IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エスジー有限会社の特許一覧

<>
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図1
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図2
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図3
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図4
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図5
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図6
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図7
  • 特許-仮設足場及び仮設足場用の階段 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】仮設足場及び仮設足場用の階段
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/10 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
E04G5/10 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2023170976
(22)【出願日】2023-09-29
【審査請求日】2023-09-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523375272
【氏名又は名称】エスジー有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166017
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 和政
(72)【発明者】
【氏名】近藤 行雄
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-36572(JP,A)
【文献】特開平11-159125(JP,A)
【文献】特公平4-58866(JP,B2)
【文献】実公平2-22434(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が歩くことが可能な複数の踏板と、
複数の前記踏板を支持する複数の支持部材と、
地面に対して上方に延び、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場であって、
複数の前記踏板は、長手状の第1の踏板と、前記第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板と、を有し、
前記第2の踏板の側方の領域に、前記第2の踏板よりも低い位置との間の人の昇降を可能とする階段を備える
仮設足場。
【請求項2】
前記階段は、
基部と、
前記基部における所定間隔ごとに設けられ、人が昇降時に歩くための複数のステップ部と、
前記基部における少なくとも一方の端部側に配され、前記支持部材及び前記支柱部の少なくとも一方に係止される被係止部と、
を備える
請求項1に記載の仮設足場。
【請求項3】
前記支持部材は、前記支柱部に固定されるブラケットとされ、
前記ブラケットは、水平方向に沿って延びる水平支持部を備え、
前記階段は、前記水平支持部に係止される一対の前記被係止部を備える
請求項2に記載の仮設足場。
【請求項4】
前記支柱部は、所定の高さの位置に前記被係止部を受ける受け部を有する
請求項2に記載の仮設足場。
【請求項5】
前記受け部には、貫通孔が形成され、
前記被係止部は前記貫通孔に圧入される
請求項4に記載の仮設足場。
【請求項6】
前記被係止部は、前記基部に対して回動可能に連結されている
請求項2に記載の仮設足場。
【請求項7】
前記基部は、基部本体と、前記基部本体に対して長さを変えることが可能な伸縮部と、を有する
請求項4に記載の仮設足場。
【請求項8】
所定段において複数の前記第1の踏板及び1以上の前記第2の踏板が前記長手方向に並ぶとともに、前記所定段に配置される複数の前記支持部材に支持され、
前記所定段において前記長手方向に並ぶ複数の前記踏板は、前記長手方向に並ぶ複数の前記第1の踏板の幅方向一方側に寄って並ぶ構成で前記第2の踏板が配置され、当該第2の踏板よりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の前記第1の踏板が設けられ、
前記所定段よりも低い段において複数の前記第1の踏板及び1以上の前記第2の踏板が前記長手方向に並ぶとともに、前記低い段に配置される複数の前記支持部材に支持され、
前記低い段において前記長手方向に並ぶ複数の前記踏板は、前記長手方向に並ぶ複数の前記第1の踏板の幅方向一方側に寄って並ぶ構成で前記第2の踏板が配置され、当該第2の踏板よりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の前記第1の踏板が設けられ、
前記所定段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域は、前記踏板が配置されない領域であり、
前記低い段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域は、前記踏板が配置されない領域であり、
前記所定段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域と、前記低い段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域とに跨る構成で、前記階段が設けられ、
前記第1の踏板の上面部が一体的な一枚板として構成され、
