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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】枕及び枕パーツ
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/10 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A47G9/10 M
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019185491
(22)【出願日】2019-10-08
(65)【公開番号】P2021058475
(43)【公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000196129
【氏名又は名称】西川株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】山田 志奈乃
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 賢悟
【審査官】遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3206144(JP,U)
【文献】特開2013-042856(JP,A)
【文献】登録実用新案第3142823(JP,U)
【文献】特開2012-239775(JP,A)
【文献】登録実用新案第3129552(JP,U)
【文献】実開平04-096219(JP,U)
【文献】特開2001-000213(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる一対の短辺、及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる一対の長辺を有する下部枕パーツと、
前記下部枕パーツの上方に位置し、前記第1方向に延びる一対の短辺、及び前記第2方向に延びる一対の長辺を有する上部枕パーツと、
前記下部枕パーツ及び前記上部枕パーツを互いに接合するファスナーと、
を備え、
前記ファスナーは、前記下部枕パーツ及び前記上部枕パーツのそれぞれの前記短辺及び前記長辺に沿って環状に設けられる一対のエレメントと、前記一対のエレメントを開閉するスライダーと、を有し、
前記一対のエレメントが開放されたときに、前記下部枕パーツ及び前記上部枕パーツが互いに分離可能とされており、
前記上部枕パーツの表面を囲む環状領域の下側には外縁部が形成されており、前記外縁部の更に下側には前記外縁部に沿って延びる第1紐状部が形成されており、
前記上部枕パーツ、前記外縁部、前記第1紐状部及び前記ファスナーがこの順で並んでいる、
枕。
【請求項2】
前記ファスナーは、閉じられた前記一対のエレメントを被覆する被覆部を有する、
請求項1に記載の枕。
【請求項3】
前記一対のエレメントが完全に閉じられた状態において、前記スライダーは、前記下部枕パーツの前記短辺、及び前記上部枕パーツの前記短辺の間に位置する、
請求項1又は2に記載の枕。
【請求項4】
前記スライダーは、前記エレメントが閉じられた状態において前記上部枕パーツ及び前記下部枕パーツの四隅のうち首から最も遠い箇所に位置している、
請求項1又は2に記載の枕。
【請求項5】
第1方向に延びる一対の短辺、及び前記第1方向に交差する第2方向に延びる一対の長辺を有する枕パーツであって、
他の前記枕パーツに接合するファスナーを備え、
前記ファスナーは、前記短辺及び前記長辺に沿って環状に設けられており、
前記ファスナーが開放されたときに、他の前記枕パーツから分離可能とされており、
前記枕パーツの表面を囲む環状領域の下側には外縁部が形成されており、前記外縁部の更に下側には前記外縁部に沿って延びる第1紐状部が形成されており、
前記枕パーツ、前記外縁部、前記第1紐状部及び前記ファスナーがこの順で並んでいる、
枕パーツ。
【請求項6】
前記長辺から突出する第2紐状部を備える、
請求項5に記載の枕パーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、使用者の頭部が載せられる枕及び枕パーツに関する。
【背景技術】
【0002】
