(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/08 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
F24C15/08 G
(21)【出願番号】P 2019102731
(22)【出願日】2019-05-31
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】小澤 耕平
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-090882(JP,A)
【文献】特開2003-174267(JP,A)
【文献】実開平03-002989(JP,U)
【文献】特開2002-262442(JP,A)
【文献】特開2001-215017(JP,A)
【文献】特開2015-031327(JP,A)
【文献】実開昭52-023666(JP,U)
【文献】実公昭37-023791(JP,Y1)
【文献】特開2002-089854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0033390(US,A1)
【文献】特開平04-086421(JP,A)
【文献】特開2005-308341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00-15/36
H05B 6/12
H05K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナの燃焼を制御する制御回路を備える制御基板と、
上部が開口し、前記制御基板が内部に設けられる筐体と、
前記筐体の前記上部に設けられ、前記開口を閉塞する天板と、
前記天板の下面側に設けられ、前記制御基板との電気的な接続を担うハーネスが延びる電装部品と、
前記制御基板と電気的に接続し、且つ前記ハーネスが接続される一または複数のコネクタと
を備える加熱調理器において、
前記筐体内に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部を備え、
前記ハーネスは、前記天板の左右方向の一方側且つ前後方向の前側にて前記電装部品から引き出され、
前記コネクタ固定部は、前記筐体の左右方向の一方側且つ前記筐体の背面に設けられ、
前記筐体は、左右方向の一方側の側面に、前後方向に沿って、前記ハーネスを保持する複数の保持部を設けたこと
を特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
バーナの燃焼を制御する制御回路を備える制御基板と、
上部が開口し、前記制御基板が内部に設けられる筐体と、
前記筐体の前記上部に設けられ、前記開口を閉塞する天板と、
前記天板の下面側に設けられ、前記制御基板との電気的な接続を担うハーネスが延びる電装部品と、
前記制御基板と電気的に接続し、且つ前記ハーネスが接続される一または複数のコネクタと
を備える加熱調理器において、
前記筐体内に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部を備え、
前記ハーネスは、前記天板の左右方向の一方側にて前記電装部品から引き出され、
前記コネクタ固定部は、前記筐体の左右方向の一方側且つ前記筐体の背面に設けられ、
前記天板は、左右方向一方側の端部に、前記筐体の左右方向一方側の上部に前記天板を掛け留めるフックを備え、
前記天板の左右方向他方側の側部を一方側の側部に対して上側にした状態で前記フックを前記筐体に掛け留めた場合、前記フックは、前記天板の左右方向一方側の側部が前記筐体の上端よりも上方に位置した状態にして前記天板を支持すること
を特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
前記コネクタ固定部は、前記筐体の前記背面にて、前記コネクタに前記ハーネスを差し込む差込口を前方斜め上方へ向けた状態で前記コネクタを固定すること
を特徴とする請求項1又は2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記保持部は、
前記筐体に固定する基部と、
前記基部から延びる第一延伸部と、
前記基部から前記ハーネスの太さ分の間隔を空けて前記第一延伸部と平行に延びる第二延伸部と、
前記第一延伸部の側面から前記第二延伸部へ向けて突出し、且つ前記第一延伸部に沿って並ぶ複数の第一突部と、
