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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】中空部材の遮断構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20231124BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20231124BHJP
   C08J 9/06 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B62D25/04 Z
F16B11/00 B
C08J9/06 CEQ
C08J9/06 CER
C08J9/06 CEZ
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019193554
(22)【出願日】2019-10-24
(65)【公開番号】P2021066342
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101905
【氏名又は名称】イイダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】恩田 貴量
【審査官】西中村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-099960(JP,A)
【文献】特表2010-522117(JP,A)
【文献】特開2016-055781(JP,A)
【文献】特開2013-087130(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0050735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/04
G10K 11/16
F16B 11/00
C08J 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の構成部材であるとともに長手方向を有する形状の中空部材と、前記中空部材の中空部に配置される遮断部材と、を備える中空部材の遮断構造であって、
前記中空部材は、複数の構成パネルと、前記複数の構成パネルを接合することで前記中空部を形成する接合部と、を有し、
前記遮断構造は、第1遮断構造と、前記中空部材の長手方向に沿って前記第1遮断構造と隣り合う第2遮断構造と、から構成される複合遮断構造を有し、
前記第1遮断構造は、前記中空部材の長手方向に対して直交する直交方向において、前記遮断部材及び前記接合部を有し、
前記第2遮断構造は、前記直交方向において、前記遮断部材及び前記接合部のうち、前記接合部のみを有し、
前記複合遮断構造は、前記第1遮断構造の前記接合部と前記第2遮断構造の前記接合部とが連続した構造を有
前記接合部は、接着剤により形成された接合部を含み、
前記第1遮断構造は、前記接着剤により形成された前記接合部と、前記遮断部材の少なくとも一部分とが接触した構造を有する、中空部材の遮断構造。
【請求項2】
前記中空部材の前記中空部は、前記直交方向に沿って配列される複数から構成され、
少なくとも一つの中空部に配置された前記遮断部材を有する前記複合遮断構造を備える、請求項1に記載の中空部材の遮断構造。
【請求項3】
前記中空部材の前記中空部は、第1の中空部と、前記直交方向に沿って前記第1の中空部と隣り合う第2の中空部と、を有し、
前記遮断部材は、前記第1の中空部に配置される第1遮断部材と、前記第2の中空部に配置される第2遮断部材とを有し、
前記複合遮断構造は、前記第1遮断部材を有する第1複合遮断構造と、前記第2遮断部材を有する第2複合遮断構造と、を含む、請求項1に記載の中空部材の遮断構造。
【請求項4】
前記第1複合遮断構造の少なくとも一部分と、前記第2複合遮断構造の少なくとも一部分とは、前記直交方向において重なるように配置される、請求項3に記載の中空部材の遮断構造。
【請求項5】
前記複合遮断構造として、前記長手方向に沿って配列される一対の前記第2遮断構造と、前記一対の前記第2遮断構造の間に配置される前記第1遮断構造とから構成される複合遮断構造を含む、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の中空部材の遮断構造。
【請求項6】
