(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/52 20200101AFI20231124BHJP
G01R 27/16 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G01R31/52
G01R27/16
(21)【出願番号】P 2022557631
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(86)【国際出願番号】 KR2020004502
(87)【国際公開番号】W WO2021107289
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】10-2019-0156141
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0178611
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0179996
(32)【優先日】2019-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(73)【特許権者】
【識別番号】522206308
【氏名又は名称】チュンブク ナショナル ユニヴァーシティ インダストリー-アカデミック コオペレイション ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】CHUNGBUK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY-ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】1, Chungdae-ro, Seowon-gu Cheongju-si Chungcheongbuk-do 28644 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】522206319
【氏名又は名称】ドンウ エレクトリック コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO ELECTRIC CORP.
【住所又は居所原語表記】34, Oseongseo-ro, Anjung-eup, Pyeongtaek-si Gyeonggi-do 17928 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,スヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ジョンイル
(72)【発明者】
【氏名】キム,ピュンジュン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-185890(JP,A)
【文献】特開平09-318696(JP,A)
【文献】特開平11-006854(JP,A)
【文献】特開2010-151576(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0094431(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/52
G01R 27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス(pulse)信号を印加する信号生成部と、
前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、
設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、
初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かに応じて、前記第1平均電圧を正常状態の電圧として検出するか、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差に応じて異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新する制御部とを含むことを特徴とする絶縁監視装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲を超えると、第1時間倍数に基づいて次の平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を更新し、
前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲以下であれば、第2時間倍数に基づいて前記次の平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング更新を行い、
前記第2時間倍数は、
前記第1時間倍数より小さい値を有し、
前記第2誤差範囲は、
前記第1誤差範囲より大きい値を有することを特徴とする、請求項1に記載の絶縁監視装置。
【請求項3】
前記第1時間倍数及び前記第2時間倍数は、
それぞれ1.66及び1.33であり、
前記第1誤差範囲及び前記第2誤差範囲は、
それぞれ前記第2平均電圧の1%及び5%であることを特徴とする、請求項2に記載の絶縁監視装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数(Noise Frequency)の周期のうち大きい値に応じて前記初期サンプリング間隔を決定することを特徴とする、請求項1に記載の絶縁監視装置。
【請求項5】
複数の異なる時定数に対応する異なるサンプリング間隔の情報が保存されているメモリをさらに含み、
前記制御部は、
前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数の周期のうち大きい値に応じて第1サンプリング間隔を算出し、
前記第1サンプリング間隔に基づいて前記信号測定部で測定される電圧の傾きを算出する複数の間隔決定時点を決定し、
複数の第1サンプリング間隔を含む間隔決定時点間の電圧差による第1傾きと、前記複数の第1サンプリング間隔を含む他の間隔決定時点間の電圧差による第2傾きの比を算出し、
算出した傾きの比に対応する時定数に基づいて、前記異なるサンプリング間隔のいずれかを前記初期サンプリング間隔として決定することを特徴とする、請求項1に記載の絶縁監視装置。
【請求項6】
前記制御部は、
印加される前記パルス信号の種類に応じた正常状態の電圧として前記第1平均電圧が決定されると、
予め決定された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かに応じて、前記パルス信号を前記他の種類のパルス信号に反転するように前記信号生成部を制御し、前記他の種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧を検出するように前記信号測定部と前記平均電圧算出部を制御することを特徴とする、請求項1に記載の絶縁監視装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記予め決定された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧がある場合、異なる種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出することを特徴とする、請求項6に記載の絶縁監視装置。
【請求項8】
前記制御部は、
所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出されたか否かを確認し、所定の数未満の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、絶縁抵抗の大きさを再び算出するように前記信号生成部、前記信号測定部及び前記平均電圧算出部を制御し、
前記確認の結果、所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、算出された前記絶縁抵抗の大きさの平均値を算出し、前記絶縁抵抗の最終の大きさを決定することを特徴とする、請求項7に記載の絶縁監視装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、算出された絶縁抵抗の大きさの差を算出し、算出した差が所定の閾値を超えると、干渉周波数を所定の比率で変更し、かつ変更した干渉周波数に応じて前記所定の数の絶縁抵抗の大きさを再び算出するように前記信号生成部、前記信号測定部及び前記平均電圧算出部を制御することを特徴とする、請求項8に記載の絶縁監視装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記所定の数の絶縁抵抗の大きさの平均値に基づいて前記絶縁抵抗の最終の大きさを最終決定すると、前記干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であるか否かを確認し、
前記干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であれば、前記干渉周波数の大きさを最小値として決定することを特徴とする、請求項9に記載の絶縁監視装置。
【請求項11】
前記信号測定部は、
検出抵抗と、
前記検出抵抗の両端にかかる電圧差を増幅する増幅部と、
前記増幅部で増幅した電圧差をデジタル電圧値に変換して前記制御部に入力するADC(Analog Digital Converter)と、
前記検出抵抗と前記増幅部間に形成され、前記検出抵抗の両端にかかる電圧のノイズを除去する第1アナログフィルタ、及び前記増幅部と前記ADC間に接続され、前記増幅部で増幅した電圧差のノイズを除去する第2アナログフィルタの少なくとも1つとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の絶縁監視装置。
【請求項12】
前記ADCは、
増幅した前記電圧差をデジタル電圧値に変換する変換部と、
前記変換部と前記制御部間に形成され、前記制御部に入力されるデジタル電圧値のノイズを除去するデジタルフィルタとを含むことを特徴とする、請求項11に記載の絶縁監視装置。
【請求項13】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置の制御方法であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、
初期サンプリング間隔を決定するステップと、
決定した初期サンプリング間隔に応じてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、かつ第1時間倍数に基づいて更新したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出するステップと、
現在算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に測定した第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、
前記検出結果に応じて、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第1平均電圧を識別するか、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差に応じて異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップと、
更新した前記サンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、かつ前記正常状態の電圧が識別されるまで、前記電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップから、異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップまでを繰り返すステップと、
前記正常状態の電圧が識別されると、予め識別された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出するステップと、
前記予め識別された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出した結果、予め識別された他の種類のパルス信号がある場合、前記他の種類のパルス信号にパルス信号を反転し、前記初期サンプリング間隔を決定するステップから、前記繰り返すステップまでを再び行い、前記他の種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧を識別するステップと、
前記他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出するステップの検出の結果、予め識別された他の種類のパルス信号がある場合、異なる種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップとを含むことを特徴とする、絶縁監視装置の制御方法。
【請求項14】
前記異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップは、
前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲を超えると、第1時間倍数に基づいて前記サンプリング間隔を更新するステップと、
前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲以下であれば、第2時間倍数に基づいて前記サンプリング間隔を更新するステップとを含み、
前記第2時間倍数は、
前記第1時間倍数より小さい値を有し、
前記第2誤差範囲は、
前記第1誤差範囲より大きい値を有することを特徴とする、請求項13に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項15】
前記初期サンプリング間隔を決定するステップは、
前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数の周期のうち大きい値に応じて前記初期サンプリング間隔を算出するステップであることを特徴とする、請求項13に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項16】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加する信号生成部と、
前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、
設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、
初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較するチューニング過程を行い、前記平均電圧の差が所定の誤差範囲内であれば、サンプリング開始時点から経過した時間が所定の時間以上であるか否かに応じて、前記第2平均電圧を正常状態の電圧として検出するか、前記チューニング過程を再び行う制御部とを含むことを特徴とする絶縁監視装置。
【請求項17】
前記制御部は、
所定の第1時間倍数に基づいて1次チューニング過程を行い、1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する2次チューニング過程を行い、
前記2次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であれば、2次チューニング開始時点から前記所定の時間が経過したか否かに応じて、前記第2平均電圧を正常状態の電圧として検出することを特徴とする、請求項16に記載の絶縁監視装置。
【請求項18】
前記制御部は、
前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記1次チューニングを終了し、
前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定し、決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、
算出した電圧の傾きによる傾きの比に基づいて時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて前記所定の時間を決定することを特徴とする、請求項17に記載の絶縁監視装置。
【請求項19】
前記制御部は、
前記1次チューニングが終了すると、前記1次チューニングの開始時点、前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点、前記1次チューニングの終了時点、及び前記1次チューニングの終了時点から前記初期サンプリング間隔だけ前の時点を前記基準点として決定し、
決定した基準点に基づいて下記数式により傾きの比を算出することを特徴とする、請求項18に記載の絶縁監視装置。
【数4】
ここで、開始時点は前記サンプリングを開始した時点であり、前記第1基準点は前記開始時点から初期サンプリング間隔だけ経過した時点であり、前記第3基準点は前記1次チューニングが終了した時点であり、前記第2基準点は前記第3基準点から前記初期サンプリング間隔だけ前の時点であり、
前記開始電圧は開始時点の電圧であり、前記第1電圧は前記第1基準点の電圧であり、前記第2電圧は前記第2基準点の電圧であり、前記第3電圧は前記第3基準点の電圧である。
【請求項20】
前記制御部は、
前記傾きの比に対する自然対数ln演算の結果と、前記第1基準点と前記開始時点間の時間間隔に応じて時定数τを算出し、
算出した前記時定数の所定の倍数に基づいて前記所定の時間を決定することを特徴とする、請求項19に記載の絶縁監視装置。
【請求項21】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比が所定の閾値以上であるか否かに応じて前記時定数を算出し、
前記時定数を算出すると、算出した時定数及び下記数式に基づいて前記初期サンプリング間隔を再設定し、再設定した初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする、請求項18に記載の絶縁監視装置。
【数6】
ここで、tnは再設定した初期サンプリング間隔であり、τは時定数である。
【請求項22】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比と前記閾値を比較した結果により前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする、請求項21に記載の絶縁監視装置。
【請求項23】
前記制御部は、
前記時定数を算出できない場合、前記信号生成部を制御して前記パルス信号の振幅を増加させることを特徴とする、請求項21に記載の絶縁監視装置。
【請求項24】
前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、
前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー(coupler)抵抗とをさらに含み、
前記制御部は、
前記時定数を算出できない場合、前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御することを特徴とする、請求項21に記載の絶縁監視装置。
【請求項25】
第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、
前記制御部は、
前記時定数を算出できない場合、前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御することを特徴とする、請求項21に記載の絶縁監視装置。
【請求項26】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比が前記閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて時定数を算出することを特徴とする、請求項21に記載の絶縁監視装置。
【請求項27】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置の制御方法であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、
初期サンプリング間隔を決定するステップと、
前記初期サンプリング間隔と第1時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較する1次チューニングを行うステップと、
前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、
前記電圧差が前記第1誤差範囲内であるか否かに応じて、前記1次チューニングを終了し、所定のサンプリング間隔と第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第3平均電圧と、前記第3平均電圧以前に算出した第4平均電圧の差を比較する2次チューニングを行うステップと、
前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、
前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が前記正常電圧誤差範囲内であれば、前記2次チューニングの開始時点から所定の時間が経過したか否かを検出し、前記所定の時間が経過した場合、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップと、
前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が前記正常電圧誤差範囲を超えるか、前記2次チューニングの開始時点から所定の時間が経過していない場合、前記2次チューニングを繰り返すステップとを含むことを特徴とする、絶縁監視装置の制御方法。
【請求項28】
前記2次チューニングを行うステップは、
前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定するステップと、
決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、かつ算出した複数の傾きによる傾きの比を算出するステップと、
算出した前記傾きの比に基づいて時定数を算出し、算出した時定数に応じて前記所定の時間を決定するステップとを含むことを特徴とする、請求項27に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項29】
前記所定の時間を決定するステップは、
算出した前記傾きの比が所定の閾値以上であるか否かを検出するステップと、
前記傾きの比が前記閾値以上であれば、前記時定数を算出するステップと、
前記時定数を算出すると、算出した時定数及び下記数式に基づいて前記初期サンプリング間隔を再設定するステップとを含み、
前記2次チューニングを行うステップは、
再設定した前記初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うステップであることを特徴とする、請求項28に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【数6】
ここで、tnは再設定した初期サンプリング間隔であり、τは時定数である。
【請求項30】
前記2次チューニングを行うステップは、
前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔に基づいて前記第2チューニング過程を行うステップであることを特徴とする、請求項29に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項31】
印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧を検出するステップは、