前記第二延伸部の側面から前記第一延伸部へ向けて突出し、且つ前記第二延伸部に沿って並ぶ複数の第二突部と
を有することを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記保持部は、
前記筐体に固定する基部と、
前記基部に固定され、前記ハーネスの太さよりも大きい環の一部を構成する第一環部と、
一端部が前記第一環部の一端部に接続し、他端部側が前記第一環部の他端部に対して接離可能に設けられ、前記ハーネスの太さよりも大きい環の一部を構成する第二環部と
前記第一環部の他端部と、前記第二環部の他端部とのそれぞれに設け、互いが接触する場合に係合し、且つ前記第二環部に外力が加わり湾曲する場合に非係合状態となる係合部と
を有することを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記保持部は、
前記筐体に固定する基部と、
前記基部に固定され、前記ハーネスの太さよりも大きい環を形成しつつ、一端部と他端部とが環の軸方向に離間した状態にて配置される環状部と
を有することを特徴とする請求項
1に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
トッププレートの表面に操作部と表示部を設けた加熱調理器が知られている(例えば特許文献1参照)。操作部と表示部を制御する制御回路部はホルダーに保持され、トッププレートの裏面に固定される。制御回路部は、筐体内に設けられるメイン回路部にリード線により接続される。このような加熱調理器をキッチンのキャビネットに組み付ける場合、キャビネットに筐体を設置した後、トッププレートを取り付ける前に、制御回路部とメイン回路部とをリード線によって接続し、その後、トッププレートを筐体に固定する作業が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、設置作業において、作業者が一人だったり、作業場所に十分な大きさが確保できなかったりする場合がある。この場合に作業者は、例えばトッププレートを片手で支持しながら、もう一方の手で制御回路部とメイン回路部とをリード線によって接続しなければならず、接続作業に時間や手間がかかっていた。
【0005】
本発明の目的は、天板に設けた電装部品と筐体に設けた制御基板との電気的な接続を容易に行うことができる加熱調理器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係る発明の加熱調理器は、バーナの燃焼を制御する制御回路を備える制御基板と、上部が開口し、前記制御基板が内部に設けられる筐体と、前記筐体の前記上部に設けられ、前記開口を閉塞する天板と、前記天板の下面側に設けられ、前記制御基板との電気的な接続を担うハーネスが延びる電装部品と、前記制御基板と電気的に接続し、且つ前記ハーネスが接続される一または複数のコネクタとを備える加熱調理器において、前記筐体内に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部を備え、前記ハーネスは、前記天板の左右方向の一方側且つ前後方向の前側にて前記電装部品から引き出され、前記コネクタ固定部は、前記筐体の左右方向の一方側且つ前記筐体の背面に設けられ、前記筐体は、左右方向の一方側の側面に、前後方向に沿って、前記ハーネスを保持する複数の保持部を設けたことを特徴とする。
本発明の請求項2に係る発明の加熱調理器は、バーナの燃焼を制御する制御回路を備える制御基板と、上部が開口し、前記制御基板が内部に設けられる筐体と、前記筐体の前記上部に設けられ、前記開口を閉塞する天板と、前記天板の下面側に設けられ、前記制御基板との電気的な接続を担うハーネスが延びる電装部品と、前記制御基板と電気的に接続し、且つ前記ハーネスが接続される一または複数のコネクタとを備える加熱調理器において、前記筐体内に設けられ、前記コネクタを固定するコネクタ固定部を備え、前記ハーネスは、前記天板の左右方向の一方側にて前記電装部品から引き出され、前記コネクタ固定部は、前記筐体の左右方向の一方側且つ前記筐体の背面に設けられ、前記天板は、左右方向一方側の端部に、前記筐体の左右方向一方側の上部に前記天板を掛け留めるフックを備え、前記天板の左右方向他方側の側部を一方側の側部に対して上側にした状態で前記フックを前記筐体に掛け留めた場合、前記フックは、前記天板の左右方向一方側の側部が前記筐体の上端よりも上方に位置した状態にして前記天板を支持することを特徴とする。
【0007】