枕としては、従来から種々のものが知られている。実用新案登録第3154563号公報には、寝具用枕が記載されている。寝具用枕は下層枕と上層枕とを備え、下層枕と上層枕は縫着部を介して互いに連結されている。下層枕及び上層枕のそれぞれは複数の区画室を有し、各区画室には各区画室を開閉するファスナーが設けられている。各区画室には、ファスナーを開放して詰め物を収容可能とされている。
【0003】
下層枕及び上層枕のそれぞれは横長の長方形状とされている。前述した縫着部は、下層枕の1つの長辺と上層枕の1つの長辺とによって構成されている。下層枕及び上層枕の縫着部以外の各3辺には、ファスナーが設けられている。下層枕の3辺のファスナーと上層枕の3辺のファスナーとを開閉することによって、下層枕及び上層枕を開閉可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3154563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した寝具用枕では、下層枕と上層枕とを開閉することは可能である。しかしながら、下層枕と上層枕とは一体とされているので、下層枕及び上層枕は常に一体として用いられる。従って、枕全体としての高さ又は柔らかさを調整するときには、下層枕及び上層枕のいずれかの区画室の詰め物の量又は種類を調整しなければならないので、高さ又は柔らかさの調整が煩雑である場合がある。また、下層枕又は上層枕そのものの素材又は形状を調整するときには、下層枕と上層枕とが一体とされているので寝具用枕そのものを交換しなければならない場合がある。従って、素材又は形状の変更のときにコストがかかることが想定される。
【0006】
本開示は、高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができると共に、素材又形状の変更のときにかかるコストを低減させることができる枕及び枕パーツを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る枕は、第1方向に延びる一対の短辺、及び第1方向に交差する第2方向に延びる一対の長辺を有する下部枕パーツと、下部枕パーツの上方に位置し、第1方向に延びる一対の短辺、及び第2方向に延びる一対の長辺を有する上部枕パーツと、下部枕パーツ及び上部枕パーツを互いに接合するファスナーと、を備え、ファスナーは、下部枕パーツ及び上部枕パーツのそれぞれの短辺及び長辺に沿って環状に設けられる一対のエレメントと、一対のエレメントを開閉するスライダーと、を有し、一対のエレメントが開放されたときに、下部枕パーツ及び上部枕パーツが互いに分離可能とされており、枕パーツとファスナーの間に一定の幅を有すがる外縁部と第1紐状部が配置されており、上側枕パーツ、外縁部、第1紐状部及びファスナーがこの順で並んでいる
【0008】
この枕は下部枕パーツ及び上部枕パーツを互いに接合するファスナーを備え、ファスナーの各エレメントは環状に設けられる。ファスナーのスライダーは、下部枕パーツに設けられたエレメントと上部枕パーツに設けられたエレメントとを開閉する。スライダーが一対のエレメントを開放したときに、下部枕パーツ及び上部枕パーツが互いに分離可能とされる。従って、下部枕パーツと上部枕パーツとを分離できるので、下部枕パーツ及び上部枕パーツのいずれかを取り換えるだけで枕の高さ又は柔らかさを調整することができる。その結果、枕の高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができる。また、下部枕パーツ及び上部枕パーツのいずれかを交換するだけで枕の素材又は形状を調整することができる。従って、下部枕パーツ及び上部枕パーツのいずれかの交換によって素材又は形状の変更が可能となるので、素材又は形状の変更のときにかかるコストを低減させることができる。
【0009】
また、ファスナーは、閉じられた一対のエレメントを被覆する被覆部を有してもよい。この場合、閉じられた一対のエレメントが被覆部によって被覆されるので、ファスナーのエレメントを使用者の身体に直接当たらないようにすることができる。従って、睡眠中等に使用者の身体がエレメントに当たって使用者に違和感を感じさせる事態を回避することができる。
【0010】
また、一対のエレメントが完全に閉じられた状態において、スライダーは、下部枕パーツの短辺、及び上部枕パーツの短辺の間に位置してもよい。この場合、一対のエレメントが完全に閉じられたときにスライダーが各長辺の端部側に位置することとなるので、スライダーから使用者の身体までの距離を長くすることができる。従って、ファスナーのスライダーを使用者の身体に当たりにくくすることができる。スライダーは、エレメントが閉じられた状態において上部枕パーツ及び下部枕パーツの四隅のうち首から最も遠い箇所に位置していてもよい。
