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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6593 20110101AFI20231124BHJP
【FI】
H01R13/6593
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023002256
(22)【出願日】2023-01-11
(62)【分割の表示】P 2019147190の分割
【原出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2023033402
(43)【公開日】2023-03-10
【審査請求日】2023-02-10
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前岨 宏芳
(72)【発明者】
【氏名】一尾 敏文
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/122779(WO,A1)
【文献】特開2019-029204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/6593
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の外周がシールド体で覆われたケーブルの端部に接続されるコネクタであって、
第1外導体と、前記第1外導体に組み付けられる第2外導体と、を有し、
前記第1外導体と前記第2外導体とが組み付けられた状態で、前記第1外導体および前記第2外導体が、前記電線に接続された内導体が収容される誘電体を覆うようになっており、
前記第1外導体および前記第2外導体の一方には他方に向かって突出する位置決め凸部が形成されており、前記第1外導体および前記第2外導体の他方には前記位置決め凸部と係合する位置決め凹部が形成されており、
前記第1外導体の外側に前記第2外導体が組み付けられるようになっており、
前記第1外導体に前記位置決め凸部が外方に突出して形成されており、前記第2外導体に前記位置決め凹部が形成されており、
前記位置決め凹部は、前記第1外導体と前記第2外導体とを組み付ける組み付け方向に沿って延びるスリットであり、
前記第2外導体は、前記第1外導体の外周に圧着する圧着片を有し、
前記第1外導体と前記第2外導体とが組み付けられた状態でハウジング内に収容されるようになっており、
前記第2外導体は前記ハウジングと係合するスタビライザを有し、
前記スリットは、前記コネクタの嵌合方向における前記圧着片と前記スタビライザとの間に位置するコネクタ。
【請求項2】
前記第1外導体は、前記第2外導体の外面を覆う上壁と、前記上壁の両側縁から延びる側壁とを有し、
前記スリット、前記圧着片および前記スタビライザは、前記側壁の各々に設けられている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
記圧着片の側縁が前記スリットの口縁を形成する請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
記スタビライザの側縁が前記スリットの口縁を形成する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、通信用の信号が伝送されるケーブルの端末に接続されたシールドコネクタとして、特開2018-6183号公報(下記特許文献1)に記載のものが知られている。このシールドコネクタは、雄コネクタとされており、雄型内導体と、誘電体を介して雄型内導体を囲む外導体とを有している。また、雄コネクタは、雌コネクタと嵌合可能とされている。雌コネクタは、雌型内導体と、雌型誘電体を介して雌側内導体を囲む雌側外導体を有している。雄コネクタと雌コネクタとが嵌合する際には、外導体が雌側外導体の外側に嵌合され、外導体と雌側外導体とが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-6183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特開2018-6183号公報にかかる技術においては、外導体は、上側外導体と下側外導体とが組み付けられて構成されている。このため、上側外導体と下側外導体との位置合わせに手間取る場合には、上側外導体と下側外導体とを組み付ける作業の効率が低下し、全体としてコネクタの組み付け作業の効率が低下するおそれがある。