印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧が検出されると、検出された正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップを含み、
前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップは、
前記時定数を算出できない場合、前記傾きの比を増加させるステップを含み、
前記傾きの比を増加させるステップは、
前記パルス信号の振幅を増加させるステップであることを特徴とする、請求項28に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項32】
前記絶縁監視装置は、
前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、
前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー抵抗とをさらに含み、
前記傾きの比を増加させるステップは、
前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御するステップを含むことを特徴とする、請求項31に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項33】
前記絶縁監視装置は、
第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、
前記傾きの比を増加させるステップは、
前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御するステップであることを特徴とする、請求項31に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項34】
前記時定数を算出するステップは、
前記傾きの比が前記閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて前記時定数を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項29に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項35】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加する信号生成部と、
前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、
設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、
初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を算出するチューニング過程を行い、前記平均電圧の差が所定の正常電圧誤差を満たす場合、前記第1平均電圧を正常状態の電圧として検出する制御部とを含み、
前記制御部は、
前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の誤差条件を満たす場合、所定の待機時間の間は節電モードに動作状態を切り替え、前記待機時間が経過すると、再び前記平均電圧を算出して前記正常状態の電圧を検出するチューニング過程を再開することを特徴とする絶縁監視装置。
【請求項36】
前記制御部は、
所定の第1時間倍数に基づいて1次チューニング過程を行い、1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記待機時間の間は節電モードに動作状態を切り替え、
前記チューニング過程が再開されると、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する2次チューニング過程を行うことを特徴とする、請求項35に記載の絶縁監視装置。
【請求項37】
前記制御部は、
前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記1次チューニングを終了し、
前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定し、決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、
算出した電圧の傾きによる傾きの比に基づいて時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて前記待機時間を決定することを特徴とする、請求項36に記載の絶縁監視装置。
【請求項38】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、
前記時定数に応じて決定される前記待機時間が経過した後に検出される正常状態の電圧に応じて前記絶縁抵抗を算出すると、算出した前記時定数に基づいて下記数式により漏れ
キャパシタンスの大きさをさらに算出することを特徴とする、請求項37に記載の絶縁監
視装置。
【数8】
ここで、τは時定数であり、Reは絶縁抵抗の大きさであり、Riは絶縁監視装置の内部抵抗の大きさであり、
前記閾値は前記漏れキャパシタンスを算出する算出範囲の最小値である。
【請求項39】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、比較結果により前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔と前記第2時間倍数に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする、請求項37に記載の絶縁監視装置。
【請求項40】
前記制御部は、
前記検出された正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗を算出すると、前記時定数を算出するか否かに基づいてテストパルスの振幅を増加させるように前記信号生成部を制御することを特徴とする、請求項39に記載の絶縁監視装置。
【請求項41】
前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、
前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー抵抗とをさらに含み、
前記制御部は、
前記時定数を算出できない場合、前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御することを特徴とする、請求項39に記載の絶縁監視装置。
【請求項42】
第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、
前記制御部は、
前記時定数を算出できない場合、前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御することを特徴とする、請求項39に記載の絶縁監視装置。
【請求項43】
前記制御部は、
算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、比較結果により前記時定数を算出できない場合、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて時定数を算出することを特徴とする、請求項37に記載の絶縁監視装置。
【請求項44】
系統の電力線と接地間に形成される絶縁抵抗を含む絶縁監視装置の制御方法であって、
前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、
初期サンプリング間隔を決定するステップと、
前記初期サンプリング間隔と第1時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較する1次チューニングを行うステップと、
前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲を超えると、前記1次チューニングを繰り返すステップと、
前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が前記第1誤差範囲内であれば、少なくとも1つの基準点を決定し、前記基準点における電圧の電圧差による電圧の傾きに基づいて傾きの比を算出するステップと、
算出した傾きの比に基づいて時定数を算出するステップと、
算出した時定数に応じて決定される待機時間の間は前記絶縁監視装置の動作状態を待機状態に切り替えるステップと、
前記待機時間が経過したか否かを確認し、確認結果に応じて動作状態をアクティブ状態に切り替えるステップと、
動作状態をアクティブ状態に切り替えると、再設定した初期サンプリング間隔と第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第3平均電圧と、前記第3平均電圧以前に算出した第4平均電圧の差を比較する2次チューニングを行うステップと、
前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲内であれば、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップと、
前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲を超えると、前記2次チューニングを繰り返すステップとを含むことを特徴とする、絶縁監視装置の制御方法。
【請求項45】
前記絶縁監視装置の動作状態を待機状態に切り替えるステップは、
算出した前記時定数の所定の倍数に基づいて前記待機時間を決定するステップと、
決定した前記待機時間の間は前記絶縁監視装置の動作モードを節電モードに切り替えるステップとを含むことを特徴とする、請求項44に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項46】
印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップは、
算出した前記時定数に基づいて絶縁キャパシタンスの大きさを算出するステップを含むことを特徴とする、請求項44に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【請求項47】
前記時定数を算出するステップは、
前記傾きの比が
所定の閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて前記時定数を算出するステップを含むことを特徴とする、請求項44に記載の絶縁監視装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接地(IT: Insulation Terra)電力系統において地絡事故などを未然に検出して事故を予防する絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IT接地方式は、電力線のどちら側も接地されず、負荷の筐体のみにより接地される接地方式である。このようなIT接地方式は、電力線のいずれかにおいて地絡事故が発生した場合も、系統の運転を停止することなく、地絡事故が発生した部位を検索する時間的余裕があるので、系統の連続的な運転を確保できるという利点がある。
【0003】
しかし、地絡事故が発生しても系統の運転が可能であるので、系統が運転中の状態でも、電力線の絶縁状態を継続して監視する必要がある。よって、IEC(International Electro-technical Commission)61557規定においては、電力線の絶縁状態を監視する絶縁監視装置を設置することを義務化している。
【0004】
よって、韓国においても、二次電池を用いた電気貯蔵装置にIMDなどの適切な保護及び制御装置を施設するように、2019月11月21日に産業通商資源部公告第2019-667号電気設備技術基準の判断基準が公告された。
【0005】
このような絶縁監視装置は、接地(グラウンド(ground))と電力線間に形成され、前記電力線と接地間に形成される絶縁抵抗により前記電力線と前記接地間に回路を形成し、かつ形成した回路にPulse (パルス)信号を注入するパルス信号生成部と、前記パルス信号における電圧を検出する検出抵抗とからなる。また、検出抵抗の両端の電圧を計測及び分析して正常状態(絶縁状態が正常な時)の電圧を検出し、検出した電圧に基づいて絶縁抵抗の大きさを算出することにより、前記電力線の絶縁状態を監視する。
【0006】
しかし、このような通常の絶縁監視装置は、前記正常状態の電圧を検出するために、固定された時間倍数に基づいて前記検出抵抗から計測した電圧を分析するという問題がある。よって、正常状態の電圧を検出するのに要する時間が長くなり、前記絶縁抵抗の大きさを算出して表示するのに要する時間、すなわち絶縁監視装置の応答時間が長くなるという問題がある。
【0007】
それだけでなく、通常の絶縁監視装置は、電力線と接地間に形成される回路により計測される信号から、1つのアナログRC(Analog Resistor capacitor)フィルタのみを用いて、信号に発生するノイズ(noise)を除去するので、絶縁監視装置の内部又はアナログ・デジタル変換された検出電圧のノイズなどに対しては脆弱であるという問題がある。
【0008】
一方、通常の絶縁監視装置は、正常状態の電圧を検出するために、固定された時間倍数に基づいて順次サンプリング時間を増加させてサンプリング区間を決定し、各サンプリング区間で算出した平均電圧の差が所定の誤差以下の場合に、現在のサンプリング区間で算出した平均電圧を正常状態の電圧として検出する構成を有する。
【0009】
しかし、このように平均電圧の差だけで正常状態の電圧を検出する場合、検出初期にサンプリング時間間隔が短く設定された状態で電圧値のブレにより平均電圧の差が前記所定の誤差以下の値に算出されると、電圧が安定化していない状態であるにもかかわらず、これを安定化した電圧として誤判断するという問題がある。上記の場合、電圧が安定化していない状態であるので、実際の安定化した電圧より高い電圧が安定化した電圧として判別され、絶縁抵抗の大きさが誤測定されるという問題が生じる。
【0010】
一方、絶縁抵抗の大きさを正確に算出するためには、前記パルス信号の極性を反転して正常状態の電圧を算出しなければならないが、その場合、パルス信号の極性が反転すると、反転したパルス信号の電圧差によるサージ(Surge)現象により電圧が一時的に不安定な状態となる。そして、所定の時間が経過すると、電圧が再び安定化する。また、前記絶縁抵抗の大きさは、前記安定化した電圧により算出される。よって、絶縁監視装置は、安定化状態の電圧、すなわち正常状態の電圧を検出するために、固定された時間倍数に基づいて順次サンプリング時間を増加させてサンプリング区間を決定し、各サンプリング区間で算出した平均電圧の差が所定の誤差以下の場合に、現在のサンプリング区間で算出した平均電圧を正常状態の電圧として検出することにより、パルス信号が反転した後に前記正常電圧を検出する時間を最小限に抑えることができ、前記絶縁抵抗の大きさが算出される時間を最小限に抑えることができる。
【0011】
一方、通常の絶縁監視装置においては、平均電圧の差により安定化状態の電圧であるか否かを判定する。よって、パルス信号が反転した後の経過時間に関係なく、平均電圧の差を算出するので、パルス信号が反転した直後であるため電圧の不安定が深刻な状態であるにもかかわらず、継続して平均電圧の差を算出する過程を繰り返す。また、その場合、電圧が不安定な状態であるため平均電圧の差も大きく算出されるので、前記電圧不安定が深刻な状態である間も、平均電圧を算出する過程を繰り返す。
【0012】
このように、通常の絶縁監視装置においては、パルス信号が反転した後の経過時間に関係なく、平均電圧の差を算出するので、不要な測定過程を繰り返すことにより消費電力が大きくなるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、検出抵抗から分析される電圧に応じて正常状態の電圧を検出する時間倍数を変更することにより、正常状態の電圧の検出時間をさらに短縮し、さらに速い応答速度を有する絶縁監視装置を提供し、絶縁監視装置の応答速度がさらに向上するように絶縁監視装置を制御する制御方法を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、絶縁監視装置の内部又はアナログ・デジタル変換された検出電圧のノイズを除去することにより、さらに正確に絶縁抵抗の大きさを算出することのできる絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、安定化していない状態の電圧が正常状態の電圧として判別されることを防止することのできる絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0016】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、絶縁監視装置が不要な測定過程を繰り返すことを防止し、消費電力を削減することのできる絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、測定される電圧の変化に応じて、前記不要な測定過程を行うことなく、印加されるパルス信号に応じて安定化状態の電圧を最短時間で検出することにより、最適化された待機時間を算出することのできる絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、本発明の実施形態による絶縁監視装置は、前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加する信号生成部と、前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かに応じて、前記第1平均電圧を正常状態の電圧として検出するか、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差に応じて異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新する制御部とを含むことを特徴とする。
【0019】
一実施形態において、前記制御部は、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲を超えると、第1時間倍数に基づいて次の平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を更新し、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲以下であれば、第2時間倍数に基づいて前記次の平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング更新を行い、前記第2時間倍数は、前記第1時間倍数より小さい値を有し、前記第2誤差範囲は、前記第1誤差範囲より大きい値を有することを特徴とする。
【0020】
一実施形態において、前記第1時間倍数及び前記第2時間倍数は、それぞれ1.66及び1.33であり、前記第1誤差範囲及び前記第2誤差範囲は、それぞれ前記第2平均電圧の1%及び5%であることを特徴とする。
【0021】
一実施形態において、前記制御部は、前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数(Noise Frequency)の周期のうち大きい値に応じて前記初期サンプリング間隔を決定することを特徴とする。
【0022】
一実施形態において、複数の異なる時定数に対応する異なるサンプリング間隔の情報が保存されているメモリをさらに含み、前記制御部は、前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数の周期のうち大きい値に応じて第1サンプリング間隔を算出し、前記第1サンプリング間隔に基づいて前記信号測定部で測定される電圧の傾きを算出する複数の間隔決定時点を決定し、複数の第1サンプリング間隔を含む間隔決定時点間の電圧差による第1傾きと、前記複数の第1サンプリング間隔を含む他の間隔決定時点間の電圧差による第2傾きの比を算出し、算出した傾きの比に対応する時定数に基づいて、前記異なるサンプリング間隔のいずれかを前記初期サンプリング間隔として決定することを特徴とする。
【0023】
一実施形態において、前記制御部は、印加される前記パルス信号の種類に応じた正常状態の電圧として前記第1平均電圧が決定されると、予め決定された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かに応じて、前記パルス信号を前記他の種類のパルス信号に反転するように前記信号生成部を制御し、前記他の種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧を検出するように前記信号測定部と前記平均電圧算出部を制御することを特徴とする。
【0024】
一実施形態において、前記制御部は、前記予め決定された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧がある場合、異なる種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出することを特徴とする。
【0025】
一実施形態において、前記制御部は、所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出されたか否かを確認し、所定の数未満の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、絶縁抵抗の大きさを再び算出するように前記信号生成部、前記信号測定部及び前記平均電圧算出部を制御し、前記確認の結果、所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、算出された前記絶縁抵抗の大きさの平均値を算出し、前記絶縁抵抗の最終の大きさを決定することを特徴とする。
【0026】
一実施形態において、前記制御部は、前記所定の数の絶縁抵抗の大きさが算出された場合、算出された絶縁抵抗の大きさの差を算出し、算出した差が所定の閾値を超えると、干渉周波数を所定の比率で変更し、かつ変更した干渉周波数に応じて前記所定の数の絶縁抵抗の大きさを再び算出するように前記信号生成部、前記信号測定部及び前記平均電圧算出部を制御することを特徴とする。
【0027】
一実施形態において、前記制御部は、前記所定の数の絶縁抵抗の大きさの平均値に基づいて前記絶縁抵抗の最終の大きさを最終決定すると、前記干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であるか否かを確認し、前記干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であれば、前記干渉周波数の大きさを最小値として決定することを特徴とする。
【0028】
一実施形態において、前記信号測定部は、検出抵抗と、前記検出抵抗の両端にかかる電圧差を増幅する増幅部と、前記増幅部で増幅した電圧差をデジタル電圧値に変換して前記制御部に入力するADC(Analog Digital Converter)と、前記検出抵抗と前記増幅部間に形成され、前記検出抵抗の両端にかかる電圧のノイズを除去する第1アナログ(analog)フィルタ、及び前記増幅部と前記ADC間に接続され、前記増幅部で増幅した電圧差のノイズを除去する第2アナログフィルタの少なくとも1つとを含むことを特徴とする。
【0029】
一実施形態において、前記ADCは、増幅した前記電圧差をデジタル電圧値に変換する変換部と、前記変換部と前記制御部間に形成され、前記制御部に入力されるデジタル電圧値のノイズを除去するデジタルフィルタとを含むことを特徴とする。
【0030】
