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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】磁気シールドルームユニット
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20231124BHJP
   E06B 5/18 20060101ALI20231124BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20231124BHJP
   E06B 7/16 20060101ALI20231124BHJP
   E05D 15/06 20060101ALI20231124BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E06B5/18
E06B3/46
E06B7/16 C
E05D15/06 119
E04H1/12 302Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020171922
(22)【出願日】2020-10-12
(65)【公開番号】P2022063584
(43)【公開日】2022-04-22
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】392035499
【氏名又は名称】石田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋
(74)【代理人】
【識別番号】100201879
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 大輝
(72)【発明者】
【氏名】石田 昭三
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-233086(JP,A)
【文献】実開平07-014088(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00- 5/20
E06B 3/46
E06B 7/00- 7/36
E05D 15/00-15/58
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気シールド材よりなる、床面部材、天井面部材及び側壁面部材から組み立てられた室本体部と、前記室本体部の側壁面部材に形成された室内出入り用の開口部と、前記開口部の全面を覆うことができる磁気シールド材よりなる扉部材とを有し、前記扉部材が前記側壁面部材の外面側にスライド開閉自在に取り付けられている磁気シールドルームユニットであって、
設置場所の床面と前記室本体部との間に前記扉部材のスライド開閉のための進退が可能な溝空間が形成され、前記溝空間が扉部材開放時に前記溝空間の前記開口部の外側下部が開口部側溝空間として開放される場合に、前記開口部側溝空間に渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されており、
前記扉部材をスライド開閉可能に保持する扉開閉機構を備えた扉保持装置が前記室本体部の外側に設置されており、
前記扉保持装置は、水平板部と該水平板部から立設された垂直板部とを有するレール部材を有し、
前記扉開閉機構は、前記レール部材に摺動可能に設置される摺動部と、前記摺動部を前記レール部材に沿って摺動させる駆動手段と、前記摺動部に設けられて前記扉部材を保持する扉保持部とを有し、前記扉開閉機構の前記摺動部が、前記レール部材が貫通する筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられて前記レール部材の前記水平板部上に転動可能に載置される一対の第1車輪状摺動部材と、前記レール部材の前記垂直板部に対して転動可能となるように前記筒状本体に取り付けられるとともに前記垂直板部を挟持するように配置される一対の第2車輪状摺動部材とを有し、かつ
前記扉保持装置は、前記扉開閉機構の前記扉保持部が前記扉部材を揺動可能に保持するとともに、前記扉部材の閉鎖動作時に前記扉保持部を介して前記扉部材を前記室本体部側へ揺動させて前記開口部を閉鎖させる扉閉鎖補助手段を有し、
前記扉保持装置の下部に、前記室本体部の開口部の外側下部との間に前記扉部材が進退可能な溝空間を介して前記室本体部の床面部材と同じ表面高さの台面部を有する室内出入り口用の補助台面部材が配置されており、
前記扉部材の開放時に形成される前記溝空間の前記開口部の外側下部の開口部側溝空間に、渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されており、
前記渡し板部材が、前記開口部側溝空間内に進退可能な作動装置により、扉部材開放時に前記開口部側溝空間内に進入して前記開口部側溝空間を閉塞するとともに、扉部材閉鎖時に前記開口部側溝空間から退去して前記開口部側溝空間を開放する
