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特許7389943敷材、フィットネススタジオ用構造体、及びサウナ用構造体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】敷材、フィットネススタジオ用構造体、及びサウナ用構造体
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
E04F15/02 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022518116
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021016961
(87)【国際公開番号】W WO2021221102
(87)【国際公開日】2021-11-04
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2020081025
(32)【優先日】2020-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】519018004
【氏名又は名称】株式会社LAVA International
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】鷲見 貴彦
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-263402(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0310776(US,A1)
【文献】特開2017-062069(JP,A)
【文献】特開平10-183958(JP,A)
【文献】特開昭64-069564(JP,A)
【文献】美濃白川麦飯石株式会社,麦飯石(ばくはんせき)の歴史-日本で唯一の原産地。美濃白川麦飯石株式会社,インターネット[online],2019年03月31日,(2023年 6月14日検索),<URL,https://web.archive.org/web/20190331204104/https:www.bakuhan-seki.jp/麦飯石とは/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/02
E04F 15/08
E04H 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石材(ただし、黒曜石、及び麦飯石を除く。)を含む敷材であって、
前記石材は、前記石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、0.05質量%以上0.2質量%以下の五酸化二リンを含む、
敷材。
【請求項2】
石材(ただし、黒曜石、及び麦飯石を除く。)を含む敷材であって、
前記石材は、前記石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含み、
前記石材は、円柱形であり、
前記石材の厚さは、5mm以上100mm以下であり、
前記石材の直径は、100mm以上200mm以下である、
敷材。
【請求項3】
前記石材は、前記石材全体に対して、20.0質量%以下の酸化アルミニウムを含む、請求項1又は2に記載の敷材。
【請求項4】
前記石材は、前記石材全体に対して、10.0質量%以下の酸化第二鉄を含む、請求項1から3のいずれかに記載の敷材。
【請求項5】
石材を含む敷材であって、
前記石材は、前記石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、3.0質量%以上10.0質量%以下の酸化第二鉄を含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、0.5質量%以上1.5質量%以下の酸化ナトリウムを含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、0.05質量%以上0.2質量%以下の五酸化二リンを含む、
敷材。
【請求項6】
石材を含む敷材であって、
前記石材は、前記石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、3.0質量%以上10.0質量%以下の酸化第二鉄を含み、
前記石材は、前記石材全体に対して、0.5質量%以上1.5質量%以下の酸化ナトリウムを含み、
前記石材は、円柱形であり、
前記石材の厚さは、5mm以上100mm以下であり、
前記石材の直径は、100mm以上200mm以下である、
敷材。
【請求項7】
さらに、熱発生装置を含む、請求項1から6のいずれかに記載の敷材。
【請求項8】
さらに、最上面にヒノキ材を含む、請求項1から7のいずれかに記載の敷材。
【請求項9】
フィットネススタジオ用である、請求項1から8のいずれかに記載の敷材。
【請求項10】
前記フィットネスが、温度30度以上45度以下、相対湿度50%以上85%以下の室内環境で行われるホットヨガである、請求項9に記載の敷材。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の敷材を備える、フィットネススタジオ用構造体。