前記第2の踏板の上面部が一体的な一枚板として構成され、
前記階段におけるステップ部の幅は、前記第1の踏板の幅よりも小さい
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の仮設足場。
【請求項9】
長手状の第1の踏板及び当該第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板を有する複数の踏板と、前記複数の踏板を支持する複数の支持部材と、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場における前記複数の踏板に対して傾斜した方向に昇降可能とされる仮設足場用の階段であって、
前記第2の踏板の側方の領域に配される、仮設足場用の階段。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、仮設足場及び仮設足場用に階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションや一戸建等の建築物の増改築や改修工事(塗装等)が行われる際には、現場作業者が高所作業を行うための仮設足場が建築物の周囲に組み立てられる。仮設足場は、地面上に、金属パイプが縦横に組み合わされて構成され、水平方向に設けられた腕金が同じ高さや異なる高さに多数設けられており、多数の腕金の上に、多数の踏板が並んで載せられる。
【0003】
各踏板は、長方形状であって、長手方向の端部が腕金の上に支持されることにより、踏板の位置が固定され、踏板の上を人が歩行できるようになっている。多数の踏板は、長手方向に並んで配置されるとともに、短手方向に複数並んで配置されている。また、現場作業者が異なる高さの踏板間を移動できるように、階段が設置される。階段が設置される位置の上方側は、昇降する人が通るために踏板が取り付けられていない空間が形成されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-36572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、建築物の敷地などの条件によっては、仮設足場を設置する建築物と隣の建築物との間隔が狭くなり、仮設足場を設置するための十分なスペースが確保できない場合がある。このような場合、踏板の短手方向について、複数列の踏板を一列に減らすことにより、狭い敷地に仮設足場を設置できるようにすることが考えられる。しかしながら、踏板を一列にすると、これまで隣の列の踏板に設けていた階段のスペースがなくなって隣の列に階段を設置できないため、異なる高さの踏板間を移動することが容易ではないという問題がある。そのため、異なる高さの踏板に移動するために、垂直方向に延びる梯子を設けたり、補強のために金属パイプ間に斜めに設けられる筋交いを作業者が掴んで上方の踏板によじ登ったりする必要があり、異なる高さの踏板への移動が容易ではないという問題があった。
【0006】
本開示の目的の一つは、幅方向のサイズを抑えやすい仮設足場において、利用者が、異なる高さの踏板への移動を行いやすい技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一つである仮設足場は、人が歩くことが可能な複数の踏板と、複数の前記踏板を支持する複数の支持部材と、地面に対して上方に延び、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場であって、複数の前記踏板は、長手状の第1の踏板と、前記第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板と、を有し、前記第2の踏板の側方の領域に、前記第2の踏板よりも低い位置との間の人の昇降を可能とする階段を備える。
【0008】
本開示の一つである仮設足場用の階段は、長手状の第1の踏板及び当該第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板を有する複数の踏板と、前記複数の踏板を支持する複数の支持部材と、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場における前記複数の踏板に対して傾斜した方向に昇降可能とされる仮設足場用の階段であって、前記第2の踏板の側方の領域に配される。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る技術によれば、幅方向のサイズを抑えやすい仮設足場において、利用者が、異なる高さの踏板への移動を行いやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態1の仮設足場を示す斜視図
図2】第2層及び第3層について、第2の踏板及び階段を含み、他の部分を省略して示す平面図
図3】第1層について、第2の踏板及び階段を含み、他の部分を省略して示す平面図
図4】第1層と第2層との間、及び、第2層と第3層との間のフック付きの階段を示す側面図
図5】地面と第1層との間の可動式のくさびを有する階段を示す側面図
図6】地面と第1層との間の可動式のくさびを有する階段を示す平面図
図7】実施形態2の第2の踏板及び階段を含み、他の部分を省略して示す平面図
図8】受け部への固定のためのくさびを有する階段を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一つである仮設足場は、人が歩くことが可能な複数の踏板と、複数の前記踏板を支持する複数の支持部材と、地面に対して上方に延び、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場であって、複数の前記踏板は、長手状の第1の踏板と、前記第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板と、を有し、前記第2の踏板の側方の領域に、前記第2の踏板よりも低い位置との間の人の昇降を可能とする階段を備える。
