(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】連結装置
(51)【国際特許分類】
F16B 2/16 20060101AFI20231124BHJP
B23P 19/04 20060101ALI20231124BHJP
B23Q 3/00 20060101ALI20231124BHJP
【FI】
F16B2/16 A
B23P19/04 E
B23Q3/00 A
(21)【出願番号】P 2021554258
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(86)【国際出願番号】 JP2020038166
(87)【国際公開番号】W WO2021079749
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2019192367
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】391003989
【氏名又は名称】株式会社コスメック
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】奥村 典昭
【審査官】杉山 豊博
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-092180(JP,A)
【文献】実開昭63-196810(JP,U)
【文献】特開2010-099785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 2/16
B23P 19/04
B23Q 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ブロック(R)と第2ブロック(P)とを着脱可能に連結する連結装置であって、
前記第1ブロック(R)に装着されるハウジング(1)に形成されるシリンダ孔(2)と、
前記シリンダ孔(2)に軸方向へ移動可能に挿入される出力部材(5)と、
前記シリンダ孔(2)の半径方向に移動可能となるように前記ハウジング(1)又は前記出力部材(5)に支持される複数の係合部材(16,38)であって、前記出力部材(5)の前記軸方向への移動によって前記半径方向の内方へ移動される複数の係合部材(16,38)と、
前記ハウジング(1)の先端面に開口される挿通孔(18)と、
前記挿通孔(18)の軸方向に対して平行となるように前記ハウジング(1)に形成される少なくとも1つの支持孔(19),(20)と、
前記第2ブロック(P)の側壁面に装着される基板(21)から突設されると共に、当該基板(21)の表面(21a)に沿って移動可能となっている連結ロッド(22)であって、前記挿通孔(18)に挿入可能となっている連結ロッド(22)と、
前記係合部材(16,38)に当接可能となるように前記連結ロッド(22)の外周壁に周方向に形成される係止部(34)と、
前記連結ロッド(22)の軸方向に対して平行となるように前記基板(21)から突設される少なくとも1つの支持部材(23),(24)であって、前記支持孔(19),(20)に挿入される支持部材(23),(24)と、を備える、
ことを特徴とする連結装置。
【請求項2】
請求項1の連結装置において、
前記ハウジング(1)の先端壁(1b)から筒状の支持部材(14)が前記シリンダ孔(2)内に前記軸方向の基端側に向けて突設され、
前記支持部材(14)の筒壁に案内孔(15)が前記シリンダ孔(2)の半径方向に貫通され、
前記案内孔(15)に前記係合部材(16)が前記半径方向へ移動可能に挿入され、
前記係合部材(16)に当接可能となっている楔部(17)が、前記出力部材(5)の内周壁に形成され、
前記支持部材(14)の筒孔によって構成される前記挿通孔(18)が、前記ハウジング(1)の先端面に開口される、ことを特徴とする連結装置。
【請求項3】
請求項1の連結装置において、
前記出力部材(5)の一部が筒状に形成され、前記出力部材(5)の筒壁に案内孔(37)が前記シリンダ孔(2)の半径方向に貫通され、
前記案内孔(37)に前記係合部材(38)が前記半径方向へ移動可能に挿入され、
前記係合部材(38)に当接可能となっている楔部(39)が、前記シリンダ孔(2)の内周壁に形成される、ことを特徴とする連結装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかの連結装置において、
