(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】改善された皮膚の引き締めのための人工知能
(51)【国際特許分類】
A61N 1/32 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
A61N1/32
(21)【出願番号】P 2020567834
(86)(22)【出願日】2019-06-10
(86)【国際出願番号】 IB2019054797
(87)【国際公開番号】W WO2019239275
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2022-03-16
(32)【優先日】2018-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520472077
【氏名又は名称】アイゲイン ビューティ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086461
【氏名又は名称】齋藤 和則
(72)【発明者】
【氏名】リシンスキー、ダニエル エドュアド
【審査官】槻木澤 昌司
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-544399(JP,A)
【文献】特表2002-537939(JP,A)
【文献】特表2013-534167(JP,A)
【文献】特表2018-509264(JP,A)
【文献】実開昭60-088948(JP,U)
【文献】国際公開第2015/068621(WO,A1)
【文献】特表2009-539550(JP,A)
【文献】特表2014-533183(JP,A)
【文献】特開2004-129866(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0119714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/32-1/39
A61N 1/06
A61B 18/12-18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって:
ユーザの皮膚の特性を示すパラメータの値を表すセンサ出力を生成するように構成されるセンサと;
複数の電極と;
1つまたはそれ以上の高周波(RF)発生器
であって電圧源または電流源として動作することにより複数の高周波(RF)電流を生成するように構成される高周波(RF)発生器と;そして
コントローラと:
を有し、
前記コントローラは:
前記センサ出力からの前記パラメータの値の少なくとも1つの
値を
取得するステップと;
前記パラメータの複数のドメインから治療設定へのマッピングの中で、前記取得されたパラメータの値が属するドメインを識別することにより、複数の治療設定の中から1つの治療設定を識別するステップと;そして
識別された前記治療設定に従って、前記高周波発生器
を制御することにより、1つまたは複数の高周波電流が、前記皮膚を介して、少なくとも幾つかの電極間を通過するようにさせるステップと;
を繰り返すことにより、
前記皮膚を治療するように構成され、
そして前記コントローラは、
前記パラメータの
値に応答して、
少なくとも1つの前記ドメインの1つの境界を変更する、ように構成さ
れ、
ここで前記パラメータは、前記皮膚の温度、前記皮膚のインピーダンス、前記高周波(RF)電流の振幅、前記高周波(RF)電流の位相、前記電極間の電圧の振幅、前記電極間の電圧の位相、前記皮膚の湿度、前記皮膚の光学的反射率、そして前記皮膚の超音波反射率、から構成されるパラメータのグループから選択される、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
異なるそれぞれ1つの前記高周波発生器が、前記電極のそれぞれに接続されている、ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電極は少なくとも3つの電極を有し、前記電極の少なくとも1つの対は、前記電極の別の対よりも互いに離れて配置され、
前記治療設定は、活性化のためのそれぞれのグループの電極を指定し、そして
前記コントローラは、
1つまたは複数の高周波電流
に対し、前記識別された治療設定によって指定された前記活性化のためのグループの電極間
を通過
させる、ように構成される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記治療設定の少なくともいくつかは、前記グループの電極の異なるそれぞれの電極を活性化のために指定する、ことを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記治療設定は、それぞれの位相のセットをさらに指定し、前記治療設定の少なくともいくつかは、前記グループの電極の同じ1つの電極に対し、前記位相のセットの異なるそれぞれの位相を指定し、そして
前記コントローラは、前記高周波発生器に対し、それぞれの高周波信号を前記グループの電極に適用させることによって、
1つまたは複数の高周波電流が前記グループの電極の間を通過するようにさせる、ように構成され、前記高周波信号は、それぞれ、識別された前記治療設定によって指定された位相のセットを有する、
ことを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項6】
トラックを画定するように成形された表面をさらに備え、
少なくとも1つの前記電極は、前記トラックに沿って移動可能であり、
前記治療設定の少なくともいくつかは、異なるそれぞれの電極間分離を指定し、
前記コントローラは、
移動可能な前記電極と別の1つの電極が、識別された前記治療設定によって指定された前記電極間分離だけ互いに離れるように、前記トラックに沿って前記移動可能な電極を移動させ、そして
前記移動可能な電極を移動させた後、
前記1つまたは複数の高周波電流を前記移動可能な電極と前記別の1つの電極との間に流れるようにさせる、
ことにより識別された前記治療設定に従って、
前記1つまたは複数の高周波電流が少なくともいくつかの前記電極間を通過するようにさせる、
ように構成される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記パラメータの前記
取得された
前記パラメータの値が属する前記
ドメインを識別することによって前記治療設定を識別するように構成され、そして
前記コントローラは、
前記パラメータの値に応答して、少なくとも1つの
前記ドメインの前記境界を変更するように構成される、
ことを特徴とする請求項
1に記載のシステム。
【請求項8】
前記
ドメインは異なるそれぞれの
移動平均値に関連付けられ、
前記コントローラは、
少なくとも1つの前記ドメインに属する前記パラメータの値の平均値を計算するステップと;
前記移動平均値を当該移動平均値と前記平均値との加重平均値に等しく設定することにより、前記少なくとも1つのドメインに関連する前記移動平均値を変更するステップと、および
前記
少なくとも1つの
ドメインの変更された前記
移動平均値に応答して
前記境界を設定するステップと、
により、前記
少なくとも1つの
ドメインの前記境界を変更するように構成される、
ことを特徴とする請求項
7に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、(i)前記少なくとも1つの
ドメインに関連した前記変更された
移動平均値と、(ii)前記少なくとも1つの前記
ドメインに隣接する別の1つの
ドメインに関連する前記
移動平均値と、
の中間に前記境界を設定する、ように構成される、ことを特徴とする請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記パラメータの
値は第1の
値であり、
前記
ドメインは、それぞれの皮膚領域に対応する複数の皮膚領域
ドメインを含み、
それぞれの前記皮膚領域
