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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】物品搬送供給装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/91 20060101AFI20231124BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B65G47/91 A
B65G47/52 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019149174
(22)【出願日】2019-08-15
(65)【公開番号】P2021031198
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-08-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092598
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 伸一
(72)【発明者】
【氏名】入野 晃一
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/067163(WO,A1)
【文献】特開平11-139539(JP,A)
【文献】特開2002-274641(JP,A)
【文献】特開2018-193160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/90-47/96
B65G 47/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、
前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、
前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成し、
前記第一搬送手段は、上流側から供給された前記物品を搬送する第一領域と、前記回遊してきた前記物品を搬送する第二領域を分け、
前記移し替えロボットは、前記第二領域上の物品を優先してピックアップするようにしたことを特徴とする物品搬送供給装置。
【請求項2】
物品を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、
前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、
前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成し、
回遊した前記物品を、前記リターン搬送手段に移行せずに前記第一搬送手段の外に排出する系外搬出通路を備えたことを特徴とする物品搬送供給装置。
【請求項3】
物品を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、
前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、
前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成し、
前記リターン搬送手段を経由する回遊は1回のみ許容し、その回遊してきた物品がピックアップされない場合にその物品を前記第一搬送手段の外に排出するようにしたことを特徴とする物品搬送供給装置。
【請求項4】
物品を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、
前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、
前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成し、
前記リターン搬送手段上の物品を検知してから一定時間経過後に回遊する物品がピックアップされない場合にその物品を前記第一搬送手段の外に排出するようにしたことを特徴とする物品搬送供給装置。
【請求項5】
物品を搬送する第一搬送手段と、
前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、
前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、
前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成し、
