(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】エレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 9/02 20060101AFI20231124BHJP
B66B 11/02 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B66B9/02 Z
B66B11/02 Z
(21)【出願番号】P 2022077126
(22)【出願日】2022-05-09
【審査請求日】2022-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宮川 行宏
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-121021(JP,A)
【文献】特開平06-255904(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 9/02
B66B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に配置される複数の乗りかごと、
昇降路内に配置され、前記乗りかごの背面又は側面と結合して前記乗りかごとともに昇降可能な少なくとも1つの昇降駆動装置と、を備え、
前記昇降駆動装置は、前記複数の乗りかごと同時に結合可能に構成さ
れ、正面、一対の側面、及び、背面を有する直方体状であり、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の正面、一対の側面、又は、背面のいずれかに、同時に結合可能である、エレベータ。
【請求項2】
昇降路内に配置される複数の乗りかごと、
昇降路内に配置され、前記乗りかごの背面又は側面と結合して前記乗りかごとともに昇降可能な少なくとも1つの昇降駆動装置と、を備え、
前記昇降駆動装置は、前記複数の乗りかごと同時に結合可能に構成され、昇降方向に沿う縦軸を中心とする筒状の周面を有し、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の周面に、同時に結合可能である
、エレベータ。
【請求項3】
前記昇降駆動装置は、前記縦軸に対して回動しない中心部と、前記周面を有し且つ前記中心部の外側に配置されるとともに、前記中心部に対して周方向に回動する外側部と、を有する、請求項
2に記載のエレベータ。
【請求項4】
昇降路内に配置される複数の乗りかごと、
昇降路内に配置され、前記乗りかごの背面又は側面と結合して前記乗りかごとともに昇降可能な少なくとも1つの昇降駆動装置と、を備え、
前記昇降駆動装置は、前記複数の乗りかごと同時に結合可能に構成され、上段及び下段に前記乗りかごを結合可能に構成され、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の上段及び下段の少なくとも一方に、同時に結合可能である
、エレベータ。
【請求項5】
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごは、幅方向の寸法が異なる複数種類の乗りかごを含む、請求項1
、請求項2、又は、請求項4に記載のエレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が家族等のグループ毎に分かれて乗ることができるエレベータに関する。
【背景技術】
【0002】
本願の発明者は、乗りかごと乗りかごを昇降させる昇降駆動装置とが分離・結合するエレベータを提案している(特許文献1)。このエレベータでは、昇降駆動装置上に設けられた横軌道を通じて、隣り合う昇降路に位置する昇降駆動装置に、乗りかごが移行できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなエレベータでは、1つの昇降駆動装置に1つの乗りかごが結合されているため、複数の利用者が乗場で乗りかごを待っているとき、この複数の利用者は1つの乗りかごに同乗することになる。一方、利用者が、家族等のグループ毎に分かれて乗りかごに乗りたいという要望がある。また、近年、感染症対策の観点からも、利用者が、少人数に分かれて乗りかごに乗りたいという要望がある。
【0005】
本発明は、利用者がグループ毎に分かれて乗ることができるエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータは、
昇降路内に配置される複数の乗りかごと、
