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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】車両用ブレーキ
(51)【国際特許分類】
   F16D 55/226 20060101AFI20231124BHJP
   B60T 5/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F16D55/226 104F
B60T5/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020573514
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 IB2019055331
(87)【国際公開番号】W WO2020003112
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】102018000006685
(32)【優先日】2018-06-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521293109
【氏名又は名称】ヘリテッジ ソシェタ ア レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】HERITAGE S.R.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】スクアルツィ マルコ
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-241537(JP,A)
【文献】特開昭60-073135(JP,A)
【文献】特開昭51-066645(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 49/00-71/04
B60T 1/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪の中央ドラム(1)と回転的に一体化された少なくとも1つのディスク(4)を備える車両用ブレーキであって、
前記中央ドラム(1)は、シャフトに回転可能に支持され、
前記中央ドラム(1)は、前記少なくとも1つのディスク(4)用に、ハウジング室の半殻を形成し、
前記ハウジング室は、前記ディスク(4)によって覆われる平面に平行な平面に沿って互いに分離した2つの半殻から構成され、
カバー半殻(5)が、前記ディスク(4)における前記中央ドラム(1)の反対にある側に設けられて、前記ディスクにおける前記中央ドラム(1)の反対にある側で前記ハウジング室を塞ぐよう構成され、
前記カバー半殻(5)には、少なくとも1つのブレーキ素子が設けられており、
前記ブレーキ素子は、ブレーキ制御部材の作動によって、少なくとも1つの油圧作動式の押動部材(5B)によって前記ディスク(4)における対向する面に押し付けられることが可能であり、
前記カバー半殻(5)は、少なくとも1つのベアリング(6)を介して前記シャフトに動かないように支持された中央ハブ(3)に固定されることにより、前記中央ドラム(1)に対して回転しないように支持されており、
前記ディスク(4)は、内周縁104を備え、歯又は径方向リブ(204)からなるクラウンが前記内周縁104から中心に向かって突出し、前記中央ドラム(1)上の段付きシート(101)の同心外周面に備えられる対応する径方向係合凹部(205)の同心クラウンに係合し、
記中央ドラム(1)は、前記径方向リブの少なくとも一部と、前記中央ドラム(1)の方を向く前記ディスク(4)の面の少なくとも一部と、に対する裏打ち面を備え、
前記裏打ち面は、前記ディスクにおける反対側の面の表面に少なくとも1つのブレーキ素子が押し付けられる作用に対抗する、前記ディスクに対する対抗手段を構成し、
前記カバー半殻は、少なくとも3つのブレーキ部材を保持し、
前記少なくとも3つのブレーキ部材は、前記ディスクの対称軸に関して互いに角度的に等間隔で配置され、
各ブレーキ素子に別個の押し付け部材が組み合わされており、