前記移し替えロボットは、前記リターン搬送手段上を移動する物品を最優先にピックアップするようにしたことを特徴とする物品搬送供給装置。
【請求項6】
撮影した映像から、回遊してきた物品を検知し、その物品をピックアップするようにしたことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の物品搬送供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送供給装置に関するもので、例えば、搬送手段上を移動する物品をピックアップして下流側の搬送ライン・システム等に供給するものに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ランダムに供給されたワークを搬送する搬送手段と、搬送手段上を移動するワークを保持し下流側の受取部材上に移し替える移し替えロボット(ワーク移送装置)と、その移し替えロボットで保持されずに搬送手段から搬出されるワークを搬送手段の上流側に戻すためのリターンコンベア等を備えたシステムが開示されている。
【0003】
このシステムによれば、例えばワークが密集などして移し替えロボットにより保持されなかったワークは、再び搬送手段の上流側に供給される。よって、ワークは、当該搬送手段並びにリターンコンベア等からなる搬送経路上を回遊し、最終的に移し替えロボットにより保持されて受取部材上に移し替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-36113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
移し替え対象の物品が、例えば冷凍食品の場合、特許文献1に開示された搬送手段並びにリターンコンベア等からなる搬送経路上を何周も回遊すると、冷凍状態が変化し品質が劣化するおそれがある。また、冷凍食品に限らず、例えば割れやすいクッキーなど、何回も回遊すると初期のものと状態が変わるおそれがある物品においても同様の問題を生じる。
【0006】
そこで、リターンコンベア等を設けず、搬送手段に併設する物品移し替え装置を複数設け、物品が密集してきた場合でもいずれかの物品移し替え装置で物品を保持し移し替えるようにすることが考えられる。しかし、物品移し替え装置の設置数にもよるが密集状態によってはそれでも全ての物品を移し替えることができず、搬送手段から排出され、廃棄処理される事態を生じるおそれがある。
【0007】
物品が上述した冷凍食品やクッキーなどの食品の場合、廃棄処理される物品の発生は、食料の無駄な廃棄となり好ましくない。一方、搬送手段から搬出されないようにするために多数の物品移し替え装置を配置することは、装置の大型化を招く。しかも、物品の搬送状態が密集せずに通常の搬送状態では、移し替え処理を行わずに休んでいる物品移し替え装置が存在することになり、装置の稼働率が悪くいたずらに大きいシステムとなり好ましくない。
【0008】
上述した課題はそれぞれ独立したものとして記載しているものであり、本発明は、必ずしも記載した課題の全てを解決できる必要はなく、少なくとも一つの課題が解決できれば良い。またこの課題を解決するための構成についても単独で分割出願・補正等により権利取得する意思を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の物品搬送供給装置は、物品を搬送する第一搬送手段と、前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を前記第一搬送手段に戻すためのリターン搬送手段とを備え、前記移し替えロボットは、ピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記リターン搬送手段を経由して回遊してきた物品を優先的にピックアップするように構成したものを前提とする
【0010】
移し替えロボットが、第一搬送手段上を移動する物品をピックアップできなかった場合でも、その物品はリターン搬送手段を経由して第一搬送手段に戻ってきた回遊する物品が移し替えロボットでピックアップされ得る。よって、物品がピックアップされずに無駄に廃棄される可能性を可及的に抑制できる。そして、回遊してきた物品を優先してピックアップされるので、例えば時間経過とともに品質・形状等が変化するような物品であっても、回遊後にピックアップされて移し替えられた物品のダメージが抑制でき、回遊すること無くピックアップされて移し替えられた物品との差が無いか、実質的に問題が無い程度に抑えられる。