【0005】
本明細書では、コネクタの組み付け作業の効率を向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、電線の外周がシールド体で覆われたケーブルの端部に接続されるコネクタであって、第1外導体と、前記第1外導体に組み付けられる第2外導体と、を有し、前記第1外導体と前記第2外導体とが組み付けられた状態で、前記第1外導体および前記第2外導体が、前記電線に接続された内導体が収容される誘電体を覆うようになっており、前記第1外導体および前記第2外導体の一方には他方に向かって突出する位置決め凸部が形成されており、前記第1外導体および前記第2外導体の他方には前記位置決め凸部と係合する位置決め凹部が形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、コネクタの組み付け作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1にかかるコネクタ装置を示す断面図である。
図2図2は、雌コネクタを示す分解斜視図である。
図3図3は、雌第1外導体を示す平面図である。
図4図4は、雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態において、雄ハウジングと雌ハウジングとを省略した斜視図である。
図5図5は、図4とは異なる角度から見た斜視図であって、雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態において、雄ハウジングと雌ハウジングとを省略した斜視図である。
図6図6は、雄コネクタと雌コネクタとが嵌合した状態を示す側面図である。
図7図7は、雌ガイド溝と、雌スタビライザおよび雌折り返し部とが係合した状態を示す断面図である。
図8図8は、雄コネクタを示す分解斜視図である。
図9図9は、雄第1外導体を示す平面図である。
図10図10は、雄ガイド溝と、雄スタビライザおよび雄折り返し部とが係合した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列挙して説明する。
(1)本開示は、電線の外周がシールド体で覆われたケーブルの端部に接続されるコネクタであって、第1外導体と、前記第1外導体に組み付けられる第2外導体と、を有し、前記第1外導体と前記第2外導体とが組み付けられた状態で、前記第1外導体および前記第2外導体が、前記電線に接続された内導体が収容される誘電体を覆うようになっており、前記第1外導体および前記第2外導体の一方には他方に向かって突出する位置決め凸部が形成されており、前記第1外導体および前記第2外導体の他方には前記位置決め凸部と係合する位置決め凹部が形成されている。
【0010】
上記の構成によれば、位置決め凸部と位置決め凹部とを係合させることにより、第1外導体と第2外導体のとの組み付け作業の効率を向上させることができる。これにより、コネクタの組み付け作業の効率を向上させることができる。
【0011】
(2)前記第1外導体の外側に前記第2外導体が組み付けられるようになっており、前記第1外導体に前記位置決め凸部が外方に突出して形成されており、前記第2外導体に前記位置決め凹部が形成されており、前記位置決め凹部は、前記第1外導体と前記第2外導体とを組み付ける組み付け方向に沿って延びるスリットであることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、第1外導体と第2外導体との組み付け作業において、作業者は、外方に突出して形成された位置決め凸部を目印にして、第2外導体を第1外導体に組み付けることができる。これにより、第1外導体と第2外導体のとの組み付け作業の効率を向上させることができるので、コネクタの組み付け作業の効率をさらに向上させることができる。
【0013】
(3)前記第2外導体は、前記第1外導体の外周に圧着する圧着片を有し、前記圧着片の側縁が前記スリットの口縁を形成することが好ましい。
【0014】
上記の構成によれば、圧着片の位置決めを確実に行うことができるので、第1外導体と第2外導体との組み付け精度を向上させることができる。
【0015】
(4)前記第1外導体と前記第2外導体とが組み付けられた状態でハウジング内に収容されるようになっており、前記第2外導体は前記ハウジングと係合するスタビライザを有し、前記スタビライザの側縁が前記スリットの口縁を形成することが好ましい。
