IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 下段 純子の特許一覧

<>
  • 特許-知育定規 図1
  • 特許-知育定規 図2
  • 特許-知育定規 図3
  • 特許-知育定規 図4
  • 特許-知育定規 図5
  • 特許-知育定規 図6
  • 特許-知育定規 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】知育定規
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/02 20060101AFI20231124BHJP
   B43L 13/20 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
G09B19/02 K
B43L13/20 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019195066
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067904
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】519385065
【氏名又は名称】下段 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100086830
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 明
(74)【代理人】
【識別番号】100096046
【弁理士】
【氏名又は名称】塩入 みか
(72)【発明者】
【氏名】下段 純子
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-055846(JP,U)
【文献】実開平02-048390(JP,U)
【文献】実開昭60-085993(JP,U)
【文献】特開2010-167256(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105659052(CN,A)
【文献】Ruler Fractions = Poster/Anchor Chart with Cards,[online],2015年09月10日,https://mathfilefoldergames.com/201509/10/ruler-fractions-posteranchor-chart-with-cards/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 19/02
B43L 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明な板に円形の孔が設けられていると共に、
前記板に、円を示すマークと、前記円の中心を通り円をn等分する(nは2以上の自然数)スリットあるいは前記円の円周をn等分する(nは2以上の自然数)スリットの組が、異なるnに対応して複数組設けられている知育定規。
【請求項2】
前記スリットは円をn個の扇形に等分するスリットであることを特徴とする、請求項1の知育定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は知育定規に関し、特に分数の概念を習得するための定規に関する。
【背景技術】
【0002】
分数は小学生が算数を学ぶ上での1つの壁である。分数に習熟するための知育用具として、「分数ものさし」(図7)が知られている。分数ものさしには1を12等分~2等分した5個のスケール31~35が記され、分数は線分をn等分したものとして提示される。また分数ものさしで、 1/12+1/12=1/6; 1/6+1/6+1/6=1/2; 5/12-1/12=4/12=1/3
などが理解できる。しかし分数ものさしは1より大きな分数を扱えない。また計算過程をノートに書き表すようにはできていない。即ち手を動かして計算するようにはできていない。
【0003】
特許文献1(実用新案登録3191323)はプラスチックの半透明円板を、2等分~12等分できる教具を記載している。円板を等分した扇形を用い、
1/2+1/2=1 のように足し算ができる。また扇形を重ねることにより、
2/3-1/3=1/3 のように引き算もできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録3191323
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、
・ 子供達がノートと手を使って円をn等分すると共に、分数の計算ができ、かつ
・ 1よりも大きな分数も扱える、知育定規を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の知育定規では、板に円形の孔が設けられていると共に、前記板に、円を示すマークと、前記円の中心を通り円をn等分する(nは2以上の自然数)スリットあるいは前記円の円周をn等分する(nは2以上の自然数)スリットの組が、異なるnに対応して複数組設けられている。
【0007】
この発明の知育定規では、円形の孔を用いてノートに円を描き、円形のマークと組になっているスリットを用いて円(円形のマークが表す円)をn等分する。円のn等分は、円を扇形にn等分すること、あるいは円周をn個に等分することである。この発明では、子供達はノート上で手を動かして円を等分することにより、分数の概念に習熟することができる。また円をノートに書き、スリットで分割することにより、分数の足し算と引き算を理解できる。さらに1よりも大きな分数も扱うことができる。
【0008】
好ましくは、スリットは円をn個の扇形に等分する。円を扇形にn等分すると、分数の概念が特に分かりやすい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例の知育定規の平面図
図2】実施例の定規を用い、ノートに記した足し算の例を示す図
図3】実施例の定規を用い、ノートに記した足し算の例を示す図
図4】実施例の定規を用い、ノートに記した引き算の例を示す図
図5】変形例の知育定規の平面図
図6】変形例の知育定規の使用例を示す図
図7】従来例の「分数ものさし」の平面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1図4に実施例の知育定規1を、図5図6に変形例の知育定規21を示す。
【実施例
【0011】
図1図4において、知育定規1は1枚の透明なプラスチック板2から成り、プラスチック板2に円形の貫通孔4が設けられている。また板2上に円形のマーク12が複数刻まれている。マーク12と孔4は直径が等しいが、10%程度異なっても良い。マーク12で囲まれた円板をn等分するように、板2を貫通するスリット5~10が設けられている。各スリット5~12は、マーク12が表す円の中心を通り、半径方向に延び、マーク12が表す円をn個の扇形へ等分する。図1の右側に示すように、マーク12とスリット5~12で区切られる扇形(図1の5a,5b等)に、1/n,2/n,…等の記号を付加しても良い。nは2以上で、上限は任意で例えば12で、図1ではnの上限は8である。図1では、円形の孔4を2個設けたが、孔4を1個にし、例えばマーク12を7等分するスリットを追加しても良い。
【0012】
知育定規1は、孔4とマーク12に対応する円板をn個の扇形に等分することにより、分数の概念を子供達に提示する。例えばスリット5は円板を2等分し、スリット6は3等分し、スリット8は5等分し、スリット10は8等分する。
【0013】
図2に知育定規1の基本的な使い方を示す。なおハッチングは説明の便宜のためである。まず、孔4を用いてノートに円を書き写す。書き写した円を2分する際には、書き写した円に重なるようにスリット5のマーク12を置き、スリット5で線を書き込む。このようにすると、1÷2=1/2、 1/2+1/2=1 などが理解できる。同様に、スリット6~10を用いると、3等分から8等分(1/3~1/8)も理解できる。スリット5とスリット7を用い、あるいはスリット7のみを用いることにより、 1/4+1/4=1/2 であると分かる。図2の中段は 1・2/3+1/3=2 を表している。図2の下段は、 1・3/6+5/6=2・1/3 を表している。
【0014】
図2と同じ足し算を図3のように表すこともできる。なおハッチングは円内で注目している部分を示す。
【0015】
知育定規1は引き算にも使うことができる(図4)。図4は、 1-1/2=1/2 を2通りに示している。図4の上段では、左の円(1あるいは2/2)から、中央の半円を引くことにより、図の右側の半円(1/2)が残ることを示している。下段は、1個の円から半円を引くと、半円が残ることを示している。
【0016】
図5は変形例の知育定規21を示し、プラスチック板2を用い、円形の孔4と複数個の円形のマーク12を用いる点は図1と同様である。図1では円板をn等分することを想定したが、図5では円周をn等分するスリット22~28を設ける。スリット22はマーク12に対応する円周を2等分し、スリット23は3等分し、スリット24は4等分する。スリット25は5等分し、スリット26は6等分し、スリット28は8等分する。29はマーク12が表す円の中心を示す孔である。
【0017】
図6は、図5の知育定規21の使用例を示す。なおハッチングは、注目している部分を示す。図6の上段は 1/2+1/3=5/6 を、下段は 2/3-1/6=1/2 を示す。
【0018】
知育定規1,21では円板あるいは円周の分割として、分数を提示する。また1よりも大きな分数も扱うことができ、ノートに円とスリットを書き写すことにより、分数を子供達が自分の手で体験できる。
【0019】
知育定規1,21に定規の目盛り等を追加しても良く、またスリット5~10,スリット22~28で分割した部分に1/2、1/3等の説明、動物のマークなどを追加しても良い。またプラスチック板2は不透明でも良い。
【符号の説明】
【0020】
1,21 知育定規
2 プラスチック板
4 円形の孔
5~11 スリット
12 円形のマーク
22~28 スリット
29 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7