前記ブレーキ素子を前記ディスクに押し付ける前記押し付け部材は、直列に接続されているとともに互いに連続しており、これにより圧力がかかった流体を互いに時間的に連続して受けるよう構成されており、
前記カバー半殻(5)は、少なくとも3つの円筒状チャンバ(5B)を内部に備え、
前記円筒状チャンバ(5B)は、摩擦材料からなる多数のブレーキ素子と、押動アクチュエータプランジャと、を内部に収容するように構成され、
適切なダクト(C)によってブレーキオイル容器と各カバーの前記3つのチャンバの1つとが連通しており、
ブレーキ時に作動オイルが最後に供給される最後の前記円筒状チャンバである最後の前記押動部材(5B)は、前記車輪のノーマル使用の状態に関して下側に配置される部材であり、前記押動部材のうち前記作動オイルを最後に受ける1つであり、そして空気通気口(5E)を備えている、車両用ブレーキ。
【請求項2】
前記中央ドラム(1)は、前記少なくとも1つのベアリング(6)を介して前記シャフトに動
かないように支持された前記中央ハブ(3)に、回転可能に取り付けられており、
前記1つ又は複数のカバー半殻(5)は、前記中央ドラム(1)の回転軸の周りで回転可能でないように、かつ前記中央ドラム(1)に回転に関し拘束されないように、前記中央ハブ(3)に固定されている、請求項に記載の車両用ブレーキ。
【請求項3】
前記中央ドラム(1)は、その各面の上に実質的に同一のディスクを備え、
前記中央ドラム(1)は、前記中央ドラム(1)の回転軸に垂直な中心平面に対して対称に構成され、
対応する前記ディスク(4)についてのハウジング室は、同一のカバー半殻(5)によって外側に閉じられる前記中央ドラム(1)の各面に設けられている、請求項1又は2に記載の車両用ブレーキ。
【請求項4】
前記2つのカバー半殻は、前記中央ドラム(1)の前記回転軸に垂直な前記中心平面に対して互いに対称に構成されている、請求項に記載の車両用ブレーキ。
【請求項5】
前記中央ハブ(3)と前記中央ドラム(1)の間には、ベアリング(6)が備えられ、
前記ベアリングは、ドラム外径とドラム内径の比が1.6~2.5の間、好ましくは1.8~2.1の間、具体的には約2となるように寸法決めされている、請求項1~の何れか一項に記載の車両用ブレーキ。
【請求項6】
前記1つ又は複数のカバー半殻は、じょうご又は円錐の形状の少なくとも1つの前方開口を有し、
前記じょうご又は円錐の円錐底底面は、巡回空気の流入口を形成し、
前記前方開口は格子によって閉じられており、
前記円錐又はじょうごは、前記車輪の回転軸の方向に突出した突出部を有し、その角度的な広がりは周角の5/12~3/12の間であり、好ましくは周角の1/3に等しく、
残りの円形カバー部分は、前記円錐又はじょうごの前記流入口と同様に格子によって閉じられたスロット、好ましくは2つの空気流出口スロットからなる、請求項1~の何れか一項に記載の車両用ブレーキ。
【請求項7】
力流を伝送する前記円錐又はじょうごは、当該入力流のための前記流入口を形成する底面を有し、
前記底面は、角度的な広がりが120°に実質的に等しく、
前記空気流出口スロットは、全体で200°の角度的な広さを有し、即ち各々が約100°の角度的な広さを有する、請求項に記載の車両用ブレーキ。
【請求項8】
前記カバー半殻の少なくとも1つ又は両方が、エンジンステアリングロッドとの接続部材を有する、請求項1~の何れか一項に記載の車両用ブレーキ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、好ましくはドラム型ブレーキを備えるバイク特にビンテージバイク用に設計された、車両用の油圧ブレーキに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のブレーキは、当時の典型的なドラムブレーキの美的外観と、現代的なブレーキであって特に油圧作動式ダブルディスクブレーキの高い性能と、を組み合わせたものとして従来技術で公知である。公知の技術によるこのブレーキは、車輪の中央に固定されたドラムの2つの対向面に適用された2つのディスクであって、複数のブレーキ素子又は「ブレーキパッド」がドラムの両側にある2つのディスクに作用するよう油圧作動されることでブレーキがかけられ停止される2つのディスクを有するように設計されている。ブレーキには、従来のディスクブレーキに適した偏心ジャイロスコープ質量が設けられており、この偏心ジャイロスコープ質量が主にコーナーや濡れた路面でブレーキをかける際のバイクの保持に悪影響を及ぼす。