【請求項12】
サウナ用である、請求項1から8のいずれかに記載の敷材。
【請求項13】
請求項12に記載の敷材を備える、サウナ用構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、敷材、フィットネススタジオ用構造体、及びサウナ用構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向の高まりにともない、定期的な運動や健康の増進等のために、フィットネススタジオやサウナ等の各種設備が広く利用されている。
【0003】
例えば、フィットネススタジオで提供されるレッスンのうち、消費者の支持を得ているものとしてヨガが挙げられる。
ヨガは、瞑想や複数の姿勢等を組み合わせて行う運動であり、老化抑制効果等をもたらすことが報告されている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0004】
また、サウナも、老化抑制効果等をもたらすことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-65803号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】Oxidative Medicine and Cellular Longevity Volume 2017, Article ID 7928981, 9 pages
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、各種設備での活動から得られる老化抑制効果をより高めることができる技術に対してさらなるニーズがある。
【0008】
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、各種設備での活動による老化抑制効果を高められる敷材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、所定量の二酸化ケイ素が配合された石材を含む敷材によれば上記課題を解決できる点を見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下を提供する。
【0010】
(1) 石材を含む敷材であって、
前記石材は、前記石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含む、敷材。
【0011】
(2) 前記石材は、前記石材全体に対して、20.0質量%以下の酸化アルミニウムを含む、(1)に記載の敷材。
【0012】
(3) 前記石材は、前記石材全体に対して、10.0質量%以下の酸化第二鉄を含む、(1)又は(2)に記載の敷材。
【0013】
(4) さらに、熱発生装置を含む、(1)から(3)のいずれかに記載の敷材。
【0014】
(5) さらに、最上面にヒノキ材を含む、(1)から(4)のいずれかに記載の敷材。
【0015】
(6) フィットネススタジオ用である、(1)から(5)のいずれかに記載の敷材。
【0016】
(7) 前記フィットネスが、温度30度以上45度以下、相対湿度50%以上85%以下の室内環境で行われるホットヨガである、(6)に記載の敷材。
【0017】
(8) (1)から(7)のいずれかに記載の敷材を備える、フィットネススタジオ用構造体。
【0018】
(9) サウナ用である、(1)から(5)のいずれかに記載の敷材。
【0019】
(10) (9)に記載の敷材を備える、サウナ用構造体。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各種設備での活動による老化抑制効果を高められる敷材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の敷材の構成例を示す断面図である。
図2】本発明の敷材が、ホットヨガ後のSIRT1発現に及ぼす影響を示す図である。
図3】本発明の敷材が、ホットヨガ後のSIRT6発現に及ぼす影響を示す図である。
図4】本発明の敷材が、ホットヨガ後のhTERT発現に及ぼす影響を示す図である。
図5】本発明の敷材が、ホットヨガ後のhTERC発現に及ぼす影響を示す図である。
図6】実施例で用いたサウナの断面図である。
図7】本発明の敷材が、サウナ入浴後のSIRT6発現に及ぼす影響を示す図である。
図8】本発明の敷材が、サウナ入浴後の8-OHdGの体内濃度に及ぼす影響を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0023】
<敷材>
本発明の敷材は、石材を含み、かつ、該石材は、石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下の二酸化ケイ素を含む。
【0024】
本発明における石材は、通常の石材(例えば、溶岩等)と比較して、二酸化ケイ素含量が多い。
本発明者による検討の結果、このような石材を敷材の存在下で運動を行った場合、老化抑制効果等が高まるという意外な効果が見出された。
