(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-22
(45)【発行日】2023-12-01
(54)【発明の名称】スクリュー機械から溶融物を搬出させるための始動弁・絞り装置およびこの種の始動弁・絞り装置を用いてばら材を処理するための設備並びにこの種の始動弁・絞り装置を用いてスクリュー機械から溶融物を搬出させるための方法
(51)【国際特許分類】
F16K 11/22 20060101AFI20231124BHJP
B29C 48/255 20190101ALI20231124BHJP
B29C 48/695 20190101ALI20231124BHJP
【FI】
F16K11/22 Z
B29C48/255
B29C48/695
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019056222
(22)【出願日】2019-03-25
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】10 2018 204 584.4
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501164665
【氏名又は名称】コペリオン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】藤田 アキラ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シュミット
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン キールン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ キューン
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シュムッデ
(72)【発明者】
【氏名】トーミ トラトニク
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04984977(US,A)
【文献】特開2000-246780(JP,A)
【文献】特開2012-183691(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101235914(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
F16K 11/00-11/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュー機械から溶融物を搬出させるための始動弁・絞り装置であって、
ハウジング(24)およびその中に形成されているハウジング繰り抜き部(25)と、
前記ハウジング(24)内に形成され、前記ハウジング繰り抜き部(25)に開口している、前記溶融物(23)を供給するための取り込み通路(33)と、
前記ハウジング(24)内に形成され、前記ハウジング繰り抜き部(25)に開口している、前記溶融物(23)を搬出させるための搬出通路(37)と、
前記スクリュー機械(3)の始動過程の間に前記溶融物(23)を排出するための排出穴(35)と、
切換え体(26)と、を備え、
前記切換え体が、前記ハウジング繰り抜き部(25)内に配置され、且つ排出位置と搬出位置との間で変位可能であり、
前記切換え体が、少なくとも部分的に、前記排出位置で前記取り込み通路(33)を前記排出穴(35)と結合させるための排出通路(34)を形成し、
前記切換え体が、前記搬出位置で前記取り込み通路(33)と前記搬出通路(37)とを結合させるための貫通通路(36)を形成している、前記始動弁・絞り装置において、
前記貫通通路(36)内に絞り体(38)が前記切換え体(26)に対し相対的に
回動可能に配置されている、ことを特徴とする始動弁・絞り装置。
【請求項2】
前記絞り体(38)が絞り体回動軸線(41)のまわりに回動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の始動弁・絞り装置。
【請求項3】
前記絞り体(38)が絞り体駆動部(40)を用いて
回動可能であることを特徴とする、請求項1または2に記載の始動弁・絞り装置。
【請求項4】
前記絞り体駆動部(40)が前記切換え体(26)に固定されていることを特徴とする、請求項3に記載の始動弁・絞り装置。
【請求項5】
前記絞り体(38)が絞り体駆動軸(39)に固定され、該絞り体駆動軸(39)が少なくとも部分的に前記切換え体(26)を通るように延在していることを特徴とする、請求項1から4までの少なくとも一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項6】