【0011】
本開示に係る枕パーツは、第1方向に延びる一対の短辺、及び第1方向に交差する第2方向に延びる一対の長辺を有する枕パーツであって、他の枕パーツに接合するファスナーを備え、ファスナーは、短辺及び長辺に沿って環状に設けられており、ファスナーが開放されたときに、他の枕パーツから分離可能とされており、枕パーツとファスナーの間に一定の幅を有する外縁部と第1紐状部が配置されており、上側枕パーツ、外縁部、第1紐状部及びファスナーがこの順で並んでいる。枕パーツは、長辺から突出する第2紐状部を備えてもよい。
【0012】
この枕パーツは、他の枕パーツに接合されるファスナーを備え、ファスナーは環状に設けられる。ファスナーが開放されたときに、枕パーツは他の枕パーツから分離可能とされている。よって、枕パーツは他の枕パーツから分離可能とされているので、枕パーツの取り換えによって枕の高さ又は柔らかさを調整することができる。従って、枕の高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができる。また、枕全体を交換しなくても、枕パーツを交換すれば枕の素材又は形状の変更が可能となるので、枕の素材又は形状のときにかかるコストを低減させることができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができると共に、素材又形状の変更のときにかかるコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、実施形態に係る枕の上部枕パーツの外面を示す平面図である。
図2図2は、図1の枕の下部枕パーツの外面を示す平面図である。
図3図3は、図1の上部枕パーツの内面を示す平面図である。
図4図4は、図2の下部枕パーツの内面を示す平面図である。
図5図5は、図1の枕のファスナーのスライダーと被覆部を示す斜視図である。
図6図6は、図5のファスナーの一対のエレメントが開放された状態の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下では、図面を参照しながら本開示に係る枕及び枕パーツの実施形態について説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
【0016】
図1は、本実施形態に係る枕1を枕パーツ2側から見た平面図である。図2は、枕1を枕パーツ2とは異なると共に枕パーツ2の反対側を向く枕パーツ3側から見た平面図である。図1及び図2に示されるように、枕1は、敷き寝具に接触する下側枕パーツである枕パーツ3と、枕パーツ3の上方に位置すると共に枕1の使用者の頭部が載せられる上側枕パーツである枕パーツ2とを備える。本実施形態では、枕パーツ3の種類が枕パーツ2の種類とは異なる例について説明する。
【0017】
枕パーツ2及び枕パーツ3は、互いに分離可能とされており、例えば、枕1から枕パーツ2及び枕パーツ3の一方のみを交換することが可能とされている。枕パーツ2及び枕パーツ3は、一例として、共に平面視において長方形状とされており、枕パーツ3の上に枕パーツ2が接合されて枕1が構成される。
【0018】
枕パーツ2は、鉛直上方を向く表面2bを有し、例えば、枕パーツ2の表面2bにはキルトが施されている。枕パーツ2は、第1方向D1に延びる一対の短辺2Aと、第1方向D1に交差する第2方向D2に延びる一対の長辺2Bとを有する。第1方向D1及び第2方向D2は、例えば、互いに直交している。
【0019】
一対の短辺2A及び一対の長辺2Bは、表面2bを囲む環状領域とされており、当該環状領域の下側(枕パーツ3側)には当該環状領域に沿って延在する外縁部4が形成されている。外縁部4は、例えば、一定の幅を有する線状とされており、枕パーツ2の表面2bとは異なる材料によって構成されている。また、一対の長辺2Bのうちの一方は、例えば、第2方向D2の中央に向かうに従って枕パーツ2の第1方向D1の中央側に湾曲しており、この湾曲部分は使用者の首が載せられる部分に相当する。
【0020】
枕パーツ2は、例えば、詰め物を収容可能な内部空間2c,2d,2f,2g,2h,2j,2kを有する。内部空間2c及び内部空間2dは、第2方向D2の一方側(図1では左側)において第1方向D1に沿って並んでいる。内部空間2f、内部空間2g及び内部空間2hは、第2方向D2の中央において第1方向D1に沿って並んでいる。