前記遮断部材は、発泡体を備える、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の中空部材の遮断構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空部材の遮断構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、車両のピラー等の中空部材の中空部に発泡体を配置した構造が知られている(特許文献1参照)。中空部材の中空部に配置された発泡体は、中空部で発生する風切り音等の異音の発生を抑制する効果を発揮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-087130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のように、中空部材の中空部に配置された発泡体は、中空部において空気の遮断部分となるものの、その遮断部分の周辺に空気の流動を許容する経路が存在する場合があり、このような経路についても空気の流動を抑制することが好ましい。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、中空部における遮断部分の周辺の空気の流動を抑制することのできる中空部材の遮断構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する中空部材の遮断構造は、車両の構成部材であるとともに長手方向を有する形状の中空部材と、前記中空部材の中空部に配置される遮断部材と、を備える中空部材の遮断構造であって、前記中空部材は、複数の構成パネルと、前記複数の構成パネルを接合することで前記中空部を形成する接合部と、を有し、前記遮断構造は、第1遮断構造と、前記中空部材の長手方向に沿って前記第1遮断構造と隣り合う第2遮断構造と、から構成される複合遮断構造を有し、前記第1遮断構造は、前記中空部材の長手方向に対して直交する直交方向において、前記遮断部材及び前記接合部を有し、前記第2遮断構造は、前記直交方向において、前記遮断部材及び前記接合部のうち、前記接合部のみを有し、前記複合遮断構造は、前記第1遮断構造の前記接合部と前記第2遮断構造の前記接合部とが連続した構造を有する。
【0007】
この構成によれば、第1遮断構造の接合部と第2遮断構造の接合部とが連続した構造により、中空部における遮断部分の周辺の空気の流動を抑制することができる。
上記中空部材の遮断構造において、前記中空部材の前記中空部は、前記直交方向に沿って配列される複数から構成され、少なくとも一つの中空部に配置された前記遮断部材を有する前記複合遮断構造を備えてもよい。
【0008】
上記中空部材の遮断構造において、前記中空部材の前記中空部は、第1の中空部と、前記直交方向に沿って前記第1の中空部と隣り合う第2の中空部と、を有し、前記遮断部材は、前記第1の中空部に配置される第1遮断部材と、前記第2の中空部に配置される第2遮断部材とを有し、前記複合遮断構造は、前記第1遮断部材を有する第1複合遮断構造と、前記第2遮断部材を有する第2複合遮断構造と、を含むことが好ましい。
【0009】
この構成によれば、隣り合う第1の中空部と第2の中空部とにおいて不要な空気の流動を抑制することができる。
上記中空部材の遮断構造において、前記第1複合遮断構造の少なくとも一部分と、前記第2複合遮断構造の少なくとも一部分とは、前記直交方向において重なるように配置されることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、例えば、一方の中空部から他方の中空部へ空気が流入することを抑制することができるため、隣り合う第1の中空部と第2の中空部とにおいて空気の流動をより抑制することができる。
【0011】
上記中空部材の遮断構造において、前記複合遮断構造として、前記長手方向に沿って配列される一対の前記第2遮断構造と、前記一対の前記第2遮断構造の間に配置される前記第1遮断構造とから構成される複合遮断構造を含むことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、中空部における遮断部分の両側の空気の流動を抑制することができる。
上記中空部材の遮断構造において、前記遮断部材は、発泡体を備えてもよい。
【0013】
上記中空部材の遮断構造において、前記接合部は、接着剤により形成された接合部を含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、中空部における遮断部分の周辺の空気の流動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態における中空部材の遮断構造の一部を示す斜視図である。
図2】中空部材の遮断構造の一部を示す分解斜視図である。
図3】中空部材の遮断構造の一部を切り欠いて示す平面図である。