【0003】
上記の公知のブレーキは問題を概ね解決するものの、それでも好ましくない状態をもたらすいくつかの欠点を有する。
【0004】
特に、一側面において、公知の技術によるブレーキは過度の加熱にさらされ、これがブレーキの有効性を低下又は消失させる可能性がある。
【0005】
さらに別の側面では、公知のブレーキは、ドラム及びハブ部分の機械的寸法が依然として好ましくなく十分な強度を与えるものではない。
【0006】
さらに別の側面では、不利なことにブレーキディスクがボルトによってハブ部分に拘束されており、したがってブレーキのエネルギーがディスク固定用ボルトに全て発散され、よって故障の際にブレーキ機能を確保するのに十分な安全状態が存在していない。
【0007】
文献US4,596,312では、ブレーキディスクは、車輪リムを固定するボルトと一致する締め付け手段により回転軸の方向に軸方向に締め付けることによって、ハブ上の所定の位置に保持される。同様の構造は、US4,550,809により公知である。
【0008】
英国特許出願番号GB1,426,995には、バイク車輪用のブレーキ装置において、ディスクがボルトクラウンによってドラムに固定されることでドラムと回転的に一体化されたことが示されている。
【0009】
上記の3つの文献は、ディスクの2つの面上でブレーキ部材として動作する、ドラム又はリムのスタンドアロン部材であるブレーキクランプを示している。
【発明の概要】
【0010】
上記の側面に対して、本発明は、車輪の中央ドラムと回転的に一体化された少なくとも1つのディスクを備える車両用ブレーキを提供し、中央ドラムはシャフトに回転可能に支持され、中央ドラムは少なくとも1つのディスク用にハウジング室の半殻を形成し、このハウジング室は、ディスクによって覆われる平面に平行な平面に沿って互いに分離した2つの半殻から構成され、閉塞半殻が、ディスクにおけるドラムの反対にある側に設けられて、ディスクにおけるドラムの反対にある側でハウジング室を塞ぐよう構成され、閉塞半殻には、少なくとも1つのブレーキ素子が設けられており、ブレーキ素子は、レバー又はブレーキペダルなどのブレーキ制御部材の作動によって、少なくとも1つの油圧作動式の押動部材によってディスクにおける対向する面に押し付けられることが可能であり、閉塞半殻は、中央ドラムに対して回転しないように支持されている。
【0011】
本発明によれば、ディスクは歯又は径方向リブからなるクラウンを備え、当該歯又は径方向リブからなるクラウンは、中央ドラム上の径方向係合凹部からなる同心クラウンと係合するよう構成され、中央ドラムは、径方向リブの少なくとも一部と、中央ドラムの方を向くディスクの面の少なくとも一部と、に対する裏打ち面を備え、裏打ち面は、ディスクにおける反対側の面の表面に少なくとも1つのブレーキ素子が押し付けられる作用に対抗する、ディスクに対する対抗手段を構成する。
【0012】
明らかなように、ディスクは、例えば、ディスクの周縁と相対する表面との両方にある歯のマッチング組み合わせに関連して本明細書に記載した構成における形状を有する穴の中だけに収容される。
【0013】
これもまた明らかであるが、ブレーキするためのディスクの締め付けは2つの固定部材の間で起こり、このうち、対抗手段として機能する第1の要素はディスク面に当接するリム表面自体で構成され、もう1つの要素は取り外し可能なカバーに取り付けられたプレッサーで構成されている。
【0014】
一実施形態では、閉塞半殻は少なくとも3つのブレーキ部材を保持し、少なくとも3つのブレーキ部材は、ディスクの対称軸に関して互いに角度的に等間隔で配置され、各ブレーキ素子に別個の押し付け部材が組み合わされている。
【0015】
さらなる特徴として、押し付け部材は直列に接続されているとともに互いに連続しており、これにより圧力がかかった流体を互いに時間的に連続して受けるよう構成されている。
