清掃体22bと、トレイ清掃体22bによる清掃により生じた塵埃を集塵するための集塵口22Hとを有している。この集塵口22Hには、集塵装置30が接続される(図2参照)。
【0044】
移動ステージ部23は、図1及び図2に示すように、トレイT又は離型フィルムFを移動させるXYステージであり、ステージ清掃部24による清掃により生じた塵埃を集塵するための集塵口23Hを有している。この集塵口23Hには、集塵装置30が接続される(図2参照)。
【0045】
また、ステージ清掃部24は、図1に示すように、移動ステージ部23を清掃するための例えばブラシ等のステージ清掃体24aを有しており、ステージ清掃体24aによる清掃により生じた塵埃を集塵するための集塵口24Hを有しても良い。この集塵口24Hには、集塵装置30が接続される(図2参照)。なおステージ清掃部24は、ステージ清掃体24aを有さずに、集塵口24Hにより移動ステージ部23上の塵埃を集塵する構成であっても良い。
【0046】
廃棄部25は、図1に示すように、樹脂材料J又は使用済みの離型フィルムFを廃棄する廃棄ボックスであり、塵埃を集塵するための集塵口25Hを有している。この集塵口25Hには、集塵装置30が接続される(図2参照)。
【0047】
その他、上述した樹脂材料供給部21にも塵埃を集塵するための集塵口21Hが設けられている(図1図2参照)。この集塵口21Hには、集塵装置30が接続される(図2参照)。
【0048】
なお、上記の集塵口21H~25Hは、各部21~25に設けられる構成のほか、各部21~25に対応してそれらの周囲に設けられる構成でも良い。
【0049】
そして、集塵装置30は、図1及び図2に示すように、樹脂材料供給モジュールCに設けられた1又は複数の集塵口21H~25Hから塵埃を集塵するものである。本実施形態の集塵装置30は、樹脂材料供給モジュールCに設けられているが、別のモジュール又は外部に設けられていても良い。
【0050】
具体的に集塵装置30は、図2に示すように、モータ31aで駆動される送風機31と、モータ31aの回転数を制御するインバータ32とを備えている。
【0051】
送風機31は、羽根(不図示)と、当該羽根を回転駆動するモータ31aとを備えている。本実施形態の送風機31は、ファン、ブロア又は圧縮機を含む概念である。また、モータ31aは、例えば3相誘導電動機である。
【0052】
インバータ32は、モータ31aに出力する交流電圧の周波数を制御してモータ31aの回転数を制御するものである。
【0053】
具体的にインバータ32は、交流電源40の交流電圧を直流電圧に変換するコンバータ回路32aと、コンバータ回路32aからの直流電圧を平滑化するコンデンサ32bと、コンデンサ32bにより平滑化された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路32cと、インバータ回路32cを制御するインバータ制御部32dとを有している。なお、インバータ制御部32dは、後述する制御機器CTLからの制御指令に基づいてインバータ回路32cを制御する。
【0054】
本実施形態のインバータ回路32cは、直流電圧を3相交流電圧に変換するものであり、複数のスイッチング素子(不図示)を用いて構成されている。また、インバータ制御部32dは、インバータ回路32cの複数のスイッチング素子を制御することにより、所定周波数の交流電圧がモータ31aに出力されるようにする。
【0055】
そして、上記の送風機31は、図2に示すように、複数の集塵口21H~25Hに接続された接続配管33に接続されている。接続配管33には、送風機31により集塵する集塵口21H~25Hを切り替える切り替え機構34が設けられている。つまり、切り替え機構34は、複数の集塵口21H~25Hそれぞれに接続された複数の枝管部331が接続されるとともに、送風機31に接続された共通の合流管部332が接続されている。そして、切り替え機構34は、合流管部332と連通する複数の枝管部331を切り替えることにより、送風機31により集塵する集塵口21H~25Hを切り替える。
【0056】
具体的に切り替え機構34は、複数の枝管部331がそれぞれ接続されるチャンバ34aと、チャンバ34aに設けられ、複数の枝管部331を開閉する例えば電磁弁等の開閉弁34bを有する。また、チャンバ34aには、合流管部332が接続されている。
【0057】
そして、切り替え機構34により切り替えられる複数の集塵口21H~25Hに対応してモータ31aの回転数が設定されている。本実施形態では、複数の集塵口21H~25Hに対応して、第1回転数R又は当該第1回転数Rよりも低い回転数である第2回転数Rの何れかが設定されている。
【0058】
ここで、第1回転数Rは、高い集塵能力(強集塵モード)で集塵するための回転数であり、例えば90~120rpmである。また、第2回転数Rは、通常の集塵能力(中集塵モード)で集塵するための回転数であり、例えば50~60rpmである。
【0059】