前記支持部材(23),(24)は、前記連結ロッド(22)を間に挟んで、それぞれ、前記基板(21)から突設される第1支持部材(23)と第2支持部材(24)とを有し、
前記支持孔(19),(20)は、前記第1支持部材(23)が挿入される孔形状が円形の第1支持孔(19)と、前記第2支持部材(24)が挿入される孔形状が円形の第2支持孔(20)とを有し、
前記第1支持部材(23)は、外周壁が円柱状に形成され、
前記第2支持部材(24)は、前記第1支持部材(23)と前記第2支持部材(24)とを結ぶ方向に交差する方向において、円柱状の外周壁の両側に突起部(24a)が設けられる、ことを特徴とする連結装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかの連結装置において、
前記支持部材(23),(24)は、前記連結ロッド(22)を間に挟んで、それぞれ、前記基板(21)から突設される第1支持部材(23)と第2支持部材(24)とを有し、
前記支持孔(19),(20)は、前記第1支持部材(23)が挿入される孔形状が円形の第1支持孔(19)と、前記第2支持部材(24)が挿入される孔形状が円形の第2支持孔(20)とを有し、
前記第1支持部材(23)は、外周壁が円柱状に形成され、
前記第2支持部材(24)は、前記第1支持部材(23)と前記第2支持部材(24)とを結ぶ方向に交差する方向が長軸とされたオーバル柱状に形成される、ことを特徴とする連結装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれかの連結装置において、
前記支持部材(23),(24)は、前記連結ロッド(22)を間に挟んで、それぞれ、前記基板(21)から突設される第1支持部材(23)と第2支持部材(24)とを有し、
前記支持孔(19),(20)は、前記第1支持部材(23)が挿入される孔形状が円形の第1支持孔(19)と、前記第2支持部材(24)が挿入される第2支持孔(20)であって、前記第1支持孔(19)と第2支持孔(20)とを結ぶ方向が長軸とされた長孔形状の第2支持孔(20)とを有し、
前記第1支持部材(23)および前記第2支持部材(24)は、いずれも、外周壁が円柱状に形成される、ことを特徴とする連結装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、第1ブロックに第2ブロックを着脱可能に連結する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の第1ブロックに第2ブロックを着脱可能に連結する装置には、従来では、特許文献1(日本国・特開2014-092180号公報)に記載されたものがある。その従来技術は、次のように構成されている。
【0003】
従来の連結装置は、連結対象物の下面から下方へ突設される連結ロッドを連結装置のハウジングに着脱可能に連結するものである。そのハウジングのシリンダ孔内に筒状のガイドスリーブが、左右方向へ移動可能であると共に、上下方向(軸方向)への移動が制限されるように挿入される。そのガイドスリーブの筒壁に複数の係合ボールが筒孔の半径方向へ移動可能に挿入される。そのガイドスリーブの筒孔が、ハウジングの上壁に形成されるガイド孔に連通される。そのガイドスリーブの外側に筒状の切換スリーブが前記半径方向へ移動可能に外嵌められる。その切換えスリーブの内周壁には、係合ボールを半径方向の内方へ押し出す楔面が形成される。その切換えスリーブを上下方向へ移動させるピストンが、当該切換えスリーブの外周面とハウジングのシリンダ孔との間に保密状で上下方向へ移動可能に挿入される。そして、連結装置が連結ロッドを連結するときには、連結ロッドをガイド孔からガイドスリーブの筒孔に挿入した後に、ピストンを下方へ移動させる。すると、切換えスリーブが係合ボールを半径方向の内方へ移動させて、連結ロッドの先端部に形成される係止部に係合ボールを係合させる。これにより、連結装置が連結ロッドを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の従来の連結装置では、連結ロッドの軸心がガイド孔の軸心に対して芯ずれしていても、ガイドスリーブと切換えスリーブとがピストンに対して半径方向へ移動して芯ずれを解消できる点で優れる。