ドメインは、前記皮膚領域に関連する前記パラメータの第2の
値に基づいて定義されていることにより、それぞれの前記皮膚領域に対応する、
ことを特徴とする請求項
7に記載のシステム、
【請求項11】
前記皮膚領域は、頬および額を含む、ことを特徴とする請求項
10に記載のシステム。
【請求項12】
前記
ドメインは、電極が皮膚と電気的に適切に接触していない、異なるそれぞれの状態に対応する1つまたは複数の不適切な電気接触
ドメインをさらに含み、
前記コントローラは、
前記パラメータの別の1つの値を確認し、
前記別の1つの値が前記不適切な電気的接触
ドメインの1つに属していることを確認し、そして
前記別の1つの値が前記不適切な電気的接触
ドメインに属していることを確認したことに応答して、前記皮膚の治療を中止する、
ようにさらに構成される、
ことを特徴とする請求項
10に記載のシステム。
【請求項13】
前記状態は、前記電極が前記皮膚と電気的に接触していない状態を含む、ことを特徴とする請求項
12に記載のシステム。
【請求項14】
前記状態は、前記電極が前記皮膚と電気的に接触しているが、所定の範囲内の厚さを有するゲルの層を介していない、1つの状態を含む、ことを特徴とする請求項
12に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラは、前記不適切な電気的接触ドメインが対応する前記状態を示す、1つの出力を生成するようにさらに構成される、請求項
12に記載のシステム。
【請求項16】
前記パラメータは前記皮膚の温度であり、前記センサは、前記皮膚の温度を測定し、それに応答して
センサ出力を生成するように構成された温度センサを
有する、ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記パラメータは前記高周波(RF)電流の振幅であり、前記センサは、前記高周波電流の
前記振幅を測定し、それに応答して
センサ出力を生成するように構成された電流センサをさらに備え
る、ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項18】
前記パラメータは前記高周波(RF)電流の位相であり、前記センサは、前記高周波電流の前記位相を測定し、それに応答してセンサ出力を生成するように構成された電流センサをさらに備える、
ことを特徴とする請求項
1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項19】
前記パラメータは前記電圧の振幅であり、前記センサは、前記電圧
の振幅を測定し、それに応答して
センサ出力を生成するように構成された電圧センサをさらに備え
る、ことを特徴とする請求項
1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項20】
前記パラメータは前記電圧の位相であり、前記センサは、電圧の位相を測定し、それに応答してセンサ出力を生成するように構成された電圧センサをさらに備える、ことを特徴とする請求項
1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記パラメータ
は前記皮膚のインピーダンス
である、ことを特徴とする請求項
1~15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記皮膚を治療する前に、高周波発生器
を制御することにより、治療前電流が、前記皮膚を介して、任意の対の前記電極間を通過するようにさせる、ようにさらに構成され、
前記コントローラは、前記治療前電流に基づいて前記パラメータの
値の初期値を
取得するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
コンピュータネットワークを介して前記コントローラと通信するように構成されたサーバをさらに備え、前記サーバと前記コントローラは、
前記パラメータの
値から得られた量をベースライン量と比較するステップと;および
前記比較に応答して、前記ユーザへの出力を生成するステップと;
を含むプロセスを協調的に実行するように構成される、
ことを特徴とする請求項1~
15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記ユーザへの出力は前記皮膚の属性を示すメッセージを含む、ことを特徴とする請求項
23に記載のシステム。
【請求項25】
前記ユーザへの出力は皮膚ケア製品の推奨を含む、ことを特徴とする請求項
23に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、化粧品の分野、特に皮膚の治療に関する。
【0002】
(関連するアプリケーションへの相互参照)
本出願は2018年6月11日に出願された「皮膚引き締めのための一定の高周波エネルギー密度-治療方法および装置」と題された米国暫定特許出願第62/683,070号(特許文献1)の利益を主張し、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
米国特許第8,700,176号(特許文献2)は、高周波(RF)電磁エネルギーを皮膚に送達するための皮膚治療装置およびシステムを記載している。その装置は、1つまたは複数の電磁高周波生成ユニット、複数の高周波電極グループ、および、任意の選択された高周波電極グループまたは複数のグループから選択された任意の選択された高周波電極グループの組み合わせ、を介して高周波エネルギーを皮膚に制御可能に適用するためのコントローラ、を含む。電極は、固定電極および/または可動電極であり得る。異なる高周波周波数および/または周波数帯域を使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国暫定特許出願第62/683,070号
【文献】米国特許第8,700,176号
【発明の概要】
【0005】
本発明のいくつかの実施形態によれば、複数の電極と;1つまたはそれ以上の高周波(RF)発生器と;そしてコントローラと:を有するシステムが提供される。コントローラは:パラメータの少なくとも1つの確認された値のそれぞれの値を確認するステップと;少なくとも1つの決定ルールをパラメータの確認された値に適用し、複数の治療設定の中から1つの治療設定を識別するステップと;そして識別された治療設定に従って、高周波発生器に対し、1つまたは複数の高周波電流が、皮膚を介して、少なくとも幾つかの電極間を通過するようにさせるステップと;を繰り返すことにより、1つまたはそれ以上の決定ルールを使用して、少なくとも1つのパラメータの複数の確認された値に応答して、ユーザの皮膚を治療するように構成され、そしてコントローラは、パラメータの確認された値に応答して、決定ルールの少なくとも1つを変更するように構成される。
【0006】
いくつかの実施形態では、コントローラは、人工知能を使用して決定ルールの少なくとも1つを変更するように構成される。
いくつかの実施形態では、異なるそれぞれ1つの前記高周波発生器が、前記電極のそれぞれに接続されている。
いくつかの実施形態では、電極は少なくとも3つの電極を有し、電極の少なくとも1つの対は、電極の別の対よりも互いに離れて配置され、治療設定は、活性化のためのそれぞれのグループの電極を指定し、そしてコントローラは、高周波発生器に対し、識別された治療設定によって指定された活性化のためのグループの電極間で高周波電流を通過させる、ように構成される。
いくつかの実施形態では、治療設定の少なくともいくつかは、前記グループの電極の異なるそれぞれの電極を活性化のために指定する。
【0007】
いくつかの実施形態では、治療設定は、それぞれの位相のセットをさらに指定し、治療設定の少なくともいくつかは、グループの電極の同じ1つの電極に対し、位相のセットの異なるそれぞれの位相を指定し、そしてコントローラは、高周波発生器に対し、それぞれの高周波信号をグループの電極に適用させることによって、高周波発生器に対し、高周波電流がグループの電極の間を通過するようにさせる、ように構成され、高周波信号は、それぞれ、識別された治療設定によって指定された位相のセットを有する。