【0011】
(1)上述した前提の構成のものと、前記第一搬送手段は、上流側から供給された前記物品を搬送する第一領域と、前記回遊してきた前記物品を搬送する第二領域を分け、前記移し替えロボットは、前記第二領域上の物品を優先してピックアップするようにするとよい。このようにすると、簡単な構成・制御等で、回遊されてきた物品を効率よくピックアップすることができる。
【0012】
(6)下記に示す構成のもと、撮影した映像から、回遊してきた物品を検知し、その物品をピックアップするように構成すると良い。このようにすると、例えば回遊していない物品と回遊してきた物品の搬送領域を特に区分けしなくても、回遊してきた物品を優先的にピックアップすることができる。
【0013】
(2)上述した前提の構成のものと、回遊した前記物品を、前記リターン搬送手段に移行せずに前記第一搬送手段の外に排出する系外搬出通路を備えるとよい。このようにすると、同一の物品が何回も回遊しつづけることで、品質等が劣化してしまった物品を廃棄することができる。系外搬出通路に至る物品は、例えば、所定回数(1回を含む)回遊してもピックアップされなかった場合や、一定時間回遊状態が発生しているような場合などがある。
【0014】
(3)上述した前提の構成のものと、前記リターン搬送手段を経由する回遊は1回のみ許容し、その回遊してきた物品がピックアップされない場合にその物品を前記第一搬送手段の外に排出するようにするとよい。回遊を1回のみ許容することで、廃棄ロスを抑制しつつ回遊による物品へのダメージを可及的に抑制し、回遊しないでピックアップされた物品と同等の品質等を維持することができる。
【0015】
(4)上述した前提の構成のものと、前記リターン搬送手段上の物品を検知してから一定時間経過後に回遊する物品がピックアップされない場合にその物品を前記第一搬送手段の外に排出するように構成するとよい。このようにすると、例えば、同一物品の回遊している回数を特定できないものであっても、簡単な制御で、同一物品が多数回に渡り回遊し続けることを抑制できる。
【0016】
(5)上述した前提の構成のものと、前記移し替えロボットは、前記リターン搬送手段上を移動する物品を最優先にピックアップするようにするとよい。このようにすると、第一搬送手段上を移動中にピックアップされなかった物品が、より早い段階でピックアップされるので良い。リターン搬送手段上でピックアップされなかった物品は、例えば、第一搬送手段に戻され、上述した各種の機能により優先的にピックアップされると良い。
【0017】
品を搬送する第一搬送手段と、前記第一搬送手段上の前記物品をピックアップして第二搬送手段に移し替える移し替えロボットと、前記移し替えロボットでピックアップされずに前記第一搬送手段から搬出された前記物品を搬送する第三搬送手段とを備え、前記第三搬送手段は、前記第一搬送手段に沿って配置され、前記移し替えロボットは、ピ
ックアップされずに前記第一搬送手段から搬出され、前記第三搬送手段を移動する物品を優先的にピックアップするように構成するとよい。このようにすると、第一搬送手段上を移動中にピックアップされなかった物品が、より早い段階でピックアップされるので良い。第三搬送手段は、例えば実施形態では、リターン搬送装置に対応するが、必ずしも第一搬送手段に戻すリターン経路を構成するものとしなくても良い。
【0018】
記移し替えロボットでピックアップされずに前記第三搬送手段から搬出される物品を前記第一搬送手段に戻す機能を備えるとよい。このようにすると、第三搬送手段を移動中にピックアップされなかった物品は、第一搬送手段に戻すことで再び物品移し替えロボットによるピックアップ対象になるので良い。この場合に、その戻された物品は優先的にピックアップされると良い。
【0019】
上述した各発明は、何れも第一搬送手段上を移動中に物品移し替えロボットでピックアップされなかった物品を、その第一搬送手段から第二搬送手段に移し替える物品移し替えロボットを用いて優先的にピックアップして第二搬送手段に移し替えることができるように構成した。そして、各発明の装置は、ピックアップされて第二搬送手段に移し替えられた物品は、例えば初めて第一搬送手段に供給されて移動中の物品と、ピックアップされずに第一搬送手段から搬出された物品の場合で、実質的に品質の低下・劣化をすることないという課題を解決できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、例えば冷凍食品や、脆弱・柔らかいなどの損傷しやすい物品等であっても、回遊等により初めて第一搬送手段に供給されてからピックアップされるまでの時間経過・時間差に伴う物品のダメージを可及的に抑制しつつ、廃棄されるのを可及的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る物品搬送供給装置が実装される包装システムの一例を示す図である。