ことを特徴とする磁気シールドルームユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部からの磁界を遮蔽する磁気シールドルームに関し、特に開口部をスライド開閉する扉部材を備えた磁気シールドルームユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、心磁計測、脳磁計測等の生体磁気計測、その他の磁界精密測定等を行う場合、環境磁気ノイズ等が検査や測定等に影響しないようにするために、磁界を遮蔽する壁材で構成された磁気シールドルームが用いられる(特許文献1参照)。この種の磁気シールドルームは、一般に、設置現場において床、天井、側壁の各フレーム部材を組み立て、銅板やパーマロイ製の板材等の磁気シールド材を各フレーム部材に取り付けて、床、天井、壁等の各部の壁材を形成した後、磁気シールド材よりなる扉部材が取り付けられて設置される。
【0003】
従来のシールドルームにおいては、フレーム部材の組み立て等多くの作業を設置現場で行う必要があるため、設置作業が煩雑で時間、手間等においてコスト高を招くきらいがある。また、この種のシールドルームにおいては、人や物の出入口となる開口部及び扉部材が不可欠であるが、従来のシールドルームでは、設置の便宜性等からヒンジ部を介して開閉する扉構造が一般的に多用されている。しかしながら、扉部材を支障なく開閉するには、扉部材の周囲に所定の開閉スペースが必要とされる一方において、開口部を広くすることが容易ではなく、またその遮蔽機能上の制約もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-80964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、設置現場での設置作業の簡便かつ軽減化とともに、開口部をスライド開閉する扉部材によって扉の開口面積やその開閉スペースや磁気遮蔽等の問題を解消することができる磁気シールドルームユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、請求項1の発明は、磁気シールド材よりなる、床面部材、天井面部材及び側壁面部材から組み立てられた室本体部と、前記室本体部の側壁面部材に形成された室内出入り用の開口部と、前記開口部の全面を覆うことができる磁気シールド材よりなる扉部材とを有し、前記扉部材が前記側壁面部材の外面側にスライド開閉自在に取り付けられている磁気シールドルームユニットであって、
設置場所の床面と前記室本体部との間に前記扉部材のスライド開閉のための進退が可能な溝空間が形成され、前記溝空間が扉部材開放時に前記溝空間の前記開口部の外側下部が開口部側溝空間として開放される場合に、前記開口部側溝空間に渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されており、
前記扉部材をスライド開閉可能に保持する扉開閉機構を備えた扉保持装置が前記室本体部の外側に設置されており、
前記扉保持装置は、水平板部と該水平板部から立設された垂直板部とを有するレール部材を有し、
前記扉開閉機構は、前記レール部材に摺動可能に設置される摺動部と、前記摺動部を前記レール部材に沿って摺動させる駆動手段と、前記摺動部に設けられて前記扉部材を保持する扉保持部とを有し、前記扉開閉機構の前記摺動部が、前記レール部材が貫通する筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられて前記レール部材の前記水平板部上に転動可能に載置される一対の第1車輪状摺動部材と、前記レール部材の前記垂直板部に対して転動可能となるように前記筒状本体に取り付けられるとともに前記垂直板部を挟持するように配置される一対の第2車輪状摺動部材とを有し、かつ
前記扉保持装置は、前記扉開閉機構の前記扉保持部が前記扉部材を揺動可能に保持するとともに、前記扉部材の閉鎖動作時に前記扉保持部を介して前記扉部材を前記室本体部側へ揺動させて前記開口部を閉鎖させる扉閉鎖補助手段を有し、
前記扉保持装置の下部に、前記室本体部の開口部の外側下部との間に前記扉部材が進退可能な溝空間を介して前記室本体部の床面部材と同じ表面高さの台面部を有する室内出入り口用の補助台面部材が配置されており、
前記扉部材の開放時に形成される前記溝空間の前記開口部の外側下部の開口部側溝空間に、渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されており、
前記渡し板部材が、前記開口部側溝空間内に進退可能な作動装置により、扉部材開放時に前記開口部側溝空間内に進入して前記開口部側溝空間を閉塞するとともに、扉部材閉鎖時に前記開口部側溝空間から退去して前記開口部側溝空間を開放する
ことを特徴とする磁気シールドルームユニットに係る。
【0007】
削除
【0008】
削除
【0009】
削除
【0010】
削除
【0011】
削除
【0012】
削除
【0013】
削除
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明に係る磁気シールドルームユニットによると、磁気シールド材よりなる、床面部材、天井面部材及び側壁面部材から組み立てられた室本体部と、前記室本体部の側壁面部材に形成された室内出入り用の開口部と、前記開口部の全面を覆うことができる磁気シールド材よりなる扉部材とを有し、前記扉部材が前記側壁面部材の外面側にスライド開閉自在に取り付けられているため、設置現場での設置作業の簡便かつ軽減化を図り、開口部をスライド開閉する扉部材によって扉の開口面積やその開閉スペースや磁気遮蔽等の問題を解消することができるとともに、各構成によって以下の効果を併せもった磁気シールドルームユニットを提供することができる。
【0015】