前記絞り体(38)が、前記溶融物(23)の流動方向に作用する圧力を吸収するため、絞り体駆動軸(39)に偏心して固定されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項7】
前記貫通通路(36)が、入口(48)から前記絞り体(38)の絞り体回動軸線(41)まで、少なくとも部分的に、拡大している横断面(A)を有していることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項8】
前記貫通通路(36)が入口(48)に自由流動横断面(A
1)を有し、前記絞り体(38)の最小絞り位置で前記絞り体(38)に沿った自由流動横断面(A
2)に対し次の関係が適用されること、すなわち0.5≦A
2/A
1≦1.3、特に0.6≦A
2/A
1≦1.2、特に0.7≦A
2/A
1≦1.1、特に0.8≦A
2/A
1≦0.9が適用されることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項9】
前記切換え体(26)が切換え体駆動部(27)により変位可能であることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項10】
前記切換え体(26)が切換え体変位軸線(28)を形成していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項11】
前記絞り体回動軸線(41)と前記切換え体変位軸線(28)とが互いに平行に、特に同心に延びていることを特徴とする、請求項10に記載の始動弁・絞り装置。
【請求項12】
前記切換え体(26)が前記切換え体変位軸線(28)のまわりに回動可能であることを特徴とする、請求項10または11に記載の始動弁・絞り装置。
【請求項13】
前記切換え体(26)が前記切換え体変位軸線(28)に沿って直線状に変位可能であることを特徴とする、請求項10から12までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項14】
前記切換え体(26)内に、絞られない搬出位置で前記取り込み通路(33)と前記搬出通路(37)とを結合させるための自由貫通通路(50)が形成されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置。
【請求項15】
ばら材(23)を溶融させ、溶融物(23)を供給するためのスクリュー機械(3)と、
請求項1から14までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置と、を備えたばら材処理設備。
【請求項16】
始動弁・絞り装置を用いてスクリュー機械から溶融物を搬出させるための方法において、
請求項1から14までのいずれか一つに記載の始動弁・絞り装置を準備するステップと、
前記切換え体(26)を排出位置から搬出位置へ変位させるステップと、
前記切換え体(26)の前記貫通通路(36)および前記搬出通路(37)とを通じて前記溶融物(23)搬出するステップと、
前記絞り体(38)を前記貫通通路(36)内で前記切換え体(26)に対し相対的に回動させるステップと、を含む方法。
【請求項17】
前記切換え体(26)と前記ハウジング(24)との間に到達した前記溶融物(23)による前記切換え体(26)のブロックを回避するため、前記搬出位置にある前記切換え体(26)を反復的に変位させることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリュー機械から溶融物を搬出させるための始動弁・絞り装置およびこの種の始動弁・絞り装置を用いてばら材を処理するための設備に関するものである。さらに、本発明は、この種の始動弁・絞り装置を用いて溶融物を搬出させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、始動弁・絞り装置をフランジ固定したスクリュー機械が知られている。始動弁・絞り装置は、始動弁・絞り体が配置されているハウジング繰り抜き部を形成したハウジングを含んでいる。始動弁・絞り体は2つの円筒状の密封部分を有し、これらの密封部分の間に絞り体が配置されている。2つの密封部分の一方には、部分筒状に形成されている始動弁弁体が形成されている。始動弁・絞り装置は、さらに、長手軸線のまわりに始動弁絞り体を回動させるための回動駆動部と、始動弁絞り体を長手軸線方向へ変位させるためのリニア駆動部とを含んでいる。リニア駆動部の第1の終端位置で、始動弁・絞り体は始動弁として作動し、その結果取り込み通路を通じて供給された溶融物は始動出口を通じて搬出される。