このような従来の連結装置を第1ブロックの側壁に横向きに設置するなどして、連結ロッドを含む連結対象物(重量物)の自重による応力が連結ロッド通じて連結装置に作用する状況で使用することは想定されていない。仮に、横置き状態で連結装置が使用された場合には、その連結対象物による荷重が作用する連結ロッドが、切換えスリーブの筒孔内でガイドスリーブや係合ボールを一方向に強力に押したり回転させたりする。これにより、複数の係合ボールのうちの一部の係合ボールと、ロッドの係止部との間に隙間が生じて、複数の係合ボールのうちの他の係合ボールにだけ荷重が作用する。その結果、ピストンの駆動力を係合ボールを介して連結ロッドに伝達する力が弱くなる。
【0006】
本発明の目的は、連結装置に軸心と交差する方向へ外力が作用しても、強力に連結できる連結装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明は、例えば、
図1から
図5に示すように、第1ブロックRと第2ブロックPとを着脱可能に連結する連結装置を次のように構成した。
【0008】
前記第1ブロックRに装着されるハウジング1にシリンダ孔2が形成される。前記シリンダ孔2に出力部材5が軸方向へ移動可能に挿入される。前記シリンダ孔2の半径方向に移動可能となる複数の係合部材16,38が、前記ハウジング1又は前記出力部材5に支持される。その係合部材16,38が前記出力部材5の前記軸方向への移動によって前記半径方向の内方へ移動される。前記ハウジング1の先端面に挿通孔18が開口される。前記挿通孔18の軸方向に対して平行となるように、少なくとも1つの支持孔19,20がハウジング1に形成される。前記第2ブロックPの側壁面に装着される基板21から突設される連結ロッド22が、当該基板21の表面21aに沿って移動可能となっている。その連結ロッド22が前記挿通孔18に挿入可能となっている。前記係合部材16,38に当接可能となる係止部34が、前記連結ロッド22の外周壁に周方向に形成される。前記連結ロッド22の軸方向に対して平行となるように、少なくとも1つの支持部材23,24が、前記基板21から突設される。その支持部材23,24が前記支持孔19,20に挿入される。
【0009】
上記の本発明は次の作用効果を奏する。
【0010】
上記の連結装置の基板から支持部材が突設されると共に、連結ロッドが基板の表面に沿って移動可能に突設される。これにより、例えば横置き状態で連結装置が使用された場合、第2ブロックの自重による鉛直下向きの荷重等は、支持部材によって受け止められると共に、連結ロッドを基板の表面に沿って移動させることにより連結ロッドに作用しないようにしている。その結果、第2ブロックに何らかの外力が作用する場合であっても、出力部材の駆動力を、ボールを介して連結ロッドに確実に伝達できる。
【0011】
上記の連結装置は、下記(1)から(5)の構成を備えることが好ましい。
【0012】
(1)例えば、
図1から
図4に示すように、前記ハウジング1の先端壁1bから筒状の支持部材14が前記シリンダ孔2内に前記軸方向の基端側に向けて突設される。前記支持部材14の筒壁に案内孔15が前記シリンダ孔2の半径方向に貫通される。前記案内孔15に前記係合部材16が前記半径方向へ移動可能に挿入される。前記係合部材16に当接可能となっている楔部17が、前記出力部材5の内周壁に形成される。前記支持部材14の筒孔によって構成される前記挿通孔18が、前記ハウジング1の先端面に開口される。
【0013】
この構成によると、出力部材の駆動力を、ボールを介して連結ロッドに確実に伝達できる。
【0014】
(2)例えば、
図5に示すように、前記出力部材5の一部が筒状に形成され、前記出力部材5の筒壁に案内孔37が前記シリンダ孔2の半径方向に貫通される。前記案内孔37に前記係合部材38が前記半径方向へ移動可能に挿入される。前記係合部材38に当接可能となっている楔部39が、前記シリンダ孔2の内周壁に形成される。
【0015】
この構成によると、出力部材の駆動力を、ボールを介して連結ロッドに確実に伝達できる。
【0016】
(3)例えば、
図1から
図5に示すように、前記支持部材23,24は、前記連結ロッド22を間に挟んで、それぞれ、前記基板21から突設される第1支持部材23と第2支持部材24とを有する。前記支持孔19,20は、前記第1支持部材23が挿入される孔形状が円形の第1支持孔19と、前記第2支持部材24が挿入される孔形状が円形の第2支持孔20とを有する。前記第1支持部材23は、外周壁が円柱状に形成され、前記第2支持部材24は、前記第1支持部材23と前記第2支持部材24とを結ぶ方向に交差する方向において、円柱状の外周壁の両側に突起部24aが設けられる。
