(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】組紐およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D04C 1/00 20060101AFI20231124BHJP
D04C 7/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
D04C1/00
D04C7/00 B
(21)【出願番号】P 2020007943
(22)【出願日】2020-01-22
【審査請求日】2021-03-09
(31)【優先権主張番号】P 2019008112
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年7月14日 有限会社船坂酒造店にて開催された体験会で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年10月2日 https://gurutabi.gnavi.co.jp/p/p_5721/ 「旅ぐるたび」サイト内で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年9月29日 CBCテレビ取材 飛騨高山まちの体験交流館展示場で公開
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成30年11月19日 名古屋テレビ取材 飛騨高山まちの体験交流館展示場で公開
(73)【特許権者】
【識別番号】516382135
【氏名又は名称】株式会社AftSoft
(74)【代理人】
【識別番号】100123489
【氏名又は名称】大平 和幸
(72)【発明者】
【氏名】堀 尚義
【審査官】長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0322599(US,A1)
【文献】中国実用新案第2599034(CN,Y)
【文献】実開昭55-087387(JP,U)
【文献】特開昭52-031156(JP,A)
【文献】登録実用新案第3216759(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D03D1/00-27/18
D04C1/00-7/00
D04G1/00-5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
6の整数倍の本数の
紐の端を6個の組玉に該整数の本数づつそれぞれの組玉に該整数の本数束ねてまとめて結ぶ工程と、
紐の先端を丸台の中央の穴から垂らす工程と
紐の先端を結ぶ工程と、
該
紐の先端に重りをつける工程と、
丸台の上板の上面の上左、上右、左上、右上、左、右、下左および下右に番号または記号を付す工程と、
組玉を、左上(1)の位置、上左(2)の位置、上右(3)の位置、右上(4)の位置、下左(5)の位置、下右(6)の位置に丸台の外側に垂らす工程と、
i)上左(2)の位置にあった紐を組玉とともに右(B)の位置に移動させる工程と、
ii)上右(3)の位置にあった紐を組玉とともに左(A)の位置に移動させる工程と、
iii)下左(5)および下右(6)の位置にあった紐を組玉とともに上左(2)および上右(3)の位置に移動させる工程と、
iv)左上(1)および右上(4)の位置にある紐を組玉とともに下左(5)および下右
(6)の位置に移動させる工程と、
v)左(A)および右(B)の位置にある紐を組玉とともに左上(1)および右上(4)の位置に移動させる工程と、
i)~v)の工程を繰り返す工程と
を有する、組紐の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組紐およびその製造方法に関する。より詳しくは、6個の組玉を用いる組紐の製造方法およびそれにより得られる組紐に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組紐は、4、8または16の組玉を用いて作成されてきた。この場合、操作は単純であるが、操作の手順を覚えるのが煩雑であった。組紐調の撚り紐も開発されている(例えば、特許文献1)が、製造工程が複雑という問題もあった。
【0003】
そこで、操作の習得がより簡単にでき、より複雑な操作も含む組紐の製造方法および組紐が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
6つの組玉を用いて組紐を製造する方法および6の倍数の紐で製造された組紐を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)6個の組玉を用いて組紐を製造する方法。
