(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】日除け
(51)【国際特許分類】
E04F 10/08 20060101AFI20231124BHJP
【FI】
E04F10/08
(21)【出願番号】P 2020022014
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2022-11-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年10月21日,タカノ株式会社の展示場・ルビーの里にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000108627
【氏名又は名称】タカノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087468
【氏名又は名称】村瀬 一美
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 渉
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-101313(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/00 - 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフ枠を有する支持フレームと、
前記ルーフ枠を横切るように
回転自在にあるいは固定的に架設される枢軸と、
前記枢軸に
対して固定されあるいは回転自在に支持されて前記枢軸
を中心に回転可能な複数の日除けパネルと、
前記日除けパネルが風を受けないときには前記日除けパネルを水平姿勢に戻す復元手段とを備え、
前記日除けパネルが相互に干渉せずに前記枢軸周りに回転可能な隙間を空けて配置され複数の前記日除けパネルの集合体で日除け面を構成し、
前記日除けパネルは風を受けないときには水平姿勢に保たれ、風を受けたときには回転して向きを変えることで風を受け流す
ことを特徴とする日除け。
【請求項2】
前記日除けパネルは前記枢軸に固定され、前記枢軸が前記ルーフ枠に回転自在に支持され、前記日除けパネルが前記枢軸と共に回転することを特徴とする請求項1記載の日除け。
【請求項3】
前記復元手段はばねであって、前記枢軸の両端に互いに逆巻のばねを備え、前記日除けパネルを水平に保持するばね力を付勢し、風を受けたときには前記枢軸の回転を許容するも、風が収まったときには前記ばねの力で前記日除けパネルの位置が水平に復元されることを特徴とする請求項2記載の日除け。
【請求項4】
前記復元手段は前記枢軸の回転中心よりも下に重心位置を設定する重しであって、前記重しにより自動的に前記日除けパネルが水平状態に復元することを特徴とする請求項2記載の日除け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日除けに関するものである。さらに詳述すると、本発明は、特に屋外での使用に適した日除けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋外に常時設置して用いる日除けとしては、例えば4本の支柱と4本の桁とから構成される骨組みの天井部分にあたる矩形のルーフ枠部分に日除けシートをスライド可能に支持したパラゴーラタイプの日除けが存在する(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このパーゴラタイプの日除けは、屋外に常時設置して用いるため、通常には強固なフレーム構造を採り、強風対策として地盤に強固に固定されることによって設置されることが求められる。しかも、日除けは風の影響を受けやすく、屋外での使用には突風や強い風に対する十分な対策が必要となる。このため、強い風が吹くと予想される日には、日除けシートをルーフ枠の片隅に寄せて風の影響を受け難くするなどの配慮をしておくことができるが、突然強い風が吹く場合などには、日除けシートを片付ける時間がなく、生地や骨組みが破損してしまう虞がある。また、日除けシートは、複数枚の小さなシート材を骨組みの桁材のレールに沿って移動する日除けフレームで連接することにより構成しているので、日除けシートをルーフ枠の片隅に寄せていても強い風で骨組み同士が衝突して騒音を発生させたりする虞もある。
【0005】