【0017】
この構成によると、第1支持孔と第2支持孔との間のピッチ間寸法と、第1支持部材と第2支持部材との間のピッチ間寸法との間に誤差がある場合であっても、第2支持孔内で第2支持部材が、第1支持部材と第2支持部材とを結ぶ方向に移動することができる。また、横置き状態で連結装置が使用された場合には、第2ブロックに作用する鉛直方向の荷重は上記突起部と第2支持孔を介して第1ブロックに受け止められる。
【0018】
(4)前記支持部材23,24は、前記連結ロッド22を間に挟んで、それぞれ、前記基板21から突設される第1支持部材23と第2支持部材24とを有する。前記支持孔19,20は、前記第1支持部材23が挿入される孔形状が円形の第1支持孔19と、前記第2支持部材24が挿入される孔形状が円形の第2支持孔20とを有する。前記第1支持部材23は、外周壁が円柱状に形成される。前記第2支持部材24は、前記第1支持部材23と前記第2支持部材24とを結ぶ方向に交差する方向が長軸とされたオーバル柱状に形成される。
【0019】
この構成によると、第1支持孔と第2支持孔との間のピッチ間寸法と、第1支持部材と第2支持部材との間のピッチ間寸法との間に誤差がある場合であっても、第2支持孔内で第2支持部材が、第1支持部材と第2支持部材とを結ぶ方向に移動することができる。また、横置き状態で連結装置が使用された場合には、第2ブロックに作用する鉛直方向の荷重はオーバル柱状の第2支持部材と第2支持孔を介して第1ブロックに受け止められる。
【0020】
(5)前記支持部材23,24は、前記連結ロッド22を間に挟んで、それぞれ、前記基板21から突設される第1支持部材23と第2支持部材24とを有する。前記支持孔19,20は、前記第1支持部材23が挿入される孔形状が円形の第1支持孔19と、前記第2支持部材24が挿入される第2支持孔20であって、前記第1支持孔19と第2支持孔20とを結ぶ方向が長軸とされた長孔形状の第2支持孔20とを有する。前記第1支持部材23および前記第2支持部材24は、いずれも、外周壁が円柱状に形成される。
【0021】
この構成によると、第1支持孔と第2支持孔との間のピッチ間寸法と、第1支持部材と第2支持部材との間のピッチ間寸法との間に誤差がある場合であっても、第2支持孔内で第2支持部材が、第1支持孔と第2支持孔とを結ぶ方向に移動することができる。また、横置き状態で連結装置が使用された場合には、第2ブロックに作用する鉛直方向の荷重は第2支持部材とオーバル形状の第2支持孔を介して第1ブロックに受け止められる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、連結装置に軸心と交差する方向へ外力が作用しても、強力に連結できる連結装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態を示し、ロボットアームとパレットとが離脱された状態を示す平面視の断面図(平断面図)である。
【
図2】
図2は、上記連結装置のリリース状態を示す平面視の断面図(平断面図)であり、
図1に類似する図である。
【
図3】
図3は、上記連結装置のロック状態を示す平面視の断面図(平断面図)であり、
図1に類似する図である。
【
図4】
図4は、
図3中の3A-3Aの矢視断面図であって、連結装置の一部を正面視した図である。
【
図5】
図5は、本発明の第2実施形態を示し、
図3に類似する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から
図3は、本発明の第1実施形態を示している。この実施形態では、多関節ロボットのロボットアームRの先端部に装着される連結装置を例示してある。その連結装置は、ロボットアームRの先端部にパレットPを着脱可能に連結させるものである。まず、
図1により、連結装置の構造を説明する。なお、以下の説明での左右の方向は、図における左右の方向である。
【0025】