(2)6の倍数の紐を用いて組紐を製造する方法。
(3)紐の位置を示すマークを付した丸台を用いることを特徴とする、(1)または(2)の組紐を製造する方法。
(4)6の倍数の紐により編まれた組紐。
(5)6個の組玉と、6の倍数の紐と、丸台と、紐を束ねる糸と、重りとを有する組紐製造キット。該キットは、さらに、S字フックと割箸を有していてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、初心者でも容易に組紐を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明に使用する丸台の一例を示す写真である。
【
図2】
図2は、本発明に使用する組玉の一例を示す写真である。
【
図3】
図3は、本発明の組紐を製造するために組玉に紐を巻き付けて固定する様子を示す写真である。
【
図4】
図4は、本発明の組紐の製造方法工程の一部を示す写真である。A、B、およびCは丸台の上から見た写真、dは重りと重りを入れる袋、eは組紐の製造中の様子を下から見た写真、fは、重りを吊り下げた写真である。
【
図5】
図5は、本発明の組紐の製造方法を示す写真である。
【
図6】
図6は、本発明の組紐の一例を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、組紐を編む際に、6本または6の倍数の紐を用いて組紐を編む点に特徴がある。従来、4本、8本、16本の紐を用いて組紐を編む方法は知られていた。しかしながら、それらの方法は、操作が単純にもかかわらずわかりにくいものであり、容易にマスターできるとは言えなかった。
ただし、組玉1は1本、組玉2は2本、組玉3は3本というように組玉毎に使用する紐の本数を変えて巻き付けて組紐を編むことも可能なので、必ずしも6の倍数の紐を使わなくてもよい。つまり本発明においては、6個の組玉を使用して組紐を編めばよい。
【0010】
本発明においては、適度に複雑な工程で組紐を製造するが、製造手順がわかりやすいように、マークを付けた丸台を使用する。丸台というのは、
図1のような器具で、円形の平面の下に足が付いた台であり、組紐を編む際に用いられるものである。丸台は市販のものを用いても、自作のものを用いても良い。本発明の組紐を製造できる限り、特に丸台に制限はない。
【0011】
本発明においては、紐の位置をマークしている。
図4では、シールによりマークしているが、シールに限らず、直接書き込んでもよく、文字に限らず、色、彫刻や突起等によりマークしてもよい。位置がわかる方法であれば、マークの方法に制限はなく、目で見える限りあらゆるマーキングの方法が用いられる。目の見えない人用には点字でマークしてもよい。
【0012】
本発明では、丸台に
図4aのように、数字と英字などでマークをし、紐の位置を容易に指定することができ、紐を編む順番を数字と英字などで指定できることから、初心者でも容易に組紐を製造することができる。なお、数字、英字の組み合わせをマークの一例として示したが、ひらがな、カタカナ、漢字、ギリシャ文字、記号、絵などを用いても良い。要するに、組紐の製造工程がわかりやすく示せれば、マークの種類は特に限定されない。日本語以外が母国語の人用に各国の文字でマークすることで、当該国や、インバウンドの外国人でも組紐を編むことが容易になる。また、各国の点字を用いることで日本以外の外国語を主に使用する盲人でも本発明の方法で組紐を編むことができる。
【0013】
本発明においては、6本(または6の倍数)の紐を用いて組紐を編むことに特徴がある。4本の紐を用いて組紐を編む場合、動作が非常に単調になり、組紐を編むことによって脳があまり活性化されない。しかし、6本の紐を用いて編む場合、動きがより複雑になることから、より脳が活性化される効果が得られる。そのため、痴呆防止の効果があると考えられる。また、8本以上の紐を用いる場合に比べ、6本の方が経済的というメリットもある。
【0014】
本発明における組紐の編み方は実施例に詳細に記載しているが、簡単に言えば、組玉に紐を結びつけ、その反対の端を丸台の中央の穴に垂らす。垂らした6本(の倍数)の紐はまとめて結び、そこに割り箸を通してその割り箸に重りを付ける。重りについては、円盤状の重りを入れた袋などが好ましく用いられるが、これらに限られず、本発明の組紐を編むのに使用できる重りであれば特に制限されない。その後、組玉を移動させることにより、組紐を編んでいく。組玉および組紐の移動は、
図5に記載されたとおりである。この際、必ずしも
図5に記載の位置でなくても角度(マークの位置)を適宜変えてもよい。要は、組紐が編めるように移動させることができる。
