(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-21
(45)【発行日】2023-11-30
(54)【発明の名称】エアロゾル生成装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20231122BHJP
【FI】
A24F40/40
(21)【出願番号】P 2023134004
(22)【出願日】2023-08-21
(62)【分割の表示】P 2023541078の分割
【原出願日】2021-12-10
【審査請求日】2023-08-21
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】丸橋 啓司
(72)【発明者】
【氏名】北原 稔
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-531015(JP,A)
【文献】特許第6864769(JP,B1)
【文献】特開2019-187447(JP,A)
【文献】特開2001-217520(JP,A)
【文献】特開2020-088522(JP,A)
【文献】特開2020-071331(JP,A)
【文献】特表2018-512129(JP,A)
【文献】特表2021-511039(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル源を
加熱する誘導加熱式ヒータと、
前記誘導加熱式ヒータとは別に設けられ、前記誘導加熱式ヒータへ電力を供給可能な電源を含む電源ユニットと、
第1主面及び前記第1主面の裏に位置する第2主面を含む回路基板と、
前記電源と前記回路基板を収容する筐体と、
前記筐体と前記回路基板を支持する支持部材と、を備え、
前記筐体は、前記支持部材から取外し可能な第1部分と第2部分を含み、
前記電源ユニットに含まれる複数の電子部品と、
前記複数の電子部品それぞれへ、前記回路基板の外側に設けられた複数の第1配線を介して接続される複数の第1コネクタと、を備え、
前記複数の第1コネクタは、前記第1主面と前記第2主面のうち、前記第1主面にのみ実装され
、
前記第1部分と前記第2部分のうち前記第2部分のみを前記支持部材から取外した状態では、前記第1配線は露出しない、
エアロゾル生成装置。
【請求項2】
請求項1に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記複数の第1コネクタにおける前記第1配線の挿入方向は、同一である、
エアロゾル生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板は、前記電源ユニットとは別の装置へ、第2配線を介して接続され、
前記回路基板に対する前記第1配線の挿入方向は、前記回路基板に対する前記第2配線の挿入方向とは異なる、
エアロゾル生成装置。
【請求項4】
請求項3に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板に対する前記第1配線の挿入方向は、前記回路基板に対する前記第2配線の挿入方向とは逆である、
エアロゾル生成装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記エアロゾル生成装置において直交する3方向のうち長さの長い順から上下方向、前後方向、左右方向と定義した場合、前記誘導加熱式ヒータと前記電源と前記回路基板は、前記前後方向に並んで配置される、
エアロゾル生成装置。
【請求項6】
請求項5に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記誘導加熱式ヒータ及び前記回路基板は、前記前後方向において、前記誘導加熱式ヒータ、前記第2主面、前記第1主面の順に並ぶように配置される、
エアロゾル生成装置。
【請求項7】
請求項6に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記第1主面に設けられるテストポイントの数は、前記第2主面に設けられるテストポイントの数より多い、
エアロゾル生成装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板は、外部電源から供給される電力を流すための導電パターンである第1導電パターンと、前記第1導電パターンのテストポイントである第1テストポイントと、を備え、
前記第1テストポイントは、前記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置であって、
コントローラを備え、
前記回路基板は、前記コントローラがシリアル通信又はパラレル通信に用いる導電パターンである第2導電パターンと、前記第2導電パターンのテストポイントである第2テストポイントと、を備え、
前記第2テストポイントは、前記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【請求項10】
請求項6から9のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板は、前記誘導加熱式ヒータへ加熱用電力を供給する導電パターンである第4導電パターンと、前記第4導電パターンのテストポイントである第4テストポイントと、を備え、
前記第4テストポイントは、前記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【請求項11】
請求項6から10のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板は、前記第1コネクタへ接続される導電パターンである第5導電パターンと、前記第5導電パターンのテストポイントである第5テストポイントと、を備え、
前記第5テストポイントは、前記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【請求項12】
請求項6から11のいずれか1項に記載のエアロゾル生成装置であって、
前記回路基板は、グランドへ接続される導電パターンである第6導電パターンと、前記第6導電パターンのテストポイントである第6テストポイントを備え、
前記第6テストポイントは、前記第2主面に設けられる、
エアロゾル生成装置。
【請求項13】
請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル生成装置であって、
発光部と、
前記発光部へ、前記回路基板の外側に設けられた第3配線を介して接続される第2コネクタと、を備え、
前記第2コネクタは、前記第1主面と前記第2主面のうち、前記第1主面にのみ実装される、エアロゾル生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヒータと、前記ヒータが加熱されるように電力を供給するバッテリと、制御部と、硬性素材で構成されたメインPCB及びサブPCBと、を含み、前記メインPCBは、エアロゾル生成装置の長手方向に対して平行に配置され、前記サブPCBは、前記エアロゾル生成装置の長手方向に対して垂直に配置され、前記メインPCB及び前記サブPCBは、軟性素材で構成された連結PCBによって電気的に連結されるエアロゾル生成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エアロゾル生成装置の電源ユニットに搭載される多くの電子部品と接続されるコネクタの数が多くなると、その電源ユニットの小型化を妨げることになる。
【0005】
本発明の目的は、多くのコネクタを含む場合でも小型化を実現することが可能なエアロゾル生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のエアロゾル生成装置の電源ユニットは、エアロゾル源を霧化する霧化器へ電力を供給可能な電源と、第1主面と、第1主面の裏に位置する第2主面とを含む、回路基板と、前記電源と前記回路基板を収容する筐体と、前記筐体内に収容される複数の電子部品と、前記複数の電子部品それぞれへ、前記回路基板の外側に設けられた複数の第1配線を介して接続される複数の第1コネクタと、を備え、前記複数の第1コネクタは、前記第1主面と前記第2主面のうち、前記第1主面にのみ実装される、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、多くのコネクタを含む場合でも小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】エアロゾル生成装置200の他の斜視図である。
【
図3】エアロゾル生成装置200の分解斜視図である。
【
図6】内部ユニット2Aの加熱部60及び回路部70の構成を示す斜視図である。
【
図7】メイン基板20の表面201を示す図である。
【
図8】メイン基板20の裏面202を示す図である。
【
図9】パフセンサ基板21の素子搭載面に垂直な方向(換言すると、パフセンサ基板21の厚み方向)に見た平面図である。
【
図10】
図9に示すパフセンサ基板21とセンサ保持部55と吸引センサ15の分解斜視図である。
【
図11】センサ保持部55を除いたシャーシ50の斜視図である。
【
図12】メイン基板20に設けられた回路の概略構成を示す図である。
【
図13】加熱モードの動作にかかわる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。
【
図14】シートヒータHTR及びリキッドヒータの加熱制御と、振動モータ13の駆動制御と、LED21Dの駆動制御とに関わる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。
【
図15】FF9を省略した場合の
図13に対応する回路図である。
【
図16】FF9とANDゲート10を省略した場合の
図13に対応する回路図である。
【
図17】
図6に示した加熱部60及び流路形成体19の分解斜視図である。
【
図19】MCU6の再起動にかかわる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。
【
図20】
図19に示す再起動回路RBTの変形例を示す図である。
【
図21】
図12に対してテストポイント(図中の白い丸印)を追加した回路図である。
【
図22】
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの左上のエリアの拡大図である。
【
図23】
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの左下のエリアの拡大図である。
【
図24】
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの右上のエリアの拡大図である。
【
図25】
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの右下のエリアの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態であるエアロゾル生成装置の電源ユニットについて説明する。先ず、本実施形態の電源ユニットを備えるエアロゾル生成装置について、
図1~
図8を参照しながら説明する。
【0010】
(エアロゾル生成装置)
エアロゾル生成装置200は、燃焼を伴わずに香味が付加されたエアロゾルを生成し、生成したエアロゾルを吸引するための器具である。エアロゾル生成装置200は、手中におさまるサイズであることが好ましく、例えば、
図1及び
図2に示すように、丸みを帯びた略直方体形状を有する。なお、エアロゾル生成装置200の形状はこれに限らず、棒形状、卵型形状等であってもよい。以下の説明では、エアロゾル生成装置200において、直交する3方向のうち、長さの長い順から、上下方向、前後方向、左右方向と称する。また、以下の説明では、便宜上、
図1~
図8に記載したように、前方、後方、左方、右方、上方、下方を定義し、前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0011】
図3も参照して、エアロゾル生成装置200は、電源ユニット100と、第1カートリッジ110と、第2カートリッジ120と、を備える。第1カートリッジ110及び第2カートリッジ120は、電源ユニット100に対して着脱可能である。言い換えると、第1カートリッジ110及び第2カートリッジ120は、それぞれ交換可能である。
【0012】
(電源ユニット)
電源ユニット100は、内部ユニット2Aとケース3aとを備え、内部ユニット2Aの少なくとも一部がケース3aに収容される。
【0013】
ケース3aは、左右方向(厚さ方向)に着脱可能な第1ケース3A及び第2ケース3Bから構成され、これら第1ケース3Aと第2ケース3Bとが左右方向(厚さ方向)に組付けられることで、電源ユニット100の前面、後面、左面、右面が形成される。具体的には、内部ユニット2Aに含まれる後述のシャーシ50の左側の面に第1ケース3Aが支持され、シャーシ50の右側の面に第2ケース3Bが支持されて、内部ユニット2Aがケース3に収容される。電源ユニット100の上面には、前方にカプセルホルダ4Aが設けられる。カプセルホルダ4Aには、上方に開口する開口部4aが設けられる。カプセルホルダ4Aは、開口部4aから第2カートリッジ120が挿入可能に構成される。第2カートリッジ120には、マウスピース130が着脱可能に設けられる。
【0014】
電源ユニット100の上面は、開口部4aの後方に配置されたOLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)カバー5aにより形成され、電源ユニット100の下面は、充電端子1が設けられた下カバー8a及び回動可能な下リッド7aにより形成される。
【0015】
電源ユニット100の上面と後面との間には、後方に向かうにしたがって下方に傾斜する傾斜面が設けられる。傾斜面には、ユーザが操作可能な操作部が設けられる。本実施形態の操作部は、ボタン式のスイッチBTであるが、タッチパネル等から構成されてもよい。操作部は、ユーザの使用意思を反映して後述のMCU(Micro Controller Unit)6及び各種センサを起動/遮断/操作する際等に利用される。
【0016】
下カバー8aからアクセス可能な充電端子1は、バッテリパックBPに含まれる電源baを充電する電力を電源ユニット100に供給可能な外部電源(図示省略)と電気的に接続可能に構成される。充電端子1は、例えば、相手側となるプラグを挿入可能なレセプタクルである。充電端子1としては、各種USB端子等を挿入可能なレセプタクルを用いることができる。一例として、本実施形態においては、充電端子1をUSB Type-C形状のレセプタクルとする。
【0017】
また、充電端子1は、例えば、受電コイルを備え、外部電源から送電される電力を非接触で受電可能に構成されてもよい。この場合の電力伝送(Wireless Power Transfer)の方式は、電磁誘導型でもよいし、磁気共鳴型でもよいし、電磁誘導型と磁気共鳴型を組み合わせたものでもよい。別の一例として、充電端子1は、各種USB端子等が接続可能であり、且つ上述した受電コイルを有していてもよい。
【0018】
内部ユニット2Aは、
図3~
図6に示すように、バッテリパックBPと、シャーシ50と、加熱部60と、回路部70と、通知部と、各種センサと、を備える。
【0019】
シャーシ50は、
図4及び
図5に示すように、前方に位置する円筒状のカートリッジ保持部51と、後方に位置し左側方が切り欠かれた半円筒状のバッテリ保持部52と、カートリッジ保持部51とバッテリ保持部52とを連結する板状の連結部53と、連結部53の下方且つ右方であってカートリッジ保持部51及びバッテリ保持部52に跨るように設けられるモータ保持部54と、カートリッジ保持部51の左後方に設けられるセンサ保持部55と、を備える。
【0020】
カートリッジ保持部51には、下リッド7aを開けた状態で下方から第1カートリッジ110が挿入される。また、第1カートリッジ110が挿入された状態で下リッド7aを閉じることでカートリッジ保持部51には第1カートリッジ110が収容される。カートリッジ保持部51の上部には、カプセルホルダ4Aが取り付けられる。カートリッジ保持部51には、前方に縦長の貫通孔が設けられ、第1ケース3Aと第2ケース3Bとの合わせ部に設けられた残量確認窓3wからは、第1カートリッジ110のエアロゾル源の残量及び後述するLED(Light Emitting Diode)21Dの光が目視可能である。第1カートリッジ110については後述する。
【0021】
バッテリ保持部52にはバッテリパックBPが配置される。バッテリパックBPは、電源baと、電源baの温度を検出するための電源サーミスタと、を含む。電源baは、充電可能な二次電池、電気二重層キャパシタ等であり、好ましくは、リチウムイオン二次電池である。電源baの電解質は、ゲル状の電解質、電解液、固体電解質、イオン液体の1つ又はこれらの組合せで構成されていてもよい。
【0022】
モータ保持部54には、振動モータ13が配置される。センサ保持部55には、ユーザの吸引動作(パフ動作)に応じた出力を行う後述する吸引センサ15が配置される。
【0023】
加熱部60は、
