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  • 特許-屋外構造 図1
  • 特許-屋外構造 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】屋外構造
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231124BHJP
   E06B 9/54 20060101ALI20231124BHJP
   E06B 9/52 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E04H1/02
E06B9/54
E06B9/52 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020015736
(22)【出願日】2020-01-31
(65)【公開番号】P2021123875
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080182
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 三彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 憲治
【審査官】廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-053943(JP,A)
【文献】特開2018-150802(JP,A)
【文献】特開2002-180677(JP,A)
【文献】意匠登録第1377695(JP,S)
【文献】意匠登録第1493127(JP,S)
【文献】特開平09-291588(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02
E06B 9/54
E06B 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋内空間と屋外とを区画する外壁面と、
前記外壁面から屋外側に形成される半屋外空間と、前記外壁面に形成される前記屋内空間と前記半屋外空間の出入りが可能な第1開口部と、前記外壁面の上方から屋外側へ突出して設けられる屋外天井部と、前記外壁面の両側から屋外側に突出して設けられて上端が前記屋外天井部に接続される互いに略平行な2つの側壁と、
前記外壁面から屋外側に離間して対向するように設けられる外部からの視線を遮蔽する遮蔽部と、を備え、
前記遮蔽部は、透過パネルを有し横幅が前記2つの側壁の間の距離の略半分の長さで前記2つの側壁間の略中央部に位置するように、下端が前記室内空間の床面と略面一となる前記半屋外空間の前記屋外床に上端が前記屋外天井部に固定され、当該遮蔽部の両側と前記2つの側壁の間にそれぞれ屋外に開口した略同幅の隙間が設けられて、更に、前記隙間である、前記外壁面、前記屋外天井部及び2つの側壁によって囲まれた空間の屋外側開口部を開閉自在とする網状スクリーンが設けられたこと、を特徴とする屋外構造。
【請求項2】
前記屋内空間を挟んで前記外壁面と対向して前記外壁面と略平行に設けられる前記屋内空間と屋外とを区画する第2外壁面と、
前記第2外壁面に形成される第2開口部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の屋外構造。
【請求項3】
前記外壁面が北側に面することを特徴とする請求項1に記載の屋外構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅等の建物の屋外構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、住宅の屋外側にテラスを設ける場合に、屋根の軒下にテラスを形成することで、雨天の際にもテラスを利用できるし、しかも日射しを遮ることができる等の利点も得られることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-57557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
住宅等の建物に外壁より屋外側に突出する軒等の屋外天井部が設けられている場合には、特許文献1に記載の発明を適用して屋外天井部の下にテラスを設ける等によって、屋外天井部の下の空間を有効活用できる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、外部からの視線について考慮されたものとなっていない。従って、屋外天井部の下の空間が外部からの視線に晒されて、居心地が悪く利用しにくい空間となってしまうことがあった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、屋外の開放感を感じることができると共に、外部からの視線を適度に遮ってプライバシーも確保できるような屋外構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る屋外構造は、前記外壁面から屋外側に形成される半屋外空間と、前記外壁面に形成される前記屋内空間と前記半屋外空間の出入りが可能な第1開口部と、前記外壁面の上方から屋外側へ突出して設けられる屋外天井部と、前記外壁面の両側から屋外側に突出して設けられて上端が前記屋外天井部に接続される互いに略平行な2つの側壁と、 前記外壁面から屋外側に離間して対向するように設けられる外部からの視線を遮蔽する遮蔽部と、を備え、