すなわち、設置場所の床面と前記室本体部との間に前記扉部材のスライド開閉のための進退が可能な溝空間が形成され、前記溝空間が扉部材開放時に前記溝空間の前記開口部の外側下部が開口部側溝空間として開放される場合に、前記開口部側溝空間に渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されているため、室本体部の床面部材から設置場所の床面にわたって連続面が形成されて、室本体部への出入りを円滑に行うことができる。
【0016】
また、前記扉部材をスライド開閉可能に保持する扉開閉機構を備えた扉保持装置が前記室本体部の外側に設置されているため、室本体部と開閉機構を含む扉部材とを分割して構成することができ、メンテナンスや交換等もしやすくなるとともに、汎用性が高まって施工等が容易となる。
【0017】
また、前記扉保持装置は、水平板部と該水平板部から立設された垂直板部とを有するレール部材を有し、前記扉開閉機構は、前記レール部材に摺動可能に設置される摺動部と、前記摺動部を前記レール部材に沿って摺動させる駆動手段と、前記摺動部に設けられて前記扉部材を保持する扉保持部とを有し、前記扉開閉機構の前記摺動部が、前記レール部材が貫通する筒状本体と、前記筒状本体に取り付けられて前記レール部材の前記水平板部上に転動可能に載置される一対の第1車輪状摺動部材と、前記レール部材の前記垂直板部に対して転動可能となるように前記筒状本体に取り付けられるとともに前記垂直板部を挟持するように配置される一対の第2車輪状摺動部材とを有するため、摺動部の摺動時の安定性が向上されて、扉部材を円滑に開閉させることができる。
【0018】
さらに、前記扉保持装置は、前記扉開閉機構の前記扉保持部が前記扉部材を揺動可能に保持するとともに、前記扉部材の閉鎖動作時に前記扉保持部を介して前記扉部材を前記室本体部側へ揺動させて前記開口部を閉鎖させる扉閉鎖補助手段を有するため、扉部材の開閉動作時に扉部材と室本体部との接触を回避して円滑に開閉させることができるとともに、扉部材30の閉鎖時には扉部材が室本体部に密着して開口部を閉鎖して室本体部を適切に密閉することができる。
【0019】
また、前記扉保持装置の下部に、前記室本体部の開口部の外側下部との間に前記扉部材が進退可能な溝空間を介して前記室本体部の床面部材と同じ表面高さの台面部を有する室内出入り口用の補助台面部材が配置されているため、室本体部の内外の段差を緩和することができて、室本体部へ円滑に出入りすることができる。
【0020】
さらにまた、前記扉部材の開放時に形成される前記溝空間の前記開口部の外側下部の開口部側溝空間に、渡し板部材が前記室本体部の床面部材と同じ表面高さ位置となるように配置されているため、室本体部の床面部材から補助台面部材の台面部にわたって連続面が形成されて、室本体部への出入りを円滑に行うことができる。
【0021】
加えて、前記渡し板部材が、前記開口部側溝空間内に進退可能な作動装置により、扉部材開放時に前記開口部側溝空間内に進入して前記開口部側溝空間を閉塞するとともに、扉部材閉鎖時に前記開口部側溝空間から退去して前記開口部側溝空間を開放するため、扉部材の開閉動作に連動して渡し板部材を効率的に作動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの全体斜視図である。
図2】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放時の正面図である。
図3】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材閉鎖時の正面図である。
図4】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの室本体部の正面壁部材側近傍の要部横断面図である。
図5】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放時にスロープ部材が架設された開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図6】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材閉鎖時の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図7】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放直後の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図8】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放後に溝空間内に渡し板部材が移動した状態の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図9】第1実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放後に溝空間が閉塞された状態の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図10】本発明の第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの全体斜視図である。