【0016】
さらなる特徴として、カバー半殻は少なくとも3つの円筒状チャンバを内部に備え、これらの円筒状チャンバは、摩擦材料からなる多数のブレーキパッド又はブレーキ素子と、押動アクチュエータプランジャと、を内部に収容するように構成され、適切なダクトによって、ブレーキオイル容器と各カバーの上記3つのチャンバの1つとが連通している。
【0017】
さらなる特徴として、ブレーキ時にオイルが最後に供給される最後の円筒状チャンバである最後の押動部材は、車輪のノーマル使用の状態に関して下側に配置される部材であり、3つの押動部材のうち作動オイルを最後に受ける1つであり、そして空気通気口を備えている。
【0018】
さらなる特徴として、中央ドラムは、少なくとも1つのベアリングを介して、シャフトに動かないように支持された固定中央ハブに、回転可能に取り付けられており、1つ又は複数のカバー半殻は、中央ドラムの回転軸の周りで回転可能でないように、かつ中央ドラムに回転に関し拘束されないように、中央ハブに固定されている。
【0019】
一実施形態では、中央ドラムは、その各面の上に実質的に同一のディスクを備え、中央ドラムは、回転軸に垂直な中心平面に対して対称に構成され、対応するディスクについてのハウジング室は、同一の閉塞半殻によって外側に閉じられる中央ドラムの各面に設けられている。
【0020】
有利には、2つのカバー半殻は、中央ドラムの回転軸に垂直な中心平面に対して互いに対称に構成されている。
【0021】
以上の記載から明らかなように、ディスクと車輪との間の回転結合は、1つ若しくは複数のディスク及び中央ドラムにそれぞれ設けられた突出部若しくは径方向リブ及び係合凹部若しくはノッチの相互係合により、形状結合によって行われる。したがって、この場合、ブレーキエネルギーは、前記ディスク又は各ディスクを中央ドラムに拘束するピン又はボルトであって故に高い破損危険性を伴う非常に強いせん断力にさらされるピン又はボルトには発散されず、前面即ち車輪の回転運動の方向に向いた当接面に発散される。突起部又はリブは、これらの曲がり又は破損に対する強度を確保するのに十分な角度的な広さを有するように構成することができ、そして、ブレーキ自体の構造及び寸法の変更を必要とすることなく単に係合台座部又はノッチ又は凹部それぞれの突起部又は突出部の角度的な広さを変更するだけで、突起部又はリブを与えられた作用力に見合うものとすることができる。
【0022】
さらに、突出部又はリブとそれぞれの台座部との形状は一致しており、よって形状結合が正確となりディスクとドラムとの間の相対的なクリアランスが防止される。
【0023】
リブと凹部又は係合台座部とは両方とも特別な機械加工を必要とせずに簡単に製造できるため、構造の観点から複雑でない。同時に、締め付けロボットやそれぞれのねじ付き台座部などの構成部品を避けることができる。
【0024】
より高い強度と安定性を提供するさらに有利な特徴として、ハブとドラムの間の中央ベアリングは、ドラム外径とドラム内径の比が1.6~2.5の間、好ましくは1.8~2.1の間となるように寸法決めされている。特に、上記比は約2である。
【0025】
さらなる特徴として、1つ又は複数のカバー半殻は、じょうご又は伝送円錐の形状の少なくとも1つの前方開口を有し、じょうご又は伝送円錐の円錐底底面は巡回空気の流入口を形成し、前方開口は格子によって閉じられており、円錐又はじょうごは、車輪の回転軸の方向に突出した突出部を有し、その角度的な広がりは周角の5/12~3/12の間であり、好ましくは周角の1/3に等しく、残りの円形カバー部分は、円錐又はじょうごの流入口と同様に格子によって閉じられたスロット、好ましくは2つの空気流出口スロットからなる。
【0026】
一実施形態では、入力流を伝送する円錐又はじょうごは、当該入力流のための流入口を形成する底面を有し、底面は、角度的な広がりが120°に実質的に等しく、空気流出口スロットは、全体で200°の角度的な広さを有し、即ち各々が約100°の角度的な広さを有する。
【0027】
さらなる特徴として、カバー半殻の少なくとも1つ又は両方が、ビンテージバイクに典型的なかたちでエンジンステアリングロッドとの接続部材を有する。
