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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両の接合構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/20 20060101AFI20231124BHJP
   B62D 27/02 20060101ALI20231124BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20231124BHJP
   F16B 5/08 20060101ALI20231124BHJP
   F16B 11/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
B62D25/20 G
B62D25/20 F
B62D27/02
C09J201/00
F16B5/08 Z
F16B11/00 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020027221
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021130406
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000101905
【氏名又は名称】イイダ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】市丸 哲也
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-112898(JP,A)
【文献】特開2019-098902(JP,A)
【文献】特開2019-098909(JP,A)
【文献】特開2008-143936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
B62D 27/02
C09J 201/00
F16B 5/08
F16B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構成部材が接合されてなる車両の接合構造であって、
第1の構成部材と、
前記第1の構成部材と接合される第2の構成部材と、
前記第1の構成部材と前記第2の構成部材とを複数箇所で接着する複数の第1接着部と、
互いに隣り合う一対の前記第1接着部の間の位置で前記第1の構成部材と前記第2の構成部材とを接着する第2接着部と、を有し、
前記一対の前記第1接着部と、前記第2接着部との各々は、長手方向を有するとともに、前記一対の前記第1接着部と、前記第2接着部とは、前記長手方向に沿って配列され、
前記第1接着部は、第1接着剤により構成され、
前記第2接着部は、前記第1接着剤とは異なる第2接着剤により構成され、
前記第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、前記第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、E1>E2の関係を満た
前記貯蔵弾性率の差であるE1-E2をΔEとしたとき、ΔEは、0.3GPa以上である、車両の接合構造。
【請求項2】
前記第1接着部の接着面積S1と、前記第2接着部の接着面積S2とがS1<S2の関係を満たす、請求項1記載の車両の接合構造。
【請求項3】
前記車両は、メインフロア部材を備え、前記メインフロア部材は、メインパネル部材を有し、前記第1の構成部材は、前記メインパネル部材を含む、請求項1又は請求項2に記載の車両の接合構造。
【請求項4】
前記車両は、前記車両の前後方向に沿って延在する一対のロッカー部材を備え、
前記メインフロア部材は、前記一対のロッカー部材の間に跨って配置され、
前記第2の構成部材は、前記一対のロッカー部材の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の車両の接合構造。
【請求項5】
前記車両は、車幅方向に沿って延在するクロス部材を備え、
前記第2の構成部材は、前記クロス部材を含む、請求項3又は請求項4に記載の車両の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、車両は、例えば、ロッカー部材、フロアクロス部材等の複数の構成部材を接合した接合構造を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-112898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両における複数の構成部材の接合に接着剤を用いた場合、構成部材に外力が作用すると、接着剤により接着した接着部に過度な負荷が生じることで複数の構成部材の接合力を維持することが困難となる場合がある。