【0016】
上記の構成によれば、スタビライザの位置決めを確実に行うことができるので、ハウジングと、第1外導体および第2外導体との組み付け精度を向上させることができる。
【0017】
(5)前記スタビライザは、前記スタビライザの先端部が折り返された折り返し部を有し、前記折り返し部が、前記ハウジングに形成されたガイド溝に挿入されることが好ましい。
【0018】
スタビライザとハウジングとの係合代を大きくすることができるので、ハウジングと、第1外導体および第2外導体との組み付け精度をさらに向上させることができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下の図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
<実施形態1>
本開示における実施形態1について図1から図10を参照して説明する。本実施形態は、例えば、自動車等の車両(図示せず)に搭載され、例えば車両内における車載電装品(カーナビゲーションシステム、モニタ等)と外部機器(カメラ等)との間や、車載電装品間の有線の通信経路に配される通信用のコネクタ装置1を例示している。
【0021】
[コネクタ装置1]
コネクタ装置1は、図1に示されるように、ケーブル11に接続された状態で互いに嵌合する雌コネクタ110(コネクタの一例)と雄コネクタ10(コネクタの一例)とを備えている。以下の説明においては、上下方向とは図1における上下方向を基準とし、前後方向については雌コネクタ110と雄コネクタ10の嵌合方向を基準として互いに嵌合する側を前側として説明する。
【0022】
[ケーブル11]
ケーブル11は、図2に示されるように、2本の電線12(電線の一例)と、電線12の外周を一括して覆う編組体からなるシールド体15と、シールド体15のさらに外周を覆う絶縁性の被覆からなるシース部16とを備えて構成されている。編組体は、繊維状をなす複数の導体を編み込んでなる。編組体を構成する導体は、金属細線でもよく、合成樹脂製の繊維の表面に金属が貼着されたものでもよく、任意の導体を選択できる。本実施形態にかかるシールド体15は複数の金属細線が編み込まれてなる。
【0023】
図2に示されるように、ケーブル11の前端部では、シース部16およびシールド体15が皮剥ぎされて、シース部16およびシールド体15の端末から露出した2本の電線12が露出している。ケーブル11における露出した電線12の後方では、シース部16の端末から露出したシールド体15が、シース部16の端部上に折り返されている。
【0024】
シース部16の端部上に折り返されたシールド体15の内側には、金属製のスリーブ17が配置されている。スリーブ17は円筒状に形成されている。
【0025】
[雌コネクタ110]
雌コネクタ110は、図1および図2に示されるように、ケーブル11の前端部において露出した2本の電線12に接続される複数の雌内導体120(内導体の一例)と、複数の雌内導体120を収容する雌誘電体130と、雌誘電体130を覆った状態でケーブル11のシールド体15に接続される雌外導体150と、雌外導体150を収容する雌ハウジング180とを備えて構成されている。
【0026】
[雌内導体120]
雌内導体120は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雌内導体120は、図1に示されるように、角筒状の端子接続部122と、端子接続部122の後方に連なる電線接続部124とを備えている。
【0027】
端子接続部122は、後述する雄コネクタ10の雄内導体20(内導体の一例)と電気的に接続される。電線接続部124は、電線12の前端部に圧着されて電線12に電気的に接続されている。
【0028】
[雌誘電体130]
雌誘電体130は、図2に示されるように、絶縁性の合成樹脂によって前後方向に長い直方体状に形成されている。雌誘電体130の内部には、電線12に接続された2つの雌内導体120が左右方向に並んだ状態で収容されている。
【0029】
[雌外導体150]
図2に示されるように、雌外導体150は、雌第1外導体151(第1外導体の一例)と、雌第1外導体に組み付けられる雌第2外導体160(第2外導体の一例)とを有する。雌第1外導体151、および雌第2外導体160は、導電性を有する金属板材が所定の形状にプレス加工されてなる。雌第2外導体160は、雌第1外導体151に対して、上方から組み付けられるようになっている。
【0030】