リニア駆動部の第2の終端位置では、両密封部分はハウジング繰り抜き部を密封し、その結果始動出口が閉鎖され、絞り体は絞り位置にある。回動駆動部により始動弁・絞り体を長手軸線のまわりに回動させることにより、取り込み通路を通じて供給された溶融物の搬出は搬出通路の方向において絞り体によって絞られる。欠点は、始動弁・絞り装置の構成および作動が複雑なことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許第3815897C1号明細書(米国特許出願公開第4984977A号公報に対応)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、簡潔で且つ信頼性があるように構成され、簡単でエネルギー効率的な作動を可能にする始動弁・絞り装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1の構成を備えた始動弁・絞り装置によって解決される。貫通通路内に絞り体が切換え体に対し相対的に回動可能に配置されていることにより、絞り体は切換え体とは独立に操作可能である。したがって搬出位置で、切換え体の変位を必要とせずに、簡単に且つエネルギー効率的に溶融物を絞ることが可能である。加えて、絞り体が切換え体とは独立に操作可能であることによって、始動弁・絞り装置の駆動側の構成が簡潔になる。
【0006】
絞り体は、好ましくはスロットルフラップとして、またはバタフライスロットルとして形成されている。スロットルフラップは絞り前面および絞り後面を形成し、絞り前面と絞り後面とは絞り端面を介して互いに結合されている。絞り前面または絞り後面は、絞り端面に比べて、溶融物に関してより大きな流動抵抗を有している。最大絞り位置では、絞り前面により最大流動抵抗が設定され、これに対し最小絞り位置では、絞り端面により最小流動抵抗が設定される。
【0007】
切換え体が複数の部分から形成されていれば、絞り体は少なくとも1つの切換え体構成部分に対し相対的に変位可能に貫通通路内に配置されている。少なくとも1つの切換え体構成部分に対し絞り体が相対的に変位できないように配置されていてもよい。切換え体はたとえば2つの部分から形成されていてよく、第1の切換え体構成部分と第2の切換え体構成部分とを含んでいてよい。絞り体は、第1の切換え体構成部分に対し相対的に変位可能に貫通通路内に配置されている。第2の切換え体構成部分は絞り体駆動軸と結合されており、その結果絞り体は第2の切換え体構成部分に対し相対的に変位不能である。第2の切換え体構成部分は、排出通路および/または自由貫通通路を形成している。自由貫通通路内に絞り体は配置されていない。
【0008】
請求項2に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔でエネルギー効率的な作動を保証する。絞り体が貫通通路内で絞り体回動軸線のまわりに回動可能であることにより、搬出位置で溶融物の絞りが簡単に且つ迅速に可能である。絞り体の位置の変化は、変位する質量が小さいために比較的エネルギー効率的である。絞り体の最小絞り位置では圧力損は少なく、その結果スクリュー機械はエネルギー効率的に作動可能である。好ましくは、絞り体は切換え体に回動可能に支持されている。絞り体の支持は特に密封して行われ、その結果この支持のために溶融物が漏出することはない。
【0009】
請求項3に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔で信頼性のある構成を保証する。絞り体が固有の絞り体駆動により回動可能であることにより、簡潔に構成された信頼性のある絞り体駆動部を使用可能である。絞り体駆動部は切換え体を変位させる必要がなく、その結果絞り体駆動部はもっぱら絞り体の回動だけに利用可能であり、且つ最適化可能である。好ましくは、絞り体駆動部は、絞り体を絞り体回動軸線のまわりに回動させる駆動電動機である。絞り体駆動部はハウジングまたは切換え体に固定されている。
【0010】
請求項4に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔な構成と簡単な作動とを保証する。絞り体駆動部が切換え体に固定されていることにより、絞り体駆動部は切換え体とともに変位し、その結果絞り体駆動部と絞り体とは、切換え体の排出位置から搬出位置への変位のために切換え体に対し相対運動を実施しない。絞り体駆動部は好ましくは駆動電動機として形成され、その結果切換え体の変位を導電線を介して簡単に補償することができる。
【0011】