図6に示すように、筒状の伝熱チューブ61と、伝熱チューブ61の外周に巻回されたシートヒータHTRと、を備える。シートヒータHTRの周囲には前述のカプセルホルダ4Aが離間して設けられる。カプセルホルダ4AとシートヒータHTRとの間の空気層が断熱材として機能する。伝熱チューブ61には、カプセルホルダ4Aの開口部4aから挿入される第2カートリッジ120の下部が収容され、第2カートリッジ120の下部がシートヒータHTRによって加熱される。これにより、加熱部60がない場合に比べて、第2カートリッジ120に貯留する香味源が香味を放出しやすくなるため、エアロゾルに香味が付加されやすくなる。
【0024】
なお、加熱部60は、第2カートリッジ120を加熱可能な素子であればよい。素子としては、抵抗発熱体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。抵抗発熱体としては、例えば、温度の増加に伴って抵抗値も増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を有するものが好ましく用いられる。これに代えて、温度の増加に伴って抵抗値が低下するNTC(Negative Temperature Coefficient)特性を有するものを用いてもよい。加熱部60は、第2カートリッジ120へ供給する空気の流路を画定する機能、及び第2カートリッジ120を加熱する機能を有する。
【0025】
通知部は、電源baの充電状態、第1カートリッジ110の残量、第2カートリッジ120の残量等の各種情報を通知する。本実施形態の通知部は、LED21Dと、振動モータ13と、を含む。通知部は、LED21Dのような発光素子によって構成されていてもよく、振動モータ13のような振動素子によって構成されていてもよく、音出力素子によって構成されていてもよい。通知部は、発光素子、振動素子、及び音出力素子のうち、2以上の素子の組合せであってもよい。
【0026】
各種センサは、ユーザのパフ動作(吸引動作)を検出する吸引センサ15、シートヒータHTRの温度を検出するヒータ温度センサ等を含む。
【0027】
吸引センサ15は、例えば、コンデンサマイクロフォンや圧力センサや流量センサ等から構成される。複数の吸引センサ15を離間して配置し、これらの出力値の差などからパフ動作を検出してもよい。ヒータ温度センサは、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2とを含む。第1サーミスタth1及び第2サーミスタth2は、シートヒータHTRと接する又は近接することが好ましい。シートヒータHTRがPTC特性やNTC特性を有する場合、シートヒータHTRそのものをヒータ温度センサに用いてもよい。ヒータ温度センサは、2つのサーミスタにより構成されるものとしているが、1つのサーミスタで構成されていてもよい。
【0028】
回路部70は、リジッドな4つの回路基板と、3つのFPC(Flexible Printed Circuits、フレキシブルプリント回路基板)と、複数のIC(Integrated Circuit)と、複数の素子と、を備える。4つの回路基板は、メイン基板20、パフセンサ基板21、ポゴピン基板22、OLED基板26から構成される。3つのFPCは、メインFPC23、ヒータFPC24、OLED FPC25から構成される。
【0029】
メイン基板20は、素子搭載面が前後方向を向くように、バッテリパックBPとケース3aの後面(電源ユニット100の後面)との間に配置される。メイン基板20は、複数層(本実施形態では6層)の基板が積層されて構成され、MCU6、充電IC3等の電子部品(素子)が搭載される。
【0030】
詳細は
図12等を用いて後述するが、MCU6は、吸引センサ15等の各種センサ装置、操作部、通知部、及び、パフ動作の回数又は負荷及びシートヒータHTRへの通電時間等を記憶するメモリ等に接続され、エアロゾル生成装置200の各種の制御を行う制御装置である。具体的には、MCU6は、プロセッサを主体に構成されており、プロセッサの動作に必要なRAM(Random Access Memory)と各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体をさらに含む。本明細書におけるプロセッサとは、例えば、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。なお、MCU6に接続される要素の一部(例えば、吸引センサ15やメモリ)は、MCU6内部にMCU6自身の機能として設けられてもよい。
【0031】
充電IC3は、充電端子1から入力される電力による電源baの充電制御を行ったり、電源baの電力をメイン基板20の電子部品等に対して供給したりするICである。
【0032】
メイン基板20について
図7及び
図8を参照しながらより具体的に説明する。以下では、メイン基板20の後方を向く面を便宜上、表面201と称し、メイン基板20の前方を向く面を便宜上、裏面202と称する。
図7は、メイン基板20の表面201を示す図であり、
図8は、メイン基板20の裏面202を示す図である。メイン基板20は上下に延びる板状であり、
図7及び
図8には、メイン基板20の長手方向へ直交する側面として、上側の側面である上側面20SUと、下側の側面である下側面20SDとが示されている。また、メイン基板20の短手方向へ直交する側面として、左側の側面である左側面20SLと、右側の側面である右側面20SRとが示されている。
【0033】
図8に示すように、MCU6及び充電IC3は、充電端子1とともにメイン基板20の裏面202に実装される。裏面202には、更に、デバッグ用コネクタ20Eが実装される。デバッグ用コネクタ20Eは、MCU6のプログラムの書き換え等をパーソナルコンピュータ等の外部機器から行うためのインタフェースであり、例えばSWD(Serial Wire Debug)の規格に準拠したものが用いられる。一方、
図7に示すように、メイン基板20の表面201には、OLEDコネクタ20C、ヒータコネクタ20B、メインコネクタ20A、及びバッテリパックBPにリード線16(
図6参照)を介して接続されるバッテリコネクタ20Dが実装される。
【0034】
パフセンサ基板21は、
図4及び
図6に示すように、素子搭載面が右前方及び左後方を向くようにシャーシ50のセンサ保持部55に配置される。パフセンサ基板21には、吸引センサ15が実装される。
【0035】
OLED基板26は、
図6に示すように、素子搭載面が上下方向を向くようにバッテリパックBPとOLEDカバー5aとの間に配置される。OLED基板26には、OLEDパネル17が実装される。
【0036】
ポゴピン基板22は、
図6に示すように、下リッド7aが閉じた状態で、素子搭載面が上下方向を向くように下リッド7aに配置される。ポゴピン基板22には、メイン基板20からメインFPC23を介して電力が供給される入力側接点P1~P3と、第1カートリッジ110に設けられた負荷に電気的に接続されるコネクタであるポゴピンp1~p3と、が設けられる。入力側接点P1~P3は、下リッド7aが閉じた状態でのみメインFPC23と電気的に接続される。ポゴピンp1~p3は、周方向に等間隔に3本設けられ、少なくとも2本のポゴピンがカートリッジ保持部51に収容される第1カートリッジ110の+端子及び-端子と電気的に接続されるように構成される。
【0037】
バッテリ保持部52に保持されたバッテリパックBPは、半円筒状のバッテリ保持部52により左側がバッテリ保持部52から露出する。バッテリ保持部52が切り欠かれることで形成されるバッテリパックBPの左方と第1ケース3Aとの間の空間には、
図3、4、及び
図6に示すように、メインFPC23、ヒータFPC24、OLED FPC25が重なりあうように配置されている。
【0038】
3つのFPCのうち、メインFPC23が最もバッテリパックBPの近くに配索され、メインFPC23に一部が重なるようにOLED FPC25が配索され、さらにOLED FPC25に重なるようヒータFPC24が配索される。即ち、3つのFPCのうち最も大きな電力が供給されるヒータFPC24がバッテリパックBPから最も離間して配索されている。メインFPC23は、展開した形状が略十字形状となっており、ヒータFPC24と重なる箇所において、後方に折り返されている。つまり、メインFPC23は、折込まれた折込配線となっている。メインFPC23の折り返された部分は、左右方向に浮き上がりやすくなるが、この部分にヒータFPC24及びOLED FPC25が重なることで、このような浮き上がりが阻止されている。スイッチBTは、リジッドな基板などを介することなく、メインFPC23に直接実装されている。
【0039】
OLED FPC25は、一端がメイン基板20のOLEDコネクタ20Cに接続され、他端がOLED基板26に接続されている。
【0040】
メインFPC23は、メイン基板20のメインコネクタ20Aと、操作部のスイッチBTと、パフセンサ基板21のコネクタ21Bと、ポゴピン基板22の入力側接点P1~P3と、を接続する。
【0041】
ヒータFPC24は、一端がメイン基板20のヒータコネクタ20Bに接続され、他端にシートヒータHTRが一体形成されている。
【0042】
(第1カートリッジ)
第1カートリッジ110は、円筒状のカートリッジケース111の内部に、エアロゾル源を貯留するリザーバと、エアロゾル源を霧化する電気的な負荷と、リザーバから負荷へエアロゾル源を引き込むウィックと、エアロゾル源が霧化されることで発生したエアロゾルが第2カートリッジ120に向かって流れるエアロゾル流路と、を備える。エアロゾル源は、グリセリン、プロピレングリコール、又は水等の液体を含む。
【0043】
負荷は、電源baからポゴピン基板22のポゴピンp1~p3を介して供給される電力によって、燃焼を伴わずにエアロゾル源を加熱する発熱素子であり、例えば所定ピッチで巻き回される電熱線(コイル)によって構成される。負荷は、エアロゾル源を加熱することで、エアロゾル源を霧化する。負荷としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、誘導加熱式のヒータ等を用いることができる。以下では、第1カートリッジ110に設けられた負荷のことをリキッドヒータとも記載する。
【0044】
エアロゾル流路は、シャーシ50のカートリッジ保持部51に収容された流路形成体19(
図6参照)を介して第2カートリッジ120に接続される。
【0045】
(第2カートリッジ)
第2カートリッジ120は、香味源を貯留する。シートヒータHTRによって第2カートリッジ120が加熱されることで、香味源が加熱される。第2カートリッジ120は、リキッドヒータによってエアロゾル源が霧化されることで発生したエアロゾルを香味源に通すことによってエアロゾルに香味を付加する。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこ、又は、たばこ原料を粒状に成形した成形体を用いることができる。香味源は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、漢方、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントール等の香料が付与されていてもよい。
【0046】
エアロゾル生成装置200は、エアロゾル源と香味源によって、香味が付加されたエアロゾルを発生させることができる。つまり、エアロゾル源と香味源は、香味が付加されたエアロゾルを発生させるエアロゾル生成源を構成している。
【0047】
エアロゾル生成装置200におけるエアロゾル生成源は、ユーザが交換して使用する部分である。この部分は、例えば、1つの第1カートリッジ110と、1つ又は複数(例えば5つ)の第2カートリッジ120とが1セットとしてユーザに提供される。また、バッテリパックBPは電源baが大幅に劣化しない限り、繰り返し充放電可能である。したがって、エアロゾル生成装置200においては、電源ユニット100又はバッテリパックBPの交換頻度が最も低く、第1カートリッジ110の交換頻度が次に低く、第2カートリッジ120の交換頻度が最も高くなっている。なお、第1カートリッジ110と第2カートリッジ120を一体化して1つのカートリッジとして構成してもよい。香味源の代わりに薬剤等がエアロゾル源に付加された構成等であってもよい。
【0048】
このように構成されたエアロゾル生成装置200では、ケース3a又は内部ユニット2Aに設けられた不図示の空気取込口から流入した空気が、第1カートリッジ110の負荷付近を通過する。負荷は、ウィックによってリザーバから引き込まれたエアロゾル源を霧化する。霧化されて発生したエアロゾルは、取込口から流入した空気と共にエアロゾル流路を流れ、流路形成体19を介して第2カートリッジ120に供給される。第2カートリッジ120に供給されたエアロゾルは、香味源を通過することで香味が付加され、マウスピース130の吸口131に供給される。
【0049】
以下、シャーシ50に支持されるメイン基板20に実装されたコネクタの詳細について説明する。
図7に示したメイン基板20の表面201に実装されたメインコネクタ20A、ヒータコネクタ20B、OLEDコネクタ20C、及びバッテリコネクタ20Dには、それぞれ、メインFPC23のコネクタ、ヒータFPC24のコネクタ、OLED FPC25のコネクタ、及びリード線16が、右方向に挿入される。右方向へ挿入は、左から右へ向かう向きの挿入を指す。メインFPC23のコネクタ、ヒータFPC24のコネクタ、OLED FPC25のコネクタ、及びリード線16は、それぞれ、挿入されるコネクタの位置からメイン基板20の左側面20SLを跨いでバッテリパックBP側まで配策されている。
図8に示したメイン基板20の裏面202に実装されたデバッグ用コネクタ20Eには、図示省略の接続ケーブルのコネクタが、左方向に挿入される。左方向へ挿入は、右から左へ向かう向きの挿入を指す。メイン基板20の裏面202に実装された充電端子1には、図示省略のUSBケーブルのコネクタが、上方向に挿入される。上方向へ挿入は、下から上へ向かう向きの挿入を指す。
【0050】
このように、メイン基板20には、配線(FPCやリード線)が常時接続される4つのコネクタ(OLEDコネクタ20C、ヒータコネクタ20B、メインコネクタ20A、及びバッテリコネクタ20D)と、必要な場合にのみ配線(接続ケーブルやUSBケーブル)が接続されるデバッグ用コネクタ20E及び充電端子1と、が異なる素子搭載面に実装されている。このため、上記4つのコネクタに接続される配線の配索が容易となる。特に、上述したように上記4つのコネクタに対する配線の挿入方向を同一とすることで、配線の配索が更に容易となり、余剰スペースの低減等の設計が容易となるため、電源ユニット100の小型化が実現できる。
【0051】
また、表面201に実装された4つのコネクタに対する配線の挿入方向は右方向で共通化されている。一方、裏面202に実装されたデバッグ用コネクタ20Eに対する配線の挿入方向は、上記4つのコネクタとは異なる方向(具体的には逆方向)となっている。これにより、デバッグ用コネクタ20Eに接続ケーブルを挿入する際に、この接続ケーブルが上記4つのコネクタに挿入される配線と干渉するのを防ぐことができる。また、充電端子1に対する配線の挿入方向は、デバッグ用コネクタ20Eに対する配線の挿入方向とは異なる方向(具体的にはその挿入方向に直交する方向)となっている。これにより、デバッグ用コネクタ20Eに接続ケーブルを挿入し且つ充電端子1にUSBケーブルを接続する場合でも、これら2つのケーブルが干渉するのを防ぐことができる。
【0052】
また、デバッグ用コネクタ20Eは、ケース3aのうちの第2ケース3Bのみをシャーシ50から取外すことで、接続ケーブルを挿抜可能となる。換言すれば、デバッグ用コネクタ20Eは、ケース3aのうちの第1ケース3Aを取り付けたままでも、接続ケーブルを挿抜可能である。また、ケース3aのうちの第2ケース3Bのみをシャーシ50から取外した状態(第1ケース3Aを取り付けたままの状態)では、上記4つのコネクタとこれらに接続される配線は露出しない。この結果、デバッグ用コネクタ20Eに対する接続ケーブルの挿抜時において、表面201の4つコネクタやこれらに接続される配線に人が触れてしまうのを防ぐことができる。
【0053】
また、
図3に示すように、メイン基板20の表面201は、バッテリパックBP側とは反対側を向いている。換言すると、メイン基板20の表面201とケース3aの後面との距離は、メイン基板20の裏面202とケース3aの前面との距離よりも小さい。更に、メイン基板20の表面201とこの表面201に対向するケース3aの内壁(ケース3aの後面)との間には、内部ユニット2Aを構成する他の部品は存在していない。これにより、表面201とケース3aとの距離を最小限として電源ユニット100の更なる小型化が図られている。
【0054】
次に、ケース3a内における吸引センサ15の保持機構の詳細について説明する。
図9及び
図10は、パフセンサ基板21とセンサ保持部55の詳細構成を示す図である。
図9は、パフセンサ基板21の素子搭載面に垂直な方向(換言すると、パフセンサ基板21の厚み方向)に見た平面図である。
図10は、
図9に示すパフセンサ基板21とセンサ保持部55と吸引センサ15の分解斜視図である。
図11は、センサ保持部55を除いたシャーシ50の斜視図である。
【0055】
図10に示すように、吸引センサ15は、略円柱状の外形となっており、軸方向の一端に配置された固定電極151と、軸方向の他端に配置され且つ固定電極151に対し軸方向に移動可能な可動電極152と、リング状の側面153と、を備える。吸引センサ15の固定電極151側の面には、吸引センサ15の出力端子、グランド端子、及び電源端子からなる端子群15Aが突出して設けられている。
【0056】
図9及び