【0008】
いくつかの実施形態では、トラックを画定するように成形された表面をさらに備え、少なくとも1つの電極は、トラックに沿って移動可能であり、治療設定の少なくともいくつかは、異なるそれぞれの電極間分離を指定し、コントローラは、移動可能な電極と別の1つの電極が、識別された治療設定によって指定された電極間分離だけ互いに離れるように、トラックに沿って移動可能な電極を移動させ、そして移動可能な電極を移動させた後、高周波発生器に対し、高周波電流を移動可能な電極と別の1つの電極との間に流れるようにさせる、ことにより識別された治療設定に従って、高周波発生器に対し、高周波電流が少なくともいくつかの電極間を通過するようにさせる、ように構成される。
【0009】
いくつかの実施形態では、決定ルールは、パラメータの複数のドメインから治療設定へのマッピングによってそれぞれ表され、コントローラは、パラメータの確認された値が属するドメインを識別することによって治療設定を識別するように構成され、そしてコントローラは、少なくとも1つのドメインの少なくとも1つの境界を変更することによって、決定ルールの少なくとも1つを変更するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、ドメインは異なるそれぞれの特性値に関連付けられ、コントローラは、少なくとも1つのドメインに属するパラメータの確認された値の特性値に基づいて、少なくとも1つのドメインの特性値を変更するステップと、およびドメインの少なくとも1つの変更された特性値に応答して境界を設定するステップと、により、ドメインの少なくとも1つの境界を変更するように構成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、コントローラは、(i)少なくとも1つのドメインの変更された特性値、および(ii)少なくとも1つのドメインに隣接する別の1つのドメインの特性値、から等距離になるように境界を設定するように構成される。
いくつかの実施形態では、コントローラは、少なくとも1つのドメインに属するパラメータの確認された値の平均値を計算するステップと;および特性値を(i)特性値と(ii)平均値との加重平均に設定するステップと;により、少なくとも1つのドメインの特性値を変更するように構成される。
【0012】
いくつかの実施形態では、パラメータの確認された値は第1の確認された値であり、ドメインは、それぞれの皮膚領域に対応する複数の皮膚領域ドメインを含み、それぞれの皮膚領域ドメインは、皮膚領域に関連するパラメータの第2の確認された値に基づいて定義されていることにより、それぞれの皮膚領域に対応する。
いくつかの実施形態では、皮膚領域は、頬および額を含む。
いくつかの実施形態では、ドメインは、電極が皮膚と電気的に適切に接触していない、異なるそれぞれの状態に対応する1つまたは複数の不適切な電気接触ドメインをさらに含み、コントローラは、パラメータの別の1つの値を確認し、別の1つの値が不適切な電気的接触ドメインの1つに属していることを確認し、そして別の1つの値が不適切な電気的接触ドメインに属していることを確認したことに応答して、皮膚の治療を中止する、ようにさらに構成される。
【0013】
いくつかの実施形態では、状態は、電極が皮膚と電気的に接触していない状態を含む。
いくつかの実施形態では、状態は、電極が皮膚と電気的に接触しているが、所定の範囲内の厚さを有するゲルの層を介していない、1つの状態を含む。
いくつかの実施形態では、コントローラは、不適切な電気的接触ドメインが対応する状態を示す、1つの出力を生成するようにさらに構成される。
いくつかの実施形態では、皮膚の温度を測定し、それに応答して温度センサ出力を生成するように構成された温度センサをさらに備え、パラメータの確認された値は、温度の温度値を含み、コントローラは、温度センサ出力に応答して温度値を確認するように構成される。
【0014】
いくつかの実施形態では、高周波電流の少なくとも一部を測定し、それに応答して出力を生成するように構成された電流センサをさらに備え、コントローラは、出力に応答して、パラメータの確認された値を確認するように構成される。
いくつかの実施形態では、パラメータの確認された値は、少なくとも幾つかの高周波電流の1つの特性の電流特性値を含む。
いくつかの実施形態では、少なくとも幾つかの高周波電流に関連する電圧を測定し、それに応答して電圧センサ出力を生成するように構成された電圧センサをさらに備え、コントローラは、電圧センサ出力に応答してパラメータの確認された値を確認するように構成される。
いくつかの実施形態では、パラメータの確認された値は、電圧の特性の電圧特性値を含む。
いくつかの実施形態では、パラメータの確認された値は、皮膚のインピーダンスのインピーダンス値を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、コントローラは、皮膚を治療する前に、高周波発生器に対し、治療前電流が、皮膚を介して、任意の対の電極間を通過するようにさせる、ようにさらに構成され、コントローラは、治療前電流に基づいて確認された値の初期値を確認するように構成される。
【0016】
いくつかの実施形態では、コンピュータネットワークを介してコントローラと通信するように構成されたサーバをさらに備え、サーバとコントローラは、確認された値から得られた量をベースライン量と比較するステップと;および比較に応答して、ユーザへの出力を生成するステップと;を含むプロセスを協調的に実行するように構成される。
いくつかの実施形態では、ユーザへの出力は、皮膚の属性を示すメッセージを含む。
いくつかの実施形態では、ユーザへの出力が皮膚ケア製品の推奨を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、パラメータの少なくとも1つの確認された値のそれぞれの値を確認するステップと;少なくとも1つの決定ルールをパラメータの確認された値に適用し、複数の治療設定の中から1つの治療設定を識別するステップと;そして識別された治療設定に従って、高周波(RF)発生器に対し、1つまたは複数の高周波電流が、皮膚を介して、少なくとも幾つかの電極間を通過するようにさせるステップと;のステップを繰り返すことにより、1つまたはそれ以上の決定ルールを使用して、少なくとも1つのパラメータの複数の確認された値に応答して、ユーザの皮膚を治療するステップを有する方法がさらに提供される。方法はさらにパラメータの確認された値に応答して、決定ルールの少なくとも1つを変更するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明は、その実施形態の図面を参照した以下の詳細な説明から、より完全に理解されるであろう:
【
図1】本発明のいくつかの実施形態による、ユーザの皮膚を治療するためのシステムの概略図である。
【
図2】本発明のいくつかの実施形態による、様々な治療設定に従ってユーザの皮膚を治療するための技術の概略図である。
【
図3】本発明のいくつかの実施形態による、様々な治療設定に従ってユーザの皮膚を治療するための技術の概略図である。
【
図4A】本発明のいくつかの実施形態による、皮膚を治療するための反復法の流れ図である。そして
【
図4B】本発明のいくつかの実施形態による、治療後処置の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
皮膚の真皮層が約50~52°Cに加熱されると、真皮のコラーゲン繊維が再構築され、皮膚が引き締まる。したがって、いくつかの皮膚引き締め技術は、高周波エネルギーを皮膚に印加することによって皮膚を加熱することを含む。高周波エネルギーは、例えば、一対の電極を含むハンドヘルド治療ヘッドを使用して印加することができる。特に、高周波電流は、電極が皮膚と電気的に接触している間に、一対の電極間を通過することができ、その結果、高周波電流は皮膚に浸透する。
【0020】