雌第1外導体151は、図3に示されるように、後述する雄コネクタ10の雄外導体50と嵌合可能な筒状接続部152と、ケーブル11のシールド体15に接続される雌シールド接続部156とを備えている。
【0031】
筒状接続部152は、前後方向に長い角筒状に形成されている。筒状接続部152には、雌誘電体130が後方から内部に収容可能とされている。筒状接続部152内に雌誘電体130が収容されると、図1に示されるように、雌内導体120が雌誘電体130によって筒状接続部152から電気的に絶縁された状態で収容されるようになっている。
【0032】
図3に示されるように、筒状接続部152の左右両側壁には、外方に突出する雌位置決め凸部157(位置決め凸部の一例)が形成されている。雌位置決め凸部157は略円筒形状をなしている。
【0033】
雌シールド接続部156は、筒状接続部152の下側下端部から後方に向かって延びる板状に形成されている。雌シールド接続部156は、図1に示されるように、ケーブル11におけるシールド体15の下方に配置される。
【0034】
[雌第2外導体160]
雌第2外導体160は、導電性を有する金属板材をプレスなどによって加工することによって形成されている。雌第2外導体160は、図2に示されるように、筒状接続部152の外周に組み付けられる覆い部161と、シールド体15の外周に圧着される雌バレル163と、を備えている。
【0035】
図4図5、および図6に示されるように、覆い部161は、筒状接続部152の外周面に巻き付けられるようになっている。覆い部161は、上壁164と、上壁164の左右両側縁から下方に延びる側壁165と、を有する。側壁165には、前から後へ向けて順に、雌スタビライザ166(スタビライザの一例)と、雌スリット167(位置決め凹部の一例)と、雌圧着片168(圧着片の一例)とが形成されている。
【0036】
側壁165の下端部のうち前端部寄りの位置には、下方に延びる雌スタビライザ166が形成されている。雌スタビライザ166は、下方に細長く延びる板状に形成されている。雌スタビライザ166の下端部は、雌スタビライザ166の外面に重なるように、上方に折り返された雌折り返し部169(折り返し部の一例)とされる。
【0037】
雌スタビライザ166の後方には、側壁165の下端部から上方に延びる雌スリット167が形成されている。雌スタビライザ166の後側縁は、雌スリット167の前側の口縁を構成している。
【0038】
雌スリット167の後方には、側壁165の下端部から延びる雌圧着片168が形成されている。図2に示されるように、雌第2外導体160が雌第1外導体151に組み付けられる前の状態においては、雌圧着片168は、側壁の下端部から下方に延びている。
【0039】
図5に示されるように、雌圧着片168が、筒状接続部152の下方に巻き付くように圧着することにより、雌第2外導体160と雌第1外導体151とが一体に組み付けられるようになっている。雌圧着片168の前側縁は、雌スリット167の後側の口縁を構成している。
【0040】
雌スリット167の前後方向の幅寸法は、雌位置決め凸部157の外径寸法と同じか、やや大きく形成されている。これにより、雌位置決め凸部157は雌スリット167内に収容されるようになっている。
【0041】
雌第2外導体160が雌第1外導体151の上方から組み付けられる際に、雌位置決め凸部157が雌スリット167内に挿入されることにより、雌第2外導体160と雌第1外導体との位置合わせが行われるようになっている。また、雌圧着片168が筒状接続部152に圧着する際に、雌第1外導体および雌第2外導体の双方または一方が前後方向に延びる場合がある。このとき、雌位置決め凸部157と、雌スリット167の口縁とが前後方向について接触することにより、雌第2外導体160と雌第1外導体151の、前後方向についての位置ずれが抑制されるようになっている。
【0042】
雌バレル163は、図1に示されるように、ケーブル11において折り返されたシールド体15の外周に圧着することによりシールド体15に電気的に接続固定される。つまり、雌バレル163は、雌シールド接続部156と共に、ケーブル11のシールド体15に巻き付くように圧着固定される。
【0043】
[雌ハウジング180]
雌ハウジング180は、合成樹脂製であって、図1に示されるように、雌外導体150を後方から収容する収容部182を有している。収容部182は、前後方向に貫通して形成されている。収容部182内には、雌外導体150に設けられたランス孔161Aに嵌まり込むランス183が設けられている。
【0044】