昇降路内に配置され、前記乗りかごの背面又は側面と結合して前記乗りかごとともに昇降可能な少なくとも1つの昇降駆動装置と、を備え、
前記昇降駆動装置は、前記複数の乗りかごと同時に結合可能に構成されている。
【0007】
かかる構成によれば、1つの昇降駆動装置に複数の乗りかごが結合した状態で乗場に到着するため、複数の利用者が別々の乗りかごに分かれて乗ることができる。
【0008】
前記エレベータでは、
前記昇降駆動装置は、正面、一対の側面、及び、背面を有する直方体状であり、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の正面、一対の側面、又は、背面のいずれかに、同時に結合可能であってもよい。
【0009】
かかる構成によれば、昇降駆動装置の正面、一対の側面、又は、背面のいずれかに結合された複数の乗りかごが、1つの乗場に同時に到着するため、この乗場で乗りかごを待つ複数の利用者が、別々の乗りかごに分かれて乗ることができる。
【0010】
前記エレベータでは、
前記昇降駆動装置は、昇降方向に沿う縦軸を中心とする筒状の周面を有し、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の周面に、同時に結合可能であってもよい。
【0011】
かかる構成によれば、昇降駆動装置の周面に結合された複数の乗りかごが、別々の乗場に同時に到着するため、1つの乗場で乗りかごを待つ利用者が、別の乗場で乗りかごを待つ利用者と、別々の乗りかごに分かれて乗ることができる。
【0012】
前記エレベータでは、
前記昇降駆動装置は、前記縦軸に対して回動しない中心部と、前記周面を有し且つ前記中心部の外側に配置されるとともに、前記中心部に対して周方向に回動する外側部と、を有してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、乗場に設けられた乗場ドアが1つであっても、昇降駆動装置の外側部を回動させることにより、各乗りかごを順番に乗場ドアに対応する位置に配置することで、利用者が各乗りかごに対して乗り降りできる。
【0014】
前記エレベータでは、
前記昇降駆動装置は、上段及び下段に前記乗りかごを結合可能に構成され、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごが、前記昇降駆動装置の上段及び下段の少なくとも一方に、同時に結合可能であってもよい。
【0015】
かかる構成によれば、1つの昇降駆動装置の上段や下段に結合された複数の乗りかごが、別々の乗場に同時に到着するため、複数の利用者が別々の乗りかごに分かれて乗ることができる。
【0016】
前記エレベータでは、
前記昇降駆動装置に結合される複数の乗りかごは、幅方向の寸法が異なる複数種類の乗りかごを含んでもよい。
【0017】
かかる構成によれば、1つの昇降駆動装置に結合した幅方向の寸法が異なる複数の乗りかごが乗場に到着するため、複数の利用者が所望のサイズの乗りかごに分かれて乗ることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上より、本発明によれば、利用者がグループ毎に分かれて乗ることができるエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図2】
図2は、前記エレベータにて、単体の昇降駆動装置を示す、斜視での模式図である。
【
図3】
図3は、前記エレベータにて、単体の乗りかごを示す、平面視での模式図である。
【
図4】
図4は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図5】
図5は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図6】
図6は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図7】
図7は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図8】
図8は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【
図9】
図9は、変形例に係るエレベータを示す、斜視での模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図3を参照しつつ説明する。
【0021】
エレベータ1は、