請求項3に係る発明の加熱調理器は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記コネクタ固定部は、前記筐体の前記背面にて、前記コネクタに前記ハーネスを差し込む差込口を前方斜め上方へ向けた状態で前記コネクタを固定することを特徴とする。
【0008】
【0009】
請求項4に係る発明の加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記保持部は、前記筐体に固定する基部と、前記基部から延びる第一延伸部と、前記基部から前記ハーネスの太さ分の間隔を空けて前記第一延伸部と平行に延びる第二延伸部と、前記第一延伸部の側面から前記第二延伸部へ向けて突出し、且つ前記第一延伸部に沿って並ぶ複数の第一突部と、前記第二延伸部の側面から前記第一延伸部へ向けて突出し、且つ前記第二延伸部に沿って並ぶ複数の第二突部とを有することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明の加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記保持部は、前記筐体に固定する基部と、前記基部に固定され、前記ハーネスの太さよりも大きい環の一部を構成する第一環部と、一端部が前記第一環部の一端部に接続し、他端部側が前記第一環部の他端部に対して接離可能に設けられ、前記ハーネスの太さよりも大きい環の一部を構成する第二環部と前記第一環部の他端部と、前記第二環部の他端部とのそれぞれに設け、互いが接触する場合に係合し、且つ前記第二環部に外力が加わり湾曲する場合に非係合状態となる係合部とを有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明の加熱調理器は、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記保持部は、前記筐体に固定する基部と、前記基部に固定され、前記ハーネスの太さよりも大きい環を形成しつつ、一端部と他端部とが環の軸方向に離間した状態にて配置される環状部とを有することを特徴とする。
【0012】
【発明の効果】
【0013】
本発明の請求項1に係る発明の加熱調理器によれば、ハーネスが接続されるコネクタはコネクタ固定部に固定されており、筐体内で浮いた状態にない。そしてコネクタ固定部は、筐体内部の背面に設けられるので、筐体の正面側から作業を行う作業者に対して正対する位置にある。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネスを容易にコネクタに接続することができる。また、ハーネスは、保持部によって筐体の側面に保持される。故に天板が筐体に固定されるとき、筐体と天板の間にハーネスが挟み込まれることがなく、また、筐体内でハーネスが他の部品に接触して摩耗等の不具合を生ずることもない。
本発明の請求項2に係る発明の加熱調理器によれば、ハーネスが接続されるコネクタはコネクタ固定部に固定されており、筐体内で浮いた状態にない。そしてコネクタ固定部は、筐体内部の背面に設けられるので、筐体の正面側から作業を行う作業者に対して正対する位置にある。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネスを容易にコネクタに接続することができる。また、フックは、天板の側部を筐体の上端よりも上方に配置した状態で天板を支持することができる。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態で、もう一方の手でハーネスをコネクタに接続する作業を行っても、加熱調理器が設置されるカウンタ等を天板の側部で傷つけることがない。
【0014】
請求項3に係る発明の加熱調理器によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、筐体の正面側から加熱調理器の設置作業を行う作業者は、筐体の斜め上方から筐体内を見下ろすように作業を行う。コネクタ固定部は、コネクタの差込口を前方斜め上方へ向けてコネクタを固定する。故に作業者は、コネクタの差込口を見やすく、ハーネスを接続する作業を容易に行うことができる。
【0015】
【0016】
請求項4に係る発明の加熱調理器によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、保持部は、第一延伸部と第二延伸部の間にハーネスを挟んで保持することができる。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネスを容易に保持部に保持させる作業を行うことができる。