図10に示すように、パフセンサ基板21は、上下方向に延びる板状である。以下では、パフセンサ基板21のセンサ保持部55側と反対側の面を便宜上、表面214と称し、パフセンサ基板21のセンサ保持部55側の面を便宜上、裏面215と称する。また、パフセンサ基板21の短手方向の長さのことを幅と記載する。
【0057】
図9に示すように、パフセンサ基板21は、長手方向の一端(下端)に配置され且つ幅が最も狭い第1部分211と、第1部分211から上に離間して配置された幅が最も広い第3部分213と、第1部分211と第3部分213を接続する第2部分212と、を備える。第2部分212の幅は、第1部分211から第3部分213に向かって広くなっており、第1部分211の幅よりも広く、第3部分213の幅よりも狭くなっている。パフセンサ基板21では、第2部分212によって幅が緩やかに変化しているため、パフセンサ基板21の縁の近くを通る導電パターンが、幅の変化する部分にて鋭角のカーブを有さなくなる。これにより導電パターンの寄生抵抗や寄生インダクタンスが低減し、パフセンサ基板21上で生じる可能性がある熱やノイズが低減されるようになっている。より具体的には、
図9の平面視において、第3部分213と第2部分212によって形成される頂点の角度θ1が90度以上となっており、第2部分212と第1部分211によって形成される頂点の角度θ2が90度以上となっていることで、この角度にそった導電パターンを設けることが容易となり、導電パターンが鋭角となるのを防ぐことができる。
【0058】
吸引センサ15は、第1部分211の裏面215に実装されている。第1部分211には、厚み方向に貫通する3つ貫通孔15Bが形成されている。この貫通孔15Bには、裏面215側から、吸引センサ15の端子群15Aが挿通される。パフセンサ基板21には、コネクタ21Bと電気的に接続された後述のパフセンサ用コネクタ21Aが設けられており、貫通孔15Bに挿通された吸引センサ15の端子群15Aは、このパフセンサ用コネクタ21Aと電気的に接続される。吸引センサ15の出力信号は、パフセンサ用コネクタ21Aと、コネクタ21Bと、コネクタ21Bに接続されたメインFPC23とを経由してMCU6に入力されるようになっている。
図9に示すように、第1部分211の幅は、吸引センサ15が外側に張り出すことのできる程度に小さくなっている。つまり、吸引センサ15は、パフセンサ基板21から外側に張り出す部分を有する。また、吸引センサ15の幅は、第3部分213の幅と同じになっている。なお、吸引センサ15の幅は、第3部分213の幅より小さくてもよい。このように、第3部分213の幅を吸引センサ15の幅以上とすることで、パフセンサ基板21により多くの電子部品を実装可能となる。
【0059】
図11に示すように、第1カートリッジ110を収容する略円柱状の空洞を画定するカートリッジ保持部51には、左後方の側面に開口51Hが形成されている。開口51Hの周縁部51Eは僅かに窪んでおり、この周縁部51Eに、センサ保持部55が接着剤等で固着されて、開口51Hがセンサ保持部55によって閉じられる。
【0060】
センサ保持部55は、略円筒状のカートリッジ保持部51の外周面の湾曲形状に対応した湾曲形状となっている。つまり、上方向から見た場合に、センサ保持部55は、カートリッジ保持部51の周方向に沿う形状となっている。センサ保持部55をこのような湾曲形状とすることで、ケース3a内の領域を有効活用でき、電源ユニット100の小型化に寄与できる。
【0061】
図10に示すように、センサ保持部55は、左後方に突出し且つ上下方向に延びる突出部550を有する。突出部550は、凹部551Bが形成された平坦面551Aを有する上部分551と、この上部分551の下側に配置された略円環状の下部分552とを備える。下部分552に形成された貫通孔552Aの内径は、吸引センサ15の外径にほぼ等しい。
【0062】
パフセンサ基板21に実装された吸引センサ15が、貫通孔552Aに圧入されることで、下部分552の内周面と吸引センサ15の側面153とが当接し、吸引センサ15及びパフセンサ基板21は、
図9に示すように、センサ保持部55によって支持される。
図9に示す状態では、可動電極152がカートリッジ保持部51に面するため、吸引センサ15が、カートリッジ保持部51の内部空間の圧力変動を検出可能になる。ユーザが吸引を行うと、この内部空間の圧力変動が生じるため、吸引センサ15によってユーザの吸引を検出可能となる。また、
図9に示す状態においては、パフセンサ基板21の裏面215に実装されたLED21Dが、センサ保持部55の凹部551Bと対向する。センサ保持部55又はこの凹部551Bは、光透過性を持つ材料によって構成されており、LED21Dからの光は、カートリッジ保持部51の開口51Hを通して、カートリッジ保持部51に収容された第1カートリッジ110のエアロゾル源を照明する。これにより、ユーザは残量確認窓3wから、第1カートリッジ110のエアロゾル源の残量を目視しやすくなる。
【0063】
前述したように、吸引センサ15の側面153は、パフセンサ基板21から外側に張り出す部分を有する。このため、吸引センサ15をパフセンサ基板21に実装した後、この側面153を把持して、吸引センサ15を貫通孔552Aに容易に圧入できる。これにより、電源ユニット100の製造時において、吸引センサ15の可動電極152や固定電極151という敏感な部品を指などで触れる虞が減って、吸引センサ15の故障を防ぐことができる。
【0064】
また、センサ保持部55の下部分552には、
図9及び
図10に示したように、周縁部における一部に、切欠き553が設けられている。この切欠き553があることで、吸引センサ15が貫通孔552Aに圧入される過程において、吸引センサ15の側面153を把持した状態を維持しやすくなる。このため、吸引センサ15をセンサ保持部55により容易に圧入できる。
【0065】
また、センサ保持部55の切欠き533は、
図4に示すように、ケース3aのうちの第1ケース3Aをシャーシ50から取外した状態で外部に露出する。このため、ケース3aをシャーシ50から取外した状態で切欠き533が外部に露出しない構成と比べると、吸引センサ15のメンテナンスやセンサ保持部55への取り付け作業を容易とすることができる。
【0066】
センサ保持部55は、電源ユニット100の長手方向(上下方向)と短手方向(前後方向)と厚さ方向(左右方向)のうちの2つの方向(図の例では、短手方向と厚さ方向)に対して、貫通孔552Aの径方向(貫通孔552Aの延びる方向に直交する平面に沿う方向)が交差するように配置されている。例えば、カートリッジ保持部51の後面に、短手方向が左右方向と一致し且つ長手方向が上下方向に一致するようにセンサ保持部55を固着する場合を想定すると、前後方向は貫通孔552Aの径方向に交差するものの、上下方向と厚み方向はいずれも貫通孔552Aの径方向と平行になる。このような構成では、内部ユニット2Aの厚み(左右方向の長さ)と幅(前後方向の長さ)が大きくなる。これに対し、カートリッジ保持部51の斜め左後ろの面にセンサ保持部55を固着する本形態の構成によれば、内部ユニット2Aの厚みと幅を小さくでき、これによって電源ユニット100の小型化が実現できる。
【0067】
また、例えば、エアロゾル生成装置200の形状が全体として細長い筒状であり、カプセルホルダ4A、カートリッジ保持部51、バッテリパックBPが直線状に並ぶ構成を想定する。この場合、例えば、カートリッジ保持部51の左面に、短手方向が前後方向と一致し且つ長手方向が上下方向に一致するようにセンサ保持部55を固着する場合を想定すると、厚み方向は貫通孔552Aの径方向に交差するものの、上下方向と前後方向はいずれも貫通孔552Aの径方向と平行になる。このような構成では、内部ユニット2Aの厚みと幅が大きくなる。これに対し、カートリッジ保持部51の斜め左後ろの面にセンサ保持部55を固着する本形態の構成によれば、内部ユニット2Aの厚みと幅を小さくでき、これによって電源ユニット100の小型化が実現できる。
【0068】
パフセンサ基板21の表面214には、パフセンサ用コネクタ21A及び後述の振動モータ用コネクタ21Cへ電気的に接続されたコネクタ21Bと、吸引センサ15の出力端子から出力される信号からパフセンサ基板21に実装される他の電気部品又はMCU6を保護する保護部品としてのバリスタVと、吸引センサ15の電源端子へ入力される電力から吸引センサ15を保護する保護部品としてのコンデンサC2と、が実装されている。なお、パフセンサ基板21には、吸引センサ15以外にICは実装されていない。このように、パフセンサ基板21には、吸引センサ15以外に、ノイズの発生源となり得るICが存在しないことで、吸引センサ15を安定的に動作させることができるようになっている。
【0069】
図9に示すように、コンデンサC2は、第1部分211に実装されている。また、バリスタVは、第1部分211と第2部分212に跨って実装されている。このように、パフセンサ基板21の厚み方向にみて吸引センサ15の端子群15Aと近い位置に、コンデンサC2とバリスタVが実装されることで、吸引センサ15に入力又は吸引センサ15から出力されるノイズを保護部品により迅速に処理できる。
【0070】
上述したようにケース3a内においてシャーシ50に支持された吸引センサ15は、第1ケース3Aをシャーシ50から取外していない状態では、外部に露出することはない。換言すると、吸引センサ15は、第1ケース3Aをシャーシ50から取外した場合にのみ外部に露出する。例えば、第2ケース3Bのみをシャーシ50から取外してデバッグ用コネクタ20Eを利用する場合には、吸引センサ15が外部に露出しないので、吸引センサ15が故障しにくくなるメリットを得ることができる。
【0071】
(回路構成)
図12は、メイン基板20に設けられた回路の概略構成を示す図である。
図12には、メイン基板20の回路に加えて、メイン基板20のメインコネクタ20Aに接続されたメインFPC23と、メインFPC23に接続されたパフセンサ基板21と、メインFPC23に接続されたポゴピン基板22と、バッテリコネクタ20Dに接続されたバッテリパックBPと、が図示されている。
【0072】
図12において太い実線で示した配線は、電源ユニット100の基準となる電位(グランド電位、以下一例として0Vとする)と同電位となる配線(電源ユニット100に設けられたグランドに接続される配線)であり、この配線を以下ではグランドラインと記載する。
【0073】
メイン基板20には、複数の回路素子をチップ化した電子部品である主要なICとして、保護IC2と、充電IC3と、LDO(Low Dropout)レギュレータ(以下、LDOと記載)4と、DC/DCコンバータで構成された昇圧回路5と、MCU6と、コンデンサ、抵抗器、及びトランジスタ等を組み合わせて構成されたロードスイッチ(以下、LSWと記載)7と、マルチプレクサ8と、フリップフロップ(以下、FFと記載)9と、ANDゲート(
図12では単に“AND”と記載)10と、DC/DCコンバータで構成された昇圧回路11と、オペアンプOP1と、オペアンプOP2と、が設けられている。
【0074】
メイン基板20には、更に、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)によって構成されたスイッチQ1~Q9と、固定の電気抵抗値を持つ抵抗器R1~R12、RA、RBと、コンデンサC1と、コンデンサC2と、バリスタVと、充電IC3に接続されたリアクトルL3と、昇圧回路5に接続されたリアクトルL5と、昇圧回路11に接続されたリアクトルL11と、が設けられている。スイッチQ3、スイッチQ4、スイッチQ7、スイッチQ8、及びスイッチQ9は、それぞれ、Nチャネル型MOSFETによって構成されている。スイッチQ1、スイッチQ2、スイッチQ5、及びスイッチQ6は、それぞれ、Pチャネル型MOSFETによって構成されている。スイッチQ1~Q8は、それぞれ、ゲート端子の電位がMCU6によって制御されることで、オン状態とオフ状態が切り替えられる。
【0075】
図12において、オペアンプを除く各ICには、各種端子の符号を記載している。チップに搭載される端子VCC及び端子VDDは、それぞれ、高電位側の電源端子を示す。チップに搭載される端子VSS及び端子GNDは、それぞれ、低電位側(基準電位側)の電源端子を示す。チップ化された電子部品は、高電位側の電源端子の電位と低電位側の電源端子の電位の差分が、電源電圧(動作電圧)となる。チップ化された電子部品は、この電源電圧を用いて、各種機能を実行する。
【0076】
図12において、オペアンプを除く各ICの端子GNDと端子VSSは、それぞれグランドラインに接続されている。また、充電端子1の端子GNDとオペアンプOP1の負電源端子とオペアンプOP2の負電源端子は、それぞれ、グランドラインに接続されている。
【0077】
メイン基板20に設けられたバッテリコネクタ20D(
図12中の左中央付近参照)は、充電IC3の検出端子SNS及び充電IC3の充電端子BATのそれぞれへ接続された端子BATと、メイン基板20のグランドラインへ接続された端子GNDと、MCU6の端子P25へ接続された端子TH3と、を備える。バッテリコネクタ20Dの端子BATは、バッテリパックBPに含まれる電源baの正極側端子にリード線16によって接続されている。バッテリコネクタ20Dの端子TH3は、バッテリパックBPに含まれる電源サーミスタth3の正極側端子にリード線16によって接続されている。バッテリコネクタ20Dの端子GNDは、電源baの負極側端子と電源サーミスタth3の負極側端子のそれぞれにリード線16によって接続されている。
【0078】
メイン基板20に設けられたOLEDコネクタ20C(
図12中の左下付近参照)は、昇圧回路5の出力端子VOUTへ接続された端子VCC_Rと、LDO4の出力端子OUTへ接続された端子VDDと、MCU6の端子P24へ接続された端子RSTBと、MCU6の通信用端子P28へ信号線SLによって接続された通信用端子T3と、メイン基板20のグランドラインに接続された端子VSSと、を備える。
【0079】
OLEDコネクタ20Cの端子VCC_Rは、OLEDパネル17の駆動電圧供給端子へOLED FPC25によって接続されている。OLEDコネクタ20Cの端子VDDは、OLEDパネル17を制御する制御ICの電源端子へOLED FPC25によって接続されている。OLEDパネル17の駆動電圧供給端子に供給すべき電圧は、例えば15V程度であり、OLEDパネル17の制御ICの電源端子へ供給すべき電圧よりも大きい。OLEDコネクタ20Cの端子VSSは、OLEDパネル17とOLEDパネル17の制御ICのそれぞれのグランド端子へOLED FPC25によって接続されている。OLEDコネクタ20Cの端子RSTBは、OLEDパネル17の制御ICにおける再起動を行うための端子へOLED FPC25によって接続されている。
【0080】
OLEDコネクタ20Cの通信用端子T3に接続された信号線SLは、充電IC3の通信用端子T3にも接続されている。この信号線SLにより、MCU6は、充電IC3との間の通信と、OLEDパネル17の制御ICとの間の通信とが可能になっている。この信号線SLは、シリアル通信を行うためのものであり、実際には、データ送信用のデータラインと同期用のクロックラインなどの複数の信号線が必要になる。
図12では、簡略化のため、信号線SLが1本の信号線として図示されている点に留意されたい。なお、MCU6と充電IC3及びOLEDパネル17の制御ICとの間の通信は、シリアル通信ではなくパラレル通信で行うようにしてもよい。
【0081】
メイン基板20に設けられたデバッグ用コネクタ20E(
図12中の左下付近参照)は、LDO4の出力端子OUTへ接続された端子VMCUと、MCU6の通信用端子P23へ接続された端子T1(図では1つとしているが実際には2つの端子)と、MCU6の通信用端子P22へ接続された端子T2(図では1つとしているが実際には2つの端子)と、MCU6の端子P27へ接続された端子NRSTと、メイン基板20のグランドラインに接続された端子GNDと、を備える。端子NRSTは、ゲート端子がスイッチQ7のドレイン端子へ接続され且つソース端子がグランドラインに接続されたスイッチQ9のドレイン端子にも接続されている。デバッグ用コネクタ20Eは、エアロゾル生成装置200の通常の使用状態において使用されることはなく、MCU6に記憶された情報(プログラムを含む)の書き換え等のメンテナンスが必要になったときにのみ、製造者や販売者が用意したコンピュータと接続されて使用される。
【0082】
メイン基板20に設けられたメインコネクタ20A(
図12中の右中央付近参照)は、MCU6の端子P19へ接続された端子PUFFと、ゲート端子がMCU6の端子P20へ接続され且つソース端子がグランドラインへ接続されたスイッチQ8のドレイン端子へ接続された端子LEDと、LSW7の出力端子OUTへ接続された端子VIBと、充電IC3の昇圧出力端子RNへ接続された端子VOTGと、抵抗器R5を介してLDO4の出力端子OUTへ接続された端子VMCUと、グランドラインへ接続された端子GNDと、抵抗器R4とこれに直列接続された抵抗器R3からなる分圧回路を介してLDO4の出力端子OUTへ接続された端子KEYと、ゲート端子がMCU6の端子P12へ接続され且つソース端子が昇圧回路11の出力端子VOUTへ接続されたスイッチQ1のドレイン端子に接続された端子HT1(P1)と、ゲート端子がMCU6の端子P13へ接続され且つソース端子が昇圧回路11の出力端子VOUTへ接続されたスイッチQ2のドレイン端子、及び、ゲート端子がMCU6の端子P17へ接続され且つソース端子がグランドラインへ接続されたスイッチQ4のドレイン端子に接続された端子HT1(P2)と、ゲート端子がMCU6の端子P18へ接続され且つソース端子がグランドラインへ接続されたスイッチQ3のドレイン端子に接続された端子HT1(P3)と、が設けられている。