請求項5に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔で信頼性のある構成を保証する。絞り体駆動軸により、絞り体は特に両側で支持されている。加えて、絞り体駆動軸は、貫通通路内での絞り体の簡単な取り付けを可能にさせる。絞り体駆動軸は、好ましくは切換え体に対し密封されている。好ましくは、絞り体駆動軸は切換え体内で絞り体の両側で密封され、且つ回動可能に支持されている。絞り体駆動軸は、特に、絞り体を変位させるために1つの絞り体駆動部が絞り体駆動軸と結合可能であるように自在にアクセス可能である。絞り体は、絞り体駆動軸に相対回転不能に固定されている。
【0012】
請求項6に記載の始動弁・絞り装置は、信頼性のある構成を保証する。絞り体が絞り体駆動軸に偏心して固定されていることにより、溶融物の流動方向に作用する圧力を、比較的厚い壁のために確実に吸収することができる。これにより、圧力による許容しがたい湾曲が回避される。好ましくは、絞り体はスロットルフラップとして形成され、該スロットルフラップは、絞り体駆動軸と絞り前面との間の壁厚が絞り体駆動軸と絞り後面との間の壁厚よりも大きいように、絞り体駆動軸に偏心して固定されている。流動方向において上流側の絞り前面での壁厚がより大きいことにより、上流側で作用する圧力は確実に吸収される。
【0013】
請求項7に記載の始動弁・絞り装置は、簡単でエネルギー効率的な作動を保証する。貫通通路の横断面が少なくとも部分的に拡大していることにより、絞り体の最小絞り位置で小さな流動抵抗が可能になり、よって少ない圧力増大または圧力損が可能になる。絞り体の横断面は、最小絞り位置で、少なくとも部分的に、貫通通路の拡大している横断面によって補償される。したがって、最小絞り位置での絞り体での圧力損は実質的に回避され、その結果簡単でエネルギー効率的な作動が可能である。特に、始動弁・絞り装置の下流側で圧力を増大させるための溶融物ポンプは省略できる。好ましくは、絞り体は、絞り前面と絞り後面とこれらを結合させている絞り端面とを含んだスロットルフラップとして形成されている。特に、絞り前面と絞り後面とは、絞り端面を起点にして(横断面で絞り体回動軸線に対し垂直に見て)絞り体回動軸線まで少なくとも部分的に互いに楔状に延在している。好ましくは、絞り端面は(横断面で絞り体回動軸線に対し垂直に見て)湾曲して形成されている。これにより、最小絞り位置でのスロットルフラップの流動抵抗が最適化される。
【0014】
請求項8に記載の始動弁・絞り装置は、簡単でエネルギー効率的な作動を保証する。自由流動横断面A2/A1の比率により、最小絞り位置での小さな流動抵抗と少ない圧力増大または圧力損とが保証される。自由流動横断面A2は、特に、圧力体回動軸線を通り且つ溶融物の流動方向または搬送方向に対し垂直に延在している断面に関わる。この断面は、特に、入口によって定義されて流動方向または搬送方向に対し垂直に延在している断面に対し平行である。好ましくは、絞り体はスロットルフラップとして形成されている。最小絞り位置で、絞り前面と絞り後面とは実質的に流動方向に対し平行に延在し、その結果絞り前面と絞り後面とを結合させている絞り端面が実質的に流動抵抗を決定する。
【0015】
請求項9に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔な構成と作動とを保証する。切換え体が固有の切換え体駆動部により変位可能であることにより、駆動側の構成と切換え体の変位とが容易である。切換え体駆動部は、特に駆動電動機として形成されている。切換え体駆動部は、好ましくはハウジングに固定されている。これによって切換え体駆動部は簡単に操作可能である。切換え体駆動部はリニア駆動部またはロータリー駆動部として形成されている。
【0016】
請求項10に記載の始動弁・絞り装置は、簡単な作動を保証する。第1実施態様の場合、切換え体は切換え体変位軸線に沿って直線状に変位可能である。第2実施態様の場合は、切換え体は切換え体変位軸線のまわりに回動可能である。
【0017】
請求項11に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔な構成と作動とを保証する。絞り体回動軸線が切換え体変位軸線に対し平行に延びていることにより、排出位置と搬出位置との間での簡単な切換えが可能である。切換え体が排出位置と搬出位置との間で直線状に変位する場合、絞り体駆動部および/または絞り体駆動軸は排出位置と搬出位置との間での切換えを阻害しない。切換え体が排出位置と搬出位置との間で切換え体変位軸線のまわりに回動する場合は、絞り体駆動部および/または絞り体駆動軸によって回動が阻害されない。
【0018】