そして、インバータ32は、図3に示すように、モータ31aの回転数を第1回転数Rに制御し、第1回転数Rから回転数を下げる場合にモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させる。ここで、惰性回転とは、モータ31aが回転している状態でインバータ32からの電力供給を遮断したときにモータ31aが惰性で回転することであり、フリーラン又は空転とも呼ばれる。
【0060】
具体的にインバータ32は、図3に示すように、第1回転数Rと第2回転数Rとの間でモータ31aの回転数を切り替える。また、インバータ32は、第1回転数Rから第2回転数Rに切り替える場合にモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させる。そして、インバータ32は、モータ31aが惰性回転により第2回転数Rに到達した後に、モータ31aを第2回転数Rに制御する。
【0061】
また、インバータ32は、モータ31aを第1回転数Rに制御して、樹脂材料供給モジュールCに設けられた集塵口21H~25Hから塵埃を集塵する第1集塵状態(強集塵モード)と、モータ31aを第2回転数Rに制御して、樹脂材料供給モジュールCに設けられた集塵口21H~25Hから塵埃を集塵する第2集塵状態(中集塵モード)とを切り替える。
【0062】
具体的にインバータ32は、清掃ステージ部22によるトレイTの清掃時、又は、ステージ清掃部24による移動ステージ部23の清掃時に、モータ31aを第1回転数Rに制御する。これにより、清掃ステージ部22の集塵口22H、移動ステージ部23の集塵口23H、又は、ステージ清掃部24の集塵口24Hから塵埃を集塵する第1集塵状態(強集塵モード)となる。
【0063】
一方、インバータ32は、樹脂材料供給部21によるトレイTへの樹脂材料供給時、又は、廃棄部25に樹脂材料J又は使用済みの離型フィルムFを廃棄する時に、モータ31aを惰性回転させる、又は、モータ31aを惰性回転させた後に第2回転数Rに制御する。これにより、樹脂材料供給部21の集塵口21H、又は、廃棄部25の集塵口25Hから塵埃を集塵する第2集塵状態(中集塵モード)となる。その他、インバータ32は、清掃ステージ部22によるトレイTの清掃時及びステージ清掃部24による移動ステージ部23の清掃時以外は、常時モータ31aを第2回転数Rに制御する。
【0064】
<3-1.惰性回転から第2回転数Rへの制御>
ここで、モータ31aが惰性回転している状態から第2回転数Rに制御する場合について説明する。
【0065】
インバータ32は、モータ31aが惰性回転している状態から第2回転数Rに制御する場合には、図3の「E1」時点に示すように、第1回転数Rに制御されているモータ31aへの電気的な接続を解除してから所定の惰性時間経過後に、モータ31aへの通電を再開して第2回転数Rに制御することが考えられる。ここで、所定の惰性時間は、第1回転数Rで回転しているモータ31aに対して電気的な接続を解除した後にモータ31aが惰性回転して第2回転数Rに減速するまでの時間を、予め計算又は実験で求めることにより設定することができる。
【0066】
また、インバータ32は、モータ31aが惰性回転している状態から第2回転数Rに制御する場合には、図3の「E1」時点に示すように、第1回転数Rに制御されているモータ31aへの電気的な接続を解除してから所定時間経過後に、速度サーチ機能を用いて、惰性回転しているモータ31aの回転数を検出する。そして、インバータ32は、その検出した回転数に基づいて、モータ31aへの通電を再開して第2回転数Rに制御することが考えられる。
【0067】
なお、インバータ32の速度サーチ機能は、インバータ32に内蔵された電流検出形速度サーチ機能であり、モータ31aへの通電を再開する前に行われる。この電流検出形速度サーチ機能は、モータ31aに供給する交流電圧の周波数をスイープしつつ、その際にモータ31aに流れる電流を検出し、その検出電流に基づいて、モータ31aの回転数を同定(推定)する既知のものである。
【0068】
<3-2.惰性回転から第1回転数Rへの制御>
次に、モータ31aが惰性回転している状態から第1回転数Rに制御する場合について説明する。
【0069】
インバータ32は、モータ31aが惰性回転している状態から第1回転数Rに制御する場合には、図3の「E2」時点、「E3」時点に示すように、モータ31aの回転数を検出して、当該検出した回転数に基づいて、モータ31aへの通電を再開する。
【0070】
具体的にインバータ32は、モータ31aが惰性回転している状態で第1回転数Rへの制御指令を受け付けると、上記の速度サーチ機能を用いて、惰性回転しているモータ31aの回転数を検出する。そして、インバータ32は、その検出した回転数に基づいて、モータ31aへの通電を再開し、モータ31aを第1回転数Rに制御する。
【0071】
<3-3.第2回転数Rから第1回転数Rへの制御>
なお、インバータ32は、モータ31aを第2回転数Rに制御している状態で第1回転数Rへの制御指令を受け付けた場合には、図3の「E4」時点、「E5」時点に示すように、電流検出形速度サーチ機能を用いること無く、モータ31aの回転数を徐々に上げていき、第1回転数Rに制御する。