図1に示すように、昇降路10内に配置される複数の乗りかご2と、昇降路10内に配置され、乗りかご2の背面23又は側面24(本実施形態では、乗りかご2の背面23)と結合して乗りかご2とともに昇降可能な少なくとも1つの昇降駆動装置3と、を備える。また、エレベータ1は、昇降駆動装置3の移動及び乗りかご2の移動を制御可能な制御部を備える。
【0022】
このエレベータ1は、建物内を複数の階(フロア)に跨って上下方向に延びる昇降路10を備えるエレベータである。また、エレベータ1は、乗りかご2と乗りかご2を昇降させる昇降駆動装置3とが分離・結合するエレベータ(昇降分離型エレベータ)である。このエレベータ1では、乗りかご2自体は昇降機能を有していない。本実施形態のエレベータ1は、1つの昇降駆動装置3、及び、2つの乗りかご2を備える。このエレベータ1では、昇降駆動装置3は、昇降路10内を昇降して建物の地上各階に設けられる乗場に停止可能である。
【0023】
各昇降路10の内部には、一対のガイドレールGが設けられている。このガイドレールGは、1つの昇降駆動装置3に対して、昇降駆動装置3を昇降方向及び前後方向の両方と直交する幅方向(図示左右方向)から挟むように一対設けられている。なお、ガイドレールGは、1つの昇降駆動装置3に対して、1つ乃至3つ以上設けられていてもよい。
【0024】
さらに、エレベータ1は、昇降駆動装置3と連動して昇降路10内を昇降するカウンターウェイト、及び、昇降駆動装置3とカウンターウェイトとを連結するロープRを備える。この構成により、昇降駆動装置3は、昇降可能に構成されている。ここで、従来のトラクション式エレベータにおいては、ロープRに連結した乗りかごそのものを昇降させていた。これに対して、本実施形態のエレベータ1では、従来の乗りかご部分を昇降駆動装置3に置き換えている。なお、昇降駆動装置3は、自走する構成であってもよい。
【0025】
昇降駆動装置3は、複数の乗りかご2に同時に結合可能に構成されている。本実施形態では、昇降駆動装置3は、2つの乗りかご2に同時に結合可能であるとともに、1つの乗りかご2単体にも結合可能である。なお、昇降駆動装置3は、3つ以上の複数の乗りかご2に同時に結合可能であってもよい。
【0026】
また、昇降駆動装置3は、
図2に示すように、幅方向(図示左右方向)に延びる横軌道30を備える。なお、昇降駆動装置3は、乗りかご2が結合した状態で、昇降駆動装置3から乗りかご2が落下しないで昇降可能な構成であればよい。例えば、昇降駆動装置3は、横軌道30の代わりに、幅方向成分を含む斜め方向に延びる軌道を有していてもよい。
【0027】
このエレベータ1では、昇降駆動装置3は、該昇降駆動装置の速度を検知可能な速度センサを有する。また、昇降駆動装置3は、昇降駆動を制御するためのマイコンも有する。
【0028】
昇降駆動装置3は、例えば、正面31、一対の側面32、及び、背面33を有する直方体状である。本実施形態では、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2が、昇降駆動装置3の正面31に、同時に結合可能である。なお、昇降駆動装置3の正面31、一対の側面32、又は、背面33のいずれかに、複数の乗りかご2が同時に結合可能であってもよい。
【0029】
乗りかご2は、
図1及び
図3に示すように、利用者や荷物を載せる乗りかごである。本実施形態では、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2(具体的には、2つの乗りかご2)は、幅方向の寸法が同じである。なお、このエレベータ1では、
図1及び
図3に示す乗りかご2の代わりに、図示した乗りかご2よりも幅方向の寸法が大きい乗りかご2も昇降駆動装置3に結合可能である。幅方向の寸法が大きい乗りかご2は、1つのみ昇降駆動装置3に同時に結合可能である。
【0030】
また、乗りかご2は、例えば、利用者や荷物を載せる乗りかご本体20、及び、乗りかご本体20の背面に、幅方向に延びるように突出しており、昇降駆動装置3の横軌道30を走行するための走行部21を備える。なお、走行部21は、乗りかご本体20の側面に設けられていてもよい。
【0031】
本実施形態の乗りかご2は、該乗りかご2が横軌道30を走行するための動力を、例えば、走行部21に備えており自走する。また、乗りかご2は、例えば、横軌道30における走行を制御するマイコンを有する。なお、乗りかご2は、該乗りかご2が横軌道30を走行するための動力を備えない構成であってもよく、この場合、昇降駆動装置3に備えられた引き込み機構により隣り合う昇降駆動装置3の横軌道30に引き込まれてもよい。
【0032】