一般に、各高周波電流が浸透する深さは、電極間の距離の増加関数である。例えば、円筒形電極の対の浸透深さは、対の間の距離の約半分であり得る。したがって、同じ高周波装置を使用して皮膚の複数の領域を引き締める場合の課題は、治療する皮膚の深さ、つまり高周波電流の望ましい浸透深さが領域ごとに異なる可能性があることである。例えば、頬またはあごの真皮の最も深い部分は、皮膚の表面から0.2から3mmの間であり得るが、額の真皮は、0.1から1mmの間より深くてはならない。したがって、頬にとって適切な浸透深さは額にとって危険である可能性があり、額にとって適切な浸透深さは頬にとっては効果がない可能性がある。
【0021】
この課題を克服するために、電極間の距離(または「分離」)を皮膚の深さに応じて変えることができる。例えば、互いにより大きな距離にある第1の対の電極を使用して頬を治療することができ、一方、互いにより小さな距離にある第2の対の電極を使用して額を治療することができる。あるいは、電極の1つの対の間の距離は、一方または両方の電極を動かすことによって、皮膚の深さに応じて調整され得る。
【0022】
上記のアプローチでは、治療セッション中に皮膚の深さを測定するか、少なくとも深さを示すパラメータを測定する必要がある。そのようなパラメータの1つは、皮膚のインピーダンスである。したがって、理論的には、電極を使用して皮膚のインピーダンスを測定することができ、電極間の間隔は、測定されたインピーダンスに従って変化させることができる。ただし、あるユーザの特定の皮膚領域のインピーダンスは、別のユーザの同じ皮膚領域のインピーダンスとは異なる場合がある。さらに、1人のユーザであっても、皮膚の特定の領域のインピーダンスは時間の経過とともに変化する可能性がある。
【0023】
この課題に対処するために、本発明の実施形態では、ハンドヘルド治療装置は、特定のユーザに固有の決定ルールに従って高周波電流を適用し、人工知能を使用して時間の経過とともに決定ルールを継続的に更新するように構成されたコントローラを備える。特に、治療セッション中、コントローラは、ユーザの皮膚のインピーダンスなどのパラメータの値を繰り返し確認する。確認された各値に基づいて、コントローラは、決定ルールを使用して、適切な治療設定(たとえば、適切な電極間分離を含む)を識別し、識別された治療設定に従って1つ以上の高周波電流を適用する。治療セッションに続いて、コントローラは、確認されたパラメータ値に基づいて、決定ルールを改訂することができる。
【0024】
例えば、各ユーザについて、インピーダンス値の複数のドメインは、皮膚の異なるそれぞれの領域に対応する異なるそれぞれの治療設定にマッピングされ得、隣接するドメインの各対は、それぞれの決定境界で互いに隣接している。したがって、例えば、1人の特定の仮想ユーザについて、350Ω未満のインピーダンスは、額に適切な治療設定にマッピングされ得、一方、350Ωを超えるインピーダンスは、頬に適切な別の治療設定にマッピングされ得る。治療セッション中に、コントローラは、確認された各インピーダンス値が属するドメインを識別し、次に、ドメインがマッピングされる治療設定を選択することができる。治療セッションに続いて、コントローラは、確認されたインピーダンス値に基づいて、決定境界の少なくとも1つを変更することができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、決定境界を変更するために、コントローラは、最初に、治療セッション中に確認された皮膚領域のインピーダンス値に基づいて、治療された各皮膚領域の「特性インピーダンス」Zcを更新する。更新された特性インピーダンスに応答して、コントローラは、決定境界で交わる2つの皮膚領域のそれぞれの特性インピーダンスから等距離になるように各決定境界を設定することができる。
【0026】
いくつかの実施形態では、Zcを更新するために、コントローラは、最初に、皮膚領域が治療されている間に取得されたインピーダンス値の平均値Zaを計算する。続いて、コントローラは現在の特性インピーダンスとZaの加重平均を計算する。つまり、コントローラは新しい特性インピーダンスZc(n)をα* Zc(n-1)+(1-α)* Za(n)、ここで、αは、例えば、0.3から0.99の間、例えば、0.85から0.95の間である。(いくつかの実施形態では、皮膚領域が少なくとも1分間などの事前定義された最小期間治療されない限り、および/または皮膚領域の事前定義された最小インピーダンス値の数が取得されない限り、コントローラはZcを更新しない。)
【0027】
通常、ユーザが治療装置を作動させると、コントローラは、本明細書では「プレパルス」と呼ばれる短い高周波電流を皮膚に印加することによって、初期インピーダンス測定値を取得する。この初期測定値に基づいて、コントローラは適切な治療設定を選択し、この設定に従って治療を開始する。続いて、通常の治療パルスが印加されると、インピーダンスが定期的に、例えば、0.1から1秒の間の周期で測定される。それぞれの定期測定値に基づいて、コントローラは異なる治療設定を使用するかどうかを決定する。
【0028】
通常、コントローラは、治療セッション中に治療装置が皮膚から持ち上げられた場合など、電極が皮膚との適切な電気的接触を欠いている状況を識別するようにさらに構成される。それに応答して、コントローラは、治療セッションを休止または中止することができる。
【0029】
通常、皮膚のインピーダンスは皮膚の水分量に依存する。したがって、いくつかの実施形態では、コントローラ、またはクラウドベースのサーバは、治療セッション中に確認された皮膚のインピーダンス値に基づいて、ユーザの皮膚が乾燥していることを識別し得る。例えば、コントローラまたはサーバは、特定の皮膚領域の現在の特性インピーダンスを、同じユーザのベースライン特性インピーダンス、および/または他のユーザのグループのベースライン特性インピーダンスと比較することができる。電流特性インピーダンスがベースラインから外れると、保湿剤の使用を推奨するメッセージがユーザに送信される場合がある。
【0030】
(システムの説明)
最初に、本発明のいくつかの実施形態による、ユーザ22の皮膚を治療するためのシステム20の概略図である
図1が参照される。一般に、システム20は、頬24、額26、顔の別の部分、腕、脚、または腹部の皮膚などの任意の適切な皮膚の領域を治療するために使用することができる。
【0031】
システム20は、プラスチックおよび/または他の任意の適切な材料から作製され得る、手持ち式の皮膚締め付け装置21を備える。装置21は、治療ヘッド23に結合されたシェル(または「ケース」)44を備える。治療ヘッド23は、
図2を参照して以下でさらに説明されるが、複数の電極28を含む。電極28は、典型的には治療ヘッドの遠位表面46上に、または遠位表面46の開口内に配置され、例えば、電極は遠位表面46から突出する。
【0032】
シェル44は、通常、シェル44と治療ヘッド23との間を通過するワイヤ29を介して電極28に接続された、1つまたは複数の高周波(RF)発生器30を含む。通常、シェル44は、コントローラ(CTRL)36、メモリ34、およびセンサ32をさらに含む。典型的には、高周波発生器30、コントローラ36、メモリ34、およびセンサ32は、以下に説明する追加の構成要素のいずれか1つまたは複数とともに、電子回路基板42に取り付けられる。いくつかの実施形態では、これらの構成要素の2つ以上がシングルチップに統合される。例えば、装置21は、サイプレスセミコンダクター(登録商標)によって製造されたCY8C4247LQI-BL473チップなどの、コントローラ36およびメモリ34の両方を含むチップを含み得る。いくつかの実施形態では、メモリ34は、上記のようにコントローラ36と統合される内部メモリと、外部メモリチップとの両方を含む。
【0033】
通常、コントローラ36は、ファームウェアおよび/またはソフトウェアコードを実行することによって、本明細書で説明される機能の少なくともいくつかを実行するように構成される。あるいは、コントローラ36の機能は、完全にハードウェアに実装され得る。