この仮設足場は、第1の踏板とこれよりも幅方向の寸法が小さい第2の踏板とを幅方向に並べて配置することができるため、長手方向に並ぶ踏板によって歩く領域を確保しつつ、歩く領域の一部(第2の踏板)の幅方向の寸法を小さくすることにより第2の踏板の側方のスペースを広げることができる。その上で、広げられた側方のスペースを利用して階段を配置し、人の昇降を可能とすることができる。この仮設足場は、仮設足場を設置するためのスペース(特に幅方向のスペース)が十分ではない場合であっても、第2の踏板の幅の抑制によって広がった側方のスペースを利用して階段を設置することができるため、仮設足場の幅方向のサイズを抑えやすく、利用者が、異なる高さの踏板への移動を行いやすい。
【0012】
上記の仮設足場において、前記階段は、基部と、前記基部における所定間隔ごとに設けられ、人が昇降時に歩くための複数のステップ部と、前記基部における少なくとも一方の端部側に配され、前記支持部材及び前記支柱部の少なくとも一方に係止される被係止部と、を備えていてもよい。このようにすれば、簡素な構成で人が昇降するための階段を形成することができる。
【0013】
上記の仮設足場において、前記支持部材は、前記支柱部に固定されるブラケットとされていてもよく、前記ブラケットは、水平方向に沿って延びる水平支持部を備えていてもよい。そして、前記階段は、前記水平支持部に係止される一対の前記被係止部を備えていてもよい。このようにすれば、一対の被係止部がブラケットに係止されることにより、階段を安定した姿勢で保持することできる。
【0014】
上記の仮設足場において、前記支柱部は、所定の高さの位置に前記被係止部を受ける受け部を有していてもよい。このようにすれば、被係止部が支柱部の受け部に受けられることにより、支持部材については階段を係止する構成を削減又は省略することができる。例えば、支持部材のうち、より多くの部分を第2の踏板を載せるために用いるといった対応などが可能になる。
【0015】
上記の仮設足場において、前記受け部には、貫通孔が形成されていてもよく、前記被係止部は貫通孔に圧入されてもよい。このようにすれば、階段を支柱部に対して簡素な作業で、強固に固定することができる。
【0016】
上記の仮設足場において、前記被係止部は、前記基部の端部に対して回動可能に連結されていてもよい。このようにすれば、基部に対して被係止部の位置を容易に移動させることができるため、階段を設置する位置の自由度を向上させることができる。
【0017】
上記の仮設足場において、前記基部は、基部本体と、前記基部本体に対して長さを変えることが可能な伸縮部とを有していてもよい。このようにすれば、基部の伸縮部により階段の長さを変えることができるため、階段の被係止部を係止させる受け部の位置を変更する場合でも、異なる位置の受け部に被係止部を係止させて階段を設置することができる。
【0018】
上記の仮設足場において、所定段において複数の前記第1の踏板及び1以上の前記第2の踏板が、前記長手方向に並ぶとともに、前記所定段に配置される複数の前記支持部材に支持されていてもよい。更に、前記所定段において前記長手方向に並ぶ複数の前記踏板は、前記長手方向に並ぶ複数の前記第1の踏板の幅方向一方側に寄って並ぶ構成で前記第2の踏板が配置されていてもよく、当該第2の踏板よりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の前記第1の踏板が設けられていてもよい。更に、前記所定段よりも低い段において複数の前記第1の踏板及び1以上の前記第2の踏板が前記長手方向に並ぶとともに、前記低い段に配置される複数の前記支持部材に支持されていてもよい。そして、前記低い段において前記長手方向に並ぶ複数の前記踏板は、前記長手方向に並ぶ複数の前記第1の踏板の幅方向一方側に寄って並ぶ構成で前記第2の踏板が配置され、当該第2の踏板よりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の前記第1の踏板が設けられていてもよい。そして、前記所定段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域は、前記踏板が配置されない領域であってもよく、前記低い段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域は、前記踏板が配置されない領域であってもよい。更に、前記所定段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域と、前記低い段における前記第2の踏板の幅方向他方側の側方領域とに跨る構成で、前記階段が設けられていてもよい。そして、前記第1の踏板の上面部が一体的に構成され、前記第2の踏板の上面部が一体的に構成されていてもよい。そして、前記階段におけるステップ部の幅は、前記第1の踏板の幅よりも小さくてもよい。
このようにすれば、仮設足場において、所定段と所定段よりも低い段のそれぞれにおいて、人が歩くことが可能な踏板エリア(複数の踏板が長手方向に並ぶエリア)を長手方向に確保することができ、それらの踏板エリアの幅サイズは、上面部が一体的に構成されてなる第1の踏板の幅サイズよりも大きく逸脱しないサイズに抑えることができる。更に、各々の段の踏板エリアの一部において幅の狭い領域(第2の踏板)が設けられるため、幅が抑えられた踏板エリアの一部の領域において、更に幅を抑えつつ踏板を確保することができる。そして、その第2の踏板が第1の踏板の幅方向一方側に寄って並ぶ構成で配置され、当該第2の踏板よりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の第1の踏板が設けられ、各々の第2の踏板における幅方向他方側の側方領域は、踏板が配置されない領域とされるため、第2の踏板の幅方向他方側の側方領域には、より広いスペースが確保される。このようなスペースに階段が設けられ、この階段は、所定段における第2の踏板の幅方向他方側の側方領域と、低い段における第2の踏板の幅方向他方側の側方領域とに跨る構成で配置され、ステップ部の幅が第1の踏板の幅よりも抑えられているため、幅方向に嵩張らない構成で、異なる高さの踏板への移動を行いやすくすることができる。特に、上記側方領域では、第2の踏板の幅方向他方側の端部が奥まって構成されるため、利用者が第1の踏板の幅方向他方側の端部よりも幅方向一方側に入り込むことが可能であるため、利用者が階段を利用して「幅方向のサイズが抑えられた踏板エリア」を上下に跨ぐ際に、スペース的な余裕をより一層確保した形で移動することができる。