図4】中空部材の遮断構造の一部を切り欠いて示す側面図である。
図5】第2実施形態における中空部材の遮断構造の断面図である。
図6】中空部材の遮断構造を示す断面図である。
図7】中空部材の遮断構造の一部を切り欠いて示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、中空部材の遮断構造の第1実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、中空部材の遮断構造11は、車両の構成部材であるとともに長手方向D1を有する形状の中空部材21と、中空部材21の中空部に配置される遮断部材31とを備えている。
【0017】
中空部材21は、第1構成パネル22及び第2構成パネル23と、第1構成パネル22と第2構成パネル23とを接合することで中空部を形成する接合部24とを有している。第1構成パネル22及び第2構成パネル23は、中空部材21の長手方向D1に対応した長手方向を有している。第1構成パネル22は、平板状のパネルであり、第2構成パネル23は、ハット形状の断面を有するハット型パネルである。第2構成パネル23は、フランジ状の両側部を有している。本実施形態の接合部24は、第1接合部25及び第2接合部26から構成されている。第1接合部25は、第1構成パネル22の一側部と第2構成パネル23の一側部とを接合し、第2接合部26は、第1構成パネル22の他側部と第2構成パネル23の他側部とを接合している。
【0018】
遮断部材31は、中空部材21の長手方向D1において部分的に中空部を遮断することで、中空部における空気が長手方向D1に沿って流動することを抑制する。
図3及び図4に示すように、中空部材の遮断構造11は、第1遮断構造12と、中空部材21の長手方向D1に沿って第1遮断構造12と隣り合う第2遮断構造13とから構成される複合遮断構造14を有する。第1遮断構造12は、中空部材21の長手方向D1と直交する直交方向D2において、遮断部材31及び接合部24を有している。換言すると、第1遮断構造12は、中空部材21の長手方向D1と直交する横断面において、遮断部材31及び接合部24を有している。
【0019】
第2遮断構造13は、中空部材21の長手方向D1に対して直交する直交方向D2において、遮断部材31及び接合部24のうち、接合部24のみを有している。換言すると、第2遮断構造13は、中空部材21の長手方向D1と直交する横断面において、遮断部材31及び接合部24のうち、接合部24のみを有している。
【0020】
複合遮断構造14は、第1遮断構造12の接合部24と第2遮断構造13の接合部24とが連続した構造を有している。本実施形態の複合遮断構造14は、第1遮断構造12の第1接合部25と第2遮断構造13の第1接合部25とが連続し、かつ第1遮断構造12の第2接合部26と第2遮断構造13の第2接合部26とが連続した構造を有している。このように第1遮断構造12と第2遮断構造13とに連なる接合部24は、中空部材21の長手方向D1に沿って延在している。
【0021】
本実施形態の複合遮断構造14は、中空部材21の長手方向D1に沿って配列される一対の第2遮断構造13と、一対の第2遮断構造13の間に配置される第1遮断構造12とから構成されている。すなわち、第1遮断構造12に対して、中空部材21の長手方向D1に沿って隣り合う両位置に第2遮断構造13が配置されている。
【0022】
次に、各部材の材料について説明する。
第1構成パネル22及び第2構成パネル23を構成する材料は、例えば、鋼、アルミニウム等の金属材料、合成樹脂、セラミックス等の非金属材料等が挙げられる。第1構成パネル22の材料は、第2構成パネル23の材料と同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。例えば、第1構成パネル22の材料は、第2構成パネル23の材料と同種又は異種の金属材料や同種又は異種の非金属材料であってもよい。また、第1構成パネル22の材料を金属材料とし、第2構成パネル23の材料を非金属材料としてもよい。
【0023】