図11】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放時の正面図である。
図12】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材閉鎖時の正面図である。
図13】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉開閉機構による扉部材の開放時の室本体部の正面図である。
図14】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉開閉機構による扉部材の閉鎖時の室本体部の正面図である。
図15】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの室本体部の正面壁部材側近傍の要部横断面図である。
図16】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材の開放時の室本体部の側面図である。
図17】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材の閉鎖時の室本体部の側面図である。
図18】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉開閉機構の扉部材開放時の要部拡大断面図である。
図19】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉開閉機構の扉部材閉鎖時の要部拡大断面図である。
図20】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉閉鎖補助手段近傍の要部拡大断面図である。
図21】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材閉鎖時の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
図22】第2実施例に係る磁気シールドルームユニットの扉部材開放時の開口部下部近傍の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1図4は、本発明の第1実施例に係る磁気シールドルームユニット10であって、開口部25が形成された室本体部20と、扉部材30とを有する。磁気シールドルームユニット10は、心磁計測や脳磁計測等の生体磁気計測、その他の精密測定、半導体製造等、外部からの磁気を遮蔽するための医療用、実験用、工業用の閉鎖空間として好適に用いられる。
【0024】
室本体部20は、磁気シールド材よりなる、床面部材21、天井面部材22及び複数の側壁面部材23から組み立てられる。また、複数の側壁面部材23のうち、一の側壁面部材(正面壁部材)23aには、室内出入り用の開口部25が形成される。開口部25は、人(ストレッチャーや車椅子を含む)や機器類が余裕をもって通過可能な高さと幅で開口されたものであって、下部が床面部材21の上面21aから形成される。図において、符号23bは左面壁部材、23cは右面壁部材、23dは背面壁部材である。
【0025】
室本体部20の各部材21,22,23を構成する磁気シールド材とは、磁界を遮蔽する材料であって、例えば、パーマロイ等の高透磁率材料、銅やアルミニウム等の導電性材料等の適宜の遮蔽材が挙げられる。高透磁率材料は低周波の磁気に有効であり、導電性材料は高周波の磁気に有効であるため、用途に応じて単独又は各材料の組合せにより構成される。
【0026】
扉部材30は、開口部25の全面を覆うことができる部材であり、側壁面部材23(正面壁部材23a)の外面側にスライド開閉自在に取り付けられた引戸構造からなる。扉部材30は、室本体部20の各部材21,22,23と同様に、高透磁率材料や導電性材料等の適宜の遮蔽材である磁気シールド材よりなる。
【0027】
この扉部材30は、図1~3に示すように、室本体部20に設置されたレール機構等の適宜の扉開閉機構40により、側壁面部材23(正面壁部材23a)の壁面に沿ってスライド移動可能に構成される。実施例では、扉部材30を吊り下げ保持してスライドさせる公知の吊り下げレール機構が用いられる。また、扉部材30は、開閉操作の容易性等の観点から、公知の開閉制御機構(図示せず)により自動開閉可能とすることが好ましい。扉部材30の自動開閉に際しては、接触式又は非接触式の位置センサー等のセンサー(図示せず)により開放状態と閉鎖状態とを検知可能として、公知の制御手段により開閉動作が制御される。なお、扉部材30では、必要に応じて手動開閉を可能とするための把手部31を設けてもよい。図において、符号32は扉部材30の自動開閉操作を行うための操作部である。
【0028】
図2,4(a)は、扉部材30が室本体部20の開口部25を開放した状態である。扉開放状態では、扉部材30が正面壁部材23aの開口部25が形成されていない面側に配置されて、開口部25から室本体部20の内への出入りが可能に構成される。図3,4(b)は、扉部材30が開口部25を閉鎖した状態である。閉鎖状態は、扉部材30が開口部25の正面側に配置されて閉鎖し、室本体部20全体を磁気シールド材で略密閉状に囲むように構成される。
【0029】