【0025】
本発明において「敷材」とは、床面や壁面(主に、室内空間における床面や壁面)の一部又は全体を覆う部材を意味する。
したがって、本発明の敷材は、タイル等の建築資材として利用することもできる。
【0026】
本発明において「石材」とは、無機物質(鉱物等)を主に含む固体を意味し、天然のもの(岩石等)であってもよく、合成されたものであってもよい。
本発明において「石材が無機物質を主に含む」とは、石材全体に対する無機物質の含量が、好ましくは95.0質量%以上、より好ましくは97.0質量%以上、さらに好ましくは99.0質量%以上であることを意味する。
【0027】
本発明において「老化抑制効果」とは、加齢にともなう生理機能の衰退等の進行抑制や改善を意味する。
老化抑制効果は、各種老化指標によって評価できる。このような指標として、老化に関連する遺伝子、酸化ストレスマーカー等が挙げられる。
【0028】
老化に関連する遺伝子としては、サーチュイン1(SIRT1)、サーチュイン6(SIRT6)、ヒトテロメア逆転写酵素(hTERT)、ヒトテロメアRNA構成要素(hTERC)等が挙げられる。これらの遺伝子の発現増加は、老化抑制効果が向上したことを意味する。
これらの遺伝子の発現の有無や発現量は、PCR法(リアルタイムPCR法等)等によって特定できる。
【0029】
酸化ストレスマーカーとしては、8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG)等が挙げられる。8-OHdGの体内濃度の低下は、酸化ストレスが低下したことを意味する。
酸化ストレスマーカーの濃度は、ELISA法等によって特定できる。
【0030】
(石材の組成)
本発明における石材は、石材全体に対して、67.0質量%以上80.0質量%以下、好ましくは69.0質量%以上80.0質量%以下、より好ましくは70.0質量%以上75.0質量%以下の二酸化ケイ素(SiO)を含む。なお、二酸化ケイ素は、無水珪酸とも称される。
【0031】
本発明における石材は、本発明の効果がより奏されやすいという観点から、酸化アルミニウム(Al)が多く配合されていることが好ましい。
具体的には、石材全体に対して、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以上20.0質量%以下、さらに好ましくは15.0質量%以上19.0質量%以下の酸化アルミニウムが含まれていることが好ましい。
【0032】
本発明における石材は、本発明の効果がより奏されやすいという観点から、酸化アルミニウムに次いで、酸化第二鉄(Fe)が多く配合されていることが好ましい。
具体的には、石材全体に対して、好ましくは10.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以上10.0質量%以下、さらに好ましくは4.0質量%以上6.0質量%以下の酸化アルミニウムが含まれていることが好ましい。
【0033】
本発明における石材は、上記の無機物質以外に、従来知られる石材に含まれる任意の成分が含まれていてもよい。
このような成分としては、酸化カリウム(KO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化チタン(TiO)、酸化マグネシウム(MgO)、五酸化二リン(P)、三酸化硫黄(SO)、酸化マンガン(MnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化クロム(Cr)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ストロンチウム(SrO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化銅(CuO)、酸化コバルト(Co)、リチウム(Li)、ホウ素(B)、バナジウム(V)、銅(Cu)、ガリウム(Ga)、ニオブ(Nb)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、セリウム(Ce)等が挙げられる。
【0034】
本発明における石材の特に好ましい組成は以下のとおりである。なお、下記の数値は、石材全体に対する各成分の割合である。
二酸化ケイ素:69.0質量%以上72.0質量%以下
酸化アルミニウム(Al):17.0質量%以上19.0質量%以下
酸化第二鉄(Fe):3.0質量%以上5.0質量%以下
酸化カリウム(KO):1.0質量%以上3.0質量%以下
酸化ナトリウム(NaO):0.5質量%以上1.5質量%以下
酸化カルシウム(CaO):0.5質量%以上1.2質量%以下
酸化チタン(TiO):0.5質量%以上1.2質量%以下
酸化マグネシウム(MgO):0.3質量%以上1.0質量%以下
五酸化二リン(P):0.05質量%以上0.2質量%以下
三酸化硫黄(SO):0.05質量%以上0.2質量%以下
酸化マンガン(MnO):0.05質量%以上0.2質量%以下
酸化ジルコニウム(ZrO):0.01質量%以上0.1質量%以下
酸化クロム(Cr):0.01質量%以上0.1質量%以下
酸化亜鉛(ZnO):0.01質量%以上0.05質量%以下