また、本発明の実施形態による絶縁監視装置の制御方法は、前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、初期サンプリング間隔を決定するステップと、決定した初期サンプリング間隔に応じてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、かつ第1時間倍数に基づいて更新したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出するステップと、現在算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に測定した第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、前記検出結果に応じて、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第1平均電圧を識別するか、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差に応じて異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップと、更新した前記サンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、かつ前記正常状態の電圧が識別されるまで、前記電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップから、異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップまでを繰り返すステップと、前記正常状態の電圧が識別されると、予め識別された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出するステップと、前記予め識別された他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出した結果、予め識別された他の種類のパルス信号がある場合、前記他の種類のパルス信号にパルス信号を反転し、前記初期サンプリング間隔を決定するステップから、繰り返すステップまでを再び行い、前記他の種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧を識別するステップと、前記他の種類のパルス信号の種類に応じた正常状態の電圧があるか否かを検出するステップの検出の結果、予め識別された他の種類のパルス信号がある場合、異なる種類のパルス信号に応じた正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップとを含むことを特徴とする。
【0031】
一実施形態において、前記異なる時間倍数を適用して前記サンプリング間隔を更新するステップは、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲を超えると、第1時間倍数に基づいて前記サンプリング間隔を更新するステップと、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第2誤差範囲以下であれば、第2時間倍数に基づいて前記サンプリング間隔を更新するステップとを含み、前記第2時間倍数は、前記第1時間倍数より小さい値を有し、前記第2誤差範囲は、前記第1誤差範囲より大きい値を有することを特徴とする。
【0032】
一実施形態において、前記初期サンプリング間隔を決定するステップは、前記絶縁監視装置の内部抵抗に応じて算出される初期値と、所定の干渉周波数の周期のうち大きい値に応じて前記初期サンプリング間隔を算出するステップであることを特徴とする。
【0033】
さらに、本発明の実施形態による絶縁監視装置は、前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加する信号生成部と、前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較するチューニング過程を行い、前記平均電圧の差が所定の誤差範囲内であれば、サンプリング開始時点から経過した時間が所定の時間以上であるか否かに応じて、前記第2平均電圧を正常状態の電圧として検出するか、前記チューニング過程を再び行う制御部とを含むことを特徴とする。
【0034】
一実施形態において、前記制御部は、所定の第1時間倍数に基づいて1次チューニング過程を行い、1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する2次チューニング過程を行い、前記2次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であれば、2次チューニング開始時点から前記所定の時間が経過したか否かに応じて、前記第2平均電圧を正常状態の電圧として検出することを特徴とする。
【0035】
一実施形態において、前記制御部は、前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記1次チューニングを終了し、前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定し、決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、算出した電圧の傾きによる傾きの比に基づいて時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて前記所定の時間を決定することを特徴とする。
【0036】
一実施形態において、前記制御部は、前記1次チューニングが終了すると、前記1次チューニングの開始時点、前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点、前記1次チューニングの終了時点、及び前記1次チューニングの終了時点から前記初期サンプリング間隔だけ前の時点を前記基準点として決定し、決定した基準点に基づいて下記数式により傾きの比を算出することを特徴とする。
【0037】
【0038】
ここで、開始時点は前記サンプリングを開始した時点であり、前記第1基準点は前記開始時点から初期サンプリング間隔だけ経過した時点であり、前記第3基準点は前記1次チューニングが終了した時点であり、前記第2基準点は前記第3基準点から前記初期サンプリング間隔だけ前の時点であり、前記開始電圧は開始時点の電圧であり、前記第1電圧は前記第1基準点の電圧であり、前記第2電圧は前記第2基準点の電圧であり、前記第3電圧は前記第3基準点の電圧である。
【0039】
一実施形態において、前記制御部は、前記傾きの比に対する自然対数ln演算の結果と、前記第1基準点と前記開始時点間の時間間隔に応じて時定数τを算出し、算出した前記時定数の所定の倍数に基づいて前記所定の時間を決定することを特徴とする。
【0040】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比が所定の閾値以上であるか否かに応じて前記時定数を算出し、前記時定数を算出すると、算出した時定数及び下記数式に基づいて前記初期サンプリング間隔を再設定し、再設定した初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする。
【0041】
【0042】
ここで、tnは再設定した初期サンプリング間隔であり、τは時定数である。
【0043】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比と前記閾値を比較した結果により前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする。
【0044】
一実施形態において、前記制御部は、前記時定数を算出できない場合、前記信号生成部を制御して前記パルス信号の振幅を増加させることを特徴とする。
【0045】
一実施形態において、前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー(coupler)抵抗とをさらに含み、前記制御部は、前記時定数を算出できない場合、前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御することを特徴とする。
【0046】
一実施形態において、第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、前記制御部は、前記時定数を算出できない場合、前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御することを特徴とする。
【0047】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比が前記閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて時定数を算出することを特徴とする。
【0048】
さらに、本発明の実施形態による絶縁監視装置の制御方法は、前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、初期サンプリング間隔を決定するステップと、前記初期サンプリング間隔と第1時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較する1次チューニングを行うステップと、前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、前記電圧差が前記第1誤差範囲内であるか否かに応じて、前記1次チューニングを終了し、所定のサンプリング間隔と第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第3平均電圧と、前記第3平均電圧以前に算出した第4平均電圧の差を比較する2次チューニングを行うステップと、前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲内であるか否かを検出するステップと、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が前記正常電圧誤差範囲内であれば、前記2次チューニングの開始時点から所定の時間が経過したか否かを検出し、前記所定の時間が経過した場合、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップと、前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が前記正常電圧誤差範囲を超えるか、前記2次チューニングの開始時点から所定の時間が経過していない場合、前記2次チューニングを繰り返すステップとを含むことを特徴とする。
【0049】
一実施形態において、前記2次チューニングを行うステップは、前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定するステップと、決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、かつ算出した複数の傾きによる傾きの比を算出するステップと、算出した前記傾きの比に基づいて時定数を算出し、算出した時定数に応じて前記所定の時間を決定するステップとを含むことを特徴とする。
【0050】
一実施形態において、前記所定の時間を決定するステップは、算出した前記傾きの比が所定の閾値以上であるか否かを検出するステップと、前記傾きの比が前記閾値以上であれば、前記時定数を算出するステップと、前記時定数を算出すると、算出した時定数及び下記数式に基づいて前記初期サンプリング間隔を再設定するステップとを含み、前記2次チューニングを行うステップは、再設定した前記初期サンプリング間隔に基づいて前記2次チューニング過程を行うステップであることを特徴とする。
【0051】
【0052】
ここで、tnは再設定した初期サンプリング間隔であり、τは時定数である。
【0053】
一実施形態において、前記2次チューニングを行うステップは、前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔に基づいて前記第2チューニング過程を行うステップであることを特徴とする。
【0054】
一実施形態において、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧を検出するステップは、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧が検出されると、検出された正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップを含み、前記絶縁抵抗の大きさを算出するステップは、前記時定数を算出できない場合、前記傾きの比を増加させるステップを含み、前記傾きの比を増加させるステップは、前記パルス信号の振幅を増加させるステップであることを特徴とする。
【0055】
一実施形態において、前記絶縁監視装置は、前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー抵抗とをさらに含み、前記傾きの比を増加させるステップは、前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御するステップを含むことを特徴とする。
【0056】
一実施形態において、前記絶縁監視装置は、第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、前記傾きの比を増加させるステップは、前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御するステップであることを特徴とする。
【0057】
一実施形態において、前記時定数を算出するステップは、前記傾きの比が前記閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて前記時定数を算出するステップを含むことを特徴とする。
【0058】
さらに、本発明の実施形態による絶縁監視装置は、前記電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加する信号生成部と、前記接地に接続され、前記電力線に印加されるパルス信号が前記絶縁抵抗を介して接地に印加される際に、印加される前記パルス信号の電圧を前記接地から測定する信号測定部と、設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に前記信号測定部で測定される電圧の平均電圧を算出する平均電圧算出部と、初期サンプリング間隔と所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を算出するチューニング過程を行い、前記平均電圧の差が所定の正常電圧誤差を満たす場合、前記第1平均電圧を正常状態の電圧として検出する制御部とを含み、前記制御部は、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の誤差条件を満たす場合、所定の待機時間の間は節電モードに動作状態を切り替え、前記待機時間が経過すると、再び前記平均電圧を算出して前記正常状態の電圧を検出するチューニング過程を再開することを特徴とする。
【0059】
一実施形態において、前記制御部は、所定の第1時間倍数に基づいて1次チューニング過程を行い、1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記待機時間の間は節電モードに動作状態を切り替え、前記チューニング過程が再開されると、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて平均電圧を算出するサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する2次チューニング過程を行うことを特徴とする。
【0060】
一実施形態において、前記制御部は、前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差以下であれば、前記1次チューニングを終了し、前記1次チューニングの開始時点、前記初期サンプリング間隔、及び前記1次チューニングの終了時点に基づいて少なくとも1つの基準点を決定し、決定した基準点における電圧の電圧差に基づいて複数の電圧の傾きを算出し、算出した電圧の傾きによる傾きの比に基づいて時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて前記待機時間を決定することを特徴とする。
【0061】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、前記時定数に応じて決定される前記待機時間が経過した後に検出される正常状態の電圧に応じて前記絶縁抵抗を算出すると、算出した前記時定数に基づいて下記数式により漏れキャパシタンスの大きさをさらに算出することを特徴とする。
【0062】
【0063】
ここで、τは時定数であり、Reは絶縁抵抗の大きさであり、Riは絶縁監視装置の内部抵抗の大きさであり、前記閾値は前記漏れキャパシタンスを算出する算出範囲の最小値である。
【0064】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、比較結果により前記時定数を算出できない場合、前記初期サンプリング間隔と前記第2時間倍数に基づいて前記2次チューニング過程を行うことを特徴とする。
【0065】
一実施形態において、前記制御部は、前記検出された正常状態の電圧に基づいて前記絶縁抵抗を算出すると、前記時定数を算出するか否かに基づいてテストパルスの振幅を増加させるように前記信号生成部を制御することを特徴とする。
【0066】
一実施形態において、前記系統の電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗と、前記複数の抵抗の一部を前記電力線のそれぞれに接続させるスイッチを有するカプラー抵抗とをさらに含み、前記制御部は、前記時定数を算出できない場合、前記電力線のそれぞれに複数の抵抗が並列に接続されるように前記スイッチを制御することを特徴とする。
【0067】
一実施形態において、第1測定抵抗、第2測定抵抗を備える第1電路、前記第2測定抵抗を備えない第2電路、及び前記第1電路と第2電路のいずれかにより前記第1測定抵抗に接続されて回路を形成する切替スイッチを有し、少なくとも1つの測定抵抗の両端電圧に基づいて、印加される前記パルス信号の電圧を検出する信号測定部をさらに含み、前記制御部は、前記時定数を算出できない場合、前記第2電路に前記第1測定抵抗が接続されて回路が形成されるように前記切替スイッチを制御することを特徴とする。
【0068】
一実施形態において、前記制御部は、算出した前記傾きの比と所定の閾値を比較した結果に応じて前記時定数を算出するか否かを決定し、比較結果により前記時定数を算出できない場合、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて時定数を算出することを特徴とする。
【0069】
さらに、本発明の実施形態による絶縁監視装置の制御方法は、電力線に所定の大きさの電圧を有するパルス信号を印加するステップと、初期サンプリング間隔を決定するステップと、前記初期サンプリング間隔と第1時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第1平均電圧と、前記第1平均電圧以前に算出した第2平均電圧の差を比較する1次チューニングを行うステップと、前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が所定の第1誤差範囲を超えると、前記1次チューニングを繰り返すステップと、前記1次チューニングの結果、前記第1平均電圧と前記第2平均電圧の差が前記第1誤差範囲内であれば、少なくとも1つの基準点を決定し、前記基準点における電圧の電圧差による電圧の傾きに基づいて傾きの比を算出するステップと、算出した傾きの比に基づいて時定数を算出するステップと、算出した時定数に応じて決定される待機時間の間は前記絶縁監視装置の動作状態を待機状態に切り替えるステップと、前記待機時間が経過したか否かを確認し、確認結果に応じて動作状態をアクティブ状態に切り替えるステップと、動作状態をアクティブ状態に切り替えると、再設定した初期サンプリング間隔と第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を算出し、算出したサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出し、算出した第3平均電圧と、前記第3平均電圧以前に算出した第4平均電圧の差を比較する2次チューニングを行うステップと、前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲内であれば、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップと、前記2次チューニングの結果、前記第3平均電圧と前記第4平均電圧の差が正常電圧誤差範囲を超えると、前記2次チューニングを繰り返すステップとを含むことを特徴とする。
【0070】
一実施形態において、前記絶縁監視装置の動作状態を待機状態に切り替えるステップは、算出した前記時定数の所定の倍数に基づいて前記待機時間を決定するステップと、決定した前記待機時間の間は前記絶縁監視装置の動作モードを節電モードに切り替えるステップを含むことを特徴とする。
【0071】
一実施形態において、印加される前記パルス信号に応じた正常状態の電圧として前記第3平均電圧を検出するステップは、算出した前記時定数に基づいて絶縁キャパシタンスの大きさを算出するステップを含むことを特徴とする。
【0072】
一実施形態において、前記時定数を算出するステップは、前記傾きの比が前記閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、前記1次チューニングの開始時点と前記開始時点から前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点間の時間間隔に応じて前記時定数を算出するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0073】
以下、本発明による絶縁監視装置及びその絶縁監視装置の制御方法の効果について説明する。
【0074】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、検出抵抗から測定される電圧を分析した結果に基づいて、より小さい値を有する時間倍数を適用するので、正常状態の電圧の検出時間をより短縮できるという効果を奏する。
【0075】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、検出抵抗から測定される電圧の傾きを分析した結果に基づいて、検出される電圧にさらに適した初期時間間隔を設定するので、正常状態の電圧の検出時間をより短縮できるという効果を奏する。
【0076】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、デジタルノイズ又はアナログ・デジタル変換された検出電圧のノイズを除去するフィルタをさらに備えるので、より効果的なノイズ除去により絶縁抵抗の大きさをより正確に算出できるという効果を奏する。
【0077】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、所定の時間倍数に基づいて決定されるサンプリング区間のそれぞれから平均電圧を算出し、サンプリング開始時点から所定の時間経過後に正常電圧誤差条件を満たす平均電圧が算出される場合に限り、前記正常電圧誤差条件を満たす平均電圧から正常状態の電圧を決定するので、電圧が安定化していない状態で正常状態の電圧が決定されるエラーを防止できるという効果を奏する。
【0078】
また、本発明は、前記サンプリング開始時点、所定のサンプリング時間間隔、及び前記所定の誤差条件を満たす時点に基づいて第1傾き及び第2傾きを算出し、算出した傾きの比に応じて決定される時定数に基づいて前記正常状態の電圧判定を保留する前記所定の時間長を決定するので、前記正常状態の電圧判定を保留する前記所定の時間長を最適化できるという効果を奏する。