上記のロボットアームR(第1ブロック)の左端部(先端部)に連結装置のハウジング1が左右方向に装着される。そのハウジング1内にシリンダ孔2が左右方向に形成される。そのシリンダ孔2は、右側から順に形成される大径孔3と小径孔4とを有する。大径孔3に出力部材5のピストン部6が保密状で左右方向に移動可能に挿入される。小径孔4に出力部材5の操作部7が保密状に挿入される。出力部材5の右側にロック室8が形成されると共に、大径孔3と操作部7との間にリリース室9が形成される。ロック室8に圧縮エアを供給および排出する給排路10がハウジング1に形成される。また、リリース室9に圧縮エアを供給および排出する別の給排路11がハウジング1に形成される。その出力部材5の右部に装着孔12が形成され、その装着孔12に保持バネ13が装着される。その保持バネ13がハウジング1の右壁(基端壁)1aに対して出力部材5を左方に付勢する。
【0026】
上記の連結装置においては、ハウジング1の左壁(先端壁)1bから筒状の支持部材14がシリンダ孔2内に右方に突設される。その支持部材14の筒壁に案内孔15が半径方向に向けて3つ貫通するように形成されている(
図1から
図3には、3つのうちの1つの案内孔15を示す)。各案内孔15にボール(係合部材)16が半径方向へ移動可能に挿入される。また、出力部材5の操作部7の内周面がシリンダ孔2の軸方向の左方に向かうにつれて半径方向の外方へ広がるように形成される。その内周壁に形成される楔面(楔部)17に、ボール16が当接可能となっている。
【0027】
上記の支持部材14の筒孔によって構成される挿通孔18が、ハウジング1の左壁1bに形成される。挿通孔18が支持部材14の筒孔を通ってシリンダ孔2に連通される。
図1に示すように、挿通孔18を挟んで両側に支持孔19,20が所定の間隔をあけて挿通孔18の軸方向に対して平行となるように形成される。
【0028】
上記のパレット(第2ブロック)Pの右壁面に装着される基板21から連結ロッド22と2つのピン(支持部材)23,24とが平行となるように右方(水平方向)に突設される。基板21に貫通孔が左右方向に形成され、その貫通孔に連結ロッド22が挿入される。その貫通孔は、左側から順に形成される大径孔26とその大径孔26よりも小径の小径孔27とを有する。また、連結ロッド22は、左方から順に形成される基端部28と先端部29とを有する。その基端部28は、貫通孔の大径孔26に挿入される大径部30と、貫通孔の小径孔27に挿入される小径部31とを有している。ここで、大径孔26の直径寸法は、大径部30の直径寸法より大きく設定され、小径孔27の直径寸法は、小径部31よりも大きく設定されている。そして、小径孔27の直径寸法が大径部30よりも小さく設定される。このため、連結ロッド22は、基板21の右面(表面)21aに沿って移動可能となると共に、貫通孔から右側に抜け出ないようになっている。また、小径孔27の深さ寸法は、小径部31の左右方向の寸法よりも篏合隙間程度わずかに大きくなっている。このため、先端部29の左端面と大径部30の右端面とによって小径孔27の周壁が挟み込まれている。
【0029】
上記ピン23,24は、連結ロッド22を挟んでその両側に当該連結ロッド22の軸方向と平行するように右方(水平方向)に突設され、基板21の左側からねじ固定される。各ピン23,24の突出長さは、連結ロッド22よりも短く設定されている。そのピン23,24の先端部は、球面状に形成されている。
【0030】
そのピン23(第1支持部材)は、その外周壁が円柱状に形成され、支持孔19(第1支持孔)に篏合隙間をあけて挿入される。これに対して、ピン24(第2支持部材)は、
図4に示すように、外周壁の上部と下部に突起部24aが当該ピン24の半径方向に突設されて、その2つの突起部24aの間に逃がし部24bが形成される。すなわち、ピン24は、ピン23とピン24とを結ぶ方向に対して交差する方向(本実施形態では直交する方向)において、円柱状の外周壁の両側に突起部24aが設けられる。支持孔19,20は、いずれも、孔形状(孔の断面形状)が円形の孔である。このため、支持孔19と支持孔20との間のピッチ間寸法と、ピン23とピン24との間のピッチ間寸法との間に誤差がある場合であっても、支持孔20内でピン24が水平方向に移動することができる。また、第2ブロックPに作用する鉛直方向の荷重は突起部24aと支持孔20を介して第1ブロックRに受け止められる。
【0031】