酸化ストロンチウム(SrO):0.001質量%以上0.05質量%以下
酸化ルビジウム(RbO):0.001質量%以上0.05質量%以下
酸化ニッケル(NiO):0.001質量%以上0.05質量%以下
リチウム(Li):0.001質量%以上0.01質量%以下
ホウ素(B):0.001質量%以上0.01質量%以下
バナジウム(V):0.001質量%以上0.01質量%以下
銅(Cu):0.001質量%以上0.01質量%以下
ガリウム(Ga):0.001質量%以上0.01質量%以下
ニオブ(Nb):0.001質量%以上0.005質量%以下
バリウム(Ba):0.001質量%以上0.005質量%以下
鉛(Pb):0.001質量%以上0.005質量%以下
【0035】
石材の組成は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis、XRF)及びICP質量分析(ICP-Mass Spectrometry、ICP-MS)によって特定される。
【0036】
(石材の形状等)
石材の形状、大きさ、厚さ等は特に限定されず、敷材を設置しようとする床面や壁面の規模等に応じて調整することがきる。
【0037】
石材の形状は、例えば、円柱形、板形、多角柱形、不定形等であってもよい。
【0038】
石材の大きさは、例えば、10mm以上10000mm以下の径であってもよい。
【0039】
石材の厚さは、例えば、5mm以上100mm以下であってもよい。
【0040】
石材は、大型(敷材を設置しようとする床面や壁面の全体を覆う大きさ)でもよいが、小型(例えば、直径10mm以上200mm以下、厚さ5mm以上30mm以下)であってもよい。
本発明においては、石材が小型であっても、床面や壁面に配置する石材の数や配置を調整することで、良好な老化抑制効果を実現し得る。
【0041】
石材を複数用いる場合、石材の大きさや形状等は同一であってもよく、異なっていてもよい。本発明の効果を制御しやすいという観点から、石材を複数用いる場合、大きさや形状等は互いに類似するものが好ましい。
【0042】
(敷材の構成)
本発明の敷材は、上記石材が含まれていれば、その構成は特に限定されない。
例えば、本発明の敷材は、上記石材からなるものであってもよいし、石材とその他の部材との組み合わせであってもよい。
【0043】
本発明の敷材が、石材とその他の部材との組み合わせである場合、その他の部材としては特に限定されず、床面や壁面に用いられる任意の建築材料や、装置等を用いることができる。これらの建築材料や装置等は、単独で用いてもよく、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0044】
[建築材料]
本発明の敷材に含まれる建築材料としては、木材、樹脂材、網(金網、樹脂網等)が挙げられる。
【0045】
木材としては、合板(ベニヤ板等)、パーティクルボード(木材の小片を接着剤と混合し熱圧成型した木質ボードの1種)、ヒノキ材、スギ材等が挙げられる。
これらのうち、フィットネス等の各種活動によるリラックス効果等を高めやすいことから、ヒノキ材を用いることが好ましい。
【0046】
ヒノキ材を用いる場合、リラックス効果等をより高めやすいという観点から、敷材の最上面にヒノキ材を配置することが好ましい。
なお、本発明において「敷材の最上面」とは、床面や壁面に設置された敷材における、床面や壁面に対向する面とは逆側の面を意味する。
【0047】
建築材料の大きさ、厚さ、形状等は特に限定されず、敷材を設置しようとする床面や壁面の規模等に応じて調整することがきる。
【0048】
[装置]
本発明の敷材に含まれる装置としては、通常床面や壁面に備えられる任意の装置が挙げられる。例えば、このような装置として、環境制御(温度、湿度等)や配電等のために用いられる装置が挙げられる。
【0049】
本発明の敷材に含まれる好ましい装置としては、例えば、熱発生装置(床暖房マット、ヒーター、電熱シート等)が挙げられる。
【0050】
本発明の敷材は、熱発生装置が含まれていることが好ましい。熱発生装置は、本発明の敷材を設置しようとする空間の温度を高温に調整できる装置である。
【0051】
熱発生装置によって調整される空間の温度は、敷材を設置する設備の種類等に応じて適宜設定できる。
敷材を設置する設備がフィットネススタジオであれば、例えば、温度を30度以上45度以下に調整してもよい。
敷材を設置する場所がサウナであれば、例えば、温度を40度以上120度以下に調整してもよい。
【0052】
石材とともに熱発生装置を備える敷材によれば、石材から放射される赤外線量が増加し、フィットネスやサウナ等による老化抑制効果をより高められることが期待できる。
【0053】
熱発生装置による効果(例えば、石材からの赤外線放射量の増加効果等)を高めやすいという観点から、熱発生装置は、石材よりも下層(床面や壁面等に対向する側の面)側に配置することが好ましい。
【0054】
熱発生装置の大きさや個数等は特に限定されず、敷材を設置しようとする床面や壁面の規模、敷材を設置しようとする設備(フィットネス、サウナ等)の種類等に応じて調整することがきる。