【0072】
<4.各モードにおける回転数及び消費電力量>
次に、3つの運転モードにおける回転数及び消費電力量について図4に基づいて説明する。
【0073】
ここで、1つ目の運転モード(図4(a)参照)は、従来の運転モードであり、送風機31のモータ31aを一定の回転数(第1回転数R)となるように制御するものである。2つ目の運転モード(図4(b)参照)は、送風機31のモータ31aをインバータ32により回転制御し、送風機のモータ31aを第1回転数R(強集塵モード)と第2回転数R(中集塵モード)との間で加速制御及び減速制御するものである。3つ目の運転モード(図4(c)参照)は、本実施形態の運転モードであり、送風機31のモータ31aをインバータ32により回転制御し、送風機31のモータ31aを第1回転数R(強集塵モード)から第2回転数R(中集塵モード)に切り替える際に惰性回転させるものである。
【0074】
1つ目の運転モードは、集塵位置に依らず一定の電力を消費することになる。2つ目の運転モードは、1つ目の運転モードに比べて、集塵装置30の消費電力量を削減することができる。これは、樹脂成形装置100の消費電力量の削減につながる。さらに、3つ目の運転モードは、2つ目の運転モードに比べて、減速時の消費電力量をさらに削減することができ、また、減速時の回生エネルギーを消費するための抵抗器などの部品を小型化又は不要にすることができる。
【0075】
<5.樹脂成形装置100の樹脂成形動作>
次に、樹脂成形装置100の動作の一例を、図1を参照して説明する。以下に示す動作は、例えば基板供給・収納モジュールAに設けられた制御機器CTLが樹脂成形装置100の各部を制御することにより行われる。なお、制御機器CTLは、CPU、内部メモリ、入出力インターフェース、AD変換器等を有する専用又は汎用のコンピュータである。
【0076】
(1)成形前基板供給工程
基板供給・収納モジュールAにおいて、基板搬送機構6は、成形前基板供給部1から成形前基板Wを受け取り、樹脂成形モジュールBに搬送する。そして、型開きされた上型3に成形前基板Wを受け渡す。その後、基板搬送機構6は、所定の待機位置に戻る。
【0077】
(2)樹脂材料供給工程
樹脂材料供給モジュールCにおいて、樹脂材料供給部21がトレイTに保持された離型フィルムF上に樹脂材料Jを供給する。このとき、インバータ32はモータ31aを第2回転数Rに制御して中集塵モードとしている。また、切り替え機構34は、樹脂材料供給部21の集塵口21Hから塵埃が集塵されるように切り替えている。
【0078】
その後、樹脂材料搬送機構7は、トレイTを樹脂成形モジュールBに搬送して、型開きされた下型4のキャビティ4Cに離型フィルムFとともに樹脂材料Jを供給する。そして、樹脂材料搬送機構7は、所定の待機位置に戻る。
【0079】
ここで、樹脂材料搬送機構7は、樹脂材料Jを供給した後のトレイTを清掃ステージ部22に搬送して、清掃ステージ部22によりトレイTが清掃される。このとき、インバータ32はモータ31aを第1回転数Rに制御して強集塵モードする。また、切り替え機構34は、清掃ステージ部22の集塵口22Hから塵埃が集塵されるように切り替える。この集塵口22Hによる集塵は、清掃ステージ部22による清掃が開始される前又はその開始と同時に開始される。また、清掃ステージ部22による清掃が終了すると、インバータ32はモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させて中集塵モードに移行する。
【0080】
また、移動ステージ部23は、トレイT又は離型フィルムFを移動させた後に、ステージ清掃部24により清掃される。このとき、インバータ32はモータ31aを第1回転数Rに制御して強集塵モードする。また、切り替え機構34は、移動ステージ部23の集塵口23H又はステージ清掃部24の集塵口24Hから塵埃が集塵されるように切り替える。なお、この集塵口23H又は集塵口24Hによる集塵は、ステージ清掃部24による清掃が開始される前又はその開始と同時に開始される。また、ステージ清掃部24による清掃が終了すると、インバータ32はモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させて中集塵モードに移行する。
【0081】
(3)樹脂成形工程
上記の工程の後、樹脂成形モジュールBにおいて、型締め機構5により上型3及び下型4は所定の型締め圧により型締めされ、加熱される。所定時間が経過した後、型締め機構5により下型4を下降させて、上型3及び下型4が型開きされる。
【0082】
(4)成形済基板搬出工程
成形済基板搬出工程において、基板搬送機構6を移動させて、型開きされた上型3から樹脂成形品Pを受け取る。そして、樹脂成形品Pを受け取った基板搬送機構6を、基板供給・収納モジュールAに移動させ、樹脂成形品Pを基板搬送機構6から成形済基板収納部2に受け渡して収納する。