【0083】
メインコネクタ20Aの端子HT1(P1)は、ポゴピンp1に接続された入力側接点P1へメインFPC23によって接続されている。メインコネクタ20Aの端子HT1(P2)は、ポゴピンp2に接続された入力側接点P2へメインFPC23によって接続されている。メインコネクタ20Aの端子HT1(P3)は、ポゴピンp3に接続された入力側接点P3へメインFPC23によって接続されている。メインコネクタ20Aの端子KEYは、メインFPC23に実装されたスイッチBTの一端に、メインFPC23の配線によって接続されている。このスイッチBTの他端はメインFPC23のグランドラインに接続されている。
【0084】
メイン基板20に設けられたヒータコネクタ20B(
図12中の右上付近参照)は、ヒータFPC24に実装された第1サーミスタth1のプラス側端子へヒータFPC24の配線を介して接続された第1サーミスタ端子TH1と、ヒータFPC24に実装された第2サーミスタth2のプラス側端子へヒータFPC24の配線を介して接続された第2サーミスタ端子TH2と、ヒータFPC24の導電パターンによって形成されたシートヒータHTRのプラス側端子へヒータFPC24の配線を介して接続されたシートヒータ端子HT2と、メイン基板20のグランドラインに接続された端子GNDと、を備える。ヒータFPC24には、第1サーミスタth1のマイナス側端子、第2サーミスタth2のマイナス側端子、及びシートヒータHTRのマイナス側端子へ接続される配線が形成されており、この配線がヒータコネクタ20Bの端子GNDへ接続されている。シートヒータ端子HT2は、ゲート端子がMCU6の端子P11へ接続され且つソース端子が昇圧回路11の出力端子VOUTへ接続されたスイッチQ5のドレイン端子へ接続されている。
【0085】
パフセンサ基板21(
図12中の下中央付近参照)には、吸引センサ15の端子群15Aに接続されたパフセンサ用コネクタ21Aと、メインFPC23に接続されたコネクタ21Bと、振動モータ13に接続された振動モータ用コネクタ21Cと、LED21Dと、バリスタVと、コンデンサC2と、が実装されている。
【0086】
パフセンサ基板21のコネクタ21Bは、メインコネクタ20Aの端子PUFF、端子LED、端子VIB、端子VOTG、端子VMCU、及び端子GNDのそれぞれと、メインFPC23に形成された配線によって接続される端子(端子PUFF、端子LED、端子VIB、端子VOTG、端子VMCU、及び端子GND)を備える。前述のように、メインFPC23には、メインコネクタ20Aの端子KEYとグランドラインとの間に接続されるスイッチBTが設けられている。スイッチBTが押下されると、端子KEYとメインFPC23のグランドラインとが接続されて、端子KEYの電位がグランド電位となる。一方、スイッチBTが押下されていない状態では、端子KEYとメインFPC23のグランドラインとは非接続となり、端子KEYの電位は不定となる。
【0087】
パフセンサ基板21のパフセンサ用コネクタ21Aは、吸引センサ15の出力端子へ接続された端子GATEと、吸引センサ15のグランド端子へ接続された端子GNDと、吸引センサ15の電源端子へ接続された端子VDDと、を備える。パフセンサ用コネクタ21Aの端子GATEは、コネクタ21Bの端子PUFFに接続されている。パフセンサ用コネクタ21Aの端子VDDは、コネクタ21Bの端子VMCUに接続されている。パフセンサ用コネクタ21Aの端子GNDは、コネクタ21Bの端子GNDに接続されている。パフセンサ用コネクタ21Aの端子GATEとコネクタ21Bの端子PUFFとの接続ラインにはバリスタVの一端が接続され、バリスタVの他端はグランドラインに接続されている。バリスタVにより、端子GATEに吸引センサ15側から大きな電圧が入力された場合でも、パフセンサ基板21の他の部品やMCU6にその電圧が入力されるのを防ぐことができる。パフセンサ用コネクタ21Aの端子VDDとコネクタ21Bの端子VMCUとの接続ラインには、コンデンサC2の一端が接続され、コンデンサC2の他端はグランドラインに接続されている。コンデンサC2により、メイン基板20側からパフセンサ用コネクタ21Aの端子VDDに不安定な電圧が入力された場合でも、吸引センサ15にコンデンサC2によって平滑化された電圧を入力することができる。
【0088】
パフセンサ基板21の振動モータ用コネクタ21Cは、コネクタ21Bの端子VIBへ接続されたプラス側端子と、グランドラインへ接続されたマイナス側端子と、を備える。このプラス側端子とマイナス側端子に、振動モータ13が接続される。
【0089】
パフセンサ基板21のLED21Dは、アノードがコネクタ21Bの端子VOTGへ接続され、カソードがコネクタ21Bの端子LEDへ接続されている。
【0090】
図12中左上の充電端子1は、4つの端子GNDと、4つの電源入力端子BUSと、を備える。充電端子1の各電源入力端子BUSは、保護IC2の入力端子VINに並列接続されている。充電端子1にUSBプラグが接続され、このUSBプラグを含むUSBケーブルが外部電源に接続された状態、すなわちUSB接続がなされた状態では、充電端子1の電源入力端子BUSを介して、保護IC2の入力端子VINにUSB電圧V
USBが入力される。
【0091】
保護IC2は、入力端子VINに入力されたUSB電圧VUSBを調整し、既定値(以下では一例として5.0Vとする)のバス電圧VBUSを出力端子OUTから出力する。保護IC2の出力端子OUTには、充電IC3と、抵抗器R1及び抵抗器R2の直列回路からなる分圧回路と、スイッチQ7と、が並列接続されている。具体的には、保護IC2の出力端子OUTは、分圧回路を構成する抵抗器R2の一端と、充電IC3の入力端子VBUSと、ゲート端子がMCU6の端子P21へ接続され且つソース端子がグランドラインへ接続されたスイッチQ7のドレイン端子と、に接続されている。抵抗器R2の他端には抵抗器R1の一端が接続され、抵抗器R1の他端はグランドラインに接続されている。抵抗器R1と抵抗器R2を接続するノードはMCU6の端子P2へ接続されている。保護IC2は、負論理のイネーブル端子CE( ̄)にMCU6からローレベルの信号が入力されている状態では、出力端子OUTからのバス電圧VBUSの出力を行い、イネーブル端子CE( ̄)にMCU6からハイレベルの信号が入力されている状態では、出力端子OUTからのバス電圧VBUSの出力を停止する。
【0092】
充電IC3は、入力端子VBUSに入力されるバス電圧VBUSに基づいて電源baを充電する充電機能を備える。充電IC3は、検出端子SNSによって電源baの充電電流や充電電圧を取得し、これらに基づいて、電源baの充電制御(充電端子BATから電源baへの電力供給制御)を行う。また、充電IC3は、MCU6が端子P25を介して電源サーミスタth3から取得した電源baの温度情報を、信号線SLを利用したシリアル通信によってMCU6から取得し、充電制御に利用する。
【0093】
充電IC3は、充電端子BATに入力される電源baの電圧(以下、電源電圧VBATと記載)からシステム電源電圧VSYSを生成して出力端子SYSから出力する第1機能と、入力端子VBUSに入力されるバス電圧VBUSからシステム電源電圧VSYSを生成して出力端子SYSから出力する第2機能と、充電端子BATに入力される電源電圧VBATを昇圧して得られるOTG電圧VOTG(一例として5Vの電圧)を昇圧出力端子RNから出力する第3機能と、を有する。第2機能については、USB接続がなされている状態においてのみ有効化される。このように、システム電源電圧VSYSとOTG電圧VOTGは、電源baが充電IC3への電力供給を可能な正常の状態であり、充電IC3が正常に作動していれば、常時、充電IC3から出力可能となっている。
【0094】
充電IC3のスイッチング端子SWにはリアクトルL3の一端が接続されている。リアクトルL3の他端は、充電IC3の出力端子SYSに接続されている。充電IC3は、負論理のイネーブル端子CE( ̄)を有し、このイネーブル端子CE( ̄)はMCU6の端子P1へ接続されている。MCU6は、USB接続がなされることで端子P2にハイレベルの信号が入力されると、端子P1の電位をローレベルに制御することで、充電IC3による電源baの充電制御を許可し、更に、第2機能を有効化する。
【0095】
充電IC3は、負論理の端子QON( ̄)を更に備える。端子QON( ̄)は、抵抗器R3と抵抗器R4とを接続するノードN2に接続され、このノードN2はMCU6の端子P21へ接続されている。充電IC3は、端子QON( ̄)にローレベルの信号が入力されると、出力端子SYSからの電圧出力を停止する。
【0096】
充電IC3の出力端子SYSには、LDO4と、昇圧回路5と、昇圧回路11とが並列接続されている。具体的には、充電IC3の出力端子SYSは、LDO4の制御端子CTL及び入力端子INと、昇圧回路5の入力端子VINと、昇圧回路11の入力端子VINと、に接続されている。充電IC3の昇圧出力端子RNから出力されるOTG電圧VOTGは、メインコネクタ20Aの端子VOTGとコネクタ21Bの端子VOTGを経由して、LED21Dのアノードに供給される。LED21Dのカソードは、コネクタ21Bの端子LED、メインコネクタ20Aの端子LED、及びスイッチQ8を介してグランドに接続されている。したがって、MCU6がスイッチQ8のオンオフ制御を行うことで、OTG電圧VOTGを用いたLED21Dの点灯制御が可能となっている。
【0097】
昇圧回路5は、スイッチング端子SWと、MCU6の端子P26へ接続された正論理のイネーブル端子ENと、出力端子VOUTと、端子GNDと、を備える。昇圧回路5のスイッチング端子SWには、リアクトルL5の一端が接続されている。このリアクトルL5の他端は昇圧回路5の入力端子VINに接続されている。昇圧回路5は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、リアクトルL5を介してスイッチング端子SWに入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する。昇圧回路5の出力端子VOUTから出力されるOLED電圧VOLEDは、OLEDパネル17の駆動に適した十分に大きい電圧であり、一例として15Vの電圧である。昇圧回路5の入力端子VINは、昇圧回路5の高電位側の電源端子を構成している。昇圧回路5は、MCU6の端子P26からイネーブル端子ENに入力される信号がハイレベルとなっている場合に、OLED電圧VOLEDの出力を行い、MCU6の端子P26からイネーブル端子ENに入力される信号がローレベルとなっている場合に、OLED電圧VOLEDの出力を停止する。このようにして、OLEDパネル17は、MCU6によって駆動制御される。
【0098】
昇圧回路11は、入力端子VINと、スイッチング端子SWと、出力端子VOUTと、正論理のイネーブル端子ENと、端子GNDと、を備える。昇圧回路11のスイッチング端子SWには、リアクトルL11の一端が接続されている。このリアクトルL11の他端は昇圧回路11の入力端子VINに接続されている。昇圧回路11は、スイッチング端子SWに接続された内蔵トランジスタのオンオフ制御を行うことで、リアクトルL11を介してスイッチング端子SWに入力された電圧を昇圧して、出力端子VOUTから出力する。昇圧回路11の出力端子VOUTから出力される加熱用電圧VHEATは、一例として4Vの電圧である。昇圧回路11の入力端子VINは、昇圧回路11の高電位側の電源端子を構成している。昇圧回路11は、後述のANDゲート10の出力端子Yからイネーブル端子ENに対して入力される信号がハイレベルとなっている場合に加熱用電圧VHEATの出力を行い、このイネーブル端子ENに入力される信号がローレベルとなっている場合に加熱用電圧VHEATの出力を停止する。
【0099】
昇圧回路11の出力端子VOUTには、コンデンサC1と、抵抗器R7及び抵抗器R6の直列回路からなる分圧回路と、マルチプレクサ8と、スイッチQ1と、スイッチQ2と、スイッチQ5と、が並列接続されている。具体的には、昇圧回路11の出力端子VOUTは、一端がグランドラインに接続されたコンデンサC1の他端と、グランドラインに接続された抵抗器R6及び抵抗器R6に直列接続された抵抗器R7からなる分圧回路の入力端子(抵抗器R7の抵抗器R6側と反対側の端子)と、マルチプレクサ8の端子VCCと、スイッチQ1のソース端子と、スイッチQ2のソース端子と、スイッチQ5のソース端子とに接続されている。
【0100】
スイッチQ1には、電気抵抗値Raを持つ抵抗器RAが並列接続されている。スイッチQ2には、電気抵抗値Rbを持つ抵抗器RBが並列接続されている。
【0101】
マルチプレクサ8は、入力端子B0と、入力端子B1と、出力端子Aと、セレクト端子SEと、を有する。マルチプレクサ8は、MCU6の端子P15からセレクト端子SEに入力される制御信号によって、入力端子B0と出力端子Aを接続する状態と、入力端子B1と出力端子Aを接続する状態とを切り替える。
【0102】
マルチプレクサ8の入力端子B0は、スイッチQ1と端子HT1(P1)とを接続するラインに接続されている。マルチプレクサ8の入力端子B1は、スイッチQ2と端子HT1(P2)とを接続するラインに接続されている。マルチプレクサ8の出力端子Aは、オペアンプOP1の非反転入力端子に接続されている。オペアンプOP1の反転入力端子は、抵抗器R7と抵抗器R6とを接続するノードへ接続されている。オペアンプOP1の出力端子は、MCU6の端子P14へ接続されている。
【0103】
LDO4は、制御端子CTLに入力される信号がハイレベルの状態(換言すると、システム電源電圧VSYSが充電IC3の出力端子SYSから出力されている状態)では、入力端子VINに入力されている電圧(すなわちシステム電源電圧VSYS)を変換して得た電圧をシステム電源電圧VMCUとして出力端子OUTから出力する。システム電源電圧VSYSは、一例として3.5V~4.2Vの範囲の値であり、システム電源電圧VMCUは、一例として3.1Vである。
【0104】
LDO4の出力端子OUTには、OLEDパネル17の制御ICと、MCU6と、LSW7と、吸引センサ15と、抵抗器R3、抵抗器R4、及びスイッチBTからなる直列回路と、デバッグ用コネクタ20Eと、が並列に接続されている。具体的には、LDO4の出力端子OUTは、OLEDコネクタ20Cの端子VDDと、MCU6の電源端子VDDと、LSW7の入力端子VINと、一端がメインコネクタ20Aの端子VMCUに接続された抵抗器R5の他端(図中のノードN1)と、抵抗器R4及び抵抗器R3からなる分圧回路の入力端(図中のノードN1)と、デバッグ用コネクタ20Eの端子VMCUと、に接続されている。
【0105】
また、LDO4の出力端子OUTには、ゲート端子がMCU6の端子P4に接続されたスイッチQ6のソース端子が接続されている。スイッチQ6のドレイン端子には、ANDゲート10の端子VCCと、FF9の端子VCCと、抵抗器R11の一端と、抵抗器R12の一端と、オペアンプOP2の正電源端子と、抵抗器R8の一端と、抵抗器R9の一端と、オペアンプOP1の正電源端子と、が並列に接続されている。
【0106】
抵抗器R12の他端は第2サーミスタ端子TH2へ接続されており、抵抗器R12と、第2サーミスタ端子TH2に接続されている第2サーミスタth2との直列回路が、システム電源電圧VMCUが印加される分圧回路を構成する。この分圧回路の出力は、第2サーミスタth2の電気抵抗値(換言すると温度)に応じたものとなり、MCU6の端子P8へ入力される。これにより、MCU6は、第2サーミスタth2の温度を取得可能となっている。本形態では、第2サーミスタth2として、温度の増加に伴って抵抗値が減少するNTC特性を有するものを用いているが、温度の増加に伴って抵抗値が増加するPTC特性を有するものを用いてもよい。
【0107】
抵抗器R9の他端には抵抗器R10の一端が接続され、抵抗器R10の他端はグランドラインに接続されている。抵抗器R9と抵抗器R10との直列回路が、システム電源電圧VMCUが印加される分圧回路を構成する。この分圧回路の出力は、オペアンプOP2の反転入力端子に接続されており、この反転入力端子には固定の電圧値が入力されることになる。オペアンプOP2の非反転入力端子には、抵抗器R8の他端が接続されている。
【0108】
また、抵抗器R8の他端は、更に、第1サーミスタ端子TH1と、MCU6の端子P9とに接続されている。抵抗器R8と、第1サーミスタ端子TH1に接続されている第1サーミスタth1との直列回路が、システム電源電圧VMCUが印加される分圧回路を構成する。この分圧回路の出力は、第1サーミスタth1の電気抵抗値(換言すると温度)に応じたものとなり、MCU6の端子P9へ入力される。これにより、MCU6は、第1サーミスタth1の温度(換言すると、シートヒータHTRの温度)を取得可能となっている。また、この分圧回路の出力は、オペアンプOP2の非反転入力端子にも入力される。本形態では、第1サーミスタth1として、温度の増加に伴って抵抗値が減少するNTC特性を有するものを用いている。したがって、オペアンプOP2の出力は、第1サーミスタth1の温度(シートヒータHTRの温度)が高くなってその温度が閾値THD1以上になると、ローレベルとなる。換言すれば、第1サーミスタth1の温度(シートヒータHTRの温度)が正常の範囲にある限りは、オペアンプOP2の出力はハイレベルとなる。