例えば、本発明の敷材をホットヨガ用スタジオに設置する場合、室内の環境を高温(通常、30度以上45度以下)に保てるように、熱発生装置が床面全体に設置される。
例えば、本発明の敷材をサウナ室内に設置する場合、室内の環境を高温(通常、40度以上120度以下)に保てるように、熱発生装置が壁面全体に設置される。
【0055】
(敷材を構成する各部材の配置等)
本発明の敷材が、石材とその他の部材との組み合わせである場合、各部材の配置や、石材の位置等は特に限定されず、部材を任意の順序で並置や積層等させてもよい。
【0056】
本発明の敷材が、石材とその他の部材との組み合わせである場合、石材の移動や破損を防ぐ観点から、板(合板や樹脂板等)に穴を開け、該穴のなかに石材を設置してもよい。
【0057】
本発明の敷材が石材を複数含む場合、本発明の効果を奏しやすくする観点から、石材同士の間隔が略同一となるように配置することが好ましい。例えば、石材同士の間隔は、好ましくは100mm以上3000mm以下、より好ましくは500mm以上2000mm以下であってもよい。
【0058】
本発明の敷材が、石材とその他の部材との積層体である場合、好ましい例として、例えば、下層(床面や壁面に対向する側の面)から順に、パーティクルボード、板(ベニヤ板等)、熱発生装置、石材(より好ましくは板に開けた穴に配置された石材)、及び木材(ヒノキ材等)を備える積層体が挙げられる。
【0059】
(敷材の設置)
本発明の敷材は、任意の環境(好ましくは室内環境)に設置することができる。
【0060】
本発明の敷材の設置位置等は特に限定されないが、通常は、床面や壁面の一部又は全体を覆うように配置される。
本発明の敷材が床面に設置される場合、本発明の敷材の上でフィットネス等の運動を行ったり、本発明の敷材の上に座ってサウナに入浴したりすることができる。
本発明の敷材が壁面に設置される場合、本発明の敷材に囲まれた状態でフィットネス等の運動を行ったり、サウナに入浴したりすることができる。
【0061】
本発明の敷材が床面に設置される場合、支持材等で床上げして設置してもよく、床面に直接設置してもよい。
【0062】
(敷材の用途)
本発明の敷材は、床面や壁面等を備える任意の設備や施設等において用いることができる。
【0063】
各種設備での活動による老化抑制効果を高められるという本発明の効果が奏されやすいという観点から、本発明の敷材は、好ましくは、フィットネススタジオ用又はサウナ用である。
【0064】
本発明において「各種設備での活動」とは、設備内で行われる任意の活動を意味する。
「活動」とは、運動状態及び静止状態のいずれも包含し、例えば、運動、入浴(全身浴、足湯等)、瞑想、睡眠、エステティック、リラクゼーション等が挙げられる。
「設備」とは、上記活動の種類等に応じた場所を包含し、閉鎖空間、及び開放空間のいずれであってもよい。また、「設備」とは、独立した建築物等であってもよく、建築物等の一部であってもよい。
【0065】
本発明において「フィットネス」とは、健康等のために行われる運動を意味する。具体的には、ヨガ、筋肉トレーニング、ランニング、ウォーキング等が挙げられる。
【0066】
本発明において「フィットネススタジオ」とは、フィットネスを行うための設備や施設を意味する。通常、フィットネススタジオは室内設備であり、床面、壁面、及び天井面に囲まれた空間を有する。
【0067】
本発明の敷材は、ヨガ用スタジオにおいて好ましく用いられる。
ヨガとしては、室温(通常、4度以上30度未満)で行う通常のヨガと、高温多湿下で行うホットヨガが知られるが、本発明の効果が特に得られやすいという観点から、本発明の敷材は、ホットヨガ用スタジオにおいて特に好ましく用いられる。
【0068】
本発明の敷材をホットヨガ用スタジオにおいて用いる場合、ホットヨガの条件は特に限定されない。通常、ホットヨガは室内環境で行われる。
ホットヨガの温度条件は、好ましくは30度以上45度以下、より好ましくは30度以上40度以下である。
ホットヨガの湿度条件は、相対湿度が好ましくは50%以上85%以下(より好ましくは60%以上75%以下)である。
【0069】
ホットヨガ用スタジオは、室内環境を制御するために、通常、熱発生装置、及び加湿器を備える。
【0070】
本発明において「サウナ」とは、高温に設定された室内空間へ入浴すること、又はその入浴設備を意味する。本発明におけるサウナは、乾式(乾燥下でのサウナ)及び湿式(水蒸気存在下でのサウナ)のいずれも包含する。
【0071】
本発明の敷材をサウナにおいて用いる場合、サウナの条件は特に限定されない。通常、サウナは室内環境で行われる。
サウナの温度条件は、好ましくは40度以上120度以下、より好ましくは50度以上90度以下である。
サウナの湿度条件は、相対湿度が好ましくは10%以上100%以下、より好ましくは70%以上100%以下である。
サウナの入浴時間は過度でなくともよく、サウナの温度条件等に応じて適宜設定でき、好ましくは5分以上60分以下、より好ましくは10分以上20分以下である。
【0072】
サウナは、室内環境を制御するために、通常、熱発生装置を備える。
【0073】
(フィットネススタジオ用構造体)
本発明のフィットネススタジオ用構造体は、本発明の敷材を備える。
【0074】