【0017】
請求項5に係る発明の加熱調理器によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、保持部は、第二環部の他端部を第一環部の他端部に近づけ、係合部によって係合させるだけで、ハーネスの太さよりも大きい環を構成することができる。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネスを第一環部と第二環部の中に配置しつつ第一環部と第二環部を係合させて、ハーネスを保持部に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0018】
請求項6に係る発明の加熱調理器によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、保持部は、環状部内にハーネスを保持することができる。故に作業者は、仮に天板を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネスを環状部の一端部と他端部の間を通して環状部内に入れることで、ハーネスを保持部に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0019】
【0020】
なお、本発明は、請求項1から6のそれぞれの発明特定事項を任意に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】キッチンカウンタに筐体2を設置したコンロ1の斜視図である。
【
図3】
図2の二点鎖線A内を拡大した筐体2の斜視図である。
【
図4】
図3のI-I線で矢視方向に見た筐体2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載される装置の構造は、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0023】
図面を参照し、コンロ1の構造を説明する。
図1、
図2に示すように、コンロ1は、ビルトインコンロである。コンロ1は、筐体2と天板3を備える。筐体2は上部に開口部2Aを有する箱形状である。筐体2内には、左バーナ4、右バーナ5、グリル庫10、制御基板27、コネクタ51~54等が収容される(
図2参照)。筐体2内の詳細については後述する。天板3はガラス製である。天板3は筐体2の上側に載置され、開口部2Aを閉塞する。天板3の上面左側には左バーナ4、上面右側には右バーナ5、上面後側にはグリル用の排気口7がそれぞれ設けられる。天板3の下面には、一部透過性を有する非透過性の印刷が施される。
【0024】
天板3上において、左バーナ4の前側には、左バーナ4を操作する為の左操作部11が設けられ、右バーナ5の前側には、右バーナ5を操作する為の右操作部12が設けられる。左操作部11、右操作部12には、左バーナ4、右バーナ5の点火、消火、および火力の増減等の操作を指先のタッチで受け付ける複数の受付部と、タイマ時間等を表示する表示部と、使用状態に応じて点灯、または点滅する発光表示部等が設けられる。左バーナ4と右バーナ5に挟まれる中央部の前側には、グリル用発光表示部13が設けられる。グリル用発光表示部13には、グリル使用中に点灯する表示部が設けられる。左操作部11、右操作部12、およびグリル用発光表示部13において、受付部は、ユーザによるタッチ操作の位置を示すために天板3に印刷されたボタン、マークまたは記号等である。
【0025】
左操作部11の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部15が設けられ、右操作部12の後側には、平面視略円弧状のセンサ用窓部16が設けられ、グリル用発光表示部13の後側には、平面視略矩形状のセンサ用窓部17が設けられる。センサ用窓部15~17の下方には、複数(例えば9個)のセンサ28が並んで配置される。センサ28は、上方に位置する異物までの距離を測定可能な一般的な測距センサであり、例えば赤外線センサである。複数のセンサ28のそれぞれには、ハーネス45の一端部が接続される。ハーネス45はセンサケース40内で束ねられ、センサケース40の左端部に設けられた開口部(図示略)から外部に出されて、天板3の左側部3Lの前方から天板3の外部に引き出される。ハーネス45の他端部にはメス型のコネクタ64が設けられる(
図3参照)。コネクタ64は、筐体2内に設けられたオス型のコネクタ54(