この磁気シールドルームユニット10では、床面部材21、天井面部材22、側壁面部材23、扉部材30等の各部材が、フレーム体、銅板、パーマロイ製の板材、化粧板等の各構成部品として設置場所に搬送されて、設置現場において組み立てられて形成される。このように、本発明の磁気シールドルームユニット10は、いわゆるプレハブ式のシールドルームとして構成されるものであるため、設置現場に各構成部品を容易に運び込むことができ、設置現場でこれらの部品を組み立てることによって容易に設置することができる。したがって、シールドルームユニット10の設置作業を簡便かつ軽減化することができ、設置作業の時間、手間等を効率化してコストダウンを図ることができる。また、シールドルームユニット10では、扉部材30が室本体部20の側壁面部材23(正面壁部材23a)の壁面に沿ってスライド開閉可能な引戸構造であるため、片開きの開閉構造からなる従来のシールドルームと比較して扉開閉スペースの省スペース化を図ることができる。
【0030】
磁気シールドルームユニット10は、図5に示すように、設置場所の床面F上にそのまま設置することができる。その際、室本体部20の開口部25が床面部材21の上面21aから開口されているため、床面部材21の厚さ分だけ床面部材21の上面21aが設置場所の床面Fから高い位置となる。そこで、公知のスロープ部材26等を設置場所の床面Fから室本体部20の開口部25下部の床面部材21に架設することにより、室本体部20へ出入りしやすくすることができる。特に、医療現場等においてMRI検査等のシールドルーム等として設置する場合には、車椅子やストレッチャー、キャスター付きの医療用ベッド等を用いて出入りすることがあることから、段差を気にすることなく、円滑に出入りすることが可能となる。
【0031】
また、シールドルームユニット10は、図6~9に示すように、床面Fの一部に所定の深さで掘り下げられて形成された設置凹部F1内に室本体部20が配置してもよい。その際、図4に示すように、設置場所の床面Fと室本体部20の正面壁部材23aとの間には、扉部材30のスライド開閉のための進退が可能な溝空間Sが形成される。この溝空間Sは、扉部材30の開放時に室本体部20の開口部25の外側下部が開口部側溝空間S1として開放され、扉部材30の閉鎖時に室本体部20の開口部25が形成されていない側の正面壁部材23aの外側下部が壁面側溝空間S2として開放される。そして、開口部側溝空間S1は、開口部25の外側下部の床面部材21と設置場所の床面Fとの間の溝部であることから、車椅子等による出入りに際して、過度の振動が発生したり、車輪の引っかかりや脱輪等が発生して通行困難となったりする等、円滑な出入りを妨げる原因となるおそれがある。
【0032】
そこで、設置凹部F1内に設置したシールドルームユニット10では、溝空間Sを介して室本体部20の床面部材21と設置場所の床面Fとが同じ表面高さとなるように室本体部20を配置するとともに、扉部材30の開放時における開口部側溝空間S1に室本体部20の床面部材21と同じ表面高さ位置となるように渡し板部材50を配置することが好ましい。
【0033】
渡し板部材50は、扉部材30の開放時における開口部側溝空間S1を閉塞可能な板状部材からなり、室本体部20の床面部材21から設置場所の床面Fにわたって略面一状の連続面を形成する。この略面一状の連続面とは、車椅子等の通行に差し障りがない程度に各面の高さがそろえられて連なった面である。渡し板部材50の形状等は、床面部材21から設置場所の床面Fにわたって連続面が形成可能であれば、特に限定されない。また、扉部材30開放時に、床面部材21と設置場所の床面Fとの間に板状部材を架設させる等、開口部側溝空間S1が閉塞可能であれば手動や自動等の手法は適宜である。この渡し板部材50により、車椅子等による出入りを円滑に行うことができる。
【0034】
実施例の渡し板部材50は、開口部側溝空間S1内に進退可能な作動装置60により、扉部材30の開放時に開口部側溝空間S1内に進入して開口部側溝空間S1を閉塞するとともに、扉部材30の閉鎖時に開口部側溝空間S1から退去して開口部側溝空間S1を開放するように構成される。作動装置60は、設置場所の床面Fの内部に形成された床側収容部F5内に収容されて扉部材30の開閉動作と連動して作動されるものであり、昇降手段61と、移動手段62とを有する。図において、符号F2は床板部材である。
【0035】
昇降手段61は、渡し板部材50を昇降させるとともに、渡し板部材50を室本体部20の床面部材21と同じ表面高さ位置で保持する装置である。昇降手段61としては、公知のシリンダ装置等の適宜の昇降装置を使用することができる。実施例では、「株式会社椿本チエイン社製 ジップチェーンアクチュエータ(登録商標)」が使用される。
【0036】
移動手段62は、昇降手段61とともに渡し板部材50を床側収容部F5と開口部側溝空間S1との間で移動させる装置である。移動手段62は、昇降手段61を進退させる公知のシリンダ装置、昇降手段61を自走させる自走装置等の適宜の移動装置を使用することができる。実施例の移動手段62はシリンダ装置である。なお、図の符号63は移動手段62による移動を円滑にするために昇降手段61に設けられた車輪部材である。
【0037】
ここで、扉部材30の開閉動作と、作動装置60の作動について説明する。まず、図2,4(a),6に示す扉部材30の閉鎖時は、溝空間Sのうち開口部側溝空間S1側に扉部材30が位置することによって開口部25の全面を覆って閉鎖し、室本体部20を略密閉状とした状態である。次に、操作部32により扉部材30の開放操作が行われると、図3,4(b),7に示すように、扉部材30が溝空間Sの開口部側溝空間S1側から壁面側溝空間S2側(開方向)へスライド移動されて、開口部25が開放される。