なお、ピン24の外周壁に突起部24aと逃がし部24bとを設けることに代えて、ピン24を、ピン23とピン24とを結ぶ方向に対して交差する方向(例えば直交する方向)が長軸とされたオーバル柱状に形成してもよい。オーバル(オーバル形状)には、楕円形状、長円形状、および卵形状が含まれる。オーバル柱状とは、断面が、楕円形状、長円形状、または卵形状の柱状のことをいう。この場合、ピン23は、前記と同じく、その外周壁が円柱状に形成される。支持孔19,20も、いずれも、孔形状(孔の断面形状)が円形の孔とされる。
【0032】
さらには、ピン24を、ピン23と同じく円柱状に形成すると共に、支持孔20を、支持孔19と支持孔20とを結ぶ方向が長軸とされた長孔形状の孔(横長の孔)に形成してもよい。この場合、支持孔19は、前記と同じく、孔形状(孔の断面形状)が円形の孔とされる。
【0033】
上記の連結ロッド22が挿通孔18に挿入可能となっている。また、ピン23が支持孔19に挿入可能となっていると共に、ピン24が支持孔20に挿入可能となっている。その連結ロッド22の外周壁に係止溝33が周方向に形成される。その係止溝33の周壁に係止部34が左方へ向かうにつれて連結ロッド22の軸心に近づく(小径となる)ように形成され、その係止部34にボール16が係合可能となっている。
【0034】
上記の連結装置は、
図1から
図3に示すように、次のように作動する。
【0035】
図1に示す連結装置の初期状態(リリース状態)では、ロック室8から圧縮エアが排出されると共に、リリース室9に圧縮エアが供給されている。このため、リリース室9の圧縮エアの圧力に相当する右方への押圧力が、保持バネ13の付勢力に抗して出力部材5を右方へ移動させるように出力部材5に作用している。従って、ボール16が案内孔15内で半径方向の外方へ移動することが許容される。
【0036】
図1のリリース状態のロボットアームRを左方へ移動させていくと、
図2に示すように、ハウジング1の挿通孔18がパレットPの連結ロッド22に右方から外嵌めさせていくと共に、支持孔19がピン23を、支持孔20がピン24を外嵌めていく。
【0037】
上記の連結装置を
図2のリリース状態から
図3のロック状態にロック駆動させるときには、リリース室9の圧縮エアを排出すると共に、ロック室8に圧縮エアを供給する。すると、まず、ロック室8の圧縮エアが出力部材5を左方へ押す力と保持バネ13の左方への付勢力との合力によって出力部材5が左方へ移動されていく。次いで、操作部7の楔面17がボール16を半径方向の内方へ移動させていき、そのボール16が連結ロッド22の係止部34に当接される。引き続いて、出力部材5がボール16を介して連結ロッド22を右方へ引き込んでいくと、基板21の右面21aがハウジング1の着座面35に押し付けられる。これにより、連結装置は、
図2のリリース状態から
図3のロック状態に切換えられる。
【0038】
上記の連結装置を
図3のロック状態から
図2のリリース状態にリリース駆動させるときには、ロック室8の圧縮エアを排出すると共に、リリース室9に圧縮エアを供給する。すると、まず、リリース室9の圧縮エアが出力部材5を右方へ押す力が保持バネ13の左方への付勢力に抗して出力部材5を右方へ移動させていく。次いで、操作部7の楔面17とボール16との間に隙間が形成され、そのボール16の半径方向の外方への移動が許容される。これにより、連結装置は、
図3のロック状態から
図2のリリース状態に切換えられる。
【0039】
上記の実施形態は次の長所を奏する。
【0040】
本実施形態の連結装置では、2つのピン23,24がパレットPの基板21の右面21aから右方(水平方向)に突設されると共に、連結ロッド22が基板21の右面21a内で(右面21aに沿って)移動可能となるように右方に突設される。これにより、パレットPの自重による鉛直下向きの荷重は2つのピン23,24と支持孔19,20とを介してハウジング1に支持されて、連結ロッド2には、前記鉛直下向きの荷重が作用しない。その結果、パレットPに鉛直方向の外力が作用する場合であっても、出力部材5の駆動力がボール16を介して連結ロッド22に確実に伝達できる。
【0041】
図5は、本発明の第2実施形態を示し、上記の実施形態の構成部材と同じ部材(または類似する部材)には原則として同一の参照数字を付けて説明する。
【0042】
図5の変形例が上記の実施形態と異なる点は次の通りである。
【0043】
図5の連結装置においては、ピストン部6の左側にロック室8が形成され、ピストン部6の右側にリリース室9が形成される。
【0044】