【0019】
上記の仮設足場において、前記第2の踏板の幅寸法は、前記第1の踏板の幅寸法の2分の1以上の寸法とされていてもよい。このようにすれば、第2の踏板について、人が歩くのに支障がない程度の寸法を確保しつつ、第2の踏板の側方に階段を設置するスペースを確保することができる。
【0020】
本開示の一つである仮設足場用の階段は、長手状の第1の踏板及び当該第1の踏板の長手方向に並んで配置され、前記第1の踏板よりも幅方向の寸法が小さい長手状の第2の踏板を有する複数の踏板と、前記複数の踏板を支持する複数の支持部材と、各前記支持部材が固定される複数の支柱部と、を備える仮設足場における前記複数の踏板に対して傾斜した方向に昇降可能とされる仮設足場用の階段であり、前記第2の踏板の側方の領域に配されるものである。この仮設足場用の階段によれば、幅方向のサイズを抑えやすい仮設足場において、利用者が、異なる高さの踏板への移動を行いやすい。
【0021】
<実施形態1>
実施形態1を図1図6を参照しつつ説明する。以下では、同一の構成は同一の符号を付して説明を省略する。仮設足場10は、例えば建築物Bの全周を包囲するように設けられるが、図1では、建築物Bの一つの側面側の仮設足場10を図示し、建築物Bの他の側面側の仮設足場は省略する。仮設足場10は、本実施形態では、敷地が狭い建築物Bの周囲に組み立てて設置される一側足場とされる。なお、一側足場は、長方形状の踏板40の幅方向(短手方向)における一方の側のみに支柱部20が設けられており、踏板40の長手方向に沿って一列に並んだ複数の支柱部20が一列に並んだ複数の踏板40を支持するものとされる。
【0022】
仮設足場10は、図1に示すように、等間隔で一列に並んだ複数の支柱部20と、各支柱部20に固定される複数のブラケット30(「支持部材」の一例)と、隣り合うブラケット30の間に架け渡される複数の踏板40と、人が異なる高さの踏板40に昇降するための複数の階段50,60とを備える。
【0023】
支柱部20は、支柱本体21と、地面の上に敷設される正方形状のベース板22Aと、支柱本体21とベース板22Aの間に配されるジャッキ22Bとを備える。ジャッキ22Bは、ベース板22A上に載せられる平板と当該平板に対して垂直に起立する軸部を有し、当該軸部には人が回転操作可能な回転操作部が設けられている。ジャッキ22Bの軸部の上端部が支柱本体21の下端部に連結された状態となると、回転操作部の回転操作により支柱部20の高さが調整される。各々の支柱部20は、地面に対して上方に延びるように軸状に設けられ、各支柱部20には、各ブラケット30が固定される構成をなす。支柱部20は、地面上に載置された構成で地面に支持されて配置され、地面から上方に向かって棒状或いは柱状に延びている。支柱部20は、地面から鉛直方向に延びていてもよく、鉛直方向に対して若干傾斜して延びていてもよい。支柱部20は、後述されるブラケット30(支持部材)が固定される構成をなす。
【0024】
支柱本体21は、例えば、軸状且つ円筒状に構成され、中空の棒状形態をなす。支柱本体21は、当該支柱本体21の軸方向(上下方向)に等間隔を空けて受け部群23が設けられている。本実施形態では、支柱本体21には軸方向について45cm間隔で受け部群23が設けられている。なお、受け部群23間の間隔はこれに限られず、異なる間隔とすることができる。受け部群23は、支柱本体21に固定された構成であってもよく、支柱本体21と一体的に設けられた構成であってもよい。本明細書では、鉛直上下方向を上下方向としており、図1等に示される代表例では、支柱部20が延びる方向が上下方向とされている。そして、上下方向と直交する方向のうち、複数の支柱部20が並ぶ方向が左右方向である。図1の例では、踏板40の長手方向が左右方向とされている。そして、上記上下方向及び上記左右方向と直交する方向が前後方向である。図1の例では、ブラケット30や水平支持部31が延びる方向が前後方向とされている。前後方向は、踏板40の幅方向とされている。
【0025】
各受け部群23は、周方向に間隔を空けて設けられた4つの受け部23A~23D(図6参照)を備える。各受け部23A~23Dは、支柱本体21の径方向に張り出して設けられ、互いに反対側に設けられた一対の受け部23A,23Cと、受け部23A,23Cに対して軸方向の位置をずらし、かつ、周方向に90度ずらした位置に設けられた一対の受け部23B,23Dとを備える。各受け部23A~23Dは、軸方向(上下方向)に貫通する長方形状の貫通孔24を有する。なお、貫通孔24の形状はこれに限られず、例えば、円形状や多角形状としてもよい。本実施形態の受け部23A~23Dは、くさび状の金属片を打ち込むことが可能な緊結部(ポケット部)が用いられている。隣り合う支柱部20における同じ高さの受け部23Aには、図1に示すように、上下方向の所定間隔ごとに手摺り15が設けられる。手摺り15は踏板40の上下に間隔を空けて設けられており、手摺り15の左右両端部には、受け部23Aに圧入されるくさび部が下方に突出して設けられている。
【0026】
支柱本体21は、複数の分割支柱を軸方向に連結して構成される。分割支柱は、軸方向の一方の端部の径が他方の端部よりもわずかに小さくされており、上下の分割支柱が篏合して連結されるように構成されている。分割支柱の両端部にはピン孔が形成されており、連結状態でピン孔にピンを挿入することにより、分割支柱間の連結状態を維持する。本実施形態では、2.7mと3.6mの分割支柱が連結されており、隣り合う支柱部20で上下の分割支柱の長短を入れ替えて構成されている。なお、分割支柱の長さや配置はこれに限られず、任意の長さや配置で構成することができる。