【0038】
扉部材30の開放動作が完了すると、位置センサー(図示せず)により扉部材30の開放状態が検知され、図8に示すように、床側収容部F5に収容された作動装置60が連動して作動されて、移動手段62により昇降手段61が開口部側溝空間S1内へ移動される。そして、図9に示すように、開口部側溝空間S1内へ移動した昇降手段61により渡し板部材50が上昇される。この時、上昇した渡し板部材50は、開口部側溝空間S1を閉塞して、室本体部20の床面部材21から設置場所の床面F(床板部材F2)にわたって略面一状の連続面を形成する。
【0039】
また、操作部32により扉部材30の閉鎖操作が行われると、まず開口部側溝空間S1を閉塞していた渡し板部材50が昇降手段61により下降される。渡し板部材50の下降完了後、続いて移動手段62により昇降手段61が開口部側溝空間S1内から床側収容部F5内に移動して収容される。そして、作動装置60の床側収容部F5内への収容が完了して開口部側溝空間S1が開放されると、扉部材30が壁面側溝空間S2側から開口部側溝空間S1側(閉方向)へスライド移動する閉鎖動作が行われ、開口部25の全面が覆われて閉鎖される。
【0040】
このように、磁気シールドルームユニット10では、作動装置60が、扉部材30の開放動作と連動して渡し板部材50により開口部側溝空間S1を閉塞することにより、渡し板部材50を介して室本体部20の床面部材21から設置場所の床面Fにわたって連続面が形成されて、不要な凹凸部分がない略平坦面とすることができ、車椅子等であっても室本体部20へ円滑に出入りすることが可能となる。また、作動装置60が、扉部材30の閉鎖動作と連動してその閉鎖動作前に開口部側溝空間S1の閉塞を解除してスライド移動が可能とするため、渡し板部材50が閉鎖動作の妨げとなることがなく、適切に扉部材30による開口部25の閉鎖を行うことができる。したがって、作動装置60により扉部材30の開閉動作に連動して渡し板部材50を効率的に作動させることができる。
【0041】
図10図15は、第2実施例に係る磁気シールドルームユニット10Aであって、扉部材30をスライド開閉可能に保持する扉開閉機構40Aを備えた扉保持装置70が室本体部20の外側に設置される。以下の説明では、第1実施例と同一符号は同一の構成を表すものとして、説明を省略する。
【0042】
扉保持装置70は、室本体部20の正面壁部材23a側の外側に立設された外壁体71と、外壁体71に設けられて扉開閉機構40Aが移動可能に取り付けられるレール部材75とを有する。外壁体71は、図15に示すように、外壁正面71aとその両端に連設された外壁左面71b及び外壁右面71cとからなる断面視略倒コ字状(U字状)に形成される。また、外壁体71では、図10図12に示すように、外壁正面71aに室本体部20の開口部25に対応して開口した外壁開口部72が設けられている。この外壁開口部72には、扉部材30の開放時に把手部31と外壁正面71aとの接触を回避するための把手部開口部72aが連設される。さらに、図13,14に示すように、外壁体71の外壁左面71bと外壁右面71cとの間には、レール部材75が架設されている。
【0043】
扉開閉機構40Aは、図13,14,16~19に示すように、レール部材75に摺動可能に設置される摺動部41と、摺動部41をレール部材75に沿って摺動させる駆動手段45と、摺動部41に設けられて扉部材30を保持する扉保持部46,46とを有する。この扉開閉機構40Aにおいて、レール部材75は、図18,19に示すように、水平板部75aと、水平板部75aの略中央部分から立設された垂直板部75bとを有する。実施例のレール部材75は、公知のH形鋼(H鋼)が用いられる。なお、図18,19では駆動手段45の図示は省略している。
【0044】
摺動部41は、図18,19に示すように、レール部材75が貫通する筒状本体42と、レール部材75の水平板部75aを転動可能な一対の第1車輪状摺動部材43と、レール部材75の垂直板部75bを転動可能な一対の第2車輪状摺動部材44とを有する。図において、符号41aは筒状本体42の端部に固設されるとともに下部に扉保持部46が取り付けられる保持部取付部材である。
【0045】
一対の第1車輪状摺動部材43,43は、筒状本体42の両側面42a,42aに固設された取付部43a,43aにそれぞれ取り付けられ、レール部材75の垂直板部75bを介して対称配置される。そして、レール部材75の水平板部75a上に一対の第1車輪状摺動部材43,43が転動可能に載置されることにより、筒状本体42がレール部材75に対して摺動自在に支持される。
【0046】
一対の第2車輪状摺動部材44,44は、レール部材75の垂直板部75bに対して転動可能となるように筒状本体42の両側面42a,42aにそれぞれ固設される。その際、一対の第2車輪状摺動部材44,44は、レール部材75の垂直板部75bを介して対称配置されて、垂直板部75bを挟持するように構成される。これにより、摺動部41の摺動時の安定性が向上されて、扉部材30を円滑に開閉させることができる。
【0047】
駆動手段45は、摺動部41をレール部材75に沿って摺動させる適宜の装置で構成される。実施例の駆動手段45は、公知のローラーチェーン機構である。
【0048】