そこで、本発明は、日除けとしての機能を十分に果たしながらも、風を受けたときには風を受け流す風抜き機能を有する日除けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために請求項1記載の発明にかかる日除けは、ルーフ枠を有する支持フレームと、ルーフ枠を横切るように回転自在にあるいは固定的に架設される枢軸と、枢軸に対して固定されあるいは回転自在に支持されて枢軸を中心回転可能な複数のパネルと、パネルが風を受けないときにはパネルを水平姿勢に戻す復元手段とを備え、パネルが相互に干渉せずに枢軸周りに回転可能な隙間を空けて配置され複数のパネルの集合体で日除け面を構成し、パネルは風を受けないときには水平姿勢に保たれ、風を受けたときには回転して向きを変えることで風を受け流すようにしている。
【0007】
ここで、パネルは枢軸に固定され、枢軸がルーフ枠に回転自在に支持され、パネルが枢軸と共に回転することが好ましい。
【0008】
また、復元手段はばねであって、枢軸の両端に互いに逆巻のばねを備え、パネルを水平に保持するばね力を付勢し、風を受けたときには枢軸の回転を許容するも、風が収まったときにはばねの力でパネルの位置が水平に復元されることが好ましい。
【0009】
また、復元手段は枢軸の回転中心よりも下に重心位置を設定する重しであって、重力により自動的にパネルが水平状態に復元することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる日除けによれば、風が吹くとき、風が当たるところのパネルが枢軸を中心に回動することによって風を受け流すことから、吹き上げ荷重あるいは吹き下ろし荷重が減少し、支柱が飛ばされたり倒されたりし難くなる。しかも、風の影響をまともに受けることなく、受け流すことができるので、パネルや枢軸への負担を軽減して破損を免れることができる。また、パネルは回動することで風を受け流すことから、パネルが風にばたつき枢軸から外れて飛散することがなく、安全性が高い。さらに、ルーフ枠に架設されている枢軸を中心にパネルが回転するので、日除けの下にいるユーザーに対してパネルが衝突したり、接触することがない。
【0011】
しかも、風が弱まれば、復元手段の働きによってパネルが元の位置に復元するので、日除けとしての本来の機能を全面的に取り戻すことができる。つまり、本発明の日除けによれば、風がないときあるいは微風であるときにはパネル間の隙間が閉ざされて日除け面を構成するので、強い直射日光を遮る日除けとしての役目を果たすことができると共に、風によってパネルが揺らぎ太陽光が木漏れ日のように差し込むことで、柔らかな陽射しを受けることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明をパラゴーラ式日除けに適用した一実施形態を示す全閉状態の平面図である。
【
図2】同パラゴーラ式日除けの全閉状態の正面図である。
【
図3】同パラゴーラ式日除けの全閉状態の右側面図である。
【
図4】同パラゴーラ式日除けの枢軸とルーフ枠との連結構造及び復元手段の一例を示す正面図である。
【
図5】同枢軸とルーフ枠との連結構造及び復元手段の一例を示す平面図である。
【
図6】同枢軸とルーフ枠との連結構造及び復元手段の一例を示す側面図である。
【
図7】復元手段の他の実施形態を示す説明図で、(A)は錘を枢軸の下に配置する例、(B)は錘を枢軸内部に配置する例、(C)は錘を日除けパネルに配置する例を示す。
【
図9】パネルのさらに他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の構成を図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1~
図3に、本発明の日除けを4本支柱のパラゴーラ式日除けに適用した実施形態の一例を示す。この実施形態にかかるパラゴーラ式日除けは、ルーフ枠4を有する支持フレーム1と、ルーフ枠4に架設され日除け面7を構成する可動日除け6とを備えている。
【0015】
可動日除け6は、ルーフ枠4を横切るように架設される枢軸10と、該枢軸10に支持されて枢軸10の周りに回転可能な複数の日除けパネル11と、日除けパネル11が風を受けないときには日除けパネル11を水平姿勢に戻す復元手段12とを備え、日除けパネル11が相互に干渉せずに枢軸10の周りに回転可能な隙間を空けて配置され複数の日除けパネル11の集合体で日除け面7を構成し、日除けパネル11は風を受けないときには水平姿勢に保たれ、風を受けたときには回転して向きを変えることで風を受け流すようにしている。