【0027】
各々のブラケット30は、支柱部20に固定され、支柱部20に固定された位置から水平方向に沿って延びる形態をなす。ブラケット30は、図1に示すように、水平方向の軸を有する棒状の水平支持部31と、水平方向に対して傾斜した方向に延びる傾斜部33と、を備え、水平支持部31の基端側と傾斜部33の基端側との間は縦方向連結部34で連結されている。
【0028】
水平支持部31の基端部(支柱部20側の端部)には、下方に突出するくさび部32(図2図3参照)が形成されている。くさび部32が受け部23Cの貫通孔24に挿通(圧入)されることにより、支柱部20に対してブラケット30が位置決めされる。このとき、傾斜部33の基端部は支柱部20の側面に当接した状態となり、水平支持部31が水平状態で保持されるように固定される。なお、水平支持部31の先端部も、下方にくさび状に突出しており、例えば二側足場とする際の支柱部への固定に用いることができる。なお、図1図3等に開示される例は、支柱部20に対して水平方向に沿って延びるように水平支持部31が固定される一例であるが、水平支持部31が固定され得る構成であれば、これ以外の構成を採用してもよい。隣り合う支柱部20の受け部23Cに固定された隣り合うブラケット30の上に、踏板40が架け渡される。
【0029】
各踏板40は、人が歩くことが可能とされ、人が載って歩くための床材として構成された板状の部材である。踏板40は、当該踏板40の上に人が載っているときに載っている人を下から支えるように支持する。各踏板40は、鉄、スチール、アルミニウム等の金属製であって、図2に示すように、板状の踏板本体41と、踏板本体41の両端部に設けられ、ブラケット30に係止されて踏板本体41の位置を保持する係止保持部42とを備える。踏板本体41は、フレーム部と当該フレーム部の内側の空間に設けられたメッシュ状の金属からなる網状部とを備える。踏板本体41は、長手状に構成されており、平面視した形状(設置状態のときに上方から見た形状)が長方形状とされている。踏板本体41を平面視した形状(長方形状)における長手方向が踏板40の長手方向であり、踏板本体41を平面視した形状(長方形状)における短手方向が踏板40の短手方向である。踏板本体41における板状に構成された矩形状の上面部(人が載る部分である板部)は厚さ方向が上下方向とされており、踏板40の長手方向は、上記厚さ方向と直交する方向であり、上記上面部(板部)の長辺方向である。踏板40の短手方向は上記長手方向及び上記厚さ方向と直交する方向であり、上記上面部(板部)の短手方向である。
【0030】
一対の係止保持部42は、踏板本体41の長手方向の両端部にそれぞれ設けられており、踏板本体41の各端部において、踏板本体41の短手方向に間隔を空けて設けられている。係止保持部42は、鉤状のフックとされ、フックの開口から水平支持部31の進入が許容され、開口幅を変えるスライド部によりフック内に進入した水平支持部31は離脱が規制される。係止保持部42は、踏板本体41から離れる側に向かって踏板本体41の長手方向に延び、水平支持部31上に載置される構成で配置される。踏板本体41の両側の係止保持部42がそれぞれ水平支持部31に係止された状態では、踏板本体41が長手方向及び幅方向に移動しないように規制される。
【0031】
複数の踏板40は、第1の踏板40Aと、第1の踏板40Aよりも幅方向の寸法が小さい第2の踏板40Bとを備える。第2の踏板40Bは、第1の踏板40Aに対して長手方向の異なる位置に並んで配置されている。第2の踏板40Bの短手方向の位置は、第2の踏板40Bの建築物B側の側面(側縁)が、第1の踏板40Aの建築物B側の側面(側縁)に沿うように、第2の踏板40Bが隣り合うブラケット30間に架け渡されている。各々の段において、第2の踏板40Bは、第1の踏板40Aの幅方向一方側に寄って配置されている。そして、各々の段において、複数の第1の踏板40Aの幅方向一方側の側縁と第2の踏板40Bの幅方向一方側の側縁とが所定方向に沿って並ぶように配置されている。各々の段において、複数の第1の踏板40Aの幅方向他方側の各側縁の幅方向の位置よりも、第2の踏板40Bの幅方向他方側の側縁の幅方向の位置のほうが幅方向一方側となるように凹んだ形状となっている。
【0032】
本実施形態の仮設足場10は、複数の踏板40が所定方向に並んでなる段が、上下方向に間隔をあけて複数段設けられている。図1の例では、踏板40が並んで構成される各段(各層)10A~10Cにおいて、複数(本実施形態では3つ)の第1の踏板40Aと1つの第2の踏板40Bとが設けられている。図1の仮設足場10の例では、一つ段(層)を上がると、第2の踏板40Bの位置が右隣の第1の踏板40Aがあった位置にずれている。第1の踏板40Aは、第1の幅の部分が長手方向に第1の所定範囲続くように構成される。図2の例では、第1の踏板40Aにおいて最大幅となる部分の幅が第1の幅である。第2の踏板40Bは、第1の幅よりも小さい第2の幅の部分が長手方向に第2の所定範囲続くように構成される。図2の例では、第2の踏板40Bにおいて最大幅となる部分の幅が第2の幅である。本実施形態では、第1の踏板40A及び第2の踏板40Bの長さは、180cmであり、第1の踏板40Aの幅寸法(上記第1の幅の大きさ)は、40cm、第2の踏板40Bの幅寸法(上記第2の幅の大きさ)は、25cmとされている。即ち、第2の踏板40Bの幅寸法は、第1の踏板40Aの幅寸法の2分の1以上、5分の4以下とされている。これにより、第2の踏板40Bの手前側(階段側)の側面(側縁)は、第1の踏板40Aの側面(側縁)に対して凹んだ形状とされている。なお、第1の踏板40A及び第2の踏板40Bの各寸法や長さは、これに限られず、適宜任意の数値に変更することができる。
【0033】
図1に示すように、第2の踏板40Bの側方の領域に、当該第2の踏板40Bと下方側との間における人の昇降を可能とする階段50,60が各段(各層)に設けられている。具体的には、階段50は第一段(第一層)10Aと第二段(第二層)10Bとの間、及び、第二段(第二層)10Bと第三段(第三層)10Cとの間に設けられ、階段60は、地面と第一段(第一層)10Aとの間に設けられている。