図3参照)に接続される。ハーネス45は、複数のセンサ28と、筐体2内に設けられる制御基板27とを電気的に接続する。
【0026】
天板3下面の前側部には、上面に設けられた左操作部11および右操作部12に対応するように、電装基板29が接着剤または両面テープ等で貼着される。電装基板29の上面には、複数のLED、近接センサ等が実装される。複数のLEDは、左操作部11、右操作部12およびグリル用発光表示部13の表示を担う。近接センサは、左操作部11および右操作部12に対する操作を受け付ける。電装基板29下面の左右方向中央にはオス型のコネクタ(図示略)が実装され、ハーネス44(
図2参照)の一端部に設けられたメス型コネクタ(図示略)が接続される。ハーネス44は、センサケース40の下面側に設けられたクリップ(図示略)に保持され、天板3の左側部3Lの前方から天板3の外部に引き出される。ハーネス44は他端側で3つに分岐され、端部にメス型のコネクタ61~63が設けられる(
図3参照)。コネクタ61~63はそれぞれ、筐体2内に設けられたオス型のコネクタ51~53(
図3参照)に接続される。ハーネス44は、電装基板29と、筐体2内に設けられる制御基板27とを電気的に接続する。
【0027】
電装基板29と、複数のセンサ28を下方から内包するように、天板3の下面側にセンサケース40が設けられる。センサケース40は左右方向に延びる筒状のケース体である。センサケース40の左右両端部には、下方へ向けて筒状に延び、センサケース40内に空気を取り入れる左筒部41および右筒部42が設けられる。センサケース40の中央部には、下方へ向けて筒状に延び、センサケース40内の空気を排出する中筒部43が設けられる。センサケース40は、左筒部41および右筒部42から流入して中筒部43から排出される冷却空気の流路を形成する。
【0028】
筐体2の左壁部21、右壁部22、前壁部23、後壁部24のそれぞれの上端部は、矩形状の開口部2Aを形成する。筐体2の内側上部において、左壁部21と右壁部22との間には、左右方向に延びる細長板状の梁部材46、47が架設される。梁部材46、47のそれぞれの左右方向略中央部の間に、梁部材48が架設される。梁部材46、47は、左バーナ4および右バーナ5を筐体2内で支持する。グリル庫10は、梁部材46~48よりも下方の位置で、筐体2内の左右方向の略中央部に設置される。
【0029】
筐体2の内部であって、左壁部21近傍且つ梁部材46、47の下側に、制御基板27が固定されている。制御基板27には、CPU等を含む制御回路が実装されている。制御基板27の制御回路は、電装基板29の複数のLEDの発光制御、電装基板29の近接センサを介したユーザのタッチ操作検出、複数のセンサ28を介した異物検知等の制御を行う。また、制御基板27の制御回路は、左バーナ4および右バーナ5に供給されるガス量を調整することによって、左バーナ4および右バーナ5の燃焼を制御する。
【0030】
図3に示すように、筐体2の内部で後壁部24の左端部には、コネクタ固定部50が設けられる。コネクタ固定部50には、4つのオス型のコネクタ51~54が固定される。コネクタ51~54は、ケーブル(図示略)を介して制御基板27の制御回路と電気的に接続する。コネクタ51~53には、天板3の電装基板29から延びるハーネス44のコネクタ61~63を接続可能である。コネクタ54には、天板3の複数のセンサ28から延びるハーネス45のコネクタ64を接続可能である。
【0031】
図3、
図4に示すように、筐体2の後壁部24は、後方に傾斜する。コネクタ固定部50は、板状体を折り曲げて台状に形成され、前斜め上方に突出するように後壁部24に固定される。コネクタ固定部50の前面50Aは、後壁部24の前面と平行に設けられる。コネクタ51~54は、前面50Aに形成された開口に嵌め込まれ、コネクタ固定部50に固定される。コネクタ51~54にコネクタ61~64を差し込む差込口55は、前斜め上方を向く。
【0032】
図3に示すように、筐体2の内部で左壁部21の右側面上部には、前後方向の2個所に右方へ向けて隆起する隆起部21A,21Bが形成される。隆起部21A,21Bのそれぞれには、ハーネス44,45を保持するためのクランプ70が前後方向に沿って固定される。