ランス183は、雌外導体150が収容部182の正規収容位置に収容されると、図1に示されるように、ランス孔161Aに嵌まり込む。したがって、ランス183とランス孔161Aの縁部とが係止することによって雌外導体150が雌ハウジング180内に保持されている。
【0045】
図7に示されるように、収容部182には、雌スタビライザ166の雌折り返し部169に対応する位置に、雌ガイド溝170(ガイド溝の一例)が前後方向に延びて形成されている。雌ガイド溝170の内形状は、雌折り返し部169を含む雌スタビライザ166の外形状よりも大きく形成されている。雌折り返し部169が雌ガイド溝170の内面と接触することにより、雌ハウジング180と、雌外導体150との相対的な位置決めがなされるようになっている。
【0046】
[雄コネクタ10]
雄コネクタ10は、図1および図8に示されるように、ケーブル11の前端部において露出した2本の電線12に接続される複数の雄内導体20と、複数の雄内導体20を収容する雄誘電体30と、雄誘電体30を覆った状態でケーブル11に接続される雄外導体50と、雄外導体50を収容する雄ハウジング80とを備えて構成されている。
【0047】
[雄内導体20]
雄内導体20は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雄内導体20は、図1に示されるように、ピン型の雄型接続部22と、雄型接続部22の後端部に連なる前後に長い直方体型の箱部23と、箱部23の後方に連なる電線接続部24とを備えている。
【0048】
雄型接続部22は、図1に示されるように、雌コネクタ110の雌内導体120における端子接続部122内に前方から進入することにより雌内導体120と電気的に接続される。電線接続部24は、電線12の前端部に圧着されて電線12に電気的に接続されている。
【0049】
[雄誘電体30]
雄誘電体30は、図8に示されるように、絶縁性の合成樹脂によって前後方向に長い直方体状に形成されている。
【0050】
雄誘電体30の内部には、電線12に接続された2つの雄内導体20が左右方向に並んだ状態で収容されている。雄誘電体30内に雄内導体20が収容されると、雄誘電体30の前壁から雄型接続部22が突出した状態となる。
【0051】
[雄外導体50]
図1に示されるように、雄外導体50は、雌コネクタ110の雌外導体150と嵌合可能とされている。雄外導体50は、図8に示されるように、雄誘電体30を内部に収容する雄第1外導体51(第1外導体の一例)と、雄第1外導体51およびケーブル11のシールド体15の外周を覆うように雄第1外導体51に組み付けられる雄第2外導体60(第2外導体の一例)とによって構成されている。
【0052】
[雄第1外導体51]
雄第1外導体51は、導電性を有する金属板材を加工することによって形成されている。雄第1外導体51は、図8および図9に示されるように、正面視略矩形の角筒型の接続筒部52と、接続筒部52の下側後端縁に設けられた雄シールド接続部56とを備えている。
【0053】
接続筒部52の前部は、図4図5および図6に示されるように、雌コネクタ110の雌外導体150における筒状接続部152が内部に嵌合する大径筒部53とされている。大径筒部53の後方は、大径筒部53と同軸に配置されると共に、大径筒部53よりも一回り小さい小径の小径筒部54とされている。
【0054】
小径筒部54は、図4図5および図6に示されるように、雌外導体150の筒状接続部152と同径に形成されている。ここで、小径筒部54と筒状接続部152とが同径とは、小径筒部54と筒状接続部152とが同一径である場合と、小径筒部54と筒状接続部152とが同一径でない場合でも実質的に同一径と見なしうる場合を含んでいる。したがって、接続筒部52は、図9に示されるように、中央部から後部が前部に比べて全体的に細くなっている。小径筒部54の左右両側壁には外方に突出する雄位置決め凸部57(位置決め凸部の一例)が形成されている。雄位置決め凸部57はほぼ円筒形状をなしている。
【0055】
雄位置決め凸部57が小径筒部54に形成されていることにより、雄位置決め凸部57が大径筒部53に形成されている場合に比べて、雄外導体50を小型化することができる。
【0056】
接続筒部52内には、雄誘電体30が後方から内部に収容可能とされている。接続筒部52内に雄誘電体30が後方から収容されると、図1に示されるように、雄内導体20の箱部23よりも後部が雄誘電体30によって小径筒部54から電気的に絶縁された状態で収容される共に、雄型接続部22が雄誘電体30から突出した状態で大径筒部53内に配置される。