前記遮蔽部は、透過パネルを有し横幅が前記2つの側壁の間の距離の略半分の長さで前記2つの側壁間の略中央部に位置するように、下端が前記室内空間の床面と略面一となる前記半屋外空間の前記屋外床に上端が前記屋外天井部に固定され、当該遮蔽部の両側と前記2つの側壁の間にそれぞれ屋外に開口した略同幅の隙間が設けられて、更に、前記隙間である、前記外壁面、前記屋外天井部及び2つの側壁によって囲まれた空間の屋外側開口部を開閉自在とする網状スクリーンが設けられたこと、を特徴とする。
【0009】
前記屋内空間を挟んで前記外壁面と対向して前記外壁面と略平行に設けられる前記屋内空間と屋外とを区画する第2外壁面と、
前記第2外壁面に形成される第2開口部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明に係る屋外構造は、前記外壁面が北側に面することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る屋外構造は、建物の屋内空間と屋外とを区画する外壁面と、前記外壁面から屋外側に突出して設けられる屋外天井部と、前記外壁面の両側から屋外側に突出して設けられて上端が前記屋外天井部に接続される互いに略平行な2つの側壁と、前記外壁面から屋外側に離間して対向するように設けられる外部からの視線を遮蔽する遮蔽部と、を備え、前記遮蔽部は、横幅が前記2つの側壁の間の距離よりも短く形成されており、上端が前記屋外天井部に接続されていることを特徴とするので、建物の屋外側に外壁面と2つの側壁と屋外天井部とによって3方の側面と上面とを囲まれた空間が形成される。この空間は、屋外に設けられる空間でありながらも、屋外天井部によって上部を覆われているので、雨の日でも雨を気にせずに利用することができ、また、3方の側面が囲まれて、残り1方の屋外に開口した側面から奥まったようになっているので、屋外でありながら屋内のようなプライベート感やこもり感が感じられるような半屋外空間となっている。そして、外壁面から屋外側に離間対向して外部からの視線を遮蔽する遮蔽部が設けられるので、半屋外空間の屋外に開口した側面からの視線が遮蔽部によって遮蔽され、半屋外空間内のプライバシーが保護される。また、遮蔽部は横幅が2つの側壁の間の距離よりも短く形成されているので、遮蔽部と側壁との間には隙間が形成されて、半屋外空間の屋外に開口した側面が遮蔽部によって完全に閉じられてしまうことがないので、遮蔽部によって半屋外空間をプライバシーが保護されながらも屋外の開放感を感じることができる空間とすることができる。
【0014】
発明に係る屋外構造は、さらに、前記外壁面の屋外側に形成される屋外床と、前記外壁面に形成される第1開口部と、を備え、前記屋外床は、床面の高さが前記屋内空間の床面と略面一となるように形成され、前記第1開口部を介して前記屋内空間と出入り可能となっていることを特徴とするので、屋外床によって、本発明に係る屋外構造によって形成される半屋外空間まで、屋内空間の床が拡張されたように感じさせ、屋内空間から第1開口部を介してそのまま半屋外空間に出入りすることができるので、より半屋外空間を気軽に利用できる空間とすることができる。
【0015】
発明に係る屋外構造は、前記外壁面、前記屋外天井部及び前記2つの側壁によって囲まれた空間の屋外側開口部に、前記屋外側開口部から虫が前記空間に侵入することを防ぐための網状スクリーンが開閉可能に設けられることを特徴とするので、網状スクリーンによって本発明に係る屋外構造によって形成される半屋外空間内に虫が侵入することができるので、虫が苦手な人でも快適に半屋外空間を利用することができる。
【0016】
本発明に係る屋外構造は、前記遮蔽部の少なくとも一部が透過性を有することを特徴とするので、遮蔽部の透過性を有する部分から、本発明に係る屋外構造によって形成される半屋外空間内に光や風景を取り込むことができるので、半屋外空間をより居心地のよい空間とすることができる。
【0017】
好ましくは、本発明に係る屋外構造は、さらに、前記屋内空間を挟んで前記外壁面と対向して前記外壁面と略平行に設けられる前記屋内空間と屋外とを区画する第2外壁面と、前記第2外壁面に形成される第2開口部と、を備えることを特徴とするので、第2開口部から、屋内空間、第1開口部及び本発明に係る屋外構造によって形成される半屋外空間を介して、半屋外空間の屋外側開口部までが直線状に配置されて、半屋外空間と屋内空間とを風が通り抜けることのできる快適な空間とすることができる。