【0034】
階段50,60は、共に、鉄、アルミニウム等の金属製であって、図2図3に示すように、2つの階段50は、基部51とステップ部52と被係止部53とを備え、1つの階段60は、基部61とステップ部52と被係止部65とを備える。
【0035】
基部51は、自身の一方側の端部付近の部分がいずれかの段に設けられる水平支持部31に支持され、自身の他方側の端部付近の部分が他の段に設けられる水平支持部31に支持されるように2つの水平支持部31に跨って配置され、上下方向に対して傾斜して延びるように配置される長手状(軸状、棒状等)の部分である。基部51において前後方向(幅方向)が最大幅の部分は、第2の踏板40Bにおいて前後方向(幅方向)が最大幅の部分よりも幅が小さい。図2の例では、基部51は、一定の断面形状の棒状部51AとU字状に分かれた分岐部51Bとを備え、断面形状は、例えば、円形、長円形、長方形状等の任意の形状とすることができる。本実施形態の棒状部51Aは、直線状とされているが、これに限られず、曲がっていてもよい。例えば、全長に亘って湾曲した形状の基部としてもよい。
【0036】
分岐部51Bの先端部には一対の被係止部53が設けられている。ステップ部52は、長方形状で所定の厚みの板状であって、上面には足を踏んだ際の滑り止めの凹凸が形成されている。ステップ部52において幅方向(前後方向)の大きさが最大となる部分の幅は、第2の踏板40Bの幅方向(前後方向)の幅(上記の第2の幅)よりも小さい。
【0037】
各被係止部53は、図4に示すように、ブラケット30の水平支持部31に対して固定可能な環状のフックとされる。各フックは鉤状であって、開口から水平支持部31の進入が許容され、開口幅を変えるスライド部によりフック内に進入した水平支持部31は離脱が規制される。一対の被係止部53間の間隔は、第1の踏板40Aの幅寸法と第2の踏板40Bの幅寸法との間の差に応じた寸法とされており、ステップ部52の幅寸法とほぼ同じか、ステップ部52の幅寸法よりもわずかに小さい寸法とすることができる。図2の例では、一対の係止保持部42の間の間隔よりも、一対の被係止部53の間の間隔のほうが小さい。一対の係止保持部42における最大幅の部分の幅よりも、一対の被係止部53における最大幅の部分の幅のほうが小さい。一対の被係止部53の最大幅の部分の幅は、第2の踏板40Bの幅方向(前後方向)の幅(上記の第2の幅)よりも小さい。
【0038】
基部61は、図5図6に示すように、筒状の基部本体62と、基部本体62と同軸に連結されて伸縮可能な伸縮部63と、基部61の軸方向における両端部側に設けられ、回動可能な回動部64とを備える。基部本体62の断面の外形は、例えば、円形、長円形、長方形状等の任意の形状とすることができる。伸縮部63は、基部本体62の外径よりも細径とされ、基部本体62の内側に挿通されることで、基部61の全体の長さを伸縮できるようになっている。回動部64は、基部61の軸方向における両端部側において、基部本体62と伸縮部63とのそれぞれの端部に対してピンPにより回動可能に連結されている。
【0039】
ステップ部52は、人が足を載せることが可能な長方形の平板状であって、基部61の軸方向において等間隔で配され、溶接等の固定手段により、基部本体62に固定されている。ステップ部52の上面には滑り止めの凹凸が形成されている。階段50,60が仮設足場10における所定の位置に固定された状態となると、ステップ部52の上面は水平となるように構成されている。
【0040】
回動部64の先端部には、被係止部65が設けられている。被係止部65は、基部本体62に対してL字状に曲がった形状であって、受け部23A~23Dに挿入(圧入)可能なくさび状の突部66を備える。
【0041】
ここで、第二段10Bを所定段として着目する。この場合、所定段(第二段10B)において複数の第1の踏板40A及び1以上(図1の例では1つ)の第2の踏板40Bが長手方向に並ぶとともに、所定段(第二段10B)に配置される複数のブラケット30(支持部材)に支持されている。所定段(第二段10B)において長手方向に並ぶ複数の踏板40は、長手方向に並ぶ複数の第1の踏板40Aの幅方向一方側(図1では建物側)に寄って並ぶ構成で第2の踏板40Bが配置され、当該第2の踏板40Bよりも幅方向他方側(図1では建物とは反対側)に張り出した構成で複数の第1の踏板40Aが設けられる。所定段(第二段10B)よりも低い段(第一段10A)においても複数の第1の踏板40A及び1以上(図1の例では1つ)の第2の踏板40Bが長手方向に並ぶとともに、上記低い段(第一段10A)に配置される複数のブラケット30(支持部材)に支持されている。上記低い段(第一段10A)において長手方向に並ぶ複数の踏板40は、長手方向に並ぶ複数の第1の踏板40Aの幅方向一方側に寄って並ぶ構成で第2の踏板40Bが配置され、当該第2の踏板40Bよりも幅方向他方側に張り出した構成で複数の第1の踏板40Aが設けられる。
【0042】
所定段(第二段10B)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の側方領域(図1の例では第2の踏板40Bに対し、建物側とは反対側の領域)である第1側方領域は、踏板40が配置されない領域である。所定段(第二段10B)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の端部(当該第2の踏板40Bにおいて長手方向に延びる縁部)と第2の踏板40Bの長手方向一方側に隣接する第1の踏板40Aの長手方向他方側の端部(当該第1の踏板40Aにおいて幅方向に延びる縁部)と第2の踏板40Bの長手方向他方側に隣接する第1の踏板40Aの長手方向一方側の端部(当該第1の踏板40Aにおいて幅方向に延びる縁部)とによって幅方向一方側に向かって凹むような凹状部が構成され、当該凹状部の内側の領域の大半が、物体が存在しない空間とされ、人が通ることが可能な空間とされている。当該空間(第1側方領域の空間)を通るように階段50が配置されている。