【0016】
支持フレーム1は、本実施形態の場合、例えば4本の支柱2と、該支柱2に両端が支持される4本のビーム3と、支柱1と相直交する2方向のビーム3とが交わる隅部を囲うコーナージョイント5とを備え、支柱1とビーム3とコーナージョイント5とをそれぞれ連結することによって組み立てられるものである。ここで、4本のビーム3を直方体状に組み付けてルーフ枠4が構成され、該ルーフ枠4が4本の支柱2で所望の高さに支持されている。尚、本明細書においてルーフ枠とは、枢軸10を支持しうる構造物全般を意味し、必ずしも本実施形態のような4本のビームを連結して閉じられた構造物に限定されるものではない。
【0017】
ここで、支柱1は、
図2及び
図3に示すような1本もの例えばアルミ合金の押し出し成形品・角パイプであっても良いが、場合によっては図示していない複数本の支柱を伸縮可能に組み合わせ任意の位置で連結具により固定可能とした入れ子式の伸縮構造(テレスコピック構造)とされても良い。例えば、大きさの異なる角筒を組み合わせて、一方の角柱に対して他方の角柱が摺動可能に連結される入れ子式の伸縮構造(テレスコピック構造)とすることで、支柱1が伸縮可能に設けられても良い。入れ子式の支柱は、伸縮させるという観点からは、いずれの角筒を大としても良いが、好ましくは上側の角柱に対して下側の角柱が嵌入可能な入れ子構造、即ち、上部の角柱の内寸よりも下部の角柱の外寸を細くして、雨水などが上部の角柱と下部の角柱との間の隙間から侵入して溜まることがないように設けられることである。
【0018】
コーナージョイント5は、支柱1とビーム3とが相直交する隅部を囲うものであり、相直交する3つの面を支柱1及びビーム3にそれぞれボルト止めなどで連結することによって、支柱1とビーム3とを相互に連結するようにしている。尚、図示していないが、コーナージョイント5の3つの面のそれぞれの内側には、支柱1あるいはビーム3とほぼ同じ幅の間隔を開けてアングルが溶接付され、アングルの立ち上がり辺(固着されている面に対して垂直な辺)とこれに対向するコーナージョイント5の内面との間のスペースに支柱1あるいはビーム3を装入させることで位置規制可能とされている。
【0019】
支柱1の固定方法としては、基礎を施工して固定するようにしても良いが、これに特に限られるものではなく、重し固定あるいはアンカー固定とすることが好ましい。例えば、支柱1の下端には、支柱1から横にはみ出して錘9を受け止める荷重受け部8が備えられている。この荷重受け部8の上に錘9を載せることで支柱1を固定するようにしても良い。ここで、荷重受け部8は錘9を載せるだけでなく、支柱1の設置面積を広くして倒れ難くする機能も有している。
【0020】
錘9は、例えば半鋳鉄製の割リングであり、支柱1を囲むように組み合わせることで1つのリング(錘組み)が構成され、さらにその上に積み重ねることで円筒状に積み上げられて構成される。錘9の重量は積み上げる錘組みの段数を増減することで調整される。勿論、錘9は上述の鋳鉄製に限られず、コンクリート製や、水などを注入することで錘とするプラスチック製容器のようなものでも良いし、形状も半割のリング形状に限られず、矩形状やコ形のブロックでも良い。支柱は錘9を載せて固定するだけなので、基礎工事などの大がかりな工事がいらない。このため、簡易且つ迅速な組立と解体とを可能とし、期間限定の簡易設置などに最適である。
【0021】
日除けパネル11は、枢軸10を中心に回転する際に日除けの下に立っている人々に接触することの無い大きさ、具体的には支柱2の高さとの兼ね合いにもよるが本実施形態の場合には例えば一辺30~40cm程度で四隅を円弧状に切り落とした略正方形の小さなパネルであり、多数集合させることで一つの大形の日除け面7を構成している。具体的には、本実施形態では、例えば35cm×35cm程度の略正方形の日除けパネル11を1本の枢軸10に対して一定間隔で5枚連ねて固定したものを一列とし、等間隔で5列配置して、ルーフ枠4のビーム3間に懸け渡して回転可能に支持させている。これによって、3m×3mのルーフ枠4の中に25枚の日除けパネル11が回転する際に相互に干渉せず尚且つビーム3と干渉しないように配置されて1つの日除け面7が構成されている。
【0022】