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接着剤を用いた接着部による接合力を容易に維持することのできる車両の接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両の接合構造は、複数の構成部材が接合されてなる車両の接合構造であって、第1の構成部材と、前記第1の構成部材と接合される第2の構成部材と、前記第1の構成部材と前記第2の構成部材とを複数箇所で接着する複数の第1接着部と、互いに隣り合う一対の前記第1接着部の間の位置で前記第1の構成部材と前記第2の構成部材とを接着する第2接着部と、を有し、前記第1接着部は、第1接着剤により構成され、前記第2接着部は、前記第1接着剤とは異なる第2接着剤により構成され、前記第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、前記第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、E1>E2の関係を満たす。
【0007】
この構成によれば、第1接着部よりも変形し易い第2接着部によって、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重が分散されることで、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重による負荷が第1接着部に集中し難くなる。
【0008】
上記車両の接合構造において、前記第1接着部の接着面積S1と、前記第2接着部の接着面積S2とがS1<S2の関係を満たすことが好ましい。
この構成によれば、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重が第2接着部によってより分散され易くなる。
【0009】
上記車両の接合構造において、前記車両は、メインフロア部材を備え、前記メインフロア部材は、メインパネル部材を有し、前記第1の構成部材は、前記メインパネル部材を含んでもよい。
【0010】
上記車両の接合構造において、前記車両は、前記車両の前後方向に沿って延在する一対のロッカー部材を備え、前記メインフロア部材は、前記一対のロッカー部材の間に跨って配置され、前記第2の構成部材は、前記一対のロッカー部材の少なくとも一方を含んでもよい。
【0011】
上記車両の接合構造において、前記車両は、車幅方向に沿って延在するクロス部材を備え、前記第2の構成部材は、前記クロス部材を含んでもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、接着剤を用いた接着部による接合力を容易に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態における車両の接合構造を示す斜視図である。
図2】車両の接合構造を示す分解斜視図である。
図3図1の3-3線に沿った断面図である。
図4図1の4-4線に沿った断面図である。
図5図1の5-5線に沿った断面図である。
図6図1の6-6線に沿った断面図である。
図7図1の7-7線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、車両の接合構造の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、車両の接合構造11は、メインフロア部材12と、車両の前後方向FRに沿って延在する一対のロッカー部材21a,21bとを備えている。メインフロア部材12は、一対のロッカー部材21a,21bの間に跨って配置されている。なお、車両の接合構造11は、ロッカー部材21a,21bの外側に例えばスポット溶接により接合されるサイドメンバアウター部材22a,22bを備えている。
【0015】
メインフロア部材12は、複数のメインパネル部材13と、複数のメインパネル部材13の間に設けられ、車両の前後方向FRに沿って延在するフロア中央部材14とを備えている。フロア中央部材14は、ハット形状の断面を有している。図2及び図4に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13とロッカー部材21a,21bとを複数箇所で接着する複数の第1接着部71と、互いに隣り合う一対の第1接着部71,71の間の位置でメインパネル部材13とロッカー部材21a,21bとを接着する第2接着部81とを有している。
【0016】
第1接着部71は、第1接着剤により構成されている。第2接着部81は、第1接着剤とは異なる第2接着剤により構成されている。第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、E1>E2の関係を満たしている。
【0017】
図2及び図5に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13とフロア中央部材14とを複数箇所で接着する複数の第1接着部72と、互いに隣り合う一対の第1接着部72,72の間の位置でメインパネル部材13とフロア中央部材14とを接着する第2接着部82とを有している。第1接着部72及び第2接着部82は、それぞれ上述した第1接着剤及び第2接着剤により構成されている。
【0018】