扉保持部46,46は、図13,14,16~19に示すように、扉部材30と摺動部41との両側端部に設けられて、扉部材30と摺動部41とを連結保持する部材である。実施例の扉保持部46は、図16~19に示すように、扉部材30の開閉動作に応じて扉部材30を揺動可能に保持するように構成される。すなわち、扉部材30の開放時(図16,18参照)には扉部材30を室本体部20から離隔させ、扉部材30の閉鎖時(図17,19参照)には扉部材30を室本体部20(開口部25)に密着させるように揺動させる。なお、扉部材30の開放時(図16,18参照)は、扉部材30が自重により扉保持部46を介して摺動部41から垂下された状態である。図において、符号47aは扉保持部46のアーム部材、47bはアーム部材47aの上端を摺動部41の保持部取付部材41aに回動可能に軸支する摺動部側軸部、47cはアーム部材47aの下端を扉部材30に回動可能に軸支する扉部材側軸部である。
【0049】
扉保持装置70は、図15図20に示すように、扉部材30の閉鎖動作時に扉開閉機構40Aの扉保持部46を介して扉部材30を室本体部20側へ揺動させて開口部25を閉鎖させる扉閉鎖補助手段76を有する。実施例の扉閉鎖補助手段76は、図20に示すように、外壁体71の外壁正面71aの内面側に設けられた車輪からなる回転体77と、扉部材30の正面側に回転体77の位置に対応して設けられた乗上台78とを有する。乗上台78は、扉部材30の閉方向側に回転体77が転動して昇降可能な傾斜部78aを有するブロック体からなる。
【0050】
扉閉鎖補助手段76では、図11図15に示すように、回転体77が外壁体71の外壁開口部72に近接した位置に配置されている。そして、乗上台78は、図12,15(b)に示すように、扉部材30の閉鎖時に回転体77と重なる位置に適宜配置される。また、扉閉鎖補助手段76は、複数個所に設けることが好ましい。その際、各扉閉鎖補助手段76が、扉部材30の開閉動作時に他の扉閉鎖補助手段76と干渉しないように配置される。例えば、図11に示すように、外壁正面71aの外壁開口部72の左右側に配置された扉閉鎖補助手段76a,76bがそれぞれ異なる高さ位置で配置すればよい。
【0051】
ここで、扉保持装置70による扉部材30の開閉動作について説明する。図11,13,15(a)に示す扉部材30の開放時は、扉部材30が室本体部20の正面壁部材23aの壁面側に配置されて、開口部25が外壁体71の外壁開口部72と連通して開放された状態である。この時、図16,18に示すように、扉部材30は、扉開閉機構40Aの扉保持部46により、室本体部20から離隔された状態(垂下位置)で保持される。
【0052】
次に、操作部32により扉部材30の閉鎖操作が行われると、図12,14,15(b)に示すように、扉部材30が開口部25側(閉方向)へスライド移動されて、開口部25の全面を覆って閉鎖される。上記扉部材30の閉鎖動について詳述すると、まず、図20(a)に示すように、扉部材30は室本体部20から離隔した状態で開放位置から開口部25方向へスライド移動される。
【0053】
扉部材30がさらにスライド移動されると、図20(b)に示すように、扉部材30に設けられた扉閉鎖補助手段76の乗上台78が、スライド移動により外壁体71の外壁正面71aに設けられた扉閉鎖補助手段76回転体77に接近して、乗上台78の傾斜部78aに回転体77が当接される。この時、回転体77が固設された外壁体71に設けられかつ乗上台78が揺動可能な扉部材30に設けられている。そのため、回転体77が、乗上台78の傾斜部78aを底側から頂点側へ転動することにより、閉方向へスライド移動する扉部材30を室本体部20側へ押し込むように揺動させる。
【0054】
そして、図20(c)に示すように、扉部材30が開口部25の閉鎖位置までスライド移動することにより、回転体77が乗上台78を介して扉部材30をさらに室本体部20側へ押し込むように揺動させる。これにより、図17,19に示すように、扉部材30が扉開閉機構40Aの扉保持部46を介して室本体部20の正面壁部材23aへ密着された状態で保持され、開口部25が閉鎖される。
【0055】
また、操作部32により扉部材30の開放操作が行われると、扉部材30が開口部25側から室本体部20の正面壁部材23aの壁面側(開方向)へスライド移動される。その際、扉部材30は、自重により扉開閉機構40Aの扉保持部46を介して垂下位置へ揺動するように構成されるため、回転体77が乗上台78の傾斜部78aを頂点側から底側へ転動して、開方向へスライド移動する扉部材30を室本体部20から離隔させるように揺動させる。そして、扉部材30がさらに開方向へスライド移動されて回転体77と乗上台78とが離隔されると、扉部材30が扉保持部46により垂下位置で保持され(図16,18参照)、開放位置までスライド移動されることにより開口部25が開放される。
【0056】
このように、扉部材30が扉開閉機構40Aの扉保持部46により揺動可能であるとともに、扉閉鎖補助手段76を有することにより、扉部材30の開閉作動時に扉部材30と室本体部20との接触を回避することができるため、扉部材30の開閉動が妨げられることがなく、円滑に開閉させることができる。そして、扉部材30の閉鎖時には、扉部材30が室本体部20に密着されて開口部25を閉鎖するため、室本体部20を適切に密閉することができる。
【0057】
第2実施例に係る磁気シールドルームユニット10Aでは、図10~12,15~17,21,22に示すように、扉保持装置70の外壁開口部72の下部に、室内出入り口用の補助台面部材80が配置されることが好ましい。