【0083】
(5)使用済み離型フィルム回収工程
使用済み離型フィルム回収工程において、樹脂材料搬送機構7を移動させて、型開きされた下型4から使用済みの離型フィルムFを回収する。そして、使用済みの離型フィルムFを回収した樹脂材料搬送機構7を、樹脂材料供給モジュールCに移動させ、使用済みの離型フィルムFを廃棄部25に廃棄する。このとき、インバータ32はモータ31aを第2回転数Rに制御して中集塵モードとしている。また、切り替え機構34は、廃棄部25の集塵口25Hから塵埃が集塵されるように切り替えている。
【0084】
<6.本実施形態の効果>
本実施形態の樹脂成形装置100によれば、モータ31aの回転数を第1回転数Rに制御し、第1回転数Rから回転数を下げる場合にモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させているので、樹脂成形装置100に用いられる集塵装置30の消費電力量を低減することができる。高い集塵能力が求められる場合はモータ31aを第1回転数Rで回転し、高い集塵能力が求められない場合はモータ31aを第2回転数Rで回転することができる。その結果、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができ、消費電力量を低減することができる。また、集塵箇所又は集塵タイミング等に応じて適切な集塵を行うことができるので、樹脂成形品Pの品質を向上することができる。
【0085】
<7.その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0086】
例えば、集塵装置30は樹脂材料供給モジュールCに加えて又は樹脂材料供給モジュールCに代えて、その他のモジュール(例えば樹脂成形モジュールB)の集塵を行うものであっても良い。この場合には、集塵対象のモジュールに集塵口を設けて、当該集塵口に集塵装置30を接続する構成となる。
【0087】
前記実施形態では、第1回転数R及び第2回転数Rの2段階で切り替える構成であったが、その他の回転数を加えて3段階以上で切り替える構成としても良い。
【0088】
惰性回転しているモータ31aの回転数の検出方法は、インバータ32の速度サーチ機能の他に、モータ31a等に回転センサを設けてモータ31aの回転数を検出しても良い。
【0089】
前記実施形態のトレイTは、フィルム保持枠を用いて構成されており、離型フィルムFを保持する構成であったが、離型フィルムFを保持しない構成であっても良い。この場合、トレイTは、樹脂材料Jを収容する有底の収容部を有する構成となる。
【0090】
その上、キャビティ4Cに樹脂材料Jを供給する構成は、樹脂材料供給部21を下型4に移動させて、下型4のキャビティ4Cに樹脂材料Jを供給する構成であっても良いし、その他の形式のコンプレッションモールド(圧縮成形)を行う構成であっても良い。また、樹脂成形装置100は、下型4に設けられたポットに樹脂材料Jを収容し、当該樹脂材料Jをプランジャで押し出すトランスファー成形を行うものであっても良い。
【0091】
前記実施形態においては、基板供給・収納モジュールAと樹脂材料供給モジュールCとの間に、1つの樹脂成形モジュールBを接続した構成であるが、2つ以上の樹脂成形モジュールBを接続した構成としても良い。また、基板供給・収納モジュールAと樹脂材料供給モジュールCとを1つのモジュールにして、そのモジュールに樹脂成形モジュールBを接続した構成としても良い。また、樹脂材料供給モジュールCからフィルム切断モジュールを分離させてモジュール化しても良い。さらに、樹脂成形装置は、前記実施形態のように各モジュールにモジュール化されていなくても良い。
【0092】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0093】
100・・・樹脂成形装置
B・・・樹脂成形モジュール
C・・・樹脂材料供給モジュール
W・・・成形対象物
P・・・樹脂成形品
F・・・離型フィルム
T・・・トレイ
3、4・・・成形型
21・・・樹脂材料供給部
22・・・清掃ステージ部
23・・・移動ステージ部
24・・・ステージ清掃部
25・・・廃棄部
21H~25H・・・集塵口
30・・・集塵装置
31・・・送風機
31a・・・モータ
・・・第1回転数
・・・第2回転数
32・・・インバータ
33・・・接続配管
34・・・切り替え機構
【要約】
【課題】樹脂成形装置に用いられる集塵装置の消費電力量を低減する。
【解決手段】樹脂成形装置100に設けられた1又は複数の集塵口21H~25Hから塵埃を集塵する集塵装置30であって、モータ31aで駆動される送風機31と、モータ31aの回転数を制御するインバータ32とを備え、インバータ32は、モータ31aの回転数を第1回転数Rに制御し、第1回転数Rから回転数を下げる場合にモータ31aへの電気的な接続を解除してモータ31aを惰性回転させる。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4