本実施形態の場合、略正方形の日除けパネル11の対角線上に枢軸10が配置されるようにして日除けパネル11を枢軸10にビス止めなどで固定することで、枢軸10を中心に左右方向(枢軸の短手方向)に突出する三角形の翼が断続的に形成されるような形態を採るが、これに特に限られるものではなく、配置の向きや固定方法はこれに特に限られるものでは無い。例えば
図8に示すように、枢軸10よりも僅かに短くかつ両隣りの枢軸10との間に僅かな隙間を空ける程度の幅の1枚の長方形の短冊状の日除けパネル11を枢軸10に固定するようにしても良い。また、
図9に示すように、例えば、隣る枢軸10の間の間隔の2倍よりも僅かに短い長さの正方形あるいは長方形の日除けパネル11を複数の枢軸10の間で千鳥状に配置しても良い。勿論、日除けパネル11の枚数や配置間隔などは適宜決定されるが、枢軸10を中心に日除けパネル11が回転する際に周りの日除けパネル11との間で干渉しないように隙間が設定されている。ここで、隙間が大きくなり過ぎて日除けパネル11の間から漏れる陽が大きくなり過ぎないことが好ましい。
【0023】
日除けパネル11としては、特定の素材に限定されるものではないが、例えば耐候性並びに強度に優れるポリカーボネートのパネルの使用が好ましい。本実施形態では、日除けパネル11は、全て同じ大きさ、同じ形状としているが、場合によっては一部あるいは全部の日除けパネル11の大きさを異ならせても良いし、異なる図柄としても良い。日除けパネル11に着色や図柄を施す場合には、日除けパネル11が回転することによって図柄や配色が変化する趣向を楽しむことができる。
【0024】
また、全ての日除けパネル11が常時回転可能に支持される必要はなく、一部の日除けパネル11を任意に固定したり、あるいは常時固定するようにしても良い。例えば、一列おきに枢軸10を固定して日除けパネル11の回転を規制したり、枢軸の一部を必要に応じて固定可能にしても良い。この場合にも、残る一部の日除けパネル11が回転することで、風抜きを図ると共に木漏れ日のような空間を作り出したりする効果は奏することができる。
【0025】
また、回転する日除けパネル11の他に、回転しない日除けパネル13を備えるようにしても良い。例えば、ルーフ枠4の近くの空間(即ち、回転する日除けパネル11とルーフ枠4との間の空間)を埋める固定日除けパネル13を備えるようにしても良い。
図1の実施形態の場合、仮想線で示すような鋸刃状の固定日除けパネル13をルーフ枠4から内側に向けて突出するように配置し、回転する日除けパネル11の集合体の周りを固定日除けパネル13で囲うようにして、矩形のルーフ枠内を日除けパネル11と固定日除けパネル13とで埋め尽くすようにしても良い。この場合、キャンバス地を展開させるパラゴーラタイプの日除けとほぼ同等の面積を遮光し、且つ木漏れ日のような日陰とすることができる。
【0026】
本実施形態では枢軸10としては例えばアルミ押し出し型材の角パイプが使用されている。角パイプの利用によって、複数枚の日除けパネル11を同一平面上に並べて固定することで、日除けパネル11の向き・水平姿勢を揃えるのが容易になる。この角パイプ・枢軸10の場合、例えば
図4から
図6に示すように、両端に回転軸部14を備えることによって、ルーフ枠4のビーム3の上のブラケット18に回転自在に取り付けることを可能としている。勿論、枢軸10は、ルーフ枠4に回転自在に取り付けられる構造であれば特定の支持構造に限られるものではない。
【0027】
回転軸部14は、本実施形態の場合、
図4および
図5に示すように、角パイプの枢軸10に回転不能に固定されるコ形の固定プレート15を介して枢軸10の開口端に取り付けられている。固定プレート15は内側に折り曲げられた両端の脚部分(平行な二面)を角パイプ(枢軸10)の中に挿入してから、角パイプの二面とビス29で固定されることによって枢軸10の開口端に取り付けられている。固定プレート15と回転軸部14とは、固定プレート15の両脚部の間の底部に回転軸部14の端面を当接させた状態で2本のビス17で固定することにより回転不能に一体化されている。したがって、枢軸10は両端の回転軸部14を介してビーム3に固定されたブラケット18に回転自在に支持される。尚、回転軸部14の先端には渦巻きばね24の一端を引っ掛けるスリット16が設けられている。
【0028】