図5に示すように、クランプ70は可撓性を有する樹脂製であり、基部71、第一環部72、第二環部73を有する。基部71は、クランプ70を隆起部21A,21Bに固定する部位であり、抜け防止の鍔部(図示略)を有し、隆起部21A,21Bに差し込むピン形状を呈する。第一環部72は正面視略コの字形状を呈し、上下に延びる中間部が基部71に接続し、中間部の上端および下端から、上端部と下端部がそれぞれ右方に延びる。第二環部73は正面視略L時形状を呈し、長く延びる側の端部が支持端として、第一環部72の下端部の先端に接続する。第一環部72と第二環部73の接続部分70Aは曲げ伸ばし可能であり、第二環部73の短く延びる側の端部を揺動端として揺動可能に支持する。第一環部72の上端部の先端と、第二環部73の揺動端には、それぞれ、互いに係合可能な係合部72A,73Aが形成される。係合部72A,73Aはかぎ爪形状であり、第二環部73の係合部73Aを第一環部72の係合部72Aに近づけて、片手で嵌め込むことができる。係合部72Aと係合部73Aとが係合状態において、第一環部72と第二環部73は、ハーネス44,45の太さよりも大きく、ハーネス44,45を挿通可能な環を形成する。係合部72A,73Aの係合は、第一環部72の上端部を環の内側へ押し込んで撓ませることで、解除することができる。
【0033】
次に、
図1、
図2に示すように、筐体2の前面の中央部には、グリル扉8が手前側に引き出し可能に設けられる。グリル扉8は、筐体2内部に設けられるグリル庫10の前側の開口を開閉する。グリル庫10内には、グリルバーナ(図示略)が設けられる。筐体2の前面において、グリル扉8の左側の上下には、化粧板6A、6Bが取り付けられ、右側の上下には、化粧板6C、6Dが取り付けられる。
【0034】
筐体2の前面から化粧板6A~6Dを取り外すと、左フロントパネル30および右フロントパネル35(
図2参照)の前面が露出する。左フロントパネル30および右フロントパネル35は、それぞれ筐体2の前面に固定される。左フロントパネル30の前面中央部には、電池ケース(図示略)が設けられる。右フロントパネル35の前面上部には、電源スイッチ19が設けられる。化粧板6Cの前面上部には開口18が設けられ、開口18から電源スイッチ19が前方に突出する。右フロントパネル35の前面下部には、グリルバーナを操作する為のグリル操作部(図示略)が設けられる。グリル操作部は、右フロントパネル35の前面下部に回動可能に支持される。左フロントパネル30および右フロントパネル35の前面下部には、それぞれ空気入口31,36が設けられる。空気入口31,36は、外部の空気を内側に取り入れる。
【0035】
左フロントパネル30および右フロントパネル35には、それぞれの空気入口31,36との間に亘って上下方向に延びる略筒状のダクト部(図示略)が設けられる。ダクト部内には冷却ファン(図示略)が取り付けられる。天板3が筐体2に組み付けられたとき、センサケース40の左筒部41および右筒部42は、ダクト部に接続する。冷却ファンによって空気入口31,36に取り込まれた冷却空気は、ダクト部32を介してセンサケース40に供給される。センサケース40に供給された冷却空気は、センサケース40内の電装基板29および複数のセンサ28を冷却する。
【0036】
天板3が筐体2に組み付けられたとき、中筒部43は、筐体2内の空気流路(図示略)に接続される。該空気流路は、グリル庫10の上方を通って後方へ延び、接続口10Aにおいて天板3の排気口7に接続する。
【0037】
次に、コンロ1をキッチンカウンタに設置する作業について説明する。
図2に示すように、作業者は、天板3が取り外された状態の筐体2を、キッチンカウンタに固定する。次に作業者は、キッチンカウンタの上面のうち筐体2に対して左側に、天板3を配置する。このとき、例えば筐体2に対して左側のスペースが壁面などで制約がある場合、天板3を上下反転させた状態でキッチンカウンタの上面に載置できない。このような場合、作業者は、天板3の右側部3Rを左側部3Lに対して上側にして起立させる。天板3の左側部3Lは、キャビネットの上面に載置される。作業者は、天板3が起立した状態で倒れないように、左手で天板3を支持する。
【0038】
作業者は、天板3の左側部3Lの前方から引き出されたハーネス44,45を右手で掴み、筐体2内の左壁部21近傍に沿って後方に誘導する。筐体2内の左後部に設けられたコネクタ固定部50は、コネクタ51~54それぞれの差込口55を前斜め上方へ向けた状態でコネクタ51~54を固定する。作業者は、筐体2の正面側から作業を行うので、コネクタ固定部50に正対する。故に作業者は、コネクタ51~54の差込口55を視認しやすく、大きさ、形状がそれぞれ異なるハーネス44,45のコネクタ61~64と筐体2のコネクタ51~54との組合せを容易に確認できる。作業者は右手でコネクタ61~64を一つずつ掴み、コネクタ固定部50のコネクタ51~54の差込口55に差し込んで接続する。これにより、ハーネス44を介して電装基板29が制御基板27に電気的に接続され、ハーネス45を介して複数のセンサ28が制御基板27に電気的に接続される。