【0079】
本発明の実施形態の少なくとも1つによれば、本発明は、所定の時間倍数に基づいて決定されるサンプリング区間のそれぞれから平均電圧を算出し、算出した平均電圧が所定の誤差条件を満たす場合、時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて所定の時間の間は絶縁監視装置の動作状態を待機状態に切り替えることにより、電圧が不安定な状態の時は不要な測定過程を行わないようにする。よって、絶縁監視装置の消費電力を削減できるという効果を奏する。
【0080】
また、本発明は、前記サンプリング開始時点、所定のサンプリング時間間隔、及び前記所定の誤差条件を満たす時点に基づいて第1傾き及び第2傾きを算出し、算出した傾きの比に応じて決定される時定数に基づいて前記絶縁監視装置が待機状態に切り替えられる時間長を決定するので、前記絶縁監視装置の電力消費を最小限に抑えることができると共に、パルス信号に応じた正常状態の電圧を検出するのに要する時間を最小限に抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】本発明の実施形態による絶縁監視装置の構造を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態による絶縁監視装置において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態による絶縁監視装置において正常状態の電圧を測定するために初期測定サンプリング間隔を設定する例を示す図である。
【
図4a】本発明の実施形態による絶縁監視装置が平均電圧の差に応じて次のサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する過程をより詳細に示すフローチャートである。
【
図4b】
図4aの過程により、平均電圧の差に応じて異なる時間倍数に基づいてサンプリング間隔を決定する例を示す図である。
【
図4c】
図4aの過程により、平均電圧の差に応じて異なる時間倍数に基づいてサンプリング間隔を決定する例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による絶縁監視装置が初期サンプリング間隔を決定する過程をより詳細に示すフローチャートである。
【
図6】
図5の過程により、算出した電圧の傾きの比に基づいて初期サンプリング間隔を決定する例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態による絶縁監視装置において、
図2の過程により算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の実施形態によりアナログフィルタを有する信号測定部を含む絶縁監視装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の実施形態によりデジタルフィルタを有するADCを含む絶縁監視装置の構成を示すブロック図である。
【
図10a】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図10b】
図10aの過程において傾きの比を算出する例を示す図である。
【
図11】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において前記初期サンプリング間隔に応じて決定されるサンプリング区間から所定の誤差条件を満たす平均電圧を検出する1次チューニング過程を示すフローチャートである。
【
図12】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において正常状態の電圧を測定するための初期サンプリング間隔に応じて設定されるサンプリング区間の一例を示す図である。
【
図13a】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において算出した傾きの比に応じて時定数を算出し、算出した時定数に応じて決定されるサンプリング区間から正常電圧誤差条件を満たす平均電圧を検出する2次チューニング過程を示すフローチャートである。
【
図13b】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において2次チューニングにより設定されるサンプリング区間の一例を示す図である。
【
図14】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において所定の時間倍率に基づいて決定されるサンプリング区間から正常電圧誤差条件を満たす平均電圧を検出する2次チューニング過程を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第2実施形態による絶縁監視装置において、
図10aの過程により算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図16】カプラー抵抗の大きさを変更できるように形成される本発明の第2実施形態による絶縁監視装置の構造例を示す図である。
【
図17】測定抵抗の大きさを変更できるように形成される本発明の第2実施形態による絶縁監視装置の構造例を示す図である。
【
図18a】本発明の第3実施形態による絶縁監視装置において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図18b】本発明の第3実施形態による絶縁監視装置において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【
図19a】本発明の第3実施形態による絶縁監視装置において算出した時定数に応じたサンプリング間隔と所定の第2時間倍数に基づいて2次チューニングを行う動作過程を示すフローチャートである。
【
図19b】本発明の第3実施形態による絶縁監視装置において算出した時定数に応じて決定される待機時間が経過した後に行われる2次チューニング過程の一例を示す図である。
【
図20】本発明の第3実施形態による絶縁監視装置において前記初期サンプリング間隔と所定の第2時間倍数に基づいて2次チューニングを行う動作過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本明細書に用いられる技術的用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定するものではない。また、本明細書に用いられる単数表現には、特に断らない限り複数表現が含まれる。本明細書における「構成される」、「含む」などの用語は、明細書に記載された様々な構成要素やステップを必ず全て含むものと解されてはならず、それらのうち一部の構成要素やステップは含まれないこともあり、さらなる構成要素やステップを含むこともあるものと解すべきである。
【0083】
さらに、本明細書に開示される技術について説明するにあたり、関連する公知技術についての具体的な説明が本明細書に開示される技術の要旨を不明にすると判断される場合は、その詳細な説明を省略する。
【0084】
各図面の説明において、類似する構成要素には類似する符号を付す。また、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために用いられるが、前記構成要素を限定するものではない。前記用語は、一構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられる。
【0085】
辞書に定義されて一般に用いられている用語は、関連技術における文脈上の意味を有するものと解すべきであり、本発明において特に断らない限り、過度に形式的又は理想的な意味で解されてはならない。
【0086】
図1は、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の構造を示すブロック図である。
【0087】
図1に示すように、本発明の実施形態による絶縁監視装置10は、系統の電力線(以下、電力線)170に接続されるカプラー抵抗Rc、180と、カプラー抵抗180を介して電力線170
にパルス信
号印加する信号生成部130と、電力線170と接地間に形成される絶縁抵抗Re、140と、前記接地に接続される検出抵抗Rmを有する信号測定部120と、信号測定部120に接続され、信号測定部120で測定した電圧をデジタル値に変換するADC102と、ADC102で変換したデジタル値が入力され、所定のサンプリング区間中に電力線170に印加されるパルス信号に応じた平均電圧を算出する平均電圧算出部110と、接続された他の構成要素を制御し、前記サンプリング区間を決定するためのサンプリング間隔を算出し、かつ平均電圧算出部110が算出した複数の平均電圧に基づいて、印加される前記パルス信号に応じた複数の正常状態の電圧を検出する制御部100と、制御部100で検出した複数の正常状態の電圧に基づいて絶縁抵抗140の大きさを算出する絶縁抵抗算出部108と含む。また、制御部100に入力するか、制御部100から出力される様々なデータを保存するメモリ104と、インタフェース(interface)106とをさらに含む。
【0088】
なお、
図1には系統の電力線170が単相である例を示すが、前記系統の電力線170が多相に形成されてもよいことは言うまでもない。例えば、前記系統の電力線170は、三相(R,S,T)であってもよい。この場合、カプラー抵抗180は、前記多相の電力線、例えば三相の電力線であれば、R線、S線、T線にそれぞれ形成される抵抗で構成される。
【0089】
図1に示す構成要素は、絶縁監視装置10を実現する上で必須のものではないので、本明細書において説明する絶縁監視装置10は、前述した構成要素より多い又は少ない構成要素のいかなるもので構成されてもよい。
【0090】
以下、これらについて詳細に説明する。まず、信号生成部130は、制御部100の制御により正(+)の電圧又は負(-)の電圧を有するパルス信号を生成する。例えば、信号生成部130は、制御部100の制御により所定の大きさの正の電圧を有する信号を電力線170に印加することもでき、制御部100の制御により同じ大きさの負の電圧を有する信号を電力線170に印加することもできる。よって、電力線170には、制御部100の制御により正の電圧と負の電圧が交差する信号、すなわちパルス信号が印加される。
【0091】
図1に示すように、電力線170と接地は、互いに接続されて回路が形成される。ここで、電力線170と接地間には、絶縁抵抗Re、140が形成される。
【0092】
ここで、電力線170と接地間には、コンデンサCe、150がさらに形成され、コンデンサ150は、絶縁抵抗140と共に電力線170と接地間の絶縁インピーダンス160を生成する。
【0093】
一方、信号生成部130から電力線170に印加されるパルス信号は、電力線170と接地間に形成される回路により信号測定部120に入力される。ここで、信号測定部120は、検出抵抗Rmを含み、検出抵抗Rmの両端電圧に基づいて、絶縁抵抗160に応じて電力線170に印加されるパルス信号の電圧を検出する。また、それを増幅部Amp(Amplifier)により増幅してADC102に印加する。
【0094】
そうすると、ADC102は、信号測定部120で検出されたアナログ電圧をデジタル値に変換する。そして、デジタル値に変換された電圧を制御部100に入力する。
【0095】
また、平均電圧算出部110には、制御部100の制御によりADC102から入力されるデジタル化された電圧値が入力される。そして、制御部100により設定されたサンプリング間隔によるサンプリング区間中に信号測定部120で測定される電圧の平均電圧を算出する。
【0096】
さらに、制御部100は、接続された他の構成要素を制御し、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の全般的な動作を制御する。さらに、制御部100は、上記構成要素により入力又は出力される信号、データ、情報などを処理することにより、ユーザに適切な情報又は機能を提供又は処理する。
【0097】
一方、正の電圧から負の電圧に電圧が変更されるか、又は負の電圧から正の電圧にパルス信号が変更されると、突然のパルス信号の変更によりサージが発生し得る。よって、制御部100は、サンプリング間隔を決定し、かつ決定したサンプリング間隔に応じて信号測定部120で測定される電圧の変化を検出することにより、電圧が安定化しているか否かを判断する。そして、電圧が安定化している場合に測定される電圧を、電力線170に印加されるパルス信号に応じた正常状態の電圧、すなわちサージによる影響のない電圧として決定する。
【0098】
ここで、制御部100は、電圧が安定化していないと判断されると、1より大きい所定の時間倍数を以前のサンプリング間隔にかけて次のサンプリング間隔を決定することにより、順次サンプリング間隔を大きくする。このような適応型サンプリング間隔設定により、電圧が安定化していない時間が長くなるほどサンプリング間隔はより長くなる。
【0099】
一方、このようにサンプリング間隔が決定される場合、サンプリング間隔で検出される電圧の差が安定化レベルを逸脱すると、確実に所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔が大きくなるので、前記サンプリング間隔で検出される電圧の差が大きくないにもかかわらず、その差が安定化レベルを少しでも逸脱すると、前記所定の時間倍数に基づいてサンプリング間隔が長くなるように決定される。
【0100】
よって、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、サンプリング間隔で検出される電圧の差に応じてサンプリング間隔を算出するための時間倍数を変更する。よって、電圧が安定化状態に近いほど、すなわち前記サンプリング間隔で検出される電圧の差が所定の大きさ未満であれば、前記所定の時間倍数より小さい値を有する時間倍数に基づいて次のサンプリング間隔を決定することにより、サンプリング間隔をより小さい幅で増加させる。よって、当該サンプリング区間(サンプリング間隔に応じて電圧が測定される時間。以下、サンプリング区間という)の大きさがさらに小さくなるので、安定化した電圧を見出すのに要する時間をより短縮することができる。
【0101】
しかし、現在見出した安定化した電圧は、現在印加されているパルス信号、すなわち正のパルス信号と負のパルス信号のいずれかによる安定化した電圧である。そこで、制御部100は、パルス信号が反転するように信号生成部130を制御し、前述した過程を繰り返し、反転したパルス信号に応じた安定化した電圧を検出する。
【0102】
そして、制御部100は、正のパルス信号に応じた正常状態の電圧(正の正常状態の電圧)と、負のパルス信号に応じた正常状態の電圧(負の正常状態の電圧)の両方が検出されると、検出された正の正常状態の電圧と負の正常状態の電圧を絶縁抵抗算出部108に印加する。
【0103】
そうすると、絶縁抵抗算出部108は、制御部100の制御により、制御部100から印加された正の正常状態の電圧と負の正常状態の電圧に基づいて電力線170と接地間の絶縁抵抗140の大きさを算出する。このために、絶縁抵抗算出部108は、印加された正の正常状態の電圧と負の正常状態の電圧に基づいてパルス信号に応じた電圧の振幅を算出し、算出した電圧の振幅に基づいて絶縁抵抗140の大きさを算出する。
【0104】
一方、メモリ104は、絶縁監視装置10の様々な機能をサポートするデータを保存する。メモリ104は、絶縁監視装置10の動作のためのデータ、コマンドを保存する。また、メモリ104には、制御部100に入力されるデータと、制御部100から出力されるデータが臨時又は永久に保存される。
【0105】
また、インタフェース106は、ユーザとのインタラクション(interaction)のための様々な構成要素を含む。例えば、インタフェース106は、ディスプレイ部を含む表示部を備え、前記表示部により絶縁監視装置10の動作による様々なデータを表示する。例えば、表示部は、絶縁抵抗算出部108で算出される絶縁抵抗における、正の正常状態の電圧と負の正常状態の電圧、算出した電圧の振幅などの情報を表示する。一方、絶縁監視装置10は、継続して絶縁抵抗の大きさを算出するので、前記表示部は、グラフの形態で経時的に絶縁抵抗の大きさを示すことにより、前記絶縁抵抗の大きさの変化をリアルタイムで表示する。
【0106】
また、インタフェース106は、ユーザの入力を受けるための少なくとも1つの入力部を含む。例えば、前記入力部は、少なくとも1つのハードウェアキー又はタッチキーからなる。あるいは、前記表示部がタッチスクリーンの形態で実現される場合は、前記表示部を前記入力部として用いる。
【0107】
一方、インタフェース106は、所定のユーザ端末機と無線又は有線通信を行う通信部(図示せず)をさらに含む。前記通信部は、電力線170の地絡事故発生時に、それに関する情報を前記ユーザ端末機に通知する。ここで、電力線170の地絡事故は、絶縁監視装置10の制御部100により検出され、前記算出される絶縁抵抗の大きさに応じて検出される。
【0108】
以下、複数のフローチャートを参照して、前述した
図1の構成による本発明の実施形態による絶縁監視装置10が電力線170と接地間の絶縁抵抗の大きさを算出する動作過程についてより詳細に説明する。
【0109】
まず、
図2は、本発明の実施形態による絶縁監視装置10において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。また、
図3は、本発明の実施形態による絶縁監視装置において正常状態の電圧を測定するための初期測定サンプリング間隔を設定する例を示す図である。
【0110】
図2に示すように、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、まず信号生成部130を制御して所定の電圧を有するパルス信号が生成されるようにする(S200)。そうすると、信号生成部130は、制御部100の制御により所定の大きさの正の電圧又は負の電圧を有する信号(パルス信号)を生成し、生成された信号は、カプラー抵抗Rcにより電力線170に印加される。
【0111】
ステップS200でパルス信号が生成されると、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0を決定する(S202)。例えば、制御部100は、数式1により初期値tkを決定し、干渉周波数の周期と初期値tkのうち大きい値に応じて初期サンプリング間隔tn0を決定する。
【0112】
【0113】
ここで、Riは絶縁監視装置10の内部抵抗であり、Cemaxは電力線170と接地間に形成されるコンデンサ150の最大キャパシタンスである。
【0114】
ここで、絶縁監視装置10の内部抵抗Riは、予め決定されている値であるか、又は絶縁監視装置10の内部抵抗の実測結果から決定される。また、前記Cemaxは、電力線170と接地間に形成されるコンデンサ150に応じて決定される値であり、ユーザにより予め決定されている値である。一方、前記干渉周波数も、ユーザにより予め推定されている値である。
【0115】
一方、ステップS202で初期サンプリング間隔tn0を決定すると、制御部100は、信号測定部120の検出抵抗Rmにより検出される電圧URmを測定する開始時点t0を決定する。制御部100は、以前のパルス信号の反転が発生した後に所定の時間が経過した時点を開始時点t0として決定する。
【0116】
一方、開始時点t0を決定すると、制御部100は、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0だけ経過した時点t1までのサンプリング区間を、前記初期サンプリング間隔によるサンプリング区間、すなわち初期サンプリング区間として決定する。そして、前記初期サンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧U1(Ui)を算出するように平均電圧算出部110を制御する(S204)。
【0117】
一方、初期サンプリング区間の平均電圧U1を算出すると、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0(tni)と所定の第1時間倍数に基づいて次のサンプリング区間tni+1を決定する。ここで、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0に前記第1時間倍数をかけて次のサンプリング間隔tn1(tni+1)を決定する。そして、t1時点から次のサンプリング間隔tn1だけ経過した時点t2までのサンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧U2(Ui+1)を算出するように平均電圧算出部110を制御する(S206)。
【0118】
一方、ステップS206において、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1と、それ以前に算出した平均電圧Ui(U1)の差を算出する。そして、算出した差が所定の大きさ、すなわち第1誤差以下であるか否かを判断する(S208)。ここで、前記第1誤差は、前記平均電圧の大きさを比較した結果に応じて現在の電圧が安定化状態の電圧であるか否かを判別するための相対誤差である。
【0119】
例えば、前記第1誤差は、現在算出した平均電圧Ui+1の1%に相当する電圧であり、その場合、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Ui(U1)の差が現在算出した平均電圧Ui+1の1%以下であれば、信号測定部120で検出される電圧が安定化状態であると判断し、現在算出した平均電圧Ui+1の1%を超えると、信号測定部120で検出される電圧が安定化していない状態であると判断する。
【0120】
一方、ステップS208の判断の結果、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第1誤差を超えると、電圧が安定化していない状態であると判断し、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差に応じて、異なる値を有する時間倍数に基づいて次のサンプリング間隔を決定する。
【0121】
例えば、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が所定の第2誤差を超えると、現在決定されているサンプリング間隔に前記第1時間倍数をかけて前記次のサンプリング間隔を決定する。
【0122】
一方、
図3に示すように、電圧が安定化しない理由は突然の電圧変動によるサージ現象にあるので、パルス信号が反転した直後に急激に電圧が増加又は減少し、その後時間が経過するにつれて電圧変化が少なくなり、安定化状態になる。よって、電圧の変化が所定のレベル以下であれば、それだけ電圧が安定化状態に近づいていると言える。
【0123】
よって、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差に応じて、電圧が安定化状態に近づいているか否かが判断される。よって、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が所定の第2誤差以下であれば、電圧が安定化状態に近づいていると判断し、現在決定されているサンプリング間隔に前記第1時間倍数より小さい値を有する第2時間倍数をかけて前記次のサンプリング間隔を決定する。
【0124】
このように、第2時間倍数をかけて次のサンプリング間隔が決定されると、前述したように第2時間倍数が第1時間倍数より小さい値を有するので、サンプリング間隔が小さい幅で増加する。よって、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が所定の第2誤差以下であれば、第1時間倍数に基づいてサンプリング時間が決定される場合よりサンプリング時間が短くなる。
【0125】