【0021】
内部空間2fは第1方向D1の一方側(図1では上側)に配置されており、内部空間2hは第1方向D1の他方側(図1では下側)に配置されている。内部空間2gは内部空間2f及び内部空間2hの間に配置されている。内部空間2jは第1方向D1の一方側に設けられており、内部空間2kは第1方向D1の他方側に配置されている。
【0022】
枕パーツ2は、第1方向D1に延びる複数の第1仕切り部7aと、第2方向D2に沿って延びる複数の第2仕切り部7bとを有し、複数の第1仕切り部7a及び複数の第2仕切り部7bによって内部空間2c,2d,2f,2g,2h,2j,2kに仕切られている。例えば、2本の第1仕切り部7aが第1方向D1に沿って延在しており、4本の第2仕切り部7bが第2方向D2に沿って延在している。以上のように、枕パーツ2は、7つの内部空間を有し、それぞれの内部空間に詰め物を収容可能とされている。しかしながら、枕パーツ2の内部空間の数及び配置態様は上記の例に限られず適宜変更可能である。
【0023】
枕パーツ3は、鉛直下方を向く表面3bを有し、例えば、枕パーツ3の表面3bは平布とされている。平面視における枕パーツ3の形状は、平面視における枕パーツ2の形状と対応しており、例えば、平面視における枕パーツ2の形状と同一であってもよい。枕パーツ3は、第1方向D1に延びる一対の短辺3Aと、第2方向D2に延びる一対の長辺3Bとを有する。一対の短辺3A及び一対の長辺3Bは、表面3bを囲む環状領域とされており、当該環状領域の上側(枕パーツ2側)には当該環状領域に沿って延在するファスナー10が設けられている。
【0024】
ファスナー10は、枕パーツ2及び枕パーツ3を互いに接合するファスナーであり、例えば、閉じられた状態でファスナー10のエレメント12(図6参照)が隠れるコンシールファスナーである。ファスナー10は、環状とされており、第1方向D1及び第2方向D2に延びる枕1の外周を一周して枕パーツ2及び枕パーツ3を互いに着脱可能とされている。ファスナー10の構成については後に詳述する。
【0025】
一対の長辺3Bのうちの一方は、例えば、第2方向D2の中央に向かうに従って枕パーツ3の第1方向D1の中央側に湾曲しており、この湾曲している部分は枕パーツ2の前述した湾曲部分に載せられる。枕パーツ3は、例えば、詰め物を収容可能な内部空間3c,3d,3f,3g,3h,3j,3kを有する。
【0026】
内部空間3c,3d,3f,3g,3h,3j,3kのそれぞれは、例えば、枕パーツ2の内部空間2c,2d,2f,2g,2h,2j,2kのそれぞれに枕1の厚さ方向(高さ方向)に対向する。このように、枕パーツ3は、7つの内部空間を有し、それぞれの内部空間に詰め物を収容可能とされている。従って、枕1としては、合計14の内部空間を有し、14の内部空間に互いに異なる種類及び互いに異なる量の詰め物を収容可能であるため、使用者の好みに応じて枕1の高さ及び硬さを任意に変更することができる。
【0027】
図3は、表面2bの反対側に位置する枕パーツ2の裏面2mを示す平面図である。図4は、表面3bの反対側に位置する枕パーツ3の裏面3mを示す平面図である。枕パーツ2は、内部空間2c,2d,2f,2g,2h,2j,2kのそれぞれに対応するファスナー5c,5d,5f,5g,5h,5j,5kを備える。
【0028】
ファスナー5c,5d,5f,5g,5h,5j,5kの開閉によって内部空間2c,2d,2f,2g,2h,2j,2kのそれぞれに収容する詰め物の種類及び量を変更可能とされている。枕パーツ3はファスナー6c,6d,6f,6g,6h,6j,6kを備えており、ファスナー6c,6d,6f,6g,6h,6j,6kの開閉によって内部空間3c,3d,3f,3g,3h,3j,3kのそれぞれに収容する詰め物の種類及び量を変更可能とされている。例えば、ファスナー5c,5d,5f,5g,5h,5j,5k及びファスナー6c,6d,6f,6g,6h,6j,6kのそれぞれは、第2方向D2に延びる直線状とされている。
【0029】
枕パーツ3は、例えば、長辺3Bから突出する紐状部3x,3y,3zを備え、紐状部3x,3y,3zは洗濯ばさみ等が引っ掛けられる引掛部とされている。この紐状部3x,3y,3zによって洗濯された枕パーツ3を容易に干すことが可能となる。なお、枕パーツ3の紐状部の形状、大きさ、数及び配置態様は、紐状部3x,3y,3zに限られず、適宜変更可能である。また、枕パーツ2が紐状部を備えていてもよい。