ブラケット18は例えばL形を成す板材(アングル材)であり、垂直に立ち上がった軸承部19に回転軸部14が貫通する円孔21が開けられ、底部20にビーム3に固定するためのビス(図示省略)を通す長孔30が設けられている。回転軸部14は軸受けオイルレス(無給油・自己潤滑性)ブッシュ例えば円筒状の樹脂すべり軸受け22を嵌めた状態でブラケット18の円孔21を貫通し、その上で、C形止め輪23で回転軸部14の抜け止めが図られてブラケット18に回転自在に支持される。ここで、ビーム3は単純な構造物として機能すれば十分であることから、本実施形態の場合、例えばシンプルな角筒で構成されている。そこで、ブラケット18の固定には例えば裏金31を当ててねじ締結するように配慮されている。
【0029】
本実施形態の場合、回転軸部14には復元手段12が組み込まれている。復元手段12は、本実施形態の場合、ばね例えば渦巻きばね24が使われている。渦巻きばね24は、一端が回転軸部14の先端のスリット16に通されて引っ掛けられる一方、他端のレ形に折り返された部分がブラケット18にねじ止めされた平行な2本のねじ25の間を通すようにしてねじ25に引っ掛けられている。渦巻きばね24は、同じ巻方向の渦巻きばねが枢軸10の両端の回転軸部14に取り付ける際に逆の巻方向となるように組み合わせて使用されている。即ち、枢軸10の一端側には左巻きの渦巻きばね、他端側には右巻きの渦巻きばねとして装着され、互いに逆方向に付勢するように設けられている。したがって、枢軸10は互いに逆向きのばね力が常時付勢されることにより、枢軸10がどちら向きに回転しようとも底面にビス止めされた日除けパネル11が水平姿勢を保持した位置でバランスするように調整される。勿論、左巻きの渦巻きばねと右巻きの渦巻きばねとを組み合わせて用いても良い。尚、ブラケット18にはカバー26が取り付けられ、回転軸部14や渦巻きばね24、C形止め輪23、軸受けオイルレスブッシュ22などが覆われて塵埃などから保護されるように配慮されている。
【0030】
勿論、枢軸10は、角パイプに限られず、丸パイプあるいは丸棒であっても良い。この場合には、回転軸部を取り付ける手間が省けるし、構造もシンプルになるが、日除けパネル11の取り付けには位置ずれなどに対する配慮が必要となる。他方、丸パイプあるいは丸棒を枢軸10として用いる場合には、図示していないが日除けパネル11を丸パイプに固定してからカラー・スペーサを軸方向に介在させて枢軸10に装着することで(二重パイプ構造)、日除けパネル11毎に自由に回転可能に支持することができる。この場合には、風の受け流しが日除けパネル11の単位となるので、より細かな調整が可能となると共に日除けパネル11の動きも変化に富むこととなり、より自然の木漏れ日の状態に近づいた状況を再現することが可能となる。
【0031】
また、可動日除け6の復元手段12としては、例えば錘27を用いても良い。例えば、
図7に示すように、日除けパネル11を枢軸10に取り付けるビス28を利用して錘27を枢軸10の底面側に日除けパネル11を介在させて取り付けたり(
図7(A))、あるいは角パイプの枢軸10の内側の底面に錘27を内挿してから日除けパネル11毎ビス止めしたり(
図7(B))、あるいは日除けパネル11の上に錘27を載せて下からビス止めするなどして固定することも可能である(
図7(C))。いずれにしても、枢軸10の回転中心よりも下側でかつ回転中心を通過する鉛直軸上に重心を配置することにより、風を受けて回転した日除けパネル11が復元する力を発生させるようにすることができる。
【0032】
以上のように構成された本実施形態の日除けによると、風が全くあるいは殆ど無い時には、可動日除け6は復元手段(ばね24あるいは錘27)12の力で原位置に復帰する。したがって、日除けパネル11と日除けパネル11との間の隙間が最小幅まで閉じて、太陽光が遮られ、僅かに隙間から入り込む光と影が交錯する木漏れ日のような陽射しとなり、日除けパネル11の下に心地良い空間を作り出す。
【0033】
そして、風が起きたときには、日除けパネル11と日除けパネル11との間の隙間が開いて風を逃がすことができる。つまり、風が作用するとき、日除けパネル11が翻ることによって風を受け流す。このことから、風を受ける面積が少なくなって吹き上げ荷重が減少し、あるいは吹き下ろし荷重が減少し、日除けが飛ばされたり倒されたりし難くなる。しかも、日除けパネル11の回動は風の強さの変動に応じて揺らぐので開き放しとなったり、閉じたままともならずに適宜風を逃がすことができる。また、日除けパネル11と日除けパネル11との間の隙間が変化したり、日除けパネル11に陽射しが当たって反射したりすることで、日除けパネル11の下の空間の明るさや陽が当たる位置に変化即ち揺らぎを与えるので、自然の木漏れ日のような心地よさを与えることができる。ここで、日除けパネル11の回転により風を受け流すようにしているので、枢軸10並びに該枢軸10を受け支えるビーム3や支柱2への負担を軽減することができる。