【0057】
雄シールド接続部56は、接続筒部52の下側下端部から後方に向かって延びる板状に形成されている。雄シールド接続部56は、図1に示されるように、ケーブル11におけるシールド体15の下方に配置される。
【0058】
[雄第2外導体60]
雄第2外導体60は、導電性を有する金属板材をプレスなどによって加工することによって形成されている。雄第2外導体60は、図8に示されるように、小径筒部54の外周に組み付けられる覆い部61と、シールド体15の外周に圧着される雄バレル63と、を備えている。
【0059】
覆い部61は、小径筒部54の外周面を囲うように小径筒部54の外周面に巻き付けられている。覆い部61は、小径筒部54の外周面に組み付けられると、図4図5および図6に示されるように、大径筒部53と同径の大きさに形成される。ここで、覆い部61と大径筒部53とが同径とは、覆い部61と大径筒部53とが同一径の場合と、覆い部61と大径筒部53とが同一径でない場合でも実質的に同一径と見なしうる場合を含んでいる。覆い部61の上部には、後述する雄ハウジング80の端子係止部83が嵌まり込む貫通孔61Aが覆い部61を上下方向に貫通して形成されている。
【0060】
図4図5および図6に示されるように、覆い部61は、上壁64と、上壁64の左右両側縁から下方に延びる側壁65と、を有する。側壁65には、前から後へ向けて順に、雄スタビライザ66(スタビライザの一例)と、雄スリット67(位置決め凹部の一例)と、雄圧着片68(圧着片の一例)とが形成されている。
【0061】
側壁65の下端部のうち前端部寄りの位置には、下方に延びる雄スタビライザ66が形成されている。雄スタビライザ66は、下方に細長く延びる板状に形成されている。雄スタビライザ66の下端部は、雄スタビライザ66の外面に重なるように、上方に折り返された雄折り返し部69(折り返し部の一例)とされる。
【0062】
雄スタビライザ66の後方には、側壁65の下端部から上方に延びる雄スリット67が形成されている。雄スタビライザ66の後側縁は、雄スリット67の前側の口縁を構成している。
【0063】
雄スリット67の後方には、側壁65の下端部から延びる雄圧着片68が形成されている。図8に示されるように、雄第2外導体60が雄第1外導体51に組み付けられる前の状態においては、雄圧着片68は、側壁の下端部から下方に延びている。
【0064】
図5に示されるように、雄圧着片68が、小径筒部54の下方に巻き付くように圧着することにより、雄第2外導体60と雄第1外導体51とが一体に組み付けられるようになっている。雄圧着片68の前側縁は、雄スリット67の後側の口縁を構成している。
【0065】
雄スリット67の前後方向の幅寸法は、雄位置決め凸部57の外径寸法と同じか、やや大きく形成されている。これにより、雄位置決め凸部57は雄スリット67内に収容されるようになっている。
【0066】
雄第2外導体60が雄第1外導体51の上方から組み付けられる際に、雄位置決め凸部57が雄スリット67内に挿入されることにより、雄第2外導体60と雄第1外導体との位置合わせが行われるようになっている。また、雄圧着片68が小径筒部54に圧着する際に、雄第1外導体および雄第2外導体の双方または一方が前後方向に延びる場合がある。このとき、雄位置決め凸部57と、雄スリット67の口縁とが前後方向について接触することにより、雄第2外導体60と雄第1外導体51の、前後方向についての位置ずれが抑制されるようになっている。
【0067】
雄バレル63は、図1に示されるように、ケーブル11において折り返されたシールド体15の外周に圧着されることによりシールド体15に電気的に接続固定される。つまり、雄バレル63は、雄シールド接続部56と共に、ケーブル11のシールド体15に接続される。
【0068】
[雄ハウジング80]
雄ハウジング80は、合成樹脂製であって、雄外導体50を後方から収容する収容部82を有している。収容部82は、図1に示されるように、前後方向に貫通して形成されている。収容部82内には、覆い部61に設けられた貫通孔61Aに嵌まり込む端子係止部83が設けられている。
【0069】
端子係止部83は、雄外導体50が収容部82の正規収容位置に収容されると、図1に示されるように、貫通孔61Aに嵌まり込む。したがって、端子係止部83と貫通孔61Aの縁部とが係止することによって雄外導体50が雄ハウジング80内に保持されている。
【0070】