【0034】
装置21を使用するために、ユーザ22は、最初に、遠位表面46(または少なくとも電極28)を、2~70mmなどの所定の範囲内の厚さを有するゲルの層で覆う。続いて、ユーザは、電極28がゲルを介して皮膚と電気的に接触するように、ユーザの皮膚上に治療ヘッド23を走らせる。治療ヘッドが皮膚上を走るとき、コントローラ36は、センサ32からのフィードバックおよびメモリ34からのデータに従って、高周波発生器に電極間の皮膚を介して電流を流させることにより、1つまたは複数の高周波電流でユーザ22の皮膚を治療する。
【0035】
より具体的には、少なくともいくつかの電流の印加中および/または印加直後に、センサ32は、皮膚または電流の関連する特性値を測定し、それに応答してコントローラ36に出力信号を生成する。例えば、センサ32は、電流の印加中および/または印加直後の皮膚の温度を測定するように構成された温度センサを備え得る。(一般に、薄い皮膚を通過する電流は、厚い皮膚を通過する電流と比較して、温度のより大きな上昇を引き起こす。)代替的または追加的に、センサ32は、皮膚に印加される電流を測定するように構成された電流センサを含み得る。代替的または追加的に、センサ32は、電流が印加されるときの1つまたは複数の活性化電極の電圧など、電流に関連する電圧を測定するように構成された電圧センサを備え得る。代替的または追加的に、センサ32は、皮膚のしっとり感を測定するように構成された水分センサを含み得る。代替的または追加的に、センサ32は、皮膚からの光反射を測定するように構成された光学センサ、および/または皮膚からの超音波反射を測定するように構成された超音波変換器を含み得る。
【0036】
センサ32からの出力信号に基づいて、コントローラは少なくとも1つのパラメータの値を確認する。例えば、温度センサからの出力に基づいて、コントローラは皮膚の温度を確認することができる。代替的または追加的に、電流センサからの出力に基づいて、コントローラは、印加された電流の振幅および/または位相などの特性を確認することができる。代替的または追加的に、電圧センサからの出力に基づいて、コントローラは、活性化された電極間の電圧の振幅および/または位相などの特性を確認することができる。代替的または追加的に、前述の電流センサおよび/または電圧センサからの出力に基づいて、コントローラは、皮膚のインピーダンスを確認することができる。例えば、コントローラは、電圧センサによって測定された電圧振幅を、電流センサによって測定された電流振幅で除算することができる。
【0037】
通常、パラメータ値は定期的に、たとえば数マイクロ秒から1秒の周期で確認される。
【0038】
各パラメータ値の確認に応答して、コントローラは、確認された値に少なくとも1つの決定ルールを適用することにより、複数の治療設定の中から1つの治療設定を識別する。たとえば、コントローラは、決定木やフォレストなどの機械学習モデルにパラメータ値を入力できる。このモデルは、一連の決定ルールを実装することにより、入力に応じて治療設定を選択するように構成されている。あるいは、決定ルールは、パラメータの複数のドメインから治療設定へのマッピングによってそれぞれ表され得、その結果、コントローラは、値が属するドメインを識別することによって治療設定を識別し得る。換言すれば、
図2~3を参照して以下でさらに説明するように、コントローラは、確認された値が属するドメインを識別し、次に、マッピングごとにドメインがマッピングされる治療設定を識別することができる。
【0039】
治療設定の識別に応答して、コントローラは、高周波発生器に対し、識別された治療設定に従って、1つまたは複数の高周波電流が皮膚を介して電極間を通過するようにさせる。特に、治療設定が識別されたときに、識別された治療設定に従って高周波電流がすでに印加されている場合、コントローラは、この電流の印加を継続させる。(この原因は、高周波発生器が電流を流し続けるようにコントローラが適切な制御信号を高周波発生器に伝達し得るという点で能動的であり得、または高周波発生器が電流を流しているのをコントローラが止めない点で受動的であり得る。)それ以外の場合、高周波電流が別の治療設定に従って印加されている場合、コントローラは適切な制御信号を高周波発生器に通信することによってこの電流の印加を停止する。続いて、または治療設定が識別されたときに高周波電流が印加されていない場合、コントローラは、適切な制御信号を高周波発生器に通信することによって、識別された治療設定に従って新しい高周波電流を印加する。
【0040】
通常、各高周波電流のピークツーピーク振幅は20~130V(たとえば、40~55V)である。いくつかの実施形態では、高周波電流は、例えば、各高周波電流の持続時間が(これらの実施形態では「パルス」とも呼ばれ得る)1から1000ミリ秒の間であるようにパルス化される。(各パルスの振幅および/または持続時間は、皮膚に所望の量のエネルギーを供給するように変えることができる。)あるいは、次の治療設定が特定されるまで、または治療セッションが終了するまで、単一の電流を継続的に印加することができる。
【0041】
各治療セッション中またはその後に、コントローラは、確認されたパラメータ値に応じて、少なくとも1つの決定ルールを変更できる。たとえば、決定ルールが機械学習モデルに実装されている場合、コントローラはモデルを再トレーニングできる。あるいは、
図2~3を参照して以下でさらに説明するように、コントローラは、メモリ34に格納された少なくとも1つのパラメータ値ドメインの境界を変更することができる。
【0042】
上記の要素の代替または追加として、装置21は、電源ボタンまたはスイッチ、装置に電力を供給するように構成されたバッテリー、1つまたは複数の発光ダイオード(LED)表示器、および/または加速度計などの運動センサを備えることができる。運動センサが皮膚を横切る装置の移動を検出しなくなったことに応答して、コントローラは装置の電源をオフにし、それによりユーザの皮膚を過度の電流から保護することができる。
【0043】
いくつかの実施形態では、
図1に示されるように、異なるそれぞれの高周波発生器が、電極のそれぞれに接続されている。(各高周波発生器は、図には示されていないグランドへの接続も持っている。)このような実施形態では、各電流は通常、1つの高周波信号を1つの電極に印加し、同じ振幅で逆位相の別の高周波信号を別の電極に印加することによって生成される。次に、ペア間の電圧は、電極の1つで電圧を測定し、この電圧に2を乗じることによって確認できる。他の実施形態では、単一の高周波発生器がすべての電極に接続されている。さらに別の代替案として、複数の電極の様々な組を異なるそれぞれの高周波発生器に接続することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、各高周波発生器は、高周波発生器が所定の電圧を印加するように構成されるという点で、電圧源として動作する。それにもかかわらず、実際に印加される電圧の振幅は、例えば、装置に電力を供給するバッテリーが消耗しているために、所定の振幅とは異なる可能性があるので、印加電圧が測定されうる。同様に、高周波発生器が電流源として動作している場合でも、印加電流が測定されうる。
【0045】
いくつかの実施形態では、装置21は、ネットワークインターフェース(図示せず)、WiFiインターフェース、および/またはブルートゥース(登録商標)インターフェースなどの通信インターフェースをさらに含む。コントローラは、通信インターフェースを介して、ユーザのスマートフォンに属するプロセッサおよび/またはクラウドサーバ38に属するプロセッサ39などの外部プロセッサと通信することができる。(選択肢として、コントローラは、ユーザのスマートフォンを介してプロセッサ39と通信することができる。)この通信の少なくとも一部は、インターネットなどの適切なコンピュータネットワーク40を介して交換され得る。
【0046】