【0109】
なお、第1サーミスタth1として、温度の増加に伴って抵抗値が増加するPTC特性を持つものを用いる場合には、第1サーミスタth1と抵抗器R8からなる分圧回路の出力がオペアンプOP2の反転入力端子に接続され、抵抗器R9と抵抗器R10からなる分圧回路の出力がオペアンプOP2の非反転入力端子に接続される構成とすればよい。この場合でも、オペアンプOP2の出力は、第1サーミスタth1の温度(シートヒータHTRの温度)が高くなってその温度が閾値THD1以上になると、ローレベルになる。
【0110】
オペアンプOP2の出力端子は、FF9の入力端子Dへ接続されている。FF9の入力端子DとオペアンプOP2の出力端子とを接続するノードには、抵抗器R11の他端と、FF9に設けられた負論理のクリア端子CLR( ̄)とが接続されている。つまり、FF9の入力端子Dと、FF9のクリア端子CLR( ̄)と、オペアンプOP2の出力端子は、それぞれ、システム電源電圧VMCUの供給ラインに、抵抗器R11によってプルアップされている。
【0111】
FF9は、クロック端子CLKを有し、クロック端子CLKはMCU6の端子P7に接続されている。FF9は、出力端子Qを有し、出力端子QはANDゲート10の一方の入力端子Bに接続されている。FF9は、MCU6からクロック端子CLKにクロック信号が入力されており、且つ、クリア端子CLR( ̄)にハイレベルの信号が入力されている状態においては、入力端子Dに入力された信号のレベルにしたがったデータ(ハイ又はローのデータ)を保持し、保持したデータを出力端子Qから出力する。FF9は、MCU6からクロック端子CLKにクロック信号が入力されており、且つ、クリア端子CLR( ̄)にローレベルの信号が入力されている状態においては、保持しているデータに関らず、出力端子Qからローレベルの信号を出力するリセット処理を行う。このリセット処理は、クリア端子CLR( ̄)にハイレベルの信号が入力された状態で、クロック端子CLKへのクロック信号の入力し直しが行われることで解除される。すなわち、クリア端子CLR( ̄)にハイレベルの信号が入力された状態で、クロック端子CLKへのクロック信号の供給が停止され、その後、クロック信号の供給が再開されることで、解除される。
【0112】
ANDゲート10の他方の入力端子Aは、MCU6の端子P6に接続されている。ANDゲート10の出力端子Yは、昇圧回路11の正論理のイネーブル端子ENに接続されている。ANDゲート10は、入力端子Aに入力される信号と入力端子Bに入力される信号が共にハイレベルの状態においてのみ、出力端子Yからハイレベルの信号を出力する。
【0113】
LSW7は、MCU6の端子P10から制御端子CTLに制御信号が入力されている場合に、入力端子VINに入力されているシステム電源電圧VMCUを出力端子OUTから出力する。LSW7の出力端子OUTは、メイン基板20の端子VIB及びパフセンサ基板21の端子VIBを経由して、振動モータ13へ接続されている。したがって、MCU6がLSW7に制御信号を入力することで、システム電源電圧VMCUを用いて、振動モータ13を作動させることができる。
【0114】
(スタンバイモードから加熱モードへの遷移)
電源ユニット100は、動作モードとして、省電力化を図るスリープモードと、スリープモードから遷移可能なスタンバイモードと、スタンバイモードから遷移可能な加熱モード(リキッドヒータやシートヒータHTRの加熱を行ってエアロゾル生成を行うモード)と、を備える。MCU6は、スリープモードにおいて、スイッチBTに対する特定の操作(例えば長押し操作)を検出すると、動作モードをスタンバイモードに切り替える。MCU6は、スタンバイモードにおいて、スイッチBTに対する特定の操作(例えば短押し操作)を検出すると、動作モードを加熱モードに切り替える。
【0115】
(加熱モードの動作)
図13は、加熱モードの動作にかかわる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。
図13には、
図12には示していなかったコンデンサC3が追加で示されている。
図14は、シートヒータHTR及びリキッドヒータの加熱制御と、振動モータ13の駆動制御と、LED21Dの駆動制御とに関わる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。以下、
図13と
図14を参照して加熱モードの動作を説明する。
【0116】
MCU6は、加熱モードに遷移すると、
図13に示されたスイッチQ6をオン状態に制御する。これにより、ANDゲート10、FF9、抵抗器R11、オペアンプOP2、抵抗器R11、抵抗器R9及び抵抗器R10からなる分圧回路、抵抗器R8及び第1サーミスタth1からなる分圧回路、抵抗器R12及び第2サーミスタth2からなる分圧回路、及びオペアンプOP1のそれぞれに、システム電源電圧V
MCUが供給されることになる。更に、MCU6は、加熱モードに遷移すると、端子P6からANDゲート10の入力端子Aに入力する信号をハイレベルに制御する。また、MCU6は、FF9のクロック端子CLKにクロック信号の入力を開始する。この状態では、第1サーミスタth1の温度(シートヒータHTRの温度)が正常の範囲(閾値THD1未満)であれば、オペアンプOP2の出力はハイレベルとなり、その結果、FF9の出力はハイレベルとなり、その結果、ANDゲート10の出力はハイレベルとなる。このため、昇圧回路11から加熱用電圧V
HEATの出力が開始されて、シートヒータHTRとリキッドヒータを加熱可能な状態となる。
【0117】
(リキッドヒータの接続先の判定)
昇圧回路11から加熱用電圧V
HEATの出力が開始されると、
図14に示すように、シートヒータ端子HT2に接続されたシートヒータHTRと、端子HT1(P1)~端子HT1(P3)のいずれか2つに接続されたリキッドヒータ(
図14では、端子HT1(P1)と端子HT1(P2)に接続されたリキッドヒータhtrを記載)とに、電力の供給が可能な状態となる。この状態において、まず、MCU6は、ポゴピンp1、ポゴピンp2、及びポゴピンp3のうち、どのペアにリキッドヒータが接続されているのかを、
図12に示したオペアンプOP1の出力によって判定する。この判定工程は、次の第一工程、第二工程、及び第三工程を含む。
【0118】
(第一工程)
MCU6は、スイッチQ1-Q4のうちスイッチQ4のみをオンに制御した状態で、マルチプレクサ8の入力端子B0と出力端子Aを接続する制御を行う。この状態では、端子HT1(P1)と端子HT1(P2)間の電気抵抗値をRxとすると、分圧値=VHEAT*{Rx/(Ra+Rx)}がオペアンプOP1の非反転入力端子に入力される。オペアンプOP1では、非反転入力端子に入力される電圧と、端子HT1(P1)と端子HT1(P2)間にリキッドヒータが接続されていた場合の上記分圧値の値とが比較され、その差が小さい場合には、オペアンプOP1の出力がローレベルとなる。したがって、オペアンプOP1の出力がローレベルとなった場合には、MCU6は、端子HT1(P1)と端子HT1(P2)間にリキッドヒータが接続されていると判定する。
【0119】
(第二工程)
MCU6は、第一工程でオペアンプOP1の出力がハイレベルとなった場合には、スイッチQ1-Q4のうちスイッチQ3のみをオンに制御した状態で、マルチプレクサ8の入力端子B0と出力端子Aを接続する制御を行う。この状態では、端子HT1(P1)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されていた場合には、オペアンプOP1の出力がローレベルとなる。したがって、オペアンプOP1の出力がローレベルとなった場合には、MCU6は、端子HT1(P1)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されていると判定する。
【0120】
(第三工程)
MCU6は、第二工程でオペアンプOP1の出力がハイレベルとなった場合には、スイッチQ1-Q4のうちスイッチQ3のみをオンに制御した状態で、マルチプレクサ8の入力端子B1と出力端子Aを接続する制御を行う。この状態では、端子HT1(P2)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されていた場合には、オペアンプOP1の出力がローレベルとなる。したがって、オペアンプOP1の出力がローレベルとなった場合には、MCU6は、端子HT1(P2)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されていると判定する。
【0121】
MCU6は、第一工程から第三工程のいずれでもオペアンプOP1の出力がローレベルとならなかった場合には、エラー通知を行う。
【0122】
(加熱制御の開始)
MCU6は、上記の判定工程を終えた状態で、吸引センサ15の出力レベルが、ユーザによる吸引が行われたときに相当する値に変化した場合には、シートヒータHTRとリキッドヒータの加熱制御を開始する。具体的には、MCU6は、
図14に示したスイッチQ5をオンオフ制御(例えばPWM制御やPFM制御)することで、シートヒータHTRの加熱制御を行う。また、このとき、MCU6は、端子P8に入力される信号から取得した第2サーミスタth2の温度(換言すると、シートヒータHTRの温度)に基づいて、シートヒータHTRの温度が目標温度に収束するように、シートヒータHTRの加熱制御を行う。この加熱制御には、例えばPID(Proportional-Integral-Differential)制御が用いられる。
【0123】
また、MCU6は、端子HT1(P1)と端子HT1(P2)間にリキッドヒータが接続されている場合には、
図14に示したスイッチQ1~Q4のうち、スイッチQ4をオン状態に制御し、スイッチQ2とスイッチQ3をオフ状態に制御し、スイッチQ1をオンオフ制御(例えばPWM制御やPFM制御)することで、リキッドヒータの加熱制御を行う。MCU6は、端子HT1(P1)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されている場合には、スイッチQ1~Q4のうち、スイッチQ3をオン状態に制御し、スイッチQ2とスイッチQ4をオフ状態に制御し、スイッチQ1をオンオフ制御することで、リキッドヒータの加熱制御を行う。MCU6は、端子HT1(P2)と端子HT1(P3)間にリキッドヒータが接続されている場合には、スイッチQ1~Q4のうち、スイッチQ3をオン状態に制御し、スイッチQ1とスイッチQ4をオフ状態に制御し、スイッチQ2をオンオフ制御することで、リキッドヒータの加熱制御を行う。
【0124】
図13に示したように、LDO4から出力されているシステム電源電圧V
MCUは、パフセンサ用コネクタ21Aに接続された吸引センサ15には常時供給される。一方、加熱モードのときにのみ動作が必要な電子部品には、システム電源電圧V
MCUがスイッチQ6を介して供給される。このような構成により、加熱モード以外においては、上記電子部品の電力消費を低減することが可能になる。吸引センサ15へのシステム電源電圧V
MCUの投入直後は、吸引センサ15の動作が不安定になる虞がある。そこで、吸引センサ15にはシステム電源電圧V
MCUが常時供給されることで、加熱モードに遷移してから直ぐに吸引が行われた場合でも、その吸引動作を吸引センサ15によって高精度に検出することができる。
また、本形態では、吸引センサ15が実装されるパフセンサ基板21と、ノイズ源となりやすいMCU6が実装されるメイン基板20とが物理的に離れて配置されている。これによって、常時動作する吸引センサ15をより安定的に動作させることができる。また、パフセンサ基板21には、静電気などのノイズの侵入口となりやすいスイッチBTは実装されず、スイッチBTはメインFPC23に直接実装されている。これによっても、常時動作する吸引センサ15をより安定的に動作させることができる。また、スイッチBTを柔軟なメインFPC23に実装していることで、スイッチBTと吸引センサ15との距離を容易に離すことが可能である。
【0125】
図14には、電源baへ電気的に接続されるコネクタ(メインコネクタ20A及びヒータコネクタ20B)と、FPCやリード線等のケーブルを介してメインコネクタ20Aへ接続されるLED21D及び振動モータ13と、メインコネクタ20Aの低電位側へ電気的に接続され且つ電源baとLED21Dの間の電気的な接続を開閉可能なスイッチQ8と、メインコネクタ20Aの高電位側へ電気的に接続され且つ電源baと振動モータ13の間の電気的な接続を開閉可能なLSW7と、が示されている。
【0126】
ここで、電源baからの電力供給を受ける負荷であるLED21Dと振動モータ13に着目する。振動モータ13は、振動することによって逆起電力(低電位側から高電位側へ流れる逆流電流)が生じ得る。本形態では、振動モータ13への給電制御のために用いられるスイッチが、単純なスイッチではない、逆流防止機能を持つ高機能なLSW7とされている。これにより、振動モータ13で生じた逆起電力や逆流電流がMCU6に入力されるのを防ぐことができ、MCU6の耐久性を向上させている。
【0127】
一方、LED21Dは、逆起電力の懸念はないものの、振動モータ13の動作電圧(具体的にはシステム電源電圧VMCU)よりも大きな動作電圧(具体的にはOTG電圧VOTG)で駆動される。これは、LED21Dの輝度を高くするためには、動作電圧を大きくする必要があるからである。本形態では、LED21Dへの給電制御を行うためのスイッチQ8が、メインコネクタ20Aの低電位側に接続されている。これにより、スイッチQ8が短絡しても、スイッチQ8からMCU6に対し、システム電源電圧VMCUよりも高いOTG電圧VOTGが入力されるのを防ぐことができる。このように、スイッチQ8を低電位側に設けることで、OTG電圧VOTGを、システム電源電圧VMCUによって制限されることなく、高い値とすることができ、LED21Dの輝度を効果的に高めることができる。
【0128】
図14には、更に、FPC等のケーブルを介してヒータコネクタ20Bへ接続されるシートヒータHTRと、FPC等のケーブルを介してメインコネクタ20Aへ接続されるリキッドヒータ(図ではリキッドヒータhtrを一例として記載)と、ヒータコネクタ20Bの高電位側へ電気的に接続され且つ電源baとシートヒータHTRの間の電気的な接続を開閉可能なスイッチQ5と、メインコネクタ20Aの高電位側へ電気的に接続され且つ電源baとリキッドヒータの間の電気的な接続を開閉可能なスイッチQ1及びスイッチQ2と、メインコネクタ20Aの低電位側へ電気的に接続され且つ電源baとリキッドヒータの間の電気的な接続を開閉可能なスイッチQ3及びスイッチQ4と、が示されている。
【0129】
ここで、電源baからの電力供給を受ける負荷であるシートヒータHTRとリキッドヒータに着目する。リキッドヒータはエアロゾル源を霧化させる必要があるため、単位時間あたりに多くの電力を供給する必要がある。一方、シートヒータHTRは、香味源から放出される香味の量が向上される程度の電力が供給されれば良いため、単位時間あたりに供給が必要な電力はリキッドヒータよりも多くない。したがって、リキッドヒータへの給電制御を行うためのスイッチQ1~Q4については、シートヒータHTRへの給電制御を行うためのスイッチQ5よりも短絡の可能性が高い。
【0130】
本形態では、リキッドヒータに対しては、高電位側に(換言すると電源baとの間に)スイッチQ1及びスイッチQ2が接続され、低電位側に(換言するとグランドとの間に)スイッチQ3及びスイッチQ4が接続されている。これにより、スイッチQ1及びスイッチQ2のうちのリキッドヒータへ接続されている方と、スイッチQ3及びスイッチQ4のうちのリキッドヒータへ接続されている方とのどちらか一方が短絡しても、他方のスイッチをオフ状態に制御することで、一方のスイッチの短絡電流がリキッドヒータへ供給され続けることを抑制できる。これにより、電源ユニット100の安全性を向上させることができる。なお、スイッチQ1に並列接続される抵抗器RAの電気抵抗値Raと、スイッチQ2に並列接続される抵抗器RBの電気抵抗値Rbは、十分に高い値である。つまり、抵抗器RA及び抵抗器RBを経由した短絡電流がリキッドヒータへ供給されることはない点に留意されたい。
【0131】
また、本形態では、シートヒータHTRに対しては、高電位側に(換言すると電源baとの間に)スイッチQ5のみが接続されている。前述のように、スイッチQ5は短絡の可能性が低いため、シートヒータHTRとグランドとの間に別のスイッチを設けずとも、安全性を確保することができる。また、シートヒータHTRについては、後述の保護回路によってその温度が過剰に高くならないよう制御される。そのため、仮に、スイッチQ5が短絡した場合であっても、保護回路の機能によって、シートヒータHTRが加熱され続けるのは防ぐことができる。この観点からも、シートヒータHTRとグランドとの間に別のスイッチを設けずとも、安全性を確保できる。このように、シートヒータHTRに接続するスイッチを1つのみにすることで、電源ユニット100の部品点数が減少し、電源ユニット100の製造コストを低減できる。
【0132】
(ヒータの過加熱保護)