図1及び図2に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13に接合されるクロス部材31をさらに備えている。クロス部材31は、車幅方向Wに沿って延在するように配置されている。クロス部材31は、ハット形状の断面を有している。クロス部材31は、車幅方向Wにおいて隣り合う複数のクロス部材31を含む。クロス部材31は、車両の前後方向FRにおいて離間して配置される複数のクロス部材31を含む。
【0019】
図2及び図3に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13とクロス部材31とを複数箇所で接着する複数の第1接着部73と、互いに隣り合う一対の第1接着部73,73の間の位置でメインパネル部材13とクロス部材31とを接着する第2接着部83とを有している。第1接着部73及び第2接着部83は、それぞれ上述した第1接着剤及び第2接着剤により構成されている。第1接着部73及び第2接着部83は、クロス部材31の両側縁に沿って配列されている。
【0020】
クロス部材31の長さ方向における両端部のうち一端部は、さらにロッカー部材21a又はロッカー部材21bと接合されている。本実施形態の車両の接合構造11は、クロス部材31とロッカー部材21a,21bとを接着する第1接着部91を有している。クロス部材31の長さ方向における両端部のうち他端部は、さらにフロア中央部材14と接合されている。本実施形態の車両の接合構造11は、クロス部材31とフロア中央部材14とを接着する第1接着部92を有している。第1接着部91,92は、いずれも上述した第1接着剤により構成されている。
【0021】
図1及び図2に示すように、車両の接合構造11は、メインフロア部材12よりも車両のリア側に配置されるリアフロア部材41と、フロントガラスの下側に配置されメインフロア部材12に接合されるフロント結合部材51とをさらに備えている。
【0022】
リアフロア部材41は、リアパネル部材41aと、リアパネル部材41aとメインフロア部材12との間に配置されるリア結合部材41bとを有している。リアパネル部材41aとリア結合部材41bとは、例えば、スポット溶接により接合されている。
【0023】
図2及び図6に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13とリア結合部材41bとを複数箇所で接着する複数の第1接着部74と、互いに隣り合う一対の第1接着部74,74の間の位置でメインパネル部材13とリア結合部材41bとを接着する第2接着部84とを有している。第1接着部74及び第2接着部84は、それぞれ上述した第1接着剤及び第2接着剤により構成されている。
【0024】
図2及び図7に示すように、車両の接合構造11は、メインパネル部材13とフロント結合部材51とを複数箇所で接着する複数の第1接着部75と、互いに隣り合う一対の第1接着部75,75の間の位置でメインパネル部材13とフロント結合部材51とを接着する第2接着部85とを有している。第1接着部75及び第2接着部85は、それぞれ上述した第1接着剤及び第2接着剤により構成されている。
【0025】
第1接着部71~75の接着面積S1と、第1接着部71~75に対応して設けられる第2接着部81~85の接着面積S2とは、S1<S2の関係を満たすことが好ましい。なお、接着面積は、互いに接着される一対の部材が重なる方向に見た平面視における第1接着部及び第2接着部の面積をいう。また、第1接着部の接着面積S1は、第2接着部を挟み込むように配置される一対の第1接着部の接着面積S1,S1の合計の面積をいう。また、一対の第1接着部の間に複数の第2接着部を有する場合、第2接着部の接着面積は、複数の第2接着部の接着面積S2,S2の合計の面積をいう。
【0026】
次に、第1接着剤及び第2接着剤の詳細について説明する。
第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、上記のようにE1>E2の関係を満たし、貯蔵弾性率の差であるE1-E2をΔEとしたとき、ΔEは、0.3GPa以上であることが好ましく、0.5GPa以上であることがより好ましい。なお、ΔEは、7GPa以下であることが好ましく、5GPa以下であることがより好ましい。
【0027】
第1接着剤の貯蔵弾性率E1は、例えば、2GPa以上であることが好ましい。第2接着剤の貯蔵弾性率E2は、例えば、1.5GPa以下であることが好ましい。
第1接着剤の貯蔵弾性率E1は、例えば、4GPa以下であることが好ましい。第2接着剤の貯蔵弾性率E2は、例えば、0.5GPa以上であることが好ましい。
【0028】
第1接着剤の貯蔵弾性率E1及び第2接着剤の貯蔵弾性率E2は、23℃における貯蔵弾性率であり、動的粘弾性測定装置を用いて測定することができる。第1接着剤及び第2接着剤の試験片は、第1接着剤及び第2接着剤を170℃、20分間の条件で加熱することで作製することができる。動的粘弾性測定装置を用いる貯蔵弾性率の測定条件は、以下のとおりである。
【0029】
試験片の寸法:7mm×40mm×2mm(厚さ)
変形モード:引張り
温度範囲:-10℃~200℃
昇温温度:2℃/min
周波数:1Hz