【0028】
添付の図面に示すいくつかの例示的な実施形態に関する以下の記載から、本発明の上記の及び他の特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】公知の技術の実施形態によるブレーキの正面図である。
図2】公知の技術の実施形態によるブレーキの垂直断面図である。
図3】公知の技術の実施形態を示す前図のブレーキのドラムの正面図である。
図4】公知の技術の実施形態を示す前図のブレーキのドラムの垂直断面図である。
図5】前図の公知の技術の例によるブレーキディスクのうちの1つの正面図である。
図6】前図の公知の技術の例による、ブレーキディスクのうちの1つの垂直断面図である。
図7】前図の公知の技術の例によるブレーキハブの正面図である。
図8】前図の公知の技術の例によるブレーキハブの垂直断面図である。
図9】前図の公知の技術の例によるブレーキカバーの外側正面図である。
図10】前図の公知の技術の例によるブレーキカバーの垂直断面図である。
図11】前図の公知の技術の例によるブレーキカバーの内側正面図である。
図12】本発明に係るディスクを中心軸方向からみた図であり、ディスクは浮いた状態でドラム1に対して締め付けられていない状態である。
図13】本発明に係るディスクの回転係合凹部を有するドラム1の側面の同様の図である。
図14】本発明に係るブレーキを有する車輪を示す図である。
図15】本発明に係るリムとブレーキの組み合わせを示す図であり、リムをハブに接続するスポークは省略している。
【発明を実施するための形態】
【0030】
公知の技術による実施形態を描写する添付の図1図11を検討すると、まず図1図2図3及び図4から始めると、問題の油圧ブレーキは、ハブ3によってリムと同軸に取り付けられた中央ドラム1を備えている。ハブ3は、サイド環状シート3Aに配置された適切なベアリング6を備えており、ベアリング6は車輪回転シャフトに、即ちハブ、リム10及び勿論タイヤアセンブリに固定されている。
【0031】
ドラム1は、ドラム自体の各面に鋼又は鋳鉄で作られた金属ディスク4を固定するために、ねじ山付き貫通孔1Aからなる円形クラウンを中央に有する。このディスク4は、図5及び図6の貫通孔4Aからなる対応するクラウンを備え、これによりドラム1に固定され、したがって車輪、即ちタイヤが取り付けられてタイヤと共に車両の車輪を形成するリムと一体的に、上記ドラムと共に回転する。
【0032】
図9図10及び図11に示すように、2つのカバー5は、それぞれ、ディスク4を備えるドラム1の各側面を閉じ、前記カバー5は、中央ハブの穴3Aと一致するカバーの貫通孔5Aを介して係合されるボルトによって固定される。
【0033】
ボルトの固定は、中央ハブのねじ穴3aで行われる。前記ボルトは、ハブ3及びドラム1の各側面に、対応するベアリングをロックし、ここで、前記ベアリングは、ハブ3及びドラム1における、ベアリング6の外輪及び内輪それぞれについての互いに位置合わせされた2つの環状の段付き対向凹部3A、101の間で締め付けられたままであり、また、カバー5の環状サイドステップが、ベアリング6における径方向最内リングに接着される。
【0034】
このようにして、中央ハブ3及びカバー5の中央ハブ105は、ドラム1の回転に対して、並びにリム、ドラム1及び1つ若しくは複数のディスク4からなるアセンブリである車輪の回転に対して、静止したままであることができる。
【0035】
各カバー5は、120°間隔で配置された3つの円筒状チャンバ5Bを内部に備え、これらは複数の高摩擦材料のブレーキパッド又はブレーキ素子を内部に収容するように設計されている。これらのブレーキパッドの各々はディスク4の外側面に押し付けられ圧縮されるよう構成でき、この押し付け及び圧縮は、任意のタイプでよいが好ましくはブレーキレバーによって油圧駆動されるアクチュエータから構成される押動アクチュエータであって、オイルで満たされたプランジャシリンダユニットのプランジャに機械的に作用する押動アクチュエータを用いて、レバー動作をこのプランジャシリンダユニットからブレーキ素子又はブレーキパッドの各押動アクチュエータのプランジャシリンダユニットに伝達することによって行われる。