本発明において「フィットネススタジオ用構造体」とは、運動を行うことができるほどの広さの空間を備えた建築物を意味する。
【0075】
本発明のフィットネススタジオ用構造体の構造は特に限定されないが、通常、少なくとも床面、壁面、及び天井面に囲まれた空間を有する。
【0076】
フィットネススタジオ用構造体を構成する材料や構造等は特に限定されず、通常の建築物に用いられる任意のものを採用できる。
【0077】
本発明の敷材は、フィットネススタジオ用構造体における任意の面に設置される。
本発明の敷材は、通常、フィットネススタジオ用構造体の床面に設置され、該床面の上でフィットネスを行うことで、フィットネスから得られる老化抑制効果をより高めることができる。
【0078】
(サウナ用構造体)
本発明のサウナ用構造体は、本発明の敷材を備える。
【0079】
本発明において「サウナ用構造体」とは、全身の入浴ができるほどの広さの空間を備えた建築物を意味する。
【0080】
本発明のサウナ用構造体の構造は特に限定されないが、通常、少なくとも床面、壁面、及び天井面に囲まれた空間を有する。
【0081】
サウナ用構造体を構成する材料や構造等は特に限定されず、通常の建築物に用いられる任意のものを採用できる。
例えば、サウナ用構造体としては、市販の家庭用サウナを使用してもよい。
【0082】
本発明の敷材は、サウナ用構造体における任意の面に設置される。
例えば、サウナ用構造体が座部を備える場合、座面の下部や構造体内部の壁面に石材を配置し、入浴者の足元や上半身を含む全身に対して本発明の敷材による効果を及ぼしやすくすることができる。
リラックス効果等を高める観点から、サウナ内の壁面には木材(ヒノキ材)を設けてもよい。
【実施例
【0083】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0084】
<<ホットヨガスタジオにおける試験>>
以下の方法で、本発明における石材をホットヨガスタジオに設置し、該スタジオにおけるホットヨガレッスン前後の各種遺伝子発現等の変化を評価した。
【0085】
なお、本例における試験は、非盲検並行群間比較試験に該当する。
【0086】
<石材の準備>
表1の「本発明」の項に示す組成を有する石材を準備した。該石材の形状は、直径約100mm、厚さ約10mmの略円柱形である。
【0087】
参考として、各種溶岩等の組成もあわせて示した。各溶岩等の詳細は以下のとおりである。
参考1:ザ・ボルケーノ(カナダ)で採取した石材
参考2:インドネシアで採取した溶岩
参考3:富士山(日本)で採取した石材
【0088】
表1に示す組成は、蛍光X線分析(X-ray fluorescence analysis、XRF)及びICP質量分析(ICP-Mass Spectrometry、ICP-MS)の結果に基づき分析した。なお、表1中の数値の単位は「質量%」である。
【0089】
【表1】
【0090】
表1に示されるとおり、本発明における石材は、二酸化ケイ素(SiO)含量が通常の石材と比較して顕著に多い。
【0091】
<ホットヨガスタジオへの石材の設置>
以下の方法で、ホットヨガスタジオの床面に本発明における石材を設置した。
【0092】
(1)床上げ
床面積約92mの室内空間を準備した。該空間において床上げ工事を行い、床面全体にパーティクルボード(厚さ20mm)及び、パーティクルボード上にベニヤ板(厚さ12mm)を張り渡した。
【0093】
(2)床暖房マットの設置
床上げ後、張り渡したベニヤ板の上面全体に、面状の床暖房マット(商品名「HFMシリーズ」、厚さ12mm、リンナイ株式会社製)を並べて設置した。
【0094】
(3)石材の設置
設置した床暖房マットの上面全体にベニヤ板(厚さ12mm)を敷いた。このベニヤ板には、石材の形状及び設置位置にあわせて複数の穴を予め開けた。次いで、ベニヤ板の穴に石材を嵌め、床面に石材を設置した。
なお、石材は、石材同士の間隔が約3000mmとなるように等間隔で床面全体に設置した。
【0095】
(4)ヒノキ材の設置
石材の設置後、床面全体にヒノキ材(厚さ15mmの板材)を張り渡した。
【0096】
石材を設置したホットヨガスタジオの床面付近の断面図を図1に示す。図1中、パーティクルボード、ベニヤ板(2層分)、床暖房マット、石材、及びヒノキ材を含む全体が、本例における敷材に相当する。
【0097】
<被験者の選抜>
下記「エントリー基準」を全て満たし、かつ、下記「除外基準」(被験者の自己申告による)に該当しない者を48名選抜した。
【0098】
(エントリー基準)
(1)エントリー時の年齢が20歳以上59歳以下の日本人女性である。
(2)1回60分のホットヨガのレッスンを3ヶ月間、必ず週2回受けることが可能である。
(3)運動不足を自覚する者である。
(4)ホットヨガのレッスン前日は、レッスン開始時間の12時間以上前までに食事を済ませ、レッスン当日の検査終了まで絶食することが可能である(ただし水分(ミネラルウォーター)は十分に摂取することができる。)。
(5)BMI(体重(kg)/[身長(m)])が22以上25以下である。
【0099】
(除外基準)
(1)妊娠中又は妊娠している可能性のある者、授乳中の者
(2)試験期間中に妊娠する可能性がある者