【0018】
好ましくは、本発明に係る屋外構造は、前記外壁面が北側に面することを特徴とし、この場合、本発明に係る屋外構造によって形成される半屋外空間は建物の北側に配置されることになるが、その場合でも網状スクリーンによって虫の浸入が防がれて快適に利用することができる空間とすることができるので、建物の北側を有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る屋外構造の一部省略断面平面図。
図2】本発明の一実施形態に係る屋外構造の一部省略断面側面図で、図1のA矢視図。
図3】本発明の一実施形態に係る屋外構造の遮蔽部の様子を示す一部断面正面図で、図1のB矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る屋外構造の一実施形態について、以下、図面を参照しつつ説明する。ただし、以下はあくまで本発明の一実施形態を例示的に示すものであり、本発明の範囲は以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0021】
本発明の一実施形態に係る屋外構造1は、図1から図3に示すように、住宅等の建物100の屋外側に設けられるものであって、建物100が備える屋内空間110と屋外とを区画する外壁面2と、外壁面2から屋外側に突出して設けられる屋外天井部3と、外壁面2の両側から屋外側に突出して設けられて上端が屋外天井部3に接続される互いに略平行な2つの側壁4と、外壁面2から屋外側に離間して対向するように設けられる外部からの視線を遮蔽する遮蔽部5と、を備え、遮蔽部5は、横幅が2つの側壁4の間の距離よりも短く形成されており、上端が屋外天井部3に接続されている。本実施形態に係る屋外構造1によって、建物100の屋外側に、外壁面2、2つの側壁4及び遮蔽部5によって4方が囲まれて、屋外天井部3によって上部が覆われた半屋外空間6が形成される。
【0022】
半屋外空間6は、屋外に設けられる空間でありながらも、屋外天井部3によって上部を覆われているので、雨の日でも雨を気にせずに利用することができる空間となっている。
【0023】
また、半屋外空間6は、外壁面2と、外壁面2から屋外側に突出した2つの側壁4とによって3方の側面が囲まれて、残り1方の屋外に面して開口した側面から平面視略コ字形に奥まったような空間となっているので、屋外でありながら屋内のようなプライベート感やこもり感が感じられるような空間となっている。
【0024】
さらに、半屋外空間6の屋外に面して開口した側面には、外部からの視線を遮蔽する遮蔽部5が設けられており、遮蔽部5が、外部から半屋外空間6へ注がれる視線を遮蔽する目隠しの役割を果たすと共に、半屋外空間6の一部を囲うことによって半屋外空間6のプライベート感やこもり感を向上させる。また、遮蔽部5は、横幅が2つの側壁4の間の距離よりも短く形成されていることから、半屋外空間6の屋外に面して開口した側面を完全に覆ってしまうことはなく、図1及び図3に示すように、遮蔽部5と2つの側壁4の少なくとも一方との間には隙間が形成される。この隙間が半屋外空間6の屋外に面する屋外側開口部であり、半屋外空間6は、該屋外側開口部を介して屋外に開放された空間となっている。そのため、半屋外空間6は、屋外に開放された空間でありながら、外部からの視線を気にせずに利用できるプライバシーの確保された屋内のような雰囲気の感じられる空間となっていると共に、屋内のようでありながら、屋外の開放感や自然が感じられる空間ともなっている。
【0025】
このように、半屋外空間6は、屋外構造1によって建物100の外壁面2の屋外側に設けられる空間となっているが、本実施形態では、外壁面2は、屋内空間110と屋外とを区画する壁となっており、図1に示すように、外壁面2を介して半屋外区間6と屋内空間110とが隣接するように配置されている。
【0026】
屋内空間110は、建物100の内部に設けられたLDK等の居室として利用可能な屋内の空間となっている。本実施形態では、図1及び図2に示すように、屋内空間110は、略矩形状に形成された屋内床111と、屋内床111の各辺に設けられる外壁面2、第2外壁面112、第3外壁面113及び内壁114と、上部を覆う屋内天井面115とによって囲まれた空間となっている。外壁面2、第2外壁面112及び第3外壁面113は、建物100の外壁を構成する壁で、外壁面2と第2外壁面112とが対向するように設けられて、第3外壁面113は、外壁面2と第2外壁面112とを接続するように設けられている。内壁114は、建物100の内部の壁で、第3外壁面113と対向するように設けられており、外壁面2に接続されている。
【0027】
互いに略平行な2つの側壁4が、外壁面2の両側から屋外側に突出して設けられるが、本実施形態では、図1に示すように、2つの側壁4のうちの1方の第1側壁41は、内壁114が外壁面2の屋外側まで延出されるようにして設けられており、建物100の外壁を構成する壁となっている。また、もう1方の第2側壁42は、第3外壁面113が外壁面2の屋外側まで延出されるようにして設けられた袖壁となっている。このように、側壁4は、外壁でも袖壁でもよい。