乗りかご2は、該乗りかご2が結合している昇降駆動装置3に、別の昇降駆動装置3が隣り合ったとき、結合している昇降駆動装置3から隣り合う昇降駆動装置3に移動可能である。また、乗りかご2は、該乗りかご2が結合している昇降駆動装置3に、内部に乗りかご2と結合可能な部材が設けられ幅方向に延びる横移動路が接続されたとき、結合している昇降駆動装置3から横移動路に移動可能である。
【0033】
乗りかご本体20は、開閉により内外を連通させる乗りかごドア22を備える。また、乗りかご本体20は、例えば、直方体状である。本実施形態の乗りかごドア22は、一枚扉であるが、両開きの二枚扉等であってもよい。具体的に、昇降駆動装置3に2つの乗りかご2が同時に結合された状態では、各乗りかご2の乗りかごドア22は、それぞれ幅方向の内側に位置するよう配置される。
【0034】
また、2つの乗りかご2が結合している昇降駆動装置3が乗場に到着することで、2つの乗りかご2が同時に乗場に到着した場合、両方の乗りかごドア22が戸開する。なお、一方の乗りかご2でかご呼びが入ったことにより(かご内の階床ボタンが押下されたことにより)、2つの乗りかご2が同時に乗場に到着した場合、かご呼びが入った側の乗りかご2のかごドア22を戸開し、他方の乗りかご2のかごドア22を戸閉したままとしてもよい。
【0035】
乗りかご本体20の幅方向における寸法は、昇降駆動装置3の幅方向における寸法よりも小さく、本実施形態では、昇降駆動装置3の幅方向における寸法の50%以下である。
【0036】
乗場には、乗りかご2を呼ぶための呼びボタンに加えて、特定の乗りかご2を指定するためのかご指定ボタンが設けられている。本実施形態では、かご指定ボタンを利用者が押下することで、図示した乗りかご2(幅方向における寸法が小さい乗りかご2)が乗場に到着する。なお、このエレベータ1では、各乗場に図示した乗りかご2、及び、他の乗りかご2(図示した乗りかご2よりも幅方向の寸法が大きい乗りかご2)の両方が到着可能であるが、少なくとも1つの乗場が、図示した乗りかご2のみ、又は、他の乗りかご2のみが到着可能な専用の乗場であってもよい。
【0037】
エレベータ1の制御部は、各昇降駆動装置3及び各乗りかご2に対して乗場呼びの割当等の群管理制御を行う。この群管理では、制御部は、所定の階床の乗場において乗場呼びが入ったときに(例えば、乗場において呼びボタンが押下されたときに)、利用者等の輸送効率が高くなるように複数の昇降駆動装置3から前記乗場呼びに対応する昇降駆動装置3を選択し、この選択された昇降駆動装置3を該乗場呼びの入った乗場に向かわせる。
【0038】
なお、本実施形態では、乗場呼びが入るとともに、かご指定ボタンが押下されているときには、図示した乗りかご2が結合した昇降駆動装置3を該乗場呼びの入った乗場に向かわせる。また、乗場呼びが入ると共に、かご指定ボタンが押下されていないときには、結合された乗りかご2の種類を問わずに選択した昇降駆動装置3を該乗場呼びの入った乗場に向かわせる。
【0039】
例えば、制御部は、CPU(Central Processing Unit)、このCPUによって実行される種々のプログラムやその実行に必要なデータ等を予め記憶するROM(Read Only Memory)やEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性記憶素子、このCPUのいわゆるワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶素子およびその周辺回路等を備えた基盤やマイクロコンピュータ等によって構成されている。
【0040】
以上のエレベータ1では、1つの昇降駆動装置3に複数の乗りかご2が結合した状態で乗場に到着するため、複数の利用者が別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。具体的に、利用者は、家族等のグループ毎や少人数に分かれて、乗りかご2に乗ることができる。また、利用者が乗った乗りかご2と別の乗りかご2に、荷物を乗せることができる。
【0041】
本実施形態のエレベータ1では、昇降駆動装置3の正面31に結合された複数の乗りかご2が、1つの乗場に同時に到着するため、この乗場で乗りかご2を待つ複数の利用者が、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。
【0042】
また、本実施形態のエレベータ1では、1つの昇降駆動装置3に複数の乗りかご2が結合した状態では、1つの昇降駆動装置3を昇降させることで、複数の乗りかご2を昇降させることができる。そのため、乗りかご2を昇降させるために必要なモータ等の駆動機器を乗りかご2の数だけ設ける必要が無く、駆動機器の設置スペースを抑えることができる。