【0030】
次に、ファスナー10の構成について詳細に説明する。ファスナー10は、枕パーツ2及び枕パーツ3のそれぞれの短辺2A,3A及び長辺2B,3Bに沿って環状に設けられる一対のエレメント12と、一対のエレメント12を開閉するスライダー11とを備える。一対のエレメント12が完全に閉じられた状態において、スライダー11は、例えば、枕パーツ2の短辺2A及び枕パーツ3の短辺3Aの間に位置する。
【0031】
具体的には、スライダー11は、エレメント12が閉じられた状態において枕パーツ2及び枕パーツ3の隅部(例えば、四隅のうち首から最も遠い箇所)に位置している。すなわち、スライダー11は、枕パーツ2の短辺2Aの第1方向D1の端部、及び枕パーツ3の第1方向D1の端部に位置する。スライダー11がこの位置に配置されることにより、スライダー11を使用者の首から遠い箇所に配置することが可能となるため、スライダー11を使用者の身体に当たりにくくすることができる。
【0032】
図5は、一対のエレメント12が閉じられたときのファスナー10のスライダー11を拡大した斜視図である。図5に示されるように、枕パーツ2の表面2bを囲む環状領域の下側には外縁部4が形成されており、外縁部4の更に下側には外縁部4に沿って延びる紐状部9が形成されている。
【0033】
枕パーツ2、外縁部4、紐状部9及びファスナー10がこの順で並んでおり、枕パーツ2とファスナー10の間に一定の幅を有する外縁部4と紐状部9が配置されている。従って、ファスナー10の位置を上側枕パーツである枕パーツ2から離れた位置とすることができるので、ファスナー10を使用者の身体に当たりにくくすることができる。
【0034】
図6は、一対のエレメント12が開かれた状態を示す斜視図である。図5及び図6に示されるように、エレメント12は一端部12bから他端部12cまで枕1の外周(前述した枕パーツ2,3の環状領域)に沿って1周以上延びている。また、平面視において、エレメント12の一端部12bの位置はエレメント12の他端部12cの位置に隣接している。
【0035】
ファスナー10は、例えば、閉じられた一対のエレメント12を被覆する被覆部13をを有するコンシールファスナーである。ファスナー10は、箱12dと箱棒12fと蝶棒12gとを含むオープンファスナーとなっており、一対のエレメント12を互いに分離可能とされている。
【0036】
ファスナー10では、例えば図6に示される状態から、蝶棒12gをスライダー11及び箱12dに保持してスライダー11を他端部12cから離間し、スライダー11を一方向(図6では左方向)に沿って枕1を一周させることによって一対のエレメント12を閉じる。ファスナー10では、例えば図5に示される状態から、スライダー11を一端部12bから離間させ、スライダー11を上記一方向の反対方向(図5では右方向)に沿って枕1を一周させることによって一対のエレメント12を開放して枕パーツ3から枕パーツ2を完全に分離することが可能である。
【0037】
次に、本実施形態に係る枕1及び枕パーツ2,3から得られる作用効果について詳細に説明する。枕1は上部枕パーツである枕パーツ2と下部枕パーツである枕パーツ3とを互いに接合するファスナー10を備え、ファスナー10の各エレメント12は枕1を一周する環状に設けられる。ファスナー10のスライダー11は、枕パーツ3に設けられたエレメント12と、枕パーツ2に設けられたエレメント12とを開閉する。スライダー11が一対のエレメント12を開放したときに、枕パーツ3及び枕パーツ2が互いに分離可能とされる。従って、枕パーツ2と枕パーツ3とを分離できるので、枕パーツ2及び枕パーツ3のいずれかを取り換えるだけで枕1の高さ又は柔らかさを調整することができる。
【0038】
その結果、枕1の高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができる。また、枕パーツ2及び枕パーツ3のいずれかを交換するだけで枕1の素材又は形状を調整することができる。従って、枕パーツ2及び枕パーツ3のいずれかの交換によって素材又は形状の変更が可能となるので、素材又は形状の変更のときにかかるコストを低減させることができる。
【0039】