請求項12に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔な構成と簡単でエネルギー効率的な作動とを保証する。切換え体は、ハウジング繰り抜き部内に回動可能に支持されている。切換え体変位軸線は切換え体回動軸線である。好ましくは、切換え体はハウジング繰り抜き部内に切換え体変位軸線の方向に固定されている。切換え体は、排出位置と搬出位置との間で切換えるために特に少なくとも90゜切換え体変位軸線のまわりに回動可能である。好ましくは、切換え体変位軸線は水平方向または鉛直方向に向けられている。
【0019】
請求項13に記載の始動弁・絞り装置は、簡潔な構成と簡単でエネルギー効率的な作動とを保証する。切換え体は、ハウジング繰り抜き部内に直線状に変位可能に配置されている。排出位置と搬出位置との間の切換えは、切換え体が切換え体変位軸線に沿ってハウジング繰り抜き部内を直線状に変位することによって行われる。好ましくは、切換え体変位軸線は水平方向または鉛直方向に向けられている。
【0020】
請求項14に記載の始動弁・絞り装置は、エネルギー効率的な作動を保証する。切換え体内に付加的に自由貫通通路が形成されていることにより、切換え体は絞られていない搬出位置へ変位することができる。自由貫通通路内には絞り体が配置されておらず、その結果溶融物は絞られていない搬出位置で支障なく自由貫通通路を貫流することができる。これによって、実質的に圧力損は生じない。したがって、スクリュー機械および始動弁・絞り装置の作動はエネルギー効率的である。
【0021】
さらに、本発明は、簡潔で信頼性があるように構成され、簡単でエネルギー効率的な作動を可能にするばら材処理設備を提供することを課題としている。
【0022】
この課題は、請求項15の構成を備えた設備によって解決される。スクリュー機械は特に多軸型スクリュー機械、好ましくは2軸型スクリュー機械として形成されている。スクリュー機械の複数の処理要素軸は特に同方向に回転駆動可能であり、または回転駆動されている。複数の処理要素軸は、好ましくは圧力が漏れないように互いに噛み合って形成されている。設備は、特に、スクリュー機械および/または始動弁・絞り装置の作動を制御する制御機構を含んでいる。制御機構は、特に、排出位置と搬出位置との間での切換え体の変位、および/または、溶融物を絞るために行われる、貫通通路内での切換え体に対する絞り体の変位を制御する。
【0023】
さらに、本発明は、始動弁・絞り装置を用いて溶融物の簡単でエネルギー効率的な搬出を可能にする方法を提供することを課題としている。
【0024】
この課題は、請求項16の構成を備えた方法によって解決される。本発明による方法の利点は、すでに述べた本発明による始動弁・絞り装置の利点に対応している。本発明による方法は、特に、請求項15に記載のばら材処理設備を準備するステップをも含んでいてよい。
【0025】
請求項17に記載の方法は、溶融物の簡単で信頼性のある搬出を保証する。切換え体が作動中に反復的に搬出位置からわずかに変位し、すなわちわずかに回動し、または、わずかに直線状に変位し、次に再び搬出位置へもたらされることにより、始動過程中に切換え体とハウジングとの間の隙間に到達してそこに長時間とどまり、隙間内で硬化する溶融物が、切換え体の運動を継続的にブロックすることが回避される。切換え体がわずかに変位することにより、または、すでに述べたように切換え体が微小運動することにより、溶融物の硬化が原因で発生した物質は隙間内で溶解する。これによって、切換え体のブロックは簡単に確実に回避される。
【0026】
本発明の他の構成、利点、詳細は、いくつかの実施形態に関する以下の説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】多軸型スクリュー機械とこれにフランジ固定されている始動弁・絞り装置を用いてばら材を処理するための設備の第1実施形態の概略図である。
【
図2】
図1の始動弁・絞り装置の排出位置における断面図である。
【
図3】
図1の始動弁・絞り装置の搬出位置における断面図である。
【
図4】絞り体の最小絞り位置での
図3の切断線IV-IVによる始動弁・絞り装置の断面図である。
【
図5】絞り体の最大絞り位置での
図4に対応する始動弁・絞り装置の断面図である。
【
図6】第2実施形態による始動弁・絞り装置を排出位置で示した断面図である。
【
図7】第2実施形態による始動弁・絞り装置を搬出位置で示した断面図である。
【
図8】第3実施形態による始動弁・絞り装置を絞られていない搬出位置で示した断面図である。
【
図9】第4実施形態による始動弁・絞り装置を排出位置で示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、
図1ないし
図5を用いて本発明の第1実施形態について説明する。ばら材2を処理するための設備1は、多軸型スクリュー機械3と、搬出方向5において多軸型スクリュー機械3の下流側に配置されている始動弁・絞り装置4とを含んでいる。