接合部24は、例えば、接着剤により形成することができる。接着剤としては、例えば、構造用接着剤、スポットシーラ等が挙げられる。接着剤は、例えば、メインポリマー、硬化剤、可塑剤、及び充填材を含有する。メインポリマーとしては、例えば、エポキシ系樹脂材料、ゴム系材料等が挙げられる。ゴム系材料としては、例えば、BR(ブタジエンゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)等が挙げられる。硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、硫黄等が挙げられる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル類、脂肪族エステル類等が挙げられる。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ等が挙げられる。第1接合部25の接着剤は、第2接合部26の接着剤と同種の接着剤であってもよいし、異種の接着剤であってもよい。なお、接着剤の組成や接着剤の塗布方法は、特に限定されない。接着剤としては、第1構成パネル22及び第2構成パネル23の材質に適した組成を有する接着剤を選択して用いることができる。また、接着剤の塗布には、例えば、ノズル及びディスペンサを備えた塗工機を用いることができる。
【0024】
遮断部材31は、例えば、発泡体を備えている。発泡体は、中空部材21の中空部に配置した発泡性部材を外部加熱することで形成することができる。発泡性部材は、発泡性材料を押出成形、プレス成形、射出成形等の周知の成形法により成形することで得られる。発泡性材料には、基材、発泡剤、及び架橋剤が含有される。発泡性材料には、必要に応じて充填剤、可塑剤等を含有させることができる。基材としては、合成樹脂、エラストマー及びゴムが挙げられる。合成樹脂としては、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、EVA(エチレン/ビニルアセテートコポリマー)等が挙げられる。エラストマーとしては、RB(ポリブタジエンエラストマー)、SBS(スチレン/ブタジエン/スチレンブロックコポリマー)、SIS(スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、SEBS(スチレン/エチレン/ブチレン/スチレンブロック共重合体)等が挙げられる。ゴムとしては、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン/ブタジエンゴム)、BR(ブタジエンゴム)、NBR(ニトリルゴム)、CR(クロロプレンゴム)、IR(イソプレンゴム)、IIR(ブチルゴム)、EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体)、UR(ウレタンゴム)、ENR(エポキシ化天然ゴム)、EPM(エチレン/プロピレンゴム)等が挙げられる。発泡剤としてはアゾジカルボンアミド、ジニトロペンタメチレンテトラミン等、架橋剤としては周知のジメチルウレア、ジシアンジアミド、充填剤としては炭酸カルシウム、硫酸バリウム、フェライト、シリカ等が挙げられる。
【0025】
次に、中空部材の遮断構造11の作用について説明する。
中空部材の遮断構造11において、第1遮断構造12の接合部24と第2遮断構造13の接合部24とが連続した構造により、中空部における遮断部分の周辺の空気の流動を抑制することができる。例えば、図3に白抜き矢印で示すように、中空部材21の中空部において第1遮断構造12の遮断部材31に沿って流動する空気は、第1構成パネル22と第2構成パネル23との間に向かって流動する場合がある。このように遮断部材31に沿って第1構成パネル22と第2構成パネル23との間に向かう空気の流動を第1遮断構造12の接合部24と第2遮断構造13の接合部24とが連続した構造により抑制することで、例えば、遮断部材31の周辺の中空部から中空部外へ空気が漏れ出すことを抑制することができる。
【0026】
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)中空部材の遮断構造11は、第1遮断構造12と、中空部材21の長手方向D1に沿って第1遮断構造12と隣り合う第2遮断構造13とから構成される複合遮断構造14を有している。第1遮断構造12は、中空部材21の長手方向D1に対して直交する直交方向D2において、遮断部材31及び接合部24を有している。第2遮断構造13は、直交方向D2において、遮断部材31及び接合部24のうち、接合部24のみを有している。複合遮断構造14は、第1遮断構造12の接合部24と第2遮断構造13の接合部24とが連続した構造を有している。この構成によれば、上述した作用が得られるため、中空部における遮断部分の周辺の空気の流動を抑制することができる。これにより、例えば、遮断部分の周辺の空気の流動を要因とした異音の発生を抑制することができる。
【0027】
(1-2)複合遮断構造14は、長手方向D1に沿って配列される一対の第2遮断構造13と、一対の第2遮断構造13の間に配置される第1遮断構造12とから構成されている。この場合、中空部における遮断部分の両側の空気の流動を抑制することができる。これにより、例えば、遮断部分の周辺の空気の流動を要因とした異音の発生をより抑制することができる。