【0028】
屋外天井部3は、外壁面2から屋外側に突出して設けられて半屋外空間6の上部を覆う。本実施形態では、図2に示すように、屋外天井部3は、外壁面2から略水平に張り出すように設けられているが、それに限らず、屋根の軒のように傾斜していてもよい。屋外天井部3は、屋根の軒、庇、バルコニーの床、上階の部屋の床等によって形成されていてもよい。
【0029】
本実施形態では、外壁面2に人が出入り可能な第1開口部22が設けられており、第1開口部22を介して屋内空間110と半屋外空間6とが出入り可能に連通されている。第1開口部22は、外壁面2に略矩形状に形成された開口の内周にサッシ枠が取り付けられて、その内側に引き戸式に開閉可能な障子が嵌め込まれて構成されており、障子を開閉することによって第1開口部22が開閉するようになっている。
【0030】
また、本実施形態では、図1及び図2に示すように、半屋外空間6に屋外床7が設けられている。屋外床7は、例えば、ウッドデッキやタイルテラス等で構成できる。屋外床7は、図2に示すように、外壁面2から屋外側に張り出すようにして設けられており、屋外床7の床面が、屋内空間110に設けられている屋内床111の床面と略面一となるように形成されている。このように、第1開口部22を介して屋内空間110と連通した半屋外空間6に、屋内床111と連続するように床面が略面一な屋外床7が形成されているため、屋外床7によって屋内床111が屋外側まで拡張されて、半屋外空間6を屋内空間110が空間的に屋外側に拡張されたように感じさせる空間とすることができる。屋内床111とは屋外床7とは第1開口部22を介して出入り可能となっているが、このとき、第1開口部22の下辺に設けられるサッシ下枠にフルフラットサッシを用いて、その上端の高さが屋内床111及び屋外床7の床面の高さと略面一となるように構成すれば、屋内床111から第1開口部22の下辺を介して屋外床7までが略面一に連続するように繋がり、より半屋外空間6と屋内空間110との連続性を向上させることができる。屋外床7が設けられる半屋外空間6は上部を屋外天井部3で覆われているので、雨の日でも雨に濡れることなく気軽に屋内床111から屋外床7へ出て行って半屋外空間6を利用することができる。また、屋外天井部3の下面を、屋内空間110の屋内天井面115と略面一となるように形成して、さらに屋内空間110と半屋外空間6との連続性を向上させるようにしてもよい。
【0031】
本実施形態では、図1に示すように、屋外床7は、隣り合う2つの辺の長さがそれぞれ略外壁面2及び遮蔽部5の間の距離並びに2つの側壁4の間の距離となるような平面視略矩形状で、外壁面2、2つの側壁4及び遮蔽部5によって4方が囲まれている半屋外空間6の全域に渡って形成されている。そして、図2に示すように、遮蔽部5は、屋外床7の屋外側の端辺部に立設されている。このように、屋外床7が、遮蔽部5が設置される半屋外空間6の屋外側の側面の位置まで形成されている場合には、遮蔽部5を屋外床7の上に設置するようにすればよい。屋外床7が、遮蔽部5が設置される位置よりも手前側までしか形成されていないような場合には、遮蔽部5を地面や基礎等に立設するようにすればよい。
【0032】
遮蔽部5は、半屋外空間6の屋外側の側面の幅となる2つの側壁4の間の距離よりも横幅が短くなるように形成されているが、この遮蔽部5の横幅は、2つの側壁4の間の距離の3分の1から3分の2程度の幅であることが好ましく、さらに好ましくは2つの側壁4の間の距離の略2分の1の幅となっていることが好ましい。そして、遮蔽部5は、半屋外空間6の屋外側の側面の幅方向略中央部に設けられることが好ましい。このような構成とすることで、図3に示すように、半屋外空間6の屋外側の側面の幅方向略中央部に遮蔽部5が位置して、遮蔽部5の左右には、それぞれに近しい側壁4との間に屋外に開口した略等しい幅の隙間が設けられることになる。遮蔽部5の左右の隙間からは、外部から半屋外空間6内への視線が通ることになるが、半屋外空間6の左右は側壁4で囲われて、遮蔽部5より奥まっているので、外部からの半屋外区間6への視線は遮蔽部5に略垂直な方向から入射することになる。遮蔽部5は、半屋外空間6の屋外側開口部の幅の略2分の1の幅を有し、屋外側開口部の略中央部に位置しており、半屋外空間6内の略中央の略半分の空間が遮蔽部5によって隠されることになるので、人が半屋外空間6内の左右のどちらかに片寄って居る場合でも、一部は遮蔽部5に隠れている可能性が高く、丸見えになる虞が少ない。従って、遮蔽部5によって半屋外空間6内のプライバシーが保護されながらも、半屋外空間6内からは遮蔽部5の左右の隙間から屋外を眺望できて、屋外の開放感を感じることができるようになっている。遮蔽部5の横幅を大きくすると、遮蔽部5の左右の隙間が小さくなって半屋外空間6内のプライバシーの保護度合いやこもり感が強まる代わりに屋外の開放感が低下することになるが、遮蔽部5の横幅を小さくすると、その反対に遮蔽部5の左右の隙間が大きくなって半屋外空間6内のプライバシーの保護度合いやこもり感が低下する代わりに屋外の開放感が強まることになるので、本実施形態ではバランスを取って遮蔽部5の横幅は半屋外空間6の屋外側開口部の幅の略2分の1が好ましいとしているが、住人の好み等に合わせて適宜設計されればよい。また、遮蔽部5の左右に形成される2つの側壁4との間の隙間が、人が出入りできる程度の幅となっていることが好ましい。