第1接着剤及び第2接着剤は、加熱により硬化するように構成される。第1接着剤及び第2接着剤は、樹脂成分を含有する。第1接着剤の樹脂成分としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。第2接着剤の樹脂成分としては、例えば、ゴム変性エポキシ樹脂が挙げられる。ゴム変性エポキシ樹脂は、二つ以上のエポキシ基を有し、ゴムの骨格を有するエポキシ樹脂であり、ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン等が挙げられる。第1接着剤及び第2接着剤には、例えば、硬化剤や充填材を含有させてもよい。硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、4,4´-ジアミノジフエニルスルホン等が挙げられる。充填材としては、例えば、炭酸カルシウム、カーボンブラック等が挙げられる。
【0030】
次に、車両の接合構造11の形成方法について説明する。
車両の接合構造11の形成方法では、各部材の所定の位置に第1接着剤及び第2接着剤を塗布する接着剤塗布工程を行った後、各部材をスポット溶接により接合するスポット溶接工程を行う。接着剤塗布工程では、例えば、スプレー、塗布ガン、刷毛塗り等の塗布方法を用いることができる。
【0031】
次に、洗浄処理工程、電着塗装工程、焼き付け工程を順に行うことで、車両の接合構造11を形成することができる。ここで、焼き付け工程は、加熱炉を用いて電着塗装の塗膜を焼き付ける工程である。この焼き付け工程を利用して、第1接着剤及び第2接着剤を加熱硬化させることができる。換言すると、焼き付け工程の加熱条件で硬化するように第1接着剤及び第2接着剤を構成すればよい。なお、焼き付け工程における加熱温度は、例えば、150℃以上、180℃以下の範囲内であり、加熱時間は、例えば、20分以上、60分以下の範囲内である。
【0032】
次に、車両の接合構造11の主な作用について説明する。
車両の接合構造11は、例えば、メインフロア部材12のメインパネル部材13と、ロッカー部材21a,21bとの接合構造を有している。車両の接合構造11は、メインパネル部材13と、ロッカー部材21a,21bとを複数箇所で接着する複数の第1接着部71と、互いに隣り合う一対の第1接着部71,71の間の位置でメインパネル部材13とロッカー部材21a,21bとを接着する第2接着部81とを有している。第1接着部71は、第1接着剤により構成されている。第2接着部81は、第1接着剤とは異なる第2接着剤により構成されている。第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、E1>E2の関係を満たしている。
【0033】
この構成によれば、第1接着部71よりも変形し易い第2接着部81によって、メインパネル部材13又はロッカー部材21a,21bへ加わる荷重が分散されることで、メインパネル部材13又はロッカー部材21a,21bへ加わる荷重による負荷が第1接着部71に集中し難くなる。
【0034】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)複数の構成部材が接合されてなる車両の接合構造11は、例えば、メインパネル部材13等の第1の構成部材と、ロッカー部材21a,21b等の第2の構成部材とを備えている。車両の接合構造11は、第1の構成部材と第2の構成部材とを複数箇所で接着する複数の第1接着部71~75と、互いに隣り合う一対の第1接着部71~75,71~75の間の位置で第1の構成部材と第2の構成部材とを接着する第2接着部81~85とを有している。第1接着部71~75を構成する第1接着剤の貯蔵弾性率E1と、第2接着部81~85を構成する第2接着剤の貯蔵弾性率E2とは、E1>E2の関係を満たしている。
【0035】
この構成によれば、第1接着部71~75よりも変形し易い第2接着部81~85によって、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重が分散されることで、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重による負荷が第1接着部71~75に集中し難くなる。これにより、接着剤を用いた接着部による接合力を容易に維持することができる。
【0036】
(2)第1接着部の接着面積S1と、第2接着部の接着面積S2とは、S1<S2の関係を満たすことが好ましい。
この場合、第1の構成部材又は第2の構成部材へ加わる荷重が第2接着部81~85によってより分散され易くなる。これにより、接着剤を用いた接着部による接合力をさらに容易に維持することができる。
【0037】
(3)メインパネル部材13の一部を、一対の第1接着部と一対の第1接着部の間の第2接着部を有する接着構造により四方から取り囲むような接合構造を有することで、車両の接合構造11は、安定した接合力が発揮され易くなる。このような接合構造としては、例えば、第1の構成部材がメインパネル部材13であり、第2の構成部材がフロア中央部材14、ロッカー部材21a,21bの少なくとも一方、クロス部材31、及びリアフロア部材41を含む接合構造が挙げられる。また、例えば、第1の構成部材がメインパネル部材13であり、第2の構成部材がフロア中央部材14、ロッカー部材21a,21bの少なくとも一方、及び一対のクロス部材31を含む接合構造が挙げられる。また、例えば、第1の構成部材がメインパネル部材13であり、第2の構成部材がフロア中央部材14、ロッカー部材21a,21bの少なくとも一方、クロス部材31、及びフロント結合部材51を含む接合構造が挙げられる。