図2】本発明に係る物品搬送供給装置の好適な一実施形態の主に上流側コンベア12を示す図である。
図3】本発明に係る物品搬送供給装置の好適な一実施形態の主に移し替えロボット15を示す図である。
図4】本発明に係る物品搬送供給装置の好適な一実施形態の主に回遊経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面に基づき、詳細に説明する。なお、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
【0023】
図1は、本発明に係る物品搬送供給装置の一実施形態が実装された包装システムの一部を示している。この包装システムは、物品を搬送する第一搬送装置11と、その第一搬送装置11の上流側に配置され物品1をその第一搬送装置11に供給する供給コンベア装置10と、第一搬送装置11の一方の側縁に沿って配置される第二搬送装置14と、第一搬送装置11上の物品1をピックアップして第二搬送装置14に移し替える移し替えロボット15と、第一搬送装置11の他方の側縁に沿って配置されるリターン搬送装置17と、第一搬送装置11から搬出される物品を回収し、リターン搬送装置17に供給する回収コンベア16と、第一搬送装置11上でピックアップされない所定の物品1を排出する系外搬出通路18等を備える。さらに図示省略するが、第二搬送装置14の下流側には、物品1を包装する包装機本体等を配置する。
【0024】
供給コンベア装置10は、例えば横サン付傾斜コンベアから構成すると良い。この供給コンベア装置10は、搬送面を構成するエンドレスベルト20の表面に、所定間隔ごとに幅方向に延びる横サン21を備え、エンドレスベルト20の搬送面が下流側に向けて下方傾斜状に配置する。図示省略する供給コンベア装置10の上流側の搬送路から、供給コンベア装置10の搬入側に物品1がランダムに供給される。これにより、その供給された物品1は、エンドレスベルト20の回転に伴い下方傾斜状の搬送面に案内され、前方の横サン21に直接或いは前方の物品1に接触した状態でスムーズに搬送される。そして、供給コンベア装置10は、次段の第一搬送装置11に物品1を順次供給する。
【0025】
第一搬送装置11の搬送方向と、供給コンベア装置10の搬送方向は直交しており、供給コンベア装置10は、第一搬送装置11の上流側の一方サイド(本形態では、搬送方向の右側)から物品1を供給するように構成する。第一搬送装置11の搬送面の上方であって、供給コンベア装置10の搬出端の前方には、第一ガイド部材22を配置する。第一ガイド部材22は、第一搬送装置11の搬送方向に対して45度傾斜状で先端22aが下流側に位置するように配置し、第一搬送装置11に供給された物品1の搬送方向を略90度変更し、第一搬送装置11の搬送方向に沿うようにする。
【0026】
第一搬送装置11は、搬送方向に沿って前後に同一直線上に配置される上流側コンベア12と下流側コンベア13を備える。上流側コンベア12は、例えば振動フィーダーを用いるとよい。振動フィーダーを用いた上流側コンベア12は、搬送面を構成する平板25を下流側に向けて下方傾斜状に配置する。この平板25は、図示省略する振動発生装置に連係され、搬送方向に沿った前後方向に往復移動して振動する。この振動を受けた上流側コンベア12上の物品1は、下方傾斜状の平板25の上を前進移動する。
【0027】
さらに、平板25の上方には、搬送方向と平行な方向に延びる仕切壁26を、搬送方向に対して直交する横方向に所定間隔毎に所定枚数を配置する。所定間隔は、物品1の横幅に対応する長さとし、本形態では、仕切壁26は9枚用意し、上流側コンベア12の両側壁との間も含め、合計10本の搬送通路27を形成する。上流側コンベア12上を移動する物品1は、10本の搬送通路27のうちのいずれかを縦長の搬送姿勢で通り、下流側コンベア13へ進む。
【0028】
さらに上流側コンベア12は、10本の搬送通路27を供給コンベア装置10から供給された直後の物品1が通過する通路と、リターン搬送装置17を通って戻ってきて再び上流側コンベア12に供給された物品1が通過する通路を分けるように設定した。具体的には、本形態では、供給コンベア装置10が接続され、物品1が供給される第一搬送装置11の一方のサイド(本形態では、搬送方向の右側)側から8本の搬送通路27が、当該供給された直後の物品1が通過する通路Xにし、供給コンベア装置10から離れた第一搬送装置11の他方のサイド(本形態では、搬送方向の左側)側の2本の搬送通路27が、戻ってきた物品1が通過する通路Yに設定した。