【0043】
上記低い段(第一段10A)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の側方領域(図1の例では第2の踏板40Bに対し、建物側とは反対側の領域)である第2側方領域は、踏板40が配置されない領域である。上記低い段(第一段10A)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の端部(当該第2の踏板40Bにおいて長手方向に延びる縁部)と第2の踏板40Bの長手方向一方側に隣接する第1の踏板40Aの長手方向他方側の端部(当該第1の踏板40Aにおいて幅方向に延びる縁部)と第2の踏板40Bの長手方向他方側に隣接する第1の踏板40Aの長手方向一方側の端部(当該第1の踏板40Aにおいて幅方向に延びる縁部)とによって幅方向一方側に向かって凹むような凹状部が構成され、当該凹状部の内側の領域の大半が、物体が存在しない空間とされ、人が通ることが可能な空間とされている。当該空間(第2側方領域の空間)を通るように階段50が配置されている。
【0044】
所定段(第二段10B)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の側方領域(上記第1側方領域)と、上記低い段(第一段10A)における第2の踏板40Bの幅方向他方側の側方領域(上記第2側方領域)とに跨る構成で、階段50が設けられる。第1の踏板40Aの上面部は、当該上面部の全体が一体的な一枚板として構成される。第2の踏板40Bの上面部は、当該上面部の全体が一体的な一枚板として構成される。第1の踏板40Aの上面部は、孔を有さない板状体であってもよく、孔を有する板状態であってもよく、網状の板状体であってもよく、その他の板状構造であってもよい。第2の踏板40Bの上面部は、孔を有さない板状体であってもよく、孔を有する板状態であってもよく、網状の板状体であってもよく、その他の板状構造であってもよい。階段50におけるステップ部52の幅は、第1の踏板40Aの幅よりも小さい。具体的には、階段50における各ステップ部52の最大幅(各ステップ部52において最大幅となる部分の幅)は、第2の踏板40Bの最大幅(上記第2の幅)よりも小さい。図1の例では、横方向に並ぶ複数の支柱部20よりも上記幅方向一方側(建物側)に階段50が設けられ、幅方向において第2の踏板40Bと支柱部20との間に階段50が設けられる。
【0045】
次に、仮設足場10の組付けについて説明する。
図1に示すように、複数の支柱部20の一列に並べつつ、第一段(第一層)10Aの踏板40に対応する受け部23Cにくさび部32を圧入して複数のブラケット30を支柱部20に対して固定する。次に、第一段(第一層)10Aの複数の第1の踏板40Aと一つの第2の踏板40Bを所定の位置のブラケット30間に架け渡す。そして、第2の踏板40Bの側方の凹んだスペースを利用して、階段60における上方側の被係止部65の突部66を、ブラケット30の近傍の対応する受け部23Bにハンマ等で上方から叩いて圧入するとともに、階段60における下方側の被係止部65の突部66を、隣の支柱部20における下方側の対応する受け部23Dにハンマ等で上方から叩いて圧入して階段60を斜めに架け渡す(図5図6参照)。
【0046】
次に、図1に示すように、第二段(第二層)10Bの踏板40に対応する受け部23Cにブラケット30のくさび部32を圧入して複数のブラケット30を支柱部20に対して固定し、第二段(第二層)10Bの第1の踏板40Aと第2の踏板40Bを所定の位置のブラケット30間に架け渡す。そして、第2の踏板40Bの側方の凹んだスペースを利用して、階段50における上方側の被係止部53をブラケット30に係止させ、階段50における下方側の被係止部53を、隣の支柱部20における下方側のブラケット30に係止させ、階段50を斜めに架け渡す(図2図4参照)。
【0047】
次に、第三層10Cの踏板40に対応する受け部23A~23Dにブラケット30のくさび部32を圧入して複数のブラケット30を支柱部20に対して固定し、第三層10Cの第1の踏板40Aと第2の踏板40Bを所定の位置のブラケット30間に架け渡す。そして、第2の踏板40Bの側方の凹んだスペースを利用して、階段50における上方側の被係止部53を、ブラケット30に係止させ、階段50における下方側の被係止部53を、隣の支柱部20における下方側のブラケット30に係止させ、階段50を斜めに架け渡す。
これにより、仮設足場10が組み立てられた状態となる。
【0048】
上記実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
上記実施形態によれば、第1の踏板40Aよりも幅方向の寸法が小さい第2の踏板40Bの側方の領域に、第2の踏板40Bよりも低い位置との間の人の昇降を可能とする階段50,60が備えられる。これにより、階段50,60付きの仮設足場10を設置するためのスペースが十分ではない場合であっても、第2の踏板40Bの側方のスペースを利用して階段50,60を設置することができるため、異なる高さの踏板40への移動を容易に行うことが可能になる。
【0049】
また、階段50,60は、基部51と、基部51における所定間隔ごとに設けられ、人が昇降時に歩くためのステップ部52と、基部51における少なくとも一方の端部側に配され、支持部材及び支柱部20の少なくとも一方に係止される被係止部53,65と、を備える。
このようにすれば、簡素な構成で人が昇降するための階段50,60を形成することができる。
【0050】
また、支持部材は、支柱部20に固定されるブラケット30とされ、ブラケット30は、水平方向の軸を有する棒状の水平支持部31を備え、階段50は、水平支持部31に係止される一対の被係止部53,53を備える。
ブラケット30が用いられた一側足場であっても、一対の被係止部53,53がブラケット30に係止されることにより、階段50を安定した姿勢で保持することできる。
【0051】
支柱部20は、所定の高さの位置に受け部23A~23Dを有し、被係止部65は、受け部23A~23Dに挿入されることにより、支柱部20に係止される。