【0038】
(変更例)
上記実施形態を次のように変更して構成してもよい。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0039】
・車両の接合構造11において、複数箇所で接着する複数の第1接着部と、互いに隣り合う一対の第1接着部の間の位置で接着する第2接着部とを有する接合構造は、車両の任意の構成部材を接合する接合構造として適用することができる。このような車両の接合構造11は、例えば、ピラーの接合構造を含んでもよく、例えば、第1の構成部材がピラーを構成するインナー部材であり、第2の構成部材がピラーを構成するアウター部材であってもよい。また、上記の第1接着部及び第2接着部を有する接合構造は、上記実施形態のように車両を構成する三種以上の構成部材の接合に適用してもよいし、車両を構成する二種の構成部材の接合に適用してもよい。例えば、第2の構成部材が一対のロッカー部材21a,21bのうち、いずれか一方のロッカー部材を含むように変更してもよい。すなわち、他方のロッカー部材については、任意の接合構造でメインパネル部材13と接合されていてもよい。
【0040】
・第1接着部の接着面積S1と、第1接着部に対応して設けられる第2接着部の接着面積S2とは、S1=S2の関係を満たしてもよいし、S1>S2の関係を満たしてもよい。
【0041】
・車両の接合構造11において、第1の構成部材と第2の構成部材とは、接着剤により構成される接着部以外の接合手段を併用して接合することもできる。接着剤以外の接合手段としては、例えば、スポット溶接等の物理的接合方法が挙げられる。
【0042】
・第1の構成部材と第2の構成部材とを接着する第1接着部の数は、3つ以上であってもよい。この場合、例えば、互いに隣り合う一対の第1接着部の間のうち、少なくとも一箇所に第2接着部を配置すればよい。
【0043】
・互いに隣り合う一対の第1接着部の間に位置する第2接着部は、連続した形状を有しているが、不連続となる形状を有していてもよい。すなわち、互いに隣り合う一対の第1接着部の間に複数の第2接着部が配置されていてもよい。
【0044】
・クロス部材31を省略することもできる。
・クロス部材31は、例えば、メインパネル部材13のみに接合されていてもよい。また、クロス部材31を一対のロッカー部材21a,21bの間を連結する形状に変更し、クロス部材31を一対のロッカー部材21a,21bのみに接合することもできる。
【0045】
・上記実施形態では、図2に示すように、クロス部材31は、車幅方向Wに延在する4つのクロス部材31から構成されているが、クロス部材31の数は、特に限定されず、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0046】
・上記実施形態では、図2に示すように、車幅方向Wに沿って離間して配置される複数枚のメインパネル部材13の間にフロア中央部材14を接合する構成を例示したが、一枚のメインパネル部材13上にフロア中央部材14を接合する構成に変更することもできる。
【0047】
・フロア中央部材14を省略し、複数枚のメインパネル部材13を一枚のメインパネル部材13に変更してもよい。この場合、一枚のメインパネル部材13にハット形状の断面を有する中央部を車両の前後方向FRに沿って延びるように形成してもよい。
【0048】
・車両の接合構造11の構成部材は、鋼板等の金属材料から形成されてもよいし、樹脂材料等の非金属材料から形成されてもよい。
(付記)
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
【0049】
(イ)前記車両は、メインフロア部材とリアフロア部材とを備え、前記メインフロア部材は、メインパネル部材を有し、前記第1の構成部材は、前記メインパネル部材を含み、前記第2の構成部材は、前記リアフロア部材を含む、車両の接合構造。
【0050】
(ロ)前記車両は、メインフロア部材とフロント結合部材とを備え、前記メインフロア部材は、メインパネル部材を有し、前記第1の構成部材は、前記メインパネル部材を含み、前記第2の構成部材は、前記フロント結合部材を含む、車両の接合構造。
【0051】
(ハ)前記車両は、メインフロア部材を備え、前記メインフロア部材は、メインパネル部材と、車両の前後方向に沿って延在するフロア中央部材とを備え、前記第1の構成部材は、前記メインパネル部材を含み、前記第2の構成部材は、前記フロア中央部材を含む、車両の接合構造。
【符号の説明】
【0052】
11…車両の接合構造
12…メインフロア部材
13…メインパネル部材
14…フロア中央部材
21a,21b…ロッカー部材
22a,22b…サイドメンバアウター部材
31…クロス部材
41…リアフロア部材
41a…リアパネル部材
41b…リア結合部材
51…フロント結合部材
71~75,91,92…第1接着部
81~85…第2接着部
FR…前後方向
W…車幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7