【0029】
そして、それぞれの物品1が対応するそれぞれの搬送通路27に案内するため、適宜の案内機構を備える。供給コンベア装置10から離れた第一ガイド部材22の先端22aは、第一搬送装置11の他方のサイド(本形態では、搬送方向の左側)には達せずに所定距離だけ手前側に位置させる。これにより、供給コンベア装置10から排出された物品1は、手前側から順次第一ガイド部材22により進路を変更されるので、第一搬送装置11(上流側コンベア12)一方のサイド側から中央付近に多くまとまった状態で第一搬送装置11の平板25上に位置し、そのまま下流に向けて搬送される。
【0030】
さらに本形態では、第一搬送装置11(上流側コンベア12)の他方のサイド(本形態では、搬送方向の左側)側の2本の搬送通路27の搬入口の比較的近くの上流側に、第二ガイド部材28を配置した。第二ガイド部材28は、当該他方のサイドから中央に向かって搬送方向に対して傾斜する傾斜辺を有し、その傾斜辺の先端28aが下流側に位置するように配置する。これにより、例えば供給コンベア装置10から供給された直後の物品1が、他方のサイド側の2本の搬送通路27の上流側に位置し、そのまま平板25の上を下流側に移動すると、第二ガイド部材28に接触し、直進して当該2本の搬送通路27のいずれかに物品1が進入するのを抑止する。さらに第二ガイド部材28に接触した物品1は、その第二ガイド部材28の傾斜辺に案内されその進路を上流側コンベア12の幅方向の中央側に行くように変更する。そして、第二ガイド部材28の先端28aから離反した物品1は、平板25上を上流側コンベア12の搬送方向に沿って移動し、8本の搬送通路27のいずれかに進入し、その搬送通路27(X)内を進む。
【0031】
このように、供給コンベア装置10から供給された物品1は、一方のサイド側の8本の搬送通路27のいずれかを通り、下流側コンベア13に移る。
【0032】
一方、後述するように、上記の8本の搬送通路27のいずれかを通過し、第一搬送装置11を移動中に物品移し替えロボット15でピックアップされなかった物品1は、リターン搬送装置17を経由して再び第一搬送装置11すなわち上流側コンベア12に供給されて回遊するが、このリターン搬送装置17から上流側コンベア12に供給する際に、その物品1が2本の搬送通路27(Y)のいずれかに供給されるように構成する。具体的な構成は、後述する。
【0033】
下流側コンベア13は、ベルトコンベアから構成される。本形態では、仕切壁26の下流側端部を、下流側コンベア13の幅広のエンドレスベルト30の搬送面上に突出配置する。これにより、上流側コンベア12にて各搬送通路27に振り分けられた各物品1は、下流側コンベア13に移し替えられた後も、エンドレスベルト30の搬送面上の各搬送通路27の延長線上の領域をそれぞれ移動する。よって、下流側コンベア13においても、供給コンベア装置10から供給された直後の物品1すなわち初めて下流側コンベア13に移し替えられた物品1が移動する領域Aと、リターン搬送装置17を通って戻ってきて再び下流側コンベア13に供給された物品1が移動する領域Bに分けられる。すなわち、供給コンベア装置10から物品1が供給される第一搬送装置11の一方のサイド(本形態では、搬送方向の右側)側の多くの領域を、当該供給された直後の物品1が移動し、供給コンベア装置10から離れた第一搬送装置11の他方のサイド(本形態では、搬送方向の左側)側の狭い領域を、戻ってきた物品1が移動する。
【0034】
なお本形態では、領域A,Bは同一のエンドレスベルト30のベルト面上に便宜的に区分けされるもので、異なるエンドレスベルトを平行に配置したり、例えば仕切壁を設けて物理的に区分けたりしているものではない。上流側コンベア12は、物品1を8列と2列に分けるとともに縦長の姿勢で搬送し、下流側コンベア13に送り込むため、下流側コンベア13では送り込まれた物品1は、搬送方向に対する幅方向・横方向の移動をほぼすること無くそのまま前進移動する。よって、本形態のように幅広のエンドレスベルトを用いるといった簡単な構成であって、供給コンベア装置10から供給されて初めて下流側コンベア13に至った物品1は領域Aを通り、回遊してきた物品1は領域Bを通る。
【0035】
第二搬送装置14は、ベルトコンベアからなり、第一搬送装置11の一方のサイド側に沿うように配置する。第二搬送装置14の搬送方向は、第一搬送装置11の搬送方向と逆向きとする。