【0043】
なお、本発明のエレベータは、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0044】
上記実施形態では、複数の乗りかご2が、昇降駆動装置3の正面31に同時に結合されていたが、昇降駆動装置3の正面31、一対の側面32、背面33のうち異なる複数の面に同時に結合されてもよい。例えば、
図4では、2つの乗りかご2のうち一方の乗りかご2が昇降駆動装置3の正面31に配置されるととともに、他方の乗りかご2が昇降駆動装置3の背面33に配置されている。この構成では、乗りかご2が、1つずつ別々の乗場に同時に到着するため、別々の乗場で乗りかご2を待つ複数の利用者が、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。
【0045】
図5に示すように、複数(例えば、2つ)の乗りかご2が昇降駆動装置3の正面31に配置されるととともに、別の複数(例えば、2つ)の乗りかご2が昇降駆動装置3の背面33に配置されていてもよい。この構成では、乗りかご2が、2つずつ別々の乗場に同時に到着するため、別々の乗場で乗りかご2を待つ複数の利用者が、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができるとともに、同じ乗場で乗りかご2を待つ複数の利用者も、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。
【0046】
図6に示すように、乗りかご2が、昇降駆動装置3の正面31、一対の側面32、背面33の全ての面(4面)にそれぞれ1つずつ同時に結合されていてもよい。この構成では、乗りかご2が、4つの乗場に同時に到着するため、各乗場で乗りかご2を待つ複数の利用者が、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。
【0047】
図7に示すように、昇降駆動装置3は、上段34及び下段35に乗りかご2を結合可能に構成されていてもよい。この場合、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2が、昇降駆動装置3の上段34及び下段35の少なくとも一方に、同時に結合可能であってもよい。
図7では、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2が、昇降駆動装置3の上段34及び下段35の両方に、同時に結合可能である。具体的に、複数(例えば、2つ)の乗りかご2が、それぞれ、昇降駆動装置3の上段34の正面31及び背面33、昇降駆動装置3の下段35の正面31及び背面33に配置されている。この構成では、1つの昇降駆動装置3の上段34や下段35に結合された複数の乗りかご2が、別々の乗場(例えば、異なる階床に設けられた乗場)に同時に到着するため、複数の利用者が別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。なお、昇降駆動装置3の上段34に結合される乗りかご2と、昇降駆動装置3の下段35に結合される乗りかご2とで、乗りかご2の高さ(昇降方向における寸法)を異ならせてもよい。
【0048】
上記実施形態では、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、いずれも、幅方向における寸法が同じであった。これに対して、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、幅方向の寸法が異なる複数種類の乗りかご2を含んでもよい。例えば、
図8では、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、幅方向の寸法が異なる3種類の乗りかご2を含む。具体的に、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、幅方向の寸法が最も小さい第1の乗りかご201と、幅方向の寸法が最も大きい第2の乗りかご202と、幅方向の寸法が第1の乗りかご201よりも大きく第2の乗りかご202よりも小さい第3の乗りかご203と、を含む。昇降駆動装置3の正面31には、異なる種類の乗りかご2(同図では2つの第1の乗りかご201及び1つの第3の乗りかご203)が配置され、昇降駆動装置3の背面には1種類の乗りかご2(同図では1つの第2の乗りかご202)が配置されている。この構成では、1つの昇降駆動装置3に結合した幅方向の寸法が異なる複数の乗りかご201、202、203が乗場に到着するため、複数の利用者が所望のサイズの乗りかご201、202、203に分かれて乗ることができる。