また、筒状の操作部7の筒壁に案内孔37がシリンダ孔2の半径方向に向けて4つ貫通するように形成されている(
図5には、4つのうちの2つの案内孔37を示す)。各案内孔37にボール(係合部材)38が半径方向へ移動可能に挿入される。また、シリンダ孔2の内周面が軸方向の左方(先端側)に向かうにつれて半径方向の外方へ広がるように形成される。その内周壁に形成される楔面(楔部)39に、ボール38が当接可能となっている。
【0045】
さらに、シリンダ孔2の左側に挿通孔18が隣接して形成されている。
【0046】
なお、上記の第1実施形態の連結装置に備える装着孔12と保持バネ13と支持部材14とを、第2実施形態の連結装置は、備えていない。
【0047】
上記の連結装置は、
図5に示すように、次のように作動する。
【0048】
上記の連結装置の初期状態(リリース状態)では、ロック室8から圧縮エアが排出されると共に、リリース室9に圧縮エアが供給されている。このため、リリース室9の圧縮エアの圧力に相当する左方への押圧力が、出力部材5を左方へ移動させるように出力部材5に作用している。従って、ボール16が案内孔15内で半径方向の外方へ移動することが許容される。
【0049】
上記のロボットアームRを左方へ移動させていくと、ハウジング1の挿通孔18がパレットPの連結ロッド22に右方から外嵌めさせていくと共に、支持孔19がピン23を、支持孔20がピン24を外嵌めていく。
【0050】
上記の連結装置をリリース状態から
図5のロック状態にロック駆動させるときには、リリース室9の圧縮エアを排出すると共に、ロック室8に圧縮エアを供給する。すると、まず、ロック室8の圧縮エアが出力部材5を右方へ移動させていく。次いで、操作部7の案内孔37に挿入されるボール38も、シリンダ孔2に対して右方へ移動されることにより、シリンダ孔2の楔面39によってボール38がシリンダ孔2の半径方向の内方へ移動されていく。そのボール38が連結ロッド22の係止部34に当接される。引き続いて、出力部材5がボール16を介して連結ロッド22を右方へ引き込んでいくと、基板21の右面21aがハウジング1の着座面35に押し付けられる。これにより、連結装置は、リリース状態から
図5のロック状態に切換えられる。
【0051】
上記の連結装置を
図5のロック状態からリリース状態にリリース駆動させるときには、ロック室8の圧縮エアを排出すると共に、リリース室9に圧縮エアを供給する。すると、まず、リリース室9の圧縮エアが出力部材5を左方へ移動させていく。次いで、シリンダ孔2の楔面39とボール38との間に隙間が形成され、そのボール38が半径方向の外方へ移動されることが許容される。これにより、連結装置は、
図5のロック状態からリリース状態に切換えられる。
【0052】
上記の各実施形態は次のように変更可能である。
【0053】
上記の第1ブロックRがロボットアームであることに代えて、他の搬送装置であってもよく、パレット、ワーク、金型等であってもよい。また、第1ブロックRがテーブル等の固定台の側壁であってもよい。
【0054】
上記の第2ブロックPがパレットであることに代えて、ロボットアームや他の搬送装置であってもよい。
【0055】
第1実施形態の連結装置のロック室8に保持バネ13を装着するのに代えて、リリース室9にリリースバネを装着する構成としてもよい。また、駆動手段としての複動式のシリンダに代えて単動式のシリンダであってもよい。さらには、例示の空圧シリンダに代えて、油圧シリンダや電動アクチュエータであってもよい。
【0056】
上記の基板21をパレットPにねじ固定等することで装着することに代えて、パレットPの一部によって基板2を構成するようにしてもよい。
【0057】
その他に、当業者が想定できる範囲で種々の変更を行えることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
R:ロボットアーム(第1ブロック)、P:パレット(第2ブロック)、1:ハウジング、1b:左壁(先端壁)、2:シリンダ孔、5:出力部材、14:支持部材、15:案内孔、16:ボール(係合部材)、17:楔面(楔部)、18:挿通孔、19:支持孔(第1支持孔)、20:支持孔(第2支持孔)、21:基板、21a:右面(表面)、22:連結ロッド、23:ピン(支持部材、第1支持部材)、24:ピン(支持部材、第2支持部材)、24a:突起部、37:案内孔、38:ボール(係合部材)、39:楔面(楔部).