【0028】
(第2実施形態)
中空部材の遮断構造11の第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0029】
図5図7に示すように、第2実施形態の中空部材21は、直交方向D2に沿って配列される一対の中空部を有している。この中空部材21は、第1構成パネル22を第2構成パネル23と挟み込むように配置される第3構成パネル27をさらに備えている。第3構成パネル27は、ハット形状の断面を有するハット型パネルであり、フランジ状の両側部を有している。第3構成パネル27の材料は、第1構成パネル22又は第2構成パネル23の材料と同種の材料であってもよいし、異種の材料であってもよい。
【0030】
中空部材21の接合部24は、第1構成パネル22と第2構成パネル23とを接合する接合部24としての第1接合部25a及び第2接合部26aと、第1構成パネル22と第3構成パネル27とを接合する接合部24としての第1接合部25b及び第2接合部26bとから構成されている。各接合部の接着剤の種類は、独立して選択することができる。
【0031】
中空部材21は、第1構成パネル22と第2構成パネル23とが接合されることで形成される第1の中空部に加えて、第1構成パネル22と第3構成パネル27とが接合されることで形成される第2の中空部を有している。第1の中空部と第2の中空部とは、第1構成パネル22を介して隣り合っている。すなわち、中空部材21の中空部は、中空部材21の長手方向D1に沿って延在する第1構成パネル22で第1の中空部と第2の中空部とに区画されている。
【0032】
本実施形態の遮断部材31は、第1の中空部に配置される第1遮断部材31aと、第2の中空部に配置される第2遮断部材31bとを有している。第1遮断部材31aの発泡体は、第2遮断部材31bの発泡体と同種の発泡体であってもよいし、異種の発泡体であってもよい。
【0033】
図7に示すように、複合遮断構造14は、第1遮断部材31aを有する第1複合遮断構造14aと、第2遮断部材31bを有する第2複合遮断構造14bとから構成されている。第1複合遮断構造14a及び第2複合遮断構造14bは、いずれも中空部材21の長手方向D1に沿って配列される一対の第2遮断構造13と、一対の第2遮断構造13の間に配置される第1遮断構造12とから構成されている。第1複合遮断構造14aの少なくとも一部分と第2複合遮断構造14bの少なくとも一部分とは、直交方向D2において重なるように配置されている。換言すると、中空部材の遮断構造11において、中空部材21の長手方向D1と直交する横断面は、第1複合遮断構造14aと第2複合遮断構造14bとのいずれも配置される横断面を含む。
【0034】
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)複合遮断構造14は、第1遮断部材31aを有する第1複合遮断構造14aと、第2遮断部材31bを有する第2複合遮断構造14bとを含むことにより、隣り合う第1の中空部と第2の中空部とにおいて不要な空気の流動を抑制することができる。
【0035】
(2-2)第1複合遮断構造14aの少なくとも一部分と第2複合遮断構造14bの少なくとも一部分とが直交方向D2において重なるように配置されることで、例えば、一方の中空部から他方の中空部へ空気が流入することを抑制することができるため、隣り合う第1の中空部と第2の中空部とにおいて空気の流動をより抑制することができる。
【0036】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0037】
・例えば、第2構成パネル23の場合、直交方向D2においてフランジ状の側部の全体に接合部24を配置せずに、フランジ状の側部における側縁側のみに接合部24を配置してもよいし、接合部24を中空部内へ延出するように接合部24を配置してもよい。
【0038】
・例えば、第2構成パネル23のフランジ状の側部を省略した形状の構成パネルを用いてもよい。この場合、例えば、構成パネルの端面に接合部24を設けることができる。このように接合部24の配置は複数の構成パネルの組み付け形態に応じて変更することができる。
【0039】
・接合部24は、接着剤により形成される接合部に限定されない。接合部24は、例えば、レーザー溶接やシーム溶接により形成された接合部であってもよい。また、スポット溶接を用いてスポット打点が連なるように複数回のスポット溶接を行うことで、第1遮断構造12の接合部24と第2遮断構造13の接合部24とを連続させることもできる。なお、一つの接合部24を接着剤と、接着剤以外のスポット溶接等の接合方法とを組み合わせて形成することもできる。