一方、このように現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差に応じて、異なる時間倍数をかけて次のサンプリング間隔を決定すると、制御部100は、決定した次のサンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出する(i=i+1)。この場合、新たに算出される平均電圧が、現在算出した平均電圧Ui+2(Ui+1,i=i+1)となる(S210)。ここで、負のパルス信号に応じた電圧が測定される場合は、算出される平均電圧も負の値を有するので、前記平均電圧の差は、各平均電圧の絶対値の差である。
【0126】
そうすると、制御部100は、再びステップS208に進み、現在算出した平均電圧Ui+2とそれ以前に算出した平均電圧Ui+1(Ui,i=i+1)の差を算出し、算出した差が前記第1誤差以下であるか否かに応じて、ステップS210を再び行うこともある。
【0127】
一方、ステップS210における、算出した平均電圧の差に応じて異なる時間倍数が適用されて異なるサンプリング間隔が算出される動作過程については、
図4a及び
図4bを参照して詳述する。
【0128】
一方、ステップS208の比較の結果、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第1誤差以下であれば、制御部100は、信号測定部120で検出される電圧が安定化状態であると判断する。
【0129】
そうすると、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1を現在生成されたパルス信号に応じた安定化状態の電圧として決定する(S212)。すなわち、制御部100は、現在生成されたパルス信号が正のパルス信号であれば、現在算出した平均電圧Ui+1を正の正常状態の電圧として決定し、現在生成されたパルス信号が負のパルス信号であれば、現在算出した平均電圧Ui+1を負の正常状態の電圧として決定する(S212)。
【0130】
ステップS212で現在生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧を決定すると、制御部100は、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定したか否かを検出する(S214)。
【0131】
ステップS214の検出の結果、正のパルス信号又は負のパルス信号のいずれかに応じた正常状態の電圧が検出されていない場合、制御部100は、信号生成部130を制御してパルス信号を反転させる(S216)。そうすると、信号生成部130は、同じ大きさの反転した電圧を有するパルス信号を電力線170に印加するので、信号測定部120で検出される電圧は、電圧反転に起因するサージにより再び不安定になる。
【0132】
そうすると、制御部100は、反転したパルス信号に応じてステップS202からステップS212までの過程を再び繰り返す。そして、ステップS214の検出の結果、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定している場合、決定した正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出するように絶縁抵抗算出部108を制御する(S218)。
【0133】
ステップS218において、制御部100は、数式2により現在決定されている正常状態の電圧の平均値を算出する。また、数式3により、数式2で算出した平均正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出する。
【0134】
【0135】
ここで、Umは平均正常状態の電圧であり、Um1は正のパルス信号に応じた正常状態の電圧であり、Um2は負のパルス信号に応じた正常状態の電圧である。
【0136】
【0137】
ここで、Re1は第1初期絶縁抵抗であり、Upはパルス信号の振幅であり、Rmは検出抵抗であり、Riは絶縁監視装置の内部の内部抵抗である。
【0138】
一方、ステップS218で初期絶縁抵抗(初期絶縁抵抗の大きさ)を算出すると、制御部100は、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されたか確認する(S220)。そして、ステップS220の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されていない場合、制御部100は、再びステップS200に進み、ステップS200からステップS218までの過程を繰り返す。
【0139】
それに対して、ステップS220の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出された場合、制御部100は、所定の数、すなわち複数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する(S222)。ここで、ステップS222は、前記複数の初期絶縁抵抗の平均値を算出するステップである。
【0140】
一方、ステップS222で最終絶縁抵抗の大きさが算出された場合、制御部100は、算出した最終絶縁抵抗の大きさをインタフェース106により表示する。そして、再びステップS200に進み、ステップS200からステップS222までの過程を繰り返し、算出した絶縁抵抗の大きさに応じて電力線170と接地間の絶縁状態をモニタリング(monitoring)する。
【0141】
一方、
図4aは、本発明の実施形態による絶縁監視装置10が平均電圧の差に応じて次のサンプリング区間のサンプリング間隔を決定する過程をより詳細に示すフローチャートである。また、
図4bは、第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を決定する例を示す図であり、
図4cは、第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を決定する例を示す図である。
【0142】
まず、
図4aに示すように、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、
図2のステップS208の判断の結果、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第1誤差を超えると、算出した前記平均電圧の差が第2誤差を超えるか、前記第2誤差未満であるかを検出する(S400)。
【0143】
ここで、前記第2誤差は、現在の平均電圧を算出した時点が、電圧が安定化する時点に近づいているか、そうでないかを判断するための尺度である。すなわち、
図3に示すように、パルス信号が反転した直後に急激に電圧が増加又は減少し、その後時間が経過するにつれて電圧変化が少なくなり、安定化状態になるので、電圧の変化が所定のレベル以下であれば、それだけ電圧が安定化状態に近づいていると判断する。
【0144】
よって、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差以下であるか否かに基づいて、現在の平均電圧を算出した時点が、電圧が安定化する時点に近づいているか否かを判断する。すなわち、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差以下であれば、制御部100は、現在の平均電圧を算出した時点が、電圧が安定化する時点に十分に近づいていると判断する。
【0145】
よって、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差未満であれば、制御部100は、現在の平均電圧の算出が完了したサンプリング区間のサンプリング間隔tni-1に、所定の第1時間倍数より小さい値を有する第2時間倍数をかけて次のサンプリング間隔tni(i=i+1)を決定する(S404)。
【0146】
前記第1時間倍数と前記第2時間倍数は、1より大きい値を有し、本発明に関連して行われる複数の実験の結果から決定される。前記第1時間倍数は、1.66に設定されることが好ましく、その場合、第2時間倍数は、前記第1時間倍数より小さい1.33に設定される。以下の説明では、説明の便宜上、前記第1時間倍数が1.66の値を有すると仮定し、前記第2時間倍数が1.33の値を有すると仮定する。
【0147】
しかし、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもなく、前記第1時間倍数は、1より大きい値を有するものであれば、他のいかなる値を有するものであってもよく、第2時間倍数も、1より大きい値を有するものであれば、前記第1時間倍数より小さい他のいかなる値を有するものであってもよい。
【0148】
一方、
図4bは、このように第1時間倍数が1.66の値を有し、第2時間倍数が1.33の値を有する場合に、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差以下である例を示す図である。
【0149】
図4bに示すように、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差以下であれば、制御部100は、
図4aのステップS404に進み、現在のサンプリング間隔tni+1に前記第2時間倍数、すなわち1.33をかけて次のサンプリング間隔tni+2を決定する。よって、
図4bに示すように、次のサンプリング間隔tni+2によるサンプリング区間が経過して平均電圧が比較された後に、正のパルス信号に応じた正常状態の電圧Um1が決定される。そうすると、制御部100は、
図2のステップS216でパルス信号を反転させるので、反転時点450でパルス信号反転が行われる。
【0150】
一方、
図4cは、
図4bとは異なり、固定された第1時間倍数に基づいてサンプリング間隔が決定される例を示す図である。
【0151】
この場合、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差以下であれば、制御部100は、現在のサンプリング間隔tni+1に前記第1時間倍数、すなわち1.66をかけて次のサンプリング間隔tni+2を決定する。よって、
図4cに示すように、次のサンプリング間隔tni+2によるサンプリング区間が経過して平均電圧が比較された後に、正のパルス信号に応じた正常状態の電圧Um1が決定される。この場合、
図4cに示すように、第1時間倍数が第2時間倍数より大きい値を有するので、次のサンプリング間隔tni+2がより大きくなるように決定され、それによりパルス反転が行われる反転時点450がより遅くなる。
【0152】
一方、
図4aのステップS400の検出の結果、現在算出した平均電圧Ui+1と以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第2誤差を超えると、制御部100は、現在の平均電圧を算出した時点が、電圧が安定化する時点に近づいていないものと判断する。そうすると、制御部100は、現在の平均電圧の算出が完了したサンプリング区間のサンプリング間隔tni-1に所定の第1時間倍数をかけて次の番のサンプリング間隔tni(i=i+1)を決定する(S402)。
【0153】
一方、ステップS402又はステップS404で次のサンプリング間隔tni(i=i+1)を決定すると、制御部100は、決定したサンプリング間隔による時点tiと、ステップS402又はステップS404で決定したサンプリング間隔が経過した時点ti+1間のサンプリング区間の平均電圧Ui+1を算出するように平均電圧算出部110を制御する(S406)。そして、再び
図2のステップS208に進み、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差を算出する。
【0154】
一方、
図2のステップS208では、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差により、電圧が安定化状態に近づいているか否かが再び判断される。よって、制御部100は、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が所定の第2誤差以下であれば、電圧が安定化状態に近づいていると判断し、現在決定されているサンプリング間隔に、前記第1時間倍数より小さい値を有する第2時間倍数をかけて前記次のサンプリング間隔を決定する。
【0155】
一方、前記第2誤差は、前記第1誤差より大きい値を有するように、前記第1誤差より大きい比率値を有する。例えば、前記第1誤差が現在算出した平均電圧Ui+1の1%になるように決定された場合、前記第2誤差は、1%より大きい5%になるように決定される。このような前記第2誤差は、本発明に関連して行われる複数の実験の結果から決定される値であり、5%より大きい値や、5%より小さい値のいかなる値を有するものであってもよい。
【0156】
一方、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、初期サンプリング間隔tn0を、信号測定部120で測定される電圧の傾きに応じて決定するようにしてもよい。なお、測定される電圧の傾きはRC(Resister Capacitance)時定数に応じて変化するので、傾きからRC時定数を予測する。すなわち、予測されるRC時定数に基づいて異なる初期サンプリング間隔tn0が決定されるので、さらに適した初期サンプリング間隔が決定される。
【0157】
図5は、本発明の実施形態による絶縁監視装置10における、測定される電圧の傾きから初期サンプリング間隔を決定する過程をより詳細に示すフローチャートである。また、
図6は、
図5の過程により、算出した電圧の傾きの比に基づいて初期サンプリング間隔を決定する例を示す図である。
【0158】
まず、
図5に示すように、本発明の実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、数式1により初期値tkを決定する(S500)。そして、干渉周波数の周期を算出する(S502)。ここで、干渉周波数は、ユーザにより予め推定されている値である。そして、干渉周波数の周期を算出すると、制御部100は、初期値tkと干渉周波数の周期のうち大きい値を第1サンプリング間隔として決定する(S504)。
【0159】
一方、ステップS504で第1サンプリング間隔を決定すると、制御部100は、電圧の傾きを算出する初期間隔決定時点S0を決定する。ここで、前記初期間隔決定時点は、パルス信号が反転した時点から所定の時間が経過した時点である。また、前記所定の時間は、本発明に関連する複数の実験により最も適することが確認された時間である。
【0160】
一方、初期間隔決定時点S0を決定すると、制御部100は、初期間隔決定時点S0から、初期間隔決定時点S0を含む、第1サンプリング間隔600による複数の間隔決定時点S0~S3を設定する(S506)。
【0161】
そして、制御部100は、所定の数、すなわち複数の第1サンプリング間隔600を含む間隔決定時点間の電圧差による第1傾きを算出する(S508)。
図6の(a)に示すように、前記所定の数が2であれば、制御部100は、まず初期間隔決定時点S0から2つのサンプリング間隔600を含む第2間隔決定時点S2を検出する。そして、初期間隔決定時点S0で検出される電圧と、第2間隔決定時点S2で検出される電圧の差に基づいて、第1傾き601を算出する。
【0162】
そして、制御部100は、所定の数、すなわち複数の第1サンプリング間隔600を含む他の間隔決定時点間の電圧差による第2傾きを算出する(S510)。
図6に示すように、前記所定の数が2であれば、制御部100は、他の初期間隔決定時点、すなわち第1間隔決定時点S1から2つのサンプリング間隔600を含む第3間隔決定時点S3を検出する。そして、第1間隔決定時点S1で検出される電圧と、第3値設定時点S3で検出される電圧の差に基づいて、第2傾き602を算出する。
【0163】
一方、ステップS508及びステップS510で第1傾き601及び第2傾き602を算出すると、制御部100は、算出した傾きの比(傾き比,Slope Ratio)を算出する(S512)。例えば、制御部100は、第1傾きに対する第2傾きの比、すなわち前記傾き比を算出する。
【0164】
一方、ステップS512で傾き比を算出すると、制御部100は、所定の複数のサンプリング間隔のうち、ステップS512で算出した傾き比に対応するいずれかのサンプリング間隔を検出する。そして、検出したサンプリング間隔に応じて初期サンプリング間隔tn0を決定する(S514)。
【0165】
ここで、前記所定の複数のサンプリング間隔は、複数の異なるRC時定数610にそれぞれ対応するように予め決定されているものである。また、
図6の(b)に示すように、異なるRC時定数(
図6のτ)にそれぞれ対応する傾き比が予め決定されている。このために、メモリ104は、異なる傾き比にそれぞれ対応する複数のRC時定数τに関する情報、及び異なるRC時定数τの情報にそれぞれ対応する複数のサンプリング間隔に関する情報を含む。
【0166】
よって、制御部100は、ステップS512で算出した傾き比に対応するRC時定数τを検出し、所定の複数のサンプリング間隔のうち、検出したRC時定数τに対応するいずれかのサンプリング間隔を検出し、初期サンプリング間隔tn0を決定する。
【0167】
一方、前述した
図2の説明において、複数の初期絶縁抵抗を算出すると、ステップS222で複数の絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出することについて説明した。しかし、前記複数の絶縁抵抗の差が所定の閾値以上であれば、制御部100は、現在算出した初期絶縁抵抗による最終絶縁抵抗を算出しなくてもよい。
【0168】
図7は、本発明の実施形態による絶縁監視装置10において、
図2の過程により算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【0169】
図7に示すように、本発明の実施形態による絶縁監視装置10は、まず所定の数、すなわち複数の初期絶縁抵抗値の差を算出する(S700)。例えば、前記所定の数が2であれば、制御部100は、第1初期絶縁抵抗Re1と、第1初期絶縁抵抗Re1を算出した後に続けて算出した第2初期絶縁抵抗Re2の差値を算出する。
【0170】
一方、複数の初期絶縁抵抗値の差が所定の閾値を超えると、制御部100は、干渉周波数(Frequency noise)を所定の比率で変更する(S710)。
【0171】
例えば、制御部100は、干渉周波数を50%低減し、低減した干渉周波数に基づいて初期絶縁抵抗を再び算出する。この場合、干渉周波数が1/2に低減されるに伴い、干渉周波数の周期が2倍に延長されるので、初期サンプリング間隔tn0が干渉周波数の周期の大きさに応じて変更される。
【0172】
例えば、干渉周波数の周期の大きさが2倍に増加することにより、数式1で算出される初期値tkより大きくなる。この場合、初期サンプリング間隔tn0が干渉周波数の周期の大きさとして決定される。
【0173】
あるいは、
図5及び
図6に示すように、干渉周波数の周期の大きさが初期値tkより増加すると、第1サンプリング間隔600が前記増加した干渉周波数の周期に変更される。よって、第1サンプリング間隔600に応じて決定される間隔決定時点が変更されるので、傾き比を算出するための傾きが変更される。この場合、傾き比が変更されるとRC時定数が変更されるので、RC時定数に対応して決定される初期サンプリング間隔tn0も変更される。
【0174】
一方、制御部100は、干渉周波数が変更されると、
図2の過程を再び行う。そして、所定の数の初期絶縁抵抗を再び算出すると、再び
図7のステップS700で初期絶縁抵抗の差を算出し、その差が閾値を超えているか否かを再び判断する。
【0175】
一方、上記説明では、前記干渉周波数の減少比率を50%に仮定したが、これは説明の便宜上の仮定にすぎず、当然ながらこれに限定されるものではない。すなわち、50%以外の他のいかなる減少比率で干渉周波数を減少させてもよいことは言うまでもない。
【0176】
一方、複数の初期絶縁抵抗値の差が所定の閾値以下であれば、制御部100は、現在算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する(S704)。例えば、制御部100は、前記所定の数の初期絶縁抵抗の平均を算出することにより、前記最終絶縁抵抗を算出する。
【0177】
一方、前記最終絶縁抵抗を算出すると、制御部100は、現在設定されている干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であるか確認する(S706)。例えば、ステップS710で説明したように、所定の数の初期絶縁抵抗の差が所定の閾値を超えると、干渉周波数を低減し、低減した干渉周波数に基づいて所定の数の初期絶縁抵抗を再び検出するので、検出した初期絶縁抵抗の差に応じて干渉周波数の大きさが続けて低減する。そして、低減した干渉周波数に応じた初期絶縁抵抗を検出する。
【0178】
一方、最終絶縁抵抗を算出すると、ステップS706の確認の結果、現在設定されている干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であれば、制御部100は、所定の最小値に応じて干渉周波数を決定する(S708)。よって、本発明の実施形態による絶縁監視装置10においては、最終絶縁抵抗を算出すると、干渉周波数が所定の最小値以上の周波数に決定される。そして、制御部100は、
図2の過程を再び行い、電力線170と接地間の絶縁状態を継続してモニタリングする。
【0179】
一方、本発明の実施形態による絶縁監視装置10は、信号測定部120で検出される電圧のノイズを除去するためのフィルタ、及び絶縁監視装置10の内部でデジタル値に変換された測定電圧のノイズを除去するための1つ以上のフィルタをさらに含んでもよい。
図8及び
図9は、このように少なくとも1つのフィルタをさらに含む実施形態による絶縁監視装置の構造を示すブロック図である。
【0180】
まず、
図8に示すように、信号測定部120は、検出抵抗Rmの両端で検出される電圧のノイズを除去するためのフィルタとして、検出抵抗Rmの両端とAMP810間に形成される第1アナログフィルタ850を含む。また、AMP810とADC102間に形成される第2アナログフィルタ860を含む。
【0181】
この場合、第1アナログフィルタ850は、検出抵抗Rmから検出される電圧のノイズを除去し、第2アナログフィルタ860は、AMP810により増幅される信号測定部120の測定電圧ノイズを除去する。よって、第1アナログフィルタ850で除去されない微細なノイズがAMP810により増幅される場合、第2アナログフィルタ860が除去するので、より正確な測定電圧がADC102に入力される。
【0182】
なお、第1アナログフィルタ850及び第2アナログフィルタ860は、ハードウェア(hardware)フィルタであり、通過帯域、遮断帯域、ロールオフ(roll off)、位相遅延特性などが異なるフィルタである。
【0183】
一方、
図9は、本発明の実施形態によりデジタルフィルタを有するADC102を含む絶縁監視装置の構成を示すブロック図である。
【0184】
図9に示すように、ADC102は、絶縁監視装置10の内部に存在するノイズを除去するためのフィルタとして、AMP810で増幅されたアナログ測定値をデジタル値に変換する変換部900と制御部100間に形成されるデジタルフィルタ910を含む。
【0185】
デジタルフィルタ910は、変換部900と制御部100間において、制御部100に入力される電圧測定値のノイズを除去することにより、絶縁監視装置10の内部のノイズを除去する。デジタルフィルタ910は、ソフトウェアフィルタであり、絶縁監視装置10の内部に存在するノイズ成分の特性に応じて、遮断周波数、次数などのフィルタの属性が変更される。
【0186】
以下、複数のフローチャートを参照して、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10が電力線170と接地間の絶縁抵抗の大きさを算出する動作過程についてより詳細に説明する。
【0187】
まず、
図10aは、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。また、
図10bは、
図10aの過程において傾きの比を算出する例を示す図である。