図10に示されるように、収容部82には、雄スタビライザ66の雄折り返し部69に対応する位置に、雄ガイド溝70(ガイド溝の一例)が前後方向に延びて形成されている。雄ガイド溝70の内形状は、雄折り返し部69を含む雄スタビライザ66の外形状よりも大きく形成されている。雄折り返し部69が雄ガイド溝70の内面と接触することにより、雄ハウジング80と、雄外導体50との相対的な位置決めがなされるようになっている。
【0071】
[本実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本明細書に開示された技術は、コネクタ装置1を構成する雄コネクタ10と、雌コネクタ110とに適用されている。
【0072】
本実施形態にかかる雄コネクタ10は、電線12の外周がシールド体15で覆われたケーブル11の端部に接続される雄コネクタ10であって、雄第1外導体51と、雄第1外導体51に組み付けられる雄第2外導体60と、を有し、雄第1外導体51と雄第2外導体60とが組み付けられた状態で、雄第1外導体51および雄第2外導体60が、電線12に接続された雄内導体20が収容される雄誘電体30を覆うようになっており、雄第1外導体51および雄第2外導体60の一方には他方に向かって突出する雄位置決め凸部57が形成されており、雄第1外導体51および雄第2外導体60の他方には雄位置決め凸部57と係合する雄スリット67が形成されている。
【0073】
また、本実施形態にかかる雌コネクタ110は、電線12の外周がシールド体15で覆われたケーブル11の端部に接続される雌コネクタ110であって、雌第1外導体151と、雌第1外導体151に組み付けられる雌第2外導体160と、を有し、雌第1外導体151と雌第2外導体160とが組み付けられた状態で、雌第1外導体151および雌第2外導体160が、電線12に接続された雌内導体が収容される雌誘電体を覆うようになっており、雌第1外導体151および雌第2外導体160の一方には他方に向かって突出する雌位置決め凸部157が形成されており、第1外導体および第2外導体の他方には雌位置決め凸部157と係合する雌スリット167が形成されている。
【0074】
上記の構成によれば、雄位置決め凸部57と雄スリット67とを係合させることにより、雄第1外導体51と雄第2外導体60との組み付け作業の効率を向上させることができる。これにより、雄コネクタ10の組み付け作業の効率を向上させることができる。同様に、雌位置決め凸部157と雌スリット167を係合させることにより、雌第1外導体151と雌第2外導体160のとの組み付け作業の効率を向上させることができる。これにより、雌コネクタ110の組み付け作業の効率を向上させることができる。
【0075】
本実施形態にかかる雄コネクタ10においては、雄第1外導体51の外側に雄第2外導体60が組み付けられるようになっており、雄第1外導体51には雄位置決め凸部57が外方に突出して形成されており、雄第2外導体60には雄第1外導体51と雄第2外導体60とを組み付ける組み付け方向に沿って延びる雄スリット67が形成されている。
【0076】
また、本実施形態にかかる雌コネクタ110においては、雌第1外導体151の外側に雌第2外導体160が組み付けられるようになっており、雌第1外導体151に雌位置決め凸部157が外方に突出して形成されており、第2外導体には、雌第1外導体151と雌第2外導体160とを組み付ける組み付け方向に沿って延びる雌スリット167が形成されている。
【0077】
上記の構成によれば、雄第1外導体51と雄第2外導体60との組み付け作業において、作業者は、外方に突出して形成された雄位置決め凸部57を目印にして、雄第2外導体60を雄第1外導体51に組み付けることができる。これにより、雄第1外導体51と雄第2外導体60のとの組み付け作業の効率を向上させることができるので、雄コネクタ10の組み付け作業の効率をさらに向上させることができる。同様に、雌第1外導体151と雌第2外導体160との組み付け作業において、作業者は、外方に突出して形成された雌位置決め凸部157を目印にして、雌第2外導体160を雌第1外導体151に組み付けることができる。これにより、雌第1外導体151と雌第2外導体160のとの組み付け作業の効率を向上させることができるので、雌コネクタ110の組み付け作業の効率をさらに向上させることができる。
【0078】
本実施形態にかかる雄コネクタ10においては、雄第2外導体60は、雄第1外導体51の外周に圧着する雄圧着片68を有し、雄圧着片68の側縁が雄スリット67の口縁を形成する。
【0079】