電源ユニット100では、加熱モードにおいて、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上になると、オペアンプOP2の出力がローレベルとなるように、抵抗器R8、抵抗器R9、及び抵抗器R10のそれぞれの電気抵抗値が決められている。第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上になって、オペアンプOP2の出力がローレベルになると、FF9のクリア端子CLR( ̄)にローレベルが入力される。これにより、FF9が保持したデータが取り消されることでFF9の出力が強制的にローレベルとなるため、ANDゲート10の出力もローレベルとなって、昇圧回路11は加熱用電圧VHEATの出力を停止する。つまり、オペアンプOP2の出力がローレベルになることは、昇圧回路11のイネーブル端子ENに入力される信号がローレベルになることを意味する。
【0133】
MCU6からシートヒータHTRへの電力供給制御が正常に機能していれば、原則として第1サーミスタth1の温度は閾値THD1以上とはならない。つまり、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上になった場合には、シートヒータHTRへ電力を供給する回路(具体的にはスイッチQ5)又はMCU6に何らかの不具合が生じている可能性が高いことを意味する。
【0134】
本形態では、オペアンプOP2から出力されるローレベルの信号によって、MCU6やスイッチQ5を制御するのではなく、加熱用電圧VHEATの出力を行う昇圧回路11を制御して、シートヒータHTRの加熱を停止させている。このように、シートヒータHTRへの電力供給を確実に停止できる昇圧回路11にオペアンプOP2の出力信号が入力されることで、シートヒータHTRが高温となったときの安全性を高めている。例えば、MCU6がフリーズ又はスイッチQ5が短絡することで、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上となった場合には、MCU6又はスイッチQ5を制御することはできない。このような場合でも、昇圧回路11のイネーブル端子ENにオペアンプOP2からのローレベルの信号が入力されるようにすることで、シートヒータHTRへの電力供給を確実に停止させることができる。
【0135】
また、昇圧回路11から加熱用電圧VHEATの出力を停止させる方法としては、昇圧回路11に入力されるシステム電源電圧VSYSを生成する充電ICのイネーブル端子CE( ̄)にハイレベルの信号を入力する方法も考えられる。この方法に対し、昇圧回路11のイネーブル端子ENにオペアンプOP2の出力を入力できるようにした構成によれば、回路構成を簡素化して製造コストを低減できるメリットがある。
【0136】
なお、FF9の出力をハイレベルに戻すためには、MCU6によるFF9のクロック端子CLKへのクロック信号の入力し直し(換言すると、FF9の再起動)が必要である。つまり、昇圧回路11からの出力が停止してから、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1未満に戻ったとしても、MCU6がFF9の再起動処理を行わない限り、昇圧回路11からの出力は再開されない。
【0137】
第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上となった要因が、MCU6のフリーズであった場合を想定する。この場合、ANDゲート10の入力端子Aにはハイレベルの信号が入力され続け、また、FF9へクロック信号が入力され続ける。エアロゾル生成装置200には、詳細は後述するが、ユーザによるスイッチBTの操作によって、MCU6の再起動(リセット)が可能な再起動回路RBT(
図19参照)が設けられている。保護回路が機能した要因がMCU6のフリーズであった場合には、ユーザによってMCU6の再起動がなされる。MCU6が再起動することで、FF9の再起動が行われる。また、MCU6が再起動することで、ANDゲート10の入力端子Aに入力される信号はローレベルとなる。また、MCU6が再起動したタイミングでは、スイッチQ6はオフ状態であるため、ANDゲート10の入力端子Bの信号の電位は不定となる。したがって、MCU6が再起動しただけでは、昇圧回路11からの出力は再開されない。MCU6の再起動後、ユーザ操作によって動作モードが加熱モードに移行することで、ANDゲート10の入力端子Aに入力される信号はハイレベルとなる。また、スイッチQ6がオン状態となることで、ANDゲート10の入力端子Bに入力される信号はハイレベルとなる。これによって、昇圧回路11からの出力が再開されることになる。
【0138】
このように、昇圧回路11からの出力の再開はMCU6が制御する(ユーザの意思を反映してから出力を再開する制御を行う)ことで、ユーザの意図に反してシートヒータHTRの加熱が再開されるのを防いで、安全性や利便性を高めることができる。
【0139】
以上のように、ANDゲート10、FF9、及びオペアンプOP2は、シートヒータHTRが高温になった場合にシートヒータHTRへの電力供給を停止して保護を図る保護回路を構成している。この保護回路は、昇圧回路11をディセーブルにする指令をMCU6から受けることなく、換言すると、ANDゲート10の入力端子Aにハイレベルの信号が入力され且つFF9のクロック端子CLKにクロック信号が入力されている状態であっても、第1サーミスタth1の温度に応じて、自律的に、昇圧回路11からの出力を停止させることができる。これにより、MCU6にフリーズなどの障害が生じていても、シートヒータHTRやリキッドヒータによる加熱の緊急停止を実行できるので、エアロゾル生成装置200の安全性を向上させることができる。
【0140】
また、MCU6は、端子P8に入力される信号に基づいて取得した第2サーミスタth2の温度が閾値THD2(この値は閾値THD1よりも小さい値)以上であると判定した場合には、ANDゲート10の入力端子Aに入力する信号をローレベルにする。これにより、ANDゲート10の出力はローレベルとなって、昇圧回路11は加熱用電圧VHEATの出力を停止する。このように、MCU6が正常に作動している場合には、MCU6からの指令によっても、昇圧回路11からの出力を停止させることができる。これにより、例えば、第1サーミスタth1が正常に作動していない場合であっても、MCU6からの指令によって、昇圧回路11からの出力を停止させて安全性を高めることができる。また、閾値THD2は閾値THD1よりも小さい。このため、MCU6が正常に作動していれば、シートヒータHTRの温度が高くなった場合には、保護回路よりも先にMCU6が昇圧回路11からの出力を停止させることができ、安全性を更に高めることができる。
【0141】
本形態において、MCU6は、端子P9に入力される信号から第1サーミスタth1の温度を取得可能である。このため、MCU6は、第2サーミスタth2の温度を正常に取得できるか否かを判定し、第2サーミスタth2の温度を正常に取得できない場合には、第1サーミスタth1の温度に基づいて、シートヒータHTRの温度が目標温度に収束するように、シートヒータHTRの加熱制御を行うことが好ましい。これにより、第2サーミスタth2に何らかの異常が生じた場合でも、第1サーミスタth1によってシートヒータHTRの加熱制御を実行することができる。第2サーミスタth2の温度を正常に取得できるか否かの判定は、端子P8に入力される信号が異常値を示しているか否か、又は、その信号を取得できるか否か等を判定することで行うことができる。
【0142】
ただし、基本的には、MCU6は、第2サーミスタth2の温度に基づいて、シートヒータHTRの加熱制御を実行する。そのため、第2サーミスタth2は、シートヒータHTRの温度をより正確に反映できるような位置に配置されることが好ましい。一方、第1サーミスタth1は、シートヒータHTRが高温になった場合に、保護回路によって昇圧回路11からの出力を停止するために主に用いられる。このため、シートヒータHTRの高温状態を確実に検出できるように、シートヒータHTRのより高温になりやすい位置に、第1サーミスタth1は配置されることが好ましい。第1サーミスタth1及び第2サーミスタth2が実装されるヒータFPC24の詳細構成については、後述する。
【0143】
なお、上述した保護回路において、FF9は必須ではなく省略可能である。
図15は、FF9を省略した場合の
図13に対応する回路図である。FF9を省略する場合には、
図15に示すように、オペアンプOP2の出力端子がANDゲート10の入力端子Bへ接続される構成とすればよい。
図15に示す構成では、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上になってオペアンプOP2の出力がローレベルになると、ANDゲート10の出力がローレベルになる。これにより、シートヒータHTRが高温となった場合に、昇圧回路11からの出力を停止させることができる。
図15に示す構成によれば、FF9を削除できる分、電源ユニット100の小型化と軽量化と省電力化を実現できる。
【0144】
また、上述した保護回路において、FF9とANDゲート10の両方を省略することも可能である。
図16は、FF9とANDゲート10を省略した場合の
図13に対応する回路図である。FF9とANDゲート10を省略する場合には、
図16に示すように、オペアンプOP2の出力端子とMCU6の端子P6がそれぞれ昇圧回路11のイネーブル端子ENへ接続される構成とすればよい。
図16に示す構成では、第1サーミスタth1の温度が閾値THD1以上になってオペアンプOP2の出力がローレベルになると、MCU6の端子P6からハイレベルの信号が出力されている状態であっても、昇圧回路11のイネーブル端子ENはローレベルとなる。これにより、シートヒータHTRが高温となった場合に、昇圧回路11からの出力を停止させることができる。
図16に示す構成によれば、FF9とANDゲート10を削除できる分、電源ユニット100の小型化と軽量化と省電力化を実現できる。
【0145】
(ヒータFPC24の構成)
図17は、
図6に示した加熱部60及び流路形成体19の分解斜視図である。
図18は、
図17に示すヒータFPC24の展開図である。伝熱チューブ61と流路形成体19は、伝熱チューブ61の下端部に流路形成体19の上端部が挿通された状態で固定されている。これにより、流路形成体19は、伝熱チューブ61の内側に第2カートリッジ120が収容された状態で第2カートリッジ120の底が当接する台座として機能する。流路形成体19は、断熱機能の高い素材で構成されることが好ましく、例えばシリコーン等で構成される。流路形成体19が断熱機能の高い素材で構成されると、シートヒータHTRの熱は、第2カートリッジ120だけでなく、伝熱チューブ61の下端側において流路形成体19にも伝達される。
【0146】
ヒータFPC24は、筒状体で構成された伝熱チューブ61の外周面61Sに巻き付けて固着される巻き付け領域24Aと、メイン基板20のヒータコネクタ20Bに挿入されるコネクタ領域24Bと、巻き付け領域24Aとコネクタ領域24Bを繋ぐ連結領域24Cと、から構成されている。
【0147】
巻き付け領域24Aは、第1サーミスタth1及び第2サーミスタth2が実装されるサーミスタ実装領域240Aと、シートヒータHTRを構成する導電パターンPhが形成されたヒータ領域240Bと、サーミスタ実装領域240Aとヒータ領域240Bの間の中間領域240Cと、から構成されている。このように、シートヒータHTRと第1サーミスタth1及び第2サーミスタth2が同一のFPCに実装されることで、シートヒータHTRとサーミスタをそれぞれ別の基板に設ける場合に比べて、簡易な構造とすることができ、電源ユニット100のコストやサイズを低減できる。
【0148】
図17に示すように、巻き付け領域24Aは、伝熱チューブ61の径方向に見て、ヒータ領域240Bに対し、伝熱チューブ61とは反対側にサーミスタ実装領域240Aが重なる状態で、伝熱チューブ61の外周面61Sに巻き付けられる。この構成により、シートヒータHTRと第1サーミスタth1及び第2サーミスタth2を極力近づけて配置できるので、シートヒータHTRの加熱制御や保護回路による保護制御の精度を向上できる。
【0149】
図18に示すように、サーミスタ実装領域240Aには、端子T11と、端子T12と、端子T13と、端子T14とが、伝熱チューブ61の軸方向に並んで配置されている。第1サーミスタth1のプラス側端子は端子T11に接続され、第1サーミスタth1のマイナス側端子は端子T12に接続されている。第2サーミスタth2のマイナス側端子は端子T13に接続され、第2サーミスタth2のプラス側端子は端子T14に接続されている。
図18の左上の拡大図に示すように、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2は、それぞれ、長手方向が伝熱チューブ61の軸方向と一致する状態で、サーミスタ実装領域240Aに、伝熱チューブ61の軸方向に並んで実装されている。
【0150】
このように、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2が伝熱チューブ61の軸方向に並ぶことで、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2が伝熱チューブ61の周方向に並ぶ構成と比べると、サーミスタ実装領域240Aの軸方向の幅を太くできる。また、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2のそれぞれの長手方向が伝熱チューブ61の軸方向と一致していることで、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2のそれぞれの長手方向が伝熱チューブ61の軸方向と直交する構成と比べると、サーミスタ実装領域240Aの軸方向の幅を太くできる。これにより、ヒータFPC24の耐久性を向上させることができる。
【0151】
なお、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2のそれぞれの長手方向が、伝熱チューブ61の軸方向と非直交であれば、サーミスタ実装領域240Aの軸方向の幅を太くできる効果は得られる。
【0152】
第2サーミスタth2は、第1サーミスタth1よりも、伝熱チューブ61の軸方向(シートヒータHTRの短手方向、及び、電源ユニット100の上下方向と同義)におけるシートヒータHTRの中央に近い位置に配置されている。すなわち、伝熱チューブ61の軸方向(
図18中の上下の方向)におけるシートヒータHTRの中央と第2サーミスタth2との間の最短距離は、該軸方向におけるシートヒータHTRの中央と第1サーミスタth1との間の最短距離より短くなっている。この構成によれば、シートヒータHTRの軸方向中央寄りに配置される第2サーミスタth2の方が、第1サーミスタt1よりも空冷の効果を受けにくくなる。このため、シートヒータHTRの正確な温度を反映できる。このような第2サーミスタth2を用いてヒータの加熱制御を実行することで、シートヒータHTRの加熱制御の精度を向上させることができる。
【0153】
また、第2サーミスタth2は、電源ユニット100の上下方向において、第1サーミスタth1よりも流路形成体19に近い位置に配置されている。すなわち、第2サーミスタth2と流路形成体19の間の最短距離は、第1サーミスタth1と流路形成体19の間の最短距離より短くなっている。流路形成体19としてシリコーン等の断熱性の高いものを用いた場合には、流路形成体19により近い第2サーミスタth2の温度の方が、第1サーミスタth1の温度よりも、流路形成体19に熱を奪われる分、低い値を示す。本形態では、このような相対的に低めの温度を示す第2サーミスタth2を用いてシートヒータHTRの加熱制御を実行するため、シートヒータHTRが高温になりにくくなる効果を得ることができる。一方、第1サーミスタth1の温度は、流路形成体19から離れている分、第2サーミスタth2の温度よりも高い値を示す。つまり、シートヒータHTRが過度に加熱されている場合には、第1サーミスタth1がより早くその温度を反映した高温状態となる。このため、シートヒータHTRが高温になった場合に保護回路を迅速に作動させることができ、安全性を高めることができる。
【0154】
図18中の中央下の拡大図に示すように、コネクタ領域24Bには、端子T1と、端子T2と、端子T3と、端子T4と、端子T5が、この順番で上下方向に並んで配置されている。
図18において、端子T1~端子T5のそれぞれには、その接続先であるヒータコネクタ20Bの端子名が括弧内に記載されている。
図12では、ヒータコネクタ20Bに含まれる端子GNDを1つとして図示しているが、実際には、
図18に示すように、ヒータコネクタ20Bには2つの端子GNDが含まれる。
【0155】
端子T1には、1本の導線で構成された導電パターン242の一端が接続されている。導電パターン242の他端は、1本の導線で構成された導電パターンPhの一端に接続されている。導電パターンPhの他端には、1本の導線で構成された導電パターン241の一端が接続されている。導電パターン241の他端は、端子T5に接続されている。
【0156】
端子T2には、1本の導線で構成された導電パターン243の一端が接続されている。導電パターン243の他端は、端子T11に接続されている。端子T4には、1本の導線で構成された導電パターン245の一端が接続されている。導電パターン245の他端は、端子T14に接続されている。端子T3には、1本の導線で構成された導電パターン244の一端が接続されている。導電パターン244の他端には、端子T12と端子T13が並列に接続されている。ヒータFPC24における各導電パターンは互いに絶縁されている。