【0033】
本実施形態では、遮蔽部5は、図3に示すように、上部に開口部を有する略矩形平板状のフレーム51と、そのフレーム51の開口部に嵌め込まれる透過パネル52とを備えたパーティションとして構成している。フレーム51は、鉄や木等の素材によって形成される。透過パネル52は、透過性を有する素材、例えばガラスやアクリル樹脂等によって形成されたパネルとなっている。このような透過パネル52を有する遮蔽部5を用いると、半屋外空間6の屋外側開口部の幅方向略中央に設置される遮蔽部5からも透過パネル52を通じて、半屋外区間6内に光や屋外の風景を取り込むことができ、図3に示すように、遮蔽部5の背景に樹木等の植栽を設けることで、半屋外空間6の居心地の良さを向上させることができる。本実施形態では透過パネル52は遮蔽部5の上部に設けられているが、中央部や下部に設けてもよいし、透過パネル52の大きさや設けられる位置は任意に設計されればよい。また、透過パネル52の透過性についても完全に透明にしてもよいし、すりガラスのように半透明のようにしてもよい。また、透過パネル52ではなく、ルーバーや格子等を用いて構成してもよい。
【0034】
また、遮蔽部5をパーティションのような後付け可能な部材とすることで、屋外床7に立設される場合には、遮蔽部5のフレーム51の下端を屋外床7に、上端を屋外天井部3の下面にそれぞれビス等で固定するようにして取り付けられ、また、地面や基礎等に立設される場合には、ケミカルアンカー等によって遮蔽部5の下端を地面や基礎等に固定して設置するというように、遮蔽部5を後付けで設置できる。そのため、遮蔽部5以外の屋外構造1を構成した後で、住人の好み等を考慮しながら遮蔽部5の大きさや色等の仕様を決めることができる。
【0035】
図1及び図3に示すように、遮蔽部5と2つの側壁4との間に形成される隙間に、虫よけのための網状スクリーン8を設けてもよい。網状スクリーン8は、遮蔽部5と2つの側壁4との間の隙間を開閉可能に構成され、例えば、防虫網を屋外天井部3の下面と屋外床7の床面とにそれぞれ設けられたレールに沿って移動可能に設けて、左右にカーテン状に開閉するようにしてもよいし、ロールスクリーンのように防虫網を巻き取り及び巻き出しするようにして開閉するようにしてもよい。このような網状スクリーン8を設けることで、虫が苦手な人でも快適に半屋外空間6を利用することができる。
【0036】
本実施形態に係る屋外構造1は、図1に示すように、外壁面2が北側に面するように設けられている場合でも好適に用いられる。一般的に、北側は日当たりがあまりよくなく、じめじめして虫が多そうで、庭等が設けられても外に出たくないというイメージがもたれることが多い。北側に面する外壁面2に本実施形態に係る屋外構造1を適用すると、建物100の北側に半屋外空間6が設けられることになるが、半屋外空間6は網状スクリーン8によって虫よけが考慮された構成とすることができ、北側に設けられていたとしても虫の心配がなく安心して半屋外空間6を利用できる。
【0037】
また、本実施形態では、図1に示すように、屋内空間110を挟んで外壁面2と対向して設けられている第2外壁面112に、第2開口部116が設けられている。第2開口部116は第1開口部22と同様に開閉可能な窓となっている。これによって第2開口部116から屋内空間110、第1開口部22及び半屋外空間6を介して半屋外空間6の屋外側開口部までが直線状に配置されて、第2開口部116及び第1開口部22を開くことで屋内空間110及び半屋外空間6を風の通り抜ける心地よい空間とすることができる。この場合、外壁面2が北側に面して半屋外空間6が北側に配置されていても、南側の第2開口部116からの風を半屋外空間6に通すことができるので、北側の半屋外空間6をさらに快適な空間とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明に係る屋外構造は、特に住宅産業で好適に用いられる。
【符号の説明】
【0039】
1 屋外構造
2 外壁面
22 第1開口部
3 屋外天井部
4 側壁
41 第1側壁
42 第2側壁
5 遮蔽部
51 フレーム
52 透過パネル
6 半屋外空間
7 屋外床
8 網状スクリーン
100 建物
110 屋内空間
111 屋内床
112 第2外壁面
113 第3外壁面
114 内壁
115 屋内天井面
116 第2開口部
図1
図2
図3