また、本実施形態にかかる雌コネクタ110においては、雌第2外導体160は、雌第1外導体151の外周に圧着する雌圧着片168を有し、雌圧着片168の側縁が雌スリット167の口縁を形成する
【0080】
上記の構成によれば、雄圧着片68の位置決めを確実に行うことができるので、雄第1外導体51と雄第2外導体60との組み付け精度を向上させることができる。同様に、雌圧着片168の位置決めを確実に行うことができるので、雌第1外導体151と雌第2外導体160との組み付け精度を向上させることができる。
【0081】
本実施形態にかかる雄コネクタ10においては、雄第1外導体51と雄第2外導体60とが組み付けられた状態で雄ハウジング80内に収容されるようになっており、雄第2外導体60は雄ハウジング80と係合する雄スタビライザ66を有し、雄スタビライザ66の側縁が雄スリット67の口縁を形成する。
【0082】
また、本実施形態にかかる雌コネクタ110においては、雌第1外導体151と雌第2外導体160とが組み付けられた状態で雌ハウジング180内に収容されるようになっており、雌第2外導体160は雌ハウジング180と係合する雌スタビライザ166を有し、雌スタビライザ166の側縁が雌スリット167の口縁を形成する。
【0083】
上記の構成によれば、雄スタビライザ66の位置決めを確実に行うことができるので、雄ハウジング80と、雄第1外導体51および雄第2外導体60との組み付け精度を向上させることができる。同様に、雌スタビライザ166の位置決めを確実に行うことができるので、雌ハウジング180と、雌第1外導体151および雌第2外導体160との組み付け精度を向上させることができる。
【0084】
本実施形態にかかる雄コネクタ10においては、雄スタビライザ66は、雄スタビライザ66の先端部が折り返された雄折り返し部69を有し、雄折り返し部69が、雄ハウジング80に形成された雄ガイド溝70に挿入される。
【0085】
また、本実施形態に係る雌コネクタ110においては、雌スタビライザ166は、雌スタビライザ166の先端部が折り返された雌折り返し部169を有し、雌折り返し部169が、雌ハウジング180に形成された雌ガイド溝170に挿入される。
【0086】
雄スタビライザ66と雄ハウジング80との係合代を大きくすることができるので、雄ハウジング80と、雄第1外導体51および雄第2外導体60との組み付け精度をさらに向上させることができる。同様に、雌スタビライザ166と雌ハウジング180との係合代を大きくすることができるので、雌ハウジング180と、雌第1外導体151および雌第2外導体160との組み付け精度をさらに向上させることができる。
【0087】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では、上記実施形態では、雄コネクタ10は、2本の電線12を有するケーブル11に接続される構成とした。しかしながら、これに限らず、1本の電線12、または3本以上の電線12がケーブル11に含まれる構成としてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1: コネクタ装置
10: 雄コネクタ
11: ケーブル
12: 電線
15: シールド体
16: シース部
17: スリーブ
20: 雄内導体
22: 雄型接続部
23: 箱部
24: 電線接続部
30: 雄誘電体
50: 雄外導体
51: 雄第1外導体
52: 接続筒部
53: 大径筒部
54: 小径筒部
56: 雄シールド接続部
57: 雄位置決め凸部
60: 雄第2外導体
61: 覆い部
61A: 貫通孔
63: 雄バレル
64: 上壁
65: 側壁
66: 雄スタビライザ
67: 雄スリット
68: 雄圧着片
69: 雄折り返し部
70: 雄ガイド溝
80: 雄ハウジング
82: 収容部
83: 端子係止部
110: 雌コネクタ
120: 雌内導体
122: 端子接続部
124: 電線接続部
130: 雌誘電体
150: 雌外導体
151: 雌第1外導体
152: 筒状接続部
156: 雌シールド接続部
157: 雌位置決め凸部
160: 雌第2外導体
161: 覆い部
161A: ランス孔
163: 雌バレル
164: 上壁
165: 側壁
166: 雌スタビライザ
167: 雌スリット
168: 雌圧着片
169: 雌折り返し部
170: 雌ガイド溝
180: 雌ハウジング
182: 収容部
183: ランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10