【0040】
・遮断部材31を構成する発泡体は、中空部に配置した発泡性部材を発泡させることで形成することができるが、予め準備した発泡体を中空部に配置してもよい。
・遮断部材31を非発泡体のみから構成してもよい。例えば、樹脂材料、ゴム材料等の高分子材料、金属材料等から構成した非発泡体を、中空部を塞ぐことの可能な形状に加工し、遮断部材31として用いることができる。
【0041】
・複合遮断構造14は、一対の第2遮断構造13を有しているが、いずれか一方の第2遮断構造13を省略した複合遮断構造に変更してもよい。なお、このように一つの第2遮断構造13を有する複合遮断構造は、第2実施形態の第1複合遮断構造14a及び第2複合遮断構造14bのうち、少なくとも一方の複合遮断構造に適用することができる。
【0042】
・複合遮断構造14の第1遮断構造12において、遮断部材31は、接合部24と接触しているが、遮断部材31と接合部24との間に隙間があってもよい。但し、第1遮断構造12の遮断部材31の少なくとも一部分は、接合部24と接触していることが好ましい。
【0043】
・第2実施形態において、第1複合遮断構造14a及び第2複合遮断構造14bの遮断構造のうち、一方の遮断構造を省略してもよい。すなわち、直交方向D2に沿って配列される複数の中空部を有する中空部材21を用いる場合、中空部材の遮断構造11は、少なくとも一つの中空部に配置された遮断部材31を有する複合遮断構造14を備えるようにすればよい。
【0044】
・第2実施形態において、第1複合遮断構造14aと第2複合遮断構造14bとは、直交方向D2において重ならないように配置されてもよい。
・第2実施形態では、第1複合遮断構造14aの第1遮断構造12と第2複合遮断構造14bの第1遮断構造12とが直交方向D2において重なるように配置されているが、例えば、第1複合遮断構造14aの第1遮断構造12と、第2複合遮断構造14bの第2遮断構造13とが直交方向D2において重なるように配置することもできる。また、例えば、第1複合遮断構造14aの第2遮断構造13と、第2複合遮断構造14bの第2遮断構造13とが直交方向D2において重なるように配置することもできる。このような場合であっても、隣り合う第1の中空部と第2の中空部とにおいて空気の流動をより抑制することができる。
【0045】
・一つの中空部に対して、複合遮断構造14を複数設けてもよい。
・複合遮断構造14を構成する遮断部材31以外に、複合遮断構造14を構成しない遮断部材を中空部にさらに配置することもできる。この場合の遮断部材の配置は、接合部24とともに第1遮断構造12を構成する配置であってもよいし、第1遮断構造12を構成しない配置であってもよい。また、中空部材21は、複合遮断構造14を構成しない接合部を有していてもよい。この場合の接合部の配置についても、第1遮断構造12を構成する配置であってもよいし、第1遮断構造12を構成しない配置であってもよい。
【0046】
・第1遮断構造12と第2遮断構造13とにおいて連続する接合部24、すなわち一つの複合遮断構造14を構成する接合部24は、第1接合部25及び第2接合部26の両方の接合部に限定されず、第1接合部25及び第2接合部26のうち一方の接合部であってもよい。
【0047】
ここで、上記第1及び第2実施形態のように、複合遮断構造14において、第2遮断構造13は、第1遮断構造12において遮断部材31の外周を取り囲むように配置される接合部(第1接合部及び第2接合部)の全てと連続する接合部を有していることが好ましい。
【0048】
なお、例えば、3つ以上の構成パネルから一つの中空部を形成する場合、第1遮断構造12における3つ以上の接合部と第2遮断構造13における3つ以上の接合部とが連続した複合遮断構造14を構成することもできる。
【0049】
・上記中空部材21を適用する車両の構成部材については、特に限定されず、中空部材21の構成パネルとしては、例えば、ピラー、ドアパネル、ルーフパネル、トランクリッド、フロントフードパネル、各種リンフォース等に用いられるパネル等が挙げられる。
【符号の説明】
【0050】
11…中空部材の遮断構造、12…第1遮断構造、13…第2遮断構造、14…複合遮断構造、14a…第1複合遮断構造、14b…第2複合遮断構造、21…中空部材、22…第1構成パネル、23…第2構成パネル、24…接合部、25,25a,25b…第1接合部、26,26a,26b…第2接合部、27…第3構成パネル、31…遮断部材、31a…第1遮断部材、31b…第2遮断部材、D1…長手方向、D2…直交方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7