また、ファスナー10は、閉じられた一対のエレメント12を被覆する被覆部13を有してもよい。この場合、閉じられた一対のエレメント12が被覆部13によって被覆されるので、ファスナー10のエレメント12を使用者の身体に直接当たらないようにすることができる。従って、睡眠中等に使用者の身体がエレメント12に当たって使用者に違和感を感じさせる事態を回避することができる。
【0040】
また、一対のエレメント12が完全に閉じられた状態において、スライダー11は、枕パーツ3の短辺3A、及び枕パーツ2の短辺2Aの間に位置してもよい。この場合、一対のエレメント12が完全に閉じられたときにスライダー11が長辺2B,3Bの端部側に位置することとなるので、スライダー11から使用者の身体までの距離を長くすることができる。従って、ファスナー10のスライダー11を使用者の身体に当たりにくくすることができる。
【0041】
本実施形態に係る枕パーツ2は、枕パーツ3に接合されるファスナー10を備え、ファスナー10は環状に設けられる。ファスナー10が開放されたときに、枕パーツ2は枕パーツ3から分離可能とされている。よって、枕パーツ2は枕パーツ3から分離可能とされているので、枕パーツ2の取り換え(又は枕パーツ3の取り換え)によって枕1の高さ又は柔らかさを調整することができる。従って、枕1の高さ又は柔らかさの調整を容易に行うことができる。また、枕1の全体を交換しなくても、枕パーツ2(又は枕パーツ3)を交換すれば枕1の素材又は形状の変更が可能となるので、枕1の素材又は形状のときにかかるコストを低減させることができる。
【0042】
以上、本開示に係る枕及び枕パーツの実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述の実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用されるものであってもよい。すなわち、枕及び枕パーツの各部の形状、大きさ、材料、数及び配置態様は、上記の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0043】
例えば、前述の実施形態では、7分割されている枕パーツ2及び枕パーツ3について説明した。しかしながら、枕パーツ2及び枕パーツ3の分割数は、2以上且つ6以下、又は8以上であってもよい。また、枕パーツ2及び枕パーツ3のいずれかは分割されていなくてもよい。例えば、下側枕パーツである枕パーツ3が分割されていて、上側枕パーツである枕パーツ2は分割されていなくてもよい。この場合、枕パーツ2が平坦状とされるので、枕の凹凸を好まない使用者に対しても好適な枕1を提供することが可能となる。
【0044】
また、前述の実施形態では、上側枕パーツである枕パーツ2の種類と、下側枕パーツである枕パーツ3の種類とが互いに異なる例について説明した。しかしながら、上側枕パーツの種類と下側枕パーツの種類とが互いに同一であってもよい。この場合、枕を構成する枕パーツの共通化が可能となるので、枕パーツの製造等にかかるコストを抑えることができる。
【0045】
また、前述の実施形態では、一対の長辺2Bのうちの一方が第2方向D2の中央に向かうに従って第1方向D1の中央側に湾曲している枕パーツ2について例示した。しかしながら、枕パーツの形状は上記の例に限られず適宜変更可能である。例えば、一対の長辺2Bのうちの一方が第2方向D2の中央に向かうに従って第1方向D1に突出している枕パーツであってもよい。更に、第1方向D1の中央において第2方向D2に延在する基準線に対して互いに対称な形状とされた枕パーツであってもよい。この場合、枕パーツの第1方向D1への向きを逆にしても逆にする前と同様に枕パーツを使用することができるので、枕パーツの向きを気にせず枕を使用することが可能となる。
【符号の説明】
【0046】
1…枕、2…枕パーツ(上部枕パーツ)、2A…短辺、2b…表面、2B…長辺、2c,2d,2f,2g,2h,2j,2k…内部空間、2m…裏面、3…枕パーツ(下部枕パーツ)、3A…短辺、3b…表面、3B…長辺、3c,3d,3f,3g,3h,3j,3k…内部空間、3m…裏面、3x,3y,3z…紐状部、4…外縁部、5c,5d,5f,5g,5h,5j,5k,6c,6d,6f,6g,6h,6j,6k…ファスナー、7a…第1仕切り部、7b…第2仕切り部、9…紐状部、10…ファスナー、11…スライダー、12…エレメント、12b…一端部、12c…他端部、12d…箱、12f…箱棒、12g…蝶棒、13…被覆部、D1…第1方向、D2…第2方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6