通常、サーバ38は、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)などのネットワークインターフェース37をさらに備える。ネットワークインターフェース37を介して、プロセッサ39は、装置21、ユーザのスマートフォン、および/または他のユーザに属する任意の数の他の装置と通信することができる。
【0047】
一般に、本明細書に記載のプロセッサのそれぞれは、単一のプロセッサとして、または協調的にネットワーク化された、またはクラスタ化されたプロセッサのセットとして実現され得る。いくつかの実施形態では、本明細書で説明するように、プロセッサの少なくとも1つの機能は、例えば、1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を使用して、ハードウェアのみで実装される。他の実施形態では、各プロセッサの機能は、少なくとも部分的にソフトウェアに実装されている。例えば、いくつかの実施形態では、各プロセッサは、少なくとも中央処理装置(CPU)およびランダムアクセスメモリ(RAM)を含むプログラムされたデジタルコンピューティング装置として実現される。ソフトウェアプログラムを含むプログラムコードおよび/またはデータは、CPUによる実行および処理のためにRAMにロードされる。プログラムコードおよび/またはデータは、例えば、ネットワークを介して、電子形式でプロセッサにダウンロードされ得る。代替的または追加的に、プログラムコードおよび/またはデータは、磁気、光学、または電子メモリなどの非一過性有形媒体に提供および/または格納され得る。そのようなプログラムコードおよび/またはデータは、プロセッサに提供されると、本明細書に記載のタスクを実行するように構成されたマシンまたは専用コンピュータを形成する。
【0048】
(皮膚を適応的に治療する)
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、様々な治療設定に従ってユーザの皮膚を治療するための技術の概略図である
図2が参照される。
【0049】
いくつかの実施形態では、皮膚引き締め装置は、少なくとも3つの電極を含み、電極の少なくとも1つの対は、電極の別の対よりも互いに離れて配置されている。
図2に示される特定の例示的な実施形態では、例えば、4つの電極が遠位表面46から突出している:第1の電極28a、第2の電極28b、第3の電極28c、および第4の電極28d。これらの電極のいくつかの対は、第1の電極間間隔d1を有し、他は、d1よりも大きい第2の電極間間隔d2を有し、別の対は、d2よりも大きい第3の電極間間隔d3を有する。(第1の電極28aと第4の電極28dとの間の間隔は、図では明示的に示されていない。)別の純粋に例示的な例として、第1の電極28aは、第2の電極28bおよび第3の電極28cのそれぞれからd3の距離にあり、第2の電極28bは第3の電極28cからd1の距離にあり、第4の電極28dは、第2の電極28bおよび第3の電極28cのそれぞれからd2の距離にあり得る。(これらの距離の例は、d1が2mm、d2が3mm、およびd3が4mmである。)あるいは、電極は、他の任意の適切な数値あり得、および/または他の任意の適切な構成で配置され得る。
【0050】
そのような実施形態では、メモリ34に記憶された治療設定は、活性化のための電極のそれぞれのグループを指定する。例えば、メモリは、皮膚のインピーダンスまたは温度などの関連するパラメータの複数のドメインから、活性化のための電極のそれぞれのグループへのマッピングを格納することができる。確認された各パラメータ値の治療設定を指定することに応答して、コントローラは、高周波発生器に対し、指定された治療設定によって指定された電極のグループ間に、活性化のため1つまたは複数の電流を流させる。
【0051】
通常、治療設定の少なくとも一部は、活性化のために異なるそれぞれのグループを指定する。たとえば、
図2の仮想マッピングには、活性化された電極の4つの異なるグループが含まれる。(i)ドメイン[x0、x1)は、第1電極28a、第2電極28b、および第3電極28cで構成されるグループにマッピングされ、(ii)ドメイン[x1、x2)は、第1の電極28a、第3の電極28c、および第4の電極28dからなるグループにマッピングされ、(iii)ドメイン[x2、x3)は、第2の電極28bおよび第4の電極28dからなるグループにマッピングされ、(iv)ドメイン[x3、x4)および[x4、x5)はそれぞれ、すべての電極からなるグループにマッピングされる。
【0052】
いくつかの実施形態では、治療設定は、それぞれの位相の組をさらに指定し、少なくともいくつかの治療設定は、同じグループの電極に対して異なるそれぞれの位相の組を指定する。治療設定の識別に応答して、コントローラは、高周波発生器に対し、治療設定によって指定された電極のグループにそれぞれの高周波信号を印加させ、高周波信号は、識別された治療設定によって指定された位相のセットをそれぞれ有する。
【0053】
たとえば、
図2では、ドメイン[x3、x4)と[x4、x5)は同じグループの電極にマッピングされているが、これらのドメインはそれぞれ異なる位相のセットにマッピングされている。詳細には、ドメイン[x3、x4)について、第1の電極28aおよび第3の電極28cはゼロの位相を有し、一方、第2の電極28bおよび第4の電極28dは180度の位相を有する。(したがって、この治療設定に従って、高周波信号は、第1の電極28aおよび第3の電極28cの極性が第2の電極28bおよび第4の電極28dの極性と反対になるように電極に印加される。)一方ドメイン[x4、x5]については、第1の電極28aおよび第4の電極28dは、ゼロの位相を有し、一方、第2の電極28bおよび第3の電極28cは、180度の位相を有する。
【0054】
通常、ドメインは、それぞれの皮膚領域に対応する複数の皮膚領域ドメインを含み、それぞれの皮膚領域ドメインは、皮膚領域に関連するパラメータの値に基づいて定義されているため、それぞれの1つの皮膚領域に対応する。たとえば、1つのドメインは頬のインピーダンス値など、頬に関連付けられたパラメータ値に基づいて定義されているため、頬に対応しうる。別のドメインは、額のインピーダンス値など、額に関連付けられたパラメータ値に基づいて定義されているため、額に対応しうる。
【0055】
いくつかの実施形態では、皮膚領域ドメインを定義するために使用されるパラメータ値は、較正手順中に収集される。この手順の間、ユーザは、皮膚領域ドメインが定義されるべき皮膚の領域上で治療ヘッドを走らせる。これらの領域のそれぞれについて、高周波電流がその領域に印加され、一方でパラメータの値が確認される。
【0056】
たとえば、治療に装置を使用する前に、ユーザは、複数の特定の皮膚領域上に順番に治療ヘッドを(電極を覆う適切な厚さのゲル層で)走らせ、コントローラに対し1つの皮膚領域から次の皮膚領域へのそれぞれの遷移を示す(たとえば、特定のボタンで)ことができる。皮膚領域のそれぞれについて、コントローラは、複数のパラメータ値を確認し、次に、確認された値に基づいて皮膚領域のドメインを定義することができる。例えば、各皮膚領域について、コントローラは、例えば、確認された値の平均値(外れ値を除く)を計算することによって、それぞれの特性値(CV)を計算することができる。次に、コントローラは、隣接するドメイン間の各境界が隣接するドメインのそれぞれの特性値から等距離になるように、ドメインの境界を設定することができる。
【0057】
たとえば、較正手順に基づいて、コントローラは、ユーザの頬の特性インピーダンスZCと、ユーザの額の特性インピーダンスZFを計算する場合がある。それに応じて、コントローラは、頬ドメインと額ドメインとの間に(ZC+ZF)/2 の境界を設定することができる。
【0058】
他の実施形態では、値は、他のユーザの適切な母集団から収集される。プロセッサ(例えば、プロセッサ39(
図1))は、その値に基づいて、1組のデフォルトの皮膚領域ドメインを定義し、それは、その製造中に各皮膚引き締め装置のメモリにロードされ得る。
【0059】