(3)疾病の治療のため通院している者、投薬を受けている者
(4)重篤な肝障害、腎障害、心疾患の既往歴のある者
(5)慢性的な皮膚症状(アトピー性皮膚炎等)がある者
(6)現在、ヨガ又はホットヨガに定期的に通っている者
(7)急性痒痛(骨折、捻挫、肉離れ等)の症状がある者
(8)現在、週3回以上/1時間以上の運動を行っている者
(9)これまでにホットヨガ(通常の室温下でのヨガを除く)に3ヶ月以上通った経験がある者
(10)出張や転勤の可能性がある者
(11)仕事や家事等が忙しく、60分×週2回のヨガレッスンの時間を取ることが難しい者
(12)習い事が長続きしない者
(13)フィットネス関連会社(ヨガスタジオ、スポーツジム等)に勤務している者、同居の家族や近親者がフィットネス関連会社(ヨガスタジオ、スポーツジム等)に勤務している者
(14)感染性疾患(HIV、肝炎ウイルス、梅毒等)に罹患している者
【0100】
<試験の実施>
上記<ホットヨガスタジオへの石材の設置>のとおり用意したスタジオ(以下、「スタジオ-1」ともいう。)、及び、上記<ホットヨガスタジオへの石材の設置>において「(3)石材の設置」を行わなかった(設置した床暖房マットの上面全体に穴を開けていないベニヤ板(厚さ12mm)を敷いた)点以外は同様に用意したスタジオ(以下、「スタジオ-2」ともいう。)を用いて、被験者を2群に分けて試験を行った。
具体的には、「スタジオ-1」及び「スタジオ-2」のそれぞれにおいて、以下の内容で被験者にホットヨガのレッスンを行った。
【0101】
(ホットヨガのレッスン内容)
温度:室温(35度前後)
相対湿度:60%前後
1回のレッスン時間:60分間
レッスンの強度:初心者向け
レッスンの回数:週2回、3ヶ月
【0102】
「スタジオ-1」群、及び「スタジオ-2」群のそれぞれにおける被験者概要を表2に示す。
【0103】
【表2】
【0104】
なお、試験期間中、被験者には下記項目を遵守させた。
(1)試験期間中、1回60分のホットヨガのレッスンを3ヶ月間、必ず週2回受ける。
(2)レッスン前日は、来所時間の12時間以上前までに食事を済ませ、試験当日の検査終了まで絶食する(ただし水分(ミネラルウォーター)は十分に摂取する)。
(3)試験期間中、試験開始以前と同様の生活環境(睡眠、食事、生活全般)を維持する。
(4)試験期間中、使用しているスキンケア及びメイク製品、使用しているサプリメント等の追加変更を禁止する。
【0105】
(測定項目)
ホットヨガのレッスン前後(換言すれば、試験開始日のレッスン直前、及び試験終了日のレッスン直後)のそれぞれの時点における、以下の項目を評価した。
(項目1-A)健康関連QOL(「SF-36v2」、2015年1月版に基づく)
(項目1-B)体構造(筋肉量、体脂肪量、体重、BMI)
(項目1-C)皮膚特性(皮膚水分量、皮膚弾力性、キメ分析)
(項目1-D)血液一般検査
(項目1-E)遺伝子検査(対象遺伝子:グリセルアルデヒド3-リン酸脱水素酵素(GAPDH)、サーチュイン1(SIRT1)、サーチュイン6(SIRT6)、ヒトテロメア逆転写酵素(hTERT)、ヒトテロメアRNA構成要素(hTERC))
【0106】
項目1-Aについては、いずれの被験者においても、レッスン前と比較して、レッスン後における評価結果が良好である傾向にあった。しかし、「スタジオ-1」群と、「スタジオ-2」群との間に差はほぼ認められなかった。
【0107】
項目1-Bについては、いずれの被験者においても、レッスン前と比較して、レッスン後における筋肉量が増加し、かつ、体脂肪量、体重及びBMIが減少する傾向にあった。しかし、「スタジオ-1」群と、「スタジオ-2」群との間に差はほぼ認められなかった。
【0108】
項目1-Cについては、いずれの被験者においても、レッスン前と比較して、レッスン後における水分量、弾力性、キメ体積率、及びキメ個数が増加し、かつ、キメ深度が減少し、皮膚特性が良好である傾向にあった。しかし、「スタジオ-1」群と、「スタジオ-2」群との間に差はほぼ認められなかった。
【0109】
項目1-Dについては、いずれの被験者においても、レッスン前後における各検査結果にほぼ差がないか、又は、レッスン前と比較して、レッスン後における各検査結果が良好である傾向にあった。しかし、「スタジオ-1」群と、「スタジオ-2」群との間に差はほぼ認められなかった。
【0110】
項目1-Eについて、SIRT1、SIRT6、hTERT、hTERCは、いずれも老化に関連する遺伝子であることが知られ、これらの遺伝子の発現が高いことは、活性酸素発生の抑制や、老化の抑制等をもたらし得ることが知られる。
図2~5の結果は、各遺伝子発現量を、GAPDH発現量によって補正したものである。図2~5に示されるとおり、いずれの被験者においても、レッスン前と比較して、レッスン後に遺伝子発現量が増加する傾向にあった。さらに、「スタジオ-1」群においては、「スタジオ-2」群と比較して、遺伝子発現量が多い傾向にあった。
なお、項目1-Eの結果は、被験者から採取した血液試料を用いた、リアルタイムPCR法による分析結果である。
【0111】
なお、データには示していないが、「スタジオ-1」における赤外線放射量は、「スタジオ-2」と比較して多い傾向にあった。