図18において、端子T11~端子T14のそれぞれには、その電気的な接続先であるヒータコネクタ20Bの端子名が括弧内に記載されている。
【0157】
ヒータFPC24では、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2とで、グランドに接続するための導電パターン244が共通化されている。これにより、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2のそれぞれに対してグランドに接続するための導電パターンを設ける場合に比べて、ヒータFPC24の配線を簡単なものにでき、電源ユニット100の製造コストを低減できる。また、導電パターンPhに接続される導電パターン241と導電パターン242の幅を、限られたヒータFPC24においてできる限り太くできる。これにより、導電パターン241と導電パターン242の寄生抵抗を低減できるので、シートヒータHTRへより高効率に電力を供給できる。
【0158】
また、ヒータFPC24では、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2をグランドに接続するための導電パターン244と、導電パターンPhをグランドに接続するための導電パターン241とが別々に設けられる。これにより、導電パターンPhへ接続される導電パターン241の電位の変動が、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2に影響を及ぼすのを回避できる。したがって、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2を用いた制御の精度を向上させて、電源ユニット100の安全性を向上させることができる。なお、第1サーミスタth1をグランドに接続するための導電パターンと、第2サーミスタth2をグランドに接続するための導電パターンとをヒータFPC24に個別に設け、この2つの導電パターンのいずれか一方が端子T5に接続されてもよい。この構成でも、第1サーミスタth1と第2サーミスタth2のいずれか一方を用いた制御の精度を向上させることができる。
【0159】
(再起動回路RBTの構成及び動作)
図19は、MCU6の再起動にかかわる電子部品を
図12に示す回路から抽出して示した回路図である。
図19には、再起動回路RBTが示されている。再起動回路RBTは、抵抗器R3及び抵抗器R4からなる分圧回路と、スイッチBTと、メインコネクタ20Aの端子KEY及び端子GNDと、スイッチQ7と、スイッチQ9と、充電IC3と、LDO4と、デバッグ用コネクタ20Eの端子NRSTと、備えて構成される。本形態では、この再起動回路RBTによって、MCU6の再起動を、スイッチBTの操作(一例として長押し操作)と、デバッグ用コネクタ20Eに接続された外部機器からの指令と、によって行うことが可能になっている。MCU6は、端子P27に入力される信号がローレベルの状態が所定時間継続した場合に、再起動を行うよう構成されている。また、充電IC3は、端子QON( ̄)に入力される信号がローレベルの状態が所定時間継続した場合に、再起動を行うよう構成されている。
【0160】
(スイッチBTを用いたMCU6のリセット)
まず、デバッグ用コネクタ20Eを用いずにMCU6の再起動を行う際の動作を説明する。
抵抗器R3と抵抗器R4は、スイッチBTが押下されていない状態では、抵抗器R3と抵抗器R4の分圧回路の出力がハイレベルとなるような抵抗値を有する。このハイレベルの信号は、充電IC3の端子QON( ̄)に入力されるため、この状態では充電IC3はリセットされず、出力端子SYSからのシステム電源電圧VSYSの出力を継続する。システム電源電圧VSYSの出力が継続されることで、LDO4の出力端子OUTからのシステム電源電圧VMCUの出力も継続される。このため、MCU6は停止することなく継続して作動する。また、このハイレベルの信号は、スイッチQ7のゲート端子に入力される。このため、USB接続されている場合(バス電圧VBUSが充電IC3から出力されている場合)には、スイッチQ7がオン状態となり、その結果、スイッチQ9のゲート端子の電位がローレベル(グランドレベル)となってスイッチQ9がオフ状態となる。スイッチQ9がオフ状態のときは、MCU6の端子P27の電位は不定となるため、MCU6による再起動は行われない。
【0161】
抵抗器R3と抵抗器R4は、スイッチBTが押下された状態では、抵抗器R3と抵抗器R4の分圧回路の出力がローレベルになるような抵抗値を有する。換言すれば、抵抗器R3と抵抗器R4は、システム電源電圧VMCUを分圧した値がローレベルになるような抵抗値を有する。このローレベルの信号は、充電IC3の端子QON( ̄)に入力されるため、この状態が所定時間継続されると、充電IC3は出力端子SYSからのシステム電源電圧VSYSの出力を停止する。システム電源電圧VSYSの出力が停止されると、LDO4からの電圧出力が停止されて、MCU6の端子VDDにシステム電源電圧VMCUが入力されなくなり、MCU6は停止する。
【0162】
また、このローレベルの信号は、スイッチQ7のゲート端子に入力される。このため、USB接続されている場合(バス電圧VBUSが充電IC3から出力されている場合)には、スイッチQ7がオフ状態となり、その結果、スイッチQ9のゲート端子の電位がハイレベル(バス電圧VBUS)となってスイッチQ9がオン状態となる。スイッチQ9がオン状態になると、MCU6の端子P27の電位はローレベル(グランドレベル)となる。スイッチBTが所定時間継続して押下されている場合には、MCU6の端子P27にローレベルの信号が所定時間入力されるため、MCU6は再起動の処理を実行する。スイッチBTの押下が終了された場合には、充電IC3がシステム電源電圧VSYSの出力を再開するため、停止しているMCU6の端子VDDにシステム電源電圧VMCUが入力されて、MCU6が起動する。
【0163】
(デバッグ用コネクタ20Eを用いたMCU6のリセット)
デバッグ用コネクタ20Eを用いてMCU6を再起動する場合には、USB接続を行い、更に、デバッグ用コネクタ20Eに外部機器を接続する。この状態で、スイッチBTが押下されていなければ、スイッチQ9はオフ状態となっているため、MCU6の端子P27の電位は、外部機器からの入力に依存したものとなる。したがって、外部機器がローレベルの再起動信号を端子NRSTに入力するよう作業者が操作を行うことで、その再起動信号が端子P27に所定時間継続して入力される。この再起動信号の入力を受けることで、MCU6は再起動の処理を実行する。
【0164】
図19に示した再起動回路RBTによれば、スイッチBTの押下によって生成されるローレベルの信号は、充電IC3の端子QON( ̄)だけでなく、MCU6の端子P27にも入力される。このため、MCU6がフリーズしていた場合でも、充電IC3からの出力停止によって、MCU6を再起動できる。また、充電IC3が何らかの要因でリセットされない場合でも、MCU6がフリーズしていない状態であれば、端子P27へのローレベル信号の入力によってMCU6を再起動できる。このように、2系統での再起動が可能なことで、スイッチBTを押下するだけの単純な操作によって、MCU6を確実に再起動することができる。
【0165】
また、
図19に示した再起動回路RBTによれば、デバッグ用コネクタ20Eを用いて外部機器からMCU6を再起動することもできる。外部機器からMCU6の端子P27にローレベルの信号を入力する場合でも、スイッチQ9の存在によって、この信号が充電ICの端子QON( ̄)に伝達されることは防がれる。このように、デバッグ用コネクタ20Eに入力される信号と、スイッチBTの操作によって生成される信号を分離できるため、再起動回路RBTの動作を安定化できる。なお、
図19において、端子NRSTと充電IC3の端子QON( ̄)を接続する構成も想定されるが、
図19ではそのような構成は採用していない。これにより、デバッグ用コネクタ20Eを端子QON( ̄)へ接続する場合と比べて、再起動回路RBTを簡素化できるので、電源ユニット100の製造コストを低減できる。
【0166】
また、
図19に示した再起動回路RBTでは、スイッチBTを用いたMCU6の再起動については、USB接続がなされている場合にのみ可能となる。このように、電源baの充電が可能な状態でのみMCU6の再起動ができるようにすることで、MCU6の再起動時に電源baの残量が低下したとしても、外部電源によってMCU6を確実に再起動することが可能になる。
【0167】
(再起動回路RBTの変形例)
図20は、
図19に示す再起動回路RBTの変形例を示す図である。
図20に示す再起動回路RBTは、スイッチQ9のドレイン端子の接続先が端子P27からLDO4の制御端子CTLへ変更された点と、抵抗器R3及び抵抗器R4の分圧回路と充電IC3の端子QON( ̄)との接続が削除された点と、を除いては、
図19と同じ構成である。
図20に示す再起動回路RBTでは、デバッグ用コネクタ20Eを用いずにMCU6の再起動を行う際には、USB接続を行う必要がある。
【0168】
図20に示す再起動回路RBTにおいて、USB接続されており、且つ、スイッチBTが押下されていない状態では、抵抗器R3と抵抗器R4の分圧回路の出力はハイレベルとなる。このハイレベルの信号は、スイッチQ7のゲート端子に入力される。このため、スイッチQ7がオン状態となり、その結果、スイッチQ9のゲート端子の電位がローレベル(グランドレベル)となってスイッチQ9がオフ状態となる。スイッチQ9がオフ状態のときは、LDO4の制御端子CTLにローレベルの信号が入力されることはない。したがって、MCU6は継続して作動する。
【0169】
図20に示す再起動回路RBTにおいて、USB接続されており、且つ、スイッチBTが押下された状態では、抵抗器R3と抵抗器R4の分圧回路の出力はローレベルとなる。このローレベルの信号は、スイッチQ7のゲート端子に入力される。このため、スイッチQ7がオフ状態となり、その結果、スイッチQ9のゲート端子の電位がハイレベル(バス電圧V
BUS)となってスイッチQ9がオン状態となる。スイッチQ9がオン状態になると、LDO4の制御端子CTLがグランドに接続されるため、この制御端子CTLに入力される信号がローレベルになる。LDO4は、制御端子CTLにローレベルの信号が所定時間継続して入力されると、出力端子OUTからの電圧出力を停止する。このため、スイッチBTが所定時間継続して押下されることで、MCU6へのシステム電源電圧V
MCUの供給が停止されて、MCU6は停止する。スイッチBTの押下が終了された場合には、スイッチQ9はオフ状態となるため、制御端子CTLに入力される信号はハイレベル(システム電源電圧V
SYS)に戻る。これにより、LDO4がシステム電源電圧V
MCUの出力を再開するため、停止しているMCU6の端子VDDにシステム電源電圧V
MCUが入力されて、MCU6が起動する。
【0170】
図20に示す再起動回路RBTにおいて、デバッグ用コネクタ20Eを用いてMCU6を再起動する場合には、デバッグ用コネクタ20Eに外部機器を接続する。この状態で、外部機器がローレベルの再起動信号を端子NRSTに入力するよう作業者が操作を行うことで、その再起動信号が端子P27に所定時間継続して入力される。この再起動信号の入力を受けることで、MCU6は再起動の処理を実行する。
【0171】
図20に示す再起動回路RBTでは、スイッチBTが長押しされても、MCU6の端子P27へローレベルの信号が入力されることはない。このため、
図19に示す再起動回路RBTに比べて回路を簡素なものにでき、電源ユニット100の製造コストを低減できる。
【0172】
なお、
図20に示す再起動回路RBTにおいては、図中の破線で示す配線PUを追加してもよい。配線PUは、MCU6の端子P27の電位をバス電圧V
BUSによってハイレベルにプルアップするために設けられる。この配線PUを追加することで、端子P27にローレベルの信号が入力されていない状態でも、端子P27の電位が不定にならないので、電源ユニット100の動作を安定させることができる。
【0173】
メイン基板20に形成された
図12に示す回路には、各種の検査を行うための導電パターンであるテストポイントが設けられる。
図21は、
図12に対してテストポイント(図中の白い丸印)を追加した回路図である。
図22は、
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの左上のエリアの拡大図である。
図23は、
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの左下のエリアの拡大図である。
図24は、
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの右上のエリアの拡大図である。
図25は、
図21の部分拡大図であり、
図21を上下左右に4分割したときの右下のエリアの拡大図である。
【0174】
図22に示すように、メイン基板20には、外部電源から供給される電力を流すための導電パターン(配線)である第1導電パターンPT1が存在する。この第1導電パターンPT1の一部には、導体からなるテストポイントTP3が設けられている。テストポイントTP3は、メイン基板20の表面201に設けられている。
【0175】
図23に示すように、メイン基板20には、MCU6が充電IC3及びOLEDパネル17の制御ICとのシリアル通信又はパラレル通信に用いる導電パターンである第2導電パターンPT2(換言すると信号線SL)が存在する。この信号線SLの一部には、導体からなるテストポイントTP30が設けられている。テストポイントTP30は、メイン基板20の表面201に設けられている。
【0176】
図24に示すように、メイン基板20には、保護回路の電源ラインを構成する導電パターンである第3導電パターンPT3が存在する。この第3導電パターンPT3の一部には、導体からなるテストポイントTP69が設けられている。テストポイントTP69は、メイン基板20の表面201に設けられている。また、メイン基板20には、加熱用電力V
HEATを供給する導電パターンである第4導電パターンPT4が存在する。この第4導電パターンPT4の一部には、導体からなるテストポイントTP17が設けられている。テストポイントTP17は、メイン基板20の表面201に設けられている。
【0177】
図23に示すように、メイン基板20には、OLEDコネクタ20Cの端子T3を除く各端子に接続される配線の一部に、導体からなるテストポイントTP28、TP33~TP35が設けられている。また、メイン基板20には、デバッグ用コネクタ20Eの各端子に接続される配線の一部に、導体からなるテストポイントTP5、TP8、TP9、TP12、TP13が設けられている。また、メイン基板20には、バッテリコネクタ20Dの端子TH3と端子GNDにそれぞれ接続される配線の一部には、導体からなるテストポイントTP25、TP2が設けられている。
【0178】
図24に示すように、メイン基板20には、ヒータコネクタ20Bの各端子に接続される配線の一部に、導体からなるテストポイントTP55~TP58が設けられている。
図25に示すように、メイン基板20には、メインコネクタ20Aの各端子に接続される配線の一部に、導体からなるテストポイントTP27、TP36、TP62~TP68が設けられている。
【0179】
バッテリコネクタ20Dに接続される配線のテストポイントTP2、TP25と、OLEDコネクタ20Cに接続される配線のテストポイントTP28、TP33~TP35と、デバッグ用コネクタ20Eに接続される配線のテストポイントTP5、TP8、TP9、TP12、TP13と、ヒータコネクタ20Bに接続される配線のテストポイントTP55~TP58と、メインコネクタ20Aに接続される配線のテストポイントTP27、TP36、TP62~TP68は、全て、メイン基板20の表面201に設けられている。
【0180】
このように、メイン基板20をシャーシ50に固定した状態にてケース3a側を向く表面201には、重要な導電パターンのテストポイントが設けられている。表面201には、可撓性の配線が接続されるコネクタが集中して設けられているため、この配線を容易に避けながら、テストポイントに検査用のプローブを接触させることができる。このような重要な導電パターンのテストポイントが外部から触れやすい状態にあることで、この導電パターンを、容易に検証できるようになる。この結果、電源ユニット100の製造時の検証の精度を向上させることができる。
【0181】
一方、メイン基板20の裏面202にも、表面201よりは数が少なく、僅かではあるが、テストポイントが設けられている。例えば、
図23に示すテストポイントTP102と
図24に示すテストポイントTP42は、裏面202に設けられる。テストポイントTP42とテストポイントTP102は、それぞれ、グランドへ接続される導電パターンに設けられている。このように、前述してきた他の導電パターンと比べて重要度が落ちるグランド用の導電パターンのテストポイントは、裏面202に設けられることで、重要なテストポイントをより多く表面201に設けることができる。これによって、電源ユニット100の製造時の検証の精度を向上させることができる。
【0182】
なお、
図12に示す回路において、スイッチQ5が、シートヒータHTRのマイナス側端子に接続されたヒータコネクタ20Bの端子GNDと、メイン基板20に設けられたグランドとの間に接続される構成であってもよい。この構成においては、スイッチQ5はNチャネル型とすることが好ましい。