このようにすれば、例えばブラケット30の全幅を第2の踏板40Bの保持のために用いることができるため、第2の踏板40Bの幅方向の寸法を大きくすることが可能になる。
【0052】
また、被係止部65は、基部61の端部に対して回動可能に連結されている。
このようにすれば、基部61に対して被係止部65の位置を容易に移動させることができるため、階段60を設置する位置の自由度を向上させることができる。
【0053】
また、基部61は、基部本体62と、基部本体62に対して長さを変えることが可能な伸縮部63とを有する。
このようにすれば、基部61の伸縮部63により階段60の長さを変えることができるため、階段60の被係止部65を係止させる受け部23A~23Dの位置を変更する場合でも、異なる位置の受け部23A~23Dに被係止部65を係止させて階段60を設置することができる。
【0054】
また、第2の踏板40Bの幅寸法は、第1の踏板40Aの幅寸法の2分の1以上の寸法とされている。
このようにすれば、第2の踏板40Bについて、人が歩くのに支障がない程度の寸法を確保しつつ、第2の踏板40Bの側方に階段50,60を設置するスペースを確保することができる。
【0055】
<実施形態2>
次に実施形態2について、図7図8を参照しつつ説明する。
実施形態2は、階段50,60に代えて階段70を用いたものである。他の構成は、実施形態1と同様であるため、同一の構成は同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
階段70は、図7図8に示すように、基部71とステップ部52と被係止部75とを備える。
基部71は、直線状に延びる棒状の基部本体72と、基部本体72と同軸に連結されて伸縮可能な伸縮部73とを備える。基部本体72の断面の外形は、例えば、円形、長円形、長方形状等の任意の形状とすることができる。伸縮部73は、基部本体72の外径よりも細径とされ、基部本体72の内側に挿通可能とされることで、基部71の全体の長さを伸縮できるようになっている。なお、基部71は、直線状とされているが、これに限られず、曲がっていてもよい。例えば、全長に亘って湾曲した形状の基部としてもよい。
【0057】
被係止部75は、共に先細形状で突出する位置合わせ凸部76と突部77とを有する。位置合わせ凸部76は、受け部23B,23Dの外面に当接する。突部77は、位置合わせ凸部76が受け部23B,23Dの外面に当接した状態で、上方からハンマ等で叩くことにより、受け部23B,23Dに圧入される。
なお、階段70の側方側は、干渉防止のために手摺り15が設けられないようにしてもよい。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書に記載された技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書に記載された技術の技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記実施形態では仮設足場は、一側足場としたが、これに限られない。例えば、二列に並んだ支柱部20を備え、一対の支柱部20の間を水平な横架部材(梁)としての支持部材で接続し、隣り合う横架部材の上に踏板40を架け渡して構成される二側足場としてもよい。また、くさび緊結式足場に限られず、枠組足場、単管足場、張出し足場等を用いてもよい。また、複数の支柱部20と斜めに交差して架設された筋交いや、建築物Bに当接または連結された壁つなぎ等を設けてもよい。
【0060】
(2)支柱部20の数や踏板40の層数は、上記実施形態の数や段数に限られず、建築物の大きさや敷地の形状等に応じて適宜変更することができる。また、階段の数も適宜変更することができる。例えば、踏板40を一層にしてもよい。
【0061】
(3)一層の踏板40について階段は一つとしたが、これに限られず、一層の踏板40について複数の階段を設けてもよい。
(4)階段の種類は、一つの仮設足場について全て同じ種類の階段を用いてもよい。また、一つの仮設足場について複数種類の階段を任意の組み合わせで用いてもよい。
【0062】
(5)受け部23A~23Dは、支柱部20に一体的に固定されていたが、これに限られない。例えば、支柱部とは別体の受け部が設けられたアダプタが支柱部に取付けられていてもよい。
(6)受け部23A~23Dには、貫通孔24が形成されていたが、これに限られない。例えば、貫通孔24に代えて上面側が窪んだ凹部が形成されていてもよく、この凹部が(圧入に限らず)突部を受けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10: 仮設足場
20: 支柱部
23: 受け部群
23A~23D: 受け部
24: 貫通孔
30: ブラケット(支持部材)
31: 水平支持部
32: くさび部
40: 踏板
40A: 第1の踏板
40B: 第2の踏板
41: 踏板本体
42: 係止保持部
50,60,70: 階段
51,61,71: 基部
51A: 棒状部
51B: 分岐部
52: ステップ部
53,65,75: 被係止部
62,72: 基部本体
63,73: 伸縮部
64: 回動部
66,77: 突部
75: 被係止部
76: 位置合わせ凸部
B: 建築物
【要約】
【課題】仮設足場における異なる高さの踏板への移動を容易に行うことが可能になる。
【解決手段】仮設足場10は、人が歩くことが可能な複数の踏板40と、複数の踏板40を支持する複数のブラケット30と、地面に対して垂直な方向の軸を有し、各支持部材が固定される複数の支柱部20と、を備え、複数の踏板40は、長方形状の第1の踏板40Aと、第1の踏板40Aの長手方向に並んで配置され、第1の踏板40Aよりも幅方向の寸法が小さい長方形状の第2の踏板40Bと、を有し、第2の踏板40Bの側方の領域に、第2の踏板40Bよりも低い位置との間の人の昇降を可能とする階段50,60を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8