【0036】
ダクトCは、このシリンダと、各カバー5の3つのチャンバのうちの1つ、即ち5Cで示すチャンバとを接続する。
【0037】
オイル注入孔5Cは、カバー5の軸に十分に平行な軸を有する。
【0038】
このオイル注入チャンバは、図9に点線で示すように、同じチャンバ5Bの側面に設けられた適切な孔5Dに適用される2つのダクト7によって他の2つのチャンバに接続される。したがって、これらのチャンバは連続してオイルで満たされ、これに応じてブレーキ素子の圧縮が生じる。満たされる順序の最後のチャンバ5Bにて、オイルがチャンバに入る際に空気を流出させるための孔5Eが設けられている。
【0039】
上述のオイルの流入を最適化するとともに上述の空気の流出を容易にするために、図1に示すように、2つのカバー5の両方が、確実に下方に配置されるオイル注入孔5Cと、確実に上方に配置される空気通気孔5Eと、を備えている。
【0040】
ブレーキレバーの作動時に、各カバー5の3つのチャンバ5Bへのオイル注入により、各チャンバ5Bに収容された対応する小さなプランジャの変位が決定され、このプランジャは、それぞれのブレーキパッドを対応するディスク4に押し付けるよう構成され、これにより、ハンドルバーのブレーキレバーの変位によって調整可能な強度を有するブレーキ作用が発揮される。
【0041】
ブレーキ冷却を可能にするために、カバー5の側面には格子を備える開口5Fが形成され、カバー5上における格子5Fと反対側の後半部分には格子を備えるさらなる4つの開口5Gが形成されている。取り付け時に、格子5Fは進行方向に対して前方を向くよう配置され、これによりカバー5によって閉じられたチャンバ内の空気が流入可能であり、この空気は後部開口5Gから流出することができ、このようにしてディスク4及びブレーキパッドの冷却流が生成される。
【0042】
カバー5の外面に形成された追加の止まり穴5Hによって、ビンテージバイクに典型的な方法でエンジンステアリングロッドを接続させることが可能となる。
【0043】
最終的に追加すべきこととして、図示及び記載される大まかな特徴にもかかわらず、考案されたブレーキは、変更又はバリエーションの影響を受けやすいものの本特許請求の範囲に含まれ、そのような変更又はバリエーションは例えば予想される用途に応じたブレーキ自体の異なる寸法決定に関連する可能性があり、バイクだけでなく車においても生じる可能性がある。
【0044】
本発明に係るブレーキは、上記の従来技術によるブレーキに対する大きな改良であり、上記の従来技術とは多くの同じ構造部品を共有し、したがってこれまでの記載は本発明に係るブレーキにも適用される。図12図15には、公知の技術による構造から本発明を差別化する構造的変更であって、冒頭に記載のより広い実施形態においてハイライトした構造的変更を主に示す。
【0045】
図12及び図13を参照すると、これらは本発明に係るブレーキのディスク4及び対応する中央ドラム5の例示的な実施形態を示す。
【0046】
明らかであるように、ディスク4は、内周縁104に沿って、内側放射状突起部204からなるクラウンを有する。これらは角度的に等間隔に配置されている。内側放射状突起部204は、周方向に所定の範囲を有するとともに、所定の径方向の突出を有する。これらの量は、ブレーキ動作中に突起部が受ける力に基づいて定義され、当業者は自身の基本的な技術的知識に基づいて突起部の寸法を計算することができる。ドラム1は、同軸位置で、かつベアリング(図13には示していない)のための段付きシート101の外側の周囲に沿って、径方向凹部201からなる対応するクラウンを有し、この径方向凹部201は、ディスクの内側放射状突起部204に対応するサイズ、数及び相対的に対応する位置を有する。
【0047】
一実施形態により明らかであるように、突起部は、半円形のパターンを有する丸い端部を有し、同様に凹部201の底部は半円形の壁でできている。
【0048】
明らかであるように、突起部-凹部結合の強度は、ブレーキ全体の構成を乱すことなく、しかし単に突起部204の厚さ、したがって凹部201の周方向に沿った長さを変更することで調整することができる。