【0058】
補助台面部材80は、図15~17,21,22に示すように、室本体部20の開口部25の外側下部との間に、扉部材30が進退可能な溝空間Sを介して室本体部20の床面部材21と同じ表面高さの台面部85を有する。この補助台面部材80は、室本体部20の床面部材21と同じ表面高さの台面部85により、室本体部20の内部と外部との床面の高さを略等しく形成して、室本体部20の内外の段差を緩和することができる。そのため、室本体部20へ円滑に出入りすることができる。なお、補助台面部材80に対しては、公知のスロープ部材(図示せず)を適宜設置して補助台面部材80へ上がりやすくしてもよい。さらに、補助台面部材にあらかじめスロープ部を形成しても構わない。
【0059】
また、上記磁気シールドルームユニット10Aでは、図10,22に示すように、扉部材30の開放時に形成される溝空間Sの開口部25の外側下部の開口部側溝空間S1に、渡し板部材50が室本体部20の床面部材21と同じ表面高さ位置となるように配置されることが好ましい。渡し板部材50により、室本体部20の床面部材21から補助台面部材80の台面部85にわたって略面一状の連続面が形成される。そのため、車椅子等による室本体部20への出入りをより円滑に行うことができる。
【0060】
上記渡し板部材50は、図21,22に示すように、開口部側溝空間S1内に進退可能な作動装置60Aにより、扉部材30の開放時に開口部側溝空間S1内に進入して開口部側溝空間S1を閉塞するとともに、扉部材30の閉鎖時に開口部側溝空間S1から退去して開口部側溝空間S1を開放するように構成することが好ましい。作動装置60Aは、補助台面部材80の台本体81内部に形成された台側収容部82に収容されて、扉部材30の開閉動作と連動して作動される。なお、台本体81は、図示のように公知のボルト等からなる複数の台固定部材83により床面Fに固定される。また、作動装置60の昇降手段61は、図示のように複数の台固定部材83上に移動可能に載置することにより、接地面積が低減されるため、移動時に摩擦等の影響が抑制されて、車輪等を設けることなく円滑に進退動させることができる。
【0061】
ここで、扉部材30の開閉動作と、作動装置60Aの作動について説明する。図21に示す扉部材30の閉鎖時では、作動装置60Aが補助台面部材80の台側収容部82内に収容され、扉部材30が開口部25の全面を覆って閉鎖している。操作部32により扉部材30の開放操作が行われると、図22に示すように、扉部材30が溝空間Sの開口部側溝空間S1側から壁面側溝空間S2側(開方向)へスライド移動されて開口部25が開放され(図15(a)参照)、移動手段62により昇降手段61が開口部側溝空間S1内へ移動されて、開口部側溝空間S1内へ移動した昇降手段61により渡し板部材50が上昇される。これにより、渡し板部材50が開口部側溝空間S1を閉塞して、室本体部20の床面部材21から補助台面部材80の台面部85にわたって略面一状の連続面を形成される。
【0062】
このように、第2実施例に係る磁気シールドルームユニット10Aにおいても、第1実施例と同様に、作動装置60Aにより扉部材30の開閉動作に連動して渡し板部材50を効率的に作動させることができる。また、磁気シールドルームユニット10Aでは、室本体部20の外側に扉部材30をスライド開閉可能に保持する扉開閉機構40Aを備えた扉保持装置70を設置するため、室本体部20と開閉機構を含む扉部材30とを分割して構成することができ、メンテナンスや交換等もしやすくなるとともに、汎用性が高まって施工等が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のとおり、本発明の磁気シールドルームユニットは、設置現場での設置作業の軽減とともに、片開き構造の扉部より省スペース化を図ることができる。従って、従来の磁気シールドルームの代替として有望である。
【符号の説明】
【0064】
10,10A 磁気シールドルームユニット
20 室本体部
21 床面部材
21a 床面部材の上面
22 天井面部材
23 側壁面部材
23a 正面壁部材
23b 左面壁部材
23c 右面壁部材
23d 背面壁部材
25 開口部
26 スロープ部材
30 扉部材
31 把手部
32 操作部
40,40A 扉開閉機構
41 摺動部
41a 保持部取付部材
42 筒状本体
42a 筒状本体の側面
43 第1車輪状摺動部材
43a 取付部
44 第2車輪状摺動部材
45 駆動手段
46 扉保持部
47a アーム部材
47b 摺動部側軸部
47c 扉部材側軸部
50 渡し板部材
60,60A 作動装置
61 昇降手段
62 移動手段
63 車輪部材
70 扉保持装置
71 外壁体
71a 外壁正面
71b 外壁左面
71c 外壁右面
72 外壁開口部
72a 把手部開口部
75 レール部材
75a 水平板部
75b 垂直板部
76,76a,76b 扉閉鎖補助手段
77 回転体
78 乗上台
78a 乗上台の傾斜部
80 補助台面部材
81 台本体
82 台側収容部
83 台固定部材
85 台面部
F 設置場所の床面
F1 設置凹部
F2 床板部材
F5 床側収容部
S 溝空間
S1 開口部側溝空間
S2 壁面側溝空間


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22