【0188】
図10aに示すように、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、まず信号生成部130を制御して所定の電圧を有するパルス信号が生成されるようにする(S1000)。そうすると、信号生成部130は、制御部100の制御により所定の大きさの正の電圧又は負の電圧を有する信号(パルス信号)を生成し、生成された信号は、カプラー抵抗Rcにより電力線170に印加される。
【0189】
ステップS1000でパルス信号が生成されると、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0を決定する(S1002)。例えば、制御部100は、数式1により初期値tkを決定し、初期値tkに応じて初期サンプリング間隔tn0を決定する。
【0190】
ここで、制御部100は、前記干渉周波数の周期と初期値tkのうち大きい値に応じて初期サンプリング間隔tn0を決定する。
【0191】
一方、ステップS1002で初期サンプリング間隔tn0を決定すると、制御部100は、信号測定部120の検出抵抗Rmにより検出される電圧URmを測定する開始時点t0、すなわち初期サンプリング開始時点を決定する。この場合、制御部100は、以前のパルス信号の反転が発生した後に所定の時間が経過した時点を開始時点t0として決定する。
【0192】
一方、開始時点t0を決定すると、制御部100は、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0に基づいて1次チューニング過程を行う(S1004)。
【0193】
ステップS1004において、制御部100は、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0だけ経過した時点までをサンプリング区間として決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を算出する。そして、現在のサンプリング区間の長さと所定の第1時間倍数に基づいて次のサンプリング区間の長さを決定し、決定した長さに応じて次のサンプリング区間を決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を再び算出する。そして、現在算出した平均電圧と、以前のサンプリング区間で算出した平均電圧を比較し、その差を算出する。
【0194】
そして、算出した差が所定の第1誤差以下であるか否かに応じて、次のサンプリング区間を再び決定して平均電圧を再び算出し、かつ算出した平均電圧と以前に算出した平均電圧を再び比較するか、又は前記1次チューニング過程を終了する。なお、前記1次チューニング過程に用いられる第1時間倍数は、「1」の値を有する。
【0195】
一方、前記1次チューニング過程が終了すると、制御部100は、前記1次チューニングが終了した時点で測定される電圧と、前記初期サンプリング間隔に基づいて、傾きの比を算出する基準点を決定する(S1006)。そして、決定した基準点に基づいて傾きの比を算出する(S1008)。
【0196】
図10bは、このように傾きの比を算出するために基準点を決定し、かつ前記傾きの比を算出するための電圧を決定する例を示す図である。
【0197】
図10bに示すように、制御部100は、前記1次チューニングが終了すると、サンプリングを始めた開始時点t0、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0だけ経過した時点t1(すなわちt1=t0+tn0)、前記平均電圧の差が第1誤差以下になって前記1次チューニングが終了した時点t3、及び前記1次チューニングが終了した時点t3から初期サンプリング間隔だけ前の時点t2をそれぞれ前記傾きの比を算出する基準点(開始時点t0、第1基準点t1、第2基準点t2、第3基準点t3)として決定する。
【0198】
このように基準点を決定すると、制御部100は、決定した基準点における電圧を検出する。
【0199】
まず、制御部100は、開始時点t0で測定される電圧(開始電圧)1050と、第2基準点t2で測定される電圧(第2電圧)1052の電圧差を算出する。そして、算出した電圧差を開始時点t0から第2基準点t2までの時間で割って第1傾きを算出する。
【0200】
そして、制御部100は、第1基準点t1で測定される電圧(第1電圧)1051と、第3基準点t3で測定される電圧(第3電圧)1053の電圧差を算出する。そして、算出した電圧差を第1基準点t1から第3基準点t3までの時間で割って第2傾きを算出する。そして、第1傾きに対する第2傾きの比を算出することにより前記傾きの比を算出する。数式4は、このように傾きの比を算出する過程を数式で示したものである。
【0201】
【0202】
ここで、開始時点は初期サンプリングを開始した時点であり、前記第1基準点は前記開始時点から初期サンプリング間隔だけ経過した時点であり、前記第3基準点は前記1次チューニングが終了した時点であり、前記第2基準点は前記第3基準点から前記初期サンプリング間隔だけ前の時点であり、前記開始電圧は開始時点の電圧であり、前記第1電圧は前記第1基準点の電圧であり、前記第2電圧は前記第2基準点の電圧であり、前記第3電圧は前記第3基準点の電圧である。
【0203】
一方、ステップS1008で傾きの比を算出すると、制御部100は、算出した傾きの比に応じて時定数(time constant)τを算出する。ここで、時定数とは、電圧が正常状態に到達するまでにかかる予想時間を意味する。例えば、時定数τは、数式5のように、算出した前記傾きの比に対する自然対数ln演算の結果と、前記第1基準点と開始時点間の時間間隔の比に応じて算出される。
【0204】
【0205】
一方、数式5により時定数τを算出すると、制御部100は、算出した時定数に応じて初期サンプリング間隔を再設定する。そして、再設定した初期サンプリング間隔と、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて、2次チューニングを行う。前記2次チューニングは、前記1次チューニング過程とは異なる時間倍数を用いるチューニング過程である。ここで、前記第2時間倍数は、第1時間倍数より大きい値を有する。例えば、前記第2時間倍数は、1.33の値を有し、その場合、2次チューニング時間が持続するにつれて、前記第2時間倍数に基づいて設定されるサンプリング区間が順次大きくなる。
【0206】
一方、前記2次チューニングを行う場合、制御部100は、前記1次チューニングが終了した時点を2次チューニングの開始時点に設定する。そして、設定した2次チューニングの開始時点から、再設定した前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点までを、2次チューニングのためのサンプリング区間として決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を算出する。そして、現在のサンプリング区間の長さと、前記第2時間倍数に基づいて算出する時間に応じて、次のサンプリング区間の長さを決定し、決定した長さに応じて次のサンプリング区間を決定する。そして、決定した前記サンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を再び算出する。そして、現在算出した平均電圧と、以前のサンプリング区間で算出した平均電圧を比較し、その差を算出する。
【0207】
そして、算出した差が所定の正常電圧誤差以下であるか否かに応じて、次のサンプリング区間を再び決定して平均電圧を再び算出し、かつ算出した平均電圧と以前に算出した平均電圧を再び比較するか、又は現在算出した平均電圧をステップS1000で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する。
【0208】
一方、正常状態の電圧を決定すると、制御部100は、2次チューニングを開始した開始時点から前記時定数に応じて決定される所定の時間が経過した状態であるか否かを判断する。そして、前記所定の時間が経過していない状態であれば、現在の正常状態の電圧判断の結果を無視し、再び次のサンプリング区間を決定して平均電圧を再び算出し、かつ算出した平均電圧と以前に算出した平均電圧を再び比較する。それに対して、前記所定の時間が経過した場合は、現在算出した平均電圧をステップS1000で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する。
【0209】
すなわち、制御部100は、ステップS1000で生成されたパルス信号が正のパルス信号であれば、前記現在算出した平均電圧を正の正常状態の電圧として決定する。それに対して、ステップS1000で生成されたパルス信号が負のパルス信号であれば、現在算出した平均電圧を負の正常状態の電圧として決定する。
【0210】
しかし、数式5のように時定数τを算出する場合、第1傾きと第2傾きの差が小さいほど、第1傾きに対する第2傾きの比は1に収斂する。そうすると、ln 1となり、分母が0になるので、時定数τの算出が難しくなる。よって、制御部100は、ステップS1008で算出した傾きの比が所定の閾値以上であるか否かを判断する過程をさらに行う(S1010)。そして、所定の閾値より傾きの比が大きい場合に限って時定数τを算出する。
【0211】
この場合、制御部100は、算出した時定数に基づいて前記2次チューニングのためのサンプリング間隔を再設定し、再設定したサンプリング間隔に応じてサンプリング区間を決定し、かつ平均電圧を算出する2次チューニング過程を行う(S1012)。そして、算出した平均電圧と以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であれば、前記時定数に応じて決定される所定の時間が経過したか否かに応じて、現在算出した平均電圧をステップS1000で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する(S1016)。なお、算出した傾きの比が閾値以上であれば、算出した傾きの比に応じて時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて2次チューニングを行う過程については、
図13aを参照して後述する。
【0212】
それに対して、ステップS1010の判断の結果、算出した傾きの比が閾値未満であれば、制御部100は、時定数を算出せずに2次チューニング過程を行う(S1014)。この場合、前記2次チューニング過程は、ステップS1002で設定した初期サンプリング間隔と前記第2時間倍数に基づいて行う。そして、算出した平均電圧と以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かに応じて、ステップS1016に進み、現在算出した平均電圧をステップS1000で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する。なお、算出した傾きの比が閾値未満であれば、所定の初期サンプリング間隔に基づいて2次チューニングを行う過程については、
図14を参照して後述する。
【0213】
一方、ステップS1016で現在生成されたパルス信号に応じた安定化状態の電圧を決定すると、制御部100は、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定したか否かを検出する(S1018)。
【0214】
ステップS1018の検出の結果、正のパルス信号又は負のパルス信号のいずれかに応じた正常状態の電圧が検出されていない場合、制御部100は、信号生成部130を制御してパルス信号を反転させる(S1020)。そうすると、信号生成部130は、同じ大きさの反転した電圧を有するパルス信号を電力線170に印加するので、信号測定部120で検出される電圧は、電圧反転に起因するサージにより再び不安定になる。
【0215】
そうすると、制御部100は、反転したパルス信号に応じてステップS1002からステップS1016までの過程を再び繰り返す。そして、ステップS1018の検出の結果、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定している場合、決定した正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出するように絶縁抵抗算出部108を制御する(S1022)。
【0216】
ステップS1022において、制御部100は、数式2により現在決定されている正常状態の電圧の平均値を算出する。また、数式3により、数式2で算出した平均正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出する。
【0217】
一方、ステップS1022で初期絶縁抵抗(初期絶縁抵抗の大きさ)を算出すると、制御部100は、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されたか確認する(S1024)。そして、ステップS1024の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されていない場合、制御部100は、再びステップS1000に進み、ステップS1000からステップS1022までの過程を繰り返す。
【0218】
それに対して、ステップS1024の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出された場合、制御部100は、所定の数、すなわち複数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する(S1026)。ここで、ステップS1026は、前記複数の初期絶縁抵抗の平均値を算出するステップである。
【0219】
一方、ステップS1026で最終絶縁抵抗の大きさが算出された場合、制御部100は、算出した最終絶縁抵抗の大きさをインタフェース106により表示する。そして、再びステップS1000に進み、ステップS1000からステップS1026までの過程を繰り返し、絶縁抵抗の大きさを算出する。そして、算出した絶縁抵抗の大きさに応じて電力線170と接地間の絶縁状態をモニタリングする。
【0220】
一方、
図11は、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において前記初期サンプリング間隔に応じて決定されるサンプリング区間から所定の誤差条件を満たす平均電圧を検出する1次チューニング過程を示すフローチャートである。また、
図12は、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において正常状態の電圧を測定するための初期サンプリング間隔に応じて設定されるサンプリング区間の一例を示す図である。
【0221】
まず、
図11に示すように、制御部100は、
図10aのステップS1002で算出した初期サンプリング間隔tn0によるサンプリング区間を決定し、決定したサンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧U1(=Ui)を算出するように平均電圧算出部110を制御する(S1100)。
【0222】
一方、初期サンプリング区間の平均電圧U1を算出すると、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0(=tni)と所定の第1時間倍数に基づいて次のサンプリング区間tni+1を決定する。ここで、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0に前記第1時間倍数をかけて次のサンプリング間隔tn1(=tni+1)を決定する。そして、t1時点から次のサンプリング間隔tn1だけ経過した時点t2までのサンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧U2(=Ui+1)を算出するように平均電圧算出部110を制御する(S1102)。
【0223】
そして、制御部100は、現在算出した平均電圧U2(=Ui+1)と、それ以前に算出した平均電圧U1(=Ui)の差を算出する。そして、算出した差が所定の大きさ、すなわち第1誤差以下であるか否かを判断する(S1104)。ここで、前記第1誤差は、前記平均電圧の大きさを比較した結果に応じて現在の電圧が安定化状態の電圧であるか否かを判別するための相対誤差である。例えば、前記第1誤差は、現在算出した平均電圧Ui+1の1%に相当する電圧である。
【0224】
一方、ステップS1104の判断の結果、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第1誤差を超えると、制御部100は、前記第1時間倍数に基づいて次のサンプリング間隔を決定する。そして、決定した前記サンプリング間隔によるサンプリング区間を決定する(S1106)。そして、決定したサンプリング区間中に検出される電圧の平均電圧を再び検出する(S1108)。そして、ステップS1104に進み、現在、すなわちステップS1108で算出した平均電圧とそれ以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差を再び算出し、算出した差が第1誤差以下であるか否かを再び判断する。すなわち、ステップS1104の判断の結果、算出した平均電圧の差が第1誤差を超えると、サンプリング区間を決定して平均電圧を算出する過程を繰り返す。この場合、前記第1時間倍数が前述したように1に設定されていれば、
図12に示すように、同じ時間長を有するサンプリング区間が設定され、かつ同じ時間の間に検出される電圧の平均が当該サンプリング区間の平均電圧として算出される。
【0225】
それに対して、ステップS1104の判断の結果、現在算出した平均電圧Ui+1とそれ以前に算出した平均電圧Uiの差が前記第1誤差以下であれば、制御部100は、
図10aのステップS1006に進み、1次チューニング過程を終了する。そして、傾きの比を算出する基準点を決定する。
【0226】
一方、
図13aは、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において算出した傾きの比に応じて時定数を算出し、算出した時定数に応じて決定されるサンプリング区間から正常電圧誤差条件を満たす平均電圧を検出する2次チューニング過程を示すフローチャートである。また、
図13bは、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において2次チューニングにより設定されるサンプリング区間の一例を示す図である。
【0227】
まず、
図13aに示すように、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、
図10aのステップS1010で算出した傾きの比が所定の閾値以上であれば、算出した傾きの比に応じて時定数を算出する(S1300)。ステップS1300は、数式5により、算出した前記傾きの比から時定数を算出するステップである。
【0228】
ステップS1300で時定数を算出すると、制御部100は、算出した時定数に基づいて前記2次チューニング過程において用いる初期サンプリング間隔を再設定する(S1302)。例えば、制御部100は、数式6により、再設定した初期サンプリング間隔tnを決定する。
【0229】
【0230】
ここで、tnは再設定した初期サンプリング間隔であり、τは時定数である。
【0231】
そして、制御部100は、再設定した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間を設定し、設定したサンプリング区間中に検出される電圧の平均を算出する(S1304)。そして、再設定した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間に所定の第2時間倍数をかけて2次チューニングのための次のサンプリング区間を決定し、かつ決定したサンプリング区間中の平均電圧を算出する(S1305)。
【0232】
図13bは、このように1次チューニングが終了した後に2次チューニングを行う例を示す図である。例えば、前記1次チューニングのための第1時間倍数が1であれば、
図13bに示すように、1次チューニング中に設定されるサンプリング区間は、同じ時間間隔により設定される区間である。
【0233】
この状態で前記1次チューニングを終了することにより初期時間間隔を再設定すると、制御部100は、再設定した初期サンプリング間隔による初期サンプリング区間tnを設定し、前記初期サンプリング区間tn中に検出される電圧の平均電圧を算出する。そして、前記初期サンプリング間隔、すなわち初期サンプリング区間の時間長と所定の第2時間倍数に基づいて次のサンプリング区間tn+1を設定し、次のサンプリング区間tn+1中に検出される電圧の平均電圧を算出する。
【0234】
そうすると、制御部100は、現在算出した平均電圧(サンプリング区間tn+1中に算出した平均電圧)とそれ以前のサンプリング区間tnで算出した平均電圧の差を算出し、かつ算出した平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であるか否かを検出する(S1306)。そして、算出した平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であれば、2次チューニングが開始した時点、すなわち2次チューニングの開始時点から現在算出した時定数の所定の倍数に対応する所定の時間が経過したか否かを判断する(S1308)。
【0235】
そして、ステップS1308の判断の結果、時定数の所定の倍数に対応する時間が経過した状態であれば、
図10aのステップS1016に進み、現在算出した電圧を
図10aのステップS1000で生成されたパルス信号に応じた安定化した電圧、すなわち正常状態の電圧として決定する。
【0236】
それに対して、ステップS1306で算出した平均電圧の差が前記正常電圧誤差を超えると、又はステップS1306で算出した平均電圧の差が前記正常電圧誤差以下であっても、ステップS1308の判断の結果、前記所定の時間が経過していなければ、制御部100は、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する(S1310)。そして、更新したサンプリング間隔に応じて次のサンプリング区間tn+2を再び決定する(S1312)。
【0237】
この場合、前記第2時間倍数は、1より大きい値(例えば、1.33)である。よって、
図13bに示すように、初期サンプリング区間tnより、次のサンプリング区間tn+1の長さ(時間)のほうが長くなり、その次のサンプリング区間tn+2の長さは、それ以前のサンプリング区間tn+1より長くなる。
【0238】
一方、制御部100は、更新した前記サンプリング間隔に応じて決定したサンプリング区間tn+2中の平均電圧を再び算出する(S1314)。そして、ステップS1306に再び進み、現在算出した平均電圧(サンプリング区間tn+2中に算出した平均電圧)とそれ以前に算出した平均電圧(サンプリング区間tn+1中に算出した平均電圧)の差を再び算出する。そして、算出した平均電圧の差に応じて、ステップS1308に進み、前記所定の時間が経過したか否かを再び判断するか、ステップS1310に進み、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する。
【0239】
一方、
図14は、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において、算出した傾きの比が閾値未満であるため時定数の算出が難しく、所定の初期時間間隔による2次チューニングを行う動作過程を示すフローチャートである。
【0240】
図14に示すように、算出した傾きの比が閾値未満であるため時定数の算出が難しい場合、制御部100は、初期サンプリング間隔を再設定することなく、直ちに第2時間倍数による2次チューニング過程を行う。
【0241】
制御部100は、まず初期サンプリング間隔tn0によるサンプリング区間を決定する(S1400)。この場合、初期サンプリング間隔tn0は、