【0036】
移し替えロボット15は、本形態では搬送方向に沿って4個設けている。移し替えロボット15は、パラレルリンクロボット31から構成し、吸着ハンドには、一列に並んだ5個の吸着部を有する。パラレルリンクロボット31による吸着ハンドの移動可能領域Rは、図1図3中に二点鎖線或いは実線で示した円の範囲内である。図から明らかなように、下流側コンベア13の搬送面の幅方向全域と、第二搬送装置14の幅方向全域がカバーされる。そして、移動可能領域Rは、リターン搬送装置17の搬送面はカバーしない設定にしている。
【0037】
これにより、パラレルリンクロボットにより吸着ハンドが下流側コンベア13の搬送面上の所定位置に移動し、5個の吸着部に一つずつ物品を吸着保持してピックアップし、5個の物品1が整列した物品群2を第二搬送装置14上の所定位置に移動するとともに吸引を解除して移し替え供給する。
【0038】
さらに本形態では、前後に並ぶ2個の移し替えロボット15が組となり、各組にそれぞれ設けた一つのカメラからの撮影データに基づき、下流側コンベア13上の物品1の位置を認識し、所定の物品1をピックアップする。つまり各カメラは、対応する2つの移し替えロボット15のパラレルリンクロボット31による吸着ハンドの移動可能領域Rをカバーするエリアを撮影エリアとしている。
【0039】
回収コンベア16は、下流側コンベア13の搬出端側に配置する。この回収コンベア16は、ベルトコンベアからなり、搬送方向を第一搬送装置11の搬送方向に対して直交し、第一搬送装置11の一方サイドから他方サイドに向けて移動するようにする。さらに回収コンベア16は、下流側コンベア13の幅方向に横断し、さらに搬送方向の先端を外側に突出配置する。
【0040】
これにより、下流側コンベア13の領域Aを移動中の物品1が、何れの移し替えロボット15にもピックアップされずに下流側コンベア13の下流側端部まで至ると、そのまま排出され回収コンベア16上に移し替えられる。回収コンベア16上の物品1は、回収コンベア16の搬送方向に沿って移動し、リターン搬送装置17上に移し替えられる。
【0041】
リターン搬送装置17は、ベルトコンベアからなり、第一搬送装置11の他方のサイド側に沿うように配置する。リターン搬送装置17は、その搬送方向が第一搬送装置11の搬送方向と逆向きとするメインコンベア33と、そのメインコンベア33の搬出端側に配置される補助搬送路34を備える。補助搬送路34は、搬送方向をメインコンベア33の搬送方向に対して直交し、メインコンベア33側から上流側コンベア12に向けて移動するようにする。
【0042】
さらにメインコンベア33は、その搬送面が搬出端側すなわち第一搬送装置11の上流側にいくに従って徐々に高くなるように傾斜配置すると良い。そして、メインコンベア33の搬出端側の高さは、隣接する上流側コンベア12の高さよりも所定距離だけ高くする。補助搬送路34の搬出端は、上流側コンベア12の仕切壁26を設けた領域の上方に突出するようにする。さらに補助搬送路34の搬出端34aは、搬送方向に対して交差するように傾斜辺とし、上流側コンベア12の搬送方向の下流側に位置する一端は、上流側コンベア12の他方のサイドに位置し、上流側コンベア12の搬送方向の下流側に位置する他端は、当該他方のサイドから2本目の仕切壁26の上方付近に位置させる。
【0043】
これにより、回収コンベア16から供給された物品は、メインコンベア33により第一搬送装置11の上流側に向けて移動し、補助搬送路34上で移動方向が変更されて上流側コンベア12の所定位置に落下供給される。そして、補助搬送路34の搬出端34aの位置を上述したように構成することで、その所定位置は、当該他方のサイドから2本分の搬送通路27(Y)となる。
【0044】
補助搬送路34上の物品1へ与える搬送力は、例えば、補助搬送路34を先端(上流側コンベア12側)が下方傾斜状に配置して自然落下するようにしてもよいし、各種のプッシャー部材やフィンガー等で物品1を押送するようにしても良く、各種の形態をとることができる。
【0045】
上述した回遊経路(回収コンベア16・リターン搬送装置17等)をとることで、下流側コンベア13を移動中の物品のうち移し替えロボット15でピックアップされなかった物品1は、再び上流側コンベア12に戻され、上流側コンベア12の所定の搬送通路を通って下流側コンベア13に至り、移し替えロボット15によるピックアップの対象となる。よって、例えば物品1が密集して搬送されるなどの状況で、移し替えロボット15による第二搬送装置14への移し替えがされない物品1が生じたとしても、そのまま廃棄されることなく回遊し、再び下流側コンベア13上を移動するので、移し替えロボット15によりピックアップされる可能性が高く、廃棄による食品ロスの発生を可及的に抑制する。