【0183】
本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0184】
(1)
エアロゾル源を霧化する霧化器(リキッドヒータ)へ電力を供給可能な電源(電源ba)と、
第1主面(表面201)と、第1主面の裏に位置する第2主面(裏面202)とを含む、回路基板(メイン基板20)と、
上記電源と上記回路基板を収容する筐体(ケース3a)と、
上記筐体内に収容される複数の電子部品と、
上記複数の電子部品それぞれへ、上記回路基板の外側に設けられた複数の第1配線(メインFPC23、ヒータFPC24、OLED FPC25、及びリード線16)を介して接続される複数の第1コネクタ(メインコネクタ20A、ヒータコネクタ20B、OLEDコネクタ20C、バッテリコネクタ20D)と、を備え、
上記複数の第1コネクタは、上記第1主面と上記第2主面のうち、上記第1主面にのみ実装される、
エアロゾル生成装置(エアロゾル生成装置200)の電源ユニット(電源ユニット100)。
【0185】
(1)によれば、第1コネクタが第1主面と第2主面に分散して実装される構成と比較して、第1配線の配索を容易とすることができる。また、第1コネクタと回路基板を合算した厚みを小さくできる。配線の配索が容易に且つ第1コネクタと回路基板を合算した厚みを小さくなることで、余剰スペースの低減等の設計が容易となるため、電源ユニットが小型化され、ユーザの使い勝手が向上する。
【0186】
(2)
(1)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記第1主面へ対向する上記筐体の内壁と上記第1主面の間の距離は、上記第2主面へ対向する上記筐体の内壁と上記第2主面の間の距離より短い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0187】
(2)によれば、第1主面の近傍に多くの部品が配置されなくなるので、電源ユニットの製造時において、第1コネクタへ第1配線を容易に接続できる。
【0188】
(3)
(2)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記第1主面へ対向する上記筐体の内壁と上記第1主面の間には、上記電源ユニットを構成する他の部品が存在しない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0189】
(3)によれば、第1主面の近傍に部品が配置されなくなるので、電源ユニットの製造時において、第1コネクタへ第1配線を容易に接続できる。
【0190】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記電源は、上記回路基板が有する複数の面のうち上記第1主面とは異なる面の側へ配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0191】
(4)によれば、第1主面の近傍に大型となり得る電源が配置されなくなるので、電源ユニットの製造時において、第1コネクタへ第1配線を容易に接続できる。
【0192】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記複数の第1配線は、上記回路基板の有する複数の側面のうち同一の側面(左側面20SL)の側を通る、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0193】
(5)によれば、複数の第1配線が回路基板の複数の側面の側を通る場合と比べて、第1コネクタへ第1配線を容易に接続できるので、電源ユニットの製造が容易になるばかりか、筐体内における第1配線の配索を簡単なものにできる。また、回路基板と第1配線を合算した幅を小さくできることで、余剰スペースの低減等の設計が容易となるため、電源ユニットが小型化され、ユーザの使い勝手が向上する。
【0194】
(6)
(5)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記複数の第1コネクタにおける上記第1配線の挿入方向は、同一である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0195】
(6)によれば、第1配線が不要に長くなることを抑制できるので、電源ユニットが小型化され、かつコストが低下する。
【0196】
(7)
(5)又は(6)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記複数の第1配線は、上記回路基板の有する複数の側面(左側面20SL、右側面20SR、上側面20SU、下側面20SD)のうち短手方向と直交する側面(左側面20SL)の側を通る、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0197】
(7)によれば、回路基板の長手方向へ直交するな側面の側を第1配線が通る場合と比べて、配線同士の重なりを低減できたり、より多くの配線を回路基板に接続できたりするので、電源ユニットを大型化することなく、高機能化できる。
【0198】
(8)
(1)から(7)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記電源ユニットとは別の装置(パーソナルコンピュータ)へ、第2配線(図示省略の接続ケーブル)を介して接続される第2コネクタ(デバッグ用コネクタ20E)を備え、
上記第2コネクタは、上記第2主面に実装される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0199】
(8)によれば、電源ユニットの外部の機器へ接続される第2コネクタには、第2配線が常時は接続されない。このような第2コネクタを第2主面に実装することで、より多くの第1コネクタを第1主面に実装できるので、電源ユニットの小型化が可能になる。
【0200】
(9)
(8)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記第1コネクタに対する上記第1配線の挿入方向は、上記第2コネクタに対する上記第2配線の挿入方向とは異なる、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0201】
(9)によれば、第2コネクタへ第2配線を挿入する際に、第1配線と干渉することが防がれるため、第2コネクタへ第2配線を挿入しやすくなる。また、第2配線の挿入時に第1コネクタや第1配線が破損しにくくなる。
【0202】
(10)
(9)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記第1コネクタに対する上記第1配線の挿入方向は、上記第2コネクタに対する上記第2配線の挿入方向とは逆である、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0203】
(10)によれば、第2コネクタへ第2配線を挿入する際に、第1配線と干渉することがより防がれるため、第2コネクタへ第2配線をより挿入しやすくなる。また、第2配線の挿入時に第1コネクタや第1配線がより破損しにくくなる。
【0204】
(11)
(10)に記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記筐体と上記回路基板を支持するシャーシ(シャーシ50)を備え、
上記筐体は独立して上記シャーシから取外し可能な第1部分(第1ケース3A)と第2部分(第2ケース3B)を備え、
上記第1部分と上記第2部分のうち上記第2部分のみを上記シャーシから取外せば、上記第2コネクタへ上記第2配線を挿入可能となり、
上記第1部分と上記第2部分のうち上記第2部分のみを上記シャーシから取外した状態では、上記第1配線は露出しない、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0205】
(11)によれば、第2部分だけシャーシから取り外された状態で、第2配線を挿抜すれば、第1コネクタや第1配線に直接触れる虞がなくなるので、第2配線の挿入時に第1コネクタや第1配線が破損しにくくなる。
【0206】
(12)
(8)から(11)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記電源ユニットとは別の装置(外部電源)へ、第3配線(図示省略のUSBケーブル)を介して接続される第3コネクタ(充電端子1)を備え、
上記第3コネクタは、上記第2主面に実装され、
上記第2コネクタに対する上記第2配線の挿入方向は、上記第3コネクタに対する上記第3配線の挿入方向とは異なる、エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0207】
(12)によれば、第2配線と第3配線を同時にそれぞれのコネクタへ接続する場合でも、これらが互いに干渉しなくなるので、第2配線と第3配線を同時に接続する必要が生じた場合でも、このような接続状態を容易に実現できる。
【0208】
(13)
(1)から(12)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記第1主面に設けられるテストポイントの数は、上記第2主面に設けられるテストポイントの数より多い、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0209】
電源ユニットの製造時には、電源ユニット内での位置が固定された回路基板の複数の第1コネクタのそれぞれに第1配線を接続することで各電子部品と回路基板との電気的接続が実現される。そして、配線は、通常、可撓性を有するものである。(13)によれば、このような可撓性の配線が接続される第1コネクタが設けられる第1主面にテストポイントが多く配置されていることで、多くのテストポイントへ容易にプローブできるようになる。このため、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上すると同時に、検証に要する時間を短縮できる。
【0210】
(14)
(1)から(13)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記回路基板は、外部電源から供給される電力を流すための導電パターンである第1導電パターン(第1導電パターンPT1)と、上記第1導電パターンのテストポイントである第1テストポイント(テストポイントTP3)と、を備え、
上記第1テストポイントは、上記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0211】
(14)によれば、重要なパターンである、外部電源から供給される電力を流すための導電パターンを、容易に検証できるようになるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0212】
(15)
(1)から(14)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
コントローラ(MCU6)を備え、
上記回路基板は、上記コントローラがシリアル通信又はパラレル通信に用いる導電パターンである第2導電パターン(第2導電パターンPT2)と、上記第2導電パターンのテストポイントである第2テストポイント(テストポイントTP30)と、を備え、
上記第2テストポイントは、上記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0213】
(15)によれば、重要なパターンである、シリアル通信又はパラレル通信のための導電パターンを、容易に検証できるようになるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0214】
(16)
(1)から(15)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記霧化器への電力の供給を遮断する保護回路(ANDゲート10、FF9、及びオペアンプOP2)を備え、
上記回路基板は、上記保護回路を構成する導電パターンである第3導電パターン(第3導電パターンPT3)と、上記第3導電パターンのテストポイントである第3テストポイント(テストポイントTP69)と、を備え、
上記第3テストポイントは、上記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0215】
(16)によれば、重要なパターンである、保護回路を構成する導電パターンを、容易に検証できるようになるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0216】
(17)
(1)から(16)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記回路基板は、上記霧化器へ霧化用電力(加熱用電力VHEAT)を供給する導電パターンである第4導電パターン(第4導電パターンPT4)と、上記第4導電パターンのテストポイントである第4テストポイント(テストポイントTP17)と、を備え、
上記第4テストポイントは、上記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0217】
(17)によれば、重要なパターンである、加熱用電力が流れる導電パターンを、容易に検証できるようになるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0218】
(18)
(1)から(17)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記回路基板は、上記第1コネクタへ接続される導電パターンである第5導電パターンと、上記第5導電パターンのテストポイントである第5テストポイント(バッテリコネクタ20Dに接続される配線のテストポイントTP2、TP25と、OLEDコネクタ20Cに接続される配線のテストポイントTP28、TP33~TP35と、デバッグ用コネクタ20Eに接続される配線のテストポイントTP5、TP8、TP9、TP12、TP13と、ヒータコネクタ20Bに接続される配線のテストポイントTP55~TP58と、メインコネクタ20Aに接続される配線のテストポイントTP27、TP36、TP62~TP68)と、を備え、
上記第5テストポイントは、上記第1主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0219】
(18)によれば、重要なパターンである、コネクタへ接続される導電パターンを、容易に検証できるようになるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0220】
(19)
(1)から(18)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記回路基板は、グランドへ接続される導電パターンである第6導電パターンと、上記第6導電パターンのテストポイントである第6テストポイント(テストポイントTP42、TP102)を備え、
上記第6テストポイントは、上記第2主面に設けられる、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0221】
(19)によれば、他の導電パターンと比べて重要度が落ちるグランド用の導電パターンのテストポイントが第2主面に設けられることで、重要なテストポイントをより多く第1主面に設けることができるので、製造時の検証の精度が向上することで商品性が向上する。
【0222】
(20)
(1)から(19)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記複数の第1配線は、折込まれた配線である折込配線(メインFPC23)を含み、
上記複数の第1配線のうち残余の上記第1配線は、上記筐体側から見て上記折込配線に被さるように配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0223】
(20)によれば、折込まれた配線を他の配線で抑えることで、配線の折込みが維持される。このため、折込みが緩むことで折込配線や他の配線に応力が生じるのを抑制できる。また、折込まれた配線により、筐体内において配線が占める空間の体積を減らせるため、電源ユニットが小型化され、ユーザの使い勝手が向上する。
【0224】
(21)
(1)から(19)のいずれかに記載のエアロゾル生成装置の電源ユニットであって、
上記複数の第1配線は、折込まれた配線である折込配線(メインFPC23)を含み、
上記折込配線は、上記筐体側から見て上記複数の第1配線のなかで最も奥に配置される、
エアロゾル生成装置の電源ユニット。
【0225】
(21)によれば、折込まれた配線を他の配線で抑えることで、配線の折込みが維持される。このため、折込みが緩むことで折込配線や他の配線に応力が生じるのを抑制できる。また、折込まれた配線により、筐体内において配線が占める空間の体積を減らせるため、電源ユニットが小型化され、ユーザの使い勝手が向上する。
【符号の説明】
【0226】
100 電源ユニット
1 充電端子
ba 電源
20 メイン基板
201 表面
202 裏面
23 メインFPC
24 ヒータFPC
25 OLED FPC
16 リード線
20A メインコネクタ
20B ヒータコネクタ
20C OLEDコネクタ
20D バッテリコネクタ
20E デバッグ用コネクタ
3a ケース