【0029】
多軸型スクリュー機械3は、2軸型スクリュー機械として形成されている。スクリュー機械3はハウジング6を有し、該ハウジング6は、互いに並設され且つ互いに固定されている複数のハウジング部分7,8,9,10を含んでいる。ハウジング6内には、軸線平行な2つのハウジング孔11,12が形成され、これらのハウジング孔11,12は互いに貫通しあっており、且つ横断面にて8の字を横にしたような形態を持っている。ハウジング孔11,12内には、互いに密に噛み合っている2つの処理要素軸13,14が配置され、付属の回転軸線15,16のまわりに回転駆動可能である。処理要素軸13,14はトランスファーギヤボックス17を介して駆動原動機18により同方向に、すなわち同じ回転方向に回転駆動される。始動弁・絞り装置4と、ハウジング6と、トランスファーギヤボックス17と、駆動原動機18とはスタンド19を介して基礎20に固定されている。
【0030】
引き込みゾーンとして形成された第1のハウジング部分7には取り込みホッパー21が開口し、該取り込みホッパー21内へは処理すべきばら材2が配量機構22を介して供給されてスクリュー機械3内部まで到達する。処理要素軸13,14は、スクリュー機械3内で、ばら材2を溶融させて溶融物23を形成させる混練ゾーンを形成している。溶融物23は、最後のハウジング部分10にフランジ固定されている始動弁・絞り装置4に供給される。
【0031】
始動弁・絞り装置4はハウジング24を含み、該ハウジング24内には筒状のハウジング繰り抜き部25が形成されている。ハウジング繰り抜き部25内には、対応的に筒状に形成された切換え体26が配置され、該切換え体26は、切換え体駆動部27を用いてハウジング繰り抜き部25内で切換え体変位軸線28のまわりに回動可能である。切換え体26は切換え体変位軸線28の方向には固定配置されており、すなわち変位できない。
【0032】
切換え体駆動部27は駆動電動機として形成されている。切換え体駆動部27は固定台29を用いてハウジング24に固定されている。切換え体駆動部27は、切換え体変位軸線28のまわりに切換え体26を回動させるために切換え体駆動軸30により結合されている。切換え体26は、リング状の軸受・密封ユニット31,32を用いて回動可能であり、且つ溶融物23に対し密封してハウジング繰り抜き部25内に支持されている。
【0033】
ハウジング24内には、ハウジング孔11,12をハウジング繰り抜き部25と結合させている取り込み通路33が形成されている。取り込み通路33は、溶融物23を切換え体26に供給するために用いる。切換え体26は、
図2に図示した排出位置と、
図3に図示した搬出位置との間で回動可能である。切換え体26は、排出位置と搬出位置との間で切換えるために切換え体変位軸線28のまわりに少なくとも90゜回動可能である。
【0034】
切換え体26は排出通路34を形成しており、排出通路34は排出穴35を画成するとともに、排出位置で取り込み通路33を周囲と結合させる。切換え体26はさらに貫通通路36を形成しており、該貫通通路36は搬出位置で取り込み通路33を搬出通路37と結合させる。始動弁・絞り装置4の下流側には、たとえば顆粒化機構が配置され、該顆粒化機構には、搬出通路37から搬出された溶融物23が供給される。
【0035】
貫通通路36内には、切換え体26に対し相対的に変位可能な絞り体38が配置されている。絞り体38は、絞り体駆動軸39と相対回転不能に結合されている。絞り体駆動軸39は、絞り体38の両側で回動可能であり、且つ切換え体26で密封して支持されている。絞り体38は絞り体駆動部40を用いて絞り体回動軸線41のまわりに回動可能である。絞り体回動軸線41は切換え体回動軸線28に対し同心に延びている。絞り体駆動部40は駆動電動機として形成されている。絞り体駆動部40は切換え体26に固定されている。このため、固定フレーム29と切換え体駆動軸30とが必要な構造空間を形成している。絞り体駆動軸39を絞り体駆動部40と結合させるため、絞り体駆動軸39は、切換え体26内に形成されている受容穴42を貫通して延在している。
【0036】
切換え体駆動部27と絞り体駆動部40とを起動させるため、設備1または始動弁絞り装置4は制御機構43を含んでいる。
【0037】
絞り体38はスロットルフラップとして形成されている。スロットルフラップはバタフライスロットルとも呼ばれる。絞り体38は絞り前面44と、絞り後面45と、これらを結合させている絞り端面46とを有している。絞り前面44と絞り後面45とは実質的に円板として形成されている。絞り端面46は実質的にリング状に形成されて、絞り前面44と絞り後面45とを結合させることで円板状の絞り体38を形成させている。絞り体38内には、周回するように延在している絞り端面46を貫通して延びている軸孔47が形成されている。絞り体38は、絞り体駆動軸39に次のように偏心して固定されており、すなわち軸孔47と絞り前面44との間での絞り体38の壁厚d