【0046】
さらに上述したように、本形態では、補助搬送路34の搬出端34aの位置を、第一搬送装置11の他方のサイドから1本目及び2本目の搬送通路27(Y)の上にしたため、リターン搬送装置17を移動してきた回遊する物品1は、補助搬送路34から落下して当該1本目或いは2本目の搬送通路27(Y)上に進入し、移動する。そして、当該回遊してきた物品1は、下流側コンベア13では、領域Bを移動する。
【0047】
このような構成において、移し替えロボット15は、下流側コンベア13上を移動する物品1をピックアップする際に、領域Bを移動する物品1を優先的にピックアップするように構成する。すなわち、領域Bに存在する物品1を検知すると、その物品1をピックアップする制御を行う。
【0048】
これにより、例えば供給コンベア装置10から供給された物品1がそのまま移し替えロボット15にピックアップされずに下流側コンベア13から搬出されて回遊し、再び下流側コンベア13に戻ってきて移動する物品1は、優先的に第二搬送装置14へ移し替えられる。そして、仮に物品1が冷凍食品の場合でも、回遊を1回する程度では回遊されること無く一回目でピックアップされた物品1と冷凍状態・品質はほとんど変わりが無い。
【0049】
また、本形態では、定常的・恒常的にピックアップされない物品1が生じて回遊が発生するのではなく、通常は4つの移し替えロボット15が適宜動作して領域Aを流れる物品を全てピックアップすることができるように設定・調整しておき、何かしらの原因で領域Aを流れる物品が密集してピックアップできない物品が回遊して領域Bを移動するようなシステムとしている。
【0050】
例えば、平均して数分から10分程度に1個の割合で物品1の回遊が発生すると、仮に領域Bを流れる物品1を優先してピックアップしても、同じ時期に領域Aを流れる物品1も全てピックアップすることができ、また、仮に領域Bの物品をピックアップしたことから新規の領域Aを流れる物品1をピックアップできずにリターン搬送装置17に行き回遊をしたとしても、そのような事象が継続して発生することはないので、定常的には回遊することなく物品をピックアップし、仮に回遊しても1回の回遊のみでピックアップできる。なお、常時領域Bからピックアップするような事象が発生する場合には、上流側から供給する物品1の平均的な量を調整すると良い。
【0051】
さらに本形態では、下流側コンベア13の領域Bの搬出端側には、系外搬出通路18を設ける。領域Bを通過中の物品1がピックアップされなかった場合、当該物品1は回収コンベア16に至ることなく系外搬出通路18を通って排出される。これにより、回遊は1回までとなるので、第二搬送装置14に移し替えられた物品群2は、供給コンベア装置10から供給された直後の回遊していない物品1か或いは1回のみ回遊した物品1から構成されるため、冷凍状態・品質が保証される。
【0052】
上述した実施形態では、下流側コンベア13の領域Bの搬出側には系外搬出通路18を設け、一回回遊した物品がピックアップできない場合には、そのまま破棄するようにしたが、例えば、系外搬出通路18と回遊経路(回収コンベア16・リターン搬送装置17)のいずれかに振り分ける機構を設け、複数回の回遊を許容し、所定の条件になったら物品を系外搬出通路18に導いて廃棄するようにしてもよい。または、系外搬出通路18を設けずに移し替えロボット15等によって系外搬出してもよい。
【0053】
所定の条件は、例えば、その物品が回遊している回数を計数し、所定回数を超えた場合とするとよい。また、同一物品の回遊している回数が計数できない場合、所定の条件は、例えば、回遊経路、例えばリターン搬送装置17に物品が進入してから所定時間(例えば3分間)経過しても回遊経路に物品が存在している場合とするとよい。このようにすると、所定時間経過しても回遊経路に物品が存在している場合には、同一の物品が回遊し続けているケースと、同一の物品ではないが次々と1回目でピックアップされずに回遊する物品が発生している状態のため、何れの場合も一度系外廃棄して状態をリセットすると良い。また、所定時間経過の起算点は、上述したようにリターン搬送装置17に物品が進入したとき(入口で検知)に限ることはなく、リターン搬送装置17から搬出されたとき(出口で検知)や、リターン搬送装置17上の搬送経路の所定位置を通過したときなど、各種の基準点を設定することができる。
【0054】