図10aのステップS1002で算出したサンプリング間隔である。
【0242】
ステップS1400で初期サンプリング間隔を算出すると、制御部100は、算出した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出する(S1402)。そして、初期サンプリング間隔tn0と第2チューニングのために設定した第2時間倍数に基づいて次のサンプリング区間を決定する。そして、決定したサンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧を算出する(S1404)。
【0243】
一方、ステップS1404で平均電圧を算出すると、制御部100は、現在算出した平均電圧とそれ以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かを判断する(S1406)。そして、ステップS1406の判断の結果、算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であれば、
図10aのステップS1016に進み、現在算出した電圧を
図10aのステップS1000で生成されたパルス信号に応じた安定化した電圧、すなわち正常状態の電圧として決定する。
【0244】
それに対して、ステップS1406で算出した平均電圧の差が前記正常電圧誤差を超えると、制御部100は、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する(S1408)。そして、更新したサンプリング間隔に応じて次のサンプリング区間を再び決定する(S1410)。そして、更新した前記サンプリング間隔に応じてステップS1410で決定したサンプリング区間中の平均電圧を再び算出する(S1412)。
【0245】
一方、ステップS1412で新たに決定したサンプリング区間中の平均電圧を算出すると、制御部100は、ステップS1406に再び進み、現在算出した平均電圧とそれ以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かを判断する。そして、判断の結果に応じて、ステップS1408からステップS1412までの過程を再び行う。
【0246】
一方、前述した
図10aの説明では、複数の初期絶縁抵抗を算出すると、
図10aのステップS1026で複数の絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出することについて説明した。しかし、前記複数の絶縁抵抗の差が所定の閾値以上であれば、制御部100は、現在算出した初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出しない。
【0247】
図15は、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10において、
図10aの過程により算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【0248】
図15に示すように、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10は、まず所定の数、すなわち複数の初期絶縁抵抗値の差を算出する(S1500)。例えば、前記所定の数が2であれば、制御部100は、第1初期絶縁抵抗Re1と、第1初期絶縁抵抗Re1を算出した後に続けて算出した第2初期絶縁抵抗Re2の差値を算出する。
【0249】
一方、複数の初期絶縁抵抗値の差が所定の閾値を超えると、制御部100は、干渉周波数を所定の比率で変更する(S1510)。
【0250】
例えば、制御部100は、干渉周波数を50%低減し、低減した干渉周波数に基づいて初期絶縁抵抗を再び算出する。この場合、干渉周波数が1/2に低減されるに伴い、干渉周波数の周期が2倍に延長されるので、初期サンプリング間隔tn0が干渉周波数の周期の大きさに応じて変更される。
【0251】
例えば、干渉周波数の周期の大きさが増加すると、初期サンプリング間隔tn0が前記増加した干渉周波数の周期に変更される。よって、初期サンプリング間隔tn0に応じて決定される基準点が変更されるので、傾き比を算出するための傾きが変更される。この場合、傾き比が変更されると時定数も変更される。
【0252】
一方、制御部100は、ステップS1510で干渉周波数が変更されると、
図10aの過程を再び行う。そして、所定の数の初期絶縁抵抗を再び算出すると、再び
図15のステップS1500で初期絶縁抵抗の差を算出し、その差が閾値を超えているか否かを再び判断する。
【0253】
一方、上記説明では、前記干渉周波数の減少比率を50%に仮定したが、これは説明の便宜上の仮定にすぎず、当然ながらこれに限定されるものではない。すなわち、50%以外の他のいかなる減少比率で干渉周波数を減少させてもよいことは言うまでもない。
【0254】
一方、複数の初期絶縁抵抗値の差が所定の閾値以下であれば、制御部100は、現在算出した所定の数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する(S1504)。例えば、制御部100は、前記所定の数の初期絶縁抵抗の平均を算出することにより、前記最終絶縁抵抗を算出する。
【0255】
一方、前記最終絶縁抵抗を算出すると、制御部100は、現在設定されている干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であるか確認する(S1506)。例えば、ステップS1510で説明したように、所定の数の初期絶縁抵抗の差が所定の閾値を超えると、干渉周波数を低減し、低減した干渉周波数に基づいて所定の数の初期絶縁抵抗を再び検出するので、検出した初期絶縁抵抗の差に応じて干渉周波数の大きさが続けて低減する。そして、低減した干渉周波数に応じた初期絶縁抵抗を検出する。
【0256】
一方、最終絶縁抵抗を算出すると、ステップS1506の確認の結果、現在設定されている干渉周波数の大きさが所定の最小値未満であれば、制御部100は、所定の最小値に応じて干渉周波数を決定する(S1508)。よって、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10においては、最終絶縁抵抗を算出すると、干渉周波数が所定の最小値以上の周波数に決定される。そして、制御部100は、
図10aの過程を再び行い、電力線170と接地間の絶縁状態を継続してモニタリングする。
【0257】
一方、上記説明において、傾きの比が所定の閾値以上である場合に限って時定数を算出することについて言及した。すなわち、時定数を算出するためには、ステップS1008で算出する傾きの比が所定の閾値以上でなければならないので、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10は、前記傾きの比を増加させる構成をさらに含む。
【0258】
まず、前記時定数と絶縁抵抗の両端電圧の関係を数式7に示す。
【0259】
【0260】
ここで、Umは正常電圧であり、Reは絶縁抵抗であり、Rmは測定抵抗であり、Rcはカプラー抵抗であり、UPはテストパルスの振幅であり、tは正常電圧測定時間である。
【0261】
数式7に示すように、テストパルスU
Pの大きさを増加させるか、カプラー抵抗R
mの大きさを増加させるか、又はカプラー抵抗R
cを減少させると、正常電圧U
mの傾き、すなわちU
mが増加することが分かる。よって、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10は、カプラー抵抗の大きさを減少させるか、絶縁抵抗の大きさを増加させることのできる構造をさらに含む。
図16及び
図17は、上記の場合の例を示す図である。
【0262】
まず、
図16は、カプラー抵抗の大きさを変更できるように形成される本発明の第2実施形態による絶縁監視装置の構造例を示す図である。
【0263】
図16に示すように、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10のカプラー抵抗180は、電力線のそれぞれに並列に接続される複数の抵抗を含む。また、一部の抵抗はスイッチにより接続され、制御部100の制御により複数の抵抗が並列に各電力線170に接続される構造を有する。
【0264】
より詳細には、
図16に示すように、系統の電力線170が単相の場合、第2電力線L2には、第1カプラー抵抗Rc1と第2カプラー抵抗Rc2が並列に接続される。これらのうち、第1カプラー抵抗Rc1は、第1スイッチ1600により第2電力線L2に接続されるように形成される。同様に、第1電力線L1には、第3カプラー抵抗Rc3と第4カプラー抵抗Rc4が並列に接続される。これらのうち、第3カプラー抵抗Rc3は、第2スイッチ1602により第1電力線L1に接続されるように形成される。
【0265】
一方、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602は、互いに連動して動作する。すなわち、第1スイッチ1600がオープン(open)になると、すなわち第1カプラー抵抗Rc1の接続が遮断されると、第2スイッチ1602もオープンになり、第3カプラー抵抗Rc3の接続が遮断される。また、第1スイッチ1600がクローズ(close)になると、すなわち第1カプラー抵抗Rc1と第2電力線L2が接続されると、第2スイッチ1602もクローズになり、第3カプラー抵抗Rc3と第1電力線L1が接続される。
【0266】
一方、制御部100は、
図10aのステップS1026により最終絶縁抵抗を算出すると、現在時定数を算出した状態であるか否かを判断する。そして、時定数を算出できない場合、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602を制御してカプラー抵抗の値を減少させる。
【0267】
この場合、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602は、初期状態であるオープンになった状態を維持している。この状態で、制御部100は、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602の両方をクローズにすることにより、第1カプラー抵抗Rc1を第2電力線L2に接続し、第3カプラー抵抗Rc3を第1電力線L1に接続する。そうすると、第1電力線L1には第3カプラー抵抗Rc3と第4カプラー抵抗Rc4が並列に接続されるので、第1電力線L1に接続されるカプラー抵抗の値が減少する。また、第2電力線L2には第1カプラー抵抗Rc1と第2カプラー抵抗Rc2が並列に接続されるので、第2電力線L2に接続されるカプラー抵抗の値も減少する。
【0268】
そうすると、カプラー抵抗の値が減少するので、傾きの比が増加する。この場合、増加した傾きの比が閾値以上になると、絶縁抵抗を算出するために
図10aの過程を再び行う際に、
図10aのステップS1014の代わりにステップS1012を行うことになり、時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて2次チューニング過程を行うことになる。
【0269】
一方、
図16は系統が単相であると仮定したものであり、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。すなわち、系統が三相の場合、R、S、T線のそれぞれの電力線に複数の抵抗が並列に接続され、一部がスイッチにより接続され、制御部100により電力線との接続が制御されることは言うまでもない。
【0270】
一方、
図16の説明ではそれぞれの電力線に2つの抵抗が並列に接続されると仮定して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。すなわち、より多くの抵抗が各電力線に並列に接続されてもよい。
【0271】
図17は、測定抵抗の大きさを変更できるように形成される本発明の第2実施形態による絶縁監視装置の構造例を示す図である。
【0272】
図17に示すように、本発明の第2実施形態による絶縁監視装置10の信号測定部120に備えられる測定抵抗は、信号生成部130に並列に接続される複数の抵抗を含む。また、前記複数の抵抗の一部はスイッチにより接続され、制御部100の制御により前記複数の抵抗が並列に接続される構造を有する。
【0273】
より詳細には、
図17に示すように、測定抵抗は、第1測定抵抗Rm1と、第2測定抵抗Rm2を含む第1電路と、前記第2測定抵抗Rm2を含まない第2電路と、前記第1電路及び前記第2電路のいずれかを介して前記第1測定抵抗Rm1に接続されて回路を形成する切替スイッチ1700とを含む。この場合、切替スイッチ1700は、初期状態である、前記第1電路に接続された状態を維持している。この場合、第1測定抵抗Rm1と第2測定抵抗Rm2が並列に接続されるので、前記第1測定抵抗Rm1と第2測定抵抗Rm2の合成抵抗として算出される測定抵抗は、第1測定抵抗Rm1より小さい値を有する。
【0274】
一方、制御部100は、
図10aのステップS1026により最終絶縁抵抗を算出すると、現在時定数を算出した状態であるか否かを判断する。そして、時定数を算出できない場合、切替スイッチ1700を制御して前記第2測定抵抗Rm2を含まない第2電路と回路を形成してもよいことは言うまでもない。この場合、第1測定抵抗Rm1が直列に接続されるので、測定抵抗がさらに増加する。
【0275】
そうすると、測定抵抗の値が増加するので、傾きの比が増加する。この場合、増加した傾きの比が閾値以上になると、絶縁抵抗を算出するために
図10aの過程を再び行う際に、
図10aのステップS1014の代わりにステップS1012を行うことになり、時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて2次チューニング過程を行うことになる。
【0276】
また、前記傾きの比を増加させるために、制御部100は、テストパルスの振幅がさらに増加するように信号生成部130を制御してもよいことは言うまでもない。そうすると、テストパルスの振幅が増加するにつれて傾きの比が増加する。この場合、増加した傾きの比が閾値以上になると、絶縁抵抗を算出するために
図10aの過程を再び行う際に、
図10aのステップS1014の代わりにステップS1012を行うことになり、時定数を算出し、かつ算出した時定数に基づいて2次チューニング過程を行うことになる。
【0277】
一方、制御部100は、最終絶縁抵抗の算出が完了すると、時定数を算出できない状態であれば、傾きの比を増加させるために、
図16で説明した第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602、並びに
図17で説明した切替スイッチ1700及びテストパルスの振幅の1つ以上を同時に制御してもよいことは言うまでもない。すなわち、制御部100は、傾きの比を増加させるために、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602のみ制御してもよく、切替スイッチ1700のみ制御してもよい。あるいは、前記テストパルスの振幅のみ増加させてもよい。
【0278】
それだけでなく、制御部100は、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602並びに切替スイッチ1700を同時に制御してもよい。あるいは、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602を制御すると同時にテストパルスの振幅を増加させてもよい。あるいは、切替スイッチ1700を制御すると同時にテストパルスの振幅を増加させてもよい。あるいは、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602を制御し、切替スイッチ1700を制御すると同時にテストパルスの振幅を増加させてもよい。すなわち、3種類の手段の全てを共に用いてもよいことは言うまでもない。このように2種類以上の手段を同時に制御すると、いずれか1種類の手段を制御するより効果的に傾きの比を増加させることができることは言うまでもない。
【0279】
あるいは、制御部100は、まずいずれか1種類の手段を用いて最終絶縁抵抗を算出し、前記手段を用いたにもかかわらず時定数を算出できない場合、複数の手段を共に用いてもよい。すなわち、最終絶縁抵抗を算出する過程において時定数を算出できない場合、制御部100は、まず第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602、切替スイッチ1700、又はテストパルス振幅の制御のいずれか1種類の手段を用いて傾きの比を増加させてもよい。それにもかかわらず、次の最終絶縁抵抗を算出する過程において時定数を算出できない場合、制御部100は、2種類の手段を共に用いて傾きの比を増加させてもよい。そして、次の最終絶縁抵抗を算出する過程においても時定数を算出できない場合、制御部100は、3種類の手段を全て共に用いて傾きの比を増加させてもよい。
【0280】
一方、前述した本発明の実施形態においては、
図10aのステップS1008で算出した傾きの比が所定の閾値未満の場合に、初期サンプリング間隔tn0に基づいて2次チューニングを行う構成について説明したが、それとは異なり、算出した前記傾きの比が閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値を適用してもよいことは言うまでもない。そうすると、前記傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、第1基準点と開始時点間の時間間隔に応じて時定数を算出し、算出した時定数により、
図13aで説明したように、初期サンプリング間隔を再設定し、かつ再設定した初期サンプリング間隔に基づいて2次チューニングを行う。
【0281】
以下、複数のフローチャートを参照して、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10が電力線170と接地間の絶縁抵抗の大きさを算出する動作過程についてより詳細に説明する。
【0282】
まず、
図18a及び
図18bは、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10において絶縁抵抗を算出する動作過程を示すフローチャートである。
【0283】
図18aに示すように、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、まず信号生成部130を制御して所定の電圧を有するパルス信号が生成されるようにする(S1800)。そうすると、信号生成部130は、制御部100の制御により所定の大きさの正の電圧又は負の電圧を有する信号(パルス信号)を生成し、生成された信号は、カプラー抵抗Rcにより電力線170に印加される。
【0284】
ステップS1800でパルス信号が生成されると、制御部100は、初期サンプリング間隔tn0を決定する(S1802)。例えば、制御部100は、数式1により初期値tkを決定し、初期値tkに応じて初期サンプリング間隔tn0を決定する。
【0285】
一方、ステップS1802で初期サンプリング間隔tn0を決定すると、制御部100は、信号測定部120の検出抵抗Rmにより検出される電圧URmを測定する開始時点t0、すなわち初期サンプリング開始時点を決定する。この場合、制御部100は、以前のパルス信号の反転が発生した後に所定の時間が経過した時点を開始時点t0として決定する。
【0286】
一方、開始時点t0を決定すると、制御部100は、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0に基づいて1次チューニング過程を行う(S1804)。
【0287】
ステップS1804において、制御部100は、開始時点t0から初期サンプリング間隔tn0だけ経過した時点までをサンプリング区間として決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を算出する。そして、現在のサンプリング区間の長さと所定の第1時間倍数に基づいて次のサンプリング区間の長さを決定し、決定した長さに応じて次のサンプリング区間を決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を再び算出する。そして、現在算出した平均電圧と、以前のサンプリング区間で算出した平均電圧を比較し、その差を算出する。
【0288】
そして、算出した差が所定の第1誤差以下であるか否かに応じて、次のサンプリング区間を再び決定して平均電圧を再び算出し、かつ算出した平均電圧と以前に算出した平均電圧を再び比較するか、又は前記1次チューニング過程を終了する。なお、前記1次チューニング過程に用いられる第1時間倍数は、「1」の値を有する。
【0289】
一方、前記1次チューニング過程が終了すると、制御部100は、前記1次チューニングが終了した時点で測定される電圧と、前記初期サンプリング間隔に基づいて、傾きの比を算出する基準点を
図10bで説明したように決定する(S1806)。そして、決定した基準点と数式4及び5に基づいて傾きの比を算出する(S1808)。しかし、数式5のように時定数τを算出する場合、第1傾きと第2傾きの差が小さいほど、第1傾きに対する第2傾きの比は1に収斂する。そうすると、ln 1となり、分母が0になるので、時定数τの算出が難しくなる。よって、制御部100は、ステップS1808で算出した傾きの比が所定の閾値以上であるか否かを判断する過程をさらに行う(S1810)。そして、所定の閾値より傾きの比が大きい場合に限って時定数τを算出する。
【0290】
一方、時定数を算出すると、制御部100は、時定数に基づいて待機時間を決定する。ここで、制御部100は、算出した時定数の所定の倍数に対応する時間に待機時間を決定する。例えば、本発明に関連して行われる複数の実験によれば、前記待機時間は、時定数τの5倍(5τ)に対応する時間に決定することが最も好ましい。この場合、制御部100は、算出した時定数の5倍に対応する時間を待機時間として決定し、絶縁監視装置10を待機状態に切り替える(S1812)。そうすると、絶縁監視装置10は、節電モードに動作モードを切り替える。
【0291】
一方、制御部100は、待機状態に切り替えた状態で、決定した前記待機時間が経過したか否かを判断する。すなわち、制御部100は、絶縁監視装置10を待機状態に切り替えた後に、決定した前記待機時間だけ時間が経過したか否かを判断する(S1814)。そして、待機時間だけ経過していない状態であれば、待機状態を維持し、待機時間だけ経過した状態であれば、絶縁監視装置10をアクティブ状態に切り替え、サンプリング区間を設定し、かつ設定したサンプリング区間中の平均電圧を算出する動作を再開する。
【0292】
このようにアクティブ状態に切り替えると、制御部100は、算出した時定数に応じて初期サンプリング間隔を再設定する。そして、再設定した初期サンプリング間隔と、前記第1時間倍数とは異なる第2時間倍数に基づいて、2次チューニングを行う(S1816)。前記2次チューニングは、前記1次チューニング過程とは異なる時間倍数を用いるチューニング過程である。ここで、前記第2時間倍数は、第1時間倍数より大きい値を有する。例えば、前記第2時間倍数は、1.33の値を有し、その場合、2次チューニング時間が持続するにつれて、前記第2時間倍数に基づいて設定されるサンプリング区間が順次大きくなる。
【0293】
一方、前記2次チューニングを行う場合、制御部100は、前記動作状態をアクティブ状態に切り替えた時点を前記2次チューニングの開始時点に設定する。そして、設定した2次チューニングの開始時点から、再設定した前記初期サンプリング間隔だけ経過した時点までを、2次チューニングのためのサンプリング区間として決定する。そして、決定したサンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を算出する。そして、現在のサンプリング区間の長さと、前記第2時間倍数に基づいて算出する時間に応じて、次のサンプリング区間の長さを決定し、決定した長さに応じて次のサンプリング区間を決定する。そして、決定した前記サンプリング区間中に測定される電圧の平均電圧を再び算出する。そして、現在算出した平均電圧と、以前のサンプリング区間で算出した平均電圧を比較し、その差を算出する。