【0039】
次に作業者は、筐体2内の左壁部21に沿うハーネス44,45を右手で掴み、クランプ70の第一環部72の内側に配置する。なお、クランプ70は、コンロ1の出荷時には環が開いた状態にあるが、仮に環が閉じた状態であった場合、第一環部72の上端部を撓ませ、環を開いた状態にする作業を片手で行うことができる。作業者は、第二環部73を起こし、係合部73Aを第一環部72の係合部72Aに係合させて環を閉じ、ハーネス44,45を環内に保持する。これにより、ハーネス44,45は、筐体2内での左壁部21の上部に沿って、前方から後方へ延びた状態で保持される。
【0040】
作業者は、天板3を筐体2側に倒し、筐体2の開口部2Aを天板3により覆う。このとき、センサケース40の左筒部41は、左フロントパネル30のダクト部に接続され、センサケース40の右筒部42は、右フロントパネル35のダクト部に接続される。また、センサケース40の中筒部43は、筐体2内の空気流路の接続口10Aに接続される。ねじ等の固定部材により天板3が筐体2に固定され、コンロ1の設置は完了する。
【0041】
以上説明したように、ハーネス44,45のコネクタ61~64が接続される筐体2のコネクタ51~54はコネクタ固定部50に固定されており、筐体2内で浮いた状態にない。そしてコネクタ固定部50は、筐体2内部の後壁部24に設けられるので、筐体2の正面側から作業を行う作業者に対して正対する位置にある。故に作業者は、仮に天板3を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネス44,45のコネクタ61~64を容易に筐体2のコネクタ51~54に接続することができる。
【0042】
筐体2の正面側からコンロ1の設置作業を行う作業者は、筐体2の斜め上方から筐体2内を見下ろすように作業を行う。コネクタ固定部50は、コネクタ51~54の差込口55を前方斜め上方へ向けてコネクタ51~54を固定する。故に作業者は、コネクタ51~54の差込口55を見やすく、ハーネス44,45のコネクタ61~64を接続する作業を容易に行うことができる。
【0043】
ハーネス44,45は、クランプ70によって筐体2の左壁部21に保持される。故に天板3が筐体2に固定されるとき、筐体2と天板3の間にハーネス44,45が挟み込まれることがなく、また、筐体2内でハーネス44,45が他の部品に接触して摩耗等の不具合を生ずることもない。
【0044】
クランプ70は、第二環部73の揺動端を第一環部72の上端部先端に近づけ、係合部72A,73A同士を係合させるだけで、ハーネス44,45の太さよりも大きい環を形成することができる。故に作業者は、仮に天板3を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネス44,45を第一環部72と第二環部73の中に配置しつつ第一環部72と第二環部73を係合させて、ハーネス44,45をクランプ70に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。コネクタ固定部50の前面50Aは、前斜め上方を向いていなくてもよい。この場合、コネクタ固定部50が筐体2の後壁部24に固定された状態において、コネクタ51~54の差込口55が前斜め上方を向く角度となるように傾けた状態で、コネクタ固定部50にコネクタ51~54を固定してもよい。
【0046】
筐体2のコネクタ51~54は、4つに限らず、1~3個でも、5個以上あってもよい。ハーネス44,45は、1本に束ねてもよいし、3本以上に分けてもよい。ハーネス44,45は、天板3の右側部3Rの前方から天板3の外部に引き出されてもよい。この場合、コネクタ固定部50は後壁部24の右端部に設ければよい。
【0047】
クランプ70は、正面視略矩形の環を形成したが、円形の環を形成しても多角形の環を形成してもよい。クランプ70は2つに限らず、1つでも、3つ以上でもよい。また、クランプ70の形態は、係合部72A,73Aの係合により環を形成する形態に限らない。
【0048】
例えば、