【0049】
なお、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、前後方向における寸法(奥行き方向における寸法)が異なる複数種類の乗りかご2を含んでもよい。また、昇降駆動装置3に結合される複数の乗りかご2は、仕様の異なる複数種類の乗りかご2を含んでもよい。乗りかご2の仕様とは、例えば、乗りかご2内に手すり等が設けられるとともに、乗りかご2の乗りかごドア22の開閉を通常よりも遅く行う車椅子仕様の乗りかごを含む。
【0050】
なお、乗場に通常の乗りかご2と車椅子仕様の乗りかご2との両方が到着可能な場合、乗場のドアの開閉速度を、到着した乗りかご2にあわせて切り替えてもよい。また、車椅子仕様の乗りかご2専用の乗場では、常時、乗場のドアの開閉を通常よりも遅く行えばよい。
【0051】
上記実施形態では、昇降駆動装置3は、正面31、一対の側面32、背面33を有する形状であったが、異なる形状であってもよい。例えば、昇降駆動装置3の上面及び下面を除く面が、四面を有する以外に、五面、六面以上の複数面を有する形状であってもよい。この場合であっても、昇降駆動装置3の上面及び下面を除く各面のうちいずれかの面に、複数の乗りかご2が同時に結合可能であればよい。
【0052】
また、
図9では、昇降駆動装置3は、昇降方向に沿う縦軸を中心とする筒状の周面36を有する。また、昇降駆動装置3に結合される複数(例えば、8つ)の乗りかご2が、昇降駆動装置3の周面36に、同時に結合可能である。この構成では、昇降駆動装置3の周面36に結合された複数の乗りかごが、別々の乗場に同時に到着するため、1つの乗場で乗りかご2を待つ利用者が、別の乗場で乗りかご2を待つ利用者と、別々の乗りかご2に分かれて乗ることができる。
【0053】
また、同図の構成では、昇降駆動装置3は、周面の中心である縦軸に対して回動しない中心部37と、周面36を有し且つ中心部37の外側に配置される外側部38と、を有する。外側部38は、中心部37を囲むように配置されている。また、外側部38は、中心部37に対して周方向に回動する。さらに、乗りかご2は昇降駆動装置3の周面36に固定されている。この構成では、乗場に設けられた乗場ドアが1つであっても、昇降駆動装置3の外側部38を回動させることにより、昇降駆動装置3に結合された各乗りかご2を、順番に、乗りかごドアが乗場ドアに対応する位置となるよう配置することで、利用者が各乗りかご2に対して乗り降りできる。
【0054】
さらに、上記実施形態等では、乗りかご2は、直方体状であったが、この形状に限られない。例えば、乗りかご2の正面や背面が曲面であってもよく、より具体的に、環形状を分割した形状であってもよい。この場合、複数の乗りかご2が
図9に示す昇降駆動装置3の周面36に沿って配置されるとともに、隣り合う乗りかご2同士が隙間なく連続し、且つ、昇降駆動装置の外側で全体として環状に配置されてもよい。各乗りかご2は、かご内への乗り込み専用の乗りかどドアと、かご内からの降車専用の乗りかどドアと、を備えていてもよい。なお、昇降駆動装置3の上段及び下段それぞれの周面36に、環状の乗りかご2が一つずつ配置されてもよい。この場合、環状の乗りかご2は、かご内への乗り込み専用の乗りかどドアと、かご内からの降車専用の乗りかどドアと、を備えていてもよい。
【0055】
図9の構成では、昇降駆動装置3に乗りかご2が固定され、且つ、昇降駆動装置3の外側部38が縦軸に対して回動することで、乗りかご2が縦軸に対して回動していたが、昇降駆動装置3が縦軸に対して回動せず、且つ、乗りかご2が昇降駆動装置3の周面36に沿って回動してもよい。例えば、昇降駆動装置3の周面36に、周方向に連続する横軌道30が周面に設けられ、乗りかご2の走行部21が横軌道30を走行することで、周面36に沿って移動可能であってもよい。この構成では、乗場に設けられた乗場ドアが1つであっても、乗りかご2が周面36に沿って移動することにより、昇降駆動装置3に結合された各乗りかご2を順番に乗場ドアに対応する位置に配置することで、利用者が各乗りかご2に対して乗り降りできる。
【符号の説明】
【0056】
1…エレベータ、2…乗りかご、3…昇降駆動装置、10…昇降路、20…乗りかご本体、21…走行部、22…乗りかごドア、23…背面、24…側面、30…横軌道、31…正面、32…側面、33…背面、34…上段、35…下段、36…周面、37…中心部、38…外側部、201…第1の乗りかご、202…第2の乗りかご、203…第3の乗りかご、G…ガイドレール、R…ロープ