1が、軸穴47と絞り後面45との間での壁厚d
2よりも大きいように、偏心して固定されている。絞り前面44と絞り後面45とは、絞り端面46から絞り体回動軸線41まで延在し、該絞り体回動軸線41に対して垂直に延びている断面(
図4に対応)で見ると、楔状に延在し、または、楔状に拡大している。加えて、絞り端面46は、
図4に対応する断面で見て、絞り体回動軸線41のほうへ湾曲して形成されている。これにより、
図4に図示した絞り体38の最小絞り位置で、最小流動抵抗が得られる。
【0038】
貫通通路36は、変化している横断面Aを有している。入口48で貫通通路36は横断面A1を有している。貫通通路36の横断面Aは、入口48から最大横断面Amaxまで拡大している。最大横断面Amaxは、絞り体回動軸線41が通り且つ搬送方向5に対し垂直に配置されている断面内にある。貫通通路35の横断面Aは最大横断面Amaxから再び減少し、出口49で横断面A3に至っている。横断面A3に対しては、A3≧A1またはA3≦A1が適用できる。
【0039】
入口48においては、横断面A
1は自由流動横断面A
1に等しい。
図4に図示した最小絞り位置では、絞り体38の領域に、横断面Aと絞り体38の横断面との差から生じる自由横断面A
2が生じる。自由流動横断面A
2は、
図4では最大横断面A
maxの領域に例示されている。絞り体38に沿った自由流動横断面A
2に対しては、0.5≦A
2/A
1≦1.3、特に0.6≦A
2/A
1≦1.2、特に0.7≦A
2/A
1≦1.1、特に0.8≦A
2/A
1≦0.9が適用される。
【0040】
次に、設備1および始動弁・絞り装置4の機能について説明する。
【0041】
スクリュー機械3を始動するため、始動弁・絞り装置4を次のように操作し、すなわち切換え体26が
図2に図示した排出位置に位置するように操作する。絞り機構22を用いてスクリュー機械3にばら材2を供給し、ばら材2はスクリュー機械3内で溶融されて溶融物23になる。溶融物23は、始動過程の間始動弁・絞り装置4を用いて、溶融物23に所望の品質が得られるまで排出される。このため、溶融物23は取り込み通路33と排出通路34とを通って流れ、排出穴35から周囲へ排出される。この点は
図2に図示されている。
【0042】
溶融物23の所望の品質が達成されると、切換え体26を排出位置から
図3に図示した搬出位置へ変位させる。このため、切換え体26を切換え体駆動部27を用いて切換え体変位軸線28のまわりに90゜回転させ、その結果貫通通路36が取り込み通路33を搬出通路37と結合させる。すでに排出位置にある絞り体38を所望の絞り位置へ、たとえば最小絞り位置へ回転させる。絞り体38が切換え体26の排出位置で最小絞り位置にあれば、絞り体38は回転させなくても切換え体26の搬出位置で最小絞り位置にある。溶融物23は取り込み通路33と貫通通路36と搬出通路37とを通って搬送されて、始動弁・絞り装置4から搬出される。次に、溶融物23をたとえば顆粒化機構に供給する。
【0043】
切換え体26の搬出位置では、溶融物23の流動を必要な場合に絞り体38を用いて絞ることができる。このため、絞り体38を絞り体駆動部40を用いて絞り体回動軸線41のまわりに回転させる。その結果、自由流動横断面A
2が最小絞り位置に比べて減少する。
図5に図示した最大絞り位置では、絞り体38は貫通通路36をほぼ完全に閉鎖している。絞り体38が絞り体駆動軸39に偏心して配置されていることにより、溶融物23の流動方向に作用する圧力または搬送方向5に作用する圧力が確実に吸収される。
【0044】
次に、
図6と
図7を用いて本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と異なり、切換え体26は切換え体駆動部27によりハウジング繰り抜き部25内で切換え体変位軸線28に沿って直線的に変位可能である。
図6は、始動弁・絞り装置4を切換え体26の排出位置で示したものである。切換え体26は、排出位置と搬出位置との間で切換えるため、貫通通路36が取り込み通路33を搬出通路37と結合させるまで、切換え体駆動部27により切換え体変位軸線28に沿って直線的に変位する。搬出位置は
図7に図示してある。搬出位置では、絞り体38はすでに述べた態様で絞り体回動軸線41のまわりを回動可能であり、その結果溶融物23の流動を所望通りに絞ることができる。他の構成および他の機能に関しては、第1実施形態を参照してもらいたい。
【0045】
次に、