【0049】
同様に、上記の突起部の突出及び凹部の対応する深さも、ドラム構造の公差によって提供される可能性の範囲内で変更することができる。
【0050】
また、突起部及び凹部の数を簡単に変更して、ディスクとドラムの間の結合の強度を変更することもできる。
【0051】
有利には、結合突起部-凹部204,205は、クリアランスを防止する正確な形状の結合であるが、このことはたとえクリアランスが所定の許容範囲内で可能であったとしてもそうだといえる。
【0052】
公知の技術の実施形態と同様に、1つ又は複数のディスク4は、径方向要素によって接続され、一定の厚さを有する2つの環状部材を備える領域からなる中央ハブの表面に当接する。ドラム1のこの環状領域は、2つのディスク4間で空気を循環させるための軽量化アンダーカットを形成する。ディスクに対する裏打ち面は、突起部が係合する凹部の領域にも延在し、径方向及び周方向に関して凹部に係合するだけではなく、当該凹部の側面底部、即ち回転軸に垂直な中央ドラム面に向かって凹部を閉じる壁にも当接する。この特徴は、突起部と凹部204/201の互いの結合にさらなる剛性を与える。
【0053】
従来技術による実施形態を示す図3と、図13と、を合わせて参照すると、本発明の実施形態では、ドラムは、ベアリングと、ドラム1自体の外径よりも大きい直径の中央ハブと、を収容できるように設計されていることが明らかである。
【0054】
具体的にそして有利には、異なる対照的要件のなかでも最良の最適化構成は、ドラムの外径D1とドラムの内径D2の比を1.6~2.5の間、好ましくは1.8~2.1の間で提供することである。具体的に図示の実施形態では、上記の比D1/D2は約2である。
【0055】
図14及び図15は、本発明に係るブレーキを示し、このブレーキにはスポーク11によってリム10が取り付けられ、このリムが自動車の車輪を形成するようにタイヤ12を備える。
【0056】
図15は、代わりに、正しい位置での、リムとブレーキの組み合わせの回転軸の方向から見た図を示し、接続スポークは省略している。
【0057】
図から明らかなように、本発明の実施形態は、1つ又は複数のディスクの冷却空気が流れる流出口を提供し、当該流出口は格子15を備える開口によって示されるように、より大きなサイズを有する。
【0058】
さらに、前方空気流入口16の円錐又はじょうごの開口もサイズが大きく形成されている。
【0059】
図14及び図15に示す実施形態の変形例は、開口の幅が以下の角度的な広がり(angular extent)の範囲内でさまざまであることを示している。
即ち、円錐又はじょうご16は、車輪の回転軸の方向に突出した突出部を有し、その角度的な広がりは周角の5/12~3/12の間であり好ましくは周角の1/3に等しく、残りの円形カバー部分は、円錐又はじょうごの流入口と同様に格子によって閉じられたスロット、好ましくは2つの空気流出口スロットからなる。
【0060】
一実施形態によれば、入力流を伝送する円錐又はじょうごは、この入力流のための流入口を形成する底面を有し、この底面は角度的な広がりが120°に実質的に等しく、一方で、流出口スロットは、全体で200°の角度的な広さ(angular widths)を有し、即ち各々が約100°の角度的な広さを有する。
【0061】
上記のことから、本発明に係る装置は、スポーク又は他の径方向要素によって外縁リングに接続する中央ドラムからなるリムに準用することができることが明らかである。アルミニウム材料で作られた成形リムのなかにディスクハウジングを作ることができ、外縁のくぼみをリムと一体に、即ちダイカストで鋳造することで、作ることができる。
【0062】
上記したもの以外の一部のバリエーションでは、上記のリムは、アルミダイカスト鋳物で作ることができる。このような可能性により、妻の車の製造及び設置コストを削減することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図9
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図11
図12
図13
図14
図15