図6に示すクランプ170のように、正面視コの字形状で、2つの延伸部間にハーネス44,45を挟み込んで保持する形態であってもよい。クランプ170は、基部171、第一延伸部172、第二延伸部173、上下延伸部174を有する。基部171はクランプ170を隆起部21A,21Bに固定する。上下延伸部174は上下方向に延び、中間部において基部171に接続する。第一延伸部172は上下延伸部174の上端から右方へ延びる。第二延伸部173は上下延伸部174の下端から第一延伸部172と平行に右方へ延びる。第一延伸部172と第二延伸部173は、ハーネス44,45の太さと略同じ大きさの間隙を有する。第一延伸部172と第二延伸部173は、それぞれの対向面に、第一突部172Aと第二突部173Aを有する。第一突部172Aは、第二延伸部173へ向けて突出し、第一延伸部172に沿って並ぶ複数の突部である。第二突部173Aは、第一延伸部172へ向けて突出し、第二延伸部173に沿って並ぶ複数の突部である。作業者は、片手でハーネス44,45を掴み、第一延伸部172と第二延伸部173の間にハーネス44,45を挿入することができる。クランプ170は、ハーネス44,45が挿入された場合に、第一突部172Aと第二突部173Aの間にハーネス44,45を挟むことで、ハーネス44,45を保持することができる。故に作業者は、仮に天板3を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネス44,45を容易にクランプ170に保持させる作業を行うことができる。
【0049】
また、例えば、
図7に示すクランプ270のように、つるまき状の環を有する形態であってもよい。クランプ270は、基部271と環状部272を有する。基部271はクランプ270を隆起部21A,21Bに固定する。環状部272は前後方向を軸方向とする環を形成し、且つ、一端部272Aと他端部272Bとが環の軸方向に離間するつるまき状を呈する。環状部272は、中間部において基部271に接続する。クランプ270は、ハーネス44,45を環状部272内に保持することができる。作業者は、片手でハーネス44,45を掴み、環状部272の一端部272Aと他端部272Bの間を通して環状部272内にハーネス44,45を挿入することができる。故に作業者は、仮に天板3を片手で支持した状態であっても、もう一方の手でハーネス44,45を環状部272内に入れることができ、ハーネス44,45をクランプ270に保持させる作業を容易に行うことができる。
【0050】
ところで、ハーネス44,45を接続する作業の間、作業者は、天板3の左側部3Lをキッチンカウンタ上に載置した状態で、天板3を片手で支持する。キッチンカウンタの傷つき防止を考慮すると、キッチンカウンタ上に布等を敷き、その上に、天板3を載置することが考えられる。しかし、布等がキッチンカウンタ上で滑ると、安定した天板3の支持が難しい。この場合、例えば
図8に示すように、筐体2の開口部2Aに天板3を掛け留めることができるフック300を、天板3の裏面に設けてもよい。フック300は上下方向に所定の長さを有する。天板3を筐体2の開口部2Aに掛け留めたとき、天板3の左側部3Lは、キッチンカウンタの上面よりも高さH分上方に位置し、キッチンカウンタに接触しない。このように、フック300は、天板3の左側部3Lを筐体2の上端よりも上方に配置した状態で天板3を支持することができる。故に作業者は、仮に天板3を片手で支持した状態で、もう一方の手でハーネス44,45を筐体2のコネクタ51~54に接続する作業を行っても、コンロ1が設置されるキッチンカウンタを天板3の左側部3Lで傷つけることがない。なお、フック300は、天板3の裏面に、例えば穴部を形成し、上部を穴部に差し込んで固定するとよい。或いは、フック300は、ねじ等で、取り外し可能な状態で天板3の裏面に固定してもよい。また、フック300は、使用時以外は折り畳むことで、天板3の裏面に常に固定した状態としてもよい。
【0051】
上記説明において、左バーナ4,右バーナ5が本発明の「バーナ」の一例である。センサ28,電装基板29が本発明の「電装部品」の一例である。コンロ1が本発明の「加熱調理器」の一例である。後壁部24が本発明の「背面」の一例である。クランプ70,170,270が本発明の「保持部」の一例である。
【符号の説明】
【0052】
1 コンロ
2 筐体
3 天板
3L 左側部
4 左バーナ
5 右バーナ
21 左壁部
24 後壁部
27 制御基板
28 センサ
29 電装基板
44,45 ハーネス
50 コネクタ固定部
51~54 コネクタ
55 差込口
70,170,270 クランプ
71,171,271 基部
72 第一環部
72A,73A 係合部
73 第二環部
172 第一延伸部
172A 第一突部
173 第二延伸部
173A 第二突部
272 環状部
300 フック