【0294】
そして、算出した差が所定の正常電圧誤差を超えると、次のサンプリング区間を再び決定して平均電圧を再び算出し、かつ算出した平均電圧と以前に算出した平均電圧を再び比較する。しかし、算出した差が前記正常電圧誤差以下であれば、現在算出した平均電圧をステップS1800で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する(S1820)。
【0295】
ここで、制御部100は、ステップS1800で生成されたパルス信号が正のパルス信号であれば、前記現在算出した平均電圧を正の正常状態の電圧として決定する。それに対して、ステップS1800で生成されたパルス信号が負のパルス信号であれば、現在算出した平均電圧を負の正常状態の電圧として決定する。
【0296】
それに対して、ステップS1810の判断の結果、算出した傾きの比が閾値未満であれば、制御部100は、時定数を算出しない。この場合、時定数を算出しないので、制御部100は、直ちに2次チューニング過程を行う(S1818)。この場合、ステップS1818で行う2次チューニング過程は、ステップS1802で設定した初期サンプリング間隔と前記第2時間倍数に基づいて行う。そして、算出した平均電圧と以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かに応じて、ステップS1820に進み、現在算出した平均電圧をステップS1800で生成されたパルス信号に応じた正常状態の電圧として決定する。なお、算出した傾きの比が閾値未満であれば、所定の初期サンプリング間隔に基づいて2次チューニングを行う過程については、
図20を参照して後述する。
【0297】
一方、ステップS1820で現在生成されたパルス信号に応じた安定化状態の電圧を決定すると、制御部100は、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定したか否かを検出する(S1822)。
【0298】
ステップS1822の検出の結果、正のパルス信号又は負のパルス信号のいずれかに応じた正常状態の電圧が検出されていない場合、制御部100は、信号生成部130を制御してパルス信号を反転させる(S1824)。そうすると、信号生成部130は、同じ大きさの反転した電圧を有するパルス信号を電力線170に印加するので、信号測定部120で検出される電圧は、電圧反転に起因するサージにより再び不安定になる。
【0299】
そうすると、制御部100は、反転したパルス信号に応じてステップS1802からステップS1820までの過程を再び繰り返す。そして、ステップS1820の検出の結果、正と負のパルス信号のそれぞれに応じた正常状態の電圧を両方とも決定している場合、決定した正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出するように絶縁抵抗算出部108を制御する(S1826)。
【0300】
ステップS1826において、制御部100は、数式2により現在決定されている正常状態の電圧の平均値を算出する。また、数式3により、数式2で算出した平均正常状態の電圧に基づいて初期絶縁抵抗を算出する。
【0301】
一方、ステップS1826で初期絶縁抵抗(初期絶縁抵抗の大きさ)を算出すると、制御部100は、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されたか確認する(S1828)。そして、ステップS1828の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出されていない場合、制御部100は、再びステップS1800に進み、ステップS1800からステップS1826までの過程を繰り返す。
【0302】
それに対して、ステップS1826の確認の結果、所定の数だけ初期絶縁抵抗が算出された場合、制御部100は、所定の数、すなわち複数の初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出する(S1830)。ここで、ステップS1830は、前記複数の初期絶縁抵抗の平均値を算出するステップである。
【0303】
一方、ステップS1830で最終絶縁抵抗の大きさが算出された場合、制御部100は、現在算出した時定数があるか否かを検出する(S1832)。例えば、ステップS1810で算出した傾きの比が所定の閾値以上であれば、算出した時定数があることになる。それに対して、ステップS1810の判断の結果、算出した傾きの比が所定の閾値未満であれば、算出した時定数がないことになる。
【0304】
ステップS1832の検出の結果、算出した時定数があれば、制御部100は、数式8に示すように、算出した時定数に基づいて絶縁コンデンサのキャパシタンス、すなわち漏れキャパシタンス(Ce)をさらに算出する(S1834)。
【0305】
【0306】
ここで、τは時定数であり、Reは絶縁抵抗の大きさであり、Riは絶縁監視装置の内部抵抗の大きさである。
【0307】
そうすると、制御部100は、算出した最終絶縁抵抗の大きさ及び漏れキャパシタンスの大きさをインタフェース106により表示する。そして、再びステップS1800に進み、ステップS1800からステップS1830までの過程を繰り返し、絶縁抵抗の大きさを算出する。そして、算出した絶縁抵抗の大きさに応じて電力線170と接地間の絶縁状態をモニタリングする。
【0308】
それに対して、ステップS1832の検出の結果、算出した時定数がなければ、すなわちステップS1808の検出の結果、算出した傾きの比が所定の閾値未満であるため時定数を算出できない場合、制御部100は、絶縁キャパシタンスを算出することのできる傾きの比の範囲、すなわち絶縁キャパシタンスの算出範囲を増加させる(S1833)。
【0309】
前述したように、傾きの比が前記閾値以上であれば、時定数を算出することができ、時定数を算出すれば、前記絶縁キャパシタンスを算出することができる。よって、前記絶縁キャパシタンスを算出することのできる範囲の最小値は前記閾値である。
【0310】
よって、制御部100は、前記絶縁キャパシタンスの算出範囲の最小値より傾きの比が小さい場合、前記傾きの比を増加させる。この場合、傾きの比が増加して閾値以上になると、時定数を算出することができるので、絶縁キャパシタンスを算出することができる。以下、このように傾きの比を増加させる制御部100の動作過程を、絶縁キャパシタンスの算出範囲を増加させる動作過程により説明する。
【0311】
一方、ステップS1833において、傾きの比を増加させるために、制御部100は、様々な手段を用いる。例えば、制御部100は、ステップS1800で生成されるパルス信号の振幅が増加するように信号生成部130を制御する。あるいは、制御部100は、
図16及び
図17で説明したように、傾きの比を増加させるために、カプラー抵抗180を減少させてもよく、信号測定部120に含まれる測定抵抗Rmを増加させてもよい。
【0312】
しかし、それとは異なり、ステップS1832の検出の結果、算出した時定数がなければ、制御部100は、算出した最終絶縁抵抗の大きさのみインタフェース106により表示することは言うまでもない。そして、再びステップS1800に進み、ステップS1800からステップS1830までの過程を繰り返し、絶縁抵抗の大きさを算出する。そして、算出した絶縁抵抗の大きさに応じて電力線170と接地間の絶縁状態をモニタリングする。
【0313】
一方、
図19aは、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10において算出した時定数に応じたサンプリング間隔と所定の第2時間倍数に基づいて2次チューニングを行う動作過程を示すフローチャートである。また、
図19bは、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10において算出した時定数に応じて決定される待機時間が経過した後に行われる2次チューニング過程の一例を示す図である。
【0314】
本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10の制御部100は、
図18aのステップS1810の判断の結果、算出した傾きの比が閾値以上であれば、ステップS1812において、前記傾きの比に基づいて時定数を算出する。そして、算出した時定数に応じて決定される待機時間の間は待機状態に切り替える。そして、制御部100は、前記待機時間が経過してアクティブ状態に切り替えると、算出した前記時定数に基づいて、2次チューニング過程で用いる初期サンプリング間隔を再設定する(S1900)。例えば、制御部100は、数式6により初期サンプリング間隔tnを再設定する。
【0315】
そして、制御部100は、再設定した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間を設定し、設定したサンプリング区間中に検出される電圧の平均を算出する(S1902)。そして、再設定した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間に所定の第2時間倍数をかけて2次チューニングのための次のサンプリング区間を決定し、かつ決定したサンプリング区間中の平均電圧を算出する(S1904)。
【0316】
図19bは、このように1次チューニングが終了し、算出した時定数に応じて待機状態に切り替えられた後に2次チューニングを行う例を示す図である。例えば、前記1次チューニングのための第1時間倍数が1であれば、
図19bに示すように、1次チューニング中に設定されるサンプリング区間は、同じ時間間隔により設定される区間である。
【0317】
この状態で前記1次チューニングを終了し、算出した時定数に応じた待機時間を決定すると、制御部100は、絶縁監視装置10を前記待機時間の間は節電モードに切り替える(待機状態)。そして、前記節電モードで駆動されている状態で前記待機時間が経過すると、時定数に応じて初期サンプリング間隔を再設定し、再設定した初期サンプリング間隔による初期サンプリング区間tnを設定する。そして、前記初期サンプリング区間tn中に検出される電圧の平均電圧を算出する。そして、前記初期サンプリング間隔、すなわち初期サンプリング区間tnの時間長と所定の第2時間倍数に基づいて次のサンプリング区間tn+1を設定し、次のサンプリング区間tn+1中に検出される電圧の平均電圧を算出する。
【0318】
そうすると、制御部100は、現在算出した平均電圧(サンプリング区間tn+1中に算出した平均電圧)とそれ以前のサンプリング区間tnで算出した平均電圧の差を算出し、かつ算出した平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であるか否かを検出する(S1906)。そして、算出した平均電圧の差が所定の正常電圧誤差以下であれば、
図18aのステップS1820に進み、現在算出した電圧を
図18aのステップS1800で生成されたパルス信号に応じた安定化した電圧、すなわち正常状態の電圧として決定する。
【0319】
それに対して、ステップS1906で算出した平均電圧の差が前記正常電圧誤差を超えると、制御部100は、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する(S1908)。そして、更新したサンプリング間隔に応じて次のサンプリング区間tn+2を再び決定する(S1910)。
【0320】
この場合、前記第2時間倍数は、1より大きい値(例えば、1.33)である。よって、
図19bに示すように、初期サンプリング区間tnより、次のサンプリング区間tn+1の長さ(時間)のほうが長くなり、その次のサンプリング区間tn+2の長さは、それ以前のサンプリング区間tn+1より長くなる。
【0321】
一方、制御部100は、更新した前記サンプリング間隔に応じて決定したサンプリング区間tn+2中の平均電圧を再び算出する(S1912)。そして、ステップS1906に再び進み、現在算出した平均電圧(サンプリング区間tn+2中に算出した平均電圧)とそれ以前に算出した平均電圧(サンプリング区間tn+1中に算出した平均電圧)の差を再び算出する。そして、算出した平均電圧の差に応じて、
図18aのステップS1820に進み、正常状態の電圧であると判断するか、ステップS1908に進み、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する。
【0322】
一方、
図20は、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10において前記初期サンプリング間隔と所定の第2時間倍数に基づいて2次チューニングを行う動作過程を示すフローチャートである。
【0323】
図20に示すように、算出した傾きの比が閾値未満であるため時定数の算出が難しい場合、制御部100は、初期サンプリング間隔を再設定することなく、直ちに第2時間倍数による2次チューニング過程を行う。
【0324】
制御部100は、まず初期サンプリング間隔tn0によるサンプリング区間を決定する。この場合、初期サンプリング間隔tn0は、
図18aのステップS1802で算出したサンプリング間隔である。
【0325】
初期サンプリング間隔を算出すると、制御部100は、算出した初期サンプリング間隔によるサンプリング区間中の平均電圧を算出する(S2000)。そして、初期サンプリング間隔tn0と第2チューニングのために設定した第2時間倍数に基づいて次のサンプリング区間を決定する( S2002、S2004)。そして、決定したサンプリング区間中に検出される電圧を平均して平均電圧を算出する(S2006)。
【0326】
一方、ステップ S2006で平均電圧を算出すると、制御部100は、現在算出した平均電圧とそれ以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かを判断する(S2008)。そして、ステップS2008の判断の結果、算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であれば、
図18aのステップS1816に進み、現在算出した電圧を
図18aのステップS1800で生成されたパルス信号に応じた安定化した電圧、すなわち正常状態の電圧として決定する。
【0327】
それに対して、ステップ S2008で算出した平均電圧の差が前記正常電圧誤差を超えると、制御部100は、現在設定されているサンプリング区間の長さと第2時間倍数に基づいてサンプリング間隔を更新する(S2010)。そして、更新したサンプリング間隔に応じて次のサンプリング区間を再び決定する( S2012)。そして、更新した前記サンプリング間隔に応じてステップS2012で決定したサンプリング区間中の平均電圧を再び算出する(S2014)。
【0328】
一方、ステップS2014で新たに決定したサンプリング区間中の平均電圧を算出すると、制御部100は、ステップS2008に再び進み、現在算出した平均電圧とそれ以前のサンプリング区間で算出した平均電圧の差が正常電圧誤差以下であるか否かを判断する。そして、判断の結果に応じて、ステップS2008からステップ S2014までの過程を再び行う。
【0329】
一方、前述した
図18aの説明では、複数の初期絶縁抵抗を算出すると、
図18aのステップS1826で複数の絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出することについて説明した。しかし、前記複数の絶縁抵抗の差が所定の閾値以上であれば、制御部100は、現在算出した初期絶縁抵抗に基づいて最終絶縁抵抗を算出しない。
【0330】
以下、
図16を参照して、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10の動作について説明する。制御部100は、
図18bのステップS1832の検出の結果、時定数を算出できない状態の場合、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602を制御してカプラー抵抗の値を減少させるステップ(図示せず)をさらに含む。
【0331】
この場合、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602は、初期状態であるオープンになった状態を維持している。この状態で、制御部100は、第1スイッチ1600と第2スイッチ1602の両方をクローズすることにより、第1カプラー抵抗Rc1を第2電力線L2に接続し、第3カプラー抵抗Rc3を第1電力線L1に接続する。そうすると、第1電力線L1には第3カプラー抵抗Rc3と第4カプラー抵抗Rc4が並列に接続されるので、第1電力線L1に接続されるカプラー抵抗の値が減少する。また、第2電力線L2には第1カプラー抵抗Rc1と第2カプラー抵抗Rc2が並列に接続されるので、第2電力線L2に接続されるカプラー抵抗の値も減少する。
【0332】
そうすると、カプラー抵抗の値が減少するので、傾きの比が増加する。この場合、増加した傾きの比が閾値以上になると、絶縁抵抗を算出するために
図18aの過程を再び行う際に、
図18aのステップS1812に進み、時定数を算出し、算出した時定数に応じて決定される待機時間の間は絶縁監視装置10が節電モードで駆動される。よって、絶縁監視装置の消費電力が削減される。
【0333】
一方、
図16は系統が単相であると仮定したものであり、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。すなわち、系統が三相の場合、R、S、T線のそれぞれの電力線に複数の抵抗が並列に接続され、一部がスイッチにより接続され、制御部100により電力線との接続が制御されることは言うまでもない。
【0334】
一方、
図16の説明ではそれぞれの電力線に2つの抵抗が並列に接続されると仮定して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。すなわち、より多くの抵抗が各電力線に並列に接続されてもよい。
【0335】
以下、
図17を参照して、本発明の第3実施形態による絶縁監視装置10の動作について説明する。絶縁監視装置10の信号測定部120に備えられる測定抵抗は、信号生成部130に並列に接続される複数の抵抗を含む。また、前記複数の抵抗の一部はスイッチにより接続され、制御部100の制御により前記複数の抵抗が並列に接続される構造を有する。
【0336】
この場合、制御部100は、
図18bのステップS1832の検出の結果、時定数を算出できない状態であれば、切替スイッチ1700を制御して前記第2測定抵抗Rm2を含まない第2電路と回路を形成するステップ(図示せず)をさらに含む。この場合、第1測定抵抗Rm1が直列に接続されるので、測定抵抗がさらに増加する。
【0337】
そうすると、測定抵抗の値が増加するので、傾きの比が増加する。この場合、増加した傾きの比が閾値以上になると、絶縁抵抗を算出するために
図18aの過程を再び行う際に、
図18aのステップS1812に進み、時定数を算出し、算出した時定数に応じて決定される待機時間の間は絶縁監視装置10が節電モードで駆動される。よって、絶縁監視装置の消費電力が削減される。
【0338】
一方、制御部100は、
図18bのステップS1833において、傾きの比を増加させるために、
図16で説明した第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602、並びに
図17で説明した切替スイッチ1700及び信号生成部130の1つ以上を同時に制御してもよいことは言うまでもない。すなわち、制御部100は、傾きの比を増加させるために、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602のみ制御してもよく、切替スイッチ1700のみ制御してもよい。あるいは、信号生成部130のみ制御し、テストパルスの振幅のみ増加させてもよい。
【0339】
それだけでなく、制御部100は、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602並びに切替スイッチ1700を同時に制御してもよい。あるいは、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602を制御すると同時にテストパルスの振幅を増加させてもよい。あるいは、切替スイッチ1700を制御すると同時にテストパルスの振幅を増加させるように信号生成部130を制御してもよい。
【0340】
あるいは、第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602を制御し、切替スイッチ1700を制御すると同時に、テストパルスの振幅を増加させるように信号生成部130を制御してもよい。すなわち、3種類手段の全てを共に用いてもよいことは言うまでもない。このように、2種類以上の手段を同時に制御すると、いずれか1種類の手段を制御するより効果的に傾きの比を増加させることができることは言うまでもない。
【0341】
あるいは、制御部100は、まずいずれか1種類の手段(例えば、前記第1スイッチ1600、第2スイッチ1602、切替スイッチ1700及び信号生成部130のいずれかのみ制御)を用いて最終絶縁抵抗を算出し、前記手段を用いたにもかかわらず時定数を算出できない場合、複数の手段を共に用いてもよい。
【0342】
すなわち、最終絶縁抵抗を算出する過程において時定数を算出できない場合、制御部100は、まず第1スイッチ1600及び第2スイッチ1602、切替スイッチ1700、又は信号生成部130のいずれか1種類の手段を用いて傾きの比を増加させてもよい。それにもかかわらず、次の最終絶縁抵抗を算出する過程において時定数を算出できない場合、制御部100は、2種類の手段を共に用いて傾きの比を増加させてもよい。そして、次の最終絶縁抵抗を算出する過程においても時定数を算出できない場合、制御部100は、3種類の手段を全て共に用いて傾きの比を増加させてもよい。
【0343】
一方、前述した本発明の実施形態においては、
図18aのステップS1808で算出した傾きの比が所定の閾値未満の場合に、初期サンプリング間隔tn0に基づいて2次チューニングを行う構成について説明したが、それとは異なり、算出した前記傾きの比が閾値未満であれば、所定の傾きの比の最小値を適用してもよいことは言うまでもない。そうすると、前記傾きの比の最小値に対する自然対数ln演算の結果と、第1基準点と開始時点間の時間間隔に応じて時定数を算出し、算出した時定数により、
図19aで説明したように、初期サンプリング間隔を再設定し、かつ再設定した初期サンプリング間隔に基づいて2次チューニングを行う。
【0344】
一方、前述した本発明の説明においては具体的な実施形態について説明したが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変形を行うことができる。特に、本発明の実施形態においては、第1誤差が現在算出した平均電圧の1%、第2誤差が現在算出した平均電圧の5%である場合を例に挙げたが、これらは本発明の理解を助けるための例示にすぎず、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0345】
また、本発明の実施形態においては、第1時間倍数が1.66であると仮定し、第2時間倍数が1.33であると仮定したが、これらも本発明の理解を助けるための例示にすぎず、本発明がこれらに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0346】
さらに、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形を行うことができるであろう。よって、本発明において開示される実施形態は、本発明の技術思想を説明するためのものであり、これらの実施形態に本発明が限定されるものではない。本発明の保護範囲は請求の範囲により解釈されるべきであり、それと均等の範囲内のあらゆる技術思想が本発明に含まれるものと解釈されるべきである。