ドメインがユーザ固有の較正手順から計算されるか、一般集団から取得されるデータから計算されるかに関係なく、いずれの場合でも、ドメインの境界は、以下でさらに説明するように、装置の寿命全体にわたって調整されうる。
【0060】
いくつかの実施形態では、メモリ34内のドメインは、電極が皮膚と適切に電気的に接触していない、異なるそれぞれの状態に対応する1つまたは複数の不適切な電気的接触ドメインをさらに含む。治療中に、不適切な電気的接触ドメインに属するパラメータ値の確認に応答して、コントローラは、皮膚の治療を中止するか、または適切な電気的接触が回復するまで治療を一時停止する。
【0061】
通常、不適切な電気的接触ドメインの少なくとも1つは、電極が皮膚と電気的に接触していない状態に対応する。例えば、例えば550~800Ωの間のインピーダンスを含み得る「ゲルドメイン」は、電極が所定の範囲内の厚さを有するゲルの層によって覆われているが、皮膚と電気的に接触していない状態に対応しうる。別の例として、例えば4000Ωより高いインピーダンスを含み得る「空気領域」は、電極がゲルで覆われておらず、皮膚と電気的に接触していない状態に対応しうる。別の例として、例えば100Ω未満のインピーダンスを含み得る「短絡領域」は、電極が、ユーザの腕時計などの低抵抗の導体を介して互いに電気的に接続されている状態に対応し得る。
【0062】
代替的または追加的に、不適切な電気的接触ドメインの1つは、電極が皮膚と電気的に接触しているが、事前定義された範囲内の厚さを有するゲルの層を介してではない状態に対応し得る。言い換えれば、電極は、ゲルが少なすぎるか多すぎる可能性がある。純粋に例示的な例として、介在するゲルが少なすぎる皮膚接触に対応するドメインは、1800~4000Ωのインピーダンスを含み得、一方、介在するゲルが多すぎる皮膚接触に対応するドメインは、100~200Ωのインピーダンスを含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、コントローラは、電極が皮膚と適切に電気的に接触していない状態の識別に応答して、状態を示す出力を生成する。例えばコントローラは、不適切な量のゲルの識別に応答して、適切なLED表示器を点灯させることができ、その結果、ユーザは、ゲルの量を増減する必要性を認識する。代替的または追加的に、コントローラは、状態を示すメッセージを、サーバ38(
図1)またはユーザのスマートフォンなどの外部装置に通信することができる。このメッセージの受信に応答して、外部装置は、治療を再開するために必要なアクションとともに、状態を示す出力をユーザに生成することができる。例えば、不適切な量のゲルの場合、ユーザは、ゲルの量を増減するように指示され得る。
【0064】
不適切な電気的接触ドメインのそれぞれは、電極が不適切な電気的接触の関連する状態にある間に、電極間に高周波電流を流し、関連するパラメータの値を確認することによって定義できる。あるいは、少なくとも1つの不適切な電気的接触領域は、異なるタイプの材料のインピーダンス値の表などの既存のデータに基づいて定義され得る。いずれにせよ、典型的には、同じ1組の不適切な電気的接触ドメインが、各皮膚引き締め装置のメモリに製造中にロードされる。
【0065】
コントローラは、各治療セッション中に、各ドメインに属する各確認された値をメモリ34に格納することができる。続いて、治療セッションに続いて、格納された値に基づいて、コントローラは、1つまたは複数のドメインのそれぞれの特性値を変更することができる。次に、コントローラは、変更された特性値に応答して、少なくとも1つのドメイン境界をリセットすることができる。例えば、コントローラは、各境界を2つの最も近い特性値から等距離に設定することができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、コントローラは、そのドメインに属する確認された値の平均値を計算し、次に特性値を(現在の)特性値の加重平均値と平均値に設定することによってドメインの特性値を変更する。言い換えると、特性値CViと確認された値の平均値Mが与えられると、コントローラは新しい特性値 CVi+1を αCVi+(1-α)M として計算できる。ここで、αは0.3~0.99の間の定数のような0と1の間の適切な定数、たとえば、0.85~0.95の間の定数である。
【0067】
コントローラは、各ドメインに単一の特性値を割り当てる代わりに、例えば、ドメインに属する複数のパラメータ値のいくつかの局所平均値を計算することによって、各ドメインに複数の特性値を割り当てることができる。そのような実施形態では、コントローラは、治療セッション中に確認された複数のパラメータ値に応答して、1つまたは複数の局所平均値を更新することができる。続いて、コントローラは、境界と隣接するドメインの局所平均値との間の距離の二乗の合計を最小化することによって、または他の適切な技術を使用することによって、2つの隣接するドメイン間の境界を変更することができる。
【0068】
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、様々な治療設定に従ってユーザの皮膚を治療するための別の技術の概略図である
図3を参照する。
【0069】
いくつかの実施形態では、遠位表面46は、トラック48を画定するように形作られ、少なくとも1つの電極28eは、電極28eと別の電極28fとの間の電極間分離「s」が調整可能であるように、トラック48に沿って移動可能である。例えば、可動電極はトラック内に配置され、遠位表面46の下にある可動電極の近位端は、トラックに平行に横たわり、そしてモーターに連結されるネジにねじ込まれている。コントローラは、モーターを使用してねじを回すことにより可動電極をトラックに沿って、電極28fに向かって、または電極28fから離れるように動かすことができる。
【0070】
そのような実施形態では、メモリ34に記憶された治療設定の少なくともいくつかは、異なるそれぞれの電極間分離を指定する。たとえば、
図3は、
図2に示したのと同じ仮想ドメインのセットについて、それぞれ異なる電極間間隔s1、s2、s3、s4、およびs5を示している。治療セッション中、コントローラは、適切な治療設定の特定に応答して、電極28eと電極28fが治療設定によって指定された電極間分離によって互いに離間するように、電極28eをトラックに沿って移動させる。電極28eを移動させた後、コントローラは、高周波発生器に、1つまたは複数の電流を電極28eと電極28fとの間に流すようにさせる。(治療設定は、任意の座標系に対する可動電極の位置を指定することにより、電極間の分離を暗黙的に指定できることに注意されたい。)
【0071】
一般に、そのような実施形態では、コントローラは、
図2を参照して上述したように、ドメインの特性値および/または境界を変更することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療ヘッド23は、
図3に示す少なくとも1つの可動電極とともに、
図2に示すような1対以上の固定位置電極を含む。したがって、治療設定は、活性化電極のグループと共に、可動電極の電極間分離を指定し得る(選択肢として、グループのそれぞれの位相とともに)。
【0073】
治療設定は、
図2~3を参照して上で記載されていない追加の治療パラメータを指定し得ることに留意されたい。たとえば、2つの治療設定は、それぞれ異なる電圧または電流の振幅を指定しうる。
【0074】
幾つかのケースでは、ドメインの組み合わせが単一の治療設定にマッピングされることがある。したがって、例えば、温度または湿り値の第1の領域と組み合わせたインピーダンス値の特定の領域は、第1の治療設定にマッピングされ得、一方、温度または湿り値の第2の領域と組み合わされたインピーダンス値の同じ領域は、2番目の治療設定にマッピングされうる。
【0075】