このように複数回の回遊を許容するシステムは、例えばクッキーなどの壊れやすいが数回程度の回遊では最初の形状を維持するような物品に適する。係る物品の場合、複数回の回遊を許容することでより確実にピックアップすることができるとともに、多数回に渡り回遊して破損等した物品は確実に廃棄することができるので良い。
【0055】
また、回遊してきた物品を優先的にピックアップして取り出すものとして、上述した実施形態では、同一の搬送装置(下流側コンベア13)上で回遊してきた物品を搬送する領域Bと、一回目の物品を搬送する領域Aを分け、領域B上の物品1を優先して取り出すようにしたが、本発明はこれに限ることはなく、例えば一回目の物品と回遊してきた物品1が混在して搬送されるような構成において、回遊してきた物品1を特定する機能を備え、その特定した物品を優先してピックアップするようにしてもよい。
【0056】
回遊してきた物品を特定する機能は、例えば撮影した映像から回遊してきた物品をマーキングし、そのマーキングした物品を優先してピックアップすると良い。例えば画像認識システム・画像検知システム等を利用し、リターン搬送装置17から第一搬送装置11に供給された物品を検知したら、撮影した画像データ中でその物品を追い続け、当該物品がいずれかの移し替えロボット15の動作領域に進入したらピックアップするようにすると良い。または、第一搬送装置11からリターン搬送装置17に供給された物品1を検知したら、撮影した画像データ中でその物品を追い続けるようにしてもよい。また、この場合、撮影した画像データ中において追い続けている物品1の回遊回数、または経過時間の測定をするようにしてもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、同一のエンドレスベルトからなる下流側コンベア13上を移動する物品をピックアップするようにしたが、例えば、ベルトコンベアを左右に分割し、一回目の物品と回遊後の物品を搬送するエンドレスベルトを異ならせ、回遊してきた物品を搬送するエンドレスベルトは物品が取り出し位置に来たときに停止し、必ず1回目の回遊でピックアップされるようにすると良い。
【0058】
また、例えば移し替えロボット15の移動可能領域Rをリターン搬送装置17まで広げ、リターン搬送装置17上を移動する物品1を優先してピックアップするようにすると良い。また、リターン搬送装置のメインコンベア33は、連続運転せずに間欠運転しても良い。この場合、上流側コンベア12に戻さずにメインコンベア33の上流側端部から系外搬出しても良い。
【0059】
また、上述した実施形態では、下流側コンベア13に移し替えられた物品1が移動する領域Aと、リターン搬送装置17を通って戻ってきて再び下流側コンベア13に供給された物品1が移動する領域Bに仮想的に分け、対応する物品がそれぞれの領域に至るようにしたが、エンドレスベルト30のベルト面上に領域A,Bの間に仕切壁を設けて物理的に区分けしても良い。
【0060】
以上様々な変形例の一例について説明したが、本発明はこれに限ることはなくさらに各種の変形実施が可能である。但し、実施形態で説明した構成が、簡単な構成・制御で回遊してきた物品を優先的にピックアップして取り出すことができるのでよい。
【0061】
以上、本発明の様々な側面を実施形態並びに変形例を用いて説明してきたが、これらの実施形態や説明は、本発明の範囲を制限する目的でなされたものではなく、本発明の理解に資するために提供されたものであることを付言しておく。本発明の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や製法に限定されるものではなく、本明細書に開示される本発明の様々な側面の組み合わせをも、その範囲に含むものである。本発明のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に特定したが、現在の処は特許請求の範囲に特定されていない構成であっても、本明細書に開示される構成を、将来的に特許請求する可能性があることを、念のために申し述べる。
【符号の説明】
【0062】
1 :物品
2 :物品群
10 :供給コンベア装置
11 :第一搬送装置
12 :上流側コンベア
13 :下流側コンベア
14 :第二搬送装置
15 :移し替えロボット
16 :回収コンベア
17 :リターン搬送装置
18 :系外搬出通路
22 :第一ガイド部材
25 :平板
26 :仕切壁
27 :搬送通路
28 :第二ガイド部材
30 :エンドレスベルト
31 :パラレルリンクロボット
33 :メインコンベア
34 :補助搬送路
図1
図2
図3
図4