【0112】
以上の結果から、本発明の敷材によれば、ホットヨガから得られる老化抑制効果を高められることがわかった。
【0113】
<<サウナにおける試験>>
以下の方法で、上記<<ホットヨガスタジオにおける試験>>で用いた石材と同様の石材をサウナに設置し、該サウナへの入浴前後の各種遺伝子発現等の変化を評価した。
【0114】
なお、本例における試験は、並行群間比較試験に該当する。
【0115】
<サウナへの石材の設置>
以下の方法で、サウナ室内に本発明における石材を設置した。
【0116】
(1)サウナの準備
サウナとして、市販の家庭用サウナ(収容可能人数:1名、商品名「日立ホームサウナ SE2000」、株式会社日立製作所製)を準備した。このサウナは熱発生装置、及び座部等を備える。
【0117】
(2)石材の設置
サウナ室内に合計12個の石材を設置した。具体的には、石材は、座部の座面下に6個、サウナ室内の2側面に3個ずつ設置した。
設置した各石材は、上記<<ホットヨガスタジオにおける試験>>で用いた石材(表1の「本発明」の項に示す組成を有する石材)と同様の組成及び形状を有する。
石材を設置したサウナの断面図(正面内部、側面内部、背面内部)を図6に示す。図示していないが、サウナ室内の壁面に熱発生装置(電熱シート)を配置し、熱発生装置の表面(サウナ壁面側とは逆側の面)に金網を張り、該金網の上に石材を固定した。
【0118】
図6において、石材、及び図示していない熱発生装置(電熱シート)及び金網の全体が、本例における敷材に相当する。
【0119】
<試験の実施>
上記<サウナへの石材の設置>のとおり用意したサウナ(以下、「サウナ-1」ともいう。)、及び、上記<サウナへの石材の設置>において「(2)石材の設置」を行わなかった点以外は同様に用意したサウナ(以下、「サウナ-2」ともいう。)を用いて、被験者を2群に分けて試験を行った。
具体的には、以下の条件で、「サウナ-1」及び「サウナ-2」のいずれかに被験者を入浴させた。
【0120】
(サウナの入浴条件)
試験期間:27日間
サウナ室内の温度:50度前後
サウナ室内の相対湿度:60%前後
入浴頻度:週3回、1日2回
入浴時間:1回あたり最小10分間~最大20分間
【0121】
「サウナ-1」群、及び「サウナ-2」群のそれぞれにおける被験者概要を表3に示す。
【0122】
【表3】
【0123】
(測定項目)
サウナ入浴の開始前後(換言すれば、試験開始日の入浴直前、及び試験終了日の入浴直後)のそれぞれの時点における、以下の項目を評価した。
(項目2-A)遺伝子検査(対象遺伝子:サーチュイン1(SIRT1)、サーチュイン6(SIRT6))
(項目2-B)酸化ストレスマーカー(8-ヒドロキシ-2’-デオキシグアノシン(8-OHdG))
(項目2-C)皮膚特性(皮膚水分量、皮膚弾力性、キメ分析)
【0124】
項目2-Aについて、SIRT1、及びSIRT6は、いずれも老化に関連する遺伝子であることが知られ、これらの遺伝子の発現が高いことは、活性酸素発生の抑制や、老化の抑制等をもたらし得ることが知られる。
図7の結果は、SIRT6遺伝子発現量を、GAPDH発現量によって補正したものである。試行間の有意差検定には、t検定を用い、危険率5%未満の場合に有意差ありと判断した(*p<0.05)。
図7に示されるとおり、「サウナ-1」群においては、「サウナ-2」群と比較して、入浴後のSIRT6遺伝子発現量が有意に多かった。
データは示していないが、SIRT1遺伝子の発現については、「サウナ-1」群と「サウナ-2」群との間での有意差は認められなかったものの、それぞれの群において、入浴後は入浴前と比較してSIRT1遺伝子発現量が高い傾向にあった。
【0125】
なお、項目2-Aの結果は、被験者から採取した血液試料を用いた、リアルタイムPCR法による分析結果である。
【0126】
項目2-Bについて、8-OHdGは、酸化ストレスマーカーとして知られ、8-OHdGの体内濃度が高いほど、酸化ストレスが高いことを意味する。
図8に示されるとおり、「サウナ-1」群においては、「サウナ-2」群と比較して、入浴後の8-OHdGの体内濃度値が低かった。
通常のサウナによって増加し得る酸化ストレスが、石材の存在によって抑制され、さらには、サウナ入浴前よりも低いレベルとなったことは極めて意外な結果だった。
【0127】
なお、項目2-Bの結果は、被験者から採取した血液試料を用いた、ELISAによる分析結果である。
【0128】
項目2-Cについては、「サウナ-1」群と、「サウナ-2」群との間に差はほぼ認められなかった。
【0129】
データには示していないが、「サウナ-1」における赤外線放射量は、「サウナ-2」と比較して多い傾向にあった。
【0130】
データには示していないが、サウナ内の壁面(電熱シートと金網との間)にヒノキ材を設け、該ヒノキ材の表面に石材を設置したところ、老化抑制効果がより高まりやすい傾向にあった。
【0131】
以上の結果から、本発明の敷材によれば、酸化ストレスを抑制しつつ、サウナから得られる老化抑制効果を高められることがわかった。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8