有利なことに、インピーダンスドメインを温度または湿り領域と組み合わせると、皮膚のインピーダンスが皮膚の温度または湿り度の関数であり得、単一のインピーダンスドメインが、異なるそれぞれの温度または湿り度のレベルで皮膚の異なるそれぞれの領域に対応し得るという事実を説明し得る。さらに、このスキームは、単一の皮膚領域に複数の治療設定を提供することを容易にし得る。例えば、治療セッションの開始時に、皮膚温度が比較的低い場合、比較的多数の活性化電極を指定する第1の治療設定を使用することができる。しかしながら、セッションが継続し、皮膚温度が事前定義された安全閾値に近づくと、より少ない活性化電極を指定する第2の治療設定が使用され得る。
【0076】
(アルゴリズムの例)
ここで、本発明のいくつかの実施形態による、皮膚を治療するための反復的方法50の流れ図である
図4Aを参照する。方法50は、装置21(
図1)の電源投入に続いてコントローラ36(
図1)によって実行され、選択肢として、ユーザが治療セッションの開始を希望することを示す、ユーザからの入力(例えば、適切なボタンを押すことによる)によって実行される。
【0077】
通常、方法50は、プレパルス印加ステップ52で始まる。このステップでは、コントローラは、皮膚を治療する前に、高周波発生器に対し、治療前の電流を皮膚を介して電極の任意のペア間に流すようにさせる。(この「プレパルス」の持続時間は、通常、1~20ミリ秒の間、例えば、1~5ミリ秒の間である。)いくつかの実施形態では、治療ヘッド上の一対の電極は、プレパルスの印加のために指定される。他の実施形態では、プレパルスに使用される対は、印加ごとに異なり得る。
【0078】
コントローラは、パラメータ値の確認ステップ54で、プレパルスに基づいて皮膚の温度、プレパルスの振幅および/または位相、または電極間電圧の振幅および/または位相などの関連パラメータの初期値を確認する。続いてコントローラは、ドメイン識別ステップ56で、パラメータ値が属するドメインを識別する。
【0079】
次に、ドメイン分類ステップ58で、コントローラは、識別されたドメインが皮膚領域ドメインであるかどうかをチェックする。「はい」の場合、コントローラは、設定識別ステップ60で、メモリ34(
図1)のマッピングに従って、識別されたドメインがマッピングされる治療設定を特定する。コントローラは、電流印加ステップ62で、治療設定の特定に応答して、特定された治療設定に従って、高周波発生器に対し1つまたは複数の電流を、皮膚を通して電極間を通過するようにさせる。
【0080】
一方、識別されたドメインが皮膚領域ドメインではない(むしろ、不適切な電気的接触ドメインである)場合、コントローラは、決定ステップ59で、皮膚の治療を中止するかどうかを決定する。例えば、コントローラは、識別されたドメインが、短絡の場合や電極が不十分な量のゲルで覆われている場合など、装置またはユーザが危害を受けるリスクがある状態に対応するかどうかを確認することができる。コントローラが治療を中止することを決定した場合、コントローラは、以下に説明する治療後処理ステップ65に進む。そうでなければ、コントローラは、プレパルス印加ステップ52に戻る。したがって、コントローラは、電極と皮膚との間に適切な電気的接触が確立されるまで、繰り返しプレパルスを印加することができる。
【0081】
電流印加ステップ62に続いて、コントローラは、持続時間チェックステップ64で、治療セッションの持続時間が2分または3分などの事前定義された安全限界をこれまでに超えているかどうかをチェックする。超えていない場合、コントローラは、パラメータ値確認ステップ54に戻る。超えている場合、コントローラは、皮膚の治療を中止し、治療後処理ステップ65に進む。同様に、
図1を参照して上述したように、治療は、検出された装置の動きの欠如に応答して停止される。同様に、治療は、皮膚の温度が前述の事前定義された安全閾値を超過したことに応答して、またはユーザが治療を能動的に終了すること、例えば適切なボタンを押すこと、に応答して停止され得る。
【0082】
皮膚の治療に続いて、コントローラは、治療後処理ステップ65を実行する。このステップでは、コントローラは、通常、人工知能を使用して、治療中に確認されたパラメータ値に応答して、少なくとも1つのパラメータ値ドメインの少なくとも1つの境界を変更する。これに関して、本発明のいくつかの実施形態による、治療後処理ステップ65の流れ図である
図4Bが参照される。
【0083】
治療後処理ステップ65は、第1のチェックステップ66から始まり、ここで、コントローラは、方法50の実行中に識別された皮膚領域ドメインのいずれかがまだ処理されていないかどうかをチェックする。「はい」の場合、コントローラは、ドメイン選択ステップ68で、未処理の識別された皮膚領域ドメインを選択する。続いて、第2のチェックステップ70で、コントローラは、選択されたドメインについて確認されたパラメータ値の数が事前定義された閾値を超えるかどうかをチェックする。「はい」の場合、コントローラは、平均値計算ステップ72で、選択されたドメイン(外れ値を除く)について確認されたパラメータ値の平均値を計算する。続いて、特性値変更ステップ74において、コントローラは、平均値に基づいて、選択されたドメインの特性値を変更する。例えば、
図2を参照して上述したように、コントローラは、特性値と平均値の加重平均を計算することができる。特性値変更ステップ74に続いて、または十分な数のパラメータ値が確認されなかった場合、コントローラは、最初のチェックステップ66に戻る。
【0084】
第1のチェックステップ66における、未処理の識別された皮膚領域ドメインが残っていないことの確認に応答して、コントローラは、境界変更ステップ76で、変更された特性値に基づいて皮膚領域ドメインの境界を変更する。例えば、
図2を参照して上述したように、コントローラは、各皮膚領域ドメインの各境界を、そのドメインの特性値と、関連する隣接ドメインの特性値と、の間の中間に設定することができる。
【0085】
(その他の実施形態)
いくつかの実施形態では、サーバ38(
図1)およびコントローラ36は、確認されたパラメータ値の少なくともいくつかから導出された量をベースライン量と比較し、そして比較に応答して、たとえば、ユーザの電子メールアカウントに電子メールメッセージを送信したり、ユーザの電話にテキストメッセージを送信したりすることにより、ユーザに出力を生成する、ことを含むプロセスを協調的に実行するように構成される。
【0086】
たとえば、コントローラは、ユーザの皮膚の少なくとも1つの領域の温度またはインピーダンスの複数の確認された値をサーバに通信する場合がある。次に、サーバはこれらの値の平均値または中央値を計算し、この量をベースラインと比較する。(あるいは、コントローラは平均値または中央値を計算し、この量をサーバに伝達する場合がある。)。比較に応答して、サーバは皮膚の湿り具合などの皮膚の属性を確認する場合がある。これに応答して、サーバは、属性を示すメッセージ(例えば、皮膚が乾燥していることを示すメッセージ)および/または皮膚ケア製品(例えば、保湿剤)の推奨などのユーザへの出力を生成することができる。皮膚ケア製品の推奨事項は、他のユーザから収集したデータに基づいて、そのユーザの肌の特性に関係なく、ユーザに発行されうる。
【0087】
代替的または追加的に、コントローラおよび、サーバ38に属するプロセッサ39(
図1)および/またはユーザのスマートフォンに属するプロセッサなどの、少なくとも1つの外部プロセッサは、図を参照した上記の機能の少なくともいくつかを協調して実行することができる。例えば、各治療セッション中に、コントローラは、確認された各パラメータ値を外部プロセッサに伝達し得、次いで、外部プロセッサは、適切な治療設定を識別し、治療設定をコントローラに伝達し得る。代替的または追加的に、決定ルールが変更される治療後処理は、外部プロセッサによって実行され得る。
【0088】
本発明は、本明細書で特に示され、記載されたものに限定されないことが当業者によって理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上記の様々な特徴の組み合わせおよびサブ組合せの両方、ならびに前述の記載を読んだ当業者に想起される、先行技術にはないその変形および修正を含む。