図8を用いて本発明の第3実施形態について説明する。前述の2つの実施形態とは異なり、切換え体26内に自由貫通通路50が形成されている。自由貫通通路50内には、貫通通路36とは異なり絞り体が配置されていない。自由貫通通路50は貫通通路36と排出通路34との間に形成されている。
図8に図示した、絞られていない搬出位置では、自由貫通通路50は取り込み通路33を搬出通路37と結合させている。絞られていない搬出位置では、溶融物23は実質的に圧力損なしに自由貫通通路50を通って流れることができ、これによって設備1のエネルギー効率的な作動が可能になる。他の構成および他の機能に関しては、前述の2つの実施形態を参照してもらいたい。
【0046】
次に、
図9を用いて本発明の第4実施形態について説明する。前述の3つの実施形態とは異なり、切換え体26は2つの部分から形成されている。切換え体26は第1の切換え体構成部分51を含んでいる。第1の切換え体構成部分51は、絞り体駆動部40とは逆の側の端部に中空筒状に形成されており、筒状の第2の切換え体構成部分52のための受容部53を形成している。第2の切換え体構成部分52は、受容部53内で絞り体回動軸線41のまわりに回動可能に支持され、且つ絞り体駆動軸39と結合されている。排出位置で、切換え体構成部分51,52は、取り込み通路33を排出穴35と結合させる排出通路34を形成する。これは
図9に図示されている。さらに、第2の切換え体構成部分52内には自由貫通通路50が形成されている。自由貫通通路50内には絞り体は配置されていない。絞られていない搬出位置では、第2の切換え体構成部分52は第1の切換え体構成部分51に対し相対的に回転しており、特に90゜回転しており、その結果自由貫通通路50は取り込み通路33を搬出通路37と結合させている。第2の切換え体構成部分52の回動は、絞り体駆動軸39を介して第2の切換え体構成部分52と結合されている絞り体駆動部40を用いて行われる。排出通路34を形成させるため、且つ自由貫通通路50を形成させるため、第1の切換え体構成部分51は中空筒状部分内に入口54と出口55とを有している。貫通通路36と絞り体38とはすでに述べた態様で第1の切換え体構成部分51内に形成または配置されている。他の構成および他の機能に関しては、前述の3つの実施形態を参照してもらいたい。
【0047】
本発明による始動弁・絞り装置4は簡潔であり、コンパクトに構成され、構造長さが短く、その結果始動弁・絞り装置4は絞り体38の最小絞り位置でわずかな圧力損を生じさせる。これによって、溶融物23への必要なエネルギー投入量が比較的少なく、その結果一方では溶融物23の温度が低下し、他方では作動時のスクリュー機械3の可能な回転数範囲が大きくなる。スクリュー機械3内で必要な圧力は、始動弁・絞り装置4の圧力損失が少ないために小さくてよく、その結果スクリュー機械3内および始動弁・絞り装置4内での摩耗が少なく、スクリュー機械3および始動弁・絞り装置4の寿命が向上する。したがって、始動弁・絞り装置4は高い信頼性を有している。
【0048】
最小絞り位置または絞られていない搬出位置で始動弁・絞り装置を貫流する際の溶融物23の圧力損が比較的少ないために、始動弁・絞り装置4はエネルギー効率的に作動し、スクリュー機械3のエネルギー効率的な作動を可能にさせる。加えて、始動弁・絞り装置4は、スループットの向上を可能にさせる。溶融物23の圧力を増大させるために下流側に配置される溶融物ポンプを省略することができる。好ましくは、絞り体駆動部40は切換え体26とともに変位可能であり、その結果排出位置と搬出位置との間で切換える際の切換え体26に対する絞り体38および絞り体駆動部40の相対位置は変化しない。これとは択一的に、絞り体駆動部40をハウジング24に固定してもよく、その結果排出位置と搬出位置との間での切換えの際に絞り体38は切換え体26に対し相対的に変位する。
【0049】
好ましくは、切換え体26は作動中に何度も搬出位置からわずかに変位し、すなわちわずかに回動し、または、わずかに直線的に変位し、次に再び搬出位置へもたらされる。これによって、始動過程の間に切換え体26とハウジング24との間の隙間に到達してそこに比較的長時間にわたって留まり、隙間内で硬化する溶融物23が、切換え体26の運動を継続的に阻止することが回避される。切換え体26がわずかに変位することにより、溶融物23の硬化から生じる物質は前記隙間内で溶解する。これによって、始動弁・絞り装置4の信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0050】
1 設備
2 ばら材
3 多軸型スクリュー機械
4 始動弁・絞り装置
6 ハウジング
23 溶融物
24 ハウジング
25 ハウジング繰り抜き部
26 切換え体
33 取り込み通路
34 排出通路
35 排出穴
36 貫通通路
37 搬出通路
38 絞り体