【0034】
また、本実施形態では、ビーム3に固定されているブラケット18によって可動日除け6の枢軸10の両端が回転自在に支持されているので、日除けパネル11が回転したとしても、日除けとしてのフレーム輪郭・ルーフ枠4に変化は表れない。このため、ユーザーに与える驚きが少なくて済む。つまり、日除けが壊れたのではないかと、ユーザーを驚かせることが少ない。むしろ、風の流れに応じて部分的にあるいは全体的に可動日除け6が揺れ動くので、風の流れが可視化でき、趣のある演出ができる。
【0035】
さらに、風が弱まれば、風を通り抜けさせるために回転していた日除けパネル11が復元力で自動的に原位置に復帰するので、日除けとしての本来の機能を全面的に取り戻すことができる。つまり、多数の日除けパネル11が並んで大型の1つの日除け面7を形成することで、陽射しを大幅に遮ることができる。しかも、木漏れ日のようにやわらかく太陽光が差し込むような日除けの機能を果たすことができる。
【0036】
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では1本の枢軸10に固定されている全ての日除けパネル11を同時に回転させるようにしているがこれに特に限られるものでは無く、図示していないが固定された枢軸10の周りを独立して各日除けパネル11がそれぞれ回転しあるいは回転しない状態となるようにしても良い。
【0037】
さらに、上述の実施形態にかかる日除けは、仮設的に設置される日除けに適用することが効果的ではあるが、これは常設される日除けに適用できないということを意味するものではない。例えば、支柱1を地上に埋め込み、あるいはアンカーボルトを備えて固定する据え置き式基礎工法を採用して常設する日除けに適用する場合においても、日除けパネル11が回転し風が通り抜けるという利点や、木漏れ日のような陽射しを演出できるという利点を失うものではない。
【0038】
また、本発明の日除けは、上述の実施形態のように平面的に日除けパネル11を配置する陸屋根(傾斜のない平面上の屋根)タイプのパラゴーラ式に限られるものではなく、例えば斜面状(切妻屋根、寄棟屋根、片流れ屋根、方形屋根など)に日除けパネル11を配置したドーム型の日除けを実現することも可能である。
【0039】
さらに、上述の実施形態においては、支柱1及びビーム3が4本ずつの矩形状のパラゴーラタイプの日除けに適用した例を挙げて主に説明したが、支柱やビーム等の本数や形状等には特に限られるものでは無く、支柱は3本でも5本でもあるいはそれ以上でも成り立つものであるし、ルーフ枠4も枢軸10を支持しうる構造であれば特に4本のビーム3を直方体状に組み付けたものに限られない。例えば環状の日除けの場合、枢軸10は例えば放射状に配置され、内側の環状フレームと外側の環状フレームとの間に掛け渡される(即ち、内側の環状フレームと外側の環状フレームとでルーフ枠が構成される)と共に、各枢軸10に固定される日除けパネル11が径方向外側に向かう程に大型となり、径方向内側に向かう程に小型となる。そして、それぞれ隣合う日除けパネル11同士が回転時に干渉しないように形状・配置が定められる。また、内側の円弧状のフレームと外側の円弧状のフレームとの間に掛け渡されると共に、各枢軸10に固定される日除けパネル11が径方向外側に向かう程に大型となり、径方向内側に向かう程に小型となる。そして、それぞれ隣合う日除けパネル11同士が回転時に干渉しないように形状・配置が定められる。
【0040】
上述の実施形態では、パーゴラタイプの日除けとして構成した例を挙げて主に説明したが、これに特に限られるものでは無く、例えば建物躯体の壁面に庇状に取り付けられる日除け即ち支柱を有さない日除けとして構成しても良い。この場合にも、例えば建物躯体の壁面に矩形のルーフ枠の1辺(ビーム)を固定して庇を構成した、あるいは建物躯体の壁面から庇状に突出する2本のビームで構成されるルーフ枠、若しくは庇状に突出する2本のビームの先端同士を連結するビームを含めた3本のビームで構成されるルーフ枠に枢軸を支持させるようにして日除けを構成しても良い。
【符号の説明】
【0041】
1 支持フレーム
3 ビーム
4 ルーフ枠
6 可動日除け
7 日除け面
10 枢軸
11 日除けパネル
12 復元手段
13 固定日除けパネル
24 渦巻きばね(復元手段)
27 錘(復元手段)