割り箸に重りを付ける場合、割り箸の上の6本の紐を束ねてタコ紐を結び、その結んだタコ紐にS字フックの上側を引っ掛け、S字フックの下側に重りを付けるのが好ましい。
本発明のこれらの工程は、従来の方法に比べて簡単で、文字、記号および/または点字などでマークされていることから3歳の子供や盲人でも実施できる。子供の場合、本発明の方法を用いて組紐を編むことで集中力が増す、という効果も見られた。また、従来の4本または8本を用いる方法では両手を使う必要があったが、本発明は、片手でも操作できるという利点を有するため、片手が無いか、使えない人であっても組紐を編めるという利点を有する。
【0015】
本発明の1実施形態では紐を6の倍数の本数使うことが好ましいが、各紐の色は全て同じであっても、異なる色を含んでいてもよく、全て異なる色の紐であってもよい。
【0016】
本発明に用いられる紐としては、市販の紐が用いられるが、材質としては、綿100%、または、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリオレフィン系等からなる合成繊維からなる糸等が好ましく用いられるがこれらに限られない。ゴム芯を入れても良い。また、革紐などの本革製品、合成皮革、人工皮革でも良い。また、絹糸や麻の糸などでも良い。
本発明によれば、日本の伝統工芸が国民に今以上に浸透し、世界に日本の素晴らしい伝統工芸がさらにアピールできる。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
材料
・丸台(組台、
図1)1台
・組玉6個(
図2参照)
・重心の重り(
図4d, e, f)
・丸く結んだタコ糸1つ
・S字フック1個
・割り箸1本
・糸6本(ハマナカ アミアミコットンの赤色の70cmの糸を6本)
【0018】
セッテイング
・糸の先端をコブ結びし、糸を約5ミリ出す。
・糸の先端をわっか結びする(
図3a)。
・その糸を組玉に結ぶ(
図3b, c)。糸を上板の真ん中の穴に通す(
図4b)。
・その重心の糸は揃えてコブ結びし、約1cm出す
・コブ結びの上に割り箸を糸の3本と3本の間に通す。
・その割りばしの上をタコ糸で結ぶ。
・そのタコ糸と重心の重りをS字フックでつなぎ、すべての組玉もたらす(
図4e)。
・丸台の上板に図のように、わかりやすいように、1、2、3、4、5、6、A、Bのシールを張る(
図4a)。
【0019】
糸(組玉)の動かし方
・
図5のIからVIの順に組玉を動かして組紐を編む。この操作を繰り返す。より具体的には、(1)
図5Iのように紐と組玉をセットする。紐の外側の部分は組玉にくくりつけられ、中心の穴に通した紐は先の方で6本まとめて結ばれ、その上に割り箸を通して割り箸の下に重りが付けてある。
(2)2の位置にあった紐を組玉とともにBの位置に移動させる(
図5II)。
(3)3の位置にあった紐を組玉とともにAの位置に移動させる(
図5III)。
(4)5および6の位置にあった紐を組玉とともに2および3の位置に移動させる(
図5IV)。なお、移動は丸台の周囲に沿って移動させるか、上を通って移動させてもよい。
(5)1および4の位置にある紐を5および6の位置に移動させる(
図5V)。
(6)AおよびBの位置にある紐を1および4の位置に移動させる(
図5VI)。
以下、(1)から(6)までを繰り返して組紐を製造する。
・最後に割り箸と組玉から糸をはずして、糸の先端をコブ結びにして、余りの糸は、はさみで切る。完成(
図6)。
【0020】
(実施例2)
以下のようにして製造してもよい。
1.ハマナカコットンノトック(ハマナカ株式会社製)の糸1玉を用意する。
2.糸を50cmの長さで12本、準備する。
3.糸2本を一組として先端でコブ結びする。反対側の端はそのままで何もしない。
4.合計6組の糸を作る。(糸2本で1本とする。)
5.6個の組玉を用意し、1本の糸を1つの組玉に付けていく。
付け方は、糸の先端のコブ結びから下約2cmを組玉にはわせて一周させて、糸の端を コブ結びをした2本の糸の間に通す。
それを6個作る。
・ここからの作業は、前述と同じで、1、2、3、4、5,6の場所に用意した組玉を置き、中央に糸を垂らしてコブ結びをする。割箸をとおし、タコ糸を結ぶ。中央の重り(170g)をS字フックでタコ糸とつなげて、組玉を下に落とすと、中心の重りが上がる。
・その後も、前回と同じ6つ組の方法で編んでいき、組玉が丸台の上の丸面まできたら、終了。
・その後も、前回と同じで糸をハサミで切って両端をコブ結びして終了。
・長さは、15cmになった。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、組紐の製造業、ブライダル産